金日成「朝鮮労働党創立30周年にさいして」

3 祖国の自主的平和統一をかちとろう


 同志のみなさん!

 分断された祖国を統一することは、我が党と人民の最大の民族的任務であり、最も重要な革命課題であります。

 我が国の統一問題は、本質において、外国帝国主義者に奪われた領土と人民を取りもどし、全国的範囲で民族の自主権を確立する問題であります。

 朝鮮の主人は、朝鮮人民であります。朝鮮人民は、外国帝国主義者による国土の分断と民族の自主権の蹂躙を許すわけにはいきません。朝鮮人民は外部勢力をしりぞけ、祖国を統一して、踏みにじられた民族の自主権を取りもどし、朝鮮の真の主人とならなければなりません。

 これまで我が党は、主体的立場にしっかりと立ち、祖国の統一をめざしてねばり強くたたかってきました。

 祖国統一のためのたたかいで我が党が一貫して堅持している基本方針は、いかなる外部勢力の干渉もうけることなく、朝鮮人民みずからの手で自主的に、民主主義的原則にもとづいて平和的方法で国の統一を実現することであります。我が党はこの基本方針に従い、我が国の情勢発展の要求と、我が民族の意思を正しく反映して、だれにも受け入れられる最も公明正大で合理的な祖国統一案をたび重ねて提案し、その実現のため最大の努力を払いました。

 南朝鮮人民も、分断された祖国の統一をめざしてアメリカ帝国主義者とその手先に反対するたたかいをねばり強くくりひろげ、敵に大きな打撃を与えました。最近、南朝鮮の各階層人民は、かつてなく強化された反動支配層の野蛮な弾圧にも屈することなく、ファッショ的「維新憲法」の撤廃と売国的反動「政権」の退陣を要求して積極的にたたかいました。南朝鮮人民が解放後こんにちにいたるまで間断なくくりひろげてきた勇敢な闘争は、南朝鮮社会の民主化を実現し、祖国の自主的平和統一を早めるための正義の愛国闘争であります。

 我が党と共和国政府の正しい祖国統一方針とその実現をめざす全朝鮮人民の積極的な闘争によって、近年、祖国統一問題を解決するうえである程度の前進はありましたが、祖国統一の前途には依然として大きな難関と障害が横たわっています。アメリカ帝国主義者をはじめ、内外の分裂主義者は、我が党と共和国政府の公明正大な祖国統一案に反対しているばかりか、我が国を「2つの朝鮮」に永久に分裂させようと策動しています。

 祖国の統一は、全民族の一致した悲願であります。朝鮮は必ず統一されるべきであり、絶対に「2つの朝鮮」に分裂してはなりません。朝鮮人民は、一つの国土で数千年のあいだ単一民族として暮らしてきました。朝鮮人民は同一の言語と文字をもっており、同一の歴史と文化の伝統を受けついでいます。我が国には、いかなる少数民族もいません。歴史的に統一国家をもち、単一民族として暮らしてきた朝鮮人民が、こんにち、我々の時代になって2つに分裂するということは、共産主義的理念からしても、また民族主義的理念からしても許されないことであります。我々は、全力をあげて分裂主義者の「2つの朝鮮」策動を粉砕し、民族の永久分裂を阻止して一日も早く祖国統一の扉を開かなければなりません。

 祖国の自主的平和統一をかちとるためには、なによりもまず、統一の基本障害である外部勢力の干渉を排除しなければなりません。

 我が国の自主的平和統一を妨げる主な外部勢力は、アメリカ帝国主義であります。アメリカ帝国主義は、武力で南朝鮮を占領し、30年ものあいだ我々の父母兄弟や妻子を南北に引き離して民族分裂の苦痛をもたらした張本人であり、こんにち「2つの朝鮮」政策をもちだして我が国の永久分裂を企んでいる元凶であります。アメリカ帝国主義者は、これまで国連の旗をかかげて我が国にたいする侵略と民族分裂の策動をおこない、あらゆる蛮行をはたらいてきました。

 我が党と共和国政府は、祖国の自主的平和統一を実現するため、南朝鮮を占領しているアメリカ帝国主義侵略軍から「国連軍」の帽子をはぎとり、かれらを残らず撤退させる闘争をねばり強くくりひろげてきました。我々のこの正当な闘争は、世界の進歩的人民の積極的な支持と声援をうけました。

