金 日 成

イタリア国際関係研究所書記長の質問にたいする回答
 −1975年10月13日−


 あなたの我が国訪問を熱烈に歓迎します。朝鮮人民が朝鮮労働党創立30周年を祝日として祝っているとき、あなたがお母さんをお連れして再び我が国を訪ねてくださったことを我々はたいへん喜んでいます。我が国に滞在するあいだ、元気でたのしく愉快な日々をすごしてくださるよう願います。

 これから、あなたの質問にたいしてお答えしましょう。あなたは、いろいろな問題について質問されましたが、朝鮮労働党創立30周年記念大会の報告でそれと関連する内容に少なからずふれているので、問題をいくつかにしぼって簡単にお話しようと思います。

 まず、我が党の今後の闘争展望について話しましょう。

 我が党はこれまでの30年間、人民大衆を指導して革命闘争と建設事業で輝かしい勝利を達成しました。我が党は、共和国北半部で民主主義革命と社会主義革命を成功裏に遂行し、あらゆる形の搾取と抑圧を永久に一掃し、先進的な社会主義制度を樹立するとともに、社会主義建設を力強くおし進め、立ち後れた植民地半封建社会であった我が国を発展した社会主義国に変えました。

 しかし、我々はこれに満足するわけにはいかず、なお多くの仕事をしなくてはなりません。我々は、分断された祖国を統一しなければならず、社会主義建設をさらに高い段階に前進させなければなりません。

 我が党が自己の目的を達成するためには、たたかいを中断せず、革命をつづけなければなりません。革命をつづけてこそ、旧社会から受けついだあらゆる立ち後れを完全になくし、全人民がともに幸せに暮らせる発達した社会を建設することができます。

 社会主義建設の現段階において、我が党に提起されている基本的な革命課題は、思想革命、技術革命、文化革命を遂行することです。思想革命は、人々の頭のなかの古い思想を取り除き、社会の全構成員を革命化、労働者階級化するための革命であり、技術革命は、技術を発展させ、勤労者を骨のおれる労働から解放するための革命です。そして、文化革命は、文化分野での立ち後れをなくし、勤労人民大衆に奉仕する新しい文化を創造するためのたたかいです。

 こんにち我が党は、社会主義建設のたたかいで、この3つの革命課題の遂行に主な力をそそいでいます。

 我が党の正しい指導と全勤労者の積極的なたたかいにより、我が国では、思想革命、技術革命、文化革命の遂行ですでに大きな成果をおさめています。

 我が党は、すでに達成した成果をふまえて、今後、思想、技術、文化の3大革命をひきつづき力強くおし進めてゆく考えです。このようにして、我々は、政治、経済、文化のあらゆる分野にわたって我々の革命力量をいっそう強化し、祖国の自主的平和統一のためのしっかりした土台をきずくとともに、共和国北半部での社会主義の完全な勝利をいっそう早めるでしょう。

 次に、チュチェ思想について話しましょう。

 あなたが正しく指摘されたように、チュチェ思想は、我が党の指導思想であり、我が党活動の確固不動の指導指針です。

 チュチェ思想は、人民大衆が、革命と建設で提起されるあらゆる問題を主人としての態度で、自主的な立場と創造的な立場で解決してゆくことを求めます。個々の国の革命の主人は、その国の人民自身です。それゆえ、各国の党と人民は、他国にたいする依頼心をすて、革命と建設におけるすべての問題を自国人民の利益と自国の現実から出発して独自に判断し、自力で解決していかなければなりません。

 我が党と人民は、チュチェ思想を政治、経済、文化、軍事、対外関係の各分野に具現することにより、革命と建設で偉大な勝利をおさめることができました。

 チュチェ思想が世界の被抑圧人民にどのような影響を及ぼすかという質問でしたが、私は、チュチェ思想が世界の人民になんらかの影響を及ぼすというよりは、かれらのあいだで大きな支持と共感を呼び起こしていると思います。

 こんにち、世界の多くの国の人民が、自主性を求めており、あらゆる形の従属に反対してたたかっています。かつて帝国主義、植民地主義の圧制のもとで長いあいだ苦しんできた被搾取人民と被抑圧人民が歴史の舞台の主人公として登場し、自己の運命を自主的に切り開いています。こんにち国際舞台では、社会主義諸国と第三世界諸国はいうまでもなく、一部の資本主義国でさえも自主性を求めています。これは、世界の人民が、自主の道に進むのが時代の潮流となっていることを物語るものです。

 世界の人民が、自主性を求めるのは当然のことだと考えます。なんぴとであれ他人に従属して生きることを望みはしないし、民族の尊厳と自主権が侵害されるのを容認しようとはしないでしょう。

