金 日 成

幹部の革命性、党性、労働者階級性、人民性を高めるために
政務院の責任幹部との談話 
−1984年3月13日− 


 最近、幹部のあいだに革命の主人としての自覚が足りず、責任ある態度で仕事をしない傾向が少なからず見られます。一部の幹部は、もろもろの条件にかこつけて仕事を革命的に展開せず、形式主義、要領主義に走っており、人民生活における難題を見ても、それを解決するため懸命に努力していません。幹部のあいだにこうしたことがあらわれるのは、主にかれらに革命性、党性、労働者階級性、人民性が欠けていることに起因しています。幹部が、高い革命性、党性、労働者階級性、人民性を身につけなくては、革命闘争と建設事業を正しく進めることができません。

 私はきょう、幹部が集まった機会に、幹部の革命性、党性、労働者階級性、人民性を高めることについていま一度強調しようと思います。

 革命性、党性、労働者階級性、人民性は、党と革命にたいする忠実性であり、労働者階級と人民にたいする献身的奉仕精神であります。革命性、党性、労働者階級性、人民性は、共産主義的革命家が身につけるベき基本的品性です。

 我が党の中核力量であり革命の指揮メンバーである幹部が、自分の位置を正しく自覚し、革命任務を立派に遂行するかどうかは、つまるところ、革命性、党性、労働者階級性、人民性をそなえているか否かにかかっています。幹部は、高い革命性、党性、労働者階級性、人民性を身につけてこそ、革命の指揮メンバー、人民の忠僕としての自己の責任と役割をまっとうすることができます。

 私がいつも話していることですが、金策(キムチェク)同志は、高い革命性、党性、労働者階級性、人民性を身につけ、党と革命のため、祖国と人民のために自分のすべてをささげてたたかった共産主義的革命家の典型です。金策同志は、抗日武装闘争の時期に有能な政治・軍事指揮官として立派に戦っただけでなく、解放後、建党、建国、建軍の3大課題を遂行する活動でも大きな役割を果たしました。かれは、私の仕事を大いに補佐しました。祖国解放戦争の時期にも、かれは高い忠誠心をもって献身的に戦い、革命戦士の気高い思想的・精神的品格を立派に示しました。まさにそのために、金策同志が死去して久しいにもかかわらず、人民はいまもかれを忘れずに尊敬しているのです。すべての幹部は、革命烈士がそうであったように、高い革命性、党性、労働者階級性、人民性を身につけ、党と革命のため、祖国と人民のために忠実に働くべきです。

 朝鮮革命はまだ終わっておらず、我々にはなし遂げたことより、これからなすべきことのほうが多いのです。我々は、革命と建設を力強くおし進めて社会主義の完全な勝利を早め、朝鮮人民の最大の民族的悲願である祖国統一の偉業を一日も早くなし遂げなければなりません。さしあたって我々は、第2次7か年計画を成功裏に遂行し、社会主義経済建設の10大展望目標を達成しなければなりません。我々に提起されている膨大な革命課題を成功裏に遂行するためには、幹部が、高い革命性、党性、労働者階級性、人民性を身につけ、自分に課された任務を責任をもって果たさなければなりません。

 革命性、党性、労働者階級性、人民性は、それぞれ独自の内容をもっていますが、本質においては大きな違いがありません。革命は、人民大衆の自主性を実現するたたかいであり、党は革命を指導し、労働者階級と人民大衆の自主性を実現することを使命としている最高形態の政治組織です。労働者階級と人民大衆は、自己の先鋒的前衛部隊である党の指導のもとでのみ、階級的利益を擁護し、自主性を実現することができるのです。党と革命の利益、労働者階級と人民大衆の利益は互いに一致し、それを実現するたたかいで発現する革命性と党性、労働者階級性と人民性は、本質において統一されています。それゆえ、私は、昨年の党中央委員会政治局会議で、革命性を党性に含め、労働者階級性を人民性に含めて、革命性、党性、労働者階級性、人民性を、簡単に党性、人民性と表現してもかまわないといったのです。

