金 日 成

社会主義経済建設にたいする指導を改善強化するために
 朝鮮労働党中央委員会第6期第2回総会での結語
−1980年12月20日− 


 我々は今回の総会で、今年度の人民経済計画の遂行状況を総括し、1981年度の人民経済計画について討議しました。

 私は、来年度の人民経済計画を成功裏に遂行し、社会主義経済建設に新たな転換をもたらすためのいくつかの課題について述べようと思います。

 まず、経済幹部は経済組織活動を綿密におこなわなければなりません。

 人民経済の各部門で生産を正常化し、社会主義経済建設を順調に進めるためには、政務院と政務院の各委員会、省の責任幹部、工場、企業所の幹部が、経済組織活動を綿密におこなわなければなりません。

 すでに、たびたび強調していることですが、経済組織活動で重要なのは、技術指導と設備管理に力を入れ、資材供給を円滑におこない、労働の組織を合理的におこなうことです。これとともに、連帯生産と輸送を手ぎわよく手配することです。

 これまで経済組織活動を正しくおこなうようしばしば強調してきましたが、いまだにこれといった改善がみられません。経済幹部は、技術指導と設備管理をおろそかにし、資材供給と労働行政も正しくおこなっていません。また、連帯生産や輸送は正しく手配しているかというと、そうでもありません。

 一部の経済幹部は、仕事の手配を綿密におこなうのでなく、空文句ばかりとなえ、あちこちと車をのりまわしたり、人々を呼びつけて会議を開くことで組織指導活動にかえています。そうしては、やれ電力が緊張するの、資材が不足するの、輸送が問題だのといって、生産が円滑にいかない原因を客観的条件に求めています。幹部が仕事の手配さえ綿密におこなえば、現在の電力によっても生産を増大させ、資材と輸送の問題もより円滑に解決することができます。

 1978年の電力事情は今年よりもっと厳しいものでしたが、大きな工場、企業所に党中央委員会の指導グループを派遣し、私が直接、指揮して時差交替生産を正しく組織した結果、少ない電力をもってしても生産を円滑に保障することができました。しかし今年は、幹部が電力事情が緊張していると泣き言をいうだけで、時差交替生産も積極的におこなわず、仕事の手配も綿密におこなわなかったため、一部の工場、企業所では電力が不足して生産に支障をきたしました。

 幹部が経済組織活動を正しくおこなうためには、まず経済実態を正しく把握しなければなりません。実態を正しく把握してこそ、誤りを適時に見いだし、是正対策を講じることができます。それゆえ、経済幹部は、実態をつかむことから先におこなわなくてはなりません。

 いま少なからぬ経済幹部は、自分の担当した部門と単位の実態をつかんでいません。

 最近、石炭工業部門では、「100日間戦闘」が終わったといって、炭鉱の幹部が生産の組織と指揮をおろそかにしたため、石炭生産が低下し、火力発電所の電力生産に支障をきたしています。石炭工業部門の実態がこうであるにもかかわらず、誰一人としてそれを正しく掌握していません。これでは石炭生産が順調にいくはずがありません。

 石炭工業部門にかぎらず、人民経済の他の部門でも「100日間戦闘」が終わったのち気のゆるんだ傾向があらわれていますが、政務院をはじめ、経済機関の幹部は実態を明白につかんでおらず、誤りを是正する積極的な対策も講じていません。

 経済幹部の仕事の仕方がこういうぐあいであっては、社会主義経済建設を正しく進めることができません。

 私は先の祖国解放戦争の時期、あの困難な状況のもとでも、人民軍部隊の実態と前線の状況を毎日欠かさず掌握したものです。私は、最高司令部の参謀部をつうじて、いまどの部隊はどの界線をしめており、その人員は何名で負傷兵は何名、武器と弾薬、食糧の保有量はいくら、といった報告を毎朝うけました。こうして、部隊の具体的な実情を把握していたので、正確な作戦を練り、戦争を正しく指揮することができました。

