金 日 成

人民政権をいっそう強化しよう
 朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議第6期第1回会議でおこなった演説
−1977年12月15日− 


 代議員のみなさん!

 朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議第6期代議員選挙は、社会主義建設のすべての部門で3大革命の炎が激しく燃えあがり、全人民が祖国統一と革命の全国的勝利をめざして力強くたたかっている環境のなかで成功裏におこなわれました。

 労働者階級をはじめ、勤労者とすべての公民は、人民政権の主人としての高い政治的自覚と革命的熱意をもってこぞって選挙に参加し、100%賛成投票することにより、共和国政府へのゆるぎない支持を明白に示し、チュチェ思想にもとづく我が社会の不抜の統一と団結をいま一度全世界に示しました。

 私は、全人民がこのたびの選挙をつうじて共和国政府への絶対的支持とあつい信頼を示し、新しく選挙された最高人民会議代議員のみなさんが全人民の意思を代表して、我々に共和国の新政府を組織し、国家活動をひきつづき指導する栄誉ある重大な責務を委任したことにたいしあつく感謝するものです。

 人民の信任を受け、人民に忠実に奉仕すること以上に栄誉あり張り合いのあることはありません。新たに組織された共和国政府は、人民大衆のあつい信任と大きな期待にかなうよう、栄誉ある自己の使命を忠実に果たし、人民の幸せと祖国の隆盛発展のため、社会主義・共産主義偉業の勝利のため力強くたたかうでありましょう。

 最高人民会議第5期代議員選挙の施行以来この5年間、我が国の革命と建設は大きな前進を遂げました。共和国政府の正しい指導のもとに、全人民が高い革命的熱意を発揮してたたかった結果、朝鮮労働党第5回大会が示した社会主義建設の雄大な綱領である6か年計画は成功裏に遂行され、思想、技術、文化の3大革命がいっそう深化されました。こうして、社会主義の物質的・技術的土台は強固なものとなり、共和国の威力はすべての分野にわたっていちだんと強化されました。

 朝鮮人民は勝利者の高い誇りと輝かしい未来への確信をもって、社会主義・共産主義建設をめざす前進運動をいっそう促進できるようになりました。

 こんにち朝鮮人民には、第2次7か年計画の新たな高い目標を達成し、社会主義の完全な勝利と祖国の自主的平和統一を一日も早く実現すべき聖なる任務が課せられています。
我々は、革命と建設の強力な武器としての人民政権をいっそう強化し、その機能と役割をあらゆる面から強めて、我々に課されている栄えある革命任務を立派に遂行すべきであります。


 1 国家と社会の真の主人は勤労人民大衆である

 同志のみなさん!

 勤労人民大衆は、歴史の主体であり、社会発展の原動力です。人類の歴史は、自主性のための勤労人民大衆の闘争の歴史であり、人民大衆の創造的活動によって歴史が発展し、社会的運動が進められます。自然を変革し、社会を発展させるのも人民大衆であり、物質的富を創造し、文化を発展させるのも人民大衆です。人民大衆をぬきにした社会などありえず、人民大衆の役割なくしては歴史の発展は考えられません。

 勤労人民大衆は、歴史の舞台に登場した当初から、歴史の主体としてあらゆる社会的運動の中心をなしてはいますが、どのような社会でもその地位と役割が同一であるというわけではありません。社会に階級が発生し国家が生まれて以来、人間の地位と役割は国家権力を掌握しているか否かによって決定されました。

 国家権力は、政治的支配権であり、人間の地位と役割を規定する基本的要因です。搾取社会では国家権力を握った搾取階級のみが支配権をもってすべての権利を行使し、国家権力を掌握していない勤労人民大衆はいかなる自由も権利も享有できず、ただ、搾取と抑圧の対象となるだけです。勤労人民大衆は、その掌中に権力をおさめた社会主義社会においてはじめて、国家と社会の真の主人となります。社会主義社会では、勤労人民大衆の自主的権利が完全に保障され、かれらの創造的威力が余すところなく発揮され、社会のあらゆるものが勤労人民大衆に奉仕します。

 革命は、自主性のための闘争であり、自主性は国家権力によって裏打ちされます。人間の自主的権利は国家権力に集中的に表現され、したがって、勤労人民大衆が完全な自主性を実現するためには、なによりも政権の主人とならなければなりません。勤労人民大衆が、その掌中に権力をおさめ、国家と社会の真の主人となってこそ、革命と建設で提起されるすべての問題を成功裏に解決することができます。革命において権力の問題が基本問題となる理由はまさにここにあります。

