金日成「社会主義教育に関するテーゼ」

5 教育機関の任務と役割、教育事業にたいする指導と援助


 社会主義社会における教育事業は、教育機関と教育者に課された光栄ある重要な革命任務である。社会主義社会での教育事業は党的、国家的事業であり、全社会的事業である。社会主義教育を立派におこなうためには、教育機関の機能と教育者の役割を高めるべきであり、教育事業にたいする党の指導と国家の保障、社会的支援を確固と実現しなければならない。


1 学校の使命と任務

 社会主義社会における学校は、革命化の根拠地であり、文化革命の拠点である。学校は授業をつうじて思想革命、文化革命の遂行に寄与する。

 社会主義社会での学校の使命は、社会主義教育学の基本原理にもとづいて育ちゆく新しい世代を共産主義的人間に育成し、民族幹部を養成することにある。

 新しい世代を共産主義的人間に育成することは、国家の万年大計にかかわる事業である。育ちゆく新しい世代は祖国の未来であり、革命偉業の継承者である。祖国の未来と革命の前途は結局、新しい世代をどのように育成するかにかかっている。

 民族幹部の育成は、革命と建設を力強くおし進めるための決定的な裏付けである。幹部がすべてを決定づける。政治的、思想的に、技術的、実務的に準備のできた民族幹部なしには、新しい社会の建設で提起される困難かつ複雑な問題を成功裏に解決できず、国の経済と文化、科学と技術をすみやかに発展させることができない。

 学校は、新しい世代を共産主義的人間に育成する活動と民族幹部養成事業を立派におこない、社会主義・共産主義偉業に積極的に寄与すべきである。

 学校がその使命を果たすためには、なによりも教育行政を正しくおこなわなければならない。

 教育行政の基本は、学生の教育に必要な教育学的過程を正確に踏ませることである。

 教育学的過程の第一工程は、教育綱領の作成である。教育行政機関と大学では、社会主義教育学の基本原理にもとづいて、朝鮮革命の要求と我が国の実情にかなった人々の思想・意識の発展過程と科学技術習得過程の合法則性に即した教育綱領を作成し、それを正しく実行しなければならない。

 学校教育行政では、教員が授業の準備を十分におこなうよう指導すべきである。授業準備での基本は教案を立派に作成することである。学校教育行政では教員が作成した教案を必ず検討すべきであり、集団協議をへてそれを完成するようにすべきである。新しい課目にたいする授業をする場合や、新しい問題の講義をおこなう場合は、必ず方式講習や模範講習をおこなわなければならない。

 学校教育行政は、教員が教育綱領に示された内容を学生に十分教えるよう指導すべきである。

 授業にたいする指導で重点をおくべき問題は、授業の政治・思想性と科学性を保障することである。教育行政は、教員が授業で主体性を徹底的にうちたて、授業を党政策化し、革命と建設に役立つ生きた知識を与えるようにすべきである。また、科学と技術の最新成果をそのつど取り入れ、授業内容をさらに豊富にし、授業の科学的・理論的水準をたえず向上させなければならない。

 教育行政は、教員が授業方法を改善し、講義、科学討論、実験・実習、科学論文の作成などカリキュラムに予定された各種形態の授業をすべて正確におこなうよう指導しなければならない。

 教育行政は、授業内容にたいする学生の理解の程度を定期的に調査掌握し、学生の学力向上のための活動を組織しなければならない。

 学校事業を正規化、規範化することは教育行政の重要な任務である。

 学校事業を正規化、規範化するということは、教育活動を科学的に編成された教育学的過程の要求どおりおこない、学校内に革命的な制度と規律をうちたてることを意味する。

 学校内に科学的な教育行政指導体系をうちたて、教育活動を徹底的に教育学的過程の要求どおりにおこない、教育計画の作成からその実行にいたるまで、学校教育行政の活動全般を統一的に指導しなければならない。

 学校内に教育綱領を正確に実行する厳格な教育規律をうちたてるべきである。教育綱領を正確に実行することは学校に課された法的任務であり、第一の教育規律である。学校では教育綱領を正確に実行する革命的な規律をうちたて、カリキュラム、授業要綱を無条件、徹底的に実行しなければならない。

