金 日 成

南南協力と対外経済活動を強化し、貿易をいっそう
発展させるために
−朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議の決定− 
1984年1月26日 

 自主性を堅持し、完全な平等と互恵の原則にもとづいて外国との経済協力関係を拡大強化することは、国の経済と対外関係を発展させるうえで極めて重要な意義をもつ。

 貿易をはじめ、対外経済関係を広く発展させてこそ、国の経済建設をおし進め、人民生活を向上させることができる。

 国家間の友好関係の発展は多くの場合、貿易をはじめ経済協力にはじまり、経済協力を広く発展させれば、外国との友好のきずなと政治関係を強固なものにすることができる。

 朝鮮労働党と共和国政府は、外国との経済協力関係の発展に常に大きな意義を付与し、主体的な対外経済政策を立派に貫徹することにより、貿易と対外経済活動の分野で大きな前進を遂げた。

 わが党と共和国政府は、自力更生の旗のもとに自立的民族経済を建設する基礎のうえで、外国との経済協力と対外貿易を発展させるため大いに努力してきた。

 自立的民族経済を建設し、その基礎のうえに立って外国と経済関係を結び、対外貿易を発展させるのは、わが党と共和国政府が終始一貫、堅持してきた革命的方針である。

 わが党と共和国政府は、解放後、新社会建設の当初から自立的民族経済の土台を築き、完全な平等と互恵、有無相通ずる原則のもとに外国との経済協力と対外貿易を積極的に発展させてきた。

 我々は、重工業を優先的に発展させながら同時に軽工業と農業を発展させるという経済建設の基本路線を立派に貫徹することにより、わが国に自立的で近代的な重工業と軽工業の基地を築き、社会主義農業を速やかに発展させ、それにもとづいて各国との経済交流と通商関係をたえず拡大してきた。

 我々は、重工業を根幹とする社会主義の自立的民族経済の土台が強固に築かれ、工業生産が急速に発展するにつれ、重工業製品の輸出を増やすと同時に軽工業製品と農産物の輸出も大いに増やし、わが国になかったり不足する原料、燃料と緊要な工場、設備を輸入してきた。

 生活は、強固な自立的民族経済を建設する基礎のうえで外国との経済交流を発展させるというわが党の方針が、国の経済的威力を強化し、政治的自主性を物質的に確固と保障し、自主、平等、互恵の原則で外国との経済関係を主動的に発展させる最も正当な方針であることを実証している。

 人民が、自力更生、刻苦奮闘して築きあげた自立的民族経済は、社会主義経済建設をおし進め、人民生活を系統的に向上させ、国の対外的権威と政治的自主性を保障する強力な物質的基礎となっているばかりか、外国との経済協力を強化し、貿易をたえず拡大発展させる強固な元手となっている。

 わが党と共和国政府は、社会主義経済建設がいっそう高い段階に達し、国の対外関係が拡大するに伴い、それに適応して貿易を多角化、多様化する方針を示し、それを立派に貫徹してきた。

 貿易の多角化、多様化方針は、貿易の幅を広げ、世界各国との経済交流を発展させて国の経済建設を促進し、国際的協力を強化し、帝国主義者の経済的圧力をはねのけて対外貿易を自主的に発展させる正確な方針である。

 我々は、貿易の多角化、多様化方針にもとづき、社会主義諸国との貿易をひきつづき発展させるとともに、非同盟諸国、発展途上諸国との経済協力を積極的に発展させ、わが国の自主権を尊重し、わが国と経済関係を結ぼうとする資本主義諸国との通商交流もたえず拡大してきた。

 我々は、特に、自主性を擁護する非同盟諸国、発展途上諸国との経済・技術協力関係を発展させるうえで、常に経済的利益よりも相互協力の精神を重んじ、新社会の建設をめざす発展途上諸国人民の闘いを積極的に支援し、団結を強め、共同の闘争によって旧国際経済秩序をうちこわし、公正な新国際経済秩序を樹立しようという崇高な立場を堅持してきた。

 わが国と非同盟諸国および発展途上諸国間に日ましに強化される真の友好と協力関係は、わが国の経済建設の助けとなっているばかりか、帝国主義植民地支配の後遺症をいやし、自立的民族経済を建設するために努力している発展途上諸国にとっても大きな助けとなっている。

 自主性を堅持し、完全な平等と互恵の原則で外国との経済協力をたえず発展させるためのわが党と共和国政府の地道な努力によって、わが国の対外経済関係はかつてなく拡大された。

