金 日 成

魚類加工に革命的転換をもたらすために
 朝鮮労働党中央委員会政治局拡大会議でおこなった演説
−1980年12月10、12日− 


 きょうの党中央委員会政治局拡大会議には、政治局の委員と委員候補、中央と地方の党、政権機関、行政・経済機関の責任幹部、関係部門の工場、企業所の支配人、党書記が参加しました。

 さきごろ開かれた党中央委員会政治局拡大会議以後、政治局の委員と委員候補たちが東海地区の水産事業所に出向いて多くの仕事をなし遂げました。冷凍工場の建設をすっかり終え、漁船を整備補修して出漁させ、魚類加工に一応は秩序をうち立てました。このたびの党中央委員会政治局拡大会議は平壌で開く計画でしたが、政治局の委員や委員候補が冬期漁獲を指揮している現地に来て開くほうが好都合に思われたので、私が直接、咸鏡南道に来ることにしました。

 きょうの党中央委員会政治局拡大会議では、水産業をいっそう発展させる問題と咸興地区の公害を防止する問題、モビロン工場の建設を促進する問題などを討議しようと思います。

 まず、水産業をさらに発展させることについて述べましょう。

 3面が海にかこまれている我が国において、水産業を発展させることは、人民の食生活を改善するうえで極めて重要な意義をもっています。

 人民の食生活を改善するうえで最も容易で手早い方法は、畜産業を発展させて食肉を生産することより、水産業を発展させ、魚をたくさん捕って加工することです。畜産業を発展させて食肉を量産するためには、蛋白質飼料の問題を解決しなければなりません。しかし現状は、蛋白質飼料が不足して、近代的に建設した養豚工場や養鶏工場を満足に運営できないので、人民に食肉を十分に供給できないありさまです。このような状況のもとで、水産業をさらに発展させ、魚を大量に捕獲して加工し、人民に供給すべきです。人民が魚をたくさん食べれば蛋白質を十分に摂取することができるので、肉類はそれほど食べなくてもすみます。

 我々が毎年、冬期に魚を150万〜200万トン水揚げすれば、栄養価の高い各種の魚類加工品と生魚を人口一人当たり1日に200グラム供給することができます。魚類加工品と生魚を人口一人当たり1日に200グラム供給すると見積もっても、一所帯に平均1キログラムはゆきわたることになりますが、そうなれば、我が国の人民が白米の飯に魚汁で食事をすることができます。現在、野菜は十分に供給されているので、今後、アブラガヤツリの栽培実績を上げて食用油の問題さえ解決すれば、人民の食生活に根本的な改善をもたらすことができます。

 人民に魚をたくさん供給すれば、食糧の節約にもなります。

 現在、世界の多くの国が、寒冷前線の影響で凶作に見舞われ、深刻な食糧難に直面しています。我が国にも寒冷前線の影響がいつなんどきはげしく襲ってくるかしれない状況のもとで、食糧を節約しなければなりません。そのためには、魚を大量に捕獲して加工し、人民に十分に供給しなければなりません。ご飯に水をかけてみそで食事をすれば、どんぶりいっぱい食べなければなりませんが、魚汁か魚類加工品を食べれば、どんぶりに半分ぐらいのご飯でまにあいます。魚を大量に捕獲して加工し、人民に供給することは結局、食糧をそれだけ余計に生産するのと同じことになります。

 我が党は、人民の食生活を改善するため水産業の発展に大きな力をそそぎ、さまざまな措置を講じました。昨年開かれた党中央委員会総会では、魚類をより多く捕獲して加工する問題について討議し、それにかんする決定を採択しました。ところが現在、水産部門の活動家は、水産業を発展させるという党政策の貫徹のために積極的な努力を傾けていません。

 私は久しい前に、女性たちに寒い日に屋外でメンタイの裁ち割り作業をさせないで、あたたかい部屋に座って作業ができるように、魚類加工室を建てるよう指示しました。女性があたたかい部屋で魚を受け取って加工すれば、労働生産性も高まり、たらこやはらわたを選り分けるのにもよいはずです。

 水産部門の活動家は、私が与えた指示をいまだに満足に実行していません。このたび咸鏡南道に来て、すぐ新浦水産事業所に立ちよってみたところ、多くの女性が屋外でふるえながらメンタイの裁ち割り作業をしているのが真っ先に目につきました。こうした場面を目のあたりにして、私は全く心痛む思いをしました。

 メンタイの裁ち割り作業をする人たちのために魚類加工室を建て、オンドル暖房をそなえるように指示したのはだいぶ以前のことなので、いまでは屋内で作業をしているものと思っていました。

 多くの幹部が水産事業所に来て、女性たちが厳冬の寒さのなかで、屋外でふるえながらメンタイの裁ち割り作業をしているのを目撃したはずですが、誰一人魚類加工室を建ててやろうとしませんでした。これは、活動家に、党性、労働者階級性、人民性が欠けていることを物語っています。活動家に、党性、労働者階級性、人民性がすこしでもあったなら、レンガを集めてでも魚類加工室を建てたはずです。

 魚類加工の手助けに来た人たちに宿舎をあてがえず、冬のさなかに民家の火の気のない部屋に寝泊りさせているそうです。私はその報告をうけ、関係部門の活動家に、直ちに石炭を供給してそれらの人々をあたたかくすごせるようにせよと指示しました。寒い屋外で働かせたなら、せめて寝るときぐらいはあたたかくすごせるように宿舎も建て、寝具類もそろえてやるのが当然であって、民家の火の気のない部屋に泊らせてよいものでしょうか。

 女性が、厳冬に屋外でふるえながらメンタイの裁ち割り作業をし、民家の冷たい部屋で泊るのを見ても見ないふりをするような人は、いずれも革命的世界観の確立していない人です。革命的世界観をうち立てるためには、党と労働者階級と人民のために献身するという決意がなければなりません。ところが活動家には、そうした決意が欠けているので、党の政策が満足に実行されていないことも見きわめられないありさまです。

