金日成『朝鮮労働党第6回大会でおこなった中央委員会の活動報告』


3 祖国の自主的平和統一を実現しよう

 同志のみなさん!

 全朝鮮人民の最大の民族的悲願である祖国統一の偉業をなし遂げることは、我が党の最も重要な革命任務であります。

 総括期間、我が党は祖国と民族にたいする重大な使命から、そして、我々の世代に必ず祖国を統一しようとする確固たる決意にもとづいて、祖国統一のための最も正しい路線と方針を示し、その実現をめざして積極的なたたかいをくりひろげてきました。

 我々は、祖国統一問題の解決のために一貫して堅持してきた我が党の根本的立場と、1970年代にはいって急変した内外情勢の要請を反映して、祖国統一の基本的綱領として、自主、平和統一、民族大団結の3大原則をうちだしました。

 我が党は、自主的平和統一の活路を開く画期的措置として、北と南の各政党、大衆団体の代表と個別的人士の協商を主動的に提案し、その実現のために誠意ある努力をつくしました。我々の主動的提案と積極的な努力によって、長いあいだかたく閉ざされていた南北間の扉はついに開かれ、南北の対話が実現し、その結果として歴史的な南北共同声明が発表されました。自主、平和統一、民族大団結の3大原則を基本内容とする南北共同声明の発表により、我が党の示した祖国統一の3大原則は、北と南が共同で確認し、内外に厳粛に宣言した民族共同の唯一の統一綱領となりました。

 北と南の対話が実現し、南北共同声明が発表されたことは、祖国統一の途上における一歩前進であり、これを契機に祖国統一の気運は全民族的規模で急激に高まりました。共和国北半部の人民はいうまでもなく、南朝鮮の愛国的青年学生と民主人士をはじめ、各階層の人民も、祖国の統一をめざすたたかいに勇敢に立ち上がりました。

 祖国の自主的平和統一をめざす南北全朝鮮人民の闘争がもりあがるにつれ、それに恐れをなしたアメリカと南朝鮮当局者は、朝鮮の統一を遅らせ、分断を永久化する「2つの朝鮮」政策をもちだしました。

 アメリカは「2つの朝鮮」の固定化を対朝鮮政策の基本戦略とし、その実現のため各方面から策動し、これに同盟者や追随者までさかんに動員しました。

 アメリカ帝国主義者の後押しのもとに南朝鮮当局者は、朝鮮民族としての良心も、南北共同声明をつうじて民族に誓った公約もすてさり、分裂主義路線の突撃隊となりました。かれらは、南朝鮮人民のあいだで日ましに高まる祖国統一の気運をおさえ、民族分裂の企図を実現するため、軍隊と警察、「中央情報部」などの弾圧手段を動員してファッショ的な「維新体制」をつくりあげ、祖国統一と民主的自由と権利を要求する南朝鮮の愛国的人民と民主人士に野獣じみた弾圧を加えました。南朝鮮当局者は、全民族の大きな期待と関心のうちに進められた北と南の対話を破綻させたばかりか、アメリカ帝国主義者の筋書きどおり「国連同時加盟」と「クロス承認」を唱えてそれを実現しようと狂奔しました。

 アメリカと南朝鮮当局者の分裂主義的策動と売国的反民族的策動のため、祖国統一の前途には重大な難関が生じました。そのため、国土の分断と民族分裂の悲劇に終止符を打ち、南朝鮮人民の民族解放を実現するたたかいにおいては、分裂主義者の「2つの朝鮮」策動を粉砕し、南朝鮮社会を民主化することが中心課題となりました。こうして、民族統一勢力と分裂主義勢力、民主勢力とファッショ勢力、愛国者と売国奴の深刻な対決と闘争がおこなわれました。これは、北と南が1つの朝鮮に統一されるか、「2つの朝鮮」に永久分裂するか、民主主義かファシズムかというたたかいであり、民族の完全な解放と独立を達成するか、あるいは国土の半分を永久に帝国主義の植民地としてゆだねるかというたたかいでした。

