金 日 成

朝鮮民主主義人民共和国人民経済発展
第2次7か年(1978〜1984)計画について
 朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議法令 最高人民会議第6期第1回会議で採択
−1977年12月17日− 


 共和国政府の正しい指導のもとに、朝鮮人民は、朝鮮労働党第5回大会が示した社会主義建設の雄大な綱領である6か年計画を完遂する誇らしい勝利をかちとった。

 朝鮮人民は、思想、技術、文化の3大革命を力強く促進し、社会主義経済建設にたえまない高揚をもたらし、6か年計画のすべての目標を期限前に達成した。工業部門では、6か年計画を総生産高のうえで1年4か月くりあげ、朝鮮労働党創立30周年記念日前に完遂し、農業部門では6か年計画の穀物生産目標を2年もくりあげて達成した。

 1971〜1976年の工業生産は、最初の予定増加速度を上回り、年平均16.3%の高い速度で成長し、1976年の工業総生産高は1970年に比べて2.5倍に増大した。

  国の燃料・動力基地と原料基地が強固になり、金属工業、機械工業、化学工業などの基幹的重工業部門と軽工業が急速に発展し、工業の部門内部構造はさらに完備し、その自立性と技術的土台はいちだんと強化された。

 6か年計画期間に農業の物質的・技術的土台は比べようもなく強固なものとなり、我が国の実情に即した最も科学的なチュチェ農法を創造して農業生産に広く適用することにより、寒冷前線の影響による極めて不利な自然・気候条件のもとでも、穀物生産は毎年飛躍的な成長を遂げた。

 交通運輸部門と基本建設部門をはじめ、人民経済の他の各部門でも大きな発展を遂げた。

 6か年計画期間に重労働と軽労働との差、農業労働と工業労働との差をいちだんとちぢめ、女性を家事の重い負担から解放するための3大技術革命の課題が成功裏に推進された。工業と農業をはじめ、人民経済のすべての部門で技術革新運動を強力に展開した結果、勤労者を骨の折れる有害な労働から解放するうえで大きな進歩がもたらされ、すべての勤労者の労働条件は著しく改善された。

 社会主義文化建設の分野でも大きな成果が達成された。国家的に教育事業に大きな力をそそいで、100万のインテリ大集団を養成するという朝鮮労働党第5回大会が提起した課題を立派に遂行し、最も発達した義務教育制度である全般的11年制義務教育を、計画をはるかにくりあげて全般的に実施する誇らしい成果をおさめた。科学・技術の発展でも大きな前進がもたらされ、社会主義的民族文化と芸術がさんらんたる開花発展を遂げた。

 社会主義経済・文化建設でおさめた輝かしい成果を踏まえ、そして、勤労者の福祉増進をはかる共和国政府の人民的施策によって、人民の物質・文化生活水準は全般的に著しく向上し、特に、農民と農村住民の生活条件は画期的に改善された。

 6か年計画を成功裏に遂行したことは、社会主義・共産主義をめざすたたかいで朝鮮人民がつみあげた、いま一つの誇るべき業績であり、偉大な勝利である。

 6か年計画の膨大な課題が成功裏に完遂された結果、我が国社会主義の自立的民族経済の土台は、かつてなく強固なものとなり、共和国北半部の革命基地はあらゆる分野にわたっていっそう強化された。

 6か年計画を遂行する壮大なたたかいの過程で、すべての勤労者は、チュチェ思想でしっかりと武装し、それにもとづいて思想的、意志的にさらに強く統一団結することにより、全社会の革命化、労働者階級化の過程がさらに促進された。

 朝鮮人民は、勝利者の誇りも高く大きな自負をいだいて革命と建設をいっそう力強く促進できるようになり、6か年計画の遂行でおさめた成果にもとづいて、より高い段階の新展望計画の遂行に取り組めるようになった。

 朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議は、人民経済発展第2次7か年(1978〜1984)計画を審議し、新展望計画が祖国の自主的平和統一と社会主義の完全な勝利の促進をめざす、我が国の革命と建設の合法則的要求に合致する科学的で動員力のある計画であることをひとしく認め、これを承認する。


