金 日 成

総聯組織をさらに強化しよう
在日朝鮮人祝賀団との談話 
1976年5月31日

 祖国に来た皆さんともう少し早く会うべきでしたが、提起されたいろいろな仕事の処理のため、そうできませんでした。皆さんと会うのが遅くなって申しわけなく思っています。

 私は祖国の活動家に、近ごろ外国からの来訪者が多いので、皆さんが帰るまで期間があれば少々待ってもらうようにと指示しておきました。数日後には、マダガスカル大統領をはじめ、各国の高位級代表団がまた訪朝します。最近は、国内活動より対外活動により多くの時間を費やさなければならないありさまです。

 まず、祖国の実情について簡単に話しましょう。

 現在、祖国では、すべてのことが順調にいっています。

 我々は昨年、6か年計画を工業総生産額のうえで完遂しました。しかし、対外貿易部門では、計画が少し達成できませんでした。

 対外貿易部門で計画が達成できなかった原因は、第1に、わが国に品物は多いのですが、資本主義諸国と新興独立諸国がそれを予定どおり買っていかなかったところにあります。資本主義諸国は、経済危機のためわが国の品物を買うことができず、買う場合にも安い値で買いとろうとしました。新興独立諸国は、以前わが国の品物をかなり買っていきましたが、最近は寒冷前線の影響による食糧難のため、そうできなくなりました。このように、わが国に品物はあるのですが、資本主義諸国と新興独立諸国がそれを買っていかなかったため、貿易計画を円滑に遂行できませんでした。

 対外貿易部門で計画を達成できなかった第2の原因は、貨物船が足りなくて、品物を売れる国にも売れなかったところにあります。最近、大国が食糧を買い入れようと世界の貨物船をほとんど独占してしまったので、我々は貨物船をチャーターできなくなりました。それで我々は、品物を買おうという国にも売れませんでした。

 我々はいま、貨物船の建造を積極的におし進めています。以前は漁船の建造にのみかたより、貨物船の建造には、さほど関心を払いませんでした。近ごろは、大型貨物船の建造に力を集中しています。今年は1万トン級の貨物船を数隻建造し、来年度からは毎年10隻以上建造する計画です。そうすれば、貨物船の問題が解決されるでしょう。

 祖国の人民はいま、800万トンの穀物生産目標を達成するために闘っています。最近、世界各国が寒冷前線の影響によって多くの被害をこうむっています。きのう、ベルギー社会党第1全国書記に会いましたが、彼の話によると、フランスやベルギーなど欧州諸国では寒冷前線の影響によるひどい日照りのため、飲料水まで不足して苦しんでいるとのことでした。一部の国では、飲料水が足りなくて、水の配給制を実施しているといいます。

 我々は、既に農村の水利化を完成したので、農業では寒冷前線の影響による干害をこうむっていません。しかし、寒冷前線の影響によって日照りがひどいので、水力発電所用の貯水池の水が減って電力生産で多少の支障をうけています。

 いま祖国では、人民がこぞって立ち上がり、寒冷前線の影響を克服する闘いを展開しています。わが国でも寒冷前線の影響によって、春の気温は低く、秋には霜が早くおります。このような状況のもとで、トウモロコシを直播きしては、生育期日を保障できず、満足な収穫をおさめることはできません。それで、トウモロコシの生育期日を保障するため栄養ポットを導入していますが、だいぶ人手がかかります。まだ農業の機械化が完成していないので、事務員、学生を含めて全人民が農村支援に参加しています。いまのところ、営農成績は上々だといえます。

 次に、祖国の統一問題について話しましょう。

 アメリカ帝国主義と南朝鮮かいらい一味は、朝鮮の統一に反対し、わが国の分裂を固定化しようと策動しています。

 アメリカ帝国主義と南朝鮮かいらい一味は、ありもしない「南侵の脅威」についてひきつづき騒ぎたてていますが、わが国のように小さい国が世界制覇をねらうアメリカを脅かしているといったところで、それを誰が真にうけるでしょうか。アメリカ帝国主義が「南侵の脅威」について騒ぎたてる目的は、わが国を永久に「二つの朝鮮」に分裂させ、南朝鮮を彼らの植民地、軍事基地として掌握しようというところにあります。

