金 日 成

ユーゴスラビア新聞『オスロボジェーニェ』
責任主筆の質問に対する回答
−1986年5月20日− 
 
  尊敬する主席同志。
 歴史の尺度で見れば、四半世紀というのは非常に短い期間です。
 非同盟運動が存在しつづけてきたすぐる25年間は、この運動の幾多の成果的な活動でみたされています。
 あなたは、この25年間、非同盟運動がおさめた成果はなんであり、この運動で最も重要なのはなんであるとお考えでしょうか。また、ハラレで開かれる第8回非同盟諸国首脳会議にどのような期待をかけておられるのでしょうか。

  ユーゴスラビアをはじめ、世界各国の元首が、平和と進歩の崇高な理念をいだいてベオグラードに集まり、非同盟運動の旗をかかげてから25年がすぎました。

 あなたが指摘したように、長い歴史発展の過程で25年という期間は一瞬にすぎません。しかし、この期間に非同盟運動は力強い自主時代の潮流とともに急速な発展を遂げ、遠い道のりを前進してきました。非同盟運動は、世界的範囲にわたる極めて幅広い運動に拡大され、組織化され、影響力をもつ政治勢力に成長しました。

 非同盟運動は、その発展の全過程にわたって反帝・自主をめざす闘争を力強く展開しました。この闘争を通じて非同盟運動は、帝国主義者の侵略と戦争政策の阻止、破綻と世界平和の擁護に積極的に寄与し、新興諸国人民の自主権を擁護し、被抑圧人民の民族解放闘争を力強く鼓舞しました。こんにち、非同盟運動は、国際政治舞台で重要な役割を果たしており、世界の進歩的人民の自主的志向と要求に即応して人類の歴史を力強く前進させています。

 25の新興独立国で初の進軍を開始した非同盟運動が、100余の新興諸国を網羅する幅広い世界的運動に拡大し、世界の革命的変革の過程と国際情勢の発展に及ぼす影響力が比べようもなく大きくなった厳然たる現実は、非同盟運動の大きな成長と発展を明白に実証しています。

 こんにち、非同盟運動を発展させる、うえで最も重要なのは、非同盟諸国が自主性を堅持し、団結を強化することです。

 非同盟運動は、自主の理念にもとづいて発展する運動であり、人民の自主的な志向と要求を実現するための運動であります。支配と従属に反対し、自主的に進むのは非同盟運動の根本原則です。非同盟諸国は、決して特定のブロックに追随したり、引き入れられてはならず、互いに自主権を尊重し、他国の内政に干渉してはなりません。このようにしてのみ、非同盟運動はブロックの外にある独自の政治勢力として、自己の固有な特性を保持し、全世界自主化の偉業を成功裏に実現することができます。

 団結は力の源であり、すべての勝利の根本的保障であります。非同盟運動の団結を強化することは、こんにち帝国主義者が非同盟諸国に対する分裂・離間策動を強めている実情と関連して、いっそう重要な問題として提起されます。非同盟諸国は、団結を第一とし、これにすべてを服従させ、社会体制と政見、信教の相違を超越してかたく団結しなければなりません。非同盟諸国は、常に積極的に支持声援し合い、国際舞台で共同歩調をとるべきです。

 今年、ジンバブエの首都ハラレでは第8回非同盟諸国首脳会議が開催されます。非同盟諸国人民をはじめ、世界の進歩的人民は、反帝・自主の旗を高くかかげて力強く前進しているジンバブエの首都ハラレで第8回非同盟諸国首脳会議が開かれることを熱烈に歓迎しており、この会議に大きな期待と深い関心を示しています。

 ハラレ首脳会議は、非同盟諸国人民をはじめ、世界の進歩的人民に非同盟運動をさらに拡大発展させ、特に反戦・反核平和運動を強力に展開すべきさし迫った課題が提起されているときに開かれます。

 いま、帝国主義者の戦争政策と無分別な軍備競争によって、世界のいたるところに侵略的軍事基地が存在し、多くの核兵器が展開されています。南朝鮮だけでもアメリカの各種核兵器が1000余個も配備されています。事実上、南朝鮮はアメリカの膨大な核兵器貯蔵庫となっています。このように、世界の各地域に膨大な核兵器が展開されている状況下にあって、どこで戦争が起きるとしても、それは容易に世界的な核戦争に拡大するでしょう。新たな世界大戦、核戦争を防止し、核の惨禍から人類を救うには、南朝鮮を含む世界の各地域にある侵略的軍事基地を撤廃し、核兵器を撤収させ、ひいては、すべての核兵器を完全に廃絶しなければなりません。非同盟運動は当然、この重要かつさし迫った問題に第一義的な注目を払うべきです。