 南朝鮮人民は、祖国統一の障害であるファッショ的「維新」独裁体制の撤廃と南朝鮮社会の民主化をめざす愛国闘争に決起して勇敢にたたかい、民主主義と祖国統一の敵に大きな打撃を与えました。昨年の10月以来、釜山(プサン)と馬山(マサン)、ソウルと光州(コワンジュ)など南朝鮮各地ではげしく展開された人民の勇敢なたたかいは、悪名高い売国奴、「維新」独裁の元凶を破滅に追いやり、その残党に厳しい警告を与えました。特に去る5月、多くの人民がいっせいに決起し、手に武器をとって勇敢にたたかった光州人民の英雄的蜂起は、南朝鮮のファッショ支配の基盤を大きくゆさぶり、アメリカ帝国主義者とその手先、軍事ファシスト一味を不安と恐怖におののかせました。

 こんにち南朝鮮では、アメリカ帝国主義者とその手先、軍事ファシスト一味の策動により、極めて重大な事態が発生しています。

 南朝鮮において昨年の「10月事件」以後、陰謀的手口で権力を奪取した軍事ファシスト一味は、社会の民主化と祖国の統一を妨害するため悪らつに策動してきました。かれらは南朝鮮全域に「非常戒厳令」をしき、政党、大衆団体の活動など、いっさいの政治、活動を完全に禁止し、悪名高い以前の独裁者もあえてできなかった弾圧蛮行をためらうことなく強行しました。

 南朝鮮の軍事ファシスト一味は、「韓米連合軍司令部」の指図のもとに重武装のかいらい軍部隊を動員して、生存の権利と民主主義を要求して立ち上がった光州の愛国的人民と青年学生を野獣のように虐殺し、手当たりしだいに検挙、投獄しました。また、軍事ファシスト一味は、社会の民主化と祖国の統一を要求する南朝鮮の著名な民主人士や政治活動家をいっせいに逮捕、投獄し、「内乱陰謀罪」「反共法違反罪」など各種の罪名をきせて悪どく処刑しています。こんにち南朝鮮は、集団的な殺りく蛮行が公然とおこなわれ、人民の自由と権利が完全に蹂躙された20世紀末期の最も残酷な生き地獄と化しています。

 南朝鮮の現軍事ファシスト一味の強行している弾圧蛮行は、その野獣性と残忍性において世界のどのファシスト独裁者をもはるかにしのいでいます。歴史はまだ、南朝鮮の軍事ファシスト支配層のように、一挙に数千名の同胞を銃剣で殺りくし、政治的反対派を残忍に処刑した人間屠殺者を記録していません。

 アメリカは、35年間も南朝鮮を占領して過酷な植民地支配をつづけ、南朝鮮の独裁者をそそのかして人民の民主的自由と権利を完全に蹂躙してきました。南朝鮮の売国的で反民族的な歴代の独裁者を庇護してきたアメリカは、きょうも、以前の独裁者のファッショ化政策を踏襲している南朝鮮の新しい軍事ファシスト独裁者を積極的に庇護しています。

 いま世界中の人々の憤激を呼び起こしている南朝鮮軍事ファシスト一味の蛮行は、すべてアメリカの差し金と庇護のもとに強行されています。光州の愛国的蜂起者にたいする野獣じみた殺りく蛮行を指揮したのもアメリカであり、南朝鮮の民主人士を過酷に弾圧するようそそのかしたのもアメリカであり、南朝鮮で軍事ファッショ独裁「政権」をつくりあげ、人間屠殺者をその頭目にすえたのもほかならぬアメリカであります。

 アメリカ当局者は、南朝鮮の事態にたいして表面では「遺憾」だの「憂慮」だのといってそ知らぬ顔をしていますが、侵略者の本心とファシスト絞刑吏の正体は絶対におおい隠せるものではありません。アメリカは、南朝鮮で民主主義と人権を圧殺する張本人であり、南朝鮮人民にたいする虐殺蛮行の背後操縦者であります。アメリカは、いかに狡猾な術策を弄しても、南朝鮮に現在のような暴虐な軍事ファッショ独裁「政権」をつくりあげ、戦慄すべき流血の惨劇をまねいた責任をまぬがれることはできません。