 幹部は、なによりもまず高い党性を身につけ、党と革命に限りなく忠実でなければなりません。

 幹部の党性は、言葉ではなく、党の路線と政策を貫徹する実際の行動にあらわれなければなりません。口先で党と革命に忠実であることを誓うだけでは用をなしません。幹部は、実際の行動において党政策の徹底した擁護者、積極的な貫徹者にならなければなりません。

 我が党の路線と政策は、全党の組織的意思であり、革命と建設の指導指針であります。党の路線と政策には、労働者階級をはじめ、勤労人民大衆の自主的志向と要求が集大成されており、朝鮮革命の目標とその実現方途が明示されています。党の路線と政策をどう受けとめて貫徹するかは、幹部の党性、すなわち、党と革命にたいする幹部の忠実性を評価する重要な基準となります。党の路線と政策を心から受けとめ、それを貫徹するために水火をいとわず懸命に努力する人が、真に党と革命に忠実な人なのです。ところが、いま幹部のあいだには、党の路線と政策を無条件に受けとめ、あくまで貫徹するため積極的に努力しない傾向が少なからずあらわれています。

 採掘工業を先行させるのは、我が党の一貫した方針です。私は、久しい前から石炭生産を速やかに増大させることについて機会あるたびに強調し、1977年には、徳川(トクチョン)地区に直接出向いて石炭増産の具体的な対策を講じました。そのとき、石炭生産が伸び悩んでいる主な原因が炭鉱夫に削岩機とキャップ・ランプ、小工具などを十分に提供していないところにあるのを知り、削岩機を量産して掘進工一人当たり1台ずつゆきわたるようにし、炭鉱夫にキャップ・ランプやのこぎり、斧、ペンチなどの小工具を十分に供給する課題を与えました。ところが、その後も石炭生産はそれほど増大しませんでした。それで、数年前に安州(アンジュ)地区炭鉱連合企業所の実態を調べたところ、私が1977年に徳川地区の各炭鉱を指導したさいに与えた課題が満足に実行されていませんでした。政務院の責任幹部が安州地区炭鉱連合企業所に何回か出向きはしましたが、私が与えた課題を実行するため懸命に努力する人はいませんでした。炭鉱に設備と小工具を十分に提供しないのですから、石炭生産が速やかに増大しないのは自明の理です。

 採掘工業を先行させるという党の方針を貫徹しなかった悪影響は、甚だしいものがあります。採掘工業部門で石炭が満足に生産されないので電力工業と化学工業部門の生産に支障をきたしており、化学工場で各種の化学製品が円滑に生産されないので軽工業部門の工場をフルに操業させることができず、人民生活の向上に少なからぬ支障を与えています。

 経済幹部は、金属工業を主体化するという党の方針も貫徹していません。我が党は、国内でコークス用炭が産出されない状況のもとで国内燃料によって金属工業を発展させる方針を示しましたが、政務院と金属工業部門の責任幹部はもろもろの条件にかこつけ、主体的な鉄生産基地をととのえるため積極的に努力しませんでした。その結果、鉄鋼材が不足するようになりました。私が課題を与えたあと、すぐ国内燃料による鉄生産基地をととのえていたなら、鉄鋼材の問題は久しい前に解決されていたはずです。

 党がいくら立派な政策を示しても、幹部がそれを正しく実行しなければ用をなしません。

 幹部は、党の路線と政策にたいして正しい立場と態度をもち、それをあくまで貫徹するため積極的に努力しなければなりません。党の路線と政策を信念化し、それを貫徹するのは幹部と党員の第一の義務です。党の路線と政策に疑問をいだいたり、かけひきをし、その実行を怠るのは、我が党内で許されないことです。

