金 日 成

全党、全国、全人民が取り組んで海面干拓と新しい土地開墾の
大自然改造事業を力強くくりひろげよう
朝鮮労働党中央委員会第6期第4回総会でおこなった演説 
−1981年10月5日− 


 同志のみなさん!

 このたびの総会で我々が討議する大自然改造事業は、極めて雄大かつ壮大な事業です。

 我が党の第6回大会は、1980年代の末までに30万ヘクタールの海面干拓をおこない、20万ヘクタールの新しい土地を開墾するという課題を示しました。我々が第6回党大会の決定を実行してこの課題を遂行するならば、現在の穀類作物面積の3分の1に相当する耕地面積が増えることになります。これは、我が国の社会主義農業の発展においていま一つの偉大な出来事となるでしょう。

 
 西海閘門
1981年5月に始められ、1986年6月24日に竣工した

 現在の我が国の耕地面積のうち、果樹園と工芸作物面積、それに高地帯の斜面畑を除けば、安定した農作を営める穀類作物の面積は150万ヘクタールにしかなりません。我々は、150万ヘクタールの耕地で生産した穀物で全人民の食糧をまかなっています。実際のところ、150万ヘクタールの耕地をもって、ほとんど2000万に近い人口を養うということは奇跡だといえます。世界のどの国を見てもこうした奇跡はありません。世界で、我が国のように少ない耕地面積で食糧を自給自足しているばかりか、多くの食糧を備蓄している国は我が国しかありません。

 我が国の農業生産で達成された輝かしい成果は、社会主義農村テーゼの生命力と我が党の農業政策の正しさを実証しています。

 我々はこれまで、社会主義国は農業の営み方を知らないという帝国主義者の誹謗をはねのけ、社会主義農村問題を成功裏に解決するため、『我が国における社会主義農村問題にかんするテーゼ』をうちだしました。我々は社会主義農村テーゼで示したとおり、農業にたいする工業の援助と農村にたいする都市の支援を強化し、労働者、農民、インテリをはじめ、全人民が総がかりで農作を営み、農村技術革命を力強くくりひろげて農業の水利化、電化を成功裏に完成し、機械化、化学化でも大きな前進を遂げました。全党員と勤労者がこぞって社会主義農村テーゼを実現するたたかいを力強くくりひろげた結果、我が国の社会主義農村建設には偉大な転換がもたらされました。

 我が党が社会主義農村問題の解決で立派な成果をあげたため、世界中の人々がいま我が国を見上げており、我が国から学ぼうとしています。

 周知のように、先ごろ我が国では、食糧・農業増産にかんする非同盟およびその他発展途上諸国の討論会が成功裏に開催されました。討論会では、食糧・農業増産にかんする平壌宣言を採択し、我が国における農業発展の成果を全世界の人民に広く示威しました。

 食糧・農業増産にかんする平壌討論会には、世界81か国と14の国際機構の代表団と代表が参加しました。これまで他の国で開催された科学討論会の参加者はだいたい科学者や技術者でしたが、今回の平壌討論会の参加者は政府閣僚級の人物が多数をしめました。平壌討論会の参加者のうちには、世界各国の農業相が42名もおり、そのほかにも党と政府の農業担当責任幹部が少なくありませんでした。もし、我々が農業分野で立派な成果をおさめていなかったなら、このように世界各国から多くの高位級の代表団はこなかったでしょう。

 最近、我が国を訪問したある国の大統領は、いま世界中の人が平壌に視線を向けており、朝鮮に学ぼうとしているといっていました。世界の人民が我が国に関心を向け、我々から学ぼうとするのは非常に好ましいことであり、光栄なことです。

 我が民族の五千年の歴史において、いつ、こうした誇らしい時代があったでしょうか。我が民族は五千年の長い歴史をもってはいますが、我が国が世界に名をとどろかせ、世界の人民から仰ぎ見られる栄えある時代は、我が労働党の時代になってはじめて迎えたのです。我が党中央委員会の委員とすべての党員、国家・経済幹部と全人民は、これにたいして堂々たる誇りと自負をいだくべきです。

 我が党がこれまで農業の発展と食糧問題の解決で偉大な成果をおきめたというのに、なぜこんにち干拓地と新しい土地を大々的に開拓する問題を新たに提起する必要があるのでしょうか。

 もちろん、我々はいま食糧を自給自足しているのみか、ある程度の余裕をもってゆとりのある生活をしています。だが、我々はこれに満足することはできません。我が国の農業生産はまだ、必要に応じた供給を実現できる程度にまでは達していません。