 水産委員会の責任幹部は水産事業所に出向くたびに、私が水産部門に与えた課題を深く研究すべきなのですが、それをしないので、党の政策が正しく実行されなくても是正させることができないのです。水産部門の活動家は、毎年、多くの女性が屋外でふるえながら手工業的な方法でメンタイの裁ち割り作業をしても、魚類加工室を建てようとは考えず、それを当然のことのように思っていました。これは、水産部門の活動家が、これまで仕事をどれほどいい加減にしてきたかを示しています。水産部門の活動家が仕事をいい加減にするのは、かれらの頭に日本帝国主義の思想的影響が残っているためです。メンタイの裁ち割り作業に来た人たちの面倒をみてやらず、屋外で仕事をさせるというのは、以前、日本帝国主義者が漁夫の生活にはいっさい関心を払わず、仕事だけさせたやり方とかわるところがありません。

 魚類加工の手助けに来た人たちの面倒をみてやらなかった新浦市、洪原(ホンウォン)郡をはじめ、海に面している東海岸地帯の市、郡党の責任書記と水産事業所の党書記の誤りはいっそう深刻なものです。魚類加工の手助けに来た人たちが屋外でふるえながら仕事をしているのを見ても見ぬふりをするような人は、我が党の活動家とはいえません。

 1、2回ではなく、毎年のことであるにもかかわらず、魚類加工室や宿舎を建ててやらず、仕事をする人たちに不便な思いをさせているということは、大きな過ちです。

 漁業労働者の生活にも関心を払っていません。

 私は、遠洋漁業にたずさわる人たちが、帰ってきては安らかに休息できるように、立派な高層住宅を建て、生活条件も十分にととのえてやるよう再三強調してきました。ところが、水産部門の幹部が漁業労働者の生活に無関心であったため、遠洋に出漁して8か月ぶりに帰ってきた人たちが、薪がなくて斧を持って山へ薪をとりにいかなくてはならないというありさまです。幹部が自分の家の薪はいつも用意しておきながら、漁業労働者の生活に無関心であるのは官僚化した証拠です。

 労働者階級が権力を握ったのち、活動家が官僚主義的にふるまうのがいちばん恐ろしいことです。資本主義社会においては、支配層が官僚主義的にふるまうのは当然のことだとしても、人民大衆が国家の主人となっている社会主義社会においては、活動家が官僚主義的にふるまってはなりません。私は、党、政権機関の活動家が官僚主義に反対してたたかい、人民の忠僕として活動するよう、祖国解放戦争当時の演説でも述べ、その後も機会あるたびに重要な問題として強調してきました。しかし、いまだに少なからぬ活動家は、人民の忠僕として人民のために活動しようとはせず、人民の生活に関心を払っていません。

 水産部門では、第5回党大会が示した技術革命の課題も満足に実行していません。

 西湖(ソホ)水産事業所に行ってみたところ、魚類加工の機械化はほとんどなされていませんでした。西湖水産事業所の責任幹部たちは第6回党大会に参加したとのことですが、そもそも第5回党大会で提示された技術革命の課題を遂行していない活動家は、第6回党大会に参加する資格がありません。いま、技術革命の課題がいちばん実行されていない部門は水産部門です。

 メンタイの裁ち割り作業が、機械化されていません。

 以前、西湖水産事業所がメンタイの頭を断ち切り、はらわたをかき出す機械をつくったというので、それをたくさんつくるようにと言いました。ところが現在、西湖水産事業所では、メンタイの裁ち割り機をつくっておきながら、それを利用せず、大勢の人を動員して手工業的な方法でメンタイの裁ち割り作業をしています。私が新浦水産事業所に行って、メンタイの裁ち割り作業を機械化していないことについて批判したところ、西湖水産事業所では、きのうから裁ち割り機を整備補修し、利用しはじめています。

 魚類加工に革命を起こすという課題も満足に実行していません。

 昨年、党中央委員会総会において冷凍工場と冷蔵倉庫を建設する措置を講じた以後、冷凍能力は高まりましたが、冷凍工場を円滑に操業できないため、捕獲した魚類を大量に冷凍することができずにいます。

 このたび、各水産事業所を現地指導したとき、ある冷凍工場に寄ってみるとひどいアンモニアガスの臭いがするので、私はコンプレッサーがだめになってアンモニアガスがもれているのだろうと思いました。ところが、退潮(テジョ)水産事業所にある冷凍工場ではアンモニアガスがもれないとのことです。冷凍工場の管理をよくし、部品をつくって、そのつど設備を整備補修しているところではアンモニアガスがもれませんが、そうでないところではアンモニアガスがもれて工場を満足に操業していないありさまです。

 魚の塩漬けもいい加減にしています。ある年の冬に魚類加工の改善をはかるため、党中央委員会の政治委員たちを東海地区の水産事業所に派遣するとき、魚の塩漬け方法を具体的に教えました。魚はそのまま塩漬けにするより、頭とはらわたを取り除き、半開きにして塩漬けにするほうがよいのです。ところが西湖水産事業所では、私が教えた方法でせず、魚をまるごと塩漬けにしていました。それで、西湖水産事業所の活動家を批判し、支配人に、魚をまるごと塩漬けにした桶と、頭部を取り去って半開きにして塩漬けにした桶を持ってこさせました。今朝それを見ましたが、魚を半開きにして塩漬けにしたほうがまるごと塩漬けにしたものより食べやすく、塩もあまりかからなかったようです。毎年、大量の魚を水揚げしながらも、満足なものを食べられないのは、水産部門の活動家が魚類加工をいい加減にしているからです。

 メンタイを工業的方法で乾燥させるという課題も実行していません。

 以前、東海地区の水産事業所を現地指導するときに見ると、メンタイの干し棚をつくろうとして、まともな木をたくさん伐り出していました。それで水産部門の活動家を批判し、コンクリート棚をつくって乾燥させたり、乾燥炉をつくって工業的方法でも乾燥させるようにといいました。その後調べてみると、メンタイを乾燥炉で乾燥させたものは、野外で日干しにしたものよりこちこちで、おいしくないとのことでした。メンタイは、野外で干すと凍ったり溶けたりして乾くので味がよくなるのです。メンタイを工業的な方法で凍らせたり溶かしたりして乾かせば、野外で乾燥させるのとかわりありません。ところが、水産部門では、メンタイを工業的な方法で乾燥させる研究はしないで、依然として手工業的な方法によって野外で乾燥させています。西湖水産事業所では3階建ての乾燥場をつくっておきながら、長いあいだ使用しなかったので、そこにあった設備はみななくなってしまい、建物だけが残っています。