 こんにち、わが国は、世界5大陸の100余か国と経済的連係と友好関係を結び、貿易をはじめ、経済・技術交流を広く発展させている。

 対外貿易が急速に発展した結果、わが国の貿易総額は、第2次7か年計画を遂行するこの6年間に2.2倍に増え、輸出入構造も著しく改善された。

 対外経済関係をたえず拡大発展させた結果、対外市場が広がり、我々は人民経済の発展で提起される物質的・技術的需要をより円滑にみたせるようになった。

 貿易をはじめ、経済的連係を通じて世界各国との友好・協力関係がかつてなく拡大強化され、我々は世界各地に多くの友邦と友人をもつようになった。

 こんにち、わが共和国の対外関係は、日ましに拡大しており世界のより多くの国の人民が祖国統一と社会主義建設をめざす朝鮮人民の革命偉業に積極的な支持と声援を寄せている。

 長いあいだ世界地図で光を失い、世界市場から除外されていたわが国が、こんにち、自主、親善、平和の旗を高くかかげ、世界の大小の国々と完全な平等と互恵の原則で経済関係を発展させており、世界の人民から「社会主義の模範の国」としてたたえられているのは、わが党と共和国政府の主体的な対外経済政策の正当性を実証するものである。

 こんにち我々には、対外経済関係の分野でおさめた成果をかため、貿易と対外経済活動を新たな高い段階へ発展させるべき重要な課題が提起されている。

 人民経済の規模がかつてなく拡大され、その技術装備水準が高まったわが国経済発展の現状は、対外貿易の幅を広げ、世界各国との経済・技術交流をいっそう拡大発展させることを切実に求めている。

 人民は、党の呼びかけにこたえて、朝鮮労働党第6回大会の決定を貫徹する闘いを力強く繰り広げ、社会主義経済建設で画期的な成果を達成し、貿易と対外経済活動を大々的におし進めることのできるより強固な土台を築いた。

 英雄的労働者階級とすべての勤労者は、党中央委員会咸興総会の決定を支持して、剣徳、端川地区の鉱山と両江道地区の銅山を近代的に改造、拡張し、端川製錬所の建設と南浦製錬所、文坪製錬所をはじめ、各製鉄所の拡張工事を推進することにより、国の非鉄金属生産基地をさらに拡充した。特に昨年、剣徳鉱業総合企業所には年間1千万トンの鉱石処理能力の近代的な第三選鉱場が、我々の設計、我々の技術、我々の設備と資材によって、わずか1年のあいだに労働党時代の記念碑的建造物として立派に建設された。

 剣徳鉱業総合企業所第3選鉱場の建設は「80年代の速度」創造の立派な先駆的模範となり、労働者階級の底知れない創造的エネルギーと、わが国主体的工業の巨大な生産潜在力と威力の一大示威となる。

 我々は剣徳鉱業総合企業所をはじめ、非鉄金属生産基地を拡充することにより、150万トンの非鉄金属生産目標を達成しうる強固な土台を築き、鉛、亜鉛だけでも年間60万〜70万トン生産し、その加工を発展させて国内需要を十分にみたしながらも輸出を大幅に増やせるようになった。

 金属工業と機械工業の発展においても大きな前進が遂げられた。

 労働者階級と科学者、技術者は、国内燃料による主体的な製鉄法を完成し、新しい製鉄法にもとづいて清津地区に600万トン、降仙地区に300万トンの鋼鉄生産基地を整え、圧延鋼材と金属2次加工製品の生産工程を増やすための大規模の建設を成功裏におし進めることにより、金属工業の主体化を実現し、1500万トンの鋼鉄生産目標を達成する強固な土台を築いている。

 わが党と共和国政府は、ここ数年来、機械工業の発展に大きな力をそそぎ、現在の機械工場をさらに整備、補強し、大安重機総合工場をはじめ、近代的な機械工場を新設し、特に大型機械と特注設備の年産基地を強化し、機械工業を現代化して、わが国の機械工業を新たな高い段階へ引き上げた。

 こんにち、わが国の機械工業は、工作機械、電気機械、採掘機械、運輸機械、農業機械など近代的な機械設備だけでなく、大型水力および火力タービンと発電機、総合採炭機、重量車、大型電気機関車、重貨車、各種貨物船をはじめ、近代的な大型設備を立派に生産供給しており、発電所の設備と金属、化学、軽工業部門などの工場設備をプラントで納入することができるようになった。

