金 日 成

1000万トンの穀物生産目標を達成するための
自然改造事業を力強く展開することについて
朝鮮労働党中央委員会第5期第12回総会での結語 
 −1976年10月14日−


 穀物生産をひきつづき急速に高めることは、我々の当面の重要な課題であります。

 いま我が国の人口は、毎年数10万人も増加しています。こうした状況のもとで全人民にひきつづき豊かな暮らしをさせるためには、穀物生産の増加率を人口増加率以上に早急に高めなければならず、党のうちだした目標どおり1000万トンの穀物生産目標を達成しなければなりません。

 穀物生産をひきつづき急テンポで高め、1000万トンの穀物生産目標を達成するためには、自然改造事業を力強く展開しなければなりません。これまで我々は、主に営農方法の改善に穀物増産の大きな潜在力を求めました。今後も1〜2年間は、品種を改良し、適地適作の原則を守り、苗を丈夫に育てて田植えを早めにおこない、草取りをよくやり、施肥方式を改善するなどの方法で穀物生産をいちだんと高めることができます。しかし、このような方法で穀物の収量を高めるには限度があります。

 我が国で1000万トンの穀物生産目標を達成するのは、けっして容易なことではありません。1000万トンの穀物生産目標を達成するためには、営農方法の改善と同時に、より根本的な対策を立てなければなりません。それゆえ、私は先日の党中央委員会政治委員会で、自然改造事業を力強く展開するための5大方針をうちだしました。

 自然改造の5大方針は、第1に進行中の畑潅漑を完成し、第2に段々畑をつくり、第3に耕地整理と土壌改良をおこない、第4に治山治水事業をおこない、第5に干潟地を干拓することであります。

 この5つの自然改造事業のうち、直ちに力を入れて早急に進めるべきものは畑潅漑、段々畑づくり、耕地整理と土壌改良、治山治水です。もちろん、広大な面積を一ぺんに得る最良の方法は干潟地を干拓することです。しかし、干潟地を大々的に干拓するためにはいろいろと技術が必要であり、莫大な投資もおこなわなければならず、期日も長くかかります。したがって、海面干拓は長期的な展望のもとに進めることにし、さしあたり現在の土地をより有効に利用するための自然改造事業に力をそそいで、速やかにおし進めなければなりません。

 まず、畑潅漑を完成するために力強くたたかわなければなりません。

 農業発展のための自然改造事業で最も重要なのは水利化です。農業生産は、自然・気候条件の影響を多くうけるため、水利化をおこなわなければ安定した多収穫を得ることはできません。高度に発達した資本主義国といわれる西ドイツやフランスなどでも、今年大干ばつに見舞われ大きな被害をうけました。これらの国では、機械化は進んでいますが、水利化をおこなわなかったため、大干ばつを克服できず、さんざんな目にあいました。しかし我が国では、農村テーゼがうちだした方針どおり水利化を完成したため、今年のような悪天候のもとでもそれほどの被害もなく、大豊作をおさめました。今年の農業生産の結果は、我々が農村テーゼで、水利化を農村技術革命の最も重要な課題としてうちだしたことが極めて正しかったことを実証しています。

 我々は、すでにおさめた水利化の成果をかためる一方、進行中の畑潅漑を完成しなければなりません。

 我が国の耕地面積のうち機械化の可能な土地は140万ヘクタールですが、そのうち水田と平野部の畑、100万ヘクタールはすでに潅漑が完成しています。中間部と山間部にある40万ヘクタールの畑の潅漑が残っていますが、これを全部おこなわなければなりません。いまから取り組んで、今後数年内に40万ヘクタールの畑潅漑を完了しなければなりません。畑潅漑の第1段階として初年度には約15万ヘクタール、次の段階には1年間にそれぞれ15万ヘクタール、10万ヘクタールおこなって、2〜3年内に全部終えなければなりません。