 アメリカ帝国主義者は、国連の旗をもってしては、これ以上アメリカ軍の南朝鮮占領を正当化することができなくなると、最近また新たな策略を弄しています。アメリカ帝国主義者は、第30回国連総会に「国連軍司令部」を解体する「決議案」を提出しましたが、これは世間の歓心をかって国際世論をあざむき、実際には「国連軍」の帽子をほかの帽子にかぶりかえ、南朝鮮の占領をつづけようとするみえすいた芝居にすぎません。

 南朝鮮にいる「国連軍」というのは、ほかならぬアメリカ軍のことであり、したがって「国連軍司令部」の解体とアメリカ軍撤退の問題は、絶対に切り離すことのできない問題です。南朝鮮からアメリカ軍を撤退させずに「国連軍司令部」だけを解体するのは、我が国の自主的平和統一を実現するうえで、事実上大きな意義がありません。アメリカ帝国主義者は愚かな欺瞞策略をとりやめ、「国連軍司令部」を解体するとともに、南朝鮮からアメリカ軍をすべて撤退させるべきであります。

 祖国の自主的平和統一をかちとるためには、南朝鮮からアメリカ帝国主義侵略軍が撤退する条件のもとで、停戦協定を平和協定に変えるべきであります。

 朝鮮停戦協定は、戦争を停止するという協定であって、朝鮮での完全な平和を保障する協定ではありません。現在我が国は、強固な平和ではなく一時的な停戦状態におかれており、常時アメリカ帝国主義者からの侵略の脅威にさらされています。

 アメリカ帝国主義者は、核兵器をはじめ、近代的な殺りく兵器と軍事装備を南朝鮮に大量にもちこんで軍事境界線一帯に配置し、南朝鮮の好戦分子をそそのかして、連日、我が共和国に反対する軍事挑発策動をおこなっています。アメリカ帝国主義者は特に、インドシナで惨敗を喫して追い出されたのち、南朝鮮をアメリカの「前線防衛地域」として宣言し、朝鮮で戦争が勃発した場合、アメリカ軍は全面介入して軍事行動を起こし、「核兵器の使用も辞さない」と我々を脅迫しています。

 アメリカ帝国主義者はこうしながらも、逆に「北からの南侵の脅威」について騒ぎたてています。かれらは、アメリカ軍の南朝鮮駐留は「南侵の脅威」を防ぐためであり、現在も「南侵の脅威」があるためアメリカ軍は撤退できないといっています。

 アメリカ帝国主義者と南朝鮮当局者の騒いでいる「南侵の脅威」などは、これまであったこともなければ、いまもありません。我々は「南侵」の意図がないことを、既に再三明らかにしました。北と南が武力行使によらず平和的に祖国を統一すべきであるということは、南北共同声明にも明らかにされています。敵が先に我々に手出ししないかぎり、絶対に武力行使をしないというのが我が党と共和国政府の一貫した政策であります。

 我々は、朝鮮民主主義人民共和国とアメリカのあいだに平和協定を締結することにより、朝鮮における新たな戦争の危険を取り除き、恒久平和の保障をとりつけるべきだと主張します。

 朝鮮民主主義人民共和国とアメリカのあいだに平和協定が締結され、南朝鮮からアメリカ軍が撤退したのちには、北と南との軍事的対峙状態を解消する具体的な措置をとらなければなりません。

 なによりもまず、北と南の軍隊を大幅に縮小すべきです。我々は、北と南の軍隊をそれぞれ十万もしくはそれ以下に縮小することを主張します。同時に、北と南が軍備競争と兵力の増強、外国からの兵器と軍事装備のもちこみを中止すべきです。こうして、我が国の平和を維持し強固にし、祖国の自主的平和統一のための実際的な条件をつくりださなければなりません。

 祖国の自主的平和統一をかちとるためには、民族大団結の原則で全国的な民族統一戦線を結成しなければなりません。

 祖国の統一は、全民族の利益のための事業であり、全民族が力を合わせかたく団結してたたかってはじめて実現される民族あげての事業であります。民族大団結の原則にそって全国的範囲で広範な民族統一戦線を結成することは、祖国の自主的平和統一をかちとる重要な保障であります。