 1 第2次7か年計画の基本課題

 第2次7か年計画の基本課題は、人民経済の主体化・現代化、科学化を促進し、社会主義の経済的土台をさらに強化し、人民生活をいちだんと向上させることである。

 人民経済の主体化、現代化、科学化をおし進めることは、社会主義建設を促進し、国の経済的威力を強化する決定的な裏付けである。

 第2次7か年計画期間に国の豊富かつ多様な天然資源を積極的に開発して効果的に利用し、新しい工業部門を創設して国内資源と自己の力に依拠して経済をより多面的に、総合的に発展させ、民族経済の自立的体制をさらに強めるべきである。

 新展望計画期間に、すべての工業部門で総合的機械化とオートメ化を全面的に実施し、農業を工業化、現代化し、全般的人民経済の現代化を積極的に促し、すべての勤労者が仕事を楽にしながらも、より多くの物質的富を生産できるようにしなければならない。

 科学研究活動を優先させ、科学の発展に大きな力をそそぎ、工業、農業をはじめ、人民経済各部門の生産技術工程と生産方法、経営活動を全般的に新しい科学的土台のうえに引き上げなければならない。


 2 人民経済の部門別課題

 1 工 業

 工業部門の中心的課題は、既存工業の土台を最大限に利用しつつ、それをいっそう拡大し、我が国工業の主体性を強め、すべての工業部門をさらに現代化、科学化することである。

 第2次7か年計画期間に工業生産は2.2倍、そのうち生産手段生産は2.2倍、消費財生産は2.1倍に増大させなければならない。

 電力工業を発展させ、国内資源にもとづく自己の動力基地を強固にきずくことは、人民経済の主体化、現代化を実現するための重要な課題である。

 電力工業を他の部門の発展に優先させ、1984年には電力生産を560億〜600億KWhに高めなければならない。

 新展望計画期間に現在の火力発電所の発電能力をさらに高める一方、新しい大規模火力発電所を建設し、主要都市の熱暖房用火力発電所と余熱および廃熱を利用する工場火力発電所を大々的に建設すべきである。

 水力発電所の建設では、現在進行中の大同江(テドンガン)発電所と渭原(イウォン)発電所、煕川(ヒチョン)第2号発電所の建設を促進して、早急に完成し、新しい大規模水力発電所と中小規模水力発電所を建設すべきである。

 採掘工業を優先させ、国の自立的燃料および原料基地をさらに強化しなければならない。

 第2次7か年計画期間に年産石炭は7000万〜8000万トン、鉄鉱石は1600万トンに高め、非鉄金属鉱物の生産を増大させて100万トンの非鉄金属生産目標を達成しなければならない。

 既存の大規模炭鉱を改造拡張するとともに、新たな大規模炭鉱の建設を早め、中小規模炭鉱の開発をひきつづき強力に進めるべきである。

 茂山(ムサン)鉱山、剣徳(コムドク)鉱山をはじめ、埋蔵量が多く発展展望の大きい鉱山を大々的に改造拡張し、新しい大規模鉱山と中小規模の鉱山を積極的に開発すべきである。

 探鉱事業に力を集中し、展望探査と現行探査を強化し、炭鉱、鉱山で、坑建設と掘進、剥土を優先させ、坑道の現代化、恒久化を実現すべきである。

 採掘設備を大型化、現代化して、炭鉱、鉱山の総合的機械化とオートメ化を強力におし進め、我が国の地質条件と鉱物の特性に見合った科学的な探鉱方法と採掘方法、選鉱方法を広範に取り入れなければならない。

 国の経済的威力を強めるためには、人民経済の主体化、現代化の要求にそって金属工業を速やかに発展させなければならない。

 第2次7か年計画期間に鉄鋼業の発展にひきつづき大きな力をそそぎ、1984年に銑鉄、粒鉄、粗鋼は640万〜700万トン、鋼鉄は740万〜800万トン、圧延鋼材は560万〜600万トンをそれぞれ生産しなければならない。