 40万ヘクタールの畑潅漑が終われば、穀物生産を現在より著しく高めることができます。経験によれば、潅漑をした畑では潅漑をしない畑に比べ、ほぼ2倍の収穫をあげ、最低30%は増収できます。30%増収するとしても、40万ヘクタールの畑に潅漑をほどこせば、80万〜100万トンの穀物をさらに得ることになります。

 畑潅漑は実情に応じて、いろいろな方法でおこなうことができます。うねま潅漑でも、レーンガンによる潅漑でもよいでしょう。特にレーンガンによる潅漑がすぐれています。地下水を使えるところでは、地下水を汲みあげて使う運動も広く展開すべきです。

 次に、段々畑を多く造成しなければなりません。

 いま我が国には、16度以上の傾斜畑が約20万ヘクタールもあります。段々畑の造成を広く進めて傾斜畑をすべて段々畑につくりかえ、そこに潅漑システムを取り入れれば、ヘクタール当たりの穀物の収量を現在より何倍も高めることができ、中間部や山間部でも農作業を全部機械化することができます。

 山地の多い我が国で傾斜畑を段々畑につくりかえるのは、穀物増産の重要な方途の一つです。平安北道の場合も、大した手間をかけなくても段々畑にできる傾斜畑が1万2000ヘクタールもありますが、現在はそこから穀物をヘクタール当たり1.3〜2トンしか収穫していません。肥料が十分供給される状況のもとで、傾斜畑を段々畑につくりかえて潅漑システムを取り入れるならば、ヘクタール当たり5〜6トンの穀物は容易に生産できるでしょう。段々畑でヘクタール当たり5〜6トン生産するとしても、現在より3倍の収穫が得られるわけです。

 黄海(ホワンヘ)北道金川(クムチョン)郡協同農場経営委員会の委員長の話によれば、以前、傾斜畑ではヘクタール当たり穀物を800キログラムしか生産できなかったが、傾斜畑を段々畑につくりかえてからは収穫高が毎年増え、今年はヘクタール当たり6.5トン生産したとのことです。結局、段々畑につくりかえてからは、ヘクタール当たりの収穫高が以前より8倍も高まったわけです。

 段々畑の造成運動を力強くおし進め、今後数年間に15万〜20万ヘクタールの段々畑をつくらなければなりません。

 段々畑の造成は、勾配のひどい傾斜畑から先にはじめ、畑潅漑と耕地整理に適した畑が少なく、傾斜畑の多い平安北道や慈江道のようなところで広くおこなうべきです。

 次に、耕地整理と土壌改良を力強くおし進めなければなりません。

 耕地整理は、新しい料地を大々的に得て穀物の生産を高め、農業の機械化、化学化を実現して農業を工業化するための重要な事業の一つです。我々は、これまで耕地整理を農業発展の重要な課題の一つとしてうちだして積極的にたたかった結果、少なからぬ成果をおさめました。しかし耕地整理を完成するには、今後もっと多くの仕事をしなければなりません。

 水田のあぜを整理しなければなりません。

 あぜが多いと、水田作業の機械化も、穀物の増収も不可能です。

 現在、水田の面積であぜの面積が大きな比重をしめています。最近になって、あぜの面積が少し減りましたが、耕地整理をまともにおこなわなかったところでは、まだ、あぜの面積が水田面積の15〜20%をしめており、棚田の多いところでは30%にまで及んでいます。このように、水田のあぜが大きな面積をしめているので、坪当たりの判定収穫高がいくら多くても、水田総面積のヘクタール当たり収穫高はいくらにもなりません。

 水田のあぜを整理してあぜ両横の比重を10%だけ減らしても、水田60万ヘクタールからは6万ヘクタールの耕地が得られます。そうなれば、1ヘクタールの水田から米が6トンとれるとしても、36万トンの米が得られるのです。それゆえ、すべての協同農場であぜを取り除き、水田面積を増やすたたかいを力強く展開しなければなりません。

