金 日 成

社会主義労働法を貫徹しよう
全国労働行政活動家大会でおこなった演説
-1979年9月27日-


 同志のみなさん!

 私はまず、全国労働行政活動家大会を熱烈にお祝いします。

 私はまた、労働行政部門に従事するすべての活動家に、党中央委員会と共和国政府と私自身の名であつい感謝の意を表します。

 我が国の労働行政活動家は、これまで民主主義革命と社会主義革命、社会主義建設で大きな業績をつみあげました。我が国が日本帝国主義植民地支配から解放されたのち、人民政権が樹立され、民主主義革命と社会主義革命、社会主義建設が成功裏に進められましたが、これには労働行政部門に従事する活動家の闘争業績が大きくこめられています。

 我々は解放後の1946年に既に、労働者を資本の搾取と抑圧から解放するため労働法令を発布しました。そのときから、我が国には、すべての人が労働に参加できる条件がそなわり、すべての勤労者が民族経済の建設における自己の任務を立派に遂行できる条件がそなわりました。特に、社会主義革命の勝利後、我が国の労働者、農民、勤労インテリは、国家と社会の真の主人として社会主義建設に自覚的に参加するようになりました。

 全人民の積極的なたたかいによって社会主義建設がたえず進展した結果、我が国には社会主義の自立的民族経済が立派に建設され、我が国は強力な社会主義工業国になりました。

全国労働行政活動家大会で演説する金日成主席
1979年9月27日

 こんにち、朝鮮人民は最も先進的な社会主義制度のもとで、思う存分幸せな生活を営んでいます。我が国ではすべての人が安定した職業をもち、自発的熱意を発揮して働いています。我が国には失業者が一人もいないだけでなく、無為徒食する者もおらず、すべての人がともに働き、ひとしくよい暮らしをしています。

 我が国の勤労者は、労働と学習、休息を取り合わせて文化的な生活をしています。すべての勤労者は一定の教育体系に網羅されて働きながら学んでおり、息子や娘を人民学校から大学にいたる各級学校で、一銭の金もかけずに勉強させています。まことに我が国は世界にまたとない「学びの国」になりました。勤労者は無料で治療をうけ、無料で療養や休養の保障をうけています。また、我が国は世界で初の無税国となりました。

 現在、朝鮮人民は衣食の心配、子供を学校に入れる心配、病気治療の心配、納税の心配、借金返済の心配というものを知らず、幸せに暮らしています。我が国は、すべての勤労者が物質的にも精神的にも、なんの心配や苦痛も知らず、思う存分幸せな生活を享受する、最もすぐれた社会主義国となりました。

 昔から我々の先祖は、地上楽園の建設を夢見てきましたが、その夢がまさにこの労働党時代になって実現しました。これは朝鮮人民の達成した最も偉大な成果であり、最も輝かしい勝利であります。

 かつて、長いあいだ立ち後れていたうえに、戦争によってすべてが破壊され灰じんに帰した我が国が、極めて短い期間にこのような立派な社会主義社会を建設したことに世界の人々は驚嘆しています。

 我々がこれまで社会主義建設で偉大な成果をおさめることができたのは、我が党のすべての路線と政策が正しかったからであり、全人民が党中央委員会のまわりにかたく団結し、党の指導に従ってあらゆる力と知恵をつくして積極的にたたかったからであります。

 私は、社会主義建設のたたかいで労働行政活動家のつみあげた業績を高く評価し、党の政策に従って労働行政の改善に努めている全党員と勤労者に熱烈な祝賀とあつい感謝を送ります。

 同志のみなさん! 我々は昨年、社会主義労働法を発表しました。

 社会主義労働法は、1946年に発布された労働法令の執行過程で達成された成果を法的に強固にし、今後、労働行政をさらに改善し、社会主義労働生活で堅持すべき原則と要求を明示しました。このように、立派な社会主義労働法をもった国はひとり我が国しかありません。

 こんにち、我々には社会主義労働法を貫徹すべき重大な課題が提起されています。我々は、すべての勤労者が労働生活において社会主義労働法を十分に具現して思想、技術、文化の三大革命を積極的におし進め、我が国の社会主義制度をさらに強固にするようにしなければなりません。