 こんにちの南朝鮮の悲劇的事態と南朝鮮人民がこうむっている災難は、とりもなおさず全朝鮮民族の不幸であり、これは、ほかならぬ国土の分断と民族の分裂がもたらした痛恨事であります。同じ民族の血筋を引いた朝鮮人であるならだれであろうと、こんにちのこの不幸な事態を座視することはできず、民族の将来の運命について深く考えざるをえません。

 我々は、南朝鮮でアメリカ帝国主義者とその手先の植民地ファッショ支配を一掃し、祖国を統一することによって、民族の不幸と悲劇を終わらせ、朝鮮民族の明るい未来を切り開かなければなりません。

 祖国の統一を早急に実現させず、分裂を持続させるならば、朝鮮民族は永久に2つの民族に分裂し、南朝鮮人民は植民地奴隷の境涯から脱することができなくなるでしょう。

 祖国の統一を早急に実現しなければ、国の独立と自主権を守りとおすことも困難になるでしょう。

 こんにち国際舞台では、列強間の勢力圏争奪のための対立と衝突が日ましに激化しています。歴史は、列強が勢力圏の拡張をめぐって争うとき、小国はその渦中にあって利益を侵され、餌食にされることを示しています。世界各国の利害関係が複雑にからみあい、列強間の軍事的対決が日ましに激化しているこんにち、祖国の統一が実現せず、南北の分断状態がつづくならば、朝鮮民族はふたたび外部勢力の餌食にされ、植民地奴隷になるおそれがあります。我々は、列強の利害関係によって国家と民族の運命が翻弄され、同胞が国なき民の生活を強いられた悲痛な歴史を二度とくりかえしてはならず、そのためには分断された祖国を早急に統一しなければなりません。

 分断は従属と亡国の道であり、統一こそが独立と繁栄の道であります。こんにち、朝鮮民族にとって統一より貴重なものはなく、祖国の統一より緊切な課題はありません。

 南北朝鮮人民と全朝鮮民族は、祖国の自主的平和統一をめざすたたかいに一丸となって立ち上がるべきです。

 祖国の自主的平和統一を達成するためには、南朝鮮の軍事ファッショ支配を一掃し、社会の民主化を実現しなければなりません。

 南朝鮮において、こんにちのように民主主義が跡形もなく抹殺され、過酷な軍事ファッショ支配がおこなわれている状況下にあっては、民族の和解と団結も、祖国の平和的統一も不可能であります。南朝鮮における「反共法」「国家保安法」などのファッショ的悪法を廃止し、いっさいの弾圧支配機構を一掃すべきです。同時にすべての政党、大衆団体を合法化し、政党、大衆団体、個別的人士に政治活動の自由を保障し、不当に逮捕、投獄された民主人士と愛国的人民を釈放し、かれらに加えられたすべての刑罰を取り消すべきです。南朝鮮で「維新体制」を一掃したうえで、軍事ファッショ「政権」は広範な人民大衆の意思と利益を擁護し代弁する民主的政権にかえられるべきです。

 祖国の自主的平和統一を達成するためには、我が国の緊張を緩和し、戦争の危険を除去しなければなりません。

 現在我が国では、軍事境界線を境に北と南の膨大な兵力が対峙しており、南朝鮮には数万のアメリカ軍が駐留しています。アメリカ帝国主義者と南朝鮮軍事ファシスト一味のたえまない挑発策動のため、我が国の情勢は常に緊張しており、いつ戦争が勃発するかわからない危険が常時存在しています。こんにち、朝鮮は、世界で最も情勢が緊張し先鋭化している地域となっています。これは、朝鮮人民ばかりでなく、周辺諸国人民と全世界人民の大きな憂慮をかもしだしています。

 朝鮮人民は、戦争を望まず、なんとしてでも同胞同士の争いを避け、祖国を平和的に統一することを念願しています。北と南の軍事的対峙状態を解消し、戦争の危険を取り除くことは、祖国の平和的統一を達成する最も重要な前提条件です。北と南が互いに銃を向けあい、同胞あい争う危険がただようなかにあっては、北と南のいかなる接触や対話も所期の成果を得ることができず、民族の真の団結と統一を実現することはできません。