 現在の製鉄、製鋼能力を最大限に利用するとともに、大型高炉、大型酸素転炉、連続式冷間圧延機をはじめ、近代的な冶金および圧延設備を増設し、鉄鋼業基地を大々的に拡張しなければならない。

 鉄鋼業の自立性の強化にひきつづき大きな力をそそがなければならない。コークス生産で国内燃料の配合率をさらに高め、粗鋼生産能力を大々的に拡大し、ペレットによる鋼鉄生産を広く導入すべきである。

 製鉄所、製鋼所で、古い技術を改造し、オートメ化と半オートメ化、工業テレビ化とリモート・コントロール化を全面的に実施し、鉱石の予備処理から製鉄、製鋼、圧延、さらには金属2次加工品の生産にいたるまで、すべての生産工程に現代科学技術の成果を幅広く取り入れるべきである。

 現在の製錬所を整備補強し、新しい近代的な製錬所をさらに建設し、非鉄金属生産を大幅に増やし、国内の資源にもとづくアルミニウム生産を発展させ、希有金属と純金属生産を増大させるべきである。

 機械工業は、工業の心臓部であり、新展望計画遂行のキーポイントである。技術革命を深化発展させ、人民経済の現代化を促進するためには、機械工業で新たな革新を起こさなければならない。

 新展望計画期間に機械工業を速やかに発展させ、機械加工製品を年産500万トンに高めるべきである。

 工作機械の生産に大きな力をそそぎ、1984年度にはその生産量を5万台に高め、特に、大型工作機械と特殊工作機械、自動および半自動工作機械、単能工作機械の生産をいちだんと増大させるべきである。

 大型設備生産基地を拡大強化し、大型の水力および火力タービンと発電機、220トン大型ボイラーをはじめ、大容量動力設備、自主(チャジュ)号、建設(コンソル)号などの重トラック、3百馬力ブルドーザー、4立方メートル掘削機、総合掘進機など、採掘工業と大自然改造事業に必要な各種大型機械の生産を速やかに増やし、新設される近代的工場、企業所の設備を総合的に生産、供給すべきである。

 新展望計画期間にトラクター工場を補強し、トラクターを年産4万5000台に高め、苗取り機、田植機、稲刈り機、稲自脱コンバイン、トウモロコシ栄養ポット苗移植機、トウモロコシ収穫機など、各種農業機械の生産を大々的に増大させるべきである。

 人民経済各部門での、半オートメ化、オートメ化の全面的な実施に適応して、電子工業と自動化工業を早急に発展させ、電子管、半導体素子、集積回路などをはじめ、各種の自動化要素と自動化器具、計器の生産を増やし、その品質を決定的に改善すべきである。

 造船工業にひきつづき大きな力をそそぎ、2万トン級、5万トン級、10万トン級の大型貨物船と2万トン級大型加工母船、5000トン級冷蔵運搬船、それに3750トン級の船尾トロール船をはじめ、漁船を大々的に建造し、自航式しゅんせつ船、起重機船をはじめ、各種の技術船舶も多く建造すべきである。

 機械工業部門で技術革新運動を強力に展開し、系列生産度の高い機械製品生産工程にストリーム加工ラインとオートメライン、総合加工盤を広く取り入れ、機械製品生産でプレス化と型鍛造化の比率を決定的に高め、溶接技術を発展させ、その適用範囲をひろげるべきである。

 機械製品生産で専門化と連帯生産を広く発展させ、連帯生産品を優先的に生産する強い規律を立てるべきである。

 化学工業を速やかに発展させることは、工業の原料基地を拡大し、国の経済的自立性を強めるための重要な課題である。

 第2次7か年計画期間に、化学肥料は1.6倍、農薬は2倍、化学繊維は1.8倍、合成樹脂は2倍に、それぞれ生産を増大させるべきである。

 現在の化学肥料工場を現代化し、その生産能力を増大させるとともに、燐含有量の多い重過石肥料を生産する燐酸肥料基地を新設し、我が国の資源によるカリ肥料工業を創設すべきである。