 朝鮮人民はかつて、国家と社会の主人としての権利のため、自己の権力のため困難かつ頑強なたたかいを展開し、人民政権を樹立することによって権力の問題を立派に解決しました。

 我々の人民政権は、長期にわたる血みどろの闘争をとおしてかちとった革命の貴い獲得物です。我が国に人民政権が樹立されたのは、いまから30年前のことですが、その歴史的根元ははるか以前の抗日革命闘争の過程で形成されました。

 朝鮮共産主義者の指導のもとに、朝鮮人民がおこなった栄えある抗日革命闘争は、民族の解放と独立をめざす闘争であると同時に、勤労人民の権力のための闘争でした。我々は抗日革命闘争の時期に、朝鮮革命の任務と我が国の社会・階級関係を科学的に分析し、それにもとづいて労働者階級の指導する労農同盟に基礎をおき、広範な人民大衆の統一戦線に依拠する人民政権を樹立するという主体的な政権建設路線をうちだしました。我々はこの路線に従って、遊撃根拠地で独創的な政権形態である人民革命政府を、樹立、運営し、人民政権建設の貴い経験をつみました。

 我々はこのような経験にもとづき、祖国が解放された後、内外の敵のあらゆる妨害策動を成功裏に粉砕し、短時日のうちに権力の問題を立派に解決しました。解放後、人民の高まった革命的熱意によって樹立された人民政権は、抗日革命闘争の時期にうちだされた人民政権建設路線の立派な具現であり、遊撃根拠地に組織された人民革命政府の直接の継承でした。

 我々の人民政権は、朝鮮革命の要求と勤労人民大衆の念願から出発し、我が国の実情にそって我々自身が選択し、我々自身がつくり、我々自身が運営する主体的な革命政権です。

 人民政権の樹立によって、朝鮮人民は、歴史上はじめて権力を掌中におさめた国家と社会の真の主人となり、革命と建設の強力な武器をもつようになりました。

 人民政権は樹立された当初から、勤労人民大衆の自由と権利をあくまで擁護し、朝鮮人民の革命闘争と建設事業を輝かしい勝利へと導いてきました。

 我々の人民政権に第一義的に提起された最も重要な問題は、先進的な新しい社会制度をうち立てることでした。人民政権は、反帝反封建民主主義革命の課題を闘争綱領としてかかげ、土地改革をはじめ、民主諸改革を成功裏に遂行して、植民地半封建的な古い社会制度を一掃し、人民民主主義制度を樹立しました。人民政権は、民主主義革命の完遂についで、直ちに社会主義革命の遂行に着手し、戦後短時日のうちに都市と農村で生産関係の社会主義的改造を完成し、共和国北半部に搾取と抑圧のない先進的な社会主義制度をしっかりとうち立てました。我が国の社会主義制度は、勤労人民大衆に国家と社会の主人としての権利を実質的に保障し、勤労人民大衆の利益をあらゆる面から擁護する最もすぐれた社会制度です。

 経済建設は、人民政権が遂行すべき重要な革命課題の一つです。人民政権は、経済建設のための闘争で自力更生のスローガンを高くかかげ、党の主体的な自立的民族経済建設路線を立派に貫きました。こうして、旧社会から受けついだ経済的立ち後れを完全に一掃し、戦争によってすべてが破壊された廃墟に強力な社会主義の自立的民族経済を立派に建設し、我が国を近代的な工業と発達した農業をもつ社会主義工業国に変えました。勤労人民大衆の英雄的な闘争によって建設された社会主義の自立的民族経済は、我が共和国の政治的自主性と人民の幸せな生活をしっかりと保障する強固な物質的基礎となっています。

 新しい社会の建設をめざす朝鮮人民の闘争は最初から、アメリカ帝国主義とその手先の侵略と挑発策動がつづく困難な環境のもとで進められました。人民政権は、我が党の革命的自衛路線を貫き、適時に革命武力を創建し、人民軍を中核とする全人民的防衛体制を確立し、それに依拠して祖国防衛の任務を立派に遂行しました。人民政権は、アメリカ帝国主義者が創建後間もない我が共和国にたいする侵略戦争を引き起こしたとき、祖国の自由と独立の旗印、人民の闘争の旗印となり、人民軍と全人民を英雄的偉勲へと奮い立たせて祖国解放戦争の偉大な勝利を保障し、戦後、敵のたえまない挑発策動をそのつど粉砕し、祖国の安全と革命の獲得物をたのもしく守りぬいてきました。