 畑のくろ(平地の中で、小高い所。また、田畑の畔=あぜ)や石塚をなくし、畑の石を拾い出す運動を力強くくりひろげなければなりません。

 畑の石塚や大きな石は、いずれも畑の面積に含まれており、畑のくろも少なからず畑の面積に含まれています。石塚や石ころの多い畑では、トウモロコシの坪当たり株数を確保するのも困難です。

 不必要な畑のくろや石塚はすべて整理し、畑の石を拾い出さなければなりません。畑の流失を防ぐためくろに柳を植え、水路なども畑に多く食いこまないようにまっすぐに掘らなければなりません。

 こうすれば、畑の面積もかなり増やせるし、穀物の生産も高められ、農作業の機械化にも都合がよく、野良で働く人の気分もよいでしょう。

 新しい耕地を得るためにはまた、鉄道や道路、水路の両ぎわをきれいに整理し、水溜りも埋め、畑の中にある家屋も移さなければなりません。

 このように、いろいろな方法で新しい耕地を得るたたかいを大衆あげての運動として進め、各郡で200ヘクタール以上の新しい耕地を獲得しなければなりません。我々は近い将来に、全国的に10万ヘクタールの新しい耕地を獲得しなければなりません。

 新しい耕地を得るたたかいは農民だけの仕事ではなく、三度の食事をとるすべての人がしなければならない重要な仕事です。まだ、工業的な方法で米を生産できない状況のもとでは、耕地が多くなければなりません。耕地が多くなければ、米をたくさん生産できないし、米がたくさん生産されなければ、人民が十分に食べることもできません。したがって、新しい耕地を得るたたかいに全人民が決起しなければなりません。

 新しい耕地を多く獲得すると同時に、現在の土地を積極的に改良しなければなりません。

 もともと我が国の土地は、それほど肥えた土地ではありません。昔から河川整理をまともにおこなわなかったので、農地が大水の被害を多くうけました。そのため、田畑の土壌の層が浅く、少し掘ってもすぐ石が出てきます。また、地中にはわき水が流れているので土壌が低温であり、山奥の水田は大部分が砂地で水漏れが多いのです。

 土壌改良のたたかいを積極的にくりひろげて、田畑をすべて肥沃な土地に変えなければなりません。

 低温湿地を改良するためには、約20メートル間隔で深さ1.2メートル程度の溝を掘り、そこに石を入れて土をかぶせ、暗渠を設けるべきです。こうすれば、水はけがよくなって冷温が解消されます。

 水漏れのする水田には、客土をおこなって水が漏らないようにしなければなりません。私は以前、平安北道亀城(クソン)市党責任書記に、数100ヘクタールの水田に客土をするよう指示したことがあります。客土をする前は、出来がよくても水田1ヘクタール当たりの収量が1.5トンであったのが、客土をしたあとは水田の水漏れがなくなり、米が毎年ヘクタール当たり1トン以上増収されるようになり、現在は5トン生産しているとのことです。昌城(チャンソン)郡でも水漏れのする水田に客土をして、ヘクタール当たり5トンの米を生産しています。

 酸性化した土壌を改良しなければなりません。化学肥料の施肥量が増え、各種の農薬をたくさん使うので、土壌が酸性化するのは避けられません。人間の身体に酸が必要以上に増えると消化不良にかかるのと同じく、酸性化した土壌を適時に改良しなければ、農作物がよくできません。酸性化した土壌を改良するためには、消石灰を多く生産して田畑にほどこさなければなりません。消石灰をほどこせば、それが地中の酸を中和させて土壌を肥やします。

 次に、治山治水を立派におこなわなければなりません。

 我々はまだ、大河川の整理を全部終えていません。今年、文徳都をはじめ、平安南道の一部の平野部では大水の被害をうけました。安州(アンジュ)郡南七(ナムチル)協同農場や松鶴(ソンハク)協同農場は、いずれも営農実績を上げている農場ですが、今年は水害をこうむって少なからず穀物の減収をきたしました。これらの農場では、例年は米を少なくてもヘクタール当たり8〜9トンは収穫したものですが、今年は大水で水田が水浸しになり、ヘクタール当たり1トン以上も減りました。