 混合除草剤、DCPA、シマジンなど、効能の高い除草剤や殺虫剤、殺菌剤を生産する農薬工場をさらに新設し、各種農薬の需要を国内でみたすべきである。

 現在の化学繊維生産基地と合成樹脂生産基地を拡張するとともに、アクリル工場の建設を早く完工し、新たな合成樹脂工場を建設して化学繊維と合成樹脂の生産を大幅に増大させ、中小規模の化学工場を増設して軽工業に必要な各種化学製品を大量生産すべきである。
国内の原料資源による合成ゴム工業基地を強固にきずいてゴムを大量生産し、各種ゴム加工製品の生産を増大させるべきである。

 基礎化学工業である酸・アルカリ工業とカーバイト工業をさらに発展させ、ソーダ生産に必要な塩の生産を速やかに増大させるべきである。

 医薬品と医療器具の生産に力をそそぎ、新展望計画期間に有機合成医薬、東医薬などの医薬品は2.1倍、各種医療器具は2倍に、それぞれ生産を増大させるべきである。

 第2次7か年計画に予定されている膨大な建設を成功裏に保障するためには、建材工業をいちだんと発展させなければならない。

 既設のセメント工場に浮遊予熱焼成法を積極的に取り入れ、焼成炉を増設する一方、新たなセメント工場の建設を促進し、1984年度にはセメント生産量を1200万〜1300万トンに到達させるべきである。

 板ガラス、金属建具、化学建材、建築用タイル、照明器具をはじめ、建築の仕上げに使われる建材の生産基地をしっかりきずき、その生産量を画期的に増大させ、ガラス繊維ルーフィングの生産を発展させるべきである。各道で、製管工場、鉄線工場、衛生陶器工場および建具・金具工場を拡充し、すべての道、市、郡で地方の建材基地を強化して、各種建材と建具・金具を自力でより多くつくって使うべきである。

 現在進行中の端川(タンチョン)マグネシア工場の拡張工事を早急に終え、新しい大規模のマグネシア・クリンカー生産基地をきずいてマグネシア・クリンカーの生産を大々的に増大させるべきである。

 林業部門では、徹底的に循環式伐採法を取り入れ、原木の生産を増大させ、削片板、繊維板の生産を増やし、林産化学工業を発展させ、木材を総合的に有効に利用しなければならない。

 造林事業を強化し、新展望計画期間に17万ヘクタール以上の繊維・製紙用材林と34万ヘクタール以上の油脂林をさらに造成すべきである。

 第2次7か年計画期間に人民生活をいちだんと向上させるためには、軽工業の発展に大きな力をそそぎ、一般消費物資の生産で一大転換を遂げなければならない。

 現在の紡績設備を高速度化し、いっそう現代化して、その生産能力を最大限に高めるとともに、アクリル紡績工場を新設し、1984年度には織物生産を8億メートルに高めなければならない。ニット製品や各種衣服にたいする人民の増大する需要をみたすようメリヤス製品の生産と被服工業をいっそう発展させなければならない。

 食用油および砂糖問題を、国内の原料源にもとづいて工業的方法で解決すべきである。すべてのトウモロコシ加工米工場と配合飼料工場にトウモロコシ胚芽の選別工程を十分にととのえ、穀物加工工場のトウモロコシ処理能力を高めて搾油量を大いに増やし、主体的な玉糖(異性化糖)の生産基地を強固にきずいて、1984年度には国内原料による砂糖生産を30万トン以上に高めなければならない。

 幼児用栄養食品の生産に深い関心を払い、幼児に月齢別、年齢別の各種栄養食品がより多くゆきわたるようにすべきである。

 製靴工業をさらに発展させ、靴の生産を1億足に増大させ、良質の各種家庭用品、文化用品の生産を速やかに増大させ、日用雑貨の生産で革新を起こし、人民の日用必需品需要を円滑にみたさなければならない。