 経済幹部も日ごろから下部の実情につうじていてこそ、生産の組織と指揮を正しくおこなうことができます。政務院の責任幹部をはじめ、すべての経済幹部は、日ごろから経済実態を正確に掌握する体系を確立し、経済組織活動を着実におこなわなければなりません。

 生産の組織と指揮を改善するためには、各級経済指導機関の役割を決定的に高めなければなりません。

 いま政務院は、政務院の委員会、省をのけものにして仕事をする場合があり、また政務院の各委員会、省は、総局や管理局をのけものにして仕事をする場合が少なくありませんが、そういうことではいけません。

 党活動や軍事活動にしても、経済活動にしてもそうですが、下部の機関にはたらきかけて活動させずに、独走しては絶対に仕事がうまく運ばないものです。ことわざに「独不将軍」というのがありますが、これは独りでは大将になれないという意味です。独善的にふるまっては下部の実態を正しくつかむことができず、誤りをそのつど正すこともできません。

 1人が10人、10人が100人、100人が1000人、1000人が1万人、1万人が10万人を動かし、すべての人を活動させるのが革命的大衆路線にもとづく我が党の伝統的な活動方法です。政務院の責任幹部は独走しようとすべきではなく、政務院の各委員会、省にはたらきかけて活動させ、政務院の各委員会、省は、管下の総局や管理局にはたらきかけて活動させるべきです。そして総局と管理局は、工場、企業所の支配人にはたらきかけてすべての人を活動させるべきです。こうして、すべての経済機関が動き、すべての幹部が活動するようになってこそ、社会主義経済建設が順調に進められます。

 特に政務院の各委員会、省に各自の役割を十分に果たさせることがきわめて重要です。現在、政務院の委員会、省は、その役割を満足に果たしていません。政務院の各委員会、省の責任幹部は、二言目には資材不足だのなんだのと愚痴をこぼし、仕事がうまく運ばない責任を政務院総理や副総理になすりつけていますが、これは、かれらが自分の使命を忘れ、本務を怠っていることを示すものです。

 我が国における資材供給活動は、人民経済部門相互間、工場、企業所相互間の契約にもとづいて組み込まれた供給計画によって計画的におこなわれるようになっており、資材商社をつうじて資材供給活動が計画的に進められるように掌握、指導する責任は、ほかならぬ政務院の各委員長、相にあります。資材供給活動をこのようにおこなうのは、テアン(大安)の事業体系の要求であり、社会主義経済法則の要求であります。政務院の各委員長、相が管下の工場、企業所にたいする資材供給活動を責任をもって掌握、指導せず、その責任を政務院総理や副総理になすりつけるのはたいへん間違っています。政務院は資材供給機関ではありません。資材供給活動を組みこまれている計画のとおりにせず、政務院があれこれとやりくりする式にむやみに調節してはなりません。そういうことでは、経済管理システムが乱れ、社会主義経済法則の要求どおり国の経済を運営していくことができなくなります。

 政務院は資材供給機関の役目を果たすべきではなく、政務院の各委員会、省を正しく指導し活動させて、委員会、省がそれぞれの役割を十分に果たすようにすべきです。政務院が、全国の数多くの工場、企業所の求める資材を正確に供給することは不可能であり、政務院が資材供給機関の役を果たしては、責任幹部がせわしくて本務をまともに果たすことができず、学習もできません。

 政務院の責任幹部は、資材供給活動をしようとしてせわしく走り回るべきではなく、人民経済各部門の実態を正しく掌握し、責任をもって生産の組織と指揮にあたるべきです。

 私はかつて、北朝鮮人民委員会の委員長と共和国内閣首相をつとめていた当時、経済活動にかぎらず、党活動、軍事活動、対外活動をはじめ、各部門の活動を指導しましたが、それほどてんてこまいをすることもなく、経済組織活動もおこない、学習もしました。私は、解放直後から毎朝、出勤してはかならず学習をしてから仕事にとりかかり、各部門の責任幹部と会って活動状況の報告をうけ、該当部門の実情を調べてから新たな課題を与えたものです。私はいまでも、仕事はたいへん忙しくても時間を割いて新しい技術ニュースや各部門の資料を研究し、毎日、当該部門の幹部に電話を入れて党活動、軍事活動、対外活動、そして経済活動の実態を調べています。

