金 日 成

ネパール新聞『アスチト』責任主筆と
『アクバル』責任主筆の質問に対する回答
−1987年7月23日− 
 
 あなたがたの手紙と書面質問を拝見しました。あなたがたが手紙で、私と朝鮮人民に対していだいているあたたかい感情と鼓舞的な祝意を披瀝したことに対し謝意を表します。

 あなたがたは質問でいろいろな問題を提起しましたが、便宜上いくつかにまとめてお答えしようと思います。

 まず、わが国でおさめられた主な成果はなんであるかという質問に簡単にお答えしましょう。

 あなたがたもご存じのように、かつて朝鮮は極めて立ち後れた植民地学封建社会でした。解放後、朝鮮人民には、日本帝国主義植民地支配の後遺症をいやし、自主的な新社会を建設すべき困難な課題が提起されました。

 人民のための新しい社会を建設するためには、社会と自然と人間を人民大衆の自主的な志向と要求にそって改造しなければなりません。社会改造、自然改造、人間改造は、社会的運動の基本内容をなしています。社会の進歩は、まさしく社会改造、自然改造、人間改造を通じてなされます。朝鮮人民は、解放後40余年のあいだ、つきあたる障害と難関を克服しながら、社会改造、自然改造、人間改造を力強く繰り広げ、新しい社会の建設で大きな成果をおさめました。

 新しい社会の建設で朝鮮人民がおさめた重要な成果は、何よりも世紀にわたる搾取と貧困の根源を永遠に一掃し、共和国北半部に搾取と抑圧のない先進的な社会主義制度を樹立したことです。

 わが国の社会主義制度は、勤労人民大衆があらゆるものの主人となっており、すべてが勤労人民大衆に奉仕する最もすぐれた社会制度です。社会主義制度のもとで、朝鮮人民は真の政治的自由と権利をもって自主的で創造的な生活を営んでいます。わが国では、全人民が国家の管理と政治に直接参加し、社会・政治活動を自由におこなっており、誰もが安定した職場で能力に応じて働いています。また、無料治療制と無料義務教育制の恩恵で誰もが一銭の金もかけずに病気の治療を受け、思う存分学んでいます。いまわが国の人民は、生活上の心配を知らず、誰もがひとしく豊かな暮らしをしています。

 朝鮮人民は、わが国に最もすぐれた社会制度を樹立したことに対し高い誇りと自負をいだいており、裕福で幸せな生活を保障するこの制度をいっそう強化発展させるため、すべての力と才能を尽くしています。

 朝鮮人民が新しい社会の建設でおさめた成果はまた、歴史的に短い期間に社会主義的工業化を成功裏に実現し、強固な自立的民族経済を建設したことです。

 朝鮮人民は戦後、廃墟のうえに自力更生の革命精神をもって刻苦奮闘し、自立的民族経済を建設して、完全な経済的自立を達成しました。わが国の社会主義の自立的民族経済は、数回の人民経済発展計画を遂行する過程で部門構造がいっそう完備され、すべての部門が現代技術でしっかりと装備されました。その結果、わが国の経済的威力は比べようもなく強化されました。

 こんにちわが国の経済は、国の政治的自主権を物質的にしっかりと保障しており、社会主義建設と人民生活に必要なすべてのものを基本的に国内生産でまかなっています。かつては、簡単な農機具一つまともにつくれなかったわが国が、いまでは1万トンプレスと大型発電機、大型酸素分離機など各種の大型機械を思いどおり製作しており、近代的な工場設備をプラント生産しています。我々が自力で西海閘門をはじめ、世界に誇るべき多くの大記念碑的建造物を建設することができたのも、威力ある自立的民族経済の土台があるからです。

 我々は、新しい社会の建設において人間改造を最も重要な問題とみなし、常に人間改造をすべての事業に確固と優先させてきました。

 社会を発展させるには、社会の主人である人間からまず発展させなければなりません。人民大衆は、自然と社会の改造者であり、社会的運動の担い手です。人民大衆を自主的な思想・意識と創造的能力をもった有力な存在に育てるところに、社会の進歩を達成する基本的な裏付けがあります。