 我が国において緊張を緩和し、戦争の危険を除去する問題は、停戦協定を平和協定にかえることによってのみ解決されます。

 我々は朝米間の対話の実現と平和協定の締結について、再三アメリカに提案してきました。これは、朝鮮の自主的平和統一と世界平和のための最も正当な発案であり、アメリカ人民の利益と念願にも全く合致するものであります。しかしアメリカは、我々のこの正当な提案をいまなお受け入れておらず、ひきつづき南朝鮮に軍隊を駐留させ、平和を大きく脅かしています。

 我々は、朝鮮停戦協定を平和協定にかえる問題について協商することを、いま一度アメリカに提案するものです。

 アメリカ当局者が我々のこの提案をどのように受け取るかは、戦争か平和かという問題にたいするかれらの明白な回答となるでしょう。アメリカ当局者は、これを熟考すべきであり、真摯かつ誠実な態度でこの正当な提案を受け入れ、南朝鮮から速やかに軍隊を撤退させて、アメリカ人民を含む世界人民の一致した念願と意思にかなった行動をとるべきです。

 祖国の自主的平和統一を達成するためには、アメリカの「2つの朝鮮」策動を阻止し、朝鮮の内政にたいするアメリカの干渉を終わらせなければなりません。

 アメリカの「2つの朝鮮」策動は、現在我が国の自主的平和統一を実現するうえで基本的障害となっています。「2つの朝鮮」をつくり、単一民族である朝鮮民族を永久に二分しようとするアメリカの分裂政策は、朝鮮人民の一致した志向と時代の流れに逆らうものであり、これはなにをもってしても正当化できるものではありません。また、南朝鮮を植民地にかえ、南朝鮮の軍事ファシスト一味を積極的に庇護するアメリカの内政干渉政策は、南朝鮮社会の民主的発展と朝鮮の統一を妨げており、これは、朝米両国人民間の関係にも好ましくない影響をおよぼすでしょう。

 アメリカは、分裂主義的な「2つの朝鮮」政策をこれ以上追求すべきではなく、朝鮮の統一を妨げることなく、統一の助けとなることをすべきです。アメリカは、南朝鮮の軍事ファシスト一味を庇護すべきでなく、朝鮮の内政にたいする干渉をいっさい中止すべきです。

 我々は、祖国の統一は、必ず自主、平和統一、民族大団結の3大原則にもとづいて実現されるべきであると主張します。

 朝鮮の統一問題は、外部勢力の支配と干渉に終止符を打ち、朝鮮民族の自主権を完全に取りもどし、北と南の不信と対立を取り除き、民族の団結を実現する問題です。朝鮮の統一は、いかなる外部勢力の干渉もうけることなく、朝鮮民族自身の力で自主的に実現されるべきであり、南北間の武力行使によらず、接触と対話をつうじて平和的に実現されるべきであり、北と南、海外の全朝鮮同胞が思想と体制の違いを超越し、同一民族として大団結をなし遂げる原則で実現されるべきです。

 我々は、7.4南北共同声明において、北と南が共同で明らかにした崇高な理念と原則にもとづき、また、北と南が相異なる思想と体制下にある我が国の具体的現実から出発して、最も早く、確実な祖国統一の方途を見いだし、積極的な努力によってその実現をはからなければなりません。

 我が党は、祖国を自主的に、平和的に、民族大団結の原則に従って統一する最も現実的かつ合理的な方途は、北と南に現存する思想と体制をそのままにして、双方が連合し1つの連邦国家を形成することであると認めます。