 政務院の責任幹部をはじめ経済幹部は、学習にも励むべきです。我が党の経済政策は明白であり、党の文献には社会主義経済管理原則から具体的な方法論にいたるまで、あらゆる事柄が明示されています。すべての経済幹部は、党の文献を深く研究し、それを実践活動に具現するため積極的に努力すべきです。

 経済指導を改善するうえでまた重要なのは、地区計画委員会の役割を高めることです。

 社会主義経済は計画経済です。社会主義経済を正しく管理運営するためには、社会主義経済法則の要求に即応して人民経済計画を正確に作成し、人民経済のすべての部門が歯車のようにかみあうようにしなければなりません。しかし、国家計画委員会の幾人かの人が中央に居座って全国の具体的な経済実態を知りつくすことはできず、また、実情にうとければ主観的な計画を立てざるをえません。そういうわけで、我が党は、国家計画委員会の主観主義を防ぐため、各道に地区計画委員会を設置したのです。

 地区計画委員会は、当該地方のすべての経済実態を具体的につかんで国家計画委員会にそのつど報告し、すべての工場、企業所が、人民経済計画を正確に遂行するよう必要な対策を講じるべきです。つまり、地区計画委員会は、国家計画委員会の手足の役割を果たすべきです。しかしいま、地区計画委員会はその役割を十分に果たしていません。

 一例をあげましょう。今年、咸鏡南道では漁船をそのつど修理しなかったため、もっとも緊迫したメンタイの漁期にかなりの漁船を出漁させることができませんでした。しかし、咸鏡南道地区計画委員会の活動家はこういう実態を知らずにいました。地区計画委員会がこうした実態を調べて報告しなかったので、国家計画委員会では来年度の計画作成において漁船の修理対策を予定せず、漁船建造の増大のみを予定しました。国家計画委員会の手足の役割を果たすべき地区計画委員会が″動脈硬化症〞にかかって動かないので、国家計画委員会は現実にあわない主観的な計画を立てるようになるのです。

 これから国家計画委員会は、地区計画委員会の活動を正しく指導すべきです。そして、各道党委員会は、地区計画委員会の活動に深い関心を払い、地区計画委員会を経済指導に正しく利用すべきです。こうして、すべての地区計画委員会がその役割を十分に果たすようにすべきです。

 次に、道党委員会と工場党委員会の役割を高めなければなりません。

 道党委員会の活動にあらわれている主な欠陥は、道内の活動全般をとらえていないことです。これをせよといえばあれを投げだし、あれをせよといえばこれを投げだしています。

 道党委員会は、道の主人なのですから、道内の活動全般を掌握しなければなりません。道党委員会に活動全般を掌握せよというのは、道内の政治、経済、文化をはじめ、各部門の活動をすべて掌握して指導せよということです。

 道党委員会は、道内の鉄道運輸事業もとらえて指導し、貿易港の事業も掌握して指導すべきです。

 鉄道運輸部門の党組織が鉄道省党委員会に直属しているからといって、道党委員会が鉄道運輸事業を掌握しないようではいけません。鉄道運輸部門の党組織は、鉄道省党委員会と道党委員会の二重従属になっています。以前、鉄道運輸部門の党組織にたいする指導は、もっぱら道党委員会が担当していました。そうしているうち、道党委員会が自己本位主義に走るので、全国のすべての鉄道運輸部門の党組織にたいする指導は鉄道省党委員会が統一的にうけもち、党政策の実行にたいする掌握、指導は、鉄道省党委員会と道党委員会がともにおこなうよう二重所属体系を立てたのです。それゆえ道党委員会には、道内の鉄道党組織の党政策実行状況を日ごろから掌握し、仕事に誤りがあれば、そのつど是正させる義務があります。しかしいま、道党委員会は、鉄道輸送がとどこおって人民経済各部門の生産に支障を与えているにもかかわらず、鉄道運輸事業にそれほど関心を払っていません。