 我々は、人々を有力な社会的存在に育てあげるために、思想教育活動と教育事業を強化しました。

 思想教育活動を力強く繰り広げた結果、朝鮮人民の政治的・思想的品格は見違えるほど変わりました。いまわが国の全人民は、チュチェ思想で武装し、朝鮮労働党と共和国政府のまわりに一心同体となってかたく団結し、すべての人が祖国と人民のために、社会と集団のために誠実に働いています。

 わが党と共和国政府の正しい教育政策と民族幹部養成方針によって、解放直後にはわずか数10名にすぎなかった技術者、専門家の隊伍が、いまでは125万名に増え、育ちゆく新しい世代はすべて全般的11年制義務教育の体系に組みこまれて完全な中等一般教育を受けています。わが国では、成人も各種形態の成人教育体系に組みこまれて働きながら学んでいます。

 朝鮮人民が新社会の建設でおさめたこれらの成果は、わが党のチュチェ思想によってもたらされた輝かしい勝利であり、誇らしい結実であります。チュチェ思想は、朝鮮革命の指導思想です。朝鮮人民は、チュチェ思想が示す新しい社会建設の道を力強く前進することによって、世紀的な変革を遂げることができました。

 朝鮮人民がこれまでおさめた成果はもちろん大なるものでありますが、我々はこれに自己満足していません。我々には、すでになし遂げたことより今後なをすべきことのほうが多いのです。

 朝鮮人民は、新社会の建設でおさめたこれまでの成果にもとづいて、今後、思想、技術、文化の3大革命を力強く繰り広げて、社会改造、自然改造、人間改造をひきつづきおし進めることによって、わが国をいっそう発達した国、住みよい人民の楽園に建設するでしょう。

 次に、朝鮮の統一をめざす北南対話の展望と南朝鮮政治の現状について話しましょう。

 対話と協商を通じて国の統一問題を平和的に解決しようとするのは、わが共和国政府の一貫した確固たる立場です。

 共和国政府は、これまで北南間の対話を実現し、その対話が国の統一問題の解決に実質的に寄与できるようにするため最善を尽くしてきました。我々は昨年、朝鮮の緊張を緩和し祖国統一の活路を開くため、北南高位級政治・軍事会談開催に関する新たな提案を示しました。この提案は、新たな戦争の危険が増大しているわが国の現情勢のもとで、国の統一問題の解決に有利な局面を開く画期的な提案です。しかし、南朝鮮当局者が好意的な反応を見せていないため、北南高位級政治・軍事会談は実現されていません。南朝鮮当局者の誤った立場と態度のため、これまでおこなわれてきた北南間の各種形態の対話も進捗せず、いまは中断状態にあります。

 北南対話を成功裏に進めて立派な結実をもたらすためには、対話双方が対話に正しい立場と姿勢でのぞまなければなりません。

 北南対話の目的は、あくまでも北南間の不信と対決を解消し、国の統一問題を解決するところにあります。ですから、北南間の対話を実現するうえで重要なのは、なんらかの形式や手順にあるのでなく、対話双方が真に民族の和解と国の統一のために努力する誠実な立場に立つことです。北南対話の展望は、結局、この問題にかかっています。南朝鮮当局者が、対話の幕裏で北南間の対決をあおり立て、民族の分裂を固定化しようとする誤った立場を捨て、民族の団結と統一をめざす誠実な立場にもどるならば、北南対話は実現し、立派な結実をもたらすことができます。

 我々は、常に対話の扉を開いています。我々は今後とも北南対話を実現し、それを各分野にわたって拡大発展させるため積極的に努力するでしょう。

 あなたがたは南朝鮮政治の現状について質問しましたが、こんにちの南朝鮮の政治情勢を一言で特徴づけるならば、南朝鮮人民の反米気運が急激に高まり、民主とファッショ、愛国と売国との闘いが高揚し、反人民的な軍事ファッショ支配が危機に瀕していることだといえます。

 最近、南朝鮮では、反米自主化、反ファッショ民主化、祖国統一をめざす青年学生と人民の闘いがかってなく高揚しています。アメリカの植民地的支配とその手先の軍事ファッショ独裁に反対する南朝鮮青年学生の正義の愛国的闘争は日を追ってますます高揚し、この6月にはついに全人民的抗争へと発展しました。ソウルをはじめ、南朝鮮全域で闘いに立ち上がった青年学生と民主人士、各階層の愛国的人民は、軍事ファシストのむごい弾圧と懐柔欺瞞策にも屈することなく、団結した力で断固と闘いました。南朝鮮人民のこのたびの闘いは、その規模においても組織性においても、前例をみない反米反ファッショ人民抗争でした。6月人民抗争は、南朝鮮で長期間持続してきた軍事ファッショ独裁に甚大な打撃を与え、アメリカ帝国主義の植民地支配を大きくゆさぶりました。