 我々は、300万トン能力の近代的な順川セメント工場を建設し、既存のセメント工場を改造、拡張してセメント生産能力を大幅に高めた。そして、今後もセメント工場の建設にひきつづき大きな力を入れ、数年内に2000万トンのセメント生産目標も成功裏に達成するであろう。

 わが党の示した4大自然改造事業と化学製品生産目標、織物生産目標を達成する闘いでも大きな成果がおさめられている。

 労働者階級と建設者は、朝鮮労働党中央委員会第6期第4回総会と第7回総会の決定を支持し、集団的英雄主義と愛国的献身性を発揮して30万ヘクタールの海面干拓と20万ヘクタールの新しい土地開墾、干拓地の用水問題を解決するための南浦閘門(現在の西海閘門)建設と泰川発電所の建設ですでに大きな成果をおさめ、10万トン能力の順川ビナロン工場をはじめ、新たな大規模の化学工業基地と軽工業基地の建設を強力に推進している、これは、1500万トンの穀物生産目標を繰りあげて達成し、食の問題から共産主義的施策を実現し、ここ1、2年のうちに15億メートルの織物生産目標を達成し、軽工業革命を起こして人民生活を画期的に向上させることのできる展望を開いている。

 わが党の正確な政策と共和国政府の正しい施策、そして、党と革命に限りなく忠実な労働者階級とすべての勤労者の献身的な勤労闘争によって、新たな展望目標を実現する闘いで達成されたこれらの輝かしい成果は、我々の自立的民族経済の威力を示威するものであり、わが国の経済的潜在力がかつてなく拡大強化されていることを示すものである。それはまた、わが国が強力な社会主義工業国として世界各国との経済・技術交流をいっそう発展させることのできる広い展望を開いている。

 我々は、日ましに強化発展するわが国の自立的民族経済の強固な土台に依拠して貿易と対外経済活動を全面的に拡大することにより、社会主義経済建設を促進し、外国との経済・技術交流と協力を新たな高い段階に発展させなければならない。

 現時点において、わが党と共和国政府の対外経済活動の主な方向は、南南協力を拡大発展させることである。

 南南協力は、発展途上諸国が、経済的、技術的に協力して経済的自立を実現する崇高な事業であり、新国際経済秩序を確立する闘いの重要な一環である。

 自立的民族経済を建設して経済的自立を実現することは、こんにち発展途上諸国に提起されている第一義的な課題である。

 発展途上諸国は、自立的民族経済を建設して経済的自立を実現してこそ、帝国主義者の残した後進性と貧困、飢餓と病魔から人民を解放し、かちとった政治的独立を固守することができる。

 帝国主義者は、旧国際経済秩序をうちこわし、新国際経済秩序を確立せよという発展途上諸国の要求に依然として応じていない。

 帝国主義者は、決して発展途上諸国に経済的解放をもたらしてはくれない。

 帝国主義者は、旧国際経済秩序に執拗にとりすがり、発展途上諸国の資源を略奪し、これらの国の経済発展を阻害している。

 帝国主義者のいわゆる「援助」と「協力」も、発展途上諸国の経済を従属させて侵略と略奪の目的に服従させ、ひいては、これらの国の政治的独立までも有名無実のものにするための新植民地主義政策の一環である。

 発展途上諸国は、帝国主義国に期待をかけず、発展途上諸国同士で協力し合って活路を開かなければならない。

 発展途上諸国が、集団的自力更生の原則のもとに、技術のある国は技術を提供し、原料のある国は原料を提供し、資金のある国は資金を提供して交流と協力を活発におこなうならば、十分自活することができ、自立的民族経済を建設することができる。また、先進諸国に対する協商力と対抗力を高め、平等で公正な国際経済秩序を樹立するという要求を貫くことができる。

 発展途上諸国間の経済・技術協力と交流を拡大発展させる条件と可能性は大きく、発展途上諸国が力を合わせるならば、南南協力は十分実現することができる。

 発展途上諸国は、ひとしく受難と屈辱の苦い過去をもっており、自主性を擁護し実現しようという共通の志向をもっている。

 発展途上諸国は、世界の原料資源と人的資源の大部分を有し、それぞれの国が新社会の建設で得た立派な経験と技術をもっており、経済的基礎もある程度築きあげた。

 わが国も戦後、廃墟のなかから都市を建設した経験、工場と鉱山、発電所を建設した経験、我々の実情にかなった農業を発展させ、潅漑工事をした経験など、貴重な経験と技術をもっており、他国の技術をわが国の実情に合わせて導入し、自立的民族経済の土台をいっそう強固にした経験もある。