 いま、アメリカ帝国主義者は、「9日間作戦計画」だの、「5日間作戦計画」だのと戦争騒ぎをくりひろげていますが、それも南朝鮮人民の闘争を弾圧し、わが国を永久に「二つの朝鮮」に分裂させようというところに目的があります。

 南朝鮮かいらい一味が、北と南が別個に国連に加盟しようと主張するのは、わが国の分裂を合法化しようということです。

 先ごろ、日本の政治理論雑誌『世界』の編集長と会ったときにも話したことですが、我々はアメリカと平和協定を締結する提案を示しました。

 我々の平和協定提案は、アメリカ軍が南朝鮮から撤退する条件で、アメリカと平和協定を結ぼうというものです。このように、平和協定は南朝鮮からのアメリカ軍の撤退を前提としているのです。

 昔から朝鮮は一つであり、朝鮮民族は単一民族でした。歴史的に単一民族として同じ国土で暮らしてきた朝鮮民族を無理に二分しようとしてよいものでしょうか。絶対にそうすることはできません。アメリカ軍は必ず南朝鮮から追い出され、南北朝鮮人民は力を合わせて祖国を統一するでしょう。

 南朝鮮人民は、いまのところ目覚めていないので闘争を力強くくりひろげていませんが、敵の弾圧が厳しくなっている状況のもとで、彼らは必ず目覚め、革命闘争に立ち上がるようになるでしょう。

 抑圧のあるところには抵抗があり、抵抗のあるところには革命が起こるものです。それは、エチオピアの実例をみてもよくわかります。君主統治の時期、エチオピアでは人民に対する支配層のファッショ的弾圧と搾取が過酷を極めていました。それで、人民の反政府感情は非常に高く、ついに青年将校らが立ち上がって君主制を打倒しました。

 南朝鮮でも、かいらい一味が人民を弾圧しつづけるなら、愛国的義憤に燃える人たちが立ち上がって革命闘争を展開するでしょう。

 我々は、アメリカ帝国主義と南朝鮮かいらい一味を国際的に徹底的に孤立させる闘いを力強くくりひろげなければなりません。我々が朴正煕かいらい一味を国際的に孤立させる闘いを力強くくりひろげれば、南朝鮮の愛国的民主人士と人民に政治的な励ましを与えることができます。

 南朝鮮かいらい一味は、アメリカ帝国主義者と日本軍国主義者から支持されているだけで、ほかからの、これといった支持はありません。世界の絶対多数の国の人々は、朴正煕がアメリカ帝国主義者の手先であることを知っており、南朝鮮「政権」をかいらい政権と呼んでいます。

 世界的に、朝鮮の自主的平和統一を支持する連帯運動は日増しに強化されています。日本でも朝鮮の統一を支持する連帯委員会が結成されるとのことです。スウェーデンをはじめ、ヨーロッパ各国でも朝鮮統一支持委員会が結成され、連帯運動を強化しています。ヨーロッパで朝鮮の統一を支持する連帯運動が強化されれば、それはアメリカ帝国主義と南朝鮮かいらい一味にとって大きな打撃となるでしょう。

 南朝鮮かいらい一味は、今年の国連総会をひかえて悲鳴をあげています。敵は、新興独立国と我々を支持する国が増えているから、朝鮮問題を今年の国連総会に上程しないようにしようといって、妥協案を模索しているとのことです。

 我々はいま、非同盟諸国首脳会議に参加する準備を進めています。今回の非同盟諸国首脳会議には、80余か国の首班が参加するものと見込まれています。わが国が非同盟諸国首脳会議に参加するのは、南朝鮮かいらい一味を国際的に孤立させるためにも重要な意義があります。そのため、アメリカ帝国主義と南朝鮮かいらい一味は、コロンボで開かれる非同盟諸国首脳会議を破綻させようと狂奔しています。しかし、彼らがいくらあがいても、この会議を破綻させることはできないでしょう。

 南朝鮮かいらい一味は昨年、リマでの非同盟諸国外相会談のときにも、会議に参加した外相たちが我々を支持しないように買収するため、キーセンを送りこむという汚らしいことまでしましたが、思惑どおりにはいきませんでした。