 創建以来こんにちにいたるまで、人民政権は力強い闘争と栄光にみちた勝利の道を歩み、祖国の歴史に末永く輝く不滅の業績をつみあげました。

 人民政権は、困難かつ複雑な革命闘争の過程で戦闘力と生命力をもつ不敗の革命政権に強化発展しました。革命と建設の発展にともない、人民政権の政治的・経済的基礎はさらに強化され、その機能と役割が著しく強まりました。

 こんにち人民政権は、最も革命的で自主的な社会主義政権として、朝鮮人民の正義の偉業を輝かしい勝利の道へ確信をもって導いています。

 我が国の勤労人民大衆は、人民政権があるがゆえに、国家と社会の主人としてのゆるぎない地位をしめ、革命と建設でその役割を立派に果たしています。人民政権のもとで勤労人民大衆の自主的権利は完全に保障されており、かれらの創意性は高度に発揮されています。

 こんにち我が国の労働者、農民、勤労インテリをはじめ全人民は、国家と社会の主人としての高い自覚と責任感をもち、祖国の隆盛発展と社会主義・共産主義偉業の勝利をめざしてすべてをささげてたたかっています。勤労人民大衆の地位と役割の向上にともない、人民政権の威力はさらに強化され、革命と建設は速いテンポで発展しています。

 国家と社会の真の主人となった勤労人民大衆が、自主性と創意性を高度に発揮してたたかうところに、我が国社会主義制度の大きな優位性があり、我々のすべての勝利の決定的な裏付けがあります。

 人民政権の創建とともに真の人間の尊厳と権利をとりもどし、人民政権のあたたかい配慮のもとで自主的で創造的な生活を思う存分享受してきた我が国の人民は、その実際の体験をつうじて人民政権がいかにすぐれており、それがいかに貴いものであるかを心の底から感じています。こんにち我が国の全人民は、人民政権を心から深く信頼し、人民政権に自己の運命を全的に託しており、人民政権のまわりにかたく団結し、革命の最終的勝利をめざして最後まで力強くたたかう決意に燃えています。


 2 人民政権は勤労人民大衆に奉仕しなければならない

 同志のみなさん!

 我々の人民政権は、勤労人民の利益を代表し、勤労人民大衆に奉仕する真の人民の政権です。

 我が国の主権は、労働者、農民、兵士、勤労インテリにあり、かれらは人民政権機関をつうじて自己の主権を行使します。最高人民会議にいたるまでの各級主権機関はすべて、直接人民によって選挙され、勤労人民の代表で構成されます。したがって、人民政権機関は、けっして人民を支配し治める統治機関となってはならず、当然、勤労人民大衆に奉仕する人民の忠僕とならなければなりません。

 勤労人民大衆に忠実に奉仕することは、人民政権の栄えある使命です。人民政権は、勤労人民大衆の利益を擁護し保護することを自己の本分とすべきであり、人民政権機関の働き手は人民のしもべとならなければなりません。

 人民政権が人民の忠僕としての使命をまっとうするためには、国家活動において民主主義を徹底させなければなりません。

 民主主義は、勤労人民大衆に奉仕する国家活動の基本方式です。国家活動において民主主義を徹底させてこそ、勤労人民大衆に国家と社会の主人としての地位を十分に保障し、革命と建設で勤労人民大衆の役割を高めることができます。

 民主主義とは一言でいって、勤労人民大衆の意思を集大成した政治です。言いかえれば、国家が労働者、農民をはじめ、広範な勤労人民の意思にもとづいて政策を樹立し、人民大衆の利益にかなうようそれを貫き、勤労人民大衆に真の自由と権利、幸せな生活を実質的に保障するのがまさしく民主主義です。

 勤労人民大衆は、社会発展において決定的な役割を果たすばかりでなく、いかなる社会においても人口の絶対多数をしめます。したがって、勤労人民大衆の意思がそのまま国家の政策となり、勤労人民大衆の利益にいっさいを従わせる政治だけが真の民主主義となります。勤労人民大衆の利益を無視し、少数の特権階層の利益を擁護する政治は、いかなる場合でも民主主義とはなりえません。この世に真の民主主義はただ一つであり、それは勤労人民大衆のための民主主義、社会主義的民主主義です。