 我々は、ハラレ首脳会議が、すべての非同盟国の共同の努力によって成功裏に進められ、非同盟運動の根本原則を守り、反戦・反核平和運動を強力に展開し、南南協力を発展させ、新国際経済秩序を確立する問題など、現代と非同盟運動に提起されている焦眉の問題の解決に大いに寄与するよう期待するものです。我々はまた、今回の首脳会議が南アフリカ人種主義者の人種隔離政策と侵略策動に反対し、アフリカの完全な解放を達成し、国の独立と自主権を守るための前線諸国と全アフリカ人民の闘争を力強く鼓舞する重要な契機となるよう望むものです。

 わが共和国政府は、ハラレで開かれる第8回非同盟諸国首脳会議に大きな意義を付与しており、この会議が成功裏に進められるよう、あらゆる努力を尽くすでしょう。


  勢力圏の維持拡張をもくろむ列強の侵略策動が日を追って拡大しているのは、現世界の特徴となっています。列強の争奪策動によって、非同盟諸国と発展途上諸国は最も大きな圧力をうけています。
 あなたは、勢力圏の維持拡張をもくろむ列強の侵略策動を最も成功裏に阻止する方途はなんであるとお考えでしょうか。

  こんにち国際舞台では、勢力圏の維持拡張をめざす帝国主義列強の侵略と争奪策動がたえまなくつづき、それは日を追ってさらに拡大されています。

 列強の勢力圏争奪策動の主な対象は、非同盟諸国と発展途上諸国であり、その主な被害者もほかならぬこれらの国です。

 いま帝国主義者は、自己の勢力圏を維持拡張するため、非同盟諸国と発展途上諸国に対する武力干渉と転覆・破壊活動をたえず強行しており、これらの国を政治的、経済的、軍事的に掌握しようと狡猾に策動しています。この4月中旬、世界の平和愛好人民の強力な抗議と憤りを呼び起こしたリビアに対するアメリカの野獣じみた爆撃蛮行は、自主的に進む非同盟諸国と発展途上諸国に対する帝国主義者の侵略と干渉策動がいかに破廉恥で無謀な段階に達しているかを明白に示しています。

 勢力圏の維持拡張をもくろむ帝国主義者の策動によって、こんにち非同盟諸国と発展途上諸国の民族独立と自主権が無惨に踏みにじられる重大な事態があいついで起こっており、世界の各地域で平和と安全が破壊され、国際緊張が激化しています。

 勢力圏の維持拡張をねらう帝国主義者の侵略策動を阻止、破綻させる最も効果的な方途は、非同盟諸国とすべての反帝勢力が広範な統一戦線を結成し、歩調を合わせて反帝反米闘争を力強く繰り広げることであると思います。

 反帝反米闘争をぬきにしては、非同盟諸国と新興諸国は民族の独立と自主権を守ることができません。非同盟諸国と新興諸国は、侵略者の正体をかくそうとする帝国主義者の変装術にまどわされてはならず、帝国主義と無原則に妥協してはなりません。非同盟諸国と新興諸国は、断固たる反帝的立場に立って帝国主義者の侵略と干渉政策を徹底的に暴露、糾弾し、粉砕するとともに、帝国主義者の侵略と干渉に反対して闘う諸国人民に、軍事的支援を含む可能なあらゆる形で積極的な支援を与えなければなりません。また、他国の領土にある帝国主義者の侵略的な軍事基地の撤廃と外国軍隊の撤退をめざして積極的に闘わなければなりません。


  一部の予測によれは、今年、世界は兵器生産費と全般的軍費として1兆ドルを消費するだろうといいます。もし、この莫大な物質的財貨が社会発展に利用されるならば、地球上から貧困と飢えはなくなるでしょう。
 あなたは、非同盟諸国が、この分野で何をなすことができるとお考えでしょうか。

  世界制覇の野望を依然として追求している帝国主義者は、むきだしの「力の政策」に固執し、軍備競争に熱をあげ、毎年軍備の拡張をエスカレートさせています。特に、最近、アメリカは無謀なスター・ウォーズ計画までもちだして軍備競争をさらに激化させています。