 すべての河川を整理する対策を長期的な展望のもとに立てるべきです。河床を深くさらい、堤防を高く築かなければなりません。これと同時に、適時に湛水の排除ができるよう、必要な揚水施設をすべてととのえなければなりません。

 では、この膨大な自然改造の課題を実現できるでしょうか。

 もちろんできます。いま我が国の状態は、1958年9月総会の決定に従って、100万ヘクタールの潅漑面積を増やすための一大運動を起こしたときとは異なります。当時の我が国の事情は非常に困難でした。当時はブルドーザーも掘削機もなく、潅漑技術者もいませんでした。そうした状況のもとでも、我々は人民大衆の力と知恵を引きだして、平南潅漑工事をはじめ、大規模の潅漑工事を立派にやり遂げました。いまでは、我々に強固な工業の土台があり、自然改造の豊富な経験があります。決心して取り組めば、自然改造5大方針は短期間に立派に実現することができます。

 我々が進めようとする自然改造事業は、一度には簡単になし遂げられない膨大な規模の事業です。したがって、大胆に着想し大胆に取り組むべきであり、工事の期間を正確に定め、計画を具体的に立てなければなりません。

 道および郡の党責任書記が、今度の大自然改造事業を責任をもっておし進めなければなりません。各機関、企業所の党活動家と経済幹部は、誰もが自然改造事業のために道党と郡党で手配した仕事を間違いなく実行しなければなりません。

 自然改造の5大方針を立派に貫くためには、これを保障するための対策を徹底的に講じなければなりません。

 なによりも、労働力の問題を解決すべきです。

 膨大な自然改造事業をおこなうためには、多くの労働力が必要です。しかし、いま農村では労働力が不足しています。人民軍に入隊した青年が多いので、農村の青壮年労働力はかぎられています。したがって、自然改造事業を短期間になし遂げるためには、農民だけでなく、労働者、事務員、軍人、学生を総動員しなければなりません。

 来年も今年と同じく電力事情がかなり緊張することが予想される状況にてらし、工場、企業所では、生産計画を正しく立て、労働の組織を綿密におこなって多くの潜在労働力を得なければなりません。そして、多くの労働力を田植えに動員し、畑潅漑工事、段々畑づくり、耕地整理などの自然改造事業にも動員しなければなりません。

 自然改造事業に必要な資材を円滑に供給することが非常に重要です。

 自然改造事業を計画どおり進めるには、3万トンの鋼材が必要です。年間数100万トンもの鋼材を生産している我が国で、鋼材3万トンは大した問題ではありません。しかし来年も、電力とコークス事情の困難が予想されるため、鋼材の生産を増大させる潜在力と可能性をすべて引きだして利用し、鋼材を極力節約する運動を展開しなければなりません。

 クズ鉄が10万トンあれば、3万トンの鋼材を生産してもなお余ります。郡党責任書記は、クズ鉄の回収を大衆的運動として進め、自分の郡に必要な鋼材はみずから解決するようにすべきです。我が国には200の郡があるのですから、仕事の手配を合理的におこなって大衆を動かせば、10万トンどころか、数10万トンでも回収できます。工場や協同農場に埋もれているクズ鉄や使えなくなった機械設備をすべて回収して製鋼所に送らなければなりません。特に、軍需工場にはクズ鉄がたくさんあるはずですから、それをすべて回収すべきです。

 降仙製鋼連合企業所と黄海製鉄連合企業所などの金属工場では、鋳鉄管、鍛接管、溶接管、レール、ワイヤロープなどを多く生産して農村へ送らなければなりません。

 銅の問題も解決しなければなりません。

 畑潅漑をおこなうためには、多くのモーターや変圧器を生産して農村に送らなければなりませんが、銅線と硅素鋼板が足りません。自然改造事業には、3000トンの銅が要るそうです。