 他の水産事業所では、以前につくっておいたコンクリート棚を全部取り払い、木の棚をほうぼうにつくってメンタイを干しています。

 新浦魚類缶詰工場では、立派な設備をもっていながら満足に操業させず、大勢の労働者を遊ばせています。魚類缶詰工場が満足に稼働しないので、商店に魚の缶詰があまり出まわりません。

 魚類加工の研究もよくおこなわれていません。

 新浦魚類缶詰工場の支配人にメンタイの缶詰をつくったことがあるのかと聞いてみたところ、メンタイを揚げものにして缶詰にしているといいました。メンタイを揚げものにして缶詰にする必要はありません。

 メンタイをよくすりつぶして、それに食用油といろいろな調味料を加えて蒸せば、立派な缶詰になります。

 政務院と水産委員会、各水産事業所は、漁獲に気をつかうだけで、加工には関心を払っていません。魚をいくら捕っても、それをそのつど加工しなくてはなんにもなりません。

 各道党委員会が、水産部門に派遣されている3大革命グループとの活動を正しくおこなわないので、かれらは技術革新らしきものをなにもできずにいます。

 水産部門にあらわれている欠陥の主な原因は、活動家に党政策にたいする絶対性、無条件性の精神が欠け、党性、労働者階級性、人民性がないところにあります。

 活動家は、口では党と領袖のために、労働者階級と人民のために働くといっていますが、実際の行動においてはそうでありません。党の政策を貫徹するために懸命に努力しない活動家は、党と領袖に忠実な人とはいえず、人民の忠僕ともいえません。

 きょう、私は党中央委員会政治局拡大会議の名で、党の水産政策を満足に実行していない水産委員会の活動家と咸鏡南道、咸鏡北道、江原道の党委員会と各水産事業所が所在する東海地区の市・郡党委員会の活動家に注意を喚起します。

 みなさんは、水産部門の活動にあらわれている欠陥を一日も早く是正し、水産業を発展させるため大いに努力すべきです。

 水産部門の活動家のあいだに、党の政策を無条件受け入れ、あくまで貫徹する革命的気風を確立しなければなりません。

 党と領袖に心底から忠実であるためには、党と領袖の提示する政策を心からうけとめ、それを無条件貫徹しなければなりません。

 各党組織は、水産部門の活動家を党の路線と政策で武装させ、かれらが党政策にたいする絶対性、無条件性の精神でそれを適時に貫徹するよう、強い規律をうち立てなければなりません。これと同時に、党政策の実行において絶対性、無条件性の精神に欠け、党性、労働者階級性・人民性のない傾向とは、強い思想闘争をくりひろげるべきです。

 さしあたり水産部門の各党組織は、このたびの党中央委員会政治局拡大会議の決定が下達されれば、その貫徹にすべての党員と勤労者を奮起させるべきです。

 魚類の加工に大きな力をそそぐべきです。

 我が国は、メンタイ資源が非常に豊富です。メンタイは、夏には朝鮮東海の深層に生息し、冬になると産卵のため群をなして沿海にやってくるとのことです。メンタイは、朝鮮の魚であり、朝鮮人民の生活を向上させる重要な水産資源の一つです。

 初歩的な計算によれば、毎年メンタイを200万トンずつ漁獲しても、メンタイ資源がなくなる心配はないとのことです。年々増大する水産資源と漁船数に即応して、魚類の加工を追いつかせるべきです。工業部門では、採掘工業が加工工業に原料を円滑に供給できなくて加工工業の発展をはかれない状態ですが、水産部門ではそれとは反対に魚類加工が漁獲に追いついていけないありさまです。

 来年を魚類加工の年に定め、魚類加工で革命を起こすべきです。魚類加工で革命を起こせというのは、メンタイで煮つけや揚げものなどをつくれということではなく、冷凍品や塩漬け、缶詰など魚類加工品の生産を工業化せよということです。水産部門の活動家は、魚類加工にたいする認識を改め、魚類の加工に革命的な転換をもたらすべきです。

 なによりも魚を大量に冷凍すべきです。

 魚を大量に冷凍しておいて人民に供給すれば、いろいろな面で有利です。水産部門が冬期に漁獲した魚を冷凍しておいて供給すれば、魚類の加工に毎年おびただしい人手を動員しなくてもすみ、各水産事業所に魚類加工室だとか臨時の人手が寝泊りする宿舎を建てなくてもすみます。魚を冷凍しておいて供給すれば、運搬にも便利であり、再加工して無駄なく食べることができます。冷凍魚は、塩漬けにしてもよく、揚げものとか練り製品など、いろいろと加工して食べることができます。このたびみると、魚は冷凍しておいて食べるのがいちばんです。

 魚類を大量に冷凍しておいて人民に供給するためには、各地の冷凍工場をフルに操業させなければなりません。魚類生産地の冷凍工場の一日の急速冷凍能力が全部で1万1700トンであれば、少ないものではありません。現在の冷凍工場を十分に操業させても、水揚げする魚をほとんど冷凍することができるはずです。

 水産部門の冷凍工場をフルに操業させるためには、冷凍工場をそのつど整備補修しなければなりません。

 全国の機械工場に冷凍工場を一つずつ担当させて、整備補修させるべきです。軍需工業部門の機械工場にも冷凍工場を一つずつ担当させるべきです。冷凍工場の整備補修分担をうけた機械工場では、有能な技術者を冷凍工場に派遣して整備補修をおこない、部品も補充してやるべきです。

 冷凍工場の整備補修に必要な45万キロカロリー級の冷凍機は8月8日工場で製作し、100万キロカロリー級の冷凍ネジ圧縮機は龍城機械連合企業所で製作すべきです。冷凍工場の整備補修用に使うプラスチックも早急に輸入すべきです。

 現在の冷凍工場を整備補修してフルに操業させると同時に、まだ完了していない冷凍工場の建設を早急に終えなければなりません。

 新しい冷凍工場をさらに建設して、急速冷凍能力と貯蔵能力を高めるべきです。

 私の考えでは、各水産事業所に冷凍工場を増設して、急速冷凍能力1000トンと貯蔵能力2万トンをさらに造成するのがよいと思います。来年、漁大津(オデジン)水産事業所と龍大(リョンデ)水産事業所、通川(トンチョン)水産事業所、高城(コソン)水産事業所に冷凍工場を新たに建設して、急速冷凍能力1000トンと貯蔵能力2万トンをととのえるべきです。