 搾取階級の意思と利害関係によって、国家のすべての政策が左右される資本主義社会には、真の民主主義が絶対に存在しえません。資本主義社会は、少数が多数を支配する社会です。資本主義社会での「民主主義」、ブルジョア民主主義は少数のための「民主主義」であり、したがってそれは、本来の意味での民主主義ではありません。

 資本主義社会の勤労人民大衆には、民主主義的自由と権利が絶対にありえません。帝国主義者は、口先では「万民の平等」だの「個性の自由」だのと宣伝していますが、それは実際において全く実現不可能なたわ言にすぎません。国家のすべての権力と生産手段が少数の資本家の掌中に握られ、金がすべてを決定する資本主義社会で、億万長者と貧しい勤労人民のあいだにどうして平等が存在し、抑圧され搾取される勤労人民にどのような自由がありうるでしょうか。帝国主義者のいう「民主主義」は、偽りの民主主義であり、かれらの唱える「平等」「自由」なるものは、すべて勤労人民大衆を欺き、ブルジョア独裁の反動性と資本主義制度の反人民的本質をおおいかくすベールに過ぎません。

 真の民主主義は、勤労人民大衆が国家と社会の主人となっている社会主義社会においてのみ実現可能であります。

 こんにち我が国で実施されている社会主義的民主主義は、国家・社会生活のすべての分野で勤労人民大衆に真の自由と権利を全面的に、実質的に保障する最もすぐれた民主主義です。

 我が国では、国家のすべての政策が勤労人民大衆の意思と利益にかなうよう実施されており、労働者、農民をはじめ全人民は、最も尊厳のある幸せな生活を心ゆくまで享受しています。

 我が国の勤労者は、国の主人として国家管理に積極的に参加しており、性別や職業、財産や知識水準、政見や信教のいかんにかかわりなく、誰もが同一の選挙権と被選挙権をもっています。かれもはまた、言論、出版、集会、デモをふくむあらゆる社会・政治活動の自由と権利を存分に行使しています。

 我が国の勤労者は、国家から労働と休息の権利を保障されており、誰もが自分の希望と能力に適した職業を選び、安定した職場で思う存分働き、社会と自分自身のための生きがいのある労働生活で力と才能をいかんなく発揮しています。我が国では国家が責任をもって、全人民に衣食住にかかわるいっさいの物質的条件を保障しており、全般的な無料義務教育制と無料治療制を実施しています。国家のこうした人民的施策によって、全人民は衣食住の心配や教育の心配、病気治療の心配をすることなく、みなひとしく立派な生活をしています。

 我が国で人民が享受しているすべての社会的・政治的権利と幸せな物質・文化生活は、社会主義憲法によって法的に保障されているだけでなく、先進的な社会主義制度と強固な自立的民族経済によって確固と裏打ちされています。

 社会主義的民主主義が全面的に実施されている我が国では、すべての勤労者が平等な社会の構成員として互いに尊重し、緊密に協力し合い共同の偉業のためにたたかっています。

 我が国の人民は、実際の生活をつうじて社会主義的民主主義のみが勤労人民大衆に真の自由と権利を保障し、豊かで文化的な生活をもたらす真の民主主義であることを強く確信しています。

 我々は社会主義的民主主義の優位性を最大限に発揮させ、それをいっそう立派に実施すべきであります。

 社会主義的民主主義を立派に実施するためには、勤労人民大衆を人民政権の活動に広く参加させ、国家政治生活における勤労人民大衆の役割をたえず高めなければなりません。

 勤労人民大衆は国家権力の主人である以上、人民政権の活動に参加する堂々たる権利をもっており、また人民政権の活動に参加するのは、かれらの重要な義務でもあります。我々は、労働者、農民、兵士、勤労インテリのすぐれた代表で各級主権機関をしっかりかため、人民政権機関の活動体系と活動方法をさらに改善して、広範な人民が人民政権の活動に広く参加できる条件を十分に保障しなければなりません。これと同時に、勤労人民大衆をたえず教育し、めざめさせ、かれらがみな国家権力の主人としての高い自覚と熱意をもって、国家政治生活に積極的に参加するようにすべきであります。こうして、人民政権のすべての政策と活動が、勤労人民大衆の意思と要求を正しく反映し、人民の利益を徹底的に擁護するものとならなければなりません。つまり、人民政権の政治があくまでも勤労人民大衆のための政治、勤労人民大衆自身の政治となるようにしなければなりません。