 私は、これから社会主義労働法の貫徹で提起されるいくつかの課題について述べようと思います。

 なによりもまず、労働行政活動家は、労働者、技術者、事務員、農民をはじめ、勤労者との活動、政治活動を正しくおこなうべきです。

 すべての活動で基本となるのは対人活動です。それは、人間が自然を征服し、物質的富を創造し、社会を改造し発展させるからです。

 労働行政は、対人活動の重要な部分です。したがって、労働行政をたんに勤労者の隊列を補充し、職業を斡旋する仕事と考えてはなりません。

 一部の活動家は、労働行政機関をあたかも職業紹介所のようにみなし、不足する労働力をおぎない、労働者を適材適所に配置すればすむものと考えていますが、これは間違いです。労働行政活動家は、労働力を調整し、学校卒業生や除隊軍人を配置することで自己の責任を果たしたとはいえません。労働行政活動家の最も重要な任務は、対人活動、政治活動を正しくおこなうことです。

 全社会をチュチェ思想で一色化し、すべての勤労者が主人としての態度で、仕事で自発的熱意と創意を高く発揮するようにさせるのは、我が党の要求であり、方針であります。対人活動、政治活動の目的は、ほかならぬ我が党のこの要求と方針を貫徹するところにあります。したがって労働行政活動家は、すべての勤労者を我が党のチュチェ思想で武装させ、かれらが各自の持ち場で才能と創意を余すところなく発揮できるようにしなくてはなりません。

 労働行政活動家のおこなうべき重要な政治活動は、社会主義憲法と社会主義労働法、労働規律にかんする規定を勤労者にたえず解説し浸透させ、大衆をその貫徹へと奮起させることです。

 勤労者に社会主義憲法と社会主義労働法、労働規律宣かんする規定の解説浸透を活発におこなってこそ、すべての勤労者が労働生活における自己の権利と義務を明確に認識し、国家の法令と規定の要求どおり働き、生活することができます。

 いま、我が国には勤労者の労働生活を規定づけた各種の法律規範と規定がありますが、労働行政活動家は、それを解説し浸透させて確実に実行するための活動をおこたっています。労働行政活動家は、勤労者に社会主義憲法と社会主義労働法、労働規律にかんする規定の解説浸透を十分におこなって、すべての勤労者が党と国家の要求を正しく理解し、労働規律を自発的に守るようにすべきです。

 労働行政活動家はみな、社会主義・共産主義建設のためにたたかう社会主義・共産主義建設者です。したがって労働行政活動家は、勤労者のあいだでブルジョア思想をはじめ、あらゆる古い思想に徹底的に反対し、かれらを「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という共産主義的な集団主義的精神で武装させるため積極的に努力しなければなりません。勤労者は共産主義思想で武装してこそ、社会と集団の利益を重んじ、祖国と人民のために献身することができ、労働と学習・休息を正しく取り合わせて共産主義的に生活することができます。

 勤労者を革命的に教育するうえで、「生産も学習も生活も抗日遊撃隊式に」というスローガンは適切なスローガンです。抗日遊撃隊員は、極めて困難な状況のもとでも祖国と人民のために、革命のためにあらゆる難関をのりこえて勇敢にたたかい、いつも規律正しく学習し生活しました。抗日遊撃隊員はみな同志的にかたく団結していたし、かれらには官僚主義、主観主義がありませんでした。労働行政活動家は、すべての勤労者が抗日遊撃隊のこうした革命的活動気風と生活気風を継承し、見習い、抗日遊撃隊員のように革命的に働き、学び、生活するようにさせるべきです。

 次に、すべての勤労者が労働を愛し、社会主義労働生活規範のとおり働くようにすべきです。

 ここで重要な問題は、勤労者を労働を愛する精神で教育し、かれらを骨のおれる労働から解放し、労働規律を強化して労働力の浪費をなくし、労働力を定着させ、勤労者の技術・技能水準を高め、設備を愛護し、資材を節約することです。

 すべての勤労者を労働を愛する精神で教育すべきです。

 社会主義労働法に明らかにされているように、我が国において労働は最も神聖で栄誉あるものとなっています。勤労者の労働によって国家と社会のすべての富が創造され、人民のこんにちの幸せな生活と明日のより豊かな生活がもたらされるのです。