 解放後、こんにちにいたるまで北と南には、長いあいだ相異なる体制が存在し、それぞれ異なった思想が支配しています。このような状況のもとで、民族の団結を実現し、祖国の統一をなし遂げるためには、ある一方の思想と体制を絶対化してはなりません。もし、北と南が、それぞれ自分の思想と体制を絶対化したり、それを相手側に強要するならば、対決と衝突は避けられず、そうなれば、むしろ分裂を深める結果をまねくでしょう。全民族がひとしく祖国の統一を至上の課題とみなしている以上、思想と体制の相違が統一を不可能にする条件とはなりえません。1つの国に相異なる思想をもつ人々がともに暮らすことは可能であり、1つの統一国家に異なる2つの社会体制が共存することも可能であります。我々は、我々の思想と体制をけっして南朝鮮に強要するものではなく、もっぱら民族の団結と祖国統一のためにすべてを服従させるでありましょう。

 我が党は、北と南がともに相手側に現存する思想と体制をそのまま容認する基礎のうえで、双方が同等に参加する民族統一政府を組織し、そのもとで北と南が同等の権限と義務をもち、それぞれ地域自治制を実施する連邦共和国を創立して祖国を統一することを主張します。

 連邦形式の統一国家では、双方の同数の代表と適当数の海外同胞代表で最高民族連邦会議を構成し、そこに連邦常設委員会を組織して北と南の地域政府の指導にあたらせ、連邦国家の全般的な活動を管轄させるのが合理的でしょう。

 最高民族連邦会議とその常任機構である連邦常設委員会は、連邦国家の統一政府として、全民族の団結、合作、統一の念願にかなうよう、公正な原則に立って、政治、国防、対外関係など、国家と民族の全般的利益にかかわる共通の問題を討議、決定し、国家と民族の統一的発展をはかる活動をおし進め、各分野にわたって北と南の団結と合作を実現すべきであります。連邦国家の統一政府は、北と南に現存する社会制度と行政組織、各党、各派、各階層の意思を尊重し、ある一方が他方に自己の意思を強要できないようにすべきです。

 北と南の地域政府は、連邦政府の指導のもとに、全民族の根本的利益と要求に合致する範囲内で独自の政策を実施し、すべての分野で双方の差をせばめ、国家と民族の統一的発展を遂げるために努力すべきです。

 連邦国家の国号は、すでに世界的に広く知られた我が国の統一国家の名称を生かし、民主主義を志向する北と南の共通の政治理念をもりこんで高麗(コリョ)民主連邦共和国とすべきだと思います。

 高麗民主連邦共和国は、いかなる政治的・軍事的同盟やブロックにも加担しない中立国となるべきです。相異なる思想と体制をもつ北と南の両地域を1つの連邦国家に統一する条件のもとで、高麗民主連邦共和国が中立国となるのは必然的であり、また実際上、最も合理的なことであります。

 高麗民主連邦共和国は、我が国の全領土と全民族を包括する統一国家として、全朝鮮人民の根本的利益と要求にかなった政策を実施すべきです。

 我が党は、高麗民主連邦共和国が次のような施政方針を立てて実行するのが妥当であるとみなします。

 1.高麗民主連邦共和国は、国家活動のすべての分野で自主性を堅持し、自主的な政策を実施すべきです。

 自主性は、独立国家の基本的な表徴であり、国家と民族の生命であります。国家活動において確固たる自主性にもとづいて自主権を行使してこそ、民族の尊厳と栄誉を守り、人民の念願にかなった国の富強発展をはかることができます。

 高麗民主連邦共和国は、どの国の衛星国にもならず、いかなる外部勢力にも依存しない完全な自主独立国、非同盟国になるべきです。

 高麗民主連邦共和国は、あらゆる形の外部勢力の干渉と外部勢力への依存に反対し、対内対外活動において完全な自主権を行使し、国家政治のすべての問題を朝鮮民族の根本的利益と我が国の実情に即して自主的に解決していくべきです。

 2.高麗民主連邦共和国は、国の全地域と社会の各分野にわたって民主主義を実施し、民族の大団結をはかるべきです。

 民主主義は、異なった思想と政見をもった人々が、ひとしく共鳴して受け入れられる共通の政治理念であり、各階層の広範な人民が国家と社会の主人として当然享有すべき神聖な権利です。