 こんにち、チュチェ思想が世界の進歩的人民のあいだで積極的な支持と大きな共感を呼び起こしているのは、それが朝鮮革命の必要から我々によってはじめて提示されたものではありますが、現代の思潮と世界人民の志向に合致するからだと考えます。

 現在、帝国主義者は、自主の道に進む世界人民の巨大な流れをせき止めようと必死になっていますが、いかなる力も、自己の運命をその手にしっかりと握って自主的に進む世界人民の前進運動をさえぎることはできないでしょう。

 次に、我が国で社会主義建設が速く進んでいる要因について話しましょう。

 我が国の社会主義建設は、非常に速いテンポで進んできたし、また進んでいます。

 朝鮮労働党の指導のもとに、朝鮮人民は無比の英雄主義と献身性を発揮し、他の国がまる1世紀または数世紀にわたってなし遂げた工業化の課題を、わずか14年のあいだに遂行するという偉大な奇跡を創造しました。社会主義的工業化が実現したのちにも、我が国の社会主義建設はひきつづき速いテンポで進み、特に、ここ数年来、資本主義諸国で原料難、燃料難により生産の急激な減退をまねいているときにも、我が国では経済が非常に速いテンポで発展しています。我が国での6か年計画は、工業総生産額のうえで1年以上も短縮して遂行され、この期間の工業生産の年平均成長テンポは計画をはるかに上まわり、18.4%に達しています。

 我が国で社会主義建設がこのように速いテンポで進んでいるのは、もっぱら朝鮮労働党の正しい指導の結果です。

 我が党は、人民が新しい生活創造の道を踏みだした当初から、自力更生の原則で、自国の資源と技術、自国人民の労働にもとづいて国の経済と人民の生活を自力でまかなう自立的民族経済を建設するという路線をうちだし、その貫徹のためにたたかいました。

 自国のしっかりした原料基地にもとづいて工業を発展させることは、自立経済建設における極めて重要な問題の一つです。

 一部の人は、原油発電所を建設する方向で我が国の動力工業を発展させるべきだと主張しました。しかし我が党は、外国から原油を輸入して発電所を運営するのは不安定だとみなし、我が国に豊富な水力資源と石炭を利用して動力問題を解決する方向に進みました。このようにしたため、こんにち我が国の経済は、世界的燃料危機の影響をいささかもうけていません。我々は、すべての工業部門で原料の70%以上を自国で解決するという方針をしっかりと堅持しました。

 近年、我が国の経済が、世界的な経済変動にもびくともせず、ひきつづき速いテンポで前進している事実は、我が党の自立経済建設路線がいかに正しく、我が国にきずかれた自立経済、主体的工業がいかに威力あるものであるかをはっきりと示しています。

 人民大衆は、革命と建設の主人であり、自然と社会を改造する事業の直接の担当者です。人民大衆にまさる力と英知の持ち主はなく、革命闘争と建設事業の成果は結局、人民大衆をいかにふるいたたせるかにかかっています。我が党は、人民大衆のつきることのない創造力を信じ、それに依拠して社会主義建設をおし進めてゆく原則を堅持し、社会主義建設で困難で複雑な課題が提起されるたびに勤労者大衆のなかにはいり、大衆とその解決策を相談し、大衆の力と知恵を引きだしてゆきづまった問題を解決していきました。

 我々の経験は、勤労人民大衆に依拠し、広範な大衆をふるいたたせるところに、経済建設をめざましい速さで前進させる秘訣があることを示しています。

 次に、朝鮮の統一問題について述べましょう。

 分断された祖国を統一することは、全朝鮮人民の最大の民族的悲願であり、我が党と共和国政府の最も重要な革命課題です。

 我が国の統一問題は、本質において、外国帝国主義者に奪われた領土と人民を取りもどし、全国的範囲で民族の完全な自主権を確立する問題です。

 祖国統一の問題で我が党と共和国政府が一貫して堅持している基本方針は、国の統一をいかなる外部勢力の干渉もうけることなく、朝鮮人民自身の力により、自主的に、民主主義的原則にもとづき、平和的方法で実現することです。我が党と共和国政府は、これまでこの基本方針に従っていろいろと合理的な統一方案を示し、その実現のためにねばり強くたたかってきました。