 私は、既に久しい前に、党の宣伝活動家に共産主義教育について演説したさい、勤労者に労働を愛する精神を植えつけることが共産主義教育で最も重要な問題の一つであることを強調しました。すべての人が労働を愛し、労働にまじめに参加してこそ、共産主義社会を成功裏に建設することができます。将来、共産主義社会が実現しても、人々はだれもが労働に誠実でなければなりません。共産主義社会は、けっして遊んで暮らす社会ではありません。共産主義社会はすべての人がともに働き、ともに幸せに暮らす社会です。

 我が党のねばり強い教育と努力によって、朝鮮人民の労働と生活気風には多くの変化が起こりました。現在、我が国を訪れる外国人は、朝鮮人民はみな勤勉に働き、はつらつとして希望にあふれ、秩序正しい生活をしている、と口をそろえていっています。朝鮮人民がこのように世界の人々から立派な評価をうけ、愛される人民となったのは、けっして偶然なことではありません。これは、すべての人が労働を愛する精神と共産主義的生活気風を身につけるように教育するという我が党の正確な方針が生んだ当然の結実であり、誇るべき成果です。

 我々は、これまでの成果に自己満足することなく、今後とも勤労者にたいする教育にひきつづき大きな力をそそがなければなりません。

 勤労者にたいする教育をひきつづき強化しないならば、だれもが衣食住の心配のないこんにちの状況のもとで、勤労者のあいだで全力をつくして働かず、労働をきらう傾向があらわれかねません。

 資本主義社会では、勤労者は生きていくためにいやおうなしに仕事をします。南朝鮮の現実を見ても、労働者は一日でも働かなければ当座の口すぎができず、家族を養うことができなくなります。南朝鮮の漁民は天候の善し悪しにかかわりなく、四季をとおして小舟で出漁しています。かれらは毎日海に出て、せめて何匹かの魚でも捕ってこそ、それを売ってひもじい思いをしている子供たちに粥でも食べさせ、床にふしている父母に薬の一服でも飲ませることができるのです。

 しかし、こんにち我が国の人民の生活はどうでしょうか。だれもがみな生活にたいするなんの心配もなく、幸せな暮らしをしています。かつては飢えと貧困に苦しんだ人民が、いまでは衣食の心配を全然しておらず、かつてはマラリアにかかってもそれを治す薬一つつかえなかったかれらが、きょうは病気治療の心配というものを知らずにいます。かつては学校の門前にも行けなかった人民が、きょうは息子や娘を学校にやる心配を全くしていません。

 いま、我が国では国家が勤労者にただも同然の安い価格で食糧を供給し、税金も取らないので、労働者が幾日か出勤するだけでも一か月間分の生活費を稼ぐことができます。また、漁業労働者がしばらくは海に出なくても食にこと欠かず、病気の治療もうけられ、子供を学校にやることもできます。

 このように、生活が豊かになり、心配事がなくなってみると、一部の勤労者のあいだには仕事を熱心にせず、また骨のおれる仕事を避けてらくな仕事ばかりしようとする傾向があらわれています。したがって、我々は勤労者のあいだで教育活動をひきつづき強化し、こうした傾向があらわれないようにし、すべての勤労者が心から労働を愛し、労働にまじめに参加するようにさせなければなりません。

 働くことをきらい、労働にまじめに参加しない傾向にたいしては、もちろん統制したり、ある程度の制裁も加えるべきです。しかし、それだけでは問題が解決されません。ただたゆむことのない教育をとおしてのみ、すべての勤労者が労働を愛し、労働にまじめに参加するようにさせることができます。

 勤労者にひきつづき労働に親しませるためには、かれらのあいだで教育活動を正しくおこなうとともに、すべての勤労者を骨のおれる労働から完全に解放しなければなりません。

 資本家は利潤をしぼりとるため勤労者に骨のおれる労働を強要し、資本主義社会の勤労者は飢え死にしないため、骨のおれる労働であってもせざるをえません。しかし、我々の社会では、勤労者にいつまでも骨のおれる労働をさせるわけにはいきません。我々は、すべての勤労者が仕事をらくにしながらもさらに高い能率をあげるようにしなければなりません。