 高麗民主連邦共和国は、独裁政治と情報政治に反対し、人民の自由と権利をあくまで擁護し保障する民主的な社会・政治制度を全面的に発展させるべきです。

 連邦国家は、政党、大衆団体の組織と活動の自由、信教の自由、言論、出版、集会、デモの自由を保障し、北と南に居住する人民が、国の全地域を自由に往来し、任意の地域で政治・経済・文化活動を自由におこなう権利を保障すべきです。

 連邦政府は、北と南のどの一方にもかたよらず、2つの地域と2つの制度、各党派と階級、階層の利益をひとしく保障する公正な政策を実施すべきです。連邦政府が実施する諸政策は、民族大団結の原則から出発し、民族の団結と合作を強化して国の統一的な発展と繁栄を遂げるためのものとなるべきです。

 連邦政府は、統一国家の発展のために努力する北と南のいかなる団体や個別的人士にたいしても過去を問うことなく団結し、いかなる形の政治的報復や迫害も許してはなりません。

 3.高麗民主連邦共和国は、北と南の経済合作と交流を実施し、民族経済の自立的発展を保障すべきです。

 我が国の北と南には、今後長年にわたって開発利用できる豊富な天然資源があり、これまでにきずきあげた経済的土台があります。国が統一された条件のもとで、北と南が互いに協力し合作して天然資源を共同で開発し、現有の経済的土台を効果的に利用するならば、我が国の民族経済は急速な発展を遂げ、すべての人民は他にひけをとらない裕福な暮らしができるでしょう。

 北と南の経済合作と交流は、北と南の相異なる経済制度と企業体の多様な経済活動を認める基盤のうえに実現されるべきです。連邦政府は、北と南に現存する国家所有と協同団体所有、私的所有と個人所有をともに認めて保護し、資本家の所有と企業活動にたいしても、独占と買弁行為をおこなわず、民族経済の発展に寄与するかぎり、それを制限したり侵害すべきではありません。

 連邦国家は、各階級と階層の利益にかなうようすべての生産単位と企業体の経済活動を正しく調整しながら、北と南が地下資源と海洋資源などの天然資源を共同で開発利用し、相互協力と有無相通じる原則で分業と通商を広く発展させるようにすべきです。双方の当局または企業間に、共同会社、共同市場などを合理的に組織して運営するのも望ましいことです。

 連邦国家は、双方の広範な合作と交流をつうじて、北と南の経済を互いに連結され有機的に結合された、自立的な民族経済に発展させるべきです。

 4.高麗民主連邦共和国は、科学・文化・教育分野において北と南の交流と協力を実現し、国の科学技術と民族文化・芸術、民族教育を統一的に発展させるべきです。

 朝鮮人民は、悠久な輝かしい民族文化の伝統をもっています。英知と才能のある朝鮮民族は、遠い昔から科学技術と文化・芸術を立派に発展させてきました。解放後、国の北と南には、有能な科学者、技術者と才能のある作家・芸術家が数多く育ちました。北と南の交流と協力を実現して、双方の科学者、技術者や作家・芸術家が力と知恵を合わせれば、我が国の科学技術と民族文化・芸術をより立派に開花発展させることができるでしょう。

 連邦国家は、北と南の科学者、技術者が、科学研究活動を共同でおこない、科学技術分野の成果と経験を広範に交換させあうことによって、科学技術の急速な発展をはかるべきです。

 連邦国家は、北と南の芸術家やスポーツマンの交流と合作を大いに奨励し、双方の科学者が共同で民族文化遺産を発掘して保護、管理し、固有の朝鮮語および文字を研究し発展させるようにすべきです。こうして、民族文化・芸術をさらに美しく開花させ、単一民族としての朝鮮民族の固有性を生かしていくようにすべきです。

 教育は、民族の将来を左右する極めて重要な事業です。連邦政府は、人民的な教育制度を発展させ、教育事業を国家的、社会的に積極的に支援して、優秀な民族技術人材を多数養成し、全人民の文化・知識水準をたえず向上させるようにすべきです。

 5.高麗民主連邦共和国は、北と南の断絶された交通、逓信を連結し、全国的範囲で交通および逓信手段の自由な利用を保障すべきです。

 交通と逓信は、国の動脈であり、神経であります。国土が分断され、交通と逓信が断絶されることによって、朝鮮民族は間近にいる家族や親戚にも会えず、安否すら伝えることめできない大きな不幸をなめています。北と南の断たれた交通と逓信を連結すれば、こうした民族の不幸を終わらせ、双方の政治、経済、文化の交流と合作を順調に実現することができます。