 各道党委員会は、自道内の貿易港の事業も満足に掌握していません。貿易港には多くの輸入物資と輸出物資が積まれており、それが使いものにならなくなっていますが、道党委員会はこういう実態をよく知っていません。

 すべての部門、すべての単位に党組織があり、党員がいるのですから、道党委員会が党組織の役割を高め、党員の党生活にたいする指導を強化すれば、各部門の実態を手にとるようにつかみ、活動全般を掌握することができます。

 いま一部の道党委員会は、なにか仕事に誤りがあると、その責任を政務院の委員会、省になすりつけていますが、自道内のことについては道の主人である道党委員会が責任を負うべきです。道党委員会には経済活動を指導する部署があり、工場党委員会をはじめ、各党組織も擁しています。道党委員会には重工業を指導する能力もあり、軽工業、地方経営工業を指導する能力もあります。したがって道党委員会には、経済活動がうまくいかない責任を政務院の委員会、省になすりつける根拠がありません。

 党中央委員会は電力事情の緊張と関連し、時差交替生産を組織することについて久しい前から強調してきました。しかしいま、道党委員会はこれがうまくいっていないにもかかわらず、積極的な対策を講じていません。もし、政務院の委員会、省が、時差交替生産を合理的に組織していないとしても、道党委員会は当然、党の方針が実行されないことを問題視し、党の要求どおり時差交替生産が組織されるよう、対策を講じるべきです。

 私は久しい前に、女性が寒い冬に海辺でメンタイの裁ち割り作業をしているのを見て、魚類加工場を建て、そこにオンドル暖房をほどこして、あたたかいところで魚類加工をさせるよう指示したことがあります。ところが、このたび咸鏡南道に行ってみると、いまなおこの指示は実行されていませんでした。これは極めてゆゆしいことです。

 咸鏡南道党委員会が活動全般を正しく掌握しようとするならば当然、党から与えられた課題はなんであり、そのうち実行したものと実行できなかったものはなんであるかを毎年総括し、必要な対策を講じるべきです。しかし、これまで咸鏡南道党委員会は、党から与えられた課題を実行する活動をしっかりと指導しませんでした。

 党政策の実行では、絶対性、無条件性が必要です。党の政策をかけひきの対象にしたり、党政策をいい加減に実行する傾向とは容赦なくたたかうべきです。そうしてこそ、我が党が強力な党になれるのです。

 道党委員会と工場党委員会の機能と役割を強化してこそ、社会主義経済建設で提起されるすべての問題を成功裏に解決していくことができます。

 次に、対外貿易を活発におこなわなければなりません。

 経済の発展にともなって各種の原料、資材の需要はますます増大します。こんにち、我が国で経済の規模が非常に拡大し、生産が急ピッチで発展している状況のもとで、必要な原料と資材をすべて国産品で充足させるのは無理なことです。我が国のように大きくもない国が国産品だけでは豊かに暮らすことができません。我々は貿易を活発におこない、我が国で大量に生産される品物を外国に輸出し、我々に必要な原料と一部の資材は外国から輸入すべきです。

 貿易を活発におこなうためには、国内の生産に多少影響を与えることがあっても、外国に引き渡すことにした品物は、無条件、適時に引き渡さなければなりません。いま一部の経済幹部は、輸出品の生産を無責任におこなっているばかりか、原料、資材が多少不足ぎみになると、外国に引き渡すことになっている原料、資材を削り取って利用していますが、そういうことをしては貿易を順調におこなうことができず、我々に必要な品物をそのつど輸入することもできません。

 最近、我が国が外国と契約ずみの無煙炭をそのとおり送らないので、その国からコークス用炭を契約どおり引き渡してもらえないありさまです。にもかかわらず、我が国の一部の幹部は、その国がコークス用炭を満足によこしてくれないといって恨みがましく思っています。これは間違った考え方です。我が国が相手国にどれくらいの無煙炭を送り、相手国からどれくらいのコークス用炭をうけとるというのは、両国のあいだで結んだ契約条件です。それゆえ、我々は契約に違反して相手国に無煙炭をまともに送ってやらずに、相手国からはコークス用炭を契約どおりに送ってくれることを期待してはならないはずです。