 現在進行中の製紙工場の建設を早急に完了し、新しい近代的な製紙工場をさらに建設して、第2次7か年計画期間に用紙の生産を1.8倍以上に増大させるべきである。

 大規模の中央直轄工業と中小規模の地方経営工業を並進させる党の方針をあくまで貫かなければならない。地方自体の原料基地を強固にきずき、地方経営工業をいっそう現代化し、新展望計画期間に地方経営工業の生産高を2.4倍に増大させるべきである。

 水産業を速やかに発展させることは、人民生活向上のために必ず解決すべき重要な課題である。

 1984年度に水産物は350万トン、そのうち魚類は270万トン生産しなければならない。

 東海地区の水産業は、遠洋漁業と近海漁業を正しく組み合わせ、西海地区の水産業は沿海での中小漁業を活発に運営し、各種の魚類をさらに多く水揚げすべきである。

 漁船の数を増やすとともに、漁船の現代化、万能化を実現し、漁具生産を大幅に増やすべきである。

 浅海と天然湖、貯水池、干潟地、河川などを利用して、養殖・養魚を大々的におこなうべきである。

 漁獲量の増大に見合って、生産地の冷凍工場の能力を拡張し、魚類加工工場をさらに現代化し、冷凍鮮魚は1.8倍、魚類の塩づけは3.1倍、乾魚は1.9倍、塩辛は2.1倍にそれぞれ増やさなければならない。


 2 農 業

 農業部門の中心的課題は、自然改造を大々的におこない、農村の技術革命を促進し、農業を工業化、現代化し、農業生産を科学化、集約化することである。

 第2次7か年計画期間にひきつづき穀物生産に大いに力をそそぎ、穀物1000万トンの生産目標を達成し、各種の野菜と油脂作物、工芸作物の生産をいちだんと増大させなければならない。

 穀物をはじめ、農産物の生産を速やかに増大させるため、自然改造の5大方針を徹底的に貫かなければならない。

 地下水を汲み上げて使用するたたかいと貯水池建設をひきつづき力強く推進し、畑潅漑を完成すべきである。

 新展望計画期間に15万ヘクタールの段々畑を造成し、全国的に耕地整理を基本的に終え、すべての田畑をさらに肥沃な土地に改良しなければならない。

 治山治水事業にひきつづき力をそそぎ、大衆的運動として河川整理を積極的に進め、海岸防潮堤を大々的に構築し、湛水排除工事もさらにおこなうべきである。

 干拓地建設を大々的に進めるための物質的・技術的土台をしっかりときずきつつ、すでに着工した対象と、自然地理的条件がよく比較的早く干拓できる新しい対象に力を集中し、10万ヘクタールの干拓地を造成すべきである。

 穀物生産目標を達成し、農業生産力を速やかに発展させるためには、農村における技術革命をさらに促進しなければならない。

 新展望計画期間に、農村に大量のトラクターを供給し、1984年には、田畑100ヘクタール当たり10台のトラクターをゆきわたらせ、トラックと各種のトラクター用農機具をさらに多く生産、供給しなければならない。

 1984年に田畑1ヘクタール当たりの化学肥料施肥量を2トン以上にし、燐酸肥料とカリ肥料の比重をいちだんと高め、各種微量要素肥料の供給量もさらに増やすべきである。

 農村に効能の高い各種の除草剤をはじめ、農薬をより多く供給し、田畑の雑草をすべて化学的方法で除去し、農作物をあらゆる病虫害からより十分に保護するようにすべきである。

 穀物をはじめ、農産物の生産を速やかに増大させるため、チュチェ農法を徹底的に貫き、我が国の気象・気候条件と土壌条件、作物の生物学的特質に即して農業を科学的に営み、農業生産を高度に集約化しなければならない。

 新展望計画期間に畜産業をさらに発展させ、食肉を年産80万〜90万トンに高めるべきである。国営養鶏工場、アヒル飼養工場、ウズラ飼養工場、養豚工場などの生産を正常化し、卵と食肉の生産を最大限に増大させる一方、協同農場に中小規模のアヒル飼養工場または養豚工場を増設し、農場員所帯で鶏やアヒルなどの家畜飼育運動をひきつづき力強く展開すべきである。