 連邦国家は、北と南を結ぶ鉄道および道路を復元し、船舶および飛行機の航路を開設して、陸海空による自由な往来ができるようにしなければなりません。また、双方の全地域に電信、電話を開通させ、郵便物が自由にやりとりできるようにすべきです。

 連邦政府は、北と南が交通手段および逓信施設を共同で利用するだけでなく、その管理運営も漸次共同でおこない、やがては全国の交通、逓信を一元化するようにはからうべきです。

 6.高麗民主連邦共和国は、労働者、農民をはじめ、勤労者大衆と全人民の生活安定をはかり、その福祉を系統的に増進させるべきです。

 勤労者大衆は、国家と社会の主人であり、あらゆる物質的富の創造者であります。勤労者に安定した生活を保障し、その福祉をたえず向上させることは、人民に奉仕する民主国家の活動において最も重要な原則とならねばならず、またそれは、統一政府が当然履行すべき民族的義務でもあります。

 連邦国家はすべての活動において、労働者、農民をはじめ、勤労者と各階層人民の生活安定と福祉増進のための活動に優先権を与えるべきです。すべての勤労者に衣食住の基本的な生活条件を保障し、貧民の生活を中産階級の生活水準に引き上げ、全人民がひとしく裕福に暮らせるようにすべきです。

 連邦国家は、労働能力を有するすべての人に職業を斡旋し、労働と休息の条件を与え、勤労者の安定した生活を保障する賃金制と価格政策、公正な税制を実施しなければなりません。中小企業をはじめ、各種形態の企業体の正常を生産活動と勤労者の生活保障の対策を立て、特に、零細農・漁民、小商人、手工業者の経営を国家が積極的に援助すべきです。

 連邦国家は、勤労者の教育と健康増進に深い関心を払い、国家的な保障対策を立て、勤労者とその家族がすべて教育と治療をうけられるようにすべきです。

 7.高麗民主連邦共和国は、北と南の軍事的対峙状態を解消し、民族連合軍を組織し、外国の侵略から民族を防衛すべきです。

 北と南が膨大な兵力を擁して軍事的に対峙していることは、互いに誤解と不信を生み、不和をまねき、平和を脅かす根源となっています。

 連邦国家は、北と南の軍事的対峙状態を終わらせ、同胞同士の争いを永久になくすため、双方の兵力をそれぞれ10万〜15万に縮小すべきです。同時に、北と南を分断している軍事境界線をなくし、その一帯のいっさいの軍事施設を撤去し、双方の民間軍事組織を解散し、民間軍事訓練を禁止すべきです。

 連邦国家は、朝鮮人民軍と南朝鮮「国軍」を統合して、単一の民族連合軍を組織すべきです。民族連合軍は、北と南のいずれにも属さない統一国家の民族軍隊として、連邦政府の統一的指揮のもとに祖国防衛の任務を遂行すべきです。民族連合軍の維持と国防に要するいっさいの負担は双方が共同でうけもつべきです。

 8.高麗民主連邦共和国は、すべての在外朝鮮同胞の民族的権利と利益を擁護し、保護すべきです。

 現在、多数の朝鮮同胞が外国に居住しています。高麗民主連邦共和国は、在外朝鮮同胞の祖国として、当然その民族的権利と利益を擁護し、保護する責任と義務を負うべきです。

 高麗民主連邦共和国は、すべての在外朝鮮同胞が国際的に認められている合法的権利と自由を享受できるよう積極的に努力し、民主主義的民族権利を守るためのかれらのたたかいを断固支持声援すべきです。