 こんにち、アメリカをはじめ、一部の発達した資本主義国では、人民の血と汗によってもたらされた莫大な財貨が破壊的な戦争手段の増強に湯水のように使われている反面、多くの発展途上国では人民が甚だしい貧困と飢えにさいなまれています。これは、現代の深刻な矛盾であり、人類の直面している重大な問題であります。

 あなたが正しく指摘したように、もし、軍事費として支出される莫大な財貨が社会発展にふりむけられるならば、地球上から貧困と飢えを一掃することができるでしょう。

 軍備競争は、これ以上つづけられてはならず、勤労人民大衆によって創造された社会的財貨は当然、人民の福祉と社会共同の利益のためにふりむけられなければなりません。非同盟諸国は、団結し、帝国主義者の戦争政策に反対し、軍備競争と軍備拡張策動を阻止、破綻させるための共同闘争を力強く繰り広げなければなりません。

 軍事ブロックは、軍備競争を生む恒常的な要因です。軍事ブロックが対峙している状況のもとでは、軍備競争がつづかざるをえません。非同盟諸国は、いっさいの軍事ブロックを解体するため積極的に闘わなければなりません。

 軍事ブロックが解体され、帝国主義者の侵略と軍備増強策動に終止符がうたれるとき、人類は軍事費の重い負担を免れ、人民の創造的労働によってもたらされた財貨は、人民の福祉増進と社会進歩のためにより多くふりむけられるようになるでしょう。


  現世界は、一部の地域において、果ては、武力衝突によってのみ「解決」されている数多くの未解決問題を前代から引き継がされました。
 あなたは、このような紛争問題の除去または平和的解決のため、非同盟諸国が何をなすべきであるとお考えでしょうか。

  こんにち国際舞台で生じている新興諸国間の紛争問題は、植民地主義制度の産物です。帝国主義者の植民地支配の後遺症によって、新興諸国間にはさまざまな紛争が頻発しており、ある地域ではそれが部分的な武力衝突をまねき、甚だしくは戦争にまで拡大しています。そのため、非同盟運動は団結した勢力として反帝・自主をめざす共同闘争を展開するのに支障を受け、人民は災難に見舞われています。

 新興諸国間の紛争問題は、武力行使の方法で解決しようとしてはなりません。新興諸国間の紛争問題は、それがいかに深刻なものであっても、共通の目的をめざしてともに闘う国同士の問題です。したがって、新興諸国間の紛争問題は、あくまでも相互理解と団結の原則にもとづいて平和的方法で解決すべきです。

 非同盟諸国は、新興諸国間の紛争問題を激化させたり軍事的衝突を誘発する行動を絶対にしてはなりません。また、新興諸国間の紛争問題においては、一方的にある一方を支持したり、反対したりすべきではありません。もし、個々の国のあいだの紛争問題に外部勢力が介入してある一方を支持したり反対したりするならば、紛争をさらに激化させ、ひいては非同盟運動を分裂させる重大な結果をまねくでしょう。

 非同盟諸国は、常に公正な立場で、新興諸国間の紛争問題を双方の利益と非同盟運動の団結、世界の平和偉業の要請に即応して当事者同士が平和的に解決するよう援助すべきです。


  非同盟諸国は、公正な新国際経済秩序の確立のために大きな努力を傾けています。
 あなたは、このような目的の実現をめざす非同盟諸国の最も効果的な活動はどのようなものであるとお考えでしょうか。

  非同盟諸国は久しい前から、旧国際経済秩序をうちこわし、公正な新国際経済秩序を確立するために闘ってきました。非同盟諸国の積極的な闘いによって、すでに国連特別総会をはじめ、種々の国際会議で新国際経済秩序の確立に関する宣言と行動綱領が採択され、必要な措置が講じられ各種の国際協力機構も組織されました。これは、新国際経済秩序の確立をめざす非同盟諸国人民の闘争において鼓舞的な成果です。

 しかし、旧国際経済秩序をそのまま維持しようとするアメリカをはじめ、先進資本主義工業国の誤った立場と態度によって、新国際経済秩序の確立をめざす非同盟諸国の闘いは相応の結実をみていません。