 人民大衆の強力な進出にそれ以上たえられなくなった南朝鮮当局者は、直選制改憲を基本内容とする「時局収拾方案」を示さざるをえなくなり、結局、民主主義を渇望する人民の要求に屈伏しました。これは、自主と民主主義をめざす今度の闘いで南朝鮮人民がかちとった初の勝利です。

 南朝鮮人民のこのたびの抗争は、正義の偉業のために人民大衆が一つに団結して闘うとき、それがいかに大きな力を発揮するかを如実に示しました。

 南朝鮮人民は反ファッショ民主化闘争で成果をおさめたとはいえ、いまなお軍事ファッショ独裁体制はそのまま残っており、またアメリカの支配と干渉はつづいています。

 アメリカ帝国主義者の庇護のもとに南朝鮮で軍事ファッショ支配体制が依然として維持されている状況のもとでは、社会の民主的発展は期待できません。外部努力の支配と民族自主、独裁と民主主義は両立しません。南朝鮮でアメリカの支配とその手先の軍事ファッショ支配かつづくかぎり、南朝鮮人民は反米自主化、反ファッショ民主化の旗を高くかかげ、真の民主主義と国の自主独立をかちとるまでひきつづき力強く闘うでしょう。

 次に、朝鮮半島における非核地帯・平和地帯の設置問題について話しましょう。

 朝鮮半島を非核地帯・平和地帯にするのは、朝鮮で戦争の危険を取り除き、強固な平和を維持し、アジアと世界の平和を保障する極めて重大な問題です。

 南朝鮮を占領しているアメリカは、軍事的要衝である南朝鮮を足場としてわが共和国北半部を侵略し、ひいては、アジアと世界を制覇しようという野望のもとに、小さな南朝鮮の地に1000余の各種の核兵器を配備しています。アメリカ帝国主義者はそれでも足りず、最近はランス・ミサイルなど各種の核運搬手段をひきつづき持ちこみ、数10個の核兵器特殊貯蔵庫を新設しています。すでに知られているように、南朝鮮の核兵器配備密度はNATO地域に比べ4倍も高いものです。帝国主義者のこうした大々的な兵力増強が戦争挑発の序幕であることは、歴史が一再ならず証明しています。

 アメリカ帝国主義者は、朝鮮で戦争が起きた場合、核兵器を使用すると公然と威嚇し、南朝鮮における核作戦計画を作成し、それを実践に移すための大規模の戦争演習を頻繁に繰り広げています。

 南朝鮮が極東最大の核前哨基地になり、朝鮮半島に厳しい情勢が持続している状況のもとで、朝鮮ではいつまた戦争の砲声が鳴りわたるかわかりません。朝鮮で戦争が起きれば、それはすぐさま国外に広がり、世界的核戦争へと拡大するでしょう。もしそうなれば、朝鮮人民ばかりでなく、全人類が核の惨禍に見舞われるようになります。

 朝鮮半島から核戦争の禍根を取り除くためには、南朝鮮から核兵器とアメリカ軍を撤収させ、朝鮮半島を非核地帯・平和地帯にしなければなりません。

 わが共和国政府は昨年6月に、朝鮮半島を非核地帯・平和地帯にするという新たな提案を示しました。共和国政府はこの提案で、我々は核兵器の実験と製造、貯蔵と搬入をせず、核基地を含むあらゆる外国軍事基地の設置と外国核兵器のわが国の領土、領空、領海の通過を許さないという確固たる立場を明らかにしました。そして、アメリカと南朝鮮当局がこれに対応する措置をとることを求め、アメリカと南朝鮮当局が我々の提案と関連して協商を求めるならば、その形式に関わりなくいつでも応じる用意があるという見解を表明しました。

