金 日 成

非同盟諸国と発展途上諸国は自力更生して農業問題を解決しよう
食糧・農業増産にかんする非同盟およびその他発展途上諸国の討論会に参加した
代表団のための歓迎宴でおこなった演説 
−1981年8月26日− 


 尊敬する代表のみなさん!

 同志と友人のみなさん!

 きょう、我が国の首都平壌では、世界の進歩的人民の大きな期待と関心のなかで、食糧・農業増産にかんする非同盟諸国および発展途上諸国の討論会が盛大に開かれました。

 朝鮮人民は、新しい社会の建設をめざす非同盟諸国と発展途上諸国人民の闘争において大きな意義をもつ、食糧・農業増産にかんする初の討論会が我が国で開かれたことをたいへんうれしく思っています。

 私は、討論会に参加した友好的な各国の代表と国際機構の代表、そしてこの席に列したすべての外国の同志と友人のみなさんを熱烈に歓迎するとともに、討論会に心からの祝賀を送るものです。

 食糧・農業増産にかんする非同盟諸国および発展途上諸国の今回の討論会は、非同盟運動創立20周年を迎える意義深い時期に開かれました。

 非同盟諸国の首脳が平和と進歩への崇高な念願をいだいて第1回首脳会議のためにベオグラードに集まったときから20年がすぎました。自主性を志向する時代の趨勢を反映して歴史の舞台に登場した非同盟運動は、すぐる20年間、誇らしい闘争の道を歩み、国際政治舞台において大きな役割を果たしてきました。

 非同盟運動は、新興諸国人民があらゆる支配と従属に反対し、民族の独立と自主権、平和と社会進歩のためにたたかう国際的運動であります。非同盟運動が具現している反帝・自主の崇高な理念は、世界数億万人民の共感を呼び起こし、世界の進歩的人民を自由と解放のための闘争へと力強く励ましました。

 非同盟運動は、帝国主義者の悪辣な分裂・破壊策動を粉砕しつつ、隊伍をさらに拡大発展させ、反帝反植民地主義闘争の烈火のなかでその威力をたえず強化してきました。

 こんにち非同盟諸国の人民は、反帝・自主の革命の旗のもとに、帝国主義をはじめ、あらゆる支配主義勢力に反対し、民族の独立と自主権を守り、自由、繁栄の新しい社会の建設をめざして力強くたたかっています。

 食糧問題、農業問題は、非同盟諸国と発展途上諸国が新しい社会の建設でかならず解決すべき極めて重要かつ、さし迫った問題の一つであります。

 非同盟諸国と発展途上諸国が、農業生産を発展させ、食糧問題を解決するのは、帝国主義による植民地支配の後遺症をいやし、民族の独立を強固にし、国家の自主的発展を遂げる重要な条件となります。

 非同盟諸国と発展途上諸国が食糧問題を円滑に解決する基本的方途は、自国の農業を発展させて食糧を自給自足することです。

 食糧問題は、すなわち農業問題であります。自国の農業を発展させることなしには、食糧問題の解決は不可能であり、外国への依存と従属をまぬがれません。

 非同盟諸国と発展途上諸国は、農業問題を新しい社会建設の重要な課題としてかかげ、自力更生の革命精神を発揮して自立的な農業を発展させ、農業生産の増大をめざして奮闘すべきです。

 いま非同盟諸国と発展途上諸国は、食糧問題、農業問題を解決するため、「個別的および集団的自力更生」のスローガンをかかげて奮闘していますが、我々はそれを非常に好ましいことだと考えています。非同盟諸国と発展途上諸国が自力更生の原則で、みずからの力を最大限に動員し、相互協力を強化して農業を積極的に発展させるならば、食糧を十分自給自足できるはずです。

 新興諸国間の経済・技術協力と交流の強化は、非同盟諸国と発展途上諸国の農業の発展と食糧問題の解決において極めて重要な意義をもちます。

 新興諸国のうちには、農業分野ですぐれた経験と発展した技術をもっている国もあり、豊富な資源と資金をもっている国、農業生産に、特に有利な自然地理的条件をもっている国もあります。個々の国の有利な条件と可能性にもとづき、発展途上諸国同士が活発に交流し緊密に協力するならば、農業生産を速やかに発展させることができます。発展途上諸国は、自力更生の原則を堅持する一方、技術のある国は技術で、資源のある国は資源で、資金のある国は資金で互いに活発に交流し、緊密に協力すべきです。

 非同盟諸国と発展途上諸国が農業を早急に発展させ、自主的な新しい社会を成功裏に建設するためには、非同盟運動をさらに強化発展させなければなりません。

 非同盟運動は、新興諸国の自主的権利と利益を擁護する強力な革命勢力であり、新興諸国を一つの道に結びつけ、団結させる強固なベルトであります。非同盟運動を強化発展させてこそ、発展途上諸国を統制し搾取しようとする帝国主義者の策動を粉砕し、新興諸国間の経済・技術協力と交流を円滑に実現することができます。

 非同盟運動を強化発展させるためには、すべての非同盟国が自主性を堅持し、反帝・自主の旗のもとにかたく団結しなければなりません。すべての非同盟国が、いかなる支配主義勢力にも追随せず、帝国主義にたいして原則的な立場を堅持し、思想と体制、信教の違いをこえて一つの隊伍にかたく団結してたたかうとき、非同盟運動は不抜の力をもって国際舞台で新興諸国人民の利益をさらに頼もしく擁護し、発展途上諸国の新しい社会の建設をめざすたたかいを力強く鼓舞激励するでしょう。

 代表のみなさん!

