金日成「チュチェ思想の旗を高くかかげ社会主義建設をさらに促進しよう」


2 「二つの朝鮮」策動を粉砕し、祖国を平和的に統一しよう

 同志のみなさん!

 朝鮮民主主義人民共和国が創建されて30年になりますが、朝鮮民族はいまなお分裂状態にあり、祖国の統一は依然として全朝鮮人民の最大の民族的課題として残されています。

 共和国政府は全朝鮮人民の一致した意思と念願を反映して、国の統一問題を自主的に、民主主義的原則に立って平和的方法で解決するためあらゆる努力を傾けてきました。しかし、内外の分裂主義者の「二つの朝鮮」策動のため、我が国の統一問題は重大な障害にぶつかり、民族の永久分裂の危険がますます増大しています。

 アメリカ帝国主義は、「二つの朝鮮」政策を現段階における対朝鮮戦略の基本としてうちだし、その実現のためにあらゆる陰謀と術策を弄しています。日本の反動層もアメリカ帝国主義の「二つの朝鮮」政策に追随し、我が国の統一を各面から妨げています。アメリカ帝国主義者と日本反動層のテコ入れのもとに、南朝鮮かいらい一味は公然と民族分裂陰謀を政策化し、「国連同時加盟」だの「クロス承認」だのといって「二つの朝鮮」策動に狂奔しています。

 アメリカ帝国主義者は我が国の分裂を永久化し、「二つの朝鮮」をつくりだすことによって南朝鮮にたいする占領と支配をつづけようとしており、日本の反動層は南朝鮮で植民地支配者としてのかつての地位をとりもどそうとしています。南朝鮮かいらい一味は、南北分断の現状を固定化し、一身の栄華と長期執権の野望を実現しようとしています。

 我々は、「二つの朝鮮」をつくりだそうとする分裂主義者のいかなる陰謀も絶対に許さず、全朝鮮民族の団結した力でそれを徹底的に粉砕しなければなりません。

 朝鮮は、必ず一つに統一されなければなりません。朝鮮民族は歴史的に単一民族であり、朝鮮人民は一致して統一を望んでいます。朝鮮の統一に反対する勢力は朝鮮にたいする侵略と支配を企む外部勢力であり、内部勢力としては外部勢力に国と民族を売り渡す、一握りの売国奴しかいません。

 朝鮮問題は、侵略戦争に参加し、敗戦の結果分断された国の問題とは根本的に性格が異なります。我が国は侵略戦争に参加した国でもなければ、敗戦国でもありません。我が民族は、かつて帝国主義の植民地従属下で抑圧されてきた民族であり、帝国主義侵略者とたたかって解放をかちとった民族であります。また、我が国が統一されたからといって、他国を侵略したり脅かすようなことはありえません。かえって朝鮮の分裂状態がつづけば、それはアジアと世界の平和を脅かす恒常的な根源となるでしょう。それゆえ、朝鮮民族の根本的利益のためだけでなく、アジアと世界の強固な平和のためにも、朝鮮は「二つの朝鮮」に分裂してはならず、必ず一つの朝鮮に統一されなければなりません。

 朝鮮の統一問題は、朝鮮人民の要求と世界人民の念願にかなうよう、対話をつうじて平和的に解決しなければなりません。

 共和国政府は、祖国統一問題の平和的解決をはかる対話を実現させるために誠意ある努力をつくしており、対話の扉を常に開いています。我々はアメリカとの対話の扉も開いており、南朝鮮の当局者、諸政党との対話の扉も開いています。

 朝鮮の統一のための対話が実現し、それが統一問題の解決に実際に寄与するものとなるためには、双方が心から統一を望む正しい立場から出発しなければなりません。相互の理解と協力によって統一問題を解決する立場からではなく、対話の舞台裏で腹黒い目的を追求したり、対話を「二つの朝鮮」をつくりだす手段に利用しようとしたのでは、対話は成立せず、そのような対話はなんの意味もありません。我々はけっして分裂のための対話をすべきではなく、統一のための対話をおこなうべきです。