 第2次7か年計画期間に、果樹栽培業の機械化、化学化を積極的に促し、果樹管理における科学的で主体的な技術管理システムを確立し、果実生産を150万トン以上に到達させるべきである。


 3 運輸および逓信

 第2次7か年計画期間における交通運輸部門の重要な課題は、集中輸送、コンテナー輸送を広く取り入れ、鉄道、自動車、船舶による連携輸送を強化し、激増する人民経済の輸送需要を円滑にみたすことである。

 集中貨物駅と専用線を充実させ、貨物輸送の組織をいっそう綿密におこない、鉄道貨物輸送総量における集中輸送の比率を60%以上にしなければならない。

 規格化された良質のコンテナーを大々的に生産し、非鉄金属精鉱、セメント、化学肥料、糧穀など多量の貨物と軽工業製品をコンテナーで輸送すべきである。

 鉄道輸送能力を高めるため、鉄道電化区間をさらに延長し、重要区間と操車場を半オートメ化、オートメ化し、電気機関車、ディーゼル機関車、重貨車、それに各種の特殊貨車の生産を速やかに増大させるべきである。

 第2次7か年計画期間に江界(カンゲ)−恵山(ヘサン)−茂山間の鉄道敷設を完了し、各区間に新しい鉄道をさらに敷設すべきである。

 自動車運輸では、トラックと連結車の台数を増やし、短距離輸送隊と長距離輸送隊を強化し、激増する自動車輸送の需要を円滑にみたさなければならない。

 水上運輸部門では、沿海および河川運輸を発展させ、新しい近代的な港をさらに建設し、貨物の通過能力を高め、自国船による貿易貨物の輸送を増やすべきである。

 新展望計画期間に空中ケーブルとコンベヤー輸送ラインをさらに建設し、茂山−清津(チョンジン)間の精鉱輸送パイプライン第2段階工事と、ナフサ輸送パイプライン工事などの新しい輸送パイプラインの建設を強力に進めなければならない。

 逓信部門では、電信・電話施設を現代化し、放送出力をさらに高め、全国テレビ化の成果を強化発展させるべきである。


 4 基本建設

 社会主義の経済的土台を強化し、人民生活をいちだんと向上させるためには、ひきつづき基本建設に大きな力をそそがなければならない。

 第2次7か年計画期間に、基本建設総投資額の80%以上を工業建設、農業建設、運輸および逓信建設などの生産的建設にふり向け、住宅、学校、科学研究機関、文化・保健医療施設などの建設にも多くの資金をふり向けるべきである。

 基本建設は、順序を定めて集中的におこない、特に、新展望計画の重要目標を達成し、人民生活を向上させるうえで第一義的な意義をもつ建設対象に力を集中すべきである。

 膨大な建設を成功裏に遂行するため、建設隊を正規化し、建設を専門化し、建設企業所にたいする統一的な指導体系を確立し、その戦闘能力をたえず高めなければならない。

 設計機関を部門別に専門化し、設計にたいする指導を強め、建設に設計を確固と先行させ、最も合理的で経済的な設計を適時に保障しなければならない。

 基本建設の工業化水準をいちだんと高めるべきである。第2次7か年計画期間に組立て式建設の比率は、産業建設で70%、住宅建設で90%、公共建設で70%、施設物建設で60%以上にそれぞれ高めなければならない。

 部材と軽量骨材の生産基地を強化し、部材を大型化、軽量化し、特に、住宅および公共建築の建設で一間仕切り大型部材とユニット部材を広く取り入れなければならない。

 各種の近代的な大型および中小型建設機械をより多く供給し、建設作業の総合的機械化を実現し、新しい技術と先進的な作業方法を広く導入し、建設の速度と質をさらに高めるべきである。


 5 教育、科学、文化

 教育部門の重要な課題は、『社会主義教育にかんするテーゼ』を確実に貫き、最も先進的ですぐれた我が国の社会主義教育制度をさらに完成させ、社会主義教育事業を新たな高い段階に引き上げることである。

