金 日 成

文化遺跡・遺物の保存、管理を改善するために
―朝鮮民主主義人民共和国主席命令第35号― 
1985年7月11日 

 朝鮮人民によって創造された文化遺跡と遺物は、わが国の悠久な歴史とさん然たる文化を誇り、わが民族の英知とたくましさを示す貴重な遺産である。

 文化遺跡と遺物を立派に保存し管理することは、人民の民族的誇りと自負を高め、彼らを愛国主義精神で教育するうえで重要な意義をもつ。

 わが党と共和国政府は、朝鮮人民によって創造された民族文化遺産を立派に保存、管理することを国家の重要な政策とし、その実現のためにたゆみなく努力してきた。

 わが党と共和国政府の正しい政策と賢明な指導のもとに数多くの文化遺跡と遺物が発掘され、かつて外来侵略者の野蛮な民族文化抹殺策動によって甚だしく破壊された文化遺跡と遺物が、復元、保存され、先祖によって築かれた輝かしい民族文化の伝統が立派に継承され発展している。

 我々は、発展する現実の要請に即応して国の貴重な文化遺産の保存、管理を改善し、すべての文化遺跡と遺物を原形どおり保存して、朝鮮人民によって創造された文化遺産が民族文化伝統の継承、発展に寄与するようにしなければならない。

 私は、国の貴重な遺産である文化遺跡と遺物をより立派に保存、管理するため、次のように命令する。

 1 文化遺跡と遺物を社会的に保存、管理する整然たる事業体系を確立すること。

 1) 道・市・郡行政・経済指導委員会は、各級学校と機関、企業所、団体に文化遺跡と遺物の保存、管理対象を正確に分担し、その管理状況を恒常的に掌握、指導すること。

 2) 人民武力省、社会安全省をはじめ、衛戍区域を有する機関は、管轄区域内の文化遺跡と遺物の補修管理を責任をもっておこなうこと。

 3) 毎年、4月と11月を文化遺跡愛護月間とすること。

 各機関、企業所、団体は、文化遺跡愛護月間に文化遺跡と遺物に対する補修、管理を集中的におこなうこと。

 2 文化遺跡と遺物を原形どおり保存、管理する対策を講じること。

 1) 道・市・郡行政・経済指導委員会と文化遺物保存機関をはじめ当該機関は、1985年11月末までに管轄地域内の文化遺跡・遺物の保存対象を具体的に調査、掌握し、それに対する補修対策を綿密に立てること。

 2) 科学院咸興分院をはじめ科学研究機関は、文化遺跡・遺物の永久保存で提起される科学技術上の問題を解決するための研究を強化し、文化遺物保存機関と当該機関は、科学研究の成果を文化遺跡・遺物の保存に導入する対策を講じること。

 3) 労働省と道・市・郡行政・経済指導委員会は、大工、丹青工、瓦工など文化遺物保存・管理部門の従事者を責任をもって整え、固着させること。

 4) 政務院の委員会、省と行政・経済機関は、文化遺跡と遺物の復元、補修と保存、管理に必要な設備と資材を計画化してそのつど供給すること。

 3 文化遺跡・遺物の発掘と文化遺跡地の利用において、厳格な規律と秩序を確立すること。

 1) 国家建設委員会と道・市・郡行政・経済指導委員会は、文化遺跡地に建てようとする建設対象に対しては、文化遺物の保存を受け持った中央級機関と合意したものに限って敷地承認と建設許可を与え、当該施工機関は文化遺跡と遺物の発掘後に工事をはじめる厳格な規律を立てること。

 2) 機関、企業所、団体と軍部隊は、建設工事またはその他の工事進行中に文化遺跡・遺物を発見した場合には、当該行政・経済指導委員会と文化遺物保存機関に通知し、専門機関に発掘、整理させること。

 3) 政務院と道・市・郡行政・経済指導委員会、文化遺物保存機関は、1985年内に文化遺跡地内の施設を撤去し耕地の利用を禁止し、遺跡建築のうち管理を目的に利用しているものを除き、住宅に利用しているものは立ち退かせること。

 4 文化遺跡・遺物の保存、管理を立派におこなうための大衆教育活動を強化すること。

 行政・経済機関と勤労者団体、教育、文化・芸術、出版・報道機関は、わが党の民族文化保存政策と文化遺跡律と規定を広く解説、宣伝し、文化遺跡と遺物を紹介し宣伝する科学映画や出版物をつくって普及すること。

 5 国家検閲機関、検察機関、社会安全機関などの監督・統制機関は、文化遺跡・遺物の保存、管理に対する点検、監督破壊したり、管理を怠って甚だしく損傷した場合には、法によって処理すること。

 6 政務院と人民武力省、社会安全省をはじめ当該機関は、この命令を実行する具体的な対策を講じること。
出典:『金日成著作集』39巻 

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