 銅の問題を解決するためには、銅生産部門の労働者に呼びかけて、各銅山で銅精鉱を増産するようにし、製錬所では銅の精錬実収率を高めなければなりません。同時に、銅クズの回収運動を大衆的にくりひろげなければなりません。また、銅を使う部門で節約運動を強化し、貿易機関では外国からいくらかの銅を輸入すべきです。こうして、なんとしてでも3000トンの銅を確保しなければなりません。

 硅素鋼板は、金属工業省が自力で解決すべきです。合金材料の硅素鉄を多く生産して製鋼所に送れば、硅素鋼板はいくらでも生産できます。

 機械工業部門では、自然改造事業に必要な機械設備を十分に生産、供給しなければなりません。ブルドーザー、掘削機、トラクター、モーター、 揚水機、レーンガン、ウインチなどの機械設備を大量に生産して送れば、自然改造事業を力強くおし進めることができます。

 自然改造のための大型機械設備や建設資材を十分に生産、供給するため、建設設備生産基地と建材生産基地をしっかりきずかなければなりません。

 大自然改造事業は、一時的な運動による数十日間の作業動員で終わるような簡単な仕事ではありません。これは、多くの労働力と設備、資材を要し、また長期のたたかいをつうじて完成される事業です。したがって、当該部門では長期的な展望のもとに、建設設備生産基地と建材生産基地を速やかにきずき、近代的な建設設備と各種の建材をより多く生産して農村に送るべきです。

 党組織は、自然改造事業を全人民的な運動として力強く展開しなければなりません。

 我々は戦後、全人民的な運動として水利化運動も展開し、ビナロン工場をはじめ、大きな工場も数多く建設しました。あのとき、全人民が立ち上がって多くの仕事をなし遂げたため、いま全世界が食糧飢饉に見舞われて多数の人が餓死していますが、朝鮮人民は誰もが衣食のことを心配せず幸せに暮らしています。

 戦後、100万ヘクタールの潅漑面積の拡張運動をおこなったとき、人民の革命的熱意は非常に高いものでした。我々は、あのときのように人民の革命的熱意を高め、いま一度大自然改造事業を大衆あげての運動として、威勢よくおし進めなければなりません。

 自然改造事業をおこなって穀物生産を高めると同時に、油脂林の造成を力強く進めて油の問題を解決しなければなりません。

 いま我が国では、油の問題が緊迫しています。油の問題を解決するためには、山を効果的に利用しなければなりません。耕地面積がかぎられ、山の多い我が国において、山を効果的に利用するのは非常に重要なことです。我が国には昔から、山をひかえたところでは山を利用し、海に面したところでは海を利用せよ、という言葉があります。我々は山を効果的に利用しなければ、豊かな暮らしができません。

 我々は、山を合理的に利用して、油脂林を造成するための全人民的運動を起こさなければなりません。

 我が党は、すでに1959年の12月総会で経済林の造成問題を討議し、経済林を多く造成する方針をうちだしました。この方針に従って一時、油脂林造成運動が力強く進められましたが、いまは静まりかえっています。党がある課題をうちだすと、はじめのうちは気勢をあげますが、いくらもたたずにすぐさめてしまうのが働き手の活動における大きな欠陥です。経済林の造成運動を進める課題をうちだしてから、党中央委員会や政務院がその実行状況を適時に総括しなかったのも正しくありません。総括を正しくおこなわなかったので、あるところでは実行し、あるところでは中途で投げだしてしまいました。