 我々の目標は、共産主義を建設することです。共産主義を建設するためには、農業生産の発展をはかって、まず食の問題から、各人は能力に応じて働き、各人には必要に応じて供給する共産主義的原則を実現しなければなりません。

 米は、社会主義・共産主義の建設でいちばん最初に占領しなければならない高地です。社会主義・共産主義建設は、けっして綱領を発表したり宣言を採択することによって実現するものではありません。人民に食糧を十分に供給せずには、社会主義・共産主義を成功裏に建設することができず、食の問題を完全に解決することなしには社会主義・共産主義を建設したとはいえません。

 我々は社会主義建設をはじめたときから、米はすなわち社会主義であるというスローガンを示し、それを実現するため力強くたたかってきました。そうして、我が国ではすでに、米はすなわち社会主義であるというスローガンが立派に実現され、このスローガンの正しさと生命力は実生活をつうじて実証されています。

 米は社会主義建設でいちばん重要であるのみか、共産主義建設でもいちばん重要です。米はすなわち共産主義です。我々はこれまで、米はすなわち社会主義であるというスローガンをかかげて食糧問題を解決するためたたかってきましたが、これからは、米はすなわち共産主義であるというスローガンをかかげ、食の問題において必要に応じて供給する共産主義的原則を実現するためにたたかわなければなりません。

 農村の技術革命が力強く推進され、チュチェ農法が立派に貫徹されて農業生産が高度に集約化されている我が国の現状において、穀物生産の画期的な増大をはかる基本的方途は、耕地面積を大々的に拡張することです。耕地面積を拡張せず、ヘクタール当たりの収量を増やす方法だけでは、必要に応じた供給を実現できる程度に農業生産を速やかに発展させることはできません。

 我が党第6回大会が示した目標どおり、近い将来30万ヘクタールの海面干拓をおこない、20万ヘクタールの新しい土地を開墾すれば、我が国の耕地面積は著しく増え、農業生産には画期的な転換がもたらされるでしょう。

 海面干拓をおこない、新しい土地を開墾することは、とりもなおきず穀物生産を増大させることを意味します。30万ヘクタールの干拓地と20万ヘクタールの新しい土地を開拓すれば、第6回党大会が示した1500万トンの穀物生産目標を成功裏に達成することができ、食の問題に根本的な転換をもたらすことができます。

 30万ヘクタールの海面干拓をおこない、緑の革命をおこなって優良品種を得るなら、今後我が国では、籾米だけでも1000万トンの生産が可能です。籾米が1000万トン生産されれば、人民に白米だけ供給しても、なお多くの米を貯蔵することができ、トウモロコシは飼料にふりむけて食肉を生産することができます。また、20万ヘクタールの新しい土地を開墾すれば、糖料作物や油脂作物を大量に栽培して、人民に糖分や食用油を十分にとらせることができます。こうなれば、人民に白米と肉汁を食べさせ、幸せな暮らしをさせようという我々の遠大な構想は立派に実現するでしょう。

 いまも朝鮮人民は、国家から十分な食糧供給をうけ、食糧の心配をせずに幸せな暮らしをしています。いま我が国では、国家が農民から1キロ当たり60チョンで買い上げた米を労働者、事務員に8チョンで供給しています。人民に格差のない生活をさせるため、こうした施策をとっている国は我が国しかありません。ひところ一部の人は、我が国でも食糧を供給制にせず、一般価格で販売しようという意見をだしました。かれらのいうとおり食糧を供給制にせず一般価格で販売するなら、家族数が少なくて働き手の多い家庭は問題ありませんが、家族数が多くて働き手の少ない家庭では生活が苦しくなるおそれがありました。それで我々は、食糧供給制を廃止しようという意見を受け入れませんでした。

 国家が人民に食糧を廉価で供給するのは、最も先進的で人民的な施策です。しかし、これはまだ必要に応じて供給する共産主義的施策とはいえません。これから干拓地と新しい土地を50万ヘクタール開拓して1500万トンの穀物生産目標を達成すれば、食の問題で必要に応じて供給する共産主義的原則を実現するうえで新たな転換がもたらされるでしょう。

 我々は金富者ではなくて米富者になるべきです。金(きん)をもっているだけでは生きていくことができません。いま、世界の多くの国が食糧危機に見舞われており、世界中で食糧を切らして毎年数千万もの人が飢え死にしており、数億の人口が飢餓に苦しんでいます。2000年代になれば世界的な食糧危機はさらに深刻化し、いまよりもっと多くの人が飢え死にする見こみだそうです。我々が奮闘して30万ヘクタールの干拓地と20万ヘクタールの新しい土地を開拓しておけば、世界的範囲でいくらひどい食糧危機が襲っても、その影響をうけずにすみ、人民に現在よりもさらに豊かな暮らしをさせることができます。