 我々が今後活動を立派におこなえば、南朝鮮かいらい一味を国際的にさらに孤立させることができます。

 総聯は、日本人民と日本に来る南朝鮮の人々に対する宣伝活動と教育活動を活発におこなうべきです。そうすれば、南朝鮮人民を目覚めさせ、南朝鮮かいらい一味を徹底的に孤立させることができます。

 次に、総聯の活動について話しましょう。

 総聯の活動家は、総聯を弾圧しようとする敵の策動に対して警戒心を高め、総聯組織をさらにしっかりとかためなければなりません。

 南朝鮮かいらい一味は、米日反動層の片棒をかついで総聯を目の上のこぶのように思い、総聯を弾圧するためのあらゆる策動をおこなっています。

 「文世光事件」なるものも、総聯を弾圧するために仕組んだ彼らの陰謀です。朴正煕は1974年、自分の女房を射殺する芝居を演出し、それを総聯の仕業として、総聯弾圧の口実にしようとしました。しかし、南朝鮮人民はもちろん、誰もそれを信じようとしませんでした。当時、総聯の活動は、立派なものでした。総聯が「文世光事件」の内幕をあばくことによって、日本の言論界ばかりか、世界中の人が、その事件は南朝鮮かいらい一味が仕組んだ陰謀策動であることを知るようになりました。

 敵は総聯内部に悪質分子を潜入させたり、総聯の活動家を買収する方法で、総聯を内部から分裂、瓦解させようと策動しています。総聯の活動家は、敵がさまざまな方法で総聯を内部から分裂、瓦解させようとしていることを肝に銘じ、警戒心を高めるべきです。

 我々が革命闘争の過程で体験した敵の離間策動の実例をいくつか話しましょう。

 我々は、抗日武装闘争の時期、豆満江沿岸に解放地区形態の遊撃区を創設しました。当時、日本帝国主義は遊撃区を内部から瓦解させるため、「民生団」という反革命スパイ団体をつくって遊撃区に潜入させました。

 ある年、我々は一都市の敵「討伐司令部」を襲撃して書庫から秘密文書を奪取しました。そこには、間島の共産党内に最初は「民生団」員を幾人か潜入させたが、彼らはみな捕まって死んだ、それで、その次には人々を離間させ、互いに嫉視反目させるようにはかって成果をおさめたと書かれていました。またその文書には、金日成将軍がその離間戦術を適時に見ぬいて対策を立てたため、反日人民遊撃隊内ではそれも大きな効果をあげることはできなかった、と記述されていました。

 当時、不純分子が反「民生団」闘争を極左的におこなったため、少なからぬ損失をこうむりました。極左的に走っている反「民生団」闘争を正さないことには、数多くの革命同志が殺害され、革命隊伍が瓦解するおそれがありました。それで我々は、極左的に走っている反「民生団」闘争を正すための闘争をくりひろげました。

 反「民生団」闘争で、我々のとった路線が正しいものであることはコミンテルンでも認めました。

 解放後にも、古くからのインテリと我々を離間させようとする敵の企みがありました。

 以前、党中央委員会重工業部長、科学院院長などを歴任した姜永昌(カンヨンチャン)同志について話しましょう。彼はもともと南朝鮮出身でしたが、解放直後、多くのインテリが共和国北半部にやってきたとき、いっしょに来ました。彼らは、南朝鮮「政権」は、売国奴の「政権」であり、共和国政権は愛国的な政権であることを認識して我々のもとに来ました。

 アメリカ帝国主義と南朝鮮かいらい一味は、古くからのインテリに対する不信をいだかせようとして、萎永昌同志が南朝鮮かいらい一味と、何かつながりがあるかのように見せかけるにせの手紙を送ってきました。我々は、それが敵の離間策であることを見破って、その手紙を焼いてしまいました。我々は姜永昌同志に、敵が手紙を送ってきたことを知らせ、それが敵の術策であることを話してやりました。彼は党の信頼のもとで、党と革命のために最期まで立派に闘いました。

 法機関があり強力な党組織がある祖国でさえも、このような敵の離間策動があったのですから、まして反動のばっこする異国で活動している総聯の場合、敵の離間策動がさらに甚だしいものであることは想像にかたくありません。

 皆さんは、総聯内部に敵が潜入しかねないことを常に忘れてはならず、不純分子の吹聴するデマをむやみに信じてはなりません。彼らのデマを信じこむならば、敵の離間策動に陥るようになります。皆さんは、階級的自覚と革命的警戒心を高め、すべての問題を巧みに処理しなければなりません。

