金 日 成

朝鮮の自主的平和統一のための
国際連絡委員会代表団との談話
−1985年10月11日− 


 わたしは今日、あなたがたに会えたことをたいへんうれしく思い、あなたがたのわが国訪問を熱烈に歓迎します。

 あなたがたは、朝鮮の統一を支持してたたかっている積極的な社会活動家です。わたしは、あなたがたが世界各国で多くの人民に朝鮮人民の祖国統一偉業を支持するよう働きかけていることにたいし、たいへんありがたく思っています。わたしはあなたがたの功労を高く評価します。

 朝鮮は必ず統一されなければなりません。朝鮮の統一問題を平和的に解決することは、世界平和のためにもきわめて重要な意義をもちます。

 いま、世界で朝鮮のように情勢が緊張している国はありません。もちろん、中米や南部アフリカ、中近東地域の情勢も緊張しています。しかし、わが国の情勢はこれらの地域よりもさらに緊張しています。わが国の情勢で特に危険なのは、南朝鮮がアメリカの完全な軍事基地、核前哨基地になっていることです。

 わが国で戦争が起きれば、それはただちに世界的な核戦争に拡大するでしょう。新たな世界大戦が起きれば、わが国は再び外部勢力の餌食になりかねません。いま、わが国はきわめて危険な環境におかれています。

 我々は朝鮮の平和を維持しなければならず、そのためにはわが国を平和的に統一しなければなりません。朝鮮人は、北の人であれ南の人であれ、誰もがみな祖国の平和的統一を望んでいます。わが国の平和的統一に反対するのは、アメリカとその追随者だけです。

 アメリカは、わが国を永久に「二つの朝鮮」に分裂させようと策動しています。かれらがわが国を「二つの朝鮮」に分裂させようとするのは、南朝鮮を恒久的な軍事基地にするためです。

 アメリカが南朝鮮を軍事基地として掌握し手放そうとしないのは、わが国だけでなく社会主義諸国に対抗するためです。

 共和国北半部の人民はもちろん、南朝鮮の人民も、南朝鮮がアメリカの軍事基地でありつづけることを望んでいません。

 我々はわが国につくりだされた緊張を緩和するため、アメリカと南朝鮮側にいろいろな提案をおこないました。我々は昨年、朝鮮民主主義人民共和国とアメリカ、南朝鮮の参加する3者会談の開催を提案しました。しかし、アメリカは我々の3者会談提案に応じていません。いままでアメリカからはなんの音沙汰もありません。

 アメリカ大統領レーガンは、朝鮮の北と南が先に会談することを要求しています。わが共和国は、アメリカのこのような要求も考慮してこの4月、南朝鮮「国会」に北南国会会談の開催を内容とする手紙を送りました。我々は手紙で、北と南が国会代表会談を開催するか、さもなければ国会連席会議を開き、そこで北と南が不可侵にかんする共同宣言を発表する問題を討議することを南朝鮮側に提起しました。我々の北南国会会談提案は、北と南が不可侵にかんする共同宣言を発表することによって、朝鮮における緊張を緩和し、朝鮮の自主的平和統一のための有利な前提条件をととのえようとするものです。

 南朝鮮側は、我々の北南国会会談提案には返答を寄こさずにいて、長い時日がすぎてからはじめて、北南国会会談は開催するが、そこで不可侵にかんする共同宣言の発表問題を討議するのではなく、「統一憲法」の作成問題を討議しようといってきました。わが国の情勢が現在のように緊張している状況下にあって、北南国会会談で「統一憲法」の作成問題を討議できるはずはありません。しかし我々は、南朝鮮側の意見を尊重して、北南国会会談で、北と南が不可侵にかんする共同宣言の発表問題も討議し、「統一憲法」の作成問題も討議しようといいました。南朝鮮側はそれも拒みました。そこで我々は、北南国会会談の議題を単一化して、北南間の緊張を緩和し、祖国の統一を促進する問題を討議しようと提案しました。南朝鮮側は、我々の提案が新しいものなので、検討してみるといいました。

 南朝鮮側は、北南国会会談の議題を単一化するという我々の提案にたいして、それが具体的なものでなく、あまりにも一般的なものであると言って言いがかりをつけています。南朝鮮側は、我々が国会会談の議題を具体化して提案したときは、ああだこうだといって受け入れようとせず、我々が具体的な問題をまとめて一つの議題にして提案すると、今度はまた、それが漠然としすぎるといって受け入れていません。

 アメリカと南朝鮮当局者が、我々の3者会談提案と北南国会会談提案を受け入れないのは、3者会談と北南国会会談を通じて、我々とアメリカとのあいだに停戦協定にかわる平和協定が締結され、北南間に不可侵にかんする共同宣言が発表されれば、アメリカ軍が南朝鮮に駐留する口実がなくなってしまうからです。

 いまアメリカは、わが国に「南侵の脅威」があるとし、南朝鮮を「保護」するためアメリカ軍が南朝鮮に引き続き駐留していなければならないと喧伝しています。もし、我々とアメリカが停戦協定を平和協定にかえ、朝鮮の北と南が不可侵にかんする共同宣言を発表するようになれば、それは我々が「南侵」しないということを法的に保障することになるでしょう。

 我々はこれまで、「南侵」の意思がないことを幾度もせん明し、南朝鮮を共産化したり、南朝鮮に社会主義を強要しようとはしないということも一再ならず強調してきました。

 我々は、北と南に現存する思想と体制をそのまま容認する基礎のうえで、北と南が同等に参加する民族統一政府を組織して祖国を統一することを主張しています。しかし、アメリカと南朝鮮かいらいは、我々が戦争準備を急ぐために平和宣伝をしているだの、我々の真意がわからないだのといって、我々の正当な提案に背を向けています。一口に言って、南朝鮮当局者はわが国の緊張が緩和され、統一が実現するのを望んでいません。かれらは、わが国を「二つの朝鮮」につくりあげ、南朝鮮を恒久的なアメリカの軍事基地にゆだねようとしています。

 朝鮮の自主的平和統一を支持するあなたがたのたたかいは、世界平和をめざす正当で立派な事業です。

 わたしは、あなたがたが世界平和のために、特に朝鮮における緊張を緩和して平和を維持し、朝鮮の統一を実現するためより積極的に努力してくださるよう期待します。わたしはまた、あなたがだが、わが国に「南侵の脅威」があるという口実のもとに南朝鮮を恒久的な植民地、軍事基地にしようとするアメリカ帝国主義の策動を暴露、糾弾する世界人民の正義の声をいっそう高らかに呼び起こしてくれるよう期待します。

 わたしは今日、朝鮮人民の祖国統一偉業に積極的な支援を寄せているあなたがたに、祖国統一問題にかんする我々の立場を述べました。

 わたしは、あなたがたのわが国訪問をいま一度熱烈に歓迎します。あなたがたのなかには、既に、わたしと面識のある人もいれば、このたび初対面の人もいます。今後、我々が再会するなら、そのときにはみな旧友に、親しい戦友になるでしょう。

 あなたがたが帰国されましたら、それぞれご自分の国の人民に朝鮮人民のあいさつを伝えてくださるようお願いします。

 朝鮮人民は、世界平和のために、あなたがたとかたく手をとって進むでしょう。

 わたしは、あなたがたがわが国に滞在するあいだ、健康に留意し、立派な訪朝印象をもって帰られるよう願うものです。

出典:『金日成著作集』39巻


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