 学校は、学生の課外生活、政治組織生活を責任をもって指導しなければならない。

 社会主義社会における学校は、学生を全的に受けもって教育する責任を負っている。したがって、学校は授業だけでなく、学生の課外生活にも責任をもつべきであり、学生の学課学習だけでなく、組織生活、社会・政治活動も正しく指導しなければならない。

 学校の教育環境をよく整備し、学校をきれいに管理しなければならない。

 教育環境をよくととのえ、学校をきれいに管理することは、思想教育機関、文化革命の拠点としての学校の使命と役割を正しく遂行し、学生を知識があり、文化的で、国の経済をきちょうめんに運営できる立派な活動家に育成するうえで重要な意義をもつ。

 学校の教育環境を思想革命の機関にふさわしく、そして学生の教育に役立つようにととのえるべきである。学校では学生に、党にたいする忠実性を育み、党政策の正しさと生命力を深く体得させ、かれらの革命意識を高めるのに役立つよう、すべての教育環境をととのえるべきである。また、学生が習得した知識を強固にし、国の現実を理解するのに役立つように学校をととのえるべきである。

 学校を文化革命の拠点にふさわしくととのえ、きちんと管理すべきである。学校では教室と研究室、実験室をはじめ、学校のすべての施設を文化的にととのえ、大衆的な管理体系をうちたて、すべての教職員、学生が学校の管理に主人らしく参加するようにしなければならない。


2 教員の地位と役割

 教員は教育事業の直接の担当者である。我々の社会において教員は次代を革命の継承者、共産主義者に育成する職業革命家である。教員がその光栄ある使命をいかに遂行するかによって、革命の継承者であり祖国の未来である次代の質的状態が決定される。教員は、党と革命のために祖国の未来にたいする責任を負っている。

 教員の第1の任務は授業を立派におこなうことである。授業は教員に課された基本的な革命任務である。教員は授業を立派におこなうと同時に、学生の課外学習と課外生活を責任をもって指導しなければならない。

 教員が次代の教育を立派におこなうためには、なによりもまず自分自身を徹底的に革命化、労働者階級化しなければならない。

 教員が革命化、労働者階級化されずには学生を革命化、労働者階級化することはできず、教員が共産主義者にならずには学生を共産主義者に育成することはできない。

 教員を革命化する基本的な方途は、かれらの政治的組織生活を強化することである。教員の党生活、勤労者団体の組織生活を強化し、特に批判を強化すべきである。

 教員は、革命的実践活動をつうじて、たえず自身を鍛えなければならない。教員の重要な実践活動は授業である。教員は授業にすべての知恵とエネルギーをそそぐべきであり、その過程で自身を政治的、思想的に鍛えなければならない。教員は労働者、農民のなかにはいってかれらから学び、社会・政治活動と科学技術普及活動を積極的にくりひろげるべきである。

 教員は、たえず資質の向上をはからなければならない。

 教員の資質によって教育の質が決まる。教員が授業を立派におこなうためには、政治的、思想的に健全であるばかりでなく、科学理論水準が高くなければならない。一つを教えるためには十を知らなければならない。

 教員は、なによりも党政策をよく知り、自分の専攻する科学分野に精通しなければならない。教員はまた、基礎科学知識をはじめ、各分野の知識を身につけ、内外情勢と我が国の具体的な実情、さらに教育理論と方法をよく知らなければならない。大学教員は、必ず専攻部門の学位、学職をもち、普通教育部門の教員はすべて教員資格をとらなければならない。

 教員の資質を高めるためには、革命的な学習気風をうちたてるべきである。すべての教員が学習を日常化し、精力的に学び、書物を多く読まなければならない。

 教員の資質向上のための組織活動と指導を強化すべきである。教員のあいだで方式講習、模範講習、学術討論会、経験発表会をたびたび催し、教員の資質を点検評価する国家試験を定期的に実施しなければならない。