 さきごろ開催された西側7か国の東京サミットは、帝国主義者がその独占的地位を維持し、侵略的野望を遂げるため、発展途上諸国をはじめ、他の国々の経済的利益を侵し、自主権を踏みにじる強盗さながらの行為をためらうことなく強行していることをいま一度明白に示しました。

 新国際経済秩序の確立をめざす闘争は、発展途上諸国人民の共通の利益を実現するための国際的偉業であり、この闘争は非同盟諸国の団結した力によってのみ成果を達成することができます。すべての非同盟国は、かたく団結して不公平な旧国際経済秩序をうちこわし、自主・平等・互恵の原則にもとづく新国際経済秩序を確立するために力強く闘わなければなりません。

 我々は現時点において、旧国際経済秩序をうちこわし新国際経済秩序を確立する最も効果的な方途は、南南協力を強化することであるとみなしています。

 南南協力は、発展途上諸国間の新たな国際経済関係です。

 発展途上諸国は、膨大な人的資源と無尽蔵の天然資源をもっており、互いに交流できる立派な経験と技術を少なからずもっています。非同盟諸国をはじめ発展途上諸国は、こうした可能性を適切に利用して経済・技術協力と交流を広範におこなうならば、自立的民族経済を成功裏に建設することができるばかりでなく、先進資本主義工業国のいかなる経済的圧力にも負けない集団的な力を培うことができます。非同盟諸国が、先進資本主義工業国への対抗力と交渉力を培養し、それに依拠して闘うならば、帝国主義者はこれ以上、発展途上諸国に不公平な旧経済関係を強要することができなくなるでしょう。先進資本主義工業国は、発展途上諸国の原料と燃料に依拠しないことには生きていくことができません。帝国主義者は、苦境に陥って他の活路がなくなれば、いやおうなしに発展途上諸国の要求に応じざるをえなくなるでしょう。

 非同盟諸国は、共同で協議して南南協力を強化する効果的な対策を立て、それを実践に移すため積極的に努力しなければなりません。南南協力は、現実的に可能で切実な問題となっている農業分野からはじめて一つずつ問題を解決し、徐々に拡大していく方法で実現するのか望ましいでしょう。

 わが共和国政府は、非同盟諸国と力を合わせて南南協力を拡大発展させ、新国際経済秩序を確立するためにあらゆる努力を傾けるでしょう。


  自力更生の原則は、非同盟諸国の経済政策において支配的なものとなっています。
 朝鮮民主主義人民共和国は、あなたの示したチュチェ思想を具現し、一貫して自力更生の原則を堅持することによって、革命と建設において、また国の経済発展において偉大な成果を達成しました。
 あなたは、貴国で達成された最も重要な成果はなんであるとお考えでしょうか。貴国の基本的な経済発展展望はどのようなものであり、その基礎はなんでしょうか。

  自力更生は一言でいって、自己の運命を自力で切り開いていく自主的な人間の革命精神であり、闘争原則であります。自力更生は、自己の偉業の正当さに対する確信と革命的楽観主義にもとづいて発揚される革命的人民の気質であります。

 自力更生するということは、自分の力を信じ、自分の力に依拠して革命と建設で提起されるすべての問題を解決していくことを意味します。これは、他人への依頼心、難関に屈して闘争を放棄する気弱な態度、有利な条件が整うのを手をこまぬいて待つ消極的な態度とは根本的に対立するものです。人民が自力更生すれば、いかに困難を仕事でもなし遂げることができますが、自力更生の精神を失い他人に依存するようになれば、何ごともなしえません。

 わが党と共和国政府と朝鮮人民は、これまで革命と建設のすべての分野でチュチェ思想を具現し、終始一貫、自力更生の革命的原則を堅持することによって社会主義建設で大きな成果をおさめることができました。

 かつては極めて立ち後れていたわが国が、こんにちのような自主、自立、自衛の社会主義国家に発展したのは、朝鮮人民が自力更生の革命精神を発揮し、苦難にみちた英雄的闘争を繰り広げて得た貴い成果です。

 朝鮮人民が社会主義経済建設でおさめた最も大きな成果は、世紀にわたる立ち後れと貧困の根源を一掃し、民族の隆盛発展と子孫万代の幸福のための社会主義の自立的民族経済を建設したことです。

