金 日 成

学校教育事業における若干の問題
 ―平壌第1高等中学校を視察する過程でおこなった幹部との談話―
1985年2月26日 

 平壌第1高等中学校の教室がよく整っています。机や椅子、黒板も立派です。

 次代の教育は、国の富強発展にかかわる極めて重大な事業です。我々は次代の教育に深い関心を払い、すべての学生・生徒を共産主義的革命人材に育てあげなければなりません。

 学生・生徒を有用な人材に育てあげるためには、革命的世界観を確立する教育を強化しなければなりません。学生・生徒の革命的世界観の骨格は、中等教育段階でうち立てられます。中等教育段階の教育をいかにするかによって、学生・生徒の世界観が正しく確立されるか否かが決まります。学校では、チュチェ思想教育、革命教育、共産主義教育をはじめ、政治・思想教育を強化し、育ちゆく新しい世代を革命的世界観の確立した真の共産主義的革命家に育てなければなりません。

 学生・生徒を有用な人材に育てあげるためには、学校での基礎科学課目の授業の質を高めなければなりません。基礎科学課目の授業は、学生・生徒の科学的な思考能力と応用能力を培ううえで重要な意義をもちます。基礎科学課目の授業を立派におこなえば、学生・生徒が一定分野の専門知識と技術を習得できる土台が築かれ、社会に進出して国の科学技術の発展に大いに寄与できるようになります。学校では、数学、物理学、化学、生物学などの基礎科学課目の授業の内容と方法をたえず改善し、その質を決定的に高めなければなりません。

 学生・生徒に対する外国語教育をさらに強化すべきです。

 私は機会あるたびに、学校での外国語教育を強化するよう強調しています。ところが、多くの学校で外国語教育をおろそかにしているため、大学卒業者が外国語を十分に身につけていません。大学を卒業した人が外国語の一つもマスターしていないというのは恥ずべきことです。おそらく、皆さんもみな大学を卒業しているはずですが、外国語を使わせてみれば、上手な人は多くないでしょう。

 現在、わが国には大学を出たインテリが120余万もいますが、彼らが外国語に堪能で外国の技術書を1冊ずつ翻訳するとしても、国の科学技術の発展に大いに寄与できるはずです。わが国の科学技術が早く発展しないのも、大学卒業者の外国語のレベルが低くて外国の技術書を満足に読めないのが主な原因です。

 国の科学技術を速やかに発展させるためには、すべての学校で現実発展の要請に即応して外国語教育をいっそう強化しなければなりません。

 これからは、大学や高等中学校で学生・生徒に外国語の学習に力を入れるよう要求の度合をさらに強め、在学期間に一つ以上の外国語を完全にマスターさせるべきです。大学生に在学期間に一つ以上の外国語をマスターさせるためには、大学での外国語課目の試験規律を厳格にうち立てる必要があります。大学では、学生に外国語でスピーチや作文をさせ、手紙も書かせるなどして、それに合格した学生にのみ卒業証書を与えるべきです。

 学生・生徒に外国語の学習に力を入れさせるためには、また、外国語教育の設備を充実させなければなりません。学校に外国語教育の設備が十分に整っていないのが現状です。大学をはじめ各学校に、外国語教育に必要なテープレコーダーや録音テープを十分に供給すべきです。

 学生・生徒に外国語学習に力を入れさせるためには、外国語教員の水準を決定的に高めなければなりません。

 平壌第1高等中学校では、生徒に英語、ロシア語だけでなく、日本語や中国語も教えるべきです。この学校は秀才を育てる学校であるため、すべての生徒が外国語をマスターし、勉学に励むよう要求の度合をいっそう強めるべきです。頭がよいからといって、ひとりでに秀才になるわけではありません。頭がいくらよくても、懸命に学ばなければ秀才になれません。

 平壌第1高等中学校の内部施設が非常に立派です。

 講堂が申し分ありません。講堂の面積が370平方メートルで、座席が420個なら規模も適当です。次代のためなら惜しむべきものはありません。

 平壌第1高等中学校の体育館が立派です。ここでは、バスケットボール、バレーボール、卓球など、各種のスポーツ競技ができそうです。内部が広いので、テニスもできるでしょう。育ちゆく新しい世代を壮健な体力をもった国の頼もしい担い手に育てあげるためには、スポーツをさかんにしなければなりません。

 水泳館も立派です。水泳は、身体の発育と健康に好適なスポーツの一つです。幼いころから水中で鍛えられれば、健康でたやすく病気にかかりません。

 いまある国では、幼児を生後3カ月から水中で鍛える方法で育てていますが、そういう子は、6カ月くらいすると歩くそうです。

 水泳をさかんにすれば抵抗力が強まり、年をとっても寒がらず、健康で長生きします。最近、党中央委員会の一部署から提供された資料によると、ある国では68歳の老人が零下18度の寒い日に氷を割って泳いだあとで、雪の上に横になって転がったそうです。水泳をたくさんするのが人の健康によいため、いま世界各国で水泳を奨励するのが趨勢になっています。

