金 日 成

朝鮮統一支持イギリス委員会代表団との談話
−1979年10月3日− 
 
 私は、あなたがたのわが国訪問を熱烈に歓迎します。

 私は、あなたがたがイギリスで、朝鮮人民の切実な念願である祖国統一の偉業を積極的に支持声援し、朝鮮人民との連帯運動を力強く繰り広げていることに対して謝意を表します。

 我々は、イギリスにあなたがたのような立派な友人がいることを非常にうれしく思います。

 私は、あなたがたがわが国を訪問してよい印象をうけたことをうれしく思い、また、いましがた朝鮮人民と私への励ましのお言葉をいただき、深く感謝します。

 我々は、今後、あなたがたの厚い信頼と励ましの言葉にこたえるため積極的に努力し、あなたがたとの連帯をさらに強化していくつもりです。

 あなたがたが、このたび訪朝して直接ごらんになったように、わが国は発展途上国です。かつて、わが国は36年間も日本帝国主義の植民地支配下におかれていたうえ、解放を達成したのちはアメリカ帝国主義者の武力侵攻に抗する3年間の祖国解放戦争を展開しました。その結果、わが国は立ち後れた状態におかれるようになりました。そのうえ、わが国は依然として分裂状態におかれています。

 我々は、こうした困難な状況のもとで経済建設をおこなっています。もちろん、わが国は戦後急テンポの発展は遂げたものの、ゼロからはじめたので、まだまだ、なすべきことがたくさんあります。

 イギリスは既に200年あまり前に産業革命をおこないましたが、わが国はいまになってやっと独り立ちできるようになりました。わが国も、これからは急テンポで発展できる諸条件が整いました。

 我々は戦後、廃墟のなかから国の復興建設に取り組みながらも、他の事業に教育事業を優先させました。教育事業に大きな力をそそいだ結果、わが国は自国の立派な民族幹部をもつようになりました。

 日本帝国主義の植民地支配当時、わが国には大学がソウルに一つあっただけなので、解放直後、共和国北半部には大学を卒業した人がわずかにすぎませんでした。しかし、いま共和国には162校の大学があり、我々は100万のインテリ大集団をもっています。

 現在わが国の工業、農業、運輸、教育、文化などの各分野では、自力で養成した民族幹部が働いていますが、これはわが国の大きな元手だと思います。我々は、国の急速な発展をはかる強固な土台を築き上げたといえます。

 わが国には、地下資源が非常に豊富です。したがって、我々は工業を速やかに発展させることができます。

 わが国の耕地面積は多くありませんが、我々はそれを最大限に利用し、豊富な地下資源を積極的に開発して、人民の衣食住問題を自力で円滑に解決しています。もっとも、先進国の生活水準に追いつくにはまだ少々時間を要します。しかし、わが国の発展展望は非常に明るく、これからの発展テンポはさらに速くなるものと思います。

 私は、あなたがたがわが国の社会主義建設がスムーズに進捗していると高く評価してくださったことに対しありがたく思います。今後我々は、革命と建設をさらに力強く推し進め、一日も早く先進国の水準に追いつく考えです。

 祖国の分断は、わが国の発展に大きな支障をきたしています。事実上、わが国が統一されていたなら、現在よりはるかに発展していたはずです。

 いま我々は、過重な軍事的負担を背負っています。南朝鮮はアメリカから多くの「援助」をうけていますが、我々はいっさいを自分でまかなっています。もし、我々が現在のような莫大な軍事的負担を背負っていなかったなら、国の経済をいっそう早く発展させることができたはずであり、人民生活はより裕福になっていたはずです。

 我々はいま、祖国の統一を第一の課題としています。

 朝鮮人民は、誰もが祖国の統一を望んでいます。わが国は、他の国のような多民族国家ではなく、単一民族国家です。アメリカ帝国主義者が南朝鮮を占領し、反動支配層を唆して祖国統一をめざす南朝鮮人民のたたかいを弾圧していますが、一つの言語と文化、悠久な歴史をもつ単一の朝鮮民族を永久に二分することはできません。

 我々は、あなたがたが国の統一をめざす朝鮮人民のたたかいにより多くの力添えをしてくれるよう期待します。アメリカ帝国主義者に国際的に圧力を加え、彼らが南朝鮮から自国の軍隊を撤退させ、南朝鮮のかいらい政権を支持しないようにするならば、朝鮮人民はゆうに自分の手で国の統一を実現することができます。

 我々は、共和国北半部の社会主義体制と南朝鮮の現体制を存続させ、連邦国家をつくる方法で祖国の統一を実現しようとしています。

 わが国の周辺には大きな国があります。中国、ソ連、日本があり、太平洋の向こう側にはアメリカがあります。このように、わが国は大国にはさまっているので、世界の人々は、将来朝鮮が統一された後にどういう道を選ぶかということに関心をよせています。

 南朝鮮には、アメリカや日本の資本も導入されており、西ドイツやフランスの資本も導入されています。その他にも発展した国々の資本が多く投下されています。

 もちろん、わが共和国北半部にはいかなる外国の資本も導入されていません。

 アメリカ帝国主義者が朝鮮の統一を妨害しているだけでなく、南朝鮮に資本を投下した他の国々も、朝鮮が統一されれば彼らの資本が侵害されはしまいかと懸念して、朝鮮の統一を妨害しています。

 我々が南朝鮮の現体制を存続させて国の統一を実現するというのは、南朝鮮に投資した外国資本家の利益を侵害しないということを意味します。ですから、南朝鮮に資本を投下した国々は、朝鮮の統一に懸念をいだく必要はありません。

 朝鮮は統一後、いかなる国の衛星国ともならず、完全な自主独立国、中立国になるでしょう。

 我々は、体制と信教の違いをこえて民族大団結の原則にもとづき、自主的に、平和的に、民主主義的に国の統一を実現するでしょう。現在、朝鮮民族の最大の念願である祖国統一偉業の実現をめざすたたかいにはある程度の障害がありますが、我々がこうした原則をひきつづき堅持していくなら、やがて朝鮮は必ず統一されるでしょう。

 私は、あなたがたのわが国訪問をいま一度熱烈に歓迎します。

 私は、あなたがたがこれまで朝鮮の統一偉業を実現するために、朝鮮人民との連帯を強めるために多くの努力をなさったように、今後とも朝鮮人民の祖国統一偉業を積極的に支持声援してくれるよう期待するものです。

 この次は家族を伴って、休息のつもりでまたわが国を訪問してください。我々はきょうはじめて会いましたが、これからは旧友として会うようになるでしょう。

 最後に、あなたがたのご健康を祈ります。
                                                
出典:『金日成著作集』34巻 
 

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