 全般的11年制義務教育を立派に実施し、すべての学生を革命的世界観の骨組みができ上がり、自然と社会にかんするしっかりとした基礎知識と一つ以上の技術を身につけた、チュチェ型の共産主義的人間に育てあげなければならない。

 工場、企業所と農村に勤労者高等中学校を大々的に設置し、それを立派に運営して、すべての勤労者に高等中学終了程度の知識水準と一つ以上の現代技術を身につけさせるべきである。

 発展する現実の要求に即して民族幹部養成の質を決定的に高め、チュチェ思想でしっかりと武装し、現代科学技術を身につけた有能で実践的が技術者、専門家をより多く養成すべきである。

 大学および高等専門学校では、最新科学技術部門の学科指標を新たに増やし、機械工学、電子工学、農業生物学、食料工学など一部の緊要な部門の技術者養成の規模を早急に拡大すべきである。

 新展望計画期間に工場大学、工場高等専門学校をはじめ、働きながら学ぶ教育体系を強化し、その優位性をいっそう発揮させるべきである。

 大学および普通教育部門学校の校舎建設を大々的におこない、実験・実習条件を十分にととのえ、各地方に学生少年宮殿と学生少年会館、少年団野営所をさらに新設すべきである。

 科学研究部門では、科学研究活動において主体性を確立し、社会主義建設で提起される緊切な科学技術上の問題の解決に力を集中すべきである。

 国内の原料および燃料にもとづく工業発展の問題をはじめ、人民経済の主体化を促進するうえで提起される切実な問題にたいする研究活動をさらに強化しなければならない。

 機械工学をさらに発展させ、我が国の実情にかなった能率的で近代的な機械設備を大量に考案製作し、特に、電子工業と自動化工業を発展させるうえで提起される新しい科学技術上の問題を積極的に解決すべきである。

 稲、トウモロコシをはじめ、主要穀物と工芸作物の新しい優良品種をつくり、農作物の生育促進と冷害防止のための研究活動を強力に進めるべきである。

 新しい科学分野を開拓し、最新科学技術の成果を我が国の実情に即して取り入れるべきである。

 科学者の陣容をしっかりとかため、その科学理論水準を高め、各種の近代的実験設備と中間試験工場をいっそう充実させなければならない。

 文学・芸術部門では、朝鮮人民の栄えある革命伝統をテーマにした作品、社会主義大建設の誇らしい現実を生き生きと反映した作品をはじめ、思想性、芸術性の高い革命的で戦闘的な文学・芸術作品をさらに多く創作すべきである。

 第2次7か年計画期間に映画撮影所をさらに現代化し、新たに科学教育映画撮影所を建設し、人民大学習堂をはじめ、各地に近代的設備のととのった図書館、劇場、文化会館などをさらに建設しなければならない。


 6 人民生活

 第2次7か年計画期間に、蓄積と消費との関係を正しく調整し、国の富強発展と人民の将来の幸せのための経済的土台を強化しつつ、人民生活をいちだんと高い水準に引き上げなければならない。

 新展望計画期間に労働者と農民の生活をひとしく向上させながら、特に、農民の生活に深い関心を払い、平野部と山間部農民の生活を均等に向上させなくてはならない。

 新展望計画期間に一般消費物資の生産の増大と、工業製品の原価の低下にともなって、消費物資の価格をさらに引き下げるべきである。

 勤労者にたいする各種の社会的・文化的施策により多くの国家資金をふり向け、共産主義的分配の萌芽をひきつづき発展させるべきである。

 第2次7か年計画期間に、都市と農村で毎年20万〜30万所帯の近代的住宅を新築し、平壌市のセントラル・ヒーティング化を拡大し、各道都をはじめ、各都市のセントラル・ヒーティング化を実現して、勤労者がより文化的な生活を営めるようにしなければならない。

 新展望計画期間に生産の急速な発展と勤労者の増大する購買力に見合うよう、小売商品流通額を1.9倍に増やすべきである。

 重要工業地区と農村にたいする商品供給を強化し、特に、加工食品と文化用品、家庭用品および各種雑貨の販売量を速やかに増大させ、勤労者の多様な商品需要をみたし、生活上の便宜を極力はからなければならない。