 我が党は、第5回大会で、重労働と軽労働の差、農業労働と工業労働の差を著しく縮め、すべての勤労者を骨のおれる労働から解放することを重要な闘争課題としてうちだし、その実現のため積極的に努力してきました。しかし、この課題はまだ完全に実現されていません。採掘工業部門と基本建設部門をはじめ、一部の人民経済部門にはいまなお骨のおれる労働が少なからず残っています。

 我々は、人民経済のすべての部門で骨のおれる労働をらくな労働にかえ、すべての勤労者を骨のおれる労働から解放しなければなりません。もちろん、これは容易なことではありません。しかし、我々は技術革命をさらに力強くおし進め、人民経済のすべての部門で現代化、科学化を積極的に実現し、勤労者を骨のおれる労働から解放する問題をかならず解決しなければなりません。この問題が解決されてこそ、労働力不足の問題も解決し、社会主義労働法も貫徹することができます。

 労働規律を強め、労働力の浪費をなくすべきです。

 労働規律を確立するうえで最も重要なのは、すべての勤労者に480分の労働時間を完全に利用させることです。現在、少なからぬ工場、企業所では労働者が480分の労働時間を完全に利用していませんが、それはテアン(大安)の事業体系の要求どおり資材や工具、治具を十分に供給できず、労働条件を十分に保障しないためです。労働行政活動家は、職業同盟組織とともに、工場、企業所が労働条件を十分に保障するよう厳しく要求し、対策を講じなければなりません。これとともに、新設された標準工場が労働者の労働条件の保障で得た立派な経験を広く一般化しなければなりません。こうしてすべての工場、企業所で労働者が480分の労働時間を完全に利用できるようにすべきです。

 現在、労働力の浪費行為が少なからずあらわれています。

 今年の田植えどきに、地方経営工業部門では、25%以上の人手を農村支援に動員したにもかかわらず生産計画を超過遂行しました。これは、地方経営工業部門で25%以上の労働力を必要以上にもっていることを意味します。また、工場、企業所の1か月間の生産状況を分析してみると、およそ上旬から中旬にかけてはいくらも生産せずに時間を過ごしては、下旬にはいって突撃戦をくりひろげて計画を遂行していますが、これも工場、企業所が必要以上の労働力をもっており、浪費していることを示しています。生産をこのように正常化できず月末に突撃式におこなうため、多くの労働力を浪費するだけでなく、設備を酷使し、製品の質も高められなくなります。

 工場、企業所の生産が正常化されないのは、資材がそのつど保障されず、連帯生産規律が乱れているところに原因があります。したがって、生産の正常化をはかるためには、テアンの事業体系の要求どおり資材をそのつど供給し、連帯生産規律を厳守しなければなりません。

 労働力を定着させ、勤労者の技術・技能水準をたえず高めるべきです。

 労働力を定着させ、勤労者の技術・技能水準を高めてこそ、設備の管理を立派におこなうことができ、生産をさらに増大することができます。平安北道の朔州(サクチュ)織物工場の労働者はみな家庭婦人ですが、長期間定着して働いているため技術・技能水準が高く、製品の質も非常に高いものです。

 しかし、一部の経済幹部は、労働力を定着させ、かれらの技術・技能水準を高めることは考えず、むやみに労働力をふやそうとばかりしています。党組織と職業同盟組織、それに労働行政活動家は、労働力を定着させずたびたび移動させ、労働力をむやみにふやそうとする傾向とたたかわなければなりません。

 設備を立派に管理し、資材の節約に努めるべきです。

 設備が正常に稼働し、原料、資材が十分にあってこそ労働者が思う存分働き、生産をふやすことができます。

 設備管理を立派におこなうためには、なによりも設備を直接扱う労働者が設備を愛し、きちょうめんに扱い、標準操作法のとおり操作し、適時に点検、補修しなければなりません。これとともに、国家が工場、企業所に設備補修用の資材をそのつど供給しなければなりません。そうしてこそ、現在の工場の生産を正常化することができます。