 平壌市では来年、3大革命展示館をはじめ、大がかりな建設をたくさん担当しなければならないので、通川水産事業所の冷凍工場の建設は担当できそうにありません。来年、平壌市が担当した通川水産事業所の冷凍工場を除いた他の冷凍工場は全部建設すべきです。

 水産協同組合にも、小型冷凍設備をそなえて魚を冷凍すべきです。

 各水産事業所では、冷凍工場をきちんと管理し、生産文化を高めるようにすべきです。

 今後、魚をたくさん冷凍して供給できるようになれば、生魚は12月と1月にかぎって供給すべきです。10月と11月は気候があたたかいので、生魚を供給すると変質させたり腐らすようになります。

 魚類の塩蔵能力は、増やす必要がありません。今後、冷凍工場で魚を大量に冷凍しておいて供給するようになれば、魚の塩漬けを多くする必要はありません。ですから来年、龍大水産事業所には魚の塩蔵タンクを増設しようとせず、そのかわりに冷凍工場をもうすこし大きく建設すべきです。

 魚の塩蔵品は、おいしく衛生的につくるべきです。タンクに塩蔵しておいた魚を供給するときは、そのまま出荷しないで再加工し、包装もていねいにすべきです。

 魚類乾燥工場は、現在の工場を操業してみて、良好であればさらに建設し、かんばしくなければ建設する必要がありません。

 魚を乾燥炉で工業的な方法で乾燥させるのがよいでしょう。乾燥炉に入れて乾燥させても、凍ったり溶けたりして乾燥するように温度の調節を上手にすれば、野外の干し棚にかけて乾燥させるのと同じように乾燥させることができるでしょう。

 魚類乾燥炉はまずテストケースとしていくつかつくってみて、結果がよければ工場、企業所に分担してつくるべきです。まず、西湖水産事業所の乾燥炉を稼働させてみながら、新浦水産事業所に魚類乾燥炉をつくるべきです。いますぐには魚類乾燥炉をたくさんつくることができないので、干し棚をつくって手工業的な方法でも魚を乾燥させるべきです。魚を乾燥させる棚は木材ではなく、セメントでつくるべきです。

 各水産事業所には、乾燥した魚を保管する倉庫も建てなければなりません。

 魚粉をたくさんつくるべきです。魚を冷凍したり塩蔵するときに切り取った頭部は、粉末にして子供に与えてもよく、大人が食べてもよいものです。水産部門では、魚類加工工場を十分にととのえ、魚粉を食用にできるようきれいにつくるべきです。

 塩蔵品、乾燥品、粉末など魚類の1次加工品をたくさん生産するためには、工業化しなければなりません。当面は、メンタイを裁ち割って内臓を取り除き乾燥させる工程を工業化すべきです。魚類の1次加工はすでに提出ずみの案どおりにおこなうべきです。

 魚類缶詰工場は、これ以上建てないようにすべきです。

 来年、魚類缶詰工場をもっと建設するとしても、それに必要な資材を提供することができません。来年は電力事情が許さないので、建設を多くしない考えです。

 来年は魚類缶詰工場を新設せず、現在の魚類缶詰工場をフルに操業させなければなりません。現在の魚類缶詰工場をフルに操業させて人民に魚の缶詰を供給し、好評であれば1982年に魚類缶詰工場をさらに建設することにすべきです。魚類缶詰工場の設備などは、自力で十分つくることができます。

 来年、魚類缶詰工場の設備製作に必要な鋼材を供給することができれば、多少提供して、現在の魚類缶詰工場の生産能力を高めるべきです。新浦魚類缶詰工場は以前、外国から輸入して建設したものですが、機械設備を上手に配置できなかったので、生産面積を合理的に利用できずにいます。この工場は、機械設備を合理的に配置すれば、生産能力を少なからず高めることができるはずです。新浦魚類缶詰工場は、機械を合理的に配置し、さらに補充すれば、生産能力をいちだんと高めることができるでしょう。新浦魚類缶詰工場の生産能力をさらに数1000トン高められれば結構なことです。水産部門では来年、現在の魚類缶詰工場に肉付けをして生産能力をさらに高めるようにすべきです。

 練り製品は、量産しないようにすべきです。

 練り製品は、ヨーロッパ人が好むソーセージと形や味が似ています。我が国の人がこれを好むかどうかわかりません。練り製品は長期間保管するのがむずかしいので、たくさんつくる必要はありません。これは、消費地で人民の需要に応じて奨励品としてつくって供給することにし、義務的にどれだけ生産せよと押しつけないようにすることです。

 練り製品は、道都と工業都市で生産して供給することにし、その日に生産したものはその日に販売する原則にすべきです。練り製品は、平壌市、咸興市、清津市、元山市などの大都市でたくさんつくって販売するのがよいでしょう。

 練り製品は、魚類生産地では量産しないようにすべきです。新浦市のように大きな水産事業所があるところでは、練り製品をたくさんつくってもあまり売れないはずであり、また他に供給するところもありません。新浦市から咸興市に直送することができれば、つくってもよいでしょう。平壌と新浦間は遠いので、平壌市では新浦市でつくった練り製品を取りよせることができません。練り製品はすぐ変質するので、新浦市でつくったものを平壌市に運搬するのはむずかしいことです。練り製品は、大都市で住民の需要に応じてそれぞれつくって売るようにすべきです。

 栄養乳を量産すべきです。

 栄養乳は味もよく、リジンをはじめ、必須アミノ酸やいろいろな成分がたくさん含まれているので、人体に非常によいものです。平壌市の幼稚園の幼児に栄養乳と豆乳、牛乳を飲ませていますが、栄養乳を飲ませた幼児は、豆乳や牛乳を飲ませた幼児より背も伸び、体重もまさっています。

 栄養乳をたくさんつくれば、他のものまで合わせて、全国のすべての託児所、幼稚園の幼児に牛乳を日に200グラムずつ与えることができます。

 私は、我が国では牛乳をそれほど生産できないので、どうすればすべての幼児に牛乳を飲ませることができるか、ということを常に考えています。栄養乳をつくって、すべての幼児に日に200グラムずつ飲ませることができれば、それにこしたことはありません。