 自立的民族経済を建設するための朝鮮人民の闘争は、極めて困難な状況のもとで進められました。朝鮮人民は、旧社会から立ち後れた奇形的な植民地経済を引き継ぎ、それさえも3年間の戦争によってことごとく破壊されました。戦後我々は、何もない廃墟のなかから新たに経済建設をはじめなければなりませんでした。当時、我々には資材や資金も不足し、民族技術幹部もわずかしかいませんでした。しかし、朝鮮人民は自力更生の革命精神を強く発揮して、たちはだかる障害と難関を勇敢に乗り越え、自分の力と技術で機械工業を中核とする重工業を創設し、数多くの軽工業部門工場を建設し、都市と農村を建設しました。我々は、数次にわたる展望計画を成功裏に遂行して、人民経済の部門別内部構造をさらに完備し、その技術装備水準をいちだんと高めました。

 こんにち、わが国の自立的民族経済は、非常に大きな潜在力をもっています。以前は簡単な農機具一つ満足につくれなかったわが国が、現在では、精密機械と大型採掘設備、重量トラック、大型トラクター 、電気機関車、大型船舶、1万トンプレス、大型酸素分離機などの近代的な機械設備を思いどおりつくりだしており、近代的な工場、企業所の設備もプラントで、生産、保障しています。わが国では強固な自立的民族経済の土台に依拠して、8キロにわたる外海をせきとめる南浦閘門(現在の西海間門)建設をはじめ、大自然改造事業を力強くおし進めており、人民に食・衣・住の物質的条件も十分に保障しています。

 朝鮮人民は事実上ゼロの状態からはじまって、自分の力と技術でこのような威力ある自立的民族経済を建設したことに対し、大きな誇りと自負をいだいています。

 わが国の経済発展の展望についていうならば、我々は非常に高い目標をかかげており、その実現を楽観しています。

 いま我々は、これまでの成果にもとづいて新たな展望計画を準備しています。我々は新たな展望計画期間に、第6回党大会が示した社会主義経済建設の10大展望目標を実現する考えです。社会主義経済建設の10大展望目標は、近い将来に年間1千億KWhの電力、1億2000万トンの石炭、1500万トンの鋼鉄、150万トンの非鉄金属、2000万トンのセメント、700万トンの化学肥料、15億メートルの織物、500万トンの水産物、1500万トンの穀物を生産し、10年内に30万ヘクタールの海面干拓をおこなうことです。

 社会主義経済建設の10大展望目標が達成されれば、わが国は経済発展において世界の先進国の列に堂々と加わることができ、社会主義の完全な勝利をめざす朝鮮人民の闘いには決定的な前進がもたらされるでしょう。

 社会主義経済建設の10大展望目標は、我々がすでに築きあげた自立的民族経済の大きな潜在力とわが国の豊かな天然資源、無尽蔵な科学技術上の源泉、人民の自力更生の革命精神と底知れない創造力にもとづいて立てられた科学的で現実的な闘争目標です。それゆえ、我々は、社会主義経済建設の10大展望目標が新たな展望計画期間に成功裏に実現するものと確信しています。


  朝鮮人民の民族分裂の悲劇はすでに40年間もつづいています。
 我々は、あなたが朝鮮労働党第6回大会で示した祖国統一の原則について知っています。貴国は、統一のために多大の努力を傾けています。朝鮮問題は、すでに久しい前から国連総会の議題として上程されてきました。
 あなたは、現段階において朝鮮半島の分断に終止符をうつための最も重要な問題はなんであるとお考えでしょうか。

  わが国の統一を実現するために、現在最も重要な問題として提起されるのは、アメリカの「二つの朝鮮」策動を粉砕し、朝鮮人民の志向と念願にそって国の統一を自主的に、平和的に実現できる前提条件を整えることです。

 アメリカは、朝鮮民族を分裂させた張本人であり、わが国の統一を妨げている元凶です。アメリカは40年以上も南朝鮮を武力で占領し、過酷な植民地支配を実施しており、「二つの朝鮮」をつくりあげて、わが国の分断を永久化しようとあらゆる策動をおこなっています。アメリカは、「二つの朝鮮」をつくりあげることを現在の対朝鮮政策の基本戦略としています。そのためアメリカは、南朝鮮かいらい一味の反共対決と軍事ファッショ政策を積極的に庇護しており、わが国の情勢をひきつづき緊張させています。アメリカは今年に入ってからも、20余万の兵力とおびただしい近代的戦争手段を動員し、南朝鮮で史上最大規模のチーム・スピリット86合同軍事演習を繰り広げ、わが国の情勢を極度に緊張させました。