 我々は最近改めて、朝鮮半島を非核地帯・平和地帯にし、その地位を確固と保障する実践的対策を講じることを求める提案を示しました。我々はこの提案で、アメリカは南朝鮮への新しい核兵器の搬入を中止し、すでに搬入したすべての核兵器を完全に撤去し、核兵器の使用と関連するいっさいの作戦計画の取り消しを公約する実践的措置を講じなければならず、日本政府はその領土内に、朝鮮半島を目標にした外国の核発進基地、中継基地、補給基地をおいてはならず、すべての核兵器保有国は、朝鮮半島とその周辺で核戦争を引き起こすおそれのあるいっさいの軍事行動をせず、朝鮮半島を核兵器で脅かしてはならないということを宣明しました。そして、南朝鮮当局は、その地域内の核兵器と核基地を含むすべての外国の軍事基地を撤去させ、以後核兵器を搬入、貯蔵したり開発せず、外国の核兵器が自己の地域を通過することを許さないようにすることを指摘しました。

 朝鮮半島を非核地帯・平和地帯にするという我々の提案は、朝鮮における緊張緩和と核戦争の防止、人類の平和偉業に寄与する現実性のある合理的な提案です。朝鮮半島が非核地帯・平和地帯になれば、世界で最も危険な核戦争の根源地の一つがなくなることになります。そのため、我々の提案は、平和を愛する世界各国の政府と人民の積極的な支持を受けています。

 世界の友人の支持と声援は、朝鮮人民にとって大きな励ましとなります。わが共和国政府と朝鮮人民は、朝鮮半島を非核地帯・平和地帯にし、アジアと世界の平和を守る闘いをひきつづき力強く展開していくでしょう。

 次に、第24回オリンピック競技大会の問題について話しましょう。

 国際オリンピック競技大会を平和と親善、団結の崇高な理念にふさわしく開催するためには、開催の場所を正しく定めることが極めて重要です。

 第24回オリンピック競技大会を南朝鮮のソウルで開催することにしたのは、オリンピック運動の理念に合いません。分断されている国のある一方の地域でオリンピック競技をおこなうのは、民族の和合と統一偉業にとって有益とはいえません。まして、南朝鮮は、外国の軍隊に占領され戦争演習騒ぎがたえまなくつづいている地域であり、人民の初歩的な民主的自由と権利さえことごとく抹殺され、軍事ファッショ独裁と民主勢力間の対決と闘争が激化し、政治情勢が極めて不安定なところです。恒常的に戦争の危険がただよい、政治的混乱が持続しているところでオリンピック競技をするというのは適切でありません。

 ここで特に看過できないのは、南朝鮮でオリンピック競技大会を開催する問題が、アメリカの「二つの朝鮮」政策に利用されていることです。アメリカと南朝鮮当局者は、ソウルでオリンピック競技大会を開催することによって、南朝鮮が一つの独立国であるかのようなイメージをつくりだして、朝鮮の分断を固定化しようと策しています。

 世界の多くの国がソウル・オリンピック競技大会に憂慮を示しており、またオリンピック競技大会の場所を他に移すべきだという主張が高まっているのは、決して理由のないことではないと思います。

 こうした実情からして、第24回オリンピック競技大会をスムーズに開催する合理的な道は、わが共和国政府の示した方案どおり、オリンピック競技大会をわが国の北と南が共同で主催することです。

 我々のオリンピック共同主催案は、分断されたわが国の現実と、朝鮮人民と世界の進歩的人民の願いを反映した正当な方案です。我々のオリンピック共同主催案が実現すれば、オリンピック運動を危機から救い、わが国の北南関係を改善するうえにも寄与することができるでしょう。

 わが共和国政府は、オリンピック共同主催案を実現するため粘り強く努力してきました。

 あなたがたもご存じのように、スイスのローザンヌでは、オリンピックの共同主催問題を解決するため、国際オリンピック委員会と朝鮮の北と南のオリンピック委員会代表の共同会議が4回にわたっておこなわれました。我々はこの会議で、何としてでも共同主催案を実現させて第24回オリンピック競技大会の順調な開催を保障するため、誠意ある努力を尽くしました。最近おこなわれた第4回共同会議で我々は、朝鮮の北と南の人口比例から、わが方の地域で8種目の競技をおこなうという立場を改めて宣明し、オリンピック競技の組織と運営で提起される一連の原則的問題を公正に解決するための具体的な提案を示しました。しかし、遺憾ながら南朝鮮側は、我々の正当な提案に背を向け、彼らの誤った立場を固執しました。そのため、第4回ローザンヌ共同会議は相応の結実をみないまま終わりました。

