金 日 成

総聯の支部と分会を強化し、各階層大衆との
活動を活発にするために
朝鮮民主主義人民共和国創建29周年在日朝鮮人祝賀団および総聯支部活動家代表団との談話 
1977年9月12日

 私はきょう、共和国創建29周年在日朝鮮人祝賀団と総聯支部活動家代表団の皆さんに会えたことを非常にうれしく思い、皆さんを熱烈に歓迎します。

 私はまず、祖国における社会主義経済建設の状況について話しましょう。

 今年、祖国での農作は良好です。昨年も豊作でしたが、今年はそれを上回る豊作です。今年のような大豊作は、わが国の歴史ではじめてのようです。

 現在、寒冷前線の影響で世界の多くの国が干害をこうむっています。特に、潅漑工事の不十分な国では干害のため農業を台無しにしています。

 今年は、わが国でもひどい日照りがづづきました。しかし、祖国では寒冷前線の影響による干害をこうむりませんでした。

 祖国では、これまで潅漑工事を大々的におこない、最近は党中央委員会総会で自然改造の5大方針と地下水革命の方針を示し、大衆的運動で畑潅漑を全部終え、井戸を掘る運動を力強く展開しました。今年は、日照りのとき、全人民がこぞって穀物に水をやる運動を展開しました。このように、干害防止対策を徹底的に講じたため、祖国ではひどい日照りがつづく状況のもとでも、千害をこうむることなく豊作をかちとりました。わが国では水利化が徹底しているので、農業には日照りの方がかえって有利です。

 私は最近、今年の農作状況を中間総括してみましたが、稲やトウモロコシなどすべての穀物の作柄が良好でした。稲をみても、昨年は1000粒当たり25グラムでしたが、今年はほぼ30グラムにもなります。今年は、党の示した850万トンの穀物生産目標が達成されそうです。

 祖国では、数日後には取り入れをはじめます。しかし、作柄がよいのにひきかえ、簡易貯蔵庫とトウモロコシ用の高床式簡易倉庫が不足しているのが問題です。これをもっと建てなければならないでしょう。

 現在、世界的に10億の人口が食糧不足のため飢えているそうです。しかし、わが国では、ぜいたくには食べられないとしても飢えたり腹をすかしている人は一人もいません。革命家は年中、肉汁は食べられなくても、腹さえすかさなければ満足すべきです。

 寒冷前線の影響でここ数年のあいだ日照りかつづき、貯水池の水量が少ないため、水力発電所をフルに稼働させることができませんでした。しかし、我々は火力発電所を建設しておいたため、人民経済の電力需要をみたすことができました。

 このように祖国では、寒冷前線の影響を克服し、社会主義経済建設を成功裏に進めています。

 対外貿易の発展展望も良好です。

 もっとも、現在、資本主義諸国との貿易は思わしくありません。わが国には、セメントや鋼材など輸出できる品物は多いのですが資本主義諸国が経済危機に見舞われているため、商品を思いどおりに買っていきません。一部の資本主義国は、わが国を不平等に扱い、わが国の品物は買おうとせず、彼らの品物だけ売りつけようとしています。このたび、日・朝友好促進議員連盟第2次朝鮮訪問団とわが国代表団とのあいだで会談がありましたが、その際、相手側の団長は、わが代表団に貿易をしようと提起しました。それで、わが方の代表団団長は、貿易をするのは賛成だ、我々も商品を売ろうとしている、しかし、日本人は我々を不平等に扱い、わが国の品物をよく買おうとしないが、これは非友好的な態度である、こういう状況のもとでは新たな貿易契約を締結することなく、以前からの貿易契約を延長しようと言いました。

 第三世界諸国との貿易も大々的におこなっていません。第三世界諸国は、帝国主義の植民地支配から解放され経済建設をはじめて間もないので、わが国と大々的な貿易はおこなっていません。もちろん、第三世界諸国のうちでも経済的土台のある国は、わが国から鋼材やセメントなどを多少買い入れています。