 学生を共産主義的な革命人材に育成するためには、学校の社労青指導員と少年団指導員の役割を高めなければならない。

 学校の社労青指導員と少年団指導員は、学生の社労青組織生活と少年団組織生活を直接組織、指導し、学生を政治的に教育し保護すべきである。学校の社労青指導員と少年団指導員は、学生の課外活動を指導する課外教育の主人にならなければならない。

 保育員、教養員の役割を高めなければならない。

 保育員、教養員は幼児の社会的養育者であり、教育者である。保育員、教養員は、幼児を共産主義的に保育、教育し、学齢前児童に学校教育の基礎を身につけさせるべきである。

 教員養成事業を強化しなければならない。

 師範教育体系を整然とうちたてて、教員養成事業を確固と優先させなければならない。師範大学、教員大学などの教員養成機関は、次代教育のための「原種場」である。教員養成機関で学生の教育を立派におこなってこそ政治的、思想的に、科学的、技術的に準備できた立派な教員を養成することかでき、そうしてはじめて、すべての青少年学生を有能な革命人材に育てあげることができる。教員を養成する大学に優秀な学生を選抜して入学させ、これらの大学の授業水準を決定的に高めなければならない。

 師範教育機関では、学校の社労青指導員、少年団指導員および保育員、教養員の養成にも大きな力をそそがなければならない。

 現職教員の再教育をたえずおこなうべきである。教員の再教育体系をたてて現職教員の再教育を計画的におこない、その水準をたえず発展する現実の要求に追いつかせなければならない。教員講習会を定期的におこなって授業の統一を期し、たえず授業の質を高めなければならない。


3 教育事業にたいする党の指導

 教育事業にたいする党の指導の強化は、社会主義教育を徹底的に党的教育、労働者階級的教育に発展させ、教育授業におけるすべての問題を成功裏に解決するための決定的な裏付けである。

 教育事業にたいする党の指導は、本質において政策的指導であり、政治的指導である。教育事業にたいする党の指導の中心は、教育事業に社会主義教育学の基本原理を具現し、党の教育政策を正確に実行するよう正しく掌握、指導することである。

 党組織はなによりも、学校教育を掌握、指導しなければならない。学生にたいする教育がおこなわれる基本的拠点は学校である。党組織は、常に学校の事業を調査掌握し、授業が党の要求と革命の利益にそっておこなわれるように指導しなければならない。

 党組織は、教育行政機関の活動を正しく指導しなければならない。党の教育政策は教育行政機関によって具体化され、実行される。党組織は、教育行政機関の役割を高めて党の教育政策を正確に実行し、教育事業にたいする国家の指導を強化するようにしなければならない。

 教員の陣容を強化し、教員との活動を正しくおこなわなければならない。

 党組織は、党の唯一思想体系が確立し、労働者階級的立場が明確で、高い科学的・理論的資質をそなえた人材をもって教員の陣容をかためなければならない。教員のなかに党の唯一思想体系の確立していない者が、一人もいてはならない。

 党組織は教員のあいだで政治的組織生活を強化し、思想教育活動を綿密におこなわなければならない。こうしてすべての教員が自分自身の革命化、労働者階級化と科学的・理論的資質の向上のため積極的に努力し、次代の教育に高度の革命的熱意と創造的積極性を発揮するようにしなければならない。

 学生にたいする活動を強化すべきである。

 学生に課された基本的革命任務は、学習に励むことである。党組織は、学生が学習を第一の革命任務とし、熱心に学習するように指導しなければならない。特に、大学生のあいだで革命的学習気風をうちたてなければならない。こうしてすべての大学生が、専攻部門の科目に精通し、1か国語以上の外国語を完全に習得し、大学在学期間に民族幹部としての資質を十分にそなえるようにしなければならない。

 党組織は、学生の組織・思想生活を責任をもって指導し、学生を政治的に教育し、組織的に鍛えるために大きな力を傾けなければならない。

 党組織は、学校社労青組織と少年団組織がその役割を十分に果たすよう指導すべきである。学校の社労青指導員および少年団指導員を堅実な人でかため、常にかれらを正しく教育しなければならない。これとあわせて各級社労青組織は、青少年学生にたいする活動に主力をそそぎ、学校の社労青組織および少年団組織にたいする指導を強化しなければならない。