 いま、工場、企業所に設備補修用の資材を満足に供給していないため、生産に支障を与えることが少なくありません。最近、黄海南道を現地指導したさい、海州製錬所に行ってみたのですが、燐酸肥料生産設備をそのつど補修しなかったため、生産をつづけられない状態にありました。それでその原因を調べてみると、政務院が設備補修用資材を供給しなかったためだといいます。

 今後、設備の補修に必要な資材と資金を優先的に割いておき、工場、企業所にそのつど提供するようにすべきです。

 次に、社会主義的分配の原則、社会主義的労働報酬制を確実に実施すべきです。

 社会主義的労働報酬制の実施で重要なのは、勤労者に労働の量と質に応じて賃金と報奨金、奨励金を正確に支給することです。

 社会主義的労働報酬制を正しく実施するためには、なによりもまず労働基準量を正しく定めなければなりません。労働行政活動家は人民経済各部門の労働基準量を定期的に検討し、間違っている点があれば適時に是正し、労働基準量を1~2年に1回ずつ系統的に高めるようにすべきです。これとあわせて労働基準量があがるにともなって勤労者の労働報酬もあげるようにすべきです。もし、労働基準量をあげて勤労者の労働報酬をあげないならば、かれらは労働基準量があがるのをこころよく思わないでしょう。しかし、労働基準量があがるにつれて労働者の賃金と報奨金、奨励金を高めれば、労働者自身が技術革新をおこなって労働力や資材を節約し、より多く生産するため積極的に努力するでしょう。

 労働基準量を高め、労働者がそれを遂行すれば従業員一人当たりの生産額がそれだけ高くなるので、かれらの労働報酬をさらに高めることができ、また当然そうすべきです。我々が生産の向上をはかるのは国の富をふやすとともに、勤労者の生活をさらに向上させるところに目的があります。

 現在、協同農場では、社会主義的労働報酬制が比較的正しく実施されています。先ごろ黄海南道信川郡セギル協同農場に行ってみましたが、この農場では百ヘクタール当たり3台のトラクターで、1人が0.8ヘクタールの田畑を扱っています。ところが、この農場では支援労働力を一人もうけず、農場自体の力で農業を営み、今年ヘクタール当たり9.7トンの粗米生産を見込んでいます。この農場の農場員1人当たりの生産額は非常に高い水準だといえます。農業部門では、このような模範的な事実がひきつづきふえています。

 しかし、いまだに工業部門では、社会主義的労働報酬制が十分に実施されていません。労働者が設備をよく管理し、資材を節約し、技術を革新して生産をふやせば、かれらにゆきわたる労働報酬はそれだけふえなければならないはずですが、そうならないので、労働者は労働基準量を高め、従業員1人当たりの生産額を高めることに関心を示しません。

 現在、基本建設部門の従業員1人当たりの生産額が他の部門にくらべて低い主な原因も、労働基準量の制定が正しくおこなわれていないところにあります。労働基準量を高め、すべての労働者がその遂行のために技術を革新し、標準操作法をよく守り、資材を節約し、製品の質を高めることなしには、従業員1人当たりの生産額を高めることができません。基本建設部門でも資材をそのつど提供し、労働の組織を綿密におこなって、手を遊ばせている人がなく、すべての労働者がフルに働けるようにすれば、従業員1人当たりの生産額は著しく高まるでしょう。

 これまで人民経済各部門で従業員1人当たりの生産額を高める闘争をくりひろげ、多くの成果をあげました。我々はこれまでの成果に満足することなく、今後従業員1人当たりの生産額を1万5千ウォン以上に高める目標で奮闘しなければなりません。

 従業員1人当たりの生産額を高めるために努力するのは工場、企業所の幹部の任務であるばかりでなく、労働行政活動家の重要な課題です。労働行政活動家は、人民経済各部門で従業員1人当たりの生産額を高め、社会主義的労働報酬制の実施を徹底させることに特別な関心を向けるべきです。

 現在、全国的に単一の賃金等級制を実施している状況のもとで、個々の人民経済部門と工場、企業所が労働基準量を高める場合、社会主義的労働報酬制の通用で実務的に提起される問題があるはずです。したがって、私の考えでは、労働省が労働基準量を正確に検討して、個々の工場、企業所にたいしても従業員の労働報酬を引き上げる必要のあるものは引き上げるのがよさそうです。