 連邦政府は、すべての在外同胞が、祖国を自由に往来し、帰国して任意の地域で自由に居住し、活動する権利を保障すべきです。

 9.高麗民主連邦共和国は、北と南が統一以前に外国と結んだ対外関係を正しく処理し、両地域政府の対外活動を統一的に調整すべきです。

 国の統一が実現する前に北と南が外国と結んだ対外関係を正しく処理してこそ、統一国家のなかで全民族的利益と両地域の利益がともに適切に保障され、連邦国家が世界各国と公正な立場に立って友好関係を発展させることができます。また統一後にも、北と南が一定の範囲でそれぞれ外国と独自の対外関係をもつようになる状況下にあって、連邦政府は両地域政府の対外活動を統一的に正しく調整する必要があります。

 高麗民主連邦共和国は、北と南が、統一以前に外国と一方的に締結した軍事条約をはじめ、民族の団結を阻害するいっさいの条約と協定を廃棄すべきです。双方が外国と結んだ対外関係のなかで、経済関係など民族共同の利益に反しない対外関係はひきつづき維持すべきです。

 連邦国家は、北と南が社会体制にかかわりなく、外国と経済的に合作することを認めるべきです。連邦国家は、国の統一以前に南朝鮮に投資された外国資本を侵害せず、その利権をひきつづき保障すべきです。

 高麗民主連邦共和国は、北と南の地域政府が外国と双務的関係を結ぶのを許すべきです。また、双方の対外関係を正しく調整し、両地域政府が対外活動において共同歩調をとるようにすべきです。

 10.高麗民主連邦共和国は、全民族を代表する統一国家として世界のすべての国との友好関係を発展させ、平和愛好的な対外政策を実施すべきです。

 高麗民主連邦共和国は、対外関係において全朝鮮民族の唯一の代表となるべきです。連邦国家は、国連などの国際機構に全朝鮮民族を代表して参加し、全民族を代表すべきいっさいの国際的行事に単一代表団を派遣すべきです。

 高麗民主連邦共和国は、中立路線を堅持して非同盟政策を実施し、自主性と内政不干渉、平等と互恵、平和共存の原則のもとに世界のすべての国と友好関係を発展させるべきです。特に、高麗民主連邦共和国は、隣接国との善隣関係を大いに発展させるべきです。

 高麗民主連邦共和国は、平和愛好国となり、平和愛好的な対外政策を実施すべきです。統一した朝鮮は、周辺の国や世界のいかなる国にたいしても侵略的脅威を与えず、いかなる国際的侵略行動にも加担したり協力したりしないでしょう。連邦国家は、我が国の領土に外国軍隊の駐屯および外国の軍事基地の設置を許してはならず、核兵器の製造と搬入、その使用を禁止することにより、朝鮮半島を恒久的な平和地帯、非核地帯にすべきです。

 高麗民主連邦共和国の実行すべき10大施政方針は、全朝鮮民族の共通の志向と要求を正しく反映したものであり、統一した朝鮮の進むべき前途を示したものであります。

 我が党がこのたび新たに提起する祖国統一方案と統一国家の10大政綱は、全朝鮮人民の積極的な支持と賛同をうけ、世界の人民からも熱烈な歓迎をうけるでしょう。

 我が党は、新たな祖国統一方案を早急に実行に移し、統一した祖国で幸せに暮らそうとする5千万同胞の切々たる願いを実現するため、全力をつくしてたたかうでしょう。

 我が党の提案どおり連邦共和国を創立し、祖国の統一を実現するためには、北と南、海外のすべての朝鮮同胞が、思想と体制、党派と政見の相違をとわず、祖国統一の旗のもとに民族大統一戦線にかたく結集してたたかわなければなりません。

 祖国の自主的平和統一をめざす我が党と人民のたたかいの前途には、いまなお多くの障害と難関が横たわっています。しかし、我々はあらゆる障害と難関を必ずのりこえ、全民族の団結した力で祖国統一の歴史的偉業を達成せずにはおかないでしょう。

 全民族が団結し、北と南が合作して高麗民主連邦共和国を創立し、祖国を統一すれば、我が国は5千万の人口と輝かしい民族文化と強力な民族経済をもつ自主独立国家として、おかしがたい尊厳と権威をもって国際舞台に進出し、三千里の国土にさらに富強な繁栄する人民の楽園を建設するようになるでしょう。



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