 栄養乳は、魚類生産地で量産するようにすべきです。そうすると、消費地までの運搬が問題になりますが、それは缶詰にして供給すればよいでしょう。

 栄養乳は、魚の消費地でもつくって販売すればよいでしょう。

 メンタイのたらこや腸の塩辛をはじめ、塩辛類やシッケ(魚を米や大根その他の薬味で発酵させた食物)などもたくさんつくるべきです。こうしたものをたくさんつくって人民に供給するには、それに必要な調味料を供給しなければなりません。塩辛やシッケをつくるのに必要な調味料は供給できるでしょう。消費地にメンタイのたらこや腸の塩辛をはじめ、塩辛類やシッケ、練り製品など魚類の2次加工品を生産する加工工場をさらに建設すべきです。

 魚類の2次加工品を生産する工場を平壌市、金策市、清津市、南浦市、咸興市、元山市のようなところに建設すればよいでしょう。魚類の2次加工品を生産する工場を消費地に建設しても、冷凍した魚を運搬して加工すればよいわけです。

 コンブ、ウニ、貝なども大量に加工すべきです。

 水産事業所には、いろいろな魚類の加工品を生産するよう計画を与えなければなりません。

 水産事業所に計画を与えるときには、漁獲計画だけでなく、加工計画も与えるべきです。そうすれば、水産事業所の魚類加工にたいする関心を高めることができます。水産事業所に魚類の加工計画を与えるときには、1年間に冷凍魚、塩蔵品、乾燥品、魚粉といった1次加工品はどれだけ生産せよというぐあいに、指標別に与えなければなりません。

 魚類の加工に必要な容器を十分に提供すべきです。

 魚類をたくさん加工するためには、加工品の包装容器がたくさん必要です。魚類加工品を入れる容器は、ブリキ、トタン、木材、プラスチックを利用してつくるべきです。来年から金策製鉄所で冷間圧延薄鋼板を量産するので、ブリキはいくらでも供給することができます。既成のブリキ生産能力が4万5000トンですから、水産部門にブリキを3万トンは提供できます。水産部門にブリキを3万トン供給すれば、使っても余るでしょう。

 素焼きの壺のようなものは、水産協同組合用としてつくってやるべきです。素焼きの壺を利用したのでは、魚類加工品を大量に処理することができません。素焼きの壺に魚類加工品を入れて供給した時代はとうに過ぎ去りました。魚類加工品の包装に必要なビニリデンも自力で生産すべきです。しかし、現在は生産できないので、当分は外国から輸入しなければなりません。

 魚類加工で革命を起こすためには、水産部門に投資をしなければなりません。投資せずには、魚類加工を発展させることができません。魚類加工品はただで生まれるものではありません。

 魚類加工室と魚類加工の手伝いに来る人々の宿舎を建てるべきです。これに要する資材はそれほどのものではありません。魚類加工室は、水産事業所に2万2000平方メートル、水産協同組合に8000平方メートル、合わせて建坪が3万平方メートルになるようにすべきです。魚類加工室や宿舎を水産事業所が自力で建てるのはむずかしそうです。それは、道が担当して建てるべきです。道が担当して建てれば、より立派に建てることができるでしょう。

 水産業の物質的・技術的土台をさらに強化すべきです。

 水産業の物質的・技術的土台をさらに強化すれば、四季をつうじて海を空けずに漁獲することができ、魚類の加工も上手におこなうことができます。

 水産業の物質的・技術的土台を強化するためには、近代的な漁船をたくさん建造しなければなりません。

 今後、新浦造船所と元山造船所は450トン級の万能船を多数建造すべきです。

 450トン級の万能船を多数建造すれば、海上の天候が悪いときでも出漁して漁獲することができます。200馬力級万能船のような小型船は、海上の天候が悪いときは出漁できません。冬は海上の天候がよい日があまりないので、天候にかかわりなく漁獲するためには、450トン級と1000トン級の漁船を多数建造しなければなりません。

 450トン級の万能船1隻がメンタイの漁期に日に300トンずつ捕獲していますが、出漁回数を増やせば、より多くのメンタイを捕ることができます。したがって、450トン級の万能船をたくさん建造する対策を講じるべきです。

 450トン級の万能船を来年には40隻ほど建造し、1982年からは毎年50隻建造することにすべきです。

 新浦造船所と元山造船所をよくととのえて漁船を専門に建造するようにすれば、450トン級の万能船を毎年、50隻建造することができるでしょう。今後、新浦造船所と元山造船所で450トン級の万能船を毎年50隻建造するとしても、10年間では500隻になります。

 我々は、エンジンや鋼板をはじめ、造船に必要な設備と資材を自力で生産しているので、幹部がしっかり取り組みさえすれば、450トン級の万能船を年間50隻建造するのは問題でありません。

 今後、新浦造船所と元山造船所では1000トン級の漁船も建造すべきです。政務院は、1000トン級の漁船を建造するのに必要な設備と資材を具体的に検討してみて、国内で生産が可能なものは生産し、そうでないものは外国から輸入する措置を講じるべきです。

 3750トン級の漁船を多数建造するのは困難です。3750トン級の漁船は、遠洋での漁獲には適していますが、近海での漁獲には450トン級の万能船や1000トン級の漁船より劣ります。3750トン級の漁船は、年に魚類をおよそ2万トンほど捕るのですから、そのような船も建造する必要はあります。しかし、3750トン級の漁船を建造するには、1万5000トン級の船舶建造に劣らず労働力と資材がかかります。

 造船所を充実させ、450トン級と1000トン級の漁船をより多く建造すべきです。

 船舶の修理システムをしっかりうち立てるべきです。

 船舶の修理システムをしっかりうち立てないことには、漁船がいくら多くても魚を十分に捕ることができません。私はかつて、船舶修理工場に予備エンジンを十分に提供して、エンジンが故障した船がはいってくれば新しいエンジンと取りかえ、故障したエンジンは修理しておいて他の船が修理のために入港すれば取りかえてやるといったぐあいに、船舶を15日内に修理するシステムを確立させました。