 北と南の対話と合作の実現は、祖国の平和的統一を早めるための重要な方途であります。

 共和国政府の誠意ある努力の結果、ようやく開かれた北と南の対話は、南朝鮮当局者の卑劣な背信行為によって破綻し、現在まで中断状態にあります。南朝鮮当局者は口先では南北間の「対話」だの「合作」だのと宣伝していますが、実際の行動ではひきつづき対決と分裂を追求しています。かれらは、我々が共産主義の旗のもとに統一しようとしているといって、ありもしない「南侵の脅威」を口実に、南朝鮮で反共意識と戦争熱をあおっており、「勝共統一」を叫んでいます。「反共」と「勝共」のスローガンを唱えながら、どうして共産主義者との対話や合作ができるでしょうか。最近、南朝鮮当局者は「南北間の経済協力案」なるものをもちだしましたが、「勝共」を唱えながら共産主義者と「経済協力」をするというのは理にかなわぬことであり、それは、分裂主義者の正体をおおい隠そうとする見えすいた煙幕にすぎません。もし、南朝鮮当局者が心から我々との対話と合作を望むならば、民族分裂政策を統一政策に切りかえ、反共政策を連共政策に変えなければなりません。

 祖国の自主的平和統一のための基本的裏付けは、民族の大団結にあります。我が国の北と南に現実的に相異なる思想と体制が存在する以上、民族大団結の理念と原則を離れては、けっして祖国の平和的統一について考えることはできません。祖国の統一をめざす朝鮮民族のたたかいは、けっして共産主義か、資本主義かというたたかいではなく、それは侵略と被侵略とのたたかい、愛国と売国とのたたかいであります。言いかえれば、祖国統一をめざす我々のたたかいは、民族的自主権をめざす解放闘争であり、民族的団結をめざす愛国闘争であります。それゆえ祖国の統一を実現するためには、北と南がそれぞれ共産主義の理念と資本主義の理念をかかげるべきではなく、共通の一つの理念、民族的理念を前面にかかげ、それにもとづいて全民族の大団結をなし遂げるべきです。

 我々は南朝鮮に、我々の社会主義制度と共産主義思想を強要しようとはしません。我々は、南朝鮮の現体制と南朝鮮の人々の信奉する思想について関与せず、民族大団結の理念にもとづいて南朝鮮のいかなる政党とも団結をはかる用意があります。我々はまた、南朝鮮のある政党が共和国北半部に来て活動することを望むならば、それを歓迎するでしょう。南朝鮮の当局者と各政党もやはり北半部の諸政党と団結する用意をもつべきであり、北半部のある政党が南朝鮮に行って活動しようとすることに反対すべきではありません。このように、北と南がともに民族大団結の理念にもとづいて社会を完全に開放し、政治、経済、文化、軍事の各分野にわたって多面的な合作を実現してはじめて、祖国統一の偉業を早めることができます。

 全民族の大団結を実現し、祖国の平和的統一を達成するためには、南朝鮮社会の民主化を実現しなければなりません。

 こんにち、南朝鮮では史上類例のない、最も暴虐な破廉恥きわまるファッショ的支配が実施されています。南朝鮮かいらい一味は、ファッショ的な「維新体制」をしき、各種のファッショ悪法と膨大な弾圧機構を動員して人民大衆の基本的権利をことごとく踏みにじり、民主主義と祖国の統一を求める愛国的人民と民主人士を野蛮に弾圧しています。南朝鮮社会を民主化しないことには、南朝鮮人民が現在の無権利状態からぬけだせないばかりか、民族の団結を達成することもできず、祖国の平和的統一の方途を模索することもできません。