 国と民族を愛し、祖国の統一を望む人であれば、だれでもみな思想と理念、体制と信教の相違をこえて祖国統一の旗のもとに団結すべきです。思想と理念、体制と信教の相違は、祖国統一をめざす闘争で共産主義者と民族主義者、各階層人民の団結を妨げる条件にはけっしてなりえません。

 分断された祖国の統一をめざすたたかいで、北半部の共産主義者と南朝鮮の民族主義者とは、十分団結し合作することができます。祖国の統一をめざす闘争は、共産主義者と民族主義者との闘争ではなく、愛国者と売国者との闘争であり、民族自主勢力と帝国主義侵略勢力との闘争であります。我々共産主義者と南朝鮮の民族主義者は、たとえ異なる体制のもとで暮らし、思想と政治的理念が違うとはいえ、祖国統一の問題においては矛盾はありえません。現在、社全体制が異なる国家や民族でも共通の目的のために団結してたたかっているというのに、同じ血筋をひいた同一民族の我々共産主義者と南朝鮮の民族主義者が、なぜ祖国統一のために力を合わせることができないというのでしょうか。

 かつて共産主義者をはじめ各階層の人民が、祖国解放の旗のもとに広範な反日民族統一戦線を結成し、反日闘争をともにたたかいぬいたように、こんにち共和国北半部の人民と南朝鮮の労働者、農民、青年学生、言論人、宗教家、政治家など各階層の人民は、祖国統一の旗のもとに全国的な民族統一戦線を結成し、祖国の自主的平和統一をめざす聖なる闘争にこぞって立ち上がるべきです。

 全国的な広範な民族統一戦線を結成するためには、北と南が互いに尊重し、信頼しあい、相違点はあとにまわし、共通点を探しだすために努力すべきです。

 我々は南朝鮮の民族主義者に反対するものではなく、南朝鮮に我々の思想や制度を強要しようとするものではありません。

 我々は、南朝鮮の民主共和党を含むすべての政党、大衆団体、個々の人士と祖国統一問題でいつでも話しあう用意があり、祖国統一のためにかれらと団結し合作する用意ができています。

 南朝鮮当局者も民族の団結と統一を心から望むならば、共和国北半部に反対する反共騒ぎを中止し、南朝鮮で「反共法」を廃止し、共産主義者と愛国的人民にたいする弾圧をやめるべきです。南朝鮮当局者は、反共政策を連共政策に切りかえるべきであります。

 いま、南朝鮮当局者は、「対話のある対決」「対話のある競争」「対話のある共存」を唱えて共和国北半部にたいする敵対意識をあおっていますが、これは民族の大団結を妨げ、民族の分裂を固定化して、我が国を永久に「2つの朝鮮」に分裂させようとする民族反逆行為であります。対決と競争はとりもなおさず分裂の道であり、団結と合作はまさに統一の道であります。我々は、北と南が対決し、競争し、共存するのではなく、団結し、合作し、統一すべきだと主張します。

 南北連邦制の実施は、民族の団結を達成し、祖国の自主的平和統一を早める最も合理的な方途であります。我々の主張する南北連邦制は、当分のあいだ北と南の現政治制度をそのままにし、朝鮮民主主義人民共和国政府と南朝鮮「政府」の代表からなる最高民族会議を組織して民族共通の関心事となる問題を統一的に調整し、対外的には高麗連邦共和国の単一国号をもち単一国家として進出しようというものです。こうすれば政治、経済、軍事、文化、対外関係のすべての分野にわたって我が民族の統一的発展を保障し、北と南の団結と合作を順調に実現し、祖国の完全な統一を早めることができます。

 朝鮮人民は、自主性と愛国心、団結力と闘争力が強く、自民族の問題を自力で立派に解決できる英知ある人民です。

 南北朝鮮の全人民は、祖国統一の旗のもとにかたく団結して内外の分裂主義者の「2つの朝鮮」策動を粉砕し、祖国の領土からアメリカ帝国主義侵略者を追い出して必ずや祖国統一の歴史的偉業を成就するでありましょう。

出典:金日成著作集 30巻

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