 今後、この問題がいかに解決されるかは、南朝鮮側の態度にかかっています。

 オリンピック競技大会まではこれから1年しか残っていません。こうした実情からして、我々は一日も早くオリンピック共同主催問題を円満に解決するため積極的に努力するでしょう。

 私は、世界各国の人民とオリンピック関係者が、我々のオリンピック共同主催案が実現されるようひきつづき声援してくれるよう期待します。

 次に、非同盟運動の前途について話しましょう。

 非同盟運動は、自主性の理念にもとづいて発展する運動であり、諸人民の自主的志向と要求を実現するための運動です。非同盟運動は、反帝・自主をめざす闘いのなかで、歴史の流れとともに力強く前進してきました。25の新興独立国で初の進軍をはじめた非同盟運動は、こんにち世界の数億万の人口と100余の新興国を結集する幅の広い国際的運動に拡大し、世界情勢の発展と国際問題の解決で大きな役割を果たしています。非同盟運動は、帝国主義者の侵略と戦争政策を阻止、破綻させ、あらゆる形の支配と従属、不平等に反対して積極的に闘うことによって、世界の平和と安全を守り、諸人民の自主権を擁護し、重要な国際問題を新興諸国人民の利益に即して解決するのに大きく寄与しています。

 非同盟運動の強化発展に不安と危惧を感じている帝国主義者は、この運動を弱体化させ圧殺しようと狡猾に策動しています。アメリカをはじめとする帝国主義者は、非同盟諸国と発展途上諸国に対する武力干渉と転覆・破壊活動をたえず強行する一方、植民地支配の産物である国境問題などさまざまの複雑な問題を利用して非同盟諸国間の反目と対決をあおっています。帝国主義者はまた、非同盟諸国と発展途上諸国の経済的難関と対外債務問題を利用して、これらの国に不当な要求をつきつけ、圧力を加えています。

 帝国主義者のこうした策動のため、非同盟運動の前進途上には一連の障害と難関がつくりだされています。しかし、帝国主義者のいかなる策動も、非同盟運動の勝利の前進を阻むことはできないでしょう。

 非同盟運動は、現代の志向と諸人民の要求を正確に反映しているため、今後さらに大きな生命力を発揮するようになるでしょう。我々は今後、すべての構成国の団結した努力によって、非同盟運動が時代と人類に対して担った歴史的使命と任務を立派に遂行するようになるものと確信します。

 次に、アメリカの「スター・ウォーズ計画」と日本の軍国主義の成長について話しましょう。

 アメリカの「スター・ウォーズ計画」は、核の優位によって社会主義諸国を制圧し、世界を制覇しようとする向こうみずな宇宙核戦争計画です。アメリカの支配層は、無謀な「スター・ウォーズ計画」を推進するため軍事費の支出を大々的に増やし、この計画の実現に一部の同盟国を引き入れています。

 アメリカが宇宙兵器を開発して宇宙に展開することになれば、他の国も自国の安全のために対応措置をとらざるをえなくなり、そうなれば軍備競争は宇宙にまで大々的に拡大されるようになるでしょう。

 アメリカの 「スター・ウォーズ計画」は、核戦争を防止し平和を守ろうとする世界各国人民の一致した志向に対する許すことのできない挑戦であり、人類に核の惨禍をこうむらせようとする犯罪的な戦争挑発計画です。アメリカの「スター・ウォーズ計画」が推進されるなら、核戦争の起こる危険性はさらに大きくなり、人類は恒常的な核戦争の脅威にさらされるようになるでしょう。アメリカの「スター・ウォーズ計画」が、いま世界的範囲で強い抗議と糾弾を受けているのは当然なことです。

 にもかかわらず、アメリカ帝国主義者は、「スター・ウォーズ計画」に対し、防衛的なものであるのどうのといってその危険性と侵略的性格をかくそうと策していますが、これは世界の各国人民をあざむくための術策にすぎません。

 世界の平和愛好人民は、アメリカ帝国主義の狡猾な術策にあざむかれてはならず、アメリカの「スター・ウォーズ計画」に反対する共同闘争を力強く繰り広げるべきです。アメリカ帝国主義者が大勢に逆らって無謀な「スター・ウォーズ計画」をひきつづきおし進めるならば、世界の各国人民からいっそう強力な糾弾を受けることになるでしょう。