 人民政権機関は、人民大衆の力を信頼し、広範な大衆をかたく団結させ、大衆の革命的熱意と創造的知恵を積極的に引き出さなければなりません。こうして、勤労人民大衆がみずからのたたかいによって自己の尊厳と権利を擁護し、自己の要求と理想を実現するようにすべきです。

 社会主義的民主主義を立派に実施するためにはまた、社会主義経済・文化建設を立派におこなわなければなりません。

 社会主義経済・文化建設を立派におこなうことは、勤労人民大衆に民主主義的自由と権利、幸せな生活を実質的に保障する裏付けです。

 我々は、人民経済にたいする指導と管理を改善し、社会主義経済制度をたえまなく強化発展させ、社会主義経済建設を促進して工業と農業をはじめ、人民経済の各部門で生産を速やかに高め、社会主義の物質的・技術的土台をさらに強化しなければなりません。こうして、人民の全般的生活をより豊かにし、勤労者の生活水準と労働条件での格差をなくし、すべての勤労者に、より完全な社会的平等と自由を保障しなければなりません。

 我々は社会主義文化建設を促し、我が国にすでに樹立されている先進的な教育制度と保健医療制度をさらに発展させ、各種の新たな人民的文化施策を講じて、全人民により十分な文化的生活を保障しなければなりません。

 人民政権機関は、国の経済運営と人民生活に責任を負う戸主として、経済・文化建設にたいする指導と保障活動を改善し、人民の物質・文化生活を向上させるための活動を責任をもって組織、実行しなければなりません。

 社会主義的民主主義を立派に実施するためには、人民大衆の利益を侵し、社会主義的民主主義の破壊を企むあらゆる敵対行為に反対して積極的にたたかわなければなりません。

 社会主義的民主主義は、勤労人民の階級敵にたいする独裁を前提としており、したがって、それは厳しい階級闘争をともないます。この世に社会主義的民主主義が生まれた当初から、帝国主義者とその手先、くつがえされた階級敵は、常にそれを中傷し破壊するためにあらゆる策動を弄してきたし、いまもそれをつづけています。

 こんにち、アメリカの頭目をはじめとする帝国主義者は、民主主義と人権の「擁護者」を自称し、社会主義的民主主義にたいする誹謗中傷と社会主義制度に反対する反共騒ぎにかつてなく熱をあげています。帝国主義者が「人権擁護」を唱えて社会主義諸国を攻撃しているのは、盗人猛々しいというたとえのとおり、恥知らずで笑止千万な行為です。

 現在、地球上で社会的不平等が、最もひどく、人民にたいする抑圧と人権蹂躙が最も過酷な国は、ほかならぬ西側帝国主義諸国であり、帝国主義者がつくりあげたかいらい諸国です。民主主義のない資本主義社会で人民大衆に人権が保障されないということは自明の理です。資本主義社会の勤労人民大衆は、人間の尊厳と政治的権利を全くもつことができず、甚だしくは初歩的な生存権すら奪われています。資本主義社会に「人権」があるとすれば、一握りの特権層が勤労人民大衆の膏血をしぼって栄耀栄華をほしいままにし、人民を抑圧し、蔑視する権利があるだけです。

 帝国主義者が騒ぎたてている社会主義諸国でのいわゆる「人権弾圧」についていうならば、社会主義国家が、民主主義的秩序を乱し、社会主義制度の破壊を策する敵対分子や不純分子に制裁を加えるのは、民主主義の敵から民主主義を守るための正当な措置です。帝国主義者の擁護する「人権」は、人民の人権ではなく、人民の敵の人権であり、かれらの望む「自由」は人民の民主主義的自由ではなく、帝国主義者とその手先の破壊活動の自由なのです。

 我々共産主義者は、自己の党性をかくさないのと同じように、民主主義の階級性をもかくすものではありません。社会主義的民主主義は、けっして社会主義に反対する敵対分子や人民の利益を侵す不純分子にまで、自由や権利を与える超階級的民主主義ではありません。労働者、農民、勤労インテリをはじめ、広範な人民大衆には自由と権利を保障し、少数の階級敵にたいしては制裁を加えるのが、とりもなおさず社会主義的民主主義です。

 我々は、社会生活のすべての分野で階級的立場と革命的原則を固守し、人民の利益を侵す敵対分子や不純分子を徹底的に鎮圧しなければなりません。特に、「人権擁護」の看板のもとに強行されている帝国主義者の反共謀略策動に断固たる反撃を加え、社会主義的民主主義の破壊を企むあらゆる試みを時を移さず粉砕しなければなりません。

 内外の階級敵の侵害から社会主義的民主主義を徹底的に固守し、国家活動のすべての分野で民主主義を立派に実施するとき、我々の人民政権はさらに強化され、人民はより幸せな誇らしい生活を享受するようになるでしょう。


 3 官僚主義に反対しよう

 同志のみなさん!