 農業生産を発展させて食糧問題を円滑に解決することは、社会主義制度をいっそう輝かし、世界の人民にたいする社会主義の影響力を強める重要な問題の一つです。

 いま、世界の多くの国の人民が社会主義を憧憬し、社会主義の道を進もうとしています。農業生産を増大させて食糧問題を円滑に解決するなら、社会主義を志向している世界各国の人民に実践的模範をもって社会主義制度の優位性を証明してみせることができ、社会主義建設をめざすかれらのたたかいを力強く励ますことができます。社会主義を建設している国が食糧問題を満足に解決できず、外国に食糧を乞い歩くようでは社会主義の恥さらしであり、社会主義を志向する国の人民に革命的影響を与えることができません。

 大自然改造事業を力強くおし進めて耕地面積を増やし、農業生産を高めるのは、祖国統一偉業を実現するうえでも極めて重要な意義をもちます。大自然改造事業を立派におこなって農業生産に新たな転換をもたらすならば、アメリカ帝国主義者と南朝鮮かいらい一味の反人民的な農業政策のため飢えに苦しんでいる南朝鮮人民に大きな希望と励ましを与え、かれらを民主的自由と祖国統一をめざすたたかいにいっそう力強く立ち上がらせるでしょう。また、農業生産を画期的に増やして食糧をたくさん備蓄しておけば、祖国が統一したのち、飢餓にあえぐ南朝鮮人民に食糧を十分に供給し、かれらの生活を速やかに安定、向上させることができます。

 我が国で海面干拓をおこなって耕地面積を増やす問題は、こんにちにいたってはじめて提起されたのではありません。

 私は解放直後から、西海岸一帯の広い干潟地を干拓する構想をあたためていたし、戦時には総合大学のあった平安南道順川郡栢松(ペクソン)里に行って、総合大学の教職員、学生に干潟地を調査する課題を与えました。その後、総合大学の教職員、学生は、西海岸の干潟地の調査をおこないました。しかし、当時は我々に干潟地を干拓する力がありませんでした。それで、いままで海面干拓事業を大々的に進めることができずにいました。

 いまでは我々に、干拓地と新しい土地を開拓する自然改造事業を大々的にくりひろげられるすべての条件と可能性が十分にととのっています。我々には、干拓地と新しい土地の開拓に必要な運搬船、掘削機などの機械設備や資材を生産供給できる威力ある社会主義工業があり、我が党が育てあげた生気はつらつとした技術者、専門家の大集団があり、干拓地と新しい土地を開拓した豊富な経験があります。党組織が正しく指導し、行政・経済幹部が仕事の手配を綿密にするならば、30万ヘクタールの干拓地と20万ヘクタールの新しい土地を開拓する事業は短期間内に成功裏に遂行することができます。

 海面干拓をおこない、新しい土地を開墾して耕地面積を増やすためには、用水の問題を解決しなければなりません。用水の問題を解決せずには、いくら干潟地をたくさん干拓しても役に立ちません。西海岸干拓地の用水問題を解決するためには、南浦閘門(現在の西海閘門)と泰川発電所を建設しなければなりません。

 30万ヘクタールの海面干拓と20万ヘクタールの新しい土地開墾、干拓地の用水問題を解決するための南浦閘門と泰川発電所の建設、これが我が国で食糧問題を完全に解決するための当面の4大建設課題です。

 30万ヘクタールの海面干拓と20万ヘクタールの新しい土地開墾、南浦閘門と泰川発電所の建設は、国土を拡張し国の面貌をかえ、次代により住みよい祖国の大地を譲り渡すための万年大計の雄大かつはりあいある大自然改造事業です。これはまた、人民の食の問題を完全に解決して共産主義的分配を実現するための誇らしい闘争であり、社会主義制度の優位性を誇示し、祖国の統一を早める崇高な政治的闘争です。

 全党、全国、全人民が、海面干拓と新しい土地開墾、南浦閘門と泰川発電所の建設にこぞって立ち上がらなければなりません。全人民が取り組んで力強くたたかうならば、大自然改造の雄大かつ壮大な4大建設課題を短期間内に成功裏に遂行することができます。

 全党、全国、全人民が、総がかりで1985年までに南浦閘門と泰川発電所の建設を終え、少なくとも20万ヘクタールの干拓地と10万ヘクタールの新しい土地を開拓しなければなりません。我々がこの課題を遂行すれば、次回の党大会で輝かしい総括をすることができるでしょう。