 幹部は、党の路線と政策を最も正当なものとして受けとめ、いささかの理由や口実も設けることなく、限りない献身性を発揮して、それを貫徹しなければなりません。党政策が示されれば、幹部はそれを深く研究して正しい実行対策と具体的な計画を立て、その実現に大衆を立ち上がらせる組織・政治活動を綿密に展開しなければなりません。幹部は、常に党政策の実行状況を調べ、そのつど総括し、たえず手配しなおし、党政策を中途半端にすることなくあくまで貫徹しなければなりません。

 幹部は、党の路線と政策の貫徹で、自力更生、刻苦奮闘の革命精神を強く発揮すべきです。

 党の路線と政策を貫徹するたたかいは、とりもなおさず革命闘争です。革命は順風に帆をあげるようにいつも調子よく進むとはかざらず、革命闘争の過程ではさまざまな障害と難関にぶつかるものです。難関を前にして信念を失い、ちゅうちょしたり動揺し、それを自力で乗り越えようとしないなら、党の政策を正しく貫徹することができません。幹部は常に、上部が要件を保障してくれればそれにこしたことはないし、保障してくれなくても自分の力でするという覚悟をもち、自力更生、刻苦奮闘の革命精神を発揮して党の政策を立派に貫徹しなければなりません。

 自力更生は、我が党の伝統的な活動気風です。我々は、抗日革命闘争の時期からこんにちにいたるまで、常に自力更生のスローガンをかかげ自力で革命闘争と建設事業を進めてきました。

 抗日武装闘争は、国家的後方も正規軍の支援もない状況のもとでおこなわれた極めて困難な闘争でした。筆舌につくしがたい困難な状況にあっても、抗日遊撃隊員は自力更生の革命精神を強く発揮し、武器や食糧、被服などを自力で解決しながら15年ものあいだ強大な日本帝国主義と戦い、ついに祖国解放の歴史的偉業をなし遂げました。したがって、抗日武装闘争の勝利は、自力更生の勝利だといえます。

 朝鮮人民は、自力更生、刻苦奮闘の革命精神を発揮してたたかったので、解放後、新しい民主朝鮮建設の困難かつ複雑な課題も立派に遂行し、祖国解放戦争の厳しい試練にもたえぬくことができたのです。朝鮮人民は、戦後の復興建設と社会主義建設でも自力更生、刻苦奮闘の革命精神を強く発揮し、必要なものは自力で解決しながら難関を切り抜けました。

 戦後復興建設の時期、我々には多くのトラッククレーンが必要となりました。そのころ何台かのトラッククレーンを輸入したのですが、その1台の価格は自動車1台の価格より数倍も高いものでした。それで私は、閣議でトラッククレーンを自力で製作する問題を討議し、その課題を楽元(ラクウォン)機械工場の労働者に与えました。楽元の労働者たちは、私が与えた課題を思想的に受けとめ、自力更生の革命精神を発揮してトラッククレーンを立派に製作しました。かれらは、党の呼びかけにこたえ、立ちはだかる障害と難関を勇敢に克服して大型揚水機もつくりだしました。手榴弾などをつくっていた小さな工場でトラッククレーンや大型揚水機をつくりだしたのは、じつに立派なことです。

 楽元の労働者たちのように、自力更生、刻苦奮闘の革命精神をもって取り組むならば、不可能なことはありません。幹部は、党の路線と政策を貫徹するうえで、常に自力更生、刻苦奮闘の革命精神を発揮し、難問を自力で解決しなければなりません。

 幹部の党性はまた、我が党を断固として擁護し、党の統一と団結を強化するためにたたかうことにあらわれなければなりません。

 朝鮮革命は、依然として困難を極めています。困難な革命闘争で勝利をおさめるためには、一にも、二にも、三にも団結しなければなりません。団結は、力の源であり、すべての勝利の裏付けであります。団結すれば勝利し、分散すれば敗北するというのは歴史によって検証された貴い真理です。