 わが国でも水泳を大いに奨励し、誰もが泳げるようにすべきです。特に、わが国は3面が海に囲まれているのですから、水泳教育に特別な関心を払って、すべての人が泳げるようにしなければなりません。

 水泳をたくさんするのが身体鍛練によいので、私は以前から水泳を奨励するよう強調し、都市の学校はいうに及ばず、農村の学校にまで露天プールをつくって児童・生徒に水泳を習わせるようにしました。しばらくのあいだは各学校で露天プールをつくって児童・生徒に水泳をさせましたが、いまはそうしているところがいくらもないようです。そのため、まだ泳げない児童・生徒がたくさんいます。

 平壌第1高等中学校は、党から立派な水泳館を建設してもらったのですから、それを生徒によく利用させるべきです。学校にいくら立派な水泳館を建設しても、生徒がよく利用しないようでは用をなしません。学校では、試験期間だからと水泳館を運営しなかったり、水泳の課目がカリキュラムにないからと、水泳をさせないなら、生徒の体を鍛えることができません。平壌第1高等中学校では試験だの、カリキュラムだのと口実を設けないで、水泳館を正常に運営すべきです。冬季にもプールに温水を入れて、放課後15〜20分くらい水泳ができるようにすべきです。平壌第1高等中学校ではなんとしてでも水泳館の利用率を高め、すべての生徒が健康な体で思う存分学び、元気に育つようにすべきです。健康でなければ、いくらずばぬけた秀才であっても役に立ちません。

 青少年学生と勤労者に水泳を奨励するためには、学校だけでなく各地に屋内プールや露天プールを設け、四季にわたって利用できるようにすべきです。

 平壌市では、高層住宅の間のあちこちに露天プールを設けるべきです。すべての学校に平壌第1高等中学校の水泳館のようなものを建設してやれればそれに越したことはありませんが、当座はそうすることができません。現状では、露天プールをあちこちに設け、市内の児童・生徒・学生や勤労者に水泳ができるようにすべきです。高層住宅の間に露天プールを設け、夏季には水を、冬季には平壌火力発電所から出る温水を入れてやれば、いつでも水泳ができるでしょう。そうなれば、人民の健康は増進され、いっそう快適な生活ができるようになるでしょう。露天プールをたくさん設け、水泳を大衆化すれば、水泳選手も養成できるでしょう。平壌市では仕事の手配を綿密にして、モデルケースとして高層住宅の間に露天プールをたくさん設け、全国に一般化すべきです。

 幹部も水泳をすべきです。幹部たちは水泳をしようとしないので、泳げません。幹部たちからまず泳ぎ方を習うべきです。

 物理実験室が充実しています。これなら力学の実験が十分にできそうです。ジャイロスコープ試験器具の作動原理は極めて重要です。ジャイロスコープの原理は適用範囲が少なくありません。

 これから教育用の実験器具は輸入せずに、平壌第1高等中学校のものを見本にして、国内でつくって利用すべきです。

 学校教育の質を向上させるためには、教育実験機材の生産基地を強固に築き、各種の実験・実習機材をより多くつくって各学校に送るべきです。大学の実習工場に教育実験機材の生産計画を与えて資材を供給すれば、大学生が実習しながら実験器具を十分つくることができるでしょう。

 各大学にも教育設備を十分に提供すべきです。いまのところ大学の教育設備が不足しています。今後、大学をはじめ各学校に、学生・生徒・児童の年齢別心理の特性と体力発達の要求にかなった教具・校具をより多く生産して供給すべきです。

 平壌第1高等中学校の寄宿舎の収容能力が300名で、現在の寄宿舎生が187名ならゆとりがあるでしょう。寄宿舎で幼い生徒が生活しているのですから、彼らの寝床や食生活に不便がないようよく面倒をみてやるべきです。

 平壌第1高等中学校はいま、人民の多大の反響を呼んでいます。

 平壌第1高等中学校は、教育環境が立派に整った学校であり、わが党の人民的教育施策によって生まれたモデル学校です。

 我々は、平壌第1高等中学校のような学校をより多く建設し、すべての生徒を知・徳・体を兼備した共産主義の継承者に育てあげるべきです。

 すでに党から手配されたとおり、平壌第1高等中学校のような秀才学校を各道に1校ずつ早急に建設すべきです。平壌市は首都なのですから、管轄の秀才学校も建て、各区域、各郡にも1校ずつ建てるようにすべきです。
出典:サイト「わが民族同士」 参照:『金日成著作集』39巻 

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