 なによりもまず、海面干拓工事を力強くおし進めるべきです。

 1500万トンの穀物生産目標を達成し、食の問題を円滑に解決するためには、30万ヘクタールの海面干拓工事に力を集中しなければなりません。

 30万ヘクタールの干拓地を造成すれば、籾米をヘクタール当たり6トンの収量をあげるとしても180万トンであり、今後品種改良をすれば360万トンは問題ないでしょう。こうなれば、我が国は文字どおりの米富者になるでしょう。

 30万ヘクタールの海面干拓をするというのは膨大な事業ではありますが、さして、むずかしい課題ではありません。海面干拓は、労働力と石材があり、運搬船など数種の設備さえあれば十分工事を進めることができます。我が国には、海をせき止めて干拓地を造成するのに必要な石材も多く、運搬船をはじめ、機械設備を供給できる強固な工業土台もきずかれています。

 いま、ある国では石材がなくて、外国から石材を買い入れて海面干拓をおこない、水深80メートルにおよぶ海までせき止めて耕地を得ています。そういう国にくらべれば、我が国の海面干拓の条件はたいへん有利です。我が国西海岸の干潟地は浅くて、引き潮のときには地表が全部露出します。他の国でのように深い海までせき止めようとするなら、我々は30万ヘクタールどころか50万ヘクタール、60万ヘクタールでも干拓することができます。海をせき止めて干拓地を造成するのは神秘なことでもなく、それほどむずかしいことでもありません。すべての活動家は自信と勇気をもって、海面干拓に積極的に取り組むべきです。

 干拓地の造成と利用で実際上むずかしい問題は、新しく造成した土地ですぐに高い収穫が得られるようにすることです。

 これまで、我々はこの問題を解決するためいろいろな方法でテストもし、研究も重ねてきました。しかし、新しく造成した干拓地の水田では、10年たってもヘクタール当たり4、5トンそこそこの籾米しかとれませんでした。ところが今度、農業科学院の室長李哲柱(リチョルチュ)さんが党と革命にたいするあつい忠誠心を発揮して、この問題を立派に解決しました。かれは30万ヘクタールの海面干拓をおこなうという第6回党大会の決定を銘記し、現地に出向いて科学研究活動を献身的におこない、新しく造成した干拓地で初年度から高収穫をあげる方途を見つけだしました。

 李哲柱さんが干拓地の造成問題で私の頭をいちばん悩ましていた問題を立派に解決したことにたいし、私はたいへん満足に思っています。私は党中央委員会総会の名で、党の遠大な構想をうけとめて農業生産の向上に大きく寄与した李哲柱さんと、その研究活動を積極的に援助した平安南道粛川(スクチョン)郡党委員会に感謝を送ります。

 海面干拓を成功裏に進めるためには、すべての活動家が自力更生の革命精神を強く発揮しなければなりません。

 30万ヘクタールの海面干拓工事は、全党的、全国家的な事業なのですから、必要な設備や資材はそのつど国家から供給されるでしょう。だからといって、活動家は国家が供給してくれればやり、供給してくれなければできないという態度と思想観点に立ってはいけません。いま一部の人は、自力更生の革命精神に欠け、ことあるごとに、なにが足りないと泣きごとばかりいっていますが、これは革命家の活動態度ではありません。

 どんな仕事においても、供給してくれればそれにこしたことはないし、供給してくれなければ自分の力でやり遂げるという決心と覚悟をもつことが肝心です。幹部は、国家から必要な設備や資材が供給されればそれにこしたことはなく、供給されなくても自分が受け持った仕事は自分の力でなし遂げるという確固たる心構えをもつべきです。これがほかならぬ自力更生の革命精神なのです。

 かつて多獅島(タサド)港の建設者は、すべてが不足する悪条件のもとでも、自力更生の革命精神を強く発揮して多くのことをなし遂げました。かれらは、供給してもらえればよいし、供給されなければ自分の力でやるという覚悟をかためて、少ない労働力とわずか数台のトラクターで外海をせき止め、短期間に多獅島港を立派に建設しました。ピタン(絹)島を建設したのもかれらであり、平安北道にある干拓地養魚場を建設したのもかれらでした。

 なにごとにせよ自力更生の革命精神を発揮することが大切です。我が国が戦後、戦争によってすべてが破壊された廃墟のなかからあれほど早く立ち直ることができたのも、人民が党の指導のもとに自力更生の革命精神を強く発揮して奮闘したからです。すべての活動家は、多獅島港建設者の発揮した自力更生の模範に見習い、海面干拓工事で自分の受け持った仕事は自分の力で最後までなし遂げる革命的気風を強く発揮しなければなりません。