 我々が資本主義諸国との貿易を発展させようとすれば、それらの国がわが国から輸入しなければならないものをたくさん生産しなければなりません。例えば、マグネシア・クリンカーなどを大量に生産して輸出すべきです。耐火レンガをつくるにはマグネシア・クリンカーが必要ですが、現在それは世界的に枯渇状態にあります。それで多くの国が、われもわれもとマグネシア・クリンカーを要求しています。

 わが国には、マグネシア・クリンカーの原料であるマグネサイト鉱石が無尽蔵なので、マグネシア・クリンカーはいくらでも生産して輸出することができます。世界市場でマグネシア・クリンカーは非常に高値です。それで私は、マグネシア・クリンカーの原料であるマグネサイト鉱石に「白い金」という呼び名をつけました。

 我々は、来年度から新展望計画である第2次7か年人民経済計画の遂行に着手することになります。第2次7か年人民経済計画は、党中央委員会政治委員会で草案を討議したため、このたびの最高人民会議で討議し、法令として採択すればよいのです。

 次に、国際情勢について話しましょう。

 現代は、自主性の時代です。現在、第三世界諸国をはじめ、世界の多くの国が自主性を求めており、各国の共産党、労働者党も自主性を求めています。世界の人民が自主性を求め、多くの国が自主の道に進んでいるのは、現代の基本的趨勢となっています。

 こんにち、第三世界諸国は、自主性にもとづいて団結しており、現代の強力な反帝革命勢力をなしています。

 昨年の国連総会で、アメリカ帝国主義者は、第三世界諸国の提起した新国際経済秩序確立の問題に反対して、強力な抗議と糾弾をうけました。

 帝国主義者は、第三世界諸国、非同盟諸国が団結するのをいちばん恐れています。

 アメリカを頭目とする帝国主義者は、第三世界諸国を分裂、離間させ、互いに争わせる政策を実施しており、特にアラブ諸国とアフリカ諸国が団結できないようにしようと策動しています。

 第三世界諸国は政治的には独立しましたが、まだ自立的民族経済を建設していません。経済的に自立できず他の国に依存しては真の独立をかちとったとはいえず、国際舞台においても発言権を得ることができません。新興独立諸国は、民族幹部と資金が不足して困難をなめており、また最近では、寒冷前線の影響による不作で食糧難に見舞われています。

 帝国主義者は、新興独立諸国のこのような経済的難関を利用し、資金と食糧をもって第三世界諸国を分裂、離間、瓦解させようと策動しています。

 第三世界諸国、非同盟諸国が帝国主義者の分裂、離間、瓦解策動を粉砕するためには、団結と協力を強化しなければなりません。我々はこの8月、ユーゴスラビア大統領が訪朝したさいに発表した共同コミュニケで、非同盟諸国、発展途上諸国が幅広い団結をなし遂げることを重要な問題として指摘しました。

 我々は、このたびわが国で開かれるチュチェ思想に関する国際討論会をつうじて、新興諸国間の団結をさらに強化する考えです。

 チュチェ思想に関する国際討論会は、世界の70余か国と国際機構から来る多くの代表団と代表が参加することにないます。討論会に参加する代表団のメンバーや代表は、宣伝活動家であるため、彼らに団結の思想的武器を与えることが重要です。我々は、自主性にもとづいて団結するというスローガンをかかげ、世界の進歩的人民との団結を強化しようとしています。

 こんにちの国際情勢は複雑ですが、全般的には革命に有利に進展しています。帝国主義者は、分裂、離間策動を強めていますが、世界の進歩的人民は団結の方向に進んでいます。

 こんにち資本主義諸国では、経済危機のため物価がひきつづき暴騰し、失業者が増加するにつれ、資本主義体制に対する人民の不満が高まっています。それゆえ、我々がよく闘えば、さらに多くの人民を革命の側に結集することができます。