 人民政権をいっそう強化し、人民政権にその使命をまっとうさせるためには、官僚主義に反対しなければなりません。

 官僚主義は、旧社会の官吏が人民を抑圧し搾取する反人民的な統治方法です。官僚主義は民主主義と根本的に対立するものであり、人民の忠僕である人民政権の活動には官僚主義が絶対に許されません。人民政権機関は、官僚主義を徹底的になくしてこそ、人民の利益を極力擁護し、勤労者大衆に忠実に奉仕することができます。

 人民政権の活動において官僚主義に反対することは、政権機関が権力機関であるという事情と関連して常に重要な問題となります。人民政権機関は、プロレタリアート独裁機関であり、政権機関の働き手は国家権力をもって活動します。そのため、革命的世界観の確立していない政権機関の働き手のなかから、権力を乱用して人民の利益を侵し、官僚主義的にふるまう現象があらわれかねません。

 我々は、人民政権の樹立当初から官僚主義を主な闘争対象とみなし、それに反対してねばりづよくたたかってきました。共和国政府の正しい指導と政権機関の働き手の積極的な努力によって官僚主義は基本的になくなりましたが、いまなお、働き手の頭に古い思想の残りかすが残っているため、官僚主義があらわれる危険は依然として存在しています。もしも、これまでの成果におぼれ、官僚主義に反対する闘争を少しでもおろそかにするならば、官僚主義がまたいつかはあらわれかねません。

 官僚主義は、人民大衆の意思に反することをおしつけ、人民の利益に背く行為を働くことにあらわれます。働き手の主観的意図はどうであれ、またそれがどういう形で表現されようと、人民大衆の意思にそぐわないことをおしつけ、人民の利益を侵す行為を働くことはすべて官僚主義です。

 旧社会の遺物である官僚主義は、人民政権の使命の遂行を妨げ、革命と建設に大きな弊害を及ぼします。

 官僚主義の弊害は、なによりも、人民大衆の自主性と創意性を麻痺させるところにあります。官僚主義は、人民大衆の意思と要求を無視し、不当なことをむやみにおしつけて人民の自主的権利を侵し、かれらの革命的熱意をそぎます。

 官僚主義はまた、人民政権から勤労者大衆を離脱させる重大な害悪的作用をします。官僚主義者は、やたらに大衆に命令し、号令をかけ、人民の利益を侵す行為を働いて、人民政権にたいする大衆の信頼を弱め、共和国政府のまわりに広範な大衆を結集するのを妨げます。

 すべての活動が組織的におこなわれ、すべての部門が有機的に結びついている社会主義社会では、たとえ、個別的な働き手の官僚主義的ふるまいであっても、それが各部門の事業に大きな影響を及ぼし、重大な結果をまねくようになります。

 我々は、官僚主義に反対する闘争をひきつづき強化し、人民政権機関の活動から官僚主義を徹底的になくさなければなりません。

 官僚主義に反対する闘争は、旧社会の遺物を一掃し、人民政権をいっそう強化するための闘争であり、社会主義的民主主義を立派に実施し、人民大衆の利益を擁護するための闘争です。すべての政権機関の働き手は、官僚主義に反対する闘争を人民のしもべとしての本分をまっとうする重要な革命課題とみなし、この闘争に高い政治的自覚をもって積極的に参加すべきです。

 官僚主義をなくすためには、人民政権機関の働き手が人民大衆のなかにはいり、人民の意思を十分に聞き、かれらの利益にそうようすべての活動を進めなければなりません。

 人民大衆のなかにはいらず、事務室に居座って主観的に仕事をするのは、人民の意思と利益に反します。働き手は、人民大衆のなかにはいってこそ現実を正確に把握できるし、人民の意思と要求を十分に知ることができます。

 人民大衆の意思と要求は、人民政権のすべての活動を規定する最高原則です。人民政権機関は、人民大衆のなかにはいり、人民の意見に耳を傾け、かれらの要求にそってすべての政策を実施しなければなりません。人民政権機関は、ある決定を採択したり、指示をくだす場合は、必ず下部に出向き、実情を具体的に把握し、大衆と十分に意見を交わし、常に人民の利益を最優先させてすべての活動を組織し、実行すべきです。