 干拓地の造成と同時に、造成した干拓地ですぐ農作ができるように十分な準備をととのえることが重要です。

 新しく造成する干拓地の水田ですぐ農作を営むためには、地区内工事を進めなければなりません。地区内工事も簡単ではありません。海をせき止めて干拓地を造成する工事に劣らず、この工事も複雑で骨がおれます。

 造成した干拓地に水路を引き、揚排水施設を設け、農業機械の作業にさしさわりがないよう耕地を整理して田畑を規格化し、道路をつくるなど、地区内工事を十分におこなうべきです。

 これから30万ヘクタールの干拓地が造成されれば、一つの農場の耕地面積を2000ヘクタールとしても、150の農場を新設しなければならず、粛川郡くらいの郡を15個も新設しなければなりません。ですから、干拓地を造成したのち、新しい農場は、どう組織し、郡機関はどこにおき、新たに要求される労働力と農業機械はどのように供給するかといったいろいろな問題を具体的に見積り、前もって必要な対策を講じなければなりません。

 新しく造成される干拓地にたいする総合的な国土建設計画を立て、それにもとづいて郡機関所在地と農場を配置し、住宅と電気・通信施設、水道、道路を建設するようにしなければなりません。

 そして、すべての農作業を総合的に機械化できるように、トラクター、田植機などの農業機械の生産、供給対策も十分に立てるべきです。来年、3万ヘクタールの海面干拓をおこなうことになりますが、水田100ヘクタール当たり5台のトラクターを供給するとしても、1500台が必要です。

 新しく組織される農場に必要な労働力を配置する計画も立てなければなりません。一人当たりの水田管理面積を5ヘクタールとしても、来年度に造成する3万ヘクタールを管理するには6000人の労働力が必要です。労働力を配置すると同時に、住宅を建設しなければなりません。住宅を建設せずに労働力だけ配置しては用をなしません。住宅があってこそ、新しく配置された人たちが腰をすえて仕事に専念することができます。

 造成された干拓地に新設される郡の建設と農場の管理運営に、管理幹部と技術者がどれくらい必要なのかを具体的に見積って養成対策を立て、他所の活動家を一部、調節配置する案も立てる必要があります。

 新しく造成された干拓地で農作を営むためには、このほかにも解決を要する問題がたくさんあります。海をせき止めて干拓地を造成しさえすれば、おのずと米が生産されるものと考えるのは早まっています。政務院と当該部門の活動家は、干拓地の農作で提起されるいろいろな問題をくわしく検討して必要な対策を立て、新しく造成される干拓地ですぐ農作を営む準備を計画的におこない、干拓地での農作にさしさわりのないようにすべきです。

 次に、新しい土地開墾運動を力強くくりひろげなければなりません。

 我が国で農業生産の速やかな増大をはかるためには、海面干拓を大々的におこなうと同時に、新しい土地開墾運動を力強くおし進めて、より多くの耕地を得なければなりません。

 新しい土地開墾運動を力強くくりひろげてより多くの耕地を得なくては、穀物生産面積を早く増やすことができず、穀物生産面積を減らさずに各種工芸作物の生産面積を増やすこともできません。

 我々は、これから油脂作物の生産をさらに増やし、タバコの生産も大幅に増やさなければなりません。また、勾配が強くて穀物収量の少ない畑のうち、一部は桑畑に切りかえてまゆの生産に供さなければなりません。こうして、人民に食糧だけでなく食用油も十分に供給し、タバコもたくさん供給すべきであり、タバコとまゆの生産増大をはかって外貨も大いに獲得しなければなりません。

 我が国にはまだ、耕地として利用できる未開墾地がたくさんあります。両江道の渓谷地帯には開墾の可能なかなりの沼地があり、咸鏡北道をはじめ、いたるところに未開墾地があります。河川を丹念に整理して土入れをすこししても、耕地に利用できる土地をたくさん得ることができます。初歩的な見積りによっても、現在、我が国で約10万ヘクタールの新しい土地を手に入れるのは、それほどむずかしいことではありません。

 我々の奮闘しだいでは今後、数年内に20万ヘクタールの新しい土地を十分手に入れることができます。

 新しい土地開墾運動をくりひろげるうえで重要なのは、耕地に利用できる土地を起こすことです。新しい土地開墾運動をするからといって、利用価値のない土地を起こしたり、焼畑をむやみに起こし、山林を乱伐して国の大切な森林資源を荒廃させ、山崩れを起こさせるようなことをしては絶対にいけません。

 新しい土地開墾運動は、あくまでも第6回党大会が示した方針にもとづいて、傾斜度が適当で耕地に利用できる土地を起こす方向で進めるべきです。我々はこれから、起こしやすく耕作しやすい丘陵や小松原、そして鉄道沿線の空閑地を起こし、河川を整理し、土入れをする方法で新しい土地を手に入れるべきです。特に、我が国北部にある高原と台地を大々的に開墾すべきです。