 わが国の統一を自主的に、平和的に実現するためには、南朝鮮からアメリカ軍が撤退しなければなりません。南朝鮮にアメリカ軍が駐留しているかぎり、北南間の障壁を切り崩すことも、朝鮮半島の緊張を緩和することもできません。

 1975年の第30回国連総会では、南朝鮮からアメリカ軍を撤退させ、停戦協定を平和協定にかえることを朝鮮軍事停戦協定締結の実際の当事者に訴える決議が採択されました。しかしアメリカは、これまで国連総会のこの決議を履行しないばかりか、かえってありもしない「南侵の脅威」について喧伝し、南朝鮮を永久に植民地・軍事基地として掌握しようと策動しています。

 わが共和国政府は、朝鮮問題解決の基本的障害を取り除き、朝鮮の自主的平和統一の実現に有利な前提をつくりだそうという真剣な念願から1984年、我々とアメリカ、南朝鮮の参加する三者会談開催の画期的な提案を示しました。

 三者会談を成功させて、わが共和国とアメリカとのあいだに平和協定が締結され、北と南のあいだに不可侵宣言が採択されれば、南朝鮮からアメリガ軍が撤退し、朝鮮半島の緊張が緩和され、北南間の関係も改善されるでしょう。そうなれば、朝鮮人民は朝鮮労働党第6回大会が示した方案どおり、全民族が力を合わせ、北と南が連合し、高麗民主連邦共和国を創立する方法で国の統一を平和的に実現することができるでしょう。

 アメリカは、いまなお時代錯誤の妄想にとらわれ、我々の三者会談提案に背を向けており、南朝鮮当局者もアメリカの差し金のもとに、祖国の統一を妨げる民族反逆の道につき進んでいます。しかし、歴史は人民の志向と時代の流れにそって前進するであろうし、これに逆行する者は失敗を免れないでしょう。

 祖国を自主的に、平和的に統一するのは、全朝鮮人民の一致した志向であり、これは世界の平和愛好人民の要求でもあります。こんにち共和国北半部の人民はもちろん、南朝鮮人民と海外同胞を含む全朝鮮人民が祖国の自主的平和統一を促進するため力強く闘っており、世界の進歩的な人民がこの闘いに積極的な支持声援を寄せています。したがって、我々は、朝鮮人民の祖国統一偉業が必ず実現するものと確信しています。


  オリンピック運動の理念は、諸人民間の平和と親善をはかることです。オリンピック競技は久しい前からこの理念を具現してきました。
 あなたは、朝鮮半島で開かれる1988年オリンピック競技大会にどのような期待をかけておられますか。

  1988年に南朝鮮のソウルで開催されることになった第24回オリンピック競技大会についていうならば、それはたんなるスポーツ問題ではなく、朝鮮の統一問題と関連する深刻な政治的問題です。

 第24回オリンピック競技大会を南朝鮮のソウルで開催することにしたのは、アメリカの「二つの朝鮮」政策の産物です。アメリカと南朝鮮当局者はソウル・オリンピック競技大会を通じて、アメリカの植民地である南朝鮮を「独立国家」に粉飾し、朝鮮の分断を固定化しようとする不純な政治的目的を追求しています。それゆえ、南朝鮮でおこなわれるオリンピック競技大会に参加するのは、アメリカの南朝鮮占領に賛成することになり、「二つの朝鮮」をつくりあげて朝鮮の永久分断を企むアメリカと南朝鮮当局者の策動をあおることになります。

 実際において南朝鮮は、オリンピック競技大会の開催地としては適していません。世界の平和と諸人民間の親善をはかることを崇高な理念とするオリンピック競技大会は当然、政治的に安定し、民主的自由が保障され、平和な環境がつくられているところで開催されるべきです。ところが、南朝鮮は世界でいちばん情勢が緊張しており、新たな戦争の危険が恒常的にただよっているところです。

 南朝鮮では、4万余のアメリカ軍と100万に近い南朝鮮かいらい軍が、常に戦争態勢を整えており、きなくさい戦争演習騒ぎがつづいています。南朝鮮は、初歩的な民主的自由と権利さえ無惨に踏みにじられている世界最悪の人権蹂躙地帯であり、青年学生と人民の反米・反「政府」闘争が毎日のように展開され、政治的不安と混乱かつづいている地帯です。こんにち、世界の進歩的人民と各国の政府とスポーツ界の人士がソウル・オリンピック競技大会に深い憂慮を示し、反対、排撃しているのは当然のことです。