 次に、総聯の活動について話しましょう。

 私はまず、数日後に開かれる総聯第11回全体大会に熱烈な祝賀を送ります。

 総聯は、南朝鮮の反動層だけでなく、アメリカと日本の反動層を相手にして闘っています。私は、総聯が一つの反動層でなく、いくつもの反動層と闘う困難な状況においても、ひるむことなく、わが党と共和国政府のまわりにかたく結集し、敵のあらゆる破壊・謀略策動を粉砕し、横たわる障害と難関を勇敢にのりこえていることを非常に立派なことと思っており、それを高く評価するものです。

 私はきょう、総聯の各支部委員長に会えたことを非常にうれしく思います。

 総聯組織において支部と分会は、極めて重要な位置にあります。私がいつも言っていることですが、党を強化するには、郡党と里党、工場党、党細胞を強化することが重要です。これと同じく、総聯を強化するには支部と分会を強化することが重要です。

 分会は、総聯の基礎組織であり細胞です。人間が健康であるためには、人体を構成している細胞がしっかりしていなければならないように、総聯組織を強化するには、その組織を構成している細胞をしっかりとかためる必要があります。総聯が分会を強化するのは、人体の細胞を強化するのと同じです。それゆえ、基礎組織であり細胞である分会を強化し、分会の活動を活発にしてこそ総聯組織を強化することができます。総聯は、分会を強化するため積極的に闘わなければなりません。

 総聯支部の役割を高めることが、また重要です。総聯支部は、分会を直接指導する単位です。したがって、支部の役割を高めてこそ分会の活動を強化し、総聯の活動を立派におこなうことができます。祖国では、『わが国における社会主義農村問題に関するテーゼ』に示されているとおり、末端指導単位である郡の役割を強化することに力を入れています。

 支部委員長をはじめ、総聯活動家の役割を高めるべきです。

 総聯は、祖国とは異なる特殊な状況のもとで活動しています。祖国では、解放後30余年間、民主主義革命と社会主義革命、社会主義建設をつうじて、すべての人が社会主義的勤労者に改造されました。現在、わが国の社会には労働者階級と農民がおりますが、今後、農民を革命化、労働者階級化し、農村の総合的機械化を実現して8時間労働制を実施すれば、農民も労働者階級になるでしょう。こうなれば、わが国は無階級社会になります。

 しかし、皆さんの住んでいる日本には、労働者階級と農民だけでなく、他の階級や階層も少なくありません。祖国の活動家は社会主義的勤労者との活動をおこなえばそれでよいのですが、皆さんは労働者と農民、中小商工業者、企業家などの各階層の大衆との活動をおこなわなければなりません。

 総聯の活動家は、わが党の大衆路線を貫徹すべきです。総聯活動において大衆路線を具現するということは、すべての朝鮮人を総聯組織に結集することを意味します。言いかえれば、反動層を除き、祖国の統一を願い、民族的権利を擁護するために闘う朝鮮人はすべて結集するということです。

 もちろん、総聯が大衆路線を貫くというのは容易なことではありません。祖国の活動家のなかにも、大衆路線に違反する行為がしばしばあらわれます。わが党は、すべての人を教育改造して共産主義社会までつれていく方針を示しましたが、一部の活動家は対人活動を狭い枠内でおこない、人々を十分に結集していません。それで党では、活動家を常に教育し、批判も加えています。

 対人活動、大衆との活動は、最も難しい重要な活動です。大衆との活動に落度があり、彼らを結集できなければ、革命闘争で勝利することはできません。

 総聯の活動家は、祖国の活動家より大衆との活動をいっそう手ぎわよくおこなわなければなりません。そうして、祖国の分断に反対し、統一を願い、日本人に帰化せず朝鮮人になろうとする同胞はみな総聯組織に結集すべきです。そして、社会主義祖国があるという自負をいだくように分会の会員を教育し、彼らが宣伝活動や組織活動、それに大衆との活動も能動的にできるように教育すべきです。