 今後、各級党組織は、油脂林の造成事業を掌握して力強くおし進めなければなりません。

 なによりもまず、クルミ林を多く造成すべきです。

 クルミの木を多く植えるためには、これを大衆的な運動として展開しなければなりません。各農家で家のまわりに教本ずつ植える運動をくりひろげ、作業班ごとに畑の端や道端などに100〜200本ずつ植える運動もおこなうべきです。我が国の農村には、農家が約100万世帯、作業班が約2万あるので、農家ごとに2本、作業班ごとに100本ずつ植えれば、計400万本のクルミの木を植えることができます。このように、クルミの木を大衆的運動として家のまわりや畑の端、道瑞などに多く植えれば、管理もしやすく実も多くとれます。

 クルミの品種は、苗木を植えてから3年ぐらいで収穫できるよいものを選んで植えるようにすべきです。

 すでに造成したクルミ林の管理もよくおこなわなければなりません。

 すでに造成されたクルミ林が少なくありませんが、それを放置せず、クルミの木の生物学的特性に即して肥料もほどこし、科学的、技術的に立派に管理すべきです。クルミ林のうち、企業的方法で管理する価値のあるものは国営企業所を組織して管理し、その他は協同農場の果樹作業班で受け持って管理すべきです。

 イタチハギ林を大々的に造成しなければなりません。

 イタチハギは、すぐれた油脂源の一つです。イタチハギの油は食用にはなりませんが、石けんの原料として使えるし、工業用に広く利用できます。イタチハギの種では、油がとれるし、木枝にしても用途が多様です。イタチハギは、冷床のフィルムを支える骨や、トマト栽培などの支柱としても使えます。また、編みかごや各種の包装材をつくるのにも利用できます。イタチハギを土手に植えれば、土手の保護にも非常に役立ちます。一年もたてば生育するので、毎年切って使えます。

 イタチハギは、線路ぎわや堤防などにたくさん植えるべきです。

 このほかにも朝鮮五葉松林、ヒメグルミ林、イヌザンショウ林なども大いに造成すべきです。

 クルミはあたたかい地帯の植物ですから、寒冷地には適しません。したがって、クルミは平壌以南に植え、その以北には、朝鮮五葉松、ヒメグルミ、イヌザンショウなどをたくさん植えるのがよいでしょう。

 青少年学生のあいだで油脂林造成運動を広く進めなければなりません。

 社労青中央委員会と教育委員会が責任をもって、青少年学生のあいだで油脂林造成運動を広く組織し、1つの学校で油脂林を100ヘクタールずつ造成するのがよいと思います。

 青少年学生のあいだで緑化近衛隊、油脂林近衛隊活動を強化して、社労青林、少年団林を造成し、油脂林を丹念に手入れするようにしなければなりません。

 我々は、このたびの総会で非常に重要な問題を討議しました。このたびの総会で示された方針どおり、現在耕作している土地を効果的に利用し、新たな土地をさらに獲得するための自然改造事業を大々的におこない、山を効果的に利用する大衆あげての運動を力強くくりひろげるならば、農業の発展と人民生活の向上で長足の進歩を上げることができるでしょう。

 1958年9月総会以後、潅漑工事を大々的におこなって、我が国の潅漑面積を100万ヘクタールに増やしたように、このたびの1976年10月総会が実効をあらわして、40万ヘクタールの畑潅漑を実現し、15万〜20万ヘクタールの段々畑をつくり、田畑のあぜをすべて整理して10万ヘクタールの新耕地を獲得し、治山治水を広くおこなって水害から田畑をよく保護し、海面干拓をひきつづき力強くおし進めるならば、1000万トンの穀物生産目標はゆうに達成することができます。

 穀物1000万トンを生産すれば長者になれます。実際上、我が国の人民の食糧需要は500万トンの穀物があれば十分みたせます。したがって、1000万トンの穀物を生産すれば、全人民が十分に食べても多くの食糧を蓄えることができます。

 すべての党組織と党員と勤労者が、党の呼びかけにこたえて、このたびの総会の決定を立派に貫くならば、我々は他の国に劣らず豊かな暮らしができるようになり、社会主義農村問題の解決で完全勝利の旗を世界に誇らしくひるがえせるようになるでしょう。

出典:『金日成著作集』31巻 


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