 ところが今年、政務院が船舶修理に必要な資材と部品を十分に供給しなかったので、漁労作業に少なからぬ支障を与えています。政務院が船舶の修理に必要な木材や部品を十分に供給しなかったので、現在、修理できないままの船が少なくないとのことです。冬期の漁獲は季節的制約があり、時間をあらそう仕事で、漁船を1隻出漁させなくても多くの魚が捕れなくなります。資本主義国の個人企業家なら、船を数隻遊ばせておいても倒産してしまいます。ですから、かれらはぜがひでも故障した船を早く修理して出漁させようとし、遊ばせるようなことはしません。

 政務院が、水産事業所の設備と施設の補修に必要な資材を十分に供給しなかったので、陸揚げ場の設備補修や岸壁の補修、桟橋の補修、魚の陸揚げ場の準備を計画どおり遂行できなくなりました。

 今年、漁船や水産事業所の設備を十分に整備補修できなかったのは、政務院の活動家にも責任はありますが、主には、水産部門の責任幹部に主人としての態度が欠如していたことと関連しています。水産委員会の責任幹部は、船舶の修理と水産事業所の設備補修で難題となっていることはなんであるかを具体的に検討して対策を立てるべきなのですが、ただ現場監督のように歩きまわっては督促ばかりしているようです。もう、冬期の漁獲期間はあまり残っていないので、これから対策を立てて故障した船を修理していたのでは時機を逸してしまいます。

 政務院では、船舶修理に必要な資材を十分に供給して、15〜20日間の船舶修理システムを立てるようにすべきです。現在、船舶修理工場が15日間で船舶を修理するのはむずかしいといっているので、修理期日を5日間ほど延長してやるのがよいでしょう。

 15〜20日間の船舶修理システムをうち立てるうえでいちばん大切なのは、船舶修理工場に予備エンジンを十分に提供することです。船にあいた穴をふさぎ、ペンキを塗り、部品を取りかえるのはすぐにでもできますが、エンジンを修理するのは簡単ではありません。

 船舶修理工場に船の修理に必要な予備エンジンと予備の部品、資材などを十分に提供して、船がはいってきしだい、エンジンならエンジン、部品なら部品を取りかえ、ペンキを塗らなければならないところは塗るようにすべきです。そうすれば、故障した船を15〜20日間で十分修理することができるでしょう。

 国家計画委員会では、第1機械工業省が船舶修理工場に予備エンジンと部品を生産供給できるように計画をかみあわせ、それをかならず実行するようにさせるべきです。これとともに、党中央委員会の当該部署では、政務院の各委員会、省と工場、企業所が、船舶修理工場に船の修理に必要な予備エンジンと部品、資材をそのつど生産供給するよう、強く統制しなければなりません。

 故障した船舶を15〜20日間で修理せよといわれたからといって、船舶修理工場を増設する必要はありません。既設の船舶修理工場も少なくないのですから、そこに機械設備を補充して不十分な工程を補強すれば、現在の船舶修理工場だけでも故障した船をすべて修理することができるでしょう。

 船舶修理工場には、造船計画を与えてはなりません。

 船舶修理工場に造船計画を与えると、故障した船をそのつど修理することができません。今後、船舶修理工場では、各水産事業所が所有している200馬力級の万能船が使えなくなってそれを補充する場合にかぎって造船することにし、それ以外は200馬力級の船舶を建造してはなりません。

 現在、船舶修理工場で漁船を適時に修理できないのは、修理能力が不足しているためではなく、計画外の船を建造して、船舶修理用の資材をみな使ってしまうためです。船舶修理工場に200馬力級の漁船を1隻建造できる労働力と資材があれば、数隻の船を修理できるはずです。

 船舶修理工場が修理用に供給された資材を造船に使いはたし、故障した船を修理できなくて漁獲期に多くの漁船を遊ばせておくというのは、山の猪を追って家の豚を逃がすようなものです。

 200馬力級の万能船は風がすこし強く吹いても出漁できないので、それを多く建造しても乗組員が増えるだけで役に立ちません。

 船舶修理工場に造船計画を与えるとしても、資材が供給されないので満足に実行できません。今年、船舶修理工場で船舶の建造にとりかかって、資材が供給されなくて取りやめた件が少なくないはずです。

 船舶修理工場が計画にもない船を建造するのは、活動家のあいだに船舶を何隻か建造して評価をうけようという功名主義が作用しているためです。

 政務院では、200馬力級の万能船がさらにどれだけ必要なのかということを具体的に検討してみて、必要であれば造船所に課題を与えて建造させるべきです。

 来年、洪原造船所に200馬力級の万能船を30隻ほど建造させる案が提出されていますが、造船能力がそれくらいなら少ないものではありません。200馬力級の万能船は、洪原造船所にだけ建造させても十分です。

 国家計画委員会は、船舶修理工場に200馬力級の万能船を建造する計画を絶対に与えてはならず、船舶修理工場のある道、市、郡の各党委員会は、船舶修理工場が故障した船の修理整備をせずに船を建造しようとする傾向を厳しく統制すべきです。

 漁具生産基地をしっかりととのえることは、水産業の物質的・技術的土台を強化するための重要な課題の一つです。

 水産委員会では、漁具生産基地をしっかりととのえ、水産事業所に近代的な漁具をたくさん生産供給すべきです。東海と西海で捕れる魚はそれぞれ異なり、漁獲方法もそれぞれ特性があるので、漁具生産基地を東海地区には、清津、金策、新浦、咸興、元山に設け、西海地区には南浦を中心に設けるべきです。

 政務院では、漁具工場の生産能力を検討して、漁具生産基地の建設に相応の投資をすべきです。

 水産業の物質的・技術的土台をしっかりととのえるためには、水産部門に設備と資材を十分に供給しなければなりません。造船所と船舶修理工場、漁具工場の拡充に必要な設備と資材は、提起されたとおりすべて供給すべきです。

 水産部門に設備と資材を提供せよと言われたからといって、具体的な検討もせずに、むやみに提供してはいけません。このたび、ここに来る途中で見ると、水産事業所の近くにある鉄道駅ごとに原木がたくさん積んでありましたが、それは、水産部門の活動家が船の修理を口実にして受け取ったものにちがいありません。必要な資材を検討もせずに要求どおり与えるので、工場、企業所では、必要以上に受け取って、死蔵させたり浪費しているものが少なくありません。政務院では、工場、企業所から資材の要求があればよく検討して、必要な量だけ供給すべきです。