 人民政権機関の働き手が、人民大衆のなかにはいってかれらの利益にかなうよう活動するためには、チョンサンリ(青山里)方法を具現しなければなりません。

 チョンサンリ方法は、主体的な大衆観点に基礎をおいている最も人民的で革命的な活動方法です。

 人民政権機関の働き手は、人民大衆にたいする正しい観点をもって大衆のなかにはいり、かれらとともに働き、学び、生活しなければなりません。人民政権機関の働き手は、絶対に人民のうえにあぐらをかき、命令し、号令をかける官僚になってはならず、大衆と遊離して生活する特殊な存在となってはなりません。人民政権機関の働き手は、常に人民と衣食住をひとしくし、かれらと生死苦楽をともにしなければなりません。さらに、人民政権機関の働き手は、人民の声に耳を傾け、かれらの要求をそのつど解決し、人民から学び、人民に教え、人民を教育して革命課題の遂行に奮起させなければなりません.人民政権機関の働き手は、大衆と一体になり、心を一つにして生活し、働くとき、人民の要求をさらによく知り、かれらにより忠実に奉仕するようになるでしょう。

 社会主義経済を正しく指導し管理するのは、人民政権機関の重要な任務です。人民政権機関は、経済の指導と管理にあたり、広範な大衆の意思を反映する集団指導の原則をしっかりと守らなければなりません。

 社会主義経済は、高度に社会化された大規模経済であり、社会主義経済の主人はほかならぬ人民大衆です。したがって、経済指導において集団指導の原則を貫き、経済管理に広範な大衆を積極的に参加させてこそ、社会主義経済を人民の利益にかなうよう科学的に、合理的に管理運営することができます。

 経済指導と管理において主観と独断を排し、集団指導の原則を実現するためには、テアン(大安)の事業体系を貫かなければなりません。人民政権機関は、テアンの事業体系の要求どおり経済管理に生産者大衆を広く参加させ、かれらのなかにはいり、その集団的知恵と創造的熱意を引き出して、すべての問題を解決していくようにすべきであります。

 官僚主義をなくすためには、国家・経済機関の幹部の社会主義遵法生活を強めなければなりません。

 我が国の社会主義法は、勤労人民大衆の利益を擁護するため人民自身によってつくられた国家管理の基本的武器です。こんにち我が国では、全人民が社会主義法によって国家・社会生活のすべての分野で民主的自由と権利の十分な保障をうけています。社会主義遵法生活を強め、すべての国家・経済機関の幹部が、社会主義法をよく守るようになれば、人民大衆の利益を侵す官僚主義が姿を消し、人民の民主的自由と権利はいっそう立派に保障されるでしょう。

 人民政権機関は、国家・経済機関の幹部のあいだで社会主義遵法生活を強め、かれらが国家の法秩序を自覚的に守り、人民大衆の利益を徹底的に擁護し、真の人民の忠僕となるため積極的にたたかうようにしなければなりません。

 社会主義遵法生活の基礎は、法規範と規定です。人民政権機関は、社会主義憲法にもとづいて各分野の法規範と規定をつくり、発展する現実の要求に即してそれをたえず完成していくべきです。

 社会主義法を尊重し、それを自覚的に守ることは、すべての公民の神聖な義務です。国家・経済機関の幹部は、すべての活動を法と規定に従っておこない、国家の法秩序と社会主義生活規範を守るうえで大衆の模範とならなければなりません。

 社会主義遵法生活を強化するためには、遵法生活指導委員会の役割を高めることが重要です。

 社会主義遵法生活指導委員会の重要な任務は、国家・経済機関の幹部が権力を乱用しないよう法的に統制し、全社会に革命的遵法気風をうち立てることです。

 社会主義遵法生活指導委員会は、国家・経済機関の幹部にたいする遵法教育を強化しなければなりません。社会主義憲法をはじめ、国家の法規範と規定を広く解説して、国家・経済機関の幹部の遵法意識を高め、かれらに法規範と規定を自覚的に守らせるべきです。

 社会主義遵法生活指導委員会は、違法行為と強くたたかわなければなりません。遵法生活指導委員会は、すべての国家・経済機関の幹部が国家の法秩序をいかに守っているかを日常的に監督しなければならず、法規に違反して官僚主義的にふるまい、人民の利益を侵す働き手にたいしては、誰であろうと厳しい法的制裁を加えるべきです。こうして、官僚主義を法的に制止し、勤労人民大衆の利益を徹底的に擁護し、保護しなければなりません。

 代議員のみなさん!