 いま、南朝鮮かいらい一味は、「墓参訪問団」だの、何々「訪問団」だのといって総聯を切り崩そうと策動していますが、それはさして問題ではありません。皆さんは敵の策動に反撃を加えるべきです。

 総聯では幹部が互いに助け導きあい、互いに疑うようなことのないようにして団結をいっそう強め、総聯組織を内部から破壊しようとする敵の陰謀策動を適時に阻止、破綻させなければなりません。

 総聯は、在日同胞のあいだで政治・思想教育をさらに強化すべきです。そうして、すべての在日同胞を一枚岩のようにかたく団結させ、わが党と共和国政府のまわりにかたく結集させるべきです。

 総聯は、日本人民との活動を活発におこなわなければなりません。

 日本人民との活動を活発におこなってこそ、敵のあらゆる破壊策動のなかにあっても、総聯組織を維持し強固にすることができます。総聯としては、日本人民に、日本は朝鮮の隣邦なのだから、朝鮮の北か南のある一方に力を貸して朝鮮人同士争わせようとするのでなく、朝鮮が平和的に統一されるように助力すべきであるという趣旨で解説する必要があります。私は、総聯が日本人民との活動を活発におこなうならば、立派な結果がもたらされるものと思います。

 終わりに、国際情勢について簡単に話しましょう。

 こんにち国際情勢は、複雑をきわめています。帝国主義者は、非同盟諸国、第三世界諸国の団結を妨げようとあらゆる策動をおこなっています。

 帝国主義者は、第三世界諸国に対する離間・買収・脅迫策動と破壊・転覆活動をひきつづき強行しており、これらの国を互いに嫉視反目させようとくさびをうちこんでいます。

 アメリカ帝国主義者は、寒冷前線の影響によって第三世界諸国が食糧難に直面していることをよい機会にして、食糧をもってこれらの国を買収しようとしています。アメリカ帝国主義者はまた、兵器をもって第三世界諸国を掌握しようとしています。

 帝国主義者が、第三世界諸国の団結を妨げようとあらゆる分裂・離間策動をつづけている状況のもとで、第三世界諸国はかたく団結することによってそれに対抗すべきです。.

 帝国主義者は、非同盟諸国、第三世界諸国が団結するのを恐れています。第三世界諸国は豊富な原料と燃料資源をもっており、帝国主義者は原料と燃料のほとんどを第三世界諸国に依存しています。このような状況のもとで、第三世界諸国が団結して新国際経済秩序をうち立てるならば、帝国主義者は第三世界諸国から原料や燃料を安値で略奪することができず、彼らの新植民地主義政策は破綻を免れないでしょう。そのため帝国主義者は、第三世界諸国が団結して新国際経済秩序をうち立てるのをさまざまな方法で妨害しているのです。

 現在、日本、アメリカ、イギリスなどの帝国主義諸国は、第三世界諸国から原料や燃料を安値で略奪していますが、これからはそうできないでしょう。

 昨年、日本自由民主党の有志議員団が訪朝したとき、私は彼らに、日本は第三世界諸国、非同盟諸国と友好的な関係をもつのが望ましい、そうではなく軍国主義の道に進んで他国を侵略しようと企むならば、島国である日本の工場の煙突の煙はいっさいストップしてしまう、日本は原料がないのだから第三世界諸国から買い入れなければならないではないか、第三世界諸国と友好・協力関係を発展させなければ日本は滅びてしまう、軍国主義化してどの国を侵略しようというのか、中国も侵略できないし、ソ連も侵略できないであろう、朝鮮民主主義人民共和国一つを侵略しようとして軍国主義化をはかるならば、世界各国人民の攻撃の対象になるだろう、といいました。すると彼らは、私の話に賛成して拍手をしました。

 日本は反動化の道に進むならば餓死の憂き目にあうが、進歩的な道に進んで発展途上諸国と友好関係を結び仲よくすれば、経済を維持することができます。

 来る8月にコロンボで開催される非同盟諸国首脳会議では、新国際経済秩序確立の問題も討議されることになっています。我々は、コロンボ首脳会議で旧国際経済秩序を一掃し、新国際経済秩序をうち立てる闘いをくりひろげる準備をしています。