 発展途上諸国が、みずからの経済的潜在力と可能性を正しく利用して経済協力を強化し、すぐれた経験と技術を交流するならば、先進諸国の力を借りなくても、十分、自立的民族経済を建設して経済的自立を実現することができる。

 南南協力は、発展途上諸国の利益と志向に全的に合致し、南南協力を拡大発展させるのは、発展途上諸国の経済的自立と民族的繁栄をもたらすための最も合理的かつ現実的な方途である。

 わが共和国政府は、南南協力に深い関心を払い、非同盟諸国および発展途上諸国との政治的団結を強化する一方、経済・文化分野における協力と交流を拡大発展させるために全力を尽くしてきた。

 わが国は、南南協力の精神にのっとり、これまで22か国に30余の工場を建設し、20余か国に潅漑建設をおこない、50余の発展途上国に5000余名の技術者、専門家を派遣して、これらの国の新社会建設を各分野にわたって援助した。

 わが党と共和国政府は、これまでと同様、今後とも南南協力の強化に大きな意義を付与し、発展途上諸国との経済・技術・文化協力と交流をたえず拡大発展させていくであろう。

 何よりもまず、発展途上諸国の経済的自立をなし遂げるうえで、第一義的な意義をもつ分野から多面的な経済・技術協力と交流を積極的に実現しなければならない。

 発展途上諸国が経済的自立をなし遂げるうえで当面して解決すべき最も重要な問題は、農業を発展させて食糧を自給自足することである。

 発展途上諸国は、農業を発展させて食糧問題を解決してこそ、帝国主義者の経済的従属から抜けだし、政治的独立を強固にし、人民を飢餓と貧困から解放することができる。

 共和国政府は、農業部門で南南協力を積極的に発展させることに大きな力を入れるであろう。

 農業生産を早く増やすためには、多収穫品種の育種と科学的な作物栽培法の研究をはじめ、農業科学研究活動を発展させなければならない。

 我々は、わが国の協力によってアフリカの数か国に創設された農業科学研究所と試験農場を充実させ、それをよりどころにしてこの地域の自然地理的条件と気候風土にかなった農法と種子を研究し、これまでの研究成果を農業生産に導入して食糧生産を増やす積極的な措置を講じるべきである。

 同時に、その他の国々にも農業科学研究所と試験農場を増設し、条件が整いしだい発展途上諸国のための農業科学院を創設する準備を進めるべきである。

 我々はまた、潅漑建設分野における経験と技術を交換し、潅漑工事の設計と施工、潅漑施設の運営で緊密に協力するとともに、潅漑設備、農業機械、農薬、肥料などの農業生産機材を生産する共同企業を創設し、有無相通ずる原則と特恵条件による交流を広くおこなうべきである。

 共和国政府は、工業分野でも発展途上諸国間の協力の拡大発展に大きな力をそそぐであろう。

 工業分野では、人民生活の向上に切実な意義をもつ軽工業部門から協力を強化すべきである。これとともに、小規模の農業機械工場と部品工場から水力発電所、製鉄所、製鋼所、圧延工場、セメント工場にいたるまでの工場の建設と運営において、経済・技術協力をいっそう拡大し、港湾と道路、地下鉄の建設を援助し、鉱山を共同で開発するなど、各分野にわたって発展途上諸国との協力を幅広く、積極的におこなうべきである。

 我々は、発展途上諸国の技術者の養成と交流にも深い関心を払わなければならない。

 発展途上諸国が互いに技術者を養成し交流するならば、多くの金を払い、頭を下げて先進諸国の技術者を招じなくても、経済・技術問題を立派に解決することができる。

 我々は今後も、発展途上諸国への各部門の技術者の養成と派遣をより活発にして、技術協力を発展させ、特に南南協力で第一義的意義をもつ農業部門の技術者養成において協力をいっそう強化すべきである。

 我々はこのほかにも、教育、保健医療、文化・芸術など各分野で多面的な協力と交流を実現して、南南協力の模範を示すべきである。

 南南協力を強化するうえで重要な問題の一つは、発展途上諸国間の双務的協力と地域的および地域間協力を拡大発展させながら、全般的な南南協力を力強くおし進めることである。