 しかし、アメリカ帝国主義者とその手先の妨害策動によって、祖国の統一はいまだに実現されておらず、祖国統一の前途には依然として大きな障害と難関が横たわっています。

 我が国の自主的平和統一を達成するためには、なによりもまず南朝鮮を占領しているアメリカ軍に「国連軍」の帽子を脱がせ、かれらを残らず撤退させなければなりません。アメリカ帝国主義者の南朝鮮占領とその侵略政策は、我が国の自主的平和統一を妨げる基本的障害であり、朝鮮の平和を脅かす根本要因です。アメリカ帝国主義侵略軍を撤退させてこそ、朝鮮の統一問題を自主的に、平和的に解決する道が開かれます。

 祖国の自主的平和統一を達成するためには、アメリカ軍が南朝鮮から撤退する条件のもとに、停戦協定を平和協定にかえなければなりません。朝鮮軍事停戦協定は、あくまでも戦争を停止するという協定であって、我が国における強固な平和を裏付けるものではありません。したがって、停戦協定締結の当事者である朝鮮民主主義人民共和国とアメリカとのあいだに平和協定を結ぶことによって、朝鮮の恒久平和の保障をとりつけるべきであり、朝鮮問題の平和的解決に有利な条件をつくらなければなりません。

 もし、アメリカが朝鮮の平和と朝鮮問題の平和的解決を望むならば、「2つの朝鮮」政策と新たな戦争挑発策動をやめるべきであり、停戦協定を平和協定にかえ、南朝鮮から遅滞することなく撤退すべきであります。

 我が国とアメリカのあいだに平和協定が締結され、アメリカ軍が南朝鮮から撤退したのちには、朝鮮の北と南が、南北共同声明の原則を守り、軍隊を大幅に減らして武力衝突を防ぎ、互いに相手側にたいして武力行使をしないことを保障する具体的な措置を講じなければなりません。こうして、北と南の軍事的対峙状態を解消し、誤解と不信を取り除き、民族の団結を実現し、平和統一を達成しうる実際的な条件をつくりだすべきです。

 民族の独立をめざす人民の革命闘争が勝利し、帝国主義が滅亡するのは、歴史の発展法則です。いかなる帝国主義も他の国を永久に占領することはできず、他の民族を自己の永久的な植民地奴隷につなぎとめることはできません。アメリカ帝国主義者は「2つの朝鮮」をつくりあげ、南朝鮮を永久に植民地にしようとあらゆる策動を弄していますが、これは無駄なことです。

 南北朝鮮全人民の団結した闘争と世界人民の圧力により、アメリカ帝国主義は遠からず南朝鮮から追い出され、内外の分裂主義者の「2つの朝鮮」策動は、阻止され破綻し、祖国統一の歴史的偉業は必ず実現するでしょう。

 最後に、新国際経済秩序の確立をめざす第三世界諸国人民のたたかいについて簡単に話しましょう。

 こんにち第三世界の人民は、帝国主義植民地支配の残りかすを一掃し、自立的民族経済と民族文化を建設するためにたたかう一方、旧国際経済秩序をうちこわし、新国際経済秩序の確立をめざす共同闘争を力強く展開しています。

 近年開かれた第6回国連特別総会と国連海洋法会議、発展途上諸国の原料および開発にかんする会議とリマでの非同盟諸国外相会議、それに第7回国連特別総会の過程は、帝国主義者のあらゆる略奪と恐喝政策を粉砕し、新国際経済秩序の確立をめざす第三世界諸国人民のたたかいが深化発展していることを示しています。アラブ諸国が、石油にたいする帝国主義者の不当な要求に反対して共同で展開しているたたかいも、新国際経済秩序の確立をめざす第三世界諸国人民のたたかいの一環です。新国際経済秩序の確立をめざす第三世界諸国人民のたたかいが、日を追っていっそう発展しているのはたいへん好ましいことです。

 朝鮮民主主義人民共和国政府と朝鮮人民は、旧国際経済秩序をうちこわし、新国際経済秩序の確立をめざす第三世界諸国人民のたたかいを積極的に支持します。

 旧国際経済秩序は、植民地主義制度の産物であり、帝国主義の支配と統制、搾取と略奪の重要な道具となっています。それゆえ、帝国主義者によってつくられた旧国際経済秩序をうちこわし、平等と互恵、自主性の原則にもとづいた新国際経済秩序を確立しなければなりません。

 現国際経済体制に変化があるだろうかという質問でしたが、第三世界諸国人民をはじめ、世界のすべての進歩的な人民が団結してたたかうならば、旧国際経済秩序をうちこわし、公正な新国際経済秩序を確立することができるでしょう。

 私はこの機会をかりて、朝鮮人民の革命偉業に支持を寄せているイタリア人民に謝意を表し、その正義のたたかいでいっそう大きな成果をおさめるよう願うものです。            

出典:『金日成著作集』30巻 


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