 我々は、来年から第2次7か年計画を遂行することになります。

 第2次7か年計画の基本課題は、人民経済の主体化、現代化、科学化を促進し、社会主義の経済的土台をさらに強化し、人民生活をいちだんと向上させることです。

 我々は第2次7か年計画の末に、年間560億〜600億KWhの電力、7000万〜8000万トンの石炭、740万〜800万トンの鋼鉄、100万トンの非鉄金属、500万トンの機械加工製品、500万トンの化学肥料、1200万〜1300万トンのセメント、350万トンの水産物、1000万トンの穀物を生産し、10万ヘクタールの干潟地を干拓し、人民経済の各部門で現在の2倍以上の生産をあげるようになるでしょう。

 第2次7か年計画は、人民経済の各部門を現代技術で装備し、国の経済的威力をさらに強化する雄大な経済建設計画であり、社会主義・共産主義建設の歴史的偉業を促進するためのすばらしい設計図です。

 新たな展望計画が遂行されれば、社会主義の完全な勝利をめざす朝鮮人民の闘争において画期的な前進が遂げられ、我が国の全人民は、政治、経済、文化のすべての分野にわたって、いっそう幸せな誇らしい生活を享受するようになるでしょう。

 第2次7か年計画を遂行するためのたたかいに全国と全人民が奮い立ち、新たな展望計画の高い目標を達成するための総進軍運動を力強くくりひろげなければなりません。

 第2次7か年計画を成功裏に遂行するためには、思想、技術、文化の3大革命路線をひきつづき徹底的に貫かなければなりません。思想、技術、文化の3大革命を力強くおし進めることは、社会主義建設で我が党が一貫して堅持している戦略的方針であり、3大革命路線を徹底的に貫くところに第2次7か年計画を立派に遂行する決定的な保証があります。各級政権機関と全人民は、思想、技術、文化の3大革命を力強くおし進め、社会主義建設のすべての分野で新たな大高揚を起こさなければなりません。

 我が国にすでにきずかれた経済的土台は大変な威力をもっており、その生産潜在力は非常に大きいものです。すでにきずかれた経済的土台を効果的に利用するならば、現在に比べ生産をいちだんと増大させ、国の経済全般をいっそう速いテンポで発展させることができ、大きな元手をかけずに新たな展望計画を成功裏に遂行することができます。我々は、すでにきずかれた経済的土台をさらに完備し、現代技術で装備してその威力を余すところなく発揮させなければなりません。

 我々は第2次7か年計画期間に、自力更生の革命的原則をより立派に具現しなければなりません。すべての勤労者は、チュチェ思想でしっかり武装し、自力更生の革命精神を高度に発揮して、足りないものは見つけだし、ないものはつくりだして、我々の力と我々の技術、我々の資源で第2次7か年計画を成功裏に遂行しなければなりません。「自力更生の革命精神をさらに高度に発揮しよう!」、これが、第2次7か年計画期間に我々がかかげるべき革命的スローガンです。

 全人民がこぞって立ち上がり、第2次7か年計画を輝かしく遂行して、朝鮮人民の英雄的気概をいま一度全世界に示さなければなりません。

 同志のみなさん! 共和国政権は、朝鮮人民の民主的自由と権利の真の擁護者であり、祖国の独立と繁栄をめざす革命の旗印です。人民政権の強化発展とともに、朝鮮人民はさらに尊厳のある幸せな人民となり、我が祖国は限りなく隆盛発展することでしょう。

 全人民はこれまでと同様これからも、みずから選挙した人民政権をいっそう信頼し、人民政権の諸施策を徹底的に貫き、人民政権の強化発展のためにあらゆる努力を傾けなければなりません。

 共和国政府の正しい指導のもとに、権力を掌中におさめ、正義の偉業のためにたたかう朝鮮人民は必勝不敗です。

 こぞって共産主義の旗、チュチェ思想の革命の旗を高くかかげ、共和国政府のまわりにかたく団結して、祖国の自主的平和統一と革命の全国的勝利のため、社会主義・共産主義偉業のために力強く前進しましょう。

出典:『金日成著作集』32巻 


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