 保健医療部門では、全般的無料治療制の実施を徹底させ、予防医学方針を貫き、医師区域担当制を発展させ、勤労者にたいする医療奉仕を改善すべきである。

 新展望計画期間に、予防医療集団の数は1.3倍、病院のベッド数は1.2倍以上に増やすべきである。

 市、郡の人民病院は、専門科をすべて具備した総合病院として充実させ、専門病院、予防院、産院を増設し、医療設備と施設をいちだんと現代化すべきである。

 現代医学とあわせて東医学を積極的に発展させるべきである。中央および道の東医病院を拡張し、市、郡人民病院、産業病院の東医科をいっそう強化しなければならない。

 幼児保育・教育事業で、すでにおさめた成果をいっそうかため、託児所を増やし、文化的に管理し、児童病棟を立派に整備して、可愛い子供たちをより立派に、そして健康に育てなければならない。


※     ※      ※

 第2次7か年計画は、人民経済の主体化、現代化、科学化をおし進め、社会主義の自立的民族経済の威力をさらに強化するための雄大な経済建設綱領であり、社会主義・共産主義建設の歴史的偉業を早める輝かしい設計図である。

 生産成長の速いテンポと前例のない大規模の建設を予定している第2次7か年計画は、全人民の力と才能、そして、国の生産潜在力を社会主義建設に総動員することを要求している。

 第2次7か年計画を成功裏に遂行するためには、思想、技術、文化の3大革命をひきつづき強力におし進めなければならない。

 思想、技術、文化の3大革命は、共産主義を建設するまで遂行すべき継続革命の課題であり、3大革命路線を貫徹することは、第2次7か年計画を輝かしく遂行するための決定的な裏付けである。

 社会主義建設のすべての部門で、思想革命、技術革命、文化革命を力強くくりひろげ、生産と建設でたえまない高揚と新たな革新を起こさなければならない。

 第2次7か年計画期間、社会主義建設に自力更生の革命的原則を具現すべきである。

 自分の力を信じ、自力に依拠して、立ちはだかる難関を乗り越えてたたかうのは、チュチェ思想の要求であり、革命闘争と建設事業で朝鮮人民の堅持している一貫した方針である。すべての活動家と勤労者が、チュチェ思想でしっかり武装し、自力更生の革命精神を高度に発揮して、不足するものは見つけだし、無いものはつくりだして、我々の力、我々の技術、我々の資源で第2次7か年計画を成功裏に遂行しなければならない。人民経済のすべての部門、すべての単位で、「自力更生の革命精神をさらに高度に発揮しよう!」というスローガンを高くかかげるべきである。

 第2次7か年計画の膨大な課題を成功裏に遂行するためには、社会主義経済法則と社会主義経済管理原則に即して経済指導と企業管理を正しくおこなわなければならない。

 すべての国家経済機関と経済幹部は、経済の指導管理においてテアンの事業体系の要求を貫き、特に政治活動、対人活動をすべての活動に確固と優先させ、大衆の自覚的熱意と尽きることのない創造的知恵を余すところなく引き出すことに第一義的な力をそそがなければならない。これと合わせて、すべての生産能力と潜在力を最大限に引きだし、節約制度を強化し、既存の労働力と設備および資材をもってより多く生産し、より多く建設するよう経済組織を綿密におこなわなければならない。

 第2次7か年計画が遂行されれば、社会主義の完全な勝利をめざす朝鮮人民のたたかいで画期的な前進が遂げられ、我が国の全人民は、政治、経済、文化のあらゆる分野でいっそう幸せで張り合いのある生活を営むことになるであろう。

 最高人民会議は、共和国政府の正しい指導とチュチェ思想にもとづいてかたく統一団結した、我が国のすべての勤労者の英雄的なたたかいによって、第2次7か年計画が勝利のうちに完遂されるものと確信する。
出典:『金日成著作集』32巻 


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