 我が国は、非同盟運動構成国の一員であり、発展途上国であります。我が国は、世界の多くの新興国と共通の過去と志向をもっており、自主、繁栄の新しい社会の建設をめざしてたたかっています。

 かつて我が国は、非常に立ち後れた植民地農業国でありました。日本帝国主義の植民地支配から解放されたとき、我が国農業の物質的・技術的土台は、非常に貧弱で、人民生活も極めて困難な状態にありました。それゆえ我々は、新しい社会の建設に踏みだした当初から農村問題を優先的に解決すべき重要な課題としてかかげ、農業の発展に大きな力をそそぎました。

 我々は、先進的な農業制度の確立にもとづいて、農業の技術的改造を強力に促進し、先進営農法を広く適用して農業生産の急速な発展をはかりました。

 我々は、水利化、電化、機械化、化学化を農村技術革命の基本課題に規定し、それを強力におし進めました。

 我が党は農村技術革命の遂行において、我が国の具体的な実情と農業生産の特性を考慮し、水利化を先行させる方針を堅持しました。我々は、大衆的運動によって潅漑工事と治山治水事業を大々的におこない、農業生産で重要な意義をもつ用水問題を完全に解決し、いかなる自然・気候条件のもとでも水害や干害をこうむらず、安定した農業を営める強固な土台をきずきあげました。これとあわせて、農業の電化、機械化、化学化を強力におし進めました。その結果、我が国のすべての農村にもれなく電気が引かれ、農民は骨のおれる仕事から解放され、各種の農作業をほとんど機械と化学の力でおこなっています。

 我々は、農村技術革命の輝かしい成果にもとづき、我が国の実情に適した科学的な営農法を創造し、それを広く適用することによって農業生産に画期的な転換をもたらしました。

 我が国でつくりだされた新しい営農法は、いま朝鮮人民のあいだでチュチェ農法と呼ばれています。チュチェ農法は、我が国の気候風土と農作物の生物学的特性に即して農業を科学的、技術的に営む科学的農法であり、現代科学技術にもとづいて農業生産を高度に集約化する集約農法であります。チュチェ農法は、耕地と用水、農業機械、化学肥料をはじめ、農業生産手段を最も効果的に利用して単位面積当たりの収量を高め、異常気象の影響を成功裏に克服し、常に安定した高収穫をおさめられるようにします。ここ数年間、我が国の農業生産でおさめられた輝かしい成果は、チュチェ農法の優位性と生命力を実証しています。

 我が党の独創的な路線と正しい指導、党の路線を貫徹するための人民の英雄的な闘争によって、我が国の農業発展では輝かしい成果が達成されました。

 こんにち、我が国の農業は、先進的な社会主義農業制度と強固な物質的・技術的土台のうえで急速な発展を遂げており、農業生産は非常に高い水準に達しています。我が国では、食糧問題がすでに久しい前に完全に解決され、我が国は食糧の不足する国から食糧の余裕をもつ国に確固と転化しました。

 我が国の経験は、社会発展の合法則的要求と自国の具体的実情にかなった正しい路線と方針をうちだし、自力更生の原則にもとづいて人民大衆の力と知恵を引き出し、それを貫徹するならば、立ち後れた国でも十分農業を発展させて食糧を自給自足し、農村問題を立派に解決できることを明確に示しています。

 尊敬する代表のみなさん!

 自主性の旗を高くかかげ、新しい社会の建設をめざしてたたかう非同盟諸国と発展途上諸国の代表が、共通の念願のもとに一堂に会して経験を分かちあい、さし迫った当面の食糧問題、農業問題の解決策を討論するのは非常に有益なことです。

 食糧・農業増産にかんする今回の討論会は、非同盟諸国と発展途上諸国の農業発展をおし進める重要な契機となり、新興諸国間の団結と協力を強め、非同盟運動をさらに拡大発展させるのに大きな寄与をなすでしょう。

 朝鮮人民は、自国の革命と建設を立派におこなうばかりでなく、世界の進歩的人民の共同偉業のため、積極的にたたかうことを神聖な義務とみなしています。朝鮮人民は、非同盟諸国と発展途上諸国の食糧問題、農業問題を成功裏に解決するため可能なすべての努力をつくし、この分野で自己に課された責任と義務を誠実に果たすでありましょう。また、すべての新興国人民間の団結と協力を強め、非同盟運動をさらに拡大発展させるため積極的にたたかうでありましょう。

 私は、食糧・農業増産にかんする非同盟諸国と発展途上諸国の今回の討論会が、代表のみなさんの積極的な努力によって上程されたすべての問題を成功裏に討論し、自己の任務を立派に遂行して、世界の進歩的人民の大きな期待に必ずこたえるものと信じます。

出典:『金日成著作集』36巻


ページのトップ


inserted by FC2 system