 最近、鋼材の国内需要を円滑にみたすため、鋼材輸出を制限する措置をとりましたが、だからといって外国と契約ずみのものをむやみにキャンセルしてはなりません。我が国で必要な鋼材を一部、外国から買い入れて補充することがあっても、契約ずみの鋼材はそのとおりに輸出すべきです。

 対外貿易で信用第一の原則を厳守すべきです。これから道党委員会と工場、企業所の党委員会、そして、政務院の各委員会、省の党委員会は、この問題を党的にしっかりととらえていかなければなりません。党中央委員会としても、党の貿易方針が十分貫かれるようしっかりと指導すべきです。

 来年度は人民経済各部門の輸出品生産を積極的に増大させ、貿易計画を間違いなく遂行すべきです。

 来年度の貿易計画を順調に遂行するためには、特に金の産出量を増やすことに力を集中しなければなりません。

 ここ数年のあいだ、鉱業委員会が非鉄金属鉱物生産と石炭生産の両方を担当して石炭生産に多くかたよったため、非鉄金属鉱物の生産がかなりなおざりにされてきました。その結果、成興(ソンフン)鉱山のように年に多くの金産出が可能な有望な鉱山をもっていながら、金の産出高を増やすことができませんでした。これは大きな誤りです。

 我々は来年度から成興鉱山に力を入れ、金の産出高をすみやかに増やすべきです。

 次に、農業生産を増大させるための経済指導にひきつづき大きな力をそそがなければなりません。

 いま世界中が重大な食糧難に見舞われており、各国では毎日多くの人が飢え死にしています。しかし、我が国では全人民が食糧の心配をしておらず、飢え死にする人は一人もいません。我が国には昔から伝わってきた「朝飯夕粥」という言葉がありますが、これは朝の一食はご飯を食べ、晩の一食は粥をすするという意味です。我々の先祖は貧しい暮らしをしたので、朝の一食はご飯を食べ、晩の一食は粥をすすっても結構なものと思ってきました。しかしいまでは、すべての人が一日3度のご飯を腹いっぱい食べて幸せに暮らしており、子供たちは粥という言葉さえ知らずにいます。

 私がいつもいうことですが、いまは農業が失敗して食糧を切らしても、食糧を売ってくれるところがなく、金塊を出しても食糧とかえてくるのが困難な状態です。

 いま一部の国が食糧を輸入していますが、それも大きな国にかぎって多少買える程度です。大きな国は、資金もあり、食糧を運搬できる大型貨物船も持っているので、食糧を他国より先に買い入れることができ、また食糧を売る国でも、支払い能力のある大国には多少延べ払いにしてやるのを気にかけません。しかし、小さな国々はそういうわけにはいきません。小さな国では農業が失敗すれば生きていけません。

 我々は来年度の営農実績を上げて食糧を十分に蓄え、人民により豊かな食生活をさせるべきです。

 来年度の営農実績を上げるためには、まず各種の肥料生産をすみやかに増大させなければなりません。

 私はすでに久しい前に「肥料はすなわち米であり、米はすなわち社会主義である」というスローガンを示しましたが、現実はこれが極めて正しいものであることを実証しています。肥料がたくさんあってこそ、穀物生産を増大させることができ、穀物を大量に生産してこそ、人民に社会主義制度の真の優位性をいっそう実感させることができ、国の自主性も堅持することができます。

 肥料生産で重要なのは、燐酸肥料の生産をすみやかに増大させることです。

 寒冷前線の影響がつづいている状況のもとで、燐酸肥料を大量に生産して田畑にほどこしてこそ、穀物生産を増大させることができます。今年、我が国の東海岸の一部の地域で作柄がかんばしくなかった主な原因の一つは、農作物に燐酸肥料を十分にほどこせなかったところにあります。

 我が国の状況下で寒冷前線の影響を克服し、農業を安全に営むためには、燐酸肥料の生産をすみやかに増やし、窒素肥料と燐酸肥料の施肥比率で燐酸肥料の割合を増やさなければなりません。燐酸肥料は多くほどこすほどよいものです。