 革命は時代の先覚者が大衆をめざめさせて結集する活動からはじまり、人民の団結した力によって前進し勝利するものです。隊伍の団結をぬきにした革命などありえません。このような意味で団結はすなわち革命であり、革命はすなわち団結であるというのです。

 我々の団結は、党の唯一思想体系にもとづいてなし遂げられなければなりません。我が党の唯一思想は、チュチェ思想です。我が党内には、ただ一つの思想、チュチェ思想があるのみです。チュチェ思想にもとづいて、全党の思想、意志の統一と団結を実現するとき、我が党はその革命的性格を守り、指導的政治組織としての機能と役割を十分に果たすことができます。

 我が党の統一と団結は、革命的同志愛にもとづくとき、最も強固で威力あるものとなります。革命的同志愛は、社会主義・共産主義偉業のためにたたかう革命家のあいだの崇高な信頼であり愛情です。革命家にとってなによりも貴いものは同志愛です。革命をおこなうには志を同じくする同志がいなければならず、革命家は革命的同志愛でかたく団結するときにのみ、生死、苦楽をともにし、革命の厳しい道を雄々しく歩むことができるのです。

 私は革命の道を踏みだしたときから、常に革命同志一人ひとりを千金よりも大事にして愛し、また、同志たちは私を心から愛し守ってくれました。革命映画『朝鮮の星』を見てみなさんも知っていると思いますが、金赫(キムヒョク)、車光秀(チャングァンス)などの青年共産主義者は、党も政権もなく、革命がいつ勝利するかわからなかった困難な時期に私を団結の中心におし立て、革命的同志愛にもとづいてかたく団結しました。

 革命闘争の経験は、党と運命をともにする強い覚悟をもって団結するため意識的に努力する人であってこそ、党と革命に最後まで忠実でありえるということを示しています。

 こんにち、我が党の統一団結は、非常に高い水準に達しています。全党がチュチェ思想で一色化され、それにもとづいて思想的、意志的にかたく統一団結しています。

 党の統一団結をなし遂げる活動で大きな成果をおきめたからといって、それに自己満足してはいけません。我々は、かつて内外の情勢が複雑をきわめ、朝鮮革命が試練に直面していたとき、党内に潜入していた反党反革命分派分子が党を攻撃した事実をかたときも忘れてはなりません。我々はまだ革命の途上にあります。しかも我々は、国土が分断され、アメリカ帝国主義と直接対峙している極めて困難な状況のもとで革命を進めています。朝鮮革命が前進する過程には、思いがけない難関や試練に遭遇することもありえます。これから先、革命が試練に直面したとき、党内から裏切者があらわれないとは断言できません。

 我々は、党の統一と団結をたえず強化しなければなりません。幹部は、党の統一と団結を瞳のように守り、党の政治的・思想的統一を汚れなく継承していかなければなりません。そのためには、党の統一団結にかんする我が党の闘争経験で武装し、党の統一団結に障害となるあらゆる傾向に反対して断固たたかわなければなりません。

 現時点において、全党と全人民を党中央委員会の金正日同志のまわりにかたく団結させることが極めて重要です。幹部はみな、党中央委員会の金正日同志のまわりにかたく団結しなければなりません。特に若い幹部は、抗日革命闘争の時期に青年共産主義者が自分の領袖を仰いだように、自分の指導者を心から仰ぎ従うべきです。そうしてこそ、代を継いで革命をつづけ、チュチェの革命偉業を最後までなし遂げることができます。

 幹部は、高い人民性を身につけ、人民に献身的に奉仕しなければなりません。

 我が党は、人民のためにたたかう党であり、人民生活を不断に向上させることをその活動の最高原則としています。国家と社会の主人となった人民に、なんの不自由もない生活条件をもたらすのが、我が党の構想であり、闘争目標であります。我々が社会主義・共産主義の建設をめざしてたたかっているのはつまるところ、すべての人民に裕福で文化的な生活をさせるためなのです。