 こんにちの国際情勢は複雑を極めていますが、全般的には朝鮮革命に有利に進展しており、朝鮮革命の前途は極めて楽観的です。

 もちろん、前進途上に紆余曲折はあるでしょうが、我々の偉業は正義の偉業であるため必ず勝利します。反動層は我々の前進を阻もうとしていますが、それは無駄なことです。歴史の歯車は常に前進するものです。我々の未来は明るく輝いています。

 総聯は、幹部と在日同胞が未来を愛し、アメリカ帝国主義の植民地支配下にある南朝鮮と過去の境遇を忘れないようにする教育に力を入れる必要があります。

 皆さんはこのたび金剛山へ行ってきたとのことですが、金剛山の春の景色は秋の景色に及びません。

 我々はまだ金剛山を観光地としてよく整えていません。我々は、いま住宅や工場の建設に力をそそいでおり、観光地の建設にはまだ力を入れていません。

 ブルジョア外交官は、朝鮮には娯楽施設がなくて生活が単調だと言っています。わが国の活動家は、彼らに、娯楽施設は国が統一されたのちに建設するつもりだ、いまは国を統一しておらず、社会主義建設もなし遂げられていないので、娯楽施設建設の問題については関心を払えない状態にあると説明しています。

 平壌には立派な綾羅島遊園地や大城山遊園地がありますが、祝日を除いてはそこに行って遊ぶようなひま人はいません。全人民が革命的に働いており、幹部は法的に休日とされている日曜日も休まずに働いています。

 将来、金剛山付近の海辺に立派な休養閣を建てて金剛山を開放するなら、外国から多くの観光客が来るでしょう。外国の人々は我々に、金剛山を開放すればよいもうけになるはずなのに、なぜ開放しないのかといって、金剛山の開放を求めています。

 数年前、北と南の会談が進められていたとき、私は平壌に来た南朝鮮側代表と会ったことがあります。南朝鮮当局者は、北と南の「対決」と「競争」、「共存」を唱えました。それで、私は南朝鮮側の代表に、あなたがたは北と南の「対決」と「競争」、「共存」を唱えているが、それではいけない、北と南は対決するのでなく全民族が大団結すべきだ、経済的には競争するのでなく合作すべきだ、北と南の共存を主張するのはわが国を永久に二分させようということを意味するが、北と南は共存するのではなく国を統一すべきだと言いました。

 我々の主張は、北と南の対決ではなく、団結であり、競争ではなく合作であり、共存ではなく統一なのです。

 そのとき、私が経済的合作の問題についてふれたところ、彼らは経済的合作の方途について尋ねました。それで私は、あなたがたは南朝鮮に失業者が多いからといって人々を外国に売り渡しているが、そうせずに我々のところに寄こして鉱山を共同で開発しよう、我々は設備を提供するから、あなたがたは労働力を提供して共和国北半部に無尽蔵な鉱石を自由に採掘していくようにと言いました。また、あなたがたは「セマウル運動」の名目で、日本から数十億ドルの借款を得てわらぶき屋根をプラスチック・プレートに取りかえているそうだが、そういうことで農民生活の改善をはかることはできない。農民の生活を改善するには農業実績をあげるべきだ、そのためには農村を水利化しなければならないが、それは我々の設備と資材で、我々の潅漑技術者が無償でしてやるから、労働力だけ提供するようにといいました。

 私はまた南朝鮮側代表に、南朝鮮の漁民は漁場がなくて苦労しているのだから、共和国北半部の領海で思う存分漁獲させるようにと言いました。わが国の東海には毎年数百万トンものメンタイが押し寄せてきますが、我々が水揚げするのは100万トンそこそこです。

南朝鮮側代表は私の話を聞いて、全く結構なことであり正しいお言葉だと言いました。その後、南朝鮮側代表は、我々が合作しようといったことはすべてご破算にし、金剛山を共同開発して国際観光地にしようと言ってきました。そんなことでは、祖国の統一問題を解決することはできません。

 皆さんは帰ったら、議長同志をはじめ、総聯の活動家と同胞に、祖国では万事が順調にいっているということを伝えてください。

 私は終わりに、皆さんが健康な体で総聯の活動に励んでくれるよう望みます。
                                               
出典:『金日成著作集』31巻


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