 水産科学研究活動と水産部門の技術者養成事業を強化しなければなりません。

 水産物の生産と加工を主体化、現代化、科学化することは、水産部門で一貫して堅持すべき我が党の方針です。

 水産物の生産と加工を主体化、現代化、科学化するためには、水産部門の科学者、技術者の役割をいっそう高めなければなりません。

 現在、水産部門の科学者、技術者は、水産物の加工についての研究を怠っています。このたび魚類加工の実情を知るため魚類加工品を持ってこさせたところ、いろいろな魚の揚げものや魚肉入りのそばをこしらえてきました。それで、魚類の加工品は加工品として食べ、そばはそばとして食べるべきであるのに、どうして生臭い魚肉入りのそばをつくる必要があるのか、といいました。

 現在、水産部門が魚類加工品をこしらえて販売しないため、家庭では魚を買っては魚汁のようなものをつくって食べています。魚汁を食べるのも悪くはありませんが、それは味のよい加工品を買って食べるのにはおよびません。

 水産部門の科学者、技術者は、魚類加工品の包装についての研究もよくおこなっていません。魚類加工品を外観もよく、買って食べるにも便利なように包装をきちんとして販売すべきなのですが、ただ安易な方法で包装して売っています。

 たらこのようなものも、壺に入れて、壺ごと買っていけるようにすればよいのですが、大きな素焼きの壺に漬けておいて、1〜2キログラムずつすくって売るので、住民は新鮮みのないものを買っています。たらこを小さい壺に入れて売れば、住民が食べたいときに一壺ずつ買っていくことができます。

 魚類の加工品だけでなく、他の食料品の包装も満足なものとはいえません。南浦港を現地指導したとき商店にはいってみたところ、蜂蜜をビールビンのような大きなビンに入れて売っていました。販売員に、外国の船員たちに蜂蜜が売れるのかとたずねてみたところ、値段を聞いてみてはそのまま立ち去ってしまうとのことでした。

 外国の船員たちは、大きなビンに入れた蜂蜜は値段が高いので、買おうとしません。朝鮮の蜂蜜は世界的に有名ですが、包装が下手なので、外国人に売れないありさまです。2人くらいがパンなどにつけて食べられる程度に小さなビンに50グラムほど入れて売れば、誰でも買うでしょう。

 活動家は、商品の包装のしかたも、商いのしかたも知りません。

 私が1956年にヨーロッパのある社会主義国を訪問したさい、市内を見てきた随員は、この国ではタバコをばらで売っている、これはたいへんけちくさいといいました。それで私は、タバコをばらで売るのがどうして悪いのか、タバコをばらで売れば、一箱買うお金を持ちあわせていない人も買って吸えるではないか、とたしなめました。

 水産部門の科学者、技術者は、魚類加工を機械化することについてもしっかり研究していません。

 このたび西湖水産事業所に行ってみたところ、そこには、水産部門の技術者が140名もいるというのに、メンタイの裁ち割り作業一つ機械化してやれないため、女性たちが寒い冬に屋外でうずくまって裁ち割り作業をしていました。こういうことを見ても機械化しようということを考えない技術者は、いくら大勢いても役に立ちません。

 水産部門の科学者、技術者は、魚類加工にたいする研究を深め、おいしく栄養価の高い、いろいろな魚類加工品をたくさんつくるようにすべきです。

 水産部門の科学者、技術者は、魚類の回遊状態、それと気象状況との相互関係、我が国の水産資源にたいする研究もおこない、漁獲と加工の現代化、科学化についての研究もおこなうべきです。特に、メンタイ漁とその加工についての研究を強化すべきです。

 我が国のようにメンタイを大量に捕っている国はありません。したがって、メンタイ漁とその加工にたいする研究活動において主体性を確立すべきです。

 水産部門の科学者、技術者の隊伍をしっかりかため、かれらに研究条件を十分にととのえてやるべきです。

 水産部門の科学者、技術者の隊伍は、機械について明るい人、魚類加工の知識や技術のある人、化学をよく知っている人たちでかためるべきです。そうしてこそ、水産物の生産と加工を現代化、科学化するための研究を正しくおこなうことができます。

 水産科学の研究を強化すると同時に、水産部門の技術者養成事業に力をそそぐべきです。

 現代科学技術の知識水準が高い水産部門の技術者を養成するためには、水産大学の教授活動を強化しなければなりません。

 水産大学の授業の質を高めるためには、立派な教科書を編さんしなければなりません。

 このたび、党中央委員会の科学・教育事業部が水産大学の教科書を点検してみたのですが、農業大学の教科書を修正するとき多少手直しはしたものの、まだ満足すべきものではないとのことです。

 水産大学の教科書がいまなお党の政策に即して修正されていないのは、教科書を執筆する科学者、技術者が現実にうといためです。水産大学の教科書を執筆する科学者、技術者自身が、漁獲と加工にたいする知識をもっていません。

 水産大学の教科書を立派に編さんするためには、水産部門の科学者、技術者のあいだで科学技術学習を強化し、かれらに外国の図書も購入してやって科学理論水準を高めるようにしなければなりません。水産大学では、教授活動において事大主義と教条主義をなくし、主体性を確立し、現代科学技術の知識を身につけた水産部門の技術者を多数養成すべきです。

 水産部門の幹部をしっかりかためるべきです。

 水産部門の幹部をしっかりかためてこそ水産物の生産と加工にたいする指導を正しくおこない、水産業をいっそう発展させることができます。現在、水産物の生産と加工がうまくいっていないのは、水産部門の幹部が正しい指導をできないことと少なからず関連しています。

 以前、船に乗っていた人たちで水産部門の幹部をかためたので、かれらは水産物の生産と加工を現代化、科学化することについては考えつかないようです。水産委員会の活動家を老・中・青を組み合わせてかためることにし、漁獲の経験をもつ人と、魚類加工と機械、化学についての知識のある人をとりあわせるべきです。