 あなたがたも指摘したように、いま日本では軍国主義が危険な勢力として成長しています。

 日本の反動支配層は、アメリカの積極的なテコ入れと膨張しきった国内独占資本の後押しのもとに、日本人民に軍国主義思想を植えつける策動を強化する一方、軍事費の支出を大幅に増やし、兵力増強と武力装備の近代化を急ぎ、軍需産業を拡大しています。

 日本の反動支配層は、軍事力を強化するとともに、アメリカの対アジア戦略と戦争政策に追従しながら、他国に対する侵略の準備を急いでいます。彼らは、日本とアメリカ、南朝鮮間に三角軍事同盟をつくりあげようと策動しながら、アメリカ軍と日本自衛隊の共同軍事演習を頻繁に繰り広げています。これは言うまでもなく、朝鮮をはじめ、アジア諸国を侵略するためのものです。日がたつにつれて日本とアメリカの軍事的結託が強化され、軍事行動にはただならぬ動きが見られています。

 これらの事実は、日本軍国主義が危険な侵略勢力として成長しており、外国侵略の道を踏みだそうとしていることを示しています。これは、アジア諸国と世界の平和愛好人民にとって脅威とならざるをえません。

 もともと、軍国主義は、海外膨張のための戦争を生存手段としています。日本で軍国主義勢力が成長し、「大東亜共栄圏」のかつての夢を実現しようと策動していることに対し、アジア諸国と世界の平和愛好人民は警戒心を高め、彼らの侵略策動を阻止、破綻させる闘いを力強く繰り広げなければなりません。

 次に、社会主義諸国間の協力問題について話しましょう。

 社会主義諸国は、共通の目的と理想を実現するため互いに緊密に協力しあっています。

 社会主義諸国間の関係は、社会体制と階級的利害関係の共通性にもとづく同志的な関係であり、兄弟的な関係です。そのため、社会主義諸国は強固な友好のきずなで結ばれており、これら諸国間の友好・協力関係は社会主義社会の発展に伴ってたえず強化発展するものです。

 いま、社会主義諸国間の友好と協力関係は好ましく発展しています。社会主義諸国間の友好・協力関係の発展は、各国における社会主義建設を促進し、全般的社会主義勢力を強め、国際緊張を緩和し、世界の平和を守るのに大きく寄与しています。それはまた、国の自主独立と社会主義を志向する世界各国人民の闘いに鼓舞的な影響を及ぼしています。

 わが共和国政府は、兄弟の社会主義諸国との友好・協力関係の発展に重要な意義を付与し、社会主義諸国と政治、経済、文化の各分野にわたって協力と交流を積極的に発展させています。共和国政府は今後とも、社会主義諸国との伝統的な友好・協力関係をさらに拡大発展させるため努力するでしょう。

 わが共和国政府は、社会主義諸国のみならず、わが国の自主権を尊重し、我々に友好的な世界のすべての国と社会体制にかかわりなく自主、平等、互恵の原則で善隣・友好関係を結び、経済・文化の交流と協力を発展させていくでしょう。

 次に、朝鮮民主主義人民共和国とネパール王国の関係についてふれておきましょう。

 朝鮮とネパール両国の関係は、友好的な関係だといえます。朝鮮とネパール両国の人民は、反帝・自主をめざす共同闘争で支持、協力しあい、友好関係を発展させるため努力しています。

 近年、両国の関係はいっそう好ましく発展しています。今年度の上半期をみても、ネパール王国は高位級の代表団をわが国に派遣して、両国間の相互理解と友好関係を深めるのに寄与しました。

 朝鮮とネパールは、ともにアジアに位置しでいる国であり、非同盟運動の構成国です。両国の人民は、自主性にもとづく友好・協力関係の発展に共通の利害関係をもっています。それゆえ、朝鮮とネパール両国の友好・協力関係は今後さらに密接になるものと思います。

 私は、あなたがたをはじめ、ネパール言論界の人士が、両国間の友好・協力関係の拡大発展をはかるため積極的に努力してくれるよう望みます。

 私はこの機会をかりて、ネパール王国の人民に友好的なあいさつを送るとともに、正義と平和を守り、繁栄する新社会を建設するためのネパール人民の闘いにおいて新たな成果がおさめられるよう祈ります。
出典:『金日成著作集』40巻 

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