 我々は、すべての非同盟国および発展途上国と、必要かつ可能な分野から経済・技術交流と協力を実現し、しだいにその幅を広げ、協力と交流を低い段階から高い段階に発展させるべきである。

 我々は、わが国と地理的に近いアジア諸国、特に東南アジア諸国との協力と交流に関心を払わなければならない。

 わが国と東南アジア諸国は、同じアジアの国として多くの共通点をもっており、経済的利害関係においても互いに密接なつながりをもっている。

 我々は、東南アジア諸国との貿易に大きな力を入れて取り引き対象を積極的に拡大し、近いうちに輸出入物資の品目を増やし、貿易額をいちだんと高めるべきである。

 これとともに、我々は東南アジア諸国との経済合作と技術協力を広く実現する方向に進まなければならない。

 完全な平等と互恵、有無相通ずる原則で東南アジア諸国との貿易を拡大し、経済合作と技術協力を広く実現するならば、それはわが国の経済建設と東南アジア諸国の経済発展にともに利益となり、大きな助けとなるであろう。

 こんにち南南協力を拡大発展させるうえで重要なのは、集団的自力更生の原則にもとづき、相互協力の膨大な可能性を探求、動員して有無相通ずる有力な政治的公約をし、実際の行動に移ることである。

 南南協力を積極的におし進めるためには、最高位級でこの問題を討議して決定を採択すべきであり、それにもとづいて協力を実現する実際的な対策が講じられなければならない。

 こんにち、南南首脳会議を招集することは、南南協力発展の最も切実な要求である。

 南南首脳会議を招集し、南南協力を発展させる問題について真剣に協議するならば、月世界に行くような高度の技術を要する分野は別として、食糧生産や技術者養成など、民族経済の自立性を強化するうえで第一義的意義をもつ部門で協力を実現する方途は十分、見出すことができるであろう。

 我々は非同盟諸国および発展途上諸国と力を合わせ、南南首脳会議の早期実現のために努力を傾注しなければならない。

 社会主義諸国との貿易と経済・技術協力を発展させることは、わが党と共和国政府の対外経済活動において依然として重要な位置を占めている。

 社会主義諸国は、共通の目的と理想を実現するために肩を組んでたたかう戦友であり、伝統的な友好と階級的なきずなで結ばれている兄弟国である。社会主義諸国は経済的にも互いに密接なつながりをもっている。

 共和国政府は、新社会建設の当初から社会主義諸国との経済関係の発展に第一義的な意義を付与し、同志的協力と有無相通ずる原則で経済協力と交流をたえず拡大してきた。

 こんにち、わが国の対外貿易と経済協力において、社会主義諸国は最も大きく重要な位置を占めている。社会主義諸国間の経済協力と交流は、個々の社会主義国の経済建設の推進に役立ち、社会主義諸国間の友好と団結の強化に寄与している。

 我々は、社会主義市場をひきつづき重視し、新たな高い段階に入ったわが国の革命と建設の現実的要求に即応して、社会主義諸国との貿易と経済合作、技術協力をいっそう積極的に、幅広く発展させなければならない。

 社会主義建設の急速な前進に伴い、社会主義諸国との貿易を大々的に拡大することはさし迫った要求となっている。

 我々は、機械設備などの重工業製品と軽工業製品の社会主義諸国への輸出を大幅に増やし、我々に必要な原料、燃料と一部の機械設備をこれらの国からさらに多く輸入することにより、ここ5、6年のうちに社会主義諸国との貿易額を現在の10倍以上に高めるべきである。これとともに、社会主義諸国との経済合作と技術協力を広く発展させるべきである。

 我々は、新しい工業部門と技術を発達させ、わが国に豊富な天然資源を開発し、合理的に利用するうえで社会主義諸国との経済合作と技術交流を広く実現すべきである。

 我々は、社会主義諸国との貿易と経済合作、技術協力を多様な形式と方法で各分野にわたって実現することにより、わが国の社会主義建設を促進し、兄弟諸国との友好・団結を強化し、社会主義・共産主義の共同偉業に寄与しなければならない。

 我々は、わが国の自主性を尊重する資本主義諸国との経済・技術交流と貿易を積極的に発展させるべきである。

 わが国の自主権を尊重し、我々に友好的な資本主義諸国と経済・技術交流を広く発展させることは、わが国の経済建設の助けとなるばかりか、これらの国との関係を発展させるうえでも有利な条件をもたらす。