 党組織は、大学生の募集事業を党的・労働者階級的原則に立って、正しくおこなうよう指導しなければならない。大学には中等教育を終えて労働生活や軍務生活で鍛えられ、党と革命のためにつくす思想的決意がかたく、学業成績の優秀な青年を入学させなければならない。

 高等教育事業にたいする党の指導を強化するためには、大学党委員会の役割を高めなければならない。

 大学には多くの教職員や学生党員が集まっており、学部と講座および学生のなかに党組織がある。大学では教育綱領の作成をはじめ、教育行政活動全般を自立的におこなっている。したがって、大学党委員会の役割を高め、大学のすべての活動を正しく指導することは、高等教育の成果の重要な裏付けとなる。

 大学党委員会の基本任務は、教職員、学生のあいだで党の唯一思想体系を確立し、すべての学生を党の求める有能な民族幹部に、共産主義建設の担い手に育てあけることである。大学党委員会は、党の教育政策貫徹のための活動を責任をもって組織実行し、大学に提起されるすべての重要問題を集団的に討議して正しい対策をたて、スムーズに解決しなければならない。大学党委員会は、大学内の党組織や社労青組織をしっかりとかため、その機能と役割を高め、常に教職員、学生の組織・思想生活を掌握、指導しなければならない。


4 教育事業にたいする国家的保障と社会的支援

 社会の全構成員に教育をほどこす社会主義教育の物質的需要は極めて膨大である。また、社会主義教育は、近代的な教育条件を必要とする。強固な社会主義的自立経済をもつ国家が責任をもって教育事業を保障してこそ、教育の膨大な物質的需要をみたし、近代的な教育条件をととのえることができる。

 国家は、教育資金の投下を系統的にふやし、あらゆる教育条件を十分に保障しなければならない。

 国家は、増大する学生数と発展する現実の要求にそって校舎の建設を先行させ、学校の実験室や実習基地を充実させなければならない。また、教科書や学用品、各種教具・校具を十分供給し、それをたえず改善し、近代化しなければならない。教育器材の生産基地を立派にきずき、必要な教育器材を計画的に生産、供給すべきである。

 国家は、社会教育施設を立派にととのえなければならない。学生少年会館や少年団野営所をはじめ、各種の近代的な社会教育施設を多く建設しなければならない。

 社会主義社会では社会の全構成員が教育事業に参加し、全社会が教育事業を積極的に支援しなければならない。社会主義社会ではすべての勤労者が新しい世代にたいする教育者、教導者となり、教育事業の保障者とならなければならない。
 勤労者は父兄として、常に子弟の学習を指導援助し、すべての青少年にたいする社会的教育に深い関心を払わなければならない。

 学校の物質的土台をきずくための社会的支援運動を広くくりひろげなければならない。すべての工場、企業所、協同農場が後援団体となり、周辺の学校に物質的に、労力的に積極的な支援を与えるべきである。出版機関や工場、企業所では、新刊図書や新しく生産される機械設備のうち、教育事業に必要なものは学校に優先的に提供しなければならない。


*     *     *

 教育事業を立派におこなうことは、共産主義者の神聖な光栄ある革命任務である。教育事業を立派におこなうところに革命勝利の重要な裏付けがあり、繁栄する祖国の輝かしい未来が約束されている。我々は教育事業で既におさめた成果にもとついて、社会主義教育をさらに高い水準へ発展させなければならない。

 次代の教育を立派におこなって、のびゆく新しい世代を共産主義建設の頼もしい担い手に育成し、たくましく革命の代をついでいくようにしなければならない。発展する現実の要求にそって民族幹部養成事業に新たな転換をもたらし、革命と建設に積極的に貢献する有能な幹部をさらに多く養成しなければならない。全国に革命的な学習気風を確立し、社会の全構成員が学びながら働き、働きながら学び、文化・技術水準をたえず向上させなければならない。

 我が党の教育政策の正しさは、既に実生活をつうじてはっきり証明された。我々は、党の教育政策が集大成された社会主義教育に関するテーゼを徹底的に貫き、社会主義教育でさらに輝かしい勝利をおさめるであろう。


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