 社会主義労働法に社会主義的労働報酬制の実施で提起される具体的な問題がすべて明示されているのではないのですから、労働省はこれにたいする細則を新たに作成して下達すべきです。

 次に、労働行政で大衆路線を貫徹すべきです。

 労働行政活動家が事務室にかまえて官僚主義的に命令したり、強圧的に押しつけたりしては労働行政がスムーズにいくはずがありません。労働行政を手ぎわよくおこなうためには、この部門の活動家が官僚主義、主観主義を一掃し、労働者のなかにはいってかれらとともに呼吸し働き、生産者大衆との協議を強化しなければなりません。そうしてこそ、労働規律を強め、社会主義労働法を貫徹して、社会主義建設でたえまない前進を遂げることができます。

 労働行政活動家は、常に生産現場に出むいて現実を十分に把握し、労働にたいする評価なども正しくおこなうように指導すべきです。いま協同農場では作業日の評価を公正におこなっています。協同農場の分組では、協同農場の基準規約に従って毎日集まり、労働基準量はいくらで実績はいくらであると知らせたあと、だれそれはどのように仕事をしたので何作業日であり、また、だれはどうだということを農場員別に評価し、それを作業日手帳に記入しています。工業部門の工場、企業所でも、協同農場でのように毎日大衆的に労働の評価をおこない、それを手帳に記入してやり、作業域別に週に1回公示すべきです。

 工場、企業所では毎日労働の評価をおこなうさい、その日の計画遂行状況とあわせて労働者の資材節約と製品の質の向上状況、新しい技術の導入状況も評価すべきです。そうしてこそ、労働者が自分の仕事にたいする誇りをもってさらに創意を発揮して働き、三大革命の遂行に積極的に貢献することができます。

 工場、企業所の労働者に労働手帳を持たせるべきです。労働手帳を持たせる主な目的は、労働者に労働にたいする栄誉感をいだかせ、かれらに仕事をいっそうまじめにさせることにあります。

 労働手帳は、労働者が毎日仕事をどのようにしたかを記録するものなので、人間の歴史ともいえます。労働手帳を見れば、その人が歴史的に党と人民政権、社会と人民にたいし、課された栄誉ある任務をいかに誠実に責任をもって遂行したかがわかります。それゆえ労働者に労働手帳を持たせ、そこに毎日どのように働いたかを記入すれば、かれらが労働にたいする栄誉感をいだいて、まかされた仕事をさらにまじめに遂行するため努力することでしょう。

 勤労者の労働にたいする評価を正しくおこなうだけでなく、仕事を立派におこなった労働英雄や労働革新者を社会的に優遇し、かれらが社会主義建設でひきつづき英雄的偉勲を立てるようにすべきです。そうして労働革新者は英雄に、英雄は二重英雄、三重英雄、四重英雄、五重英雄になるようにすべきです。英雄はたくさん生まれれば生まれるほどよいものです。すべての勤労者が労働英雄になれば、それは朝鮮民族の大きな誉れとなり誇りとなるでしょう。

 いま世界の人々は、朝鮮人民を英雄的な人民といっていますが、我が国のすべての勤労者が社会主義建設で英雄的偉勲を立てて英雄になればそれに越したことはないでしょう。我々は今後、一人や二人でなく、集団が英雄になり、ひいては労働者階級をはじめ、すべての勤労者が英雄になるよう大いに奨励し、援助しなければなりません。

 各級党組織と勤労者団体、政権機関、そして労働行政活動家をはじめすべての活動家は、勤労者の労働にたいする評価を正しくおこない、仕事を熱心にする人を積極的に助け、社会主者建設の誇らしいたたかいをとおして労働英雄や労働革新者がさらに大勢生まれるようにすべきです。

 我々は、最もすぐれた社会主義労働法をもっており、このたび歴史上初めて社会主義労働法を貫徹するための全国労働行政活動家大会を開きました。私は、この大会に参加したすべての活動家と全国の労働行政活動家が労働行政をさらに強化して、我が国社会主義労働法の優位性と不抜の生命力を輝かせていくよう期待します。

出展:「金日成著作集」 34巻


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