 幹部が人民への献身的奉仕精神をもって人民のために忠実に働くのは、党と大衆の血縁的つながりを強めるうえでも極めて重要な意義があります。党と大衆の強固な統一と団結、党にたいする人民大衆の絶対的な支持と信頼は、党の人民的な施策とともに、人民に奉仕する幹部の献身的な努力によってもたらされるのです。幹部が高い人民性をもって人民に献身的に奉仕するとき、人民大衆は心から党に従うようになります。

 我々には、人民の利益よりも大切なものはなく、人民に奉仕すること以上に誇らしく栄誉ある仕事はありません。幹部は、自分の利益より人民の利益を先に考えるべきであり、人民のためにすべての力と熱情をかたむけて働かなければなりません。いま、幹部は人民に忠実に奉仕することについて多くを語っていますが、実際の行動はそうでありません。

 幹部のなかには、人民の利益など眼中になく、自分の利益のみを追求し、権威をふりかざし、特恵にあずかろうとする人がいます。一部の幹部は、官僚主義に走り、傍若無人にふるまっており、職権を乱用し、人民の利益を侵害してはばからないありさまです。一部の人は、幹部に登用されると、あたかも高い官職にでもついたかのように尊大ぶり、威厳をつくろっています。これはみな人民性の欠如した表現です。

 幹部は、官僚ではなく人民の忠僕です。幹部は、絶対に官僚化、貴族化してはなりません。幹部は、人民のなかから出たのであり、人民の信任によって幹部になったのですから当然、人民に奉仕し、人民と生死、苦楽をともにしなければなりません。抗日遊撃隊の指揮官は、常に隊員と生死、苦楽をともにし、飯を食べても同じ釜の飯を食べ、かゆを食べても同じ釜のかゆを食べました。抗日遊撃隊の指揮官と隊員のあいだには、いささかのへだたりもありませんでした。幹部は、自分を特別な存在と考えて官僚風を吹かせてはならず、特恵や厚遇を望んではなりません。幹部が特典や特恵にあずかろうとしたのでは、革命にたずさわることができず、しまいには変質してしまいます。幹部は、素朴で質素な生活をしなければなりません。幹部は、人民と同じような家に住み、同じような食事をして暮らすべきです。

 幹部に人民性が欠けているのは、勤労者の労働条件を改善するため懸命に努力しないことにもあらわれています。

 幹部が勤労者の労働条件の改善にどれほど無関心であるかということは、8月8日鉱山の実例がよく示しています。金属工業を発展させるうえで黒鉛が極めて重要であるので、私は8月8日鉱山の黒鉛生産を増大させることについて再三強調し、現地に出向いて黒鉛の増産対策を講じるよう幹部に指示しました。その後、中央の多くの幹部が、その鉱山に出向きました。ところが、最近提出された資料によると、8月8日鉱山の黒鉛生産が増えていないばかりか、そこの労働者の労働条件がひどいとのことです。この鉱山にある黒鉛精鉱の乾燥炉は解放直後、城津(ソンジン)製鋼所にあった原鉄炉と同じようなものだそうです。私は解放直後、国の鋼鉄事情が非常にひっ迫していましたが、原鉄炉を残しておくと労働者の命が危ないので、金策同志に指示してそれを爆破するようにしました。金策同志をモデルにしてつくった劇映画『草分けの道』を見れば、それについてよくわかると思います。8月8日鉱山に行ってきた幹部たちもみなその映画を見ているはずなのに、誰も黒鉛乾燥炉を改造する対策を立てようとしませんでした。解放直後、国の経済力が非常に弱かった時期にも城津製鋼所の原鉄炉を爆破したというのに、当時に比べて経済力がはるかに強まったこんにち、8月8日鉱山の立ち後れた黒鉛乾燥炉をそのまま残しておくというのは、全く理解しがたいことです。8月8日鉱山に電力を1000KWほど追加供給すれば、黒鉛乾燥炉を電気炉に改造し、労働者がよい条件のもとで働きながらも黒鉛を増産することができるとのことですが、その程度の電力を供給するのはなんでもありません。8月8日鉱山は江界青年発電所の近くにあるので、1000KWの電力を追加供給するのは問題にもならないはずです。