 もしも、新しい土地を起こせる土地がそれほどなくて、20万ヘクタールの新しい土地を得るのがむずかしければ、10万ヘクタールでもよいし、5万ヘクタールでもよいでしょう。要は、実際に利用できる土地を手に入れることです。もちろん、新しい土地開墾運動では20万ヘクタールの目標をかかげて奮闘すべきですが、だからといって、役に立たない土地を無理に開墾する必要はありません。20万ヘクタールが無理なら可能なかぎり努力し、あとの土地は干拓地をさらに造成する方法でうめあわせるべきです。海面干拓に力を入れて立派な水田面積をそれだけもっと手に入れるほうが、利用価値のない土地をむやみに起こすよりはるかにまさっています。

 新しい開墾地の位置や面積などは、これから道党委員会別に広範な討議にかけて決定すべきです。各道党委員会の責任幹部は関係者といっしょに直接現地に出かけて、耕地に利用できるかどうか、そこを開墾して山崩れが起きるおそれはないかといったことを具体的に検討し、開墾する適地を決めるべきです。

 各道党組織は、新しい土地を起こそうとして山林を荒廃させたり、焼畑をむやみに起こすことのないよう、厳格に統制すべきです。

 次に、南浦閘門の建設を積極的におし進めるべきです。

 南浦閘門の建設は、大同江の水をとって干拓地の用水問題を解決する極めて重要な工事です。用水の問題を円滑に解決せずには、干拓地をいくらたくさん造成しても用をなしません。いま、平安南道温泉(オンチョン)郡と甑(ツンサン)山郡一帯の干拓地の水田では水不足のため、所期の穀物生産量を得られないありさまです。温泉郡6月3日協同農場では、干拓地を造成して開田以来十年余りたちましたが、十分な給水ができないので文徳(ムンドク)郡の協同農場より籾米の収量が落ちています。ですから、干拓地の用水問題を解決し、西海岸地帯の干拓地の稲作をより効果的に営むためには、南浦閘門の建設を力強くおし進めて早く完成しなければなりません。

 南浦閘門が建設されれば、平安南道と黄海南道一帯の潅漑用水の問題も円滑に解決されます。南浦閘門が建設されれば、平安南道の田畑はもちろん、黄海南道の載寧(チェリョン)郡、安岳(アンアク)郡、信川(シンチョン)郡、殷栗(ウンリュルル)郡一帯の田畑にも水を十分に供給することができ、黄海南道の銀波(ウンパ)湖をはじめ、この地帯の貯水池の水は青丹(チョンダン)方面にまわすことができます。

 南浦閘門が建設されれば、大同江下流地帯の工業用水と飲料水の問題もスムーズに解決されます。また、大同江と載寧江の水深が深くなって、大小の船が通えるようになり、南浦から順川、徳川、載寧にいたる工業地帯と農業地帯が一つの大運河で結ばれ、水上運輸発展の明るい展望が開かれるようになり、閘門の上に鉄道と車道を新設して西海岸に環状線を形成し、この一帯の交通運輸をさらに発展させることができるでしょう。そして、大同江はいつも清らかな水でみたされ、魚が群がり、川ぞいの風光はいっそう美しくなるでしょう。

 南浦閘門の建設工事は、労働党時代のいま一つの大記念碑的建造物をうち立てる世界に誇れる雄大な工事であり、子孫万代の幸せのためのはりあいある工事です。

 南浦閘門の建設工事は、極めて困難かつ膨大な工事です。これは、上げ潮とたたかいながら水深数十メートルにおよぶ外海を横ぎって堤防を築き、いくつもの閘室をつくり、堤防の上に車道と鉄道を敷設する膨大な大自然改造事業です。事実、南浦閘門の建設工事は海面干拓よりもっと困難な工事です。

 しかし、閘門の建設に参加するすべての人が、党と祖国と人民にたいするかぎりない忠実性を強く発揮して積極的にたたかうならば、この工事を円滑に保障することができます。いまこの建設工事に参加している建設者の思想・精神状態は極めて良好であり、かれらは党から課された革命任務を必ずや遂行するというかたい決意にみちています。党中央委員会は、党にかぎりなく忠実な建設者の英雄的たたかいによって、南浦閘門の建設工事が必ず成功裏に遂行されるものと確信しています。

 南浦閘門の建設工事を早めるためには、その準備に万全を期さなければなりません。

 閘門建設現場に鉄道と道路を早急に建設すべきです。そうすれば、工事に必要な設備と資材をそのつど運搬し、建設全般を力強くおし進めることができます。これと同時に、骨材と部材の生産基地建設を先行させ、工業用水と飲料水の問題を解決する対策を十分に講じるべきです。