 第24回オリンピック競技大会の南朝鮮ソウル開催をめぐって、オリンピック運動は分裂の危機に直面しています。

 我々はオリンピック運動を危機から救い、今回のオリンピック競技大会を順調に開催すると同時に、朝鮮の平和統一の実現に有利な環境をつくるため、第24回オリンピック競技大会を朝鮮の北と南が共同で主催することを主張しています。

 我々のオリンピック共同主催案は、オリンピック運動の理念と世界の進歩的人民とスポーツマンの念願にかなった極めて正当かつ合理的な提案です。この共同主催案が実現すれば、いままで今回のオリンピック競技大会への参加を留保している国々を含め、世界のすべての国がこれに参加できるようになり、オリンピック運動は分裂の危機から救われるでしょう。また、オリンピック競技大会を朝鮮の北と南が共同で主催するようになれば、北と南のあいだの誤解と不信を解消し、民族の和解と団結をもたらし、北南対話を推進するうえで好ましい影響を及ぼすようになるでしょう。

 我々のオリンピック共同主催案は、その正当さと合理性からして、社会主義諸国をはじめ、世界各国の政府と人民、スポーツマンの積極的な支持と歓迎を受けています。

 我々は第24回オリンピック競技大会を朝鮮の北と南が共同で主催する場合、平壌でおこなわれる各種目の競技に立派なスポーツ施設を提供し、選手と役員、記者、観光客をはじめ、平壌を訪れるすべての客をあたたかく迎え、彼らにあらゆる便宜を提供するでしょう。

 我々は、平和を愛する世界各国の政府と人民が我々の公明正大なオリンピック共同主催案に深い関心を払い、それを実現させるため積極的に努力してくれるよう期待するものです。


  あなたとチトー大統領によって基礎が築かれた、朝鮮民主主義人民共和国とユーゴスラビア社会主義連邦共和国との関係は、真実さと友好、そして、ほとんどの国際問題に対する評価での見解の一致をもって特徴づけられています。
 あなたは、両国の友好・協力関係の発展展望についてどう評価しておられるのでしょうか。

  私とヨシプ・ブロズ・チトー同志のあいだに結ばれた格別の友情とあつい親交にもとづく朝鮮とユーゴスラビアの友好・協力関係は、こんにち両国人民の共同の努力により、すべての分野にわたって全面的に開花発展しています。

 我々両国は、政治的に互いに支持し合い、経済的、文化的に緊密に協力しており、重要な国際問題に対する共通の見解をもって国際舞台で共同歩調をとっています。両国の関係は、真実かつ強固な同志的関係です。この3月のユーゴスラビア社会主義連邦共和国連邦幹部会議長のわが国訪問は、朝鮮とユーゴスラビア間に存在する立派な友好・協力関係をさらに強化発展させるうえで重要な契機となりました。

 私は、両国の友好・協力関係が日ましに好ましく発展していることを非常に満足に思っています。

 朝鮮とユーゴスラビアの友好・協力関係は、今後いっそう好ましく発展するでしょう。

 我々両国は、同じ社会主義国であり、非同盟国であります。両国人民は、社会主義・共産主義偉業の勝利と、非同盟運動の崇高な理念を実現するためにともに闘う階級的兄弟であり、戦友であります。朝鮮とユーゴスラビアの友好・協力関係をさらに発展させるのは、両国人民の共通の志向であり、これは、両国での社会主義建設の促進と非同盟運動の拡大発展のための現実的な要求となっています。

 朝鮮とユーゴスラビアはともに国際関係分野で自主性を堅持しており、完全な平等と相互尊重の原則を厳守しています。これは、両国の友好・協力関係をたえず発展させる重要な条件となります。朝鮮とユーゴスラビアの友好・協力関係の展望は極めて楽観的です。

 朝鮮とユーゴスラビアの友好・協力関係は、今後、両国人民の共同の努力によってたえまなく拡大発展するでしょう。

 私はこの機会をかりて、兄弟のユーゴスラビア人民が、社会主義建設でより大きな成果をおさめ、ユーゴスラビア共産主義者同盟第13回大会を輝かしい勤労の成果で迎えるよう心から願うものです。
出典:『金日成著作集』39巻 

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