 8月8日鉱山に限ったことではありません。南浦(ナンポ)電極工場でもかんばしくない労働条件のもとで労働者が働いているそうです。

 いま一部の工場、企業所の労働条件が相応の水準に達していないのは、もっぱら幹部に労働者階級性、人民性が欠けていることに起因しています。チュチェ思想が具現された我々の社会では、人間より貴いものはありません。絶対に労働者を不備な労働条件のもとで働かせてはなりません。幹部は生産に先立って、労働者の健康を気づかうべきであり、かれらによい労働条件をもたらすために努力すべきです。幹部は、有害労働と高熱労働、公害をなくすため積極的に努力しなければなりません。

 人民性が欠けているのは、幹部が人民生活に無関心なことに集中的にあらわれています。

 人民生活の向上で提起される第一義的な課題は、社会主義の要求に応じて、食・衣・住の問題を円滑に解決することです。

 私は、人民に食肉と卵、食用油を十分に供給するため各地に養鶏工場と穀物加工工場を建設し、それをフル操業させるいろいろな対策を講じました。ある年には元日も休まず養鶏工場を現地指導し、数年前には道別に幹部を平壌に呼びよせて道党執行委員会を開き、労働者とその家族に食用油を切らさず供給する課題を与えました。ところが、幹部は、養鶏工場と穀物加工工場をフル操業させるため積極的に努力しておらず、人民が卵を満足に食べられなくても胸を痛めず、食用油やしょう油、みそなどが十分に供給されなくても関知しないありさまです。

 南浦市と大安(テアン)重機総合工場の責任幹部は、労働者が住んでいる一部の高層住宅に暖房が十分にゆきわたらず、水道がよく出ないのに、なんらの対策も講じませんでした。高層住宅に暖房が十分にゆきわたらず、水道がよく出ないと、労働者の生活に大きな不便をきたすのはわかりきったことです。労働者が生活上の不便を感じているのを知りながらも、それに関心を払わない人は幹部の資格がありません。幹部が労働者の生活はどうあろうと関知せず、平穏無事にすごすなら、これはすでにかれが変質したことを物語っています。

 朝鮮人民は、まことに立派な人民です。我が国の人民は生活上不便な点があっても、それを革命の過程でありうることと考え、ひたすら党を信頼し支持しています。人民が生活上不便な点があってもそれを口にしないからといって、幹部が人民生活に無関心であってはいけません。幹部は、人民生活にたいして全的に責任を負う立場に立ち、人民の生活上の不便を軽減するため常に頭を働かせ、努力をつくさなければなりません。

 家庭で親が子供の生活を見守るように、幹部はいつも人民のなかに深くはいり、かれらの生活に不便な点がないかを調べ、そのつど必要な対策を講じなければなりません。人民の食生活に日ごろから深い関心を払い、人民生活のあらゆる面をよく見守るべきです。

 幹部は、名誉や報酬のためではなく、ひたすら人民に奉仕するという覚悟をもち、人民に幸せな生活をもたらすために思索を重ね、奮闘しなければなりません。幹部は仕事をするときも道を歩くときも、常にどうすれば人民生活をさらに向上させることができるかを考えて方途を探究し、それを実現するため積極的に努力すべきです。

 幹部が、高い革命性、党性、労働者階級性、人民性を身につけるためには、革命的世界観で武装しなければなりません。

 幹部に革命性、党性、労働者階級性、人民性が欠けているのは、主に革命的世界観が確立していないことに起因しています。革命的世界観を確立しなければ、党と革命、祖国と人民に忠実に奉仕することができません。幹部だからといって、けっして完成された人間だとはいえません。この世に革命的世界観が完成された人などいません。幹部は、みな革命的世界観を確立するため一生根気よく努力しなければなりません。