 朝鮮人捜し運動を展開するにしても、皆さんは同胞のなかにはいって、我々朝鮮人には堂々たる社会主義祖国があるのに、何のため日本に帰化し日本人になろうとするのか、朝鮮人同士でも立派な暮らしができるのに、なぜ自民族を捨て外国人になって暮らそうとするのかというふうに解説し、彼らに社会主義的愛国主義思想を吹きこむべきです。そうして、1人が10人、10人が100人、100人が1000人、1000人が1万人を教育する方法で、60万在日朝鮮同胞をみな教育し、総聯組織に結集させるべきです。

 総聯活動家は、各階層大衆との活動において、個人の利益を絶対に侵害せず、尊重すべきです。

 総聯活動家は、社会主義祖国を擁護し、祖国の統一をはかる活動を立派におこなうべきです。在日同胞のあいだで、社会主義祖国と祖国統一方針についての宣伝活動を活発におこなうのは、皆さんの重要な任務です。

 総聯活動家は同胞のなかにはいって、我々が南朝鮮軍事ファシスト一味に反対するのは、彼らがアメリカ帝国主義者や日本軍国主義者に国を売り渡し、わが国を永久に分裂させようとしているからだ、アメリカ帝国主義や朴正煕軍事ファシスト一味が騒いでいる「南侵の脅威」はデマだ、共和国政府は「南侵」しないばかりか、南朝鮮にいかなる思想と体制も強要しないことをいくたびも闡明している、共和国政府は祖国統一の3大原則と5大方針にもとづいて祖国を自主的に、平和的に統一しようとしている、それゆえ、祖国を自主的に、平和的に統一しようとするのが正しいか、でなければ国を永久に分裂させるのか正しいか、このように対比してわかりやすく解説し、すべての同胞にわが党の祖国統一方針とその正当性をはっきり理解させるべきです。

 総聯は、日本へ往来する南朝鮮人との活動に力を入れるべきです。

 現在、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの多くの国の人民が、わが国の社会主義建設の経験から学ぼうとあいついで訪問しています。しかし、多くの南朝鮮人民は、アメリカ帝国主義と朴正煕軍事ファシスト一味のデマ宣伝によって、わが国の社会主義制度に対し、正しい認識をもっていません。皆さんは、日本へ往来する南朝鮮の人々に、アメリカ帝国主義と朴正煕軍事ファシスト一味が騒ぎ立てている宣伝が偽りであることをはっきり理解させ、彼らにわが国の社会主義制度を正しく認識させるべきです。そうして、彼らをとおして、南朝鮮に、わが国の社会主義制度に対し、正しい認識をもった人の隊列が増えるようにすべきです。

 総聯は、日本人民との活動も活発におこなうべきです。

 皆さんは日本で幕らしているだけに、日本人民との活動を活発におこなうことが極めて重要です。日本人民が総聯を支持し、在日朝鮮人運動を援助するようにしてこそ、総聯を敵の破壊・謀略策動からしっかりと守ることができます。

 皆さんは、日本の労働者、農民、中小商工業者、知識人、教員との活動を活発におこない、彼らが、総聯とわが党の自主的祖国統一方針を支持し、日本政府に圧力を加え、祖国統一を妨げることができないようにすべきです。

 私は日本人に会うたびに、あなたがたは朝鮮で戦争が起きてよいことがあるだろうか、隣家が平穏でなければ日本も平穏でありえない、それゆえ、朝鮮の統一を妨げず、自主的平和統一が実現されるよう援助すべきだと話しています。

 皆さんは、総聯の支部と分会を強化し、在日同胞との活動、南朝鮮人民との活動、日本人民との活動を活発におこない、社会主義祖国の擁護、防衛と祖国統一偉業の実現に積極的な寄与をすべきです。

 私は、皆さんが総聯組織を強化し、社会主義祖国と祖国の自主的平和統一をなし遂げるため、すべてをささげて闘うものと確信します。
                                                
出典:『金日成著作集』32巻


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