 我々が現有の耕地で農業を立派に営み、これからも食糧を輸入しなくてもすむようにするためには、燐酸肥料の生産を増大させるという党の方針を堅持しなければなりません。すべての活動家はこのことを肝に銘じるべきです。

 燐酸肥料の生産を積極的におし進めて、肥料年度内に130万トンの燐酸肥料を必ず生産すべきです。

 該当部門では、硫酸の生産を増やし、燐灰石の問題を円滑に解決して、来年度の燐酸肥料生産計画を間違いなく遂行すべきです。

 穀物生産を増大させるためには、肥料を大量に生産するばかりでなく、生産した肥料をそのつど運んで適期にほどこさなければなりません。

 人間が食事の時間を守れば、消化不良を起こさず、栄養吸収もよくできるように、農作物も肥料を適期にほどこしてこそ効を奏し、豊作をおさめることができます。

 かますを織る運動を積極的にくりひろげて包装容器の問題を解決し、肥料運搬を綿密に手配し、肥料を農作物の生育条件に即して適期にほどこすべきです。

 除草剤、殺虫剤をはじめ、各種の農薬も大量に生産供給すべきです。

 来年度の農業を立派に営むためには、当面の営農準備を前もっておこなわなければなりません。

 提出された資料によると、現在、来年度の営農準備が十分にできていません。腐植土の生産もまともに進めず、風よけのわら囲いもつくっておらず、フィルムの生産も計画どおり進めていません。

 道農業経営委員長と郡協同農場経営委員長は、営農準備を積極的におし進め、道党委員会をはじめ各級党組織が農業部門の活動を十分に援助して、来年度の営農準備に万全を期するようにしなければなりません。特に、貯水池に用水をみたす運動を積極的におし進めるべきです。こうして、来年度の農作でふたたび大豊作をもたらすべきです。

 食糧節約運動を積極的にくりひろげなければなりません。

 穀物生産をひきつづき増大させるとともに、食糧を極力節約することが重要です。

 食糧を節約するためには、食糧の消費を減らす実際的な対策を講じなければなりません。そうした対策を立てず、食糧節約のスローガンばかり唱えては役に立ちません。

 食糧の消費を減らすためには、なによりもまず副食物の生産を増やして人民の食生活を多様なものにしなければなりません。食用油、魚類、野菜などの副食物をたくさん生産して十分に供給すれば、人民の食生活が多様になり、多くの食糧を節約することができるでしょう。

 来年度に油脂作物の生産を増やして食用油の問題をより円滑に解決し、魚類と野菜を大量に生産して、人民に十分に供給すべきです。

 農業部門では、さしあたり今年度の穀物買付けをすみやかに終えなければなりません。

 これとともに、今年度の営農総括を正しくおこなわなければなりません。

 今年、我が国では、全般的に営農成績がよく、穀物生産は最高収穫年度であった昨年の水準に到達しました。しかし、東海岸の一部の地域をはじめ、営農実績がふるわないところもありました。

 今年、農業部門の幹部が農業生産の手配と指導をおこたったため、チュチェ農法の要求を十分に貫くことができませんでした。そのため、今年の営農では所期の成果をおさめることができなかった面が少なくありません。農業部門では、今年の営農をありのままに正しく総括する必要があります。

 今年の営農総括では、適地適作の原則で品種の配置をせず、科学的な施肥方式をうち立てなかった問題、稲の冷床の管理をおろそかにして苗を十分に育てられず、坪当たりの株数を保障できなかった問題など、農業生産の手配と指導にあらわれた欠陥を細かく総括し、具体的な対策を講じるべきです。

 我々は共産主義者なのですから、今年度の営農上の欠陥の原因を、寒冷前線の影響や自然・気候条件に求めようとしてはなりません。欠陥の原因は、幹部自身の活動に求め、改めるようにすべきです。

 今年の営農総括は、道党委員会総会をはじめ各級党委員会総会でもおこない、農村党細胞会議でもおこなうべきです。そして、道別に農業部門活動家会議を開き、今年の営農にたいする技術実務上の総括を具体的におこなうようにすべきです。

出典:『金日成著作集』35巻


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