 革命的世界観の確立で重要なのは、我が党の指導思想であるチュチェ思想で武装することです。チュチェ思想は、人間中心の世界観であり、人民大衆の自主性を実現するための革命思想であります。幹部は、チュチェ思想で武装してこそ真の革命家になり、革命と建設で提起される問題を人民大衆の利益と要求に即応して解決することができます。

 幹部は、チュチェ思想を革命的信念として深く体得すべきです。そのためには、チュチェ思想の学習を強化しなければなりません。幹部は、学習を日常的に根気よくおこなうべきです。いくら仕事が忙しくても、一日に数時間は義務的に学習しなければなりません。幹部は、学習を強化してチュチェ思想の原理とチュチェの革命理論、指導方法を信念として体得し、チュチェ思想の要求どおりに思考し行動しなければなりません。

 幹部が、革命性、党性、労働者階級性、人民性を高めるには、党生活に積極的に参加する必要があります。

 幹部にとって党生活は、革命性、党性、労働者階級性、人民性を高めていく組織的・思想的鍛練の過程だといえます。幹部が党生活に誠実に参加すれば、活動と生活における欠点をそのつど是正し、革命性、党性、労働者階級性、人民性をたえず高めることができます。誰であれ、党生活を怠れば安逸に流れて過ちを犯し、思想的に誤った方向に進みかねません。

 幹部は、党組織にたいする正しい観念をもち、党生活に自覚的に、誠実に参加すべきです。幹部は党組織を尊び、大切にし、党組織にしっかり依拠して活動し生活しなければなりません。また、活動と生活で提起される諸問題をそのつど党組織に報告し、党組織の指導と統制を受けるため意識的に努力すべきです。

 党生活を革命課題の遂行と密接に結びつけておこなうべきです。革命課題の遂行をぬきにした党生活などありえません。党員が党生活に参加する目的も、結局は革命課題をより立派に遂行することにあります。党生活は、革命課題を立派に遂行することに服従させるべきです。

 幹部は、党生活で党員の模範となるべきです。党内では地位の高い党員と低い党員などありえず、二重の規律は許されません。幹部は、自分を特別な存在と考え、党内に二重の規律をつくろうとしてはなりません。幹部なら、なおさら先んじて自覚的な党生活気風を確立し、党の規律を進んで守らなければなりません。

 幹部のあいだで、革命性、党性、労働者階級性、人民性に欠けた傾向にたいする思想闘争を強化しなければなりません。幹部のあいだで、革命性、党性、労働者階級性、人民性に欠けた傾向があらわれたときは、そのつど問題視して強い闘争を展開すべきです。特に、人民生活に不便を与える行為にたいしては重要な政治的問題とみなし、それと妥協することなくたたかうべきです。

 幹部が、革命性、党性、労働者階級性、人民性を高めるためには、現実のなかに深くはいって、大衆と生死、苦楽をともにしなければなりません。

 幹部は、わき立つ現実のなかにはいって大衆と生死、苦楽をともにしてこそ、大衆の力に依拠して党の路線と政策を正しく貫徹し、党と革命にたいする大衆の忠誠心を学びとることができます。幹部が現実のなかにはいらず、大衆から遊離して活動し生活するならば、革命と建設で提起される問題を党の政策的要求と人民の利益に即応して解決することができず、しまいには貴族化してしまいます。幹部は大衆のなかにはいり、革命と建設の実践闘争を通じて自分を革命的に鍛え、大衆から謙虚に学ぶべきです。

 すべての幹部は、革命と建設が深化発展する現実の要求に即応して、革命性、党性、労働者階級性、人民性をさらに高め、党と革命、労働者階級と人民のために献身的に働く真の革命家としてしっかり準備しなければなりません。

出典:『金日成著作集』38巻


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