 我々には、資本主義諸国との経済・技術交流を実現できる強固な元手がある。

 ここ数年のあいだに非鉄金属の生産能力を大幅に高め、150万トンの非鉄金属生産目標を達成できる強固な土台を築くとともに、鉄鋼材やセメントなど、莫大な外貨を獲得できる輸出品の生産基地を整えた結果、我々の支払い能力はかつてなく高まった。

 我々は、何よりもわが国と外交関係のあるヨーロッパの資本主義諸国と各分野にわたって技術交流と経済合作を広く発展させなければならない。また、わが国とまだ外交関係を結んでいない資本主義諸国とも経済関係を発展させるべきである。

 資本主義諸国との経済・技術交流を発展させるためには、往来と接触をさかんにし、技術交流、経済合作を相互の利益をはかる原則でおこなうべきである。

 わが党と共和国政府の対外経済政策を貫徹するうえで重要なのは、自力更生をして民族経済の自立的土台を強固にする一方、世界各国との経済協力関係を広く発展させることである。

 自力更生をして、民族経済の自立的土台を強固にしなから外国との経済協力関係を発展させてこそ、対外経済関係で自主性を堅持し、対外貿易と対外経済活動を平等と互恵の原則にもとづいて発展させることができる。

 我々は、自力更生の旗のもとに、みずからの力と国内源泉を余すところなく動員して民族経済の自立的土台をいっそう強固にし、それに依拠して南南協力と対外経済活動を強化し、貿易発展のうえで提起されるすべての問題を成功裏に解決しなければならない。

 世界各国との経済協力関係を広く発展させるためには、わが党の示した信用第一の原則を厳守しなければならない。

 信用は、対外経済関係発展の先決条件であり、平等、互恵、有無相通ずる原則で外国との貿易と経済・技術交流を広く発展させる裏付けであり、国の権威にかかわる重要な問題である。

 我々は信用第一の原則にもとづき、すべての部門で輸出品を優先的に生産し、納入期日を厳守し、経済合作と技術協力のために外国と結んだ協定を確実に履行しなければならない。

 輸出品の生産で技術規定を厳守し、契約条件に従って製品を生産し、包装を改善して、輸出品の品質を高い水準で保障しなければならない。

 貿易と対外経済活動を広く発展させるためには、長期的な展望をもって輸出品の生産基地を築かなければならない。輸出品の生産基地をしっかり整えてこそ、輸出品の生産をたえず増やし、その品質を高めることができる。

 我々は、国の経済発展と現実に即した各種形態の輸出品専門工場と企業所を増設し、特に対外輸出で重要な位置を占める部門の輸出基地を見通しをもって整えるべきである。

 対外経済関係の拡大発展に伴って対外輸送を強化しなければならない。

 我々は、鉄道による対外輸送をひきつづき強化する一方、海上輸送の発展に力を入れて貿易港をさらに充実させ、近代的な貨物船を増やすことにより、自国の船舶による貿易貨物輸送をさらに発展させるべきである。

 共和国の対外経済活動を強化して世界各国との経済協力関係を拡大するためには、貿易機関と貿易従事者の責任感と役割を高めなければならない。

 貿易機関の活動家は、わが党の自主的な対外経済政策を堅持し、対外経済活動を積極的に展開することにより、世界各国との貿易を拡大し、経済合作と技術協力を広く発展させるべきである。

 南南協力と対外経済活動を強化し、貿易をいっそう発展させることは、国の社会主義建設の促進と祖国の自主的平和統一の早期実現、世界の進歩的人民との友好・団結の強化と全世界の自主化偉業の実現に寄与する崇高な事業である。

 朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議は、本会議の議案「南南協力と対外経済活動を強化し、貿易をいっそう発展させるために」を討議し、次のように決定する。

 1.本会議に提出された報告「南南協力と対外経済活動を強化し、貿易をいっそう発展させるために」を承認する。
 2.政務院は、南南協力と対外経済活動を強化し、貿易をいっそう発展させるための具体的な対策を講じること。

 朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議は、人民経済のすべての部門でチュチェ思想の旗、反帝・自主の旗を高くかかげ、わが党と共和国政府の自主的な対外経済政策を立派に貫徹して、南南協力と対外経済活動をいっそう強化し、貿易発展において新たな転換をもたらすものと確信する。
出典:『金日成著作集』38巻 

ページのトップ


inserted by FC2 system