 南朝鮮社会の民主化を実現するためには、まず「維新憲法」を撤廃し、「反共法」「国家保安法」など各種のファッショ悪法を廃止しなければなりません。「緊急措置」とファッショ悪法によって愛国的人民と民主人士に科した不当な刑罰を取り消し、言論の自由と政党、大衆団体の活動の自由を保障しなければなりません。統一革命党をはじめ、地下の政党も合法的に活動できるようにし、海外で南朝鮮社会の民主化と祖国の自主的平和統一のためにたたかう朝鮮人団体と愛国的人士も自己の意思に従って南朝鮮に戻り、自由な政治活動ができるようにしなければなりません。

 政党、大衆団体の活動の自由を保障することは、民主主義の最も初歩的な要求であります。現在、共和国北半部では各種の政党、大衆団体がすべて合法的権利をもち、自由に活動しています。こんにち世界の大多数の国では政党、大衆団体の活動の自由が保障されており、ひいては帝国主義諸国でも共産党をふくむ進歩的な政党、大衆団体が合法的に活動しています。南朝鮮でも当然すべての政党、大衆団体に合法的活動の自由と権利が保障されなければなりません。

 こんにち南朝鮮の各階層の人民と民主人士は、過酷なファッショ的弾圧のつづく困難な状況にあってもひるむことなく、民主主義的自由と権利を獲得するために、反ファッショ民主化闘争を力強く展開しています。日本、アメリカなど海外在住の朝鮮同胞も気高い民族的使命感をもち、南朝鮮社会の民主化と祖国の自主的平和統一をめざす正義の愛国闘争に積極的に進出しています。南朝鮮人民は思想と信教、党派と政見の違いを問わず、内外の全民主勢力の広範な統一戦線を結成して、組織され団結した力でファッショ独裁勢力とたたかい、必ず南朝鮮社会の民主化を実現し、祖国の自主的平和統一を早めなければなりません。

 祖国の自主的平和統一を達成するためには、アメリカをはじめ、あらゆる外部勢力の干渉を徹底的に排撃しなければなりません。

 朝鮮人民は民族の自主権を生命とみなしており、国の統一問題の解決においていかなる外部勢力の干渉も許しません。いまや、アメリカが朝鮮民族の内部問題にたいする干渉をやめ、朝鮮問題から手を引くべき時がきました。

 アメリカは、南朝鮮かいらい政権の民主主義の圧殺と南朝鮮人民にたいする野蛮な弾圧を庇護してはならず、民主主義と祖国統一のための南朝鮮人民の闘争を妨げてはなりません。もし、アメリカが、従来の誤った政策から脱皮せず、内外から完全に孤立した南朝鮮のファシストを庇護しつづけるならば、人権弾圧の共犯者として、朝鮮人民と世界人民の強力な糾弾をまぬがれないでしょう。

 アメリカはまた、「二つの朝鮮」をつくりだして南朝鮮にたいする植民地的支配を維持し、ひいては全朝鮮をも併呑しようとする侵略的野望を放棄すべきであり、国連の決議と自己の「公約」に従って、南朝鮮から米軍を一日も早く、完全に撤退させるべきであります。

 アメリカが心から平和を望み、朝鮮の平和的統一を望むならば、当然、朝鮮民主主義人民共和国政府と接触し、朝鮮問題を平和的に解決する方途を模索すべきであります。我々は、既にアメリカとの協商を提案しており、その実現のために努力しています。問題は、アメリカが心から我々との協商を望んでいるか否か、協商をするとしても一つの朝鮮のために協商するのか、でなければ「二つの朝鮮」のために協商しようとするのかにかかっています。我々は、アメリカが我が国を「二つの朝鮮」に分裂させようとする誤った立場をすて、朝鮮の統一を実現しようとする正しい姿勢をとるならば、いつでもアメリカと会談をおこない、必要なすべての問題を解決するでしょう。そうすれば、アメリカは自己の体面を傷つけることなく朝鮮問題から手を引くことができます。これは朝鮮人民だけでなく、アメリカ人民の利益にも合致します。

 共和国北半部の人民と南朝鮮人民は、民族大団結の原則に従っていっそうかたく団結し、内外の分裂主義者の「二つの朝鮮」策動をあくまで粉砕し、必ずや祖国統一の歴史的偉業を成就するでありましょう。



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