 関係部門ではレールとセメントをはじめ、工事の準備に必要な各種の設備と資材をそのつど生産、供給しなければなりません。

 南浦閘門建設者の生活条件を十分に保障すべきです。

 なによりもまず、建設者への副食物の供給を円滑におこなうべきです。南浦市と平壌市、黄海南道は、野菜をはじめ副食物の供給を責任をもって保障すべきです。

 さしあたり、建設者の冬越しの準備に万全を期すべきです。関係部門では木材とセメントを適時に供給して、建設者の越冬用宿舎から先に建てるようにすべきです。

 南浦閘門の建設を短期間内に終えるためには、全党、全国、全人民が、総がかりでこれを力強く支援しなければなりません。

 次に泰川発電所の建設を急ぐべきです。

 泰川発電所は、新しい水力資源開発方式で建設されるはじめての発電所であり、我が国最大の水力発電所です。泰川発電所を建設すれば、電力生産を増大させて人民経済の電力需要をみたすことができ、平安北道に新たに造成される干拓地の用水問題を解決することができます。今後、平安北道に新たに11万ヘクタール余りの干拓地が造成されますが、用水の問題を解決せずには農作を営むことができません。泰川発電所が建設されれば、平安北道はさらに風光明媚な住みよいところになるでしょう。

 泰川発電所の建設で最も重要なのは、水路トンネルを掘ることです。この発電所を建設するためには数十里におよぶ水路トンネルを掘らなければならないのですが、それは容易なことではありません。刻苦奮闘せずにはこの膨大な水路トンネル工事を成功裏になし遂げることができません。これは困難な工事ではありますが、これに参加している建設者は党にたいする忠誠心が強く、平壌地下鉄の建設をはじめ、各種のトンネル工事を立派になし遂げた経験をもっているので、設備と資材さえ円滑に供給すれば、短期間になし遂げることができるでしょう。

 水路トンネル工事さえすれば、ダムを築いて発電所を建設するのは問題になりません。我々には、戦後の困難な状況のもとで延豊(ヨンプン)湖のダム建設からはじまって禿魯(トンロ)江発電所、雲峰(ウンボン)発電所、江界(カンゲ)青年発電所、西頭水(ソドゥス)発電所、大同江発電所をはじめ、多くのダムと発電所を建設した経験があるので、発電所を建設するのはさほどむずかしいことではありません。いま、我が国では大型発電機を自力で製作しているので、泰川発電所の建設で発電機が問題になることはありません。

 泰川発電所の建設では、これまでの発電所建設の経験を生かして、セメントなどの資材消費量を少なくすることに深い関心を払うべきです。水路トンネルの掘進と発電所の建設で、設計を改善し施工を上手にするだけでも、多くの資材の予備が生まれるでしょう。建設部門の幹部と建設者は、発電所建設の設計を具体的に検討して設計を改善し、施工を上手にしてセメントや鋼材などの資材を大いに節約すべきです。

 泰川発電所を早く建設するためには、この建設を全党的、全国家的、全人民的運動として支援しなければなりません。特に、平安北道が泰川発電所の建設を積極的に支援すべきです。

 泰川発電所の建設を力強くおし進めるためには、さしあたり建設者の冬越しの準備をしっかりととのえる必要があります。平安北道の党委員会と経済指導委員会の責任幹部は、建設者の冬越しの準備を十分に援助して、かれらが寒い冬のあいだ些細な不便もなく生活し働けるようにすべきです。

 我々は今後、新たな水力資源開発方式の発電所を大々的に建設すべきです。新たな水力資源開発方式による発電所を建設することは、原子力発電所を建設するよりまさっています。もっとも、水路トンネルを掘って発電所を建設しようとすれば少々骨がおれます。しかし、いったん建設しておけば、その後の運営費は安上がりです。雨が降れば貯水池に自然に水がたくわえられるので、発電機を動かすのに燃料が要りません。

 新たな水力資源開発方式で水力資源を開発すれば、我が国で開発可能な水力資源は無尽蔵です。現在、新たな水力資源開発方式によって国内の水力資源の調査を進めていますが、すでに確定したものだけでも、以前調査したものより数倍も上まわっています。降雨量の多い金剛山一帯には100余万KWの水力資源があり、普天(ポチョン)発電所の建設予定地一帯にも100余万KWの水力資源があります。我々は、新たな水力資源開発方式によって国内の無尽蔵な水力資源を全般的に調査、掌握し、その開発に積極的に取り組むべきです。今後、泰川発電所の建設を進めながら、設備と資材が準備されしだい、ここ数年内に2か所の大規模水力発電所の建設に着手すべきです。