 水産委員会の活動家を立派にかため、かれらが水産物の生産と加工の現代化、科学化の実現において主人としての役割をしっかり果たせるようにすべきです。

 水産事業所の活動家も実質的にかためるべきです。

 新浦水産事業所に新浦魚類缶詰工場を統合させて連合企業所にすべきです。新浦水産事業所の囲いの中にある新浦魚類缶詰工場を別個に運営させる必要はありません。両企業所を統合して連合企業所をつくり、漁獲と加工を統一的に指導するようにすべきです。

 水産部門労働者の給養活動を改善しなければなりません。

 水産業をいっそう発展させるには、漁業労働者が出漁して心おきなく働けるよう、かれらの生活条件を十分に保障すべきです。

 なによりも、漁業労働者に住みよい住宅を建ててやるべきです。漁業労働者の住宅は高層ではなく、平屋か2、3階建ての松林(ソンリム)式に建てるのがよいでしょう。

 来年、小規模の水産事業所と水産協同組合では、レンガと風化土ブロックで平屋と2、3階建ての松林式住宅をたくさん建てるべきです。漁業労働者の住宅は、山のふもとの奥まったところに、農村集落のようにこぎれいに建てるのがよいでしょう。

 金策市と新浦市、元山市をはじめ、都市にある大きな水産事業所では敷地がかぎられており、都市形成計画に従って住宅を建てなければならないので、漁業労働者の住宅を高層にしなければなりません。しかし、いますぐ高層住宅を建てる鋼材とセメントを供給することができない状況のもとでは、今後、資材が解決されれば建設できるように場所を空けておき、来年は、裏通りに平屋か2、3階建ての松林式住宅を建てるべきです。

 水産部門の労働者に石炭と薪をそのつど供給すべきです。漁業労働者が家を離れて遠洋に出漁し、ひと夏中、漁獲して帰ってきては、たき物がなくて、斧を手にして山に薪をとりにいかせるようなことをしてはなりません。これは、行政委員長など当該部門の幹部が漁業労働者の生活に関心を払わないからです。当該部門の幹部は、漁業労働者に石炭と薪を十分に供給し、かれらが遠洋から帰ってきては十分な休息をとってからふたたび出漁できるようにすべきです。

 水産部門の労働者に、労働保護物資をそのつど供給すべきです。

 以前、私が首相をつとめていたときは、水産部門の従事者に綿入れをはじめ、労働保護物資を供給する体系がうち立てられていましたが、いまでは、そうした体系がなくなってしまったようです。冬期に寒い海上で働く水産部門の労働者に労働保護物資を供給しなければ、仕事を満足にすることができません。

 水産部門労働者の労働保護物資は、提出された案どおりに供給すべきです。

 今後は、水産部門に指導グループを組織して派遣してはなりません。水産部門に指導グループを派遣すると、水産部門の責任幹部の責任感が弱まります。水産部門に指導グループを派遣するより、党中央委員会の第2経済事業部と、政務院と水産委員会、各道党委員会に、冬期の漁獲と加工対策を講じる課題を与え、それを確実に実行するようにさせるのがよいでしょう。

 党中央委員会政治局拡大会議の決定書は、前回の政治局拡大会議ときょうの会議で討議された内容にもとづいて、しっかり作成して下達すべきです。

 次に、咸興地区の公害を防止し、モビロン工場の建設を促進する問題について簡単に述べましょう。

 咸興地区は大きな化学工場が集中しているので、空気が澄んでいません。我々は、党がすでに決定し人民と約束したとおり、咸興地区の公害を徹底的に防止しなければなりません。党が決定したことは、いかなることがあっても必ず実行しなければなりません。党の決定をよく実行しないのは、党政策にたいする絶対性、無条件性の精神に欠けている証拠です。私は、咸興地区の公害防止に関心を示さない活動家に注意を喚起します。

 来年、他の建設は多少できなくても、咸興地区の公害防止にはひきつづき力を集中しなければなりません。公害を防止するためには、それに必要な設備と資材をそのつど供給しなければなりません。設備や資材を供給せずに、口先だけで公害の防止について強調してはなんの役にも立ちません。政務院の当該委員会、省と工場、企業所は、咸興地区の公害防止に必要な設備と資材をそのつど生産して提供しなければなりません。咸興地区の公害防止に必要な設備と資材はそれほどのものではないので、活動家が関心を払いさえすれば提供できるはずです。

 咸鏡南道党委員会と咸興市党委員会は、公害防止のための事業を中途半端にすることなく、ひきつづきしっかり掌握しておし進めるべきです。人民がみな喜んでいる事業なのですから、突撃戦とせん滅戦をくりひろげて早急に終えるべきです。

 きょうの会議に参加した中央と地方のすべての幹部と工場、企業所の支配人も、咸興地区の公害防止に積極的な支援を与えるべきです。すべての活動家は、咸興地区の公害防止を人民のための極めて重要な事業と考え、責任をもって遂行すべきです。

 モビロン工場の建設に拍車を加えるべきです。

 モビロン工場の建設を促進して早く終えれば、人民によいふとんを提供することができます。私は、モビロンを生産して人民に布団綿を供給しようと、前回の咸鏡南道にたいする現地指導のさい、今年の末までに1万トン能力のモビロン工場を建設し、来年の上半期までにはその能力を2万トンに高める課題を与えました。ところが、このたび来て調べてみると、建設省ではモビロン工場に動員することになっていた建設事業所の人手をああだこうだといっては動員せず、モビロン工場の設備生産を担当した工場、企業所でも設備を満足に生産していません。

 私は、モビロン工場の建設に無関心な建設相と龍城機械連合企業所の支配人と党書記に注意を喚起します。

 当該部門の活動家は、モビロン工場建設の第1段階工事をいかなることがあっても来年の4月15日までに完成し、メーデーにはモビロン綿を生産すべきです。モビロン工場建設の第1段階工事を来年の4月15日までに完成するためには、労働力と資材を適時に供給し、必要な外貨も至急割り当てるべきです。それに、国内でまかなうべき設備も早急に生産すべきです。モビロン工場の設備生産を担当した工場、企業所では、今年の12月から来年1月までの期間をモビロン工場設備生産月間とし、モビロン工場の設備生産キャンペーンをくりひろげるべきです。モビロン工場の建設と関連しては改めて検討を加える必要もなく、他の問題が提起されることもないのですから、計画どおり必ず実行すべきです。

出典:『金日成著作集』35巻 


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