 大自然改造事業を成功裏に進めるためには、建設工事に必要な資材と機械設備を円滑に生産、供給しなければなりません。

 30万ヘクタールの海面干拓をおこない、20万ヘクタールの新しい土地を開墾し、南浦閘門と泰川発電所を建設するのは壮大な大自然改造事業であるため、膨大な人的、物的資源を動員せずには成功裏に遂行することができません。国家・経済幹部は、大自然改造事業に必要な各種の資材と設備を優先的に供給するシステムをうち立て、無条件、適時に供給しなければなりません。

 なによりもまず、資材をそのつど十分に供給すべきです。

 大自然改造事業に必要な資材供給活動で最も重要なのは、工事場にセメントを円滑に供給することです。建材工業部門では、現在のセメント工場をフルに操業させてセメント生産を増やす一方、完成段階にあるセメント工場の建設と新しい焼成方法の導入に必要な工事を早く終えて、生産を正常化しなければなりません。同時に、中小規模の地方セメント工場がいろいろな方法でセメント生産を増やし、地方の建設に要するセメントの需要を自力でまかなうようにすべきです。

 セメント工場の生産を正常化し、セメント生産を増やすためには、石膏を国産でまかなわなければなりません。石膏鉱山を積極的に開発し、良質の石膏を大量に産出して、セメント生産に支障をきたさないよう十分に供給すべきです。

 大自然改造事業に必要な鋼材も円滑に供給しなければなりません。さしあたっては、クズ鉄の回収を大衆的運動として力強くくりひろげ、金属工場の鋼材生産を早急に増やすようにすべきです。

 セメントや鋼材にかぎらず、木材、レールなど大自然改造事業に必要な各種の資材も十分に生産、供給しなければなりません。

 資材と同時に、機械設備を円滑に生産、供給すべきです。

 大自然改造事業は自然を征服する壮大なたたかいであるため、近代的機械手段を利用せず、手工業的方法で進めては成果をおさめることができません。ですから、高速掘進機、コンプレッサー、積込み機、ウィンチなど、大自然改造事業に必要な各種の近代的機械設備を量産して建設現場に送り届けるべきです。

 干拓地の造成に必要な溝掘り機を新たに開発すべきです。干拓地を造成するには溝をたくさん掘らなければならないのですが、これを機械化せずに人力でしては、30万ヘクタールの干拓地造成はとてもおばつきません。干拓地には石がないので、溝掘り機さえあれば溝を掘るのは簡単です。機械工業部門では、干拓地の溝を掘る能率的な機械を早急に設計して生産する措置を講じるべきです。

 焼玉エンジンも大量に生産すべきです。干拓地の造成に使う運搬船には焼玉エンジンが適しています。焼玉エンジンはあまり故障がなく、取り扱いにも便利で製作も簡単です。焼玉エンジンは、重油を使うので燃料油も問題になることがありません。いま、水産部門でも焼玉エンジンが多く求められています。ですから、30馬力、50馬力、80馬力といった各種の焼玉エンジンを大量に生産することです。

 機械設備を新たに大量生産するのと同時に、現在保有している機械設備を大自然改造事業に利用する対策も立てるべきです。掘削機をはじめ、遊休状態にある機械設備が少なくありませんが、それを全部修理して大自然改造事業にまわすようにすべきです。

 このたびの党中央委員会総会で討議する大自然改造事業は、国家の繁栄と子孫万代の幸せのための大事な元手をつくり、国土の面貌を新しくする極めて誇らしくはりあいのある事業です。総会が示した雄大な大自然改造の課題が遂行されれば、祖国の大地はいっそう住みよい人民の楽園にかわり、共産主義建設をめざす朝鮮人民のたたかいには画期的な変化が起こるでしょう。まことに党中央委員会第6期第4回総会は、国の経済的威力を強め、食糧から先に共産主義的施策を実施できる明るい展望を開いた歴史的な会議として輝かしく記録されるでしょう。

 すべての党員と勤労者は、党と革命にたいするかぎりない忠誠心をいだき、万年大計の偉大な建造物を築きあげるこの誇らしくはりあいのあるたたかいにこぞって立ち上がり、輝かしい勤労の偉勲を立てるべきです。

 私は、すべての幹部と党員と勤労者が、党の戦闘的呼びかけにこたえてこぞって立ち上がり、党中央委員会第6期第4回総会の決定を立派に実行することによって、チュチェの国朝鮮の栄誉をいま一度世界にとどろかすものと確信します。

出典:『金日成著作集』36巻 


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