金 日 成

コスタリカ社会党委員長であり、コスタリカ記者同盟
委員長であるコスタリカ・朝鮮親善文化協会
委員長の質問にたいする回答
−1975年4月13日−


  ことしは、朝鮮労働党創立30周年にあたる年です。その間朝鮮人民は、偉大な指導者金日成元帥の賢明な指導のもとに、不滅のチュチェ思想を具現して世界の人民を驚嘆させる社会的・経済的変革をなし遂げました。主席閣下、このような変革をなし遂げるうえで朝鮮労働党の果たした役割と、このような成果をもたらした最も重要な要因についてお話していただけないでしょうか。


  あなたが正しく指摘されたように、この30年間、朝鮮人民はあらゆる難関と試練をのりこえ、偉大な社会的・経済的変革をなし遂げました。朝鮮人民は、朝鮮労働党の指導のもとに不屈の闘争を展開して、我が国に先進的な社会主義制度を樹立し、立ちおくれた植民地農業国であった我が国を、強力な重工業と近代的な軽工業、発展した農業をもつ社会主義工業国に変えました。

 我が国の革命と建設で達成された勝利と成果はすべて、朝鮮労働党の正しい指導と人民の創造的な闘争によってもたらされたものです。

 朝鮮労働党は朝鮮革命の参謀部であり、朝鮮人民の指導的力量であります。我が党は、革命発展の各段階で正しい路線と政策をうちだし、その貫徹へと全人民を奮起させました。

 革命と建設にたいする朝鮮労働党の指導で最も重要なのは、主体性を確立することでした。

 チュチェ思想は、我が党の確固不動の指導思想です。我が党は常に、革命と建設におけるすべての問題を主体的立場に立って解決する原則をゆるぎなく堅持してきました。我が党は自主的立場と創造的立場に立って、すべての路線と政策を我が国の具体的条件と朝鮮人民の利益に即して独創的にうちだし、それを人民自身の力に依拠して貫きました。

 主体性をうちたて自力更生した結果、我が党はあらゆる難関と試練を成功裏にのりこえて朝鮮革命を力強くおし進め、我が国を政治における自主、経済における自立、国防における自衛の強力で威厳ある社会主義強国に発展させることができました。

 我が党が革命と建設で輝かしい成果をおさめることができたのはまた、勤労人民大衆の力を信頼し、その革命的熱意と創造力を積極的に発揮させ、革命と建設を力強くおし進めたからであります。

 勤労人民大衆は、革命と建設の主人であり、歴史の創造者です。勤労人民大衆の創造的労働と闘争によって、社会のあらゆる物質的富が創造され、社会的変革と進歩がなし遂げられます。この世に、勤労人民大衆よりもさらに力があり、知恵のある存在はありません。結局、すべての問題は人民大衆によって決定され、革命と建設の成果は人民大衆をいかに奮起させるかにかかっています。

 我が党は、革命と建設の途上に困難で膨大な課題が提起され、難関と試練に直面するたびに、人民のなかにはいり、人民と相談しました。こうした過程をつうじて、我が党は大衆に党の意図と要求を深く浸透させ、大衆の力と知恵を党政策の貫徹へ積極的に引き入れ、人民大衆を党のまわりにいっそうかたく団結させました。

 党は人民大衆を信頼し、人民大衆は党を支持し従うところに、我々のすべての勝利と不抜の力の源があります。全人民が一心同体となって党のまわりにかたく団結し、力と知恵と創意性をいかんなく発揮してたたかった結果、我が国では世人を驚嘆させる奇跡がつくりだされました。

 我々の経験は、主体性を確立し、人民大衆の革命的熱意と創造的才能を積極的に引きだすならば、革命と建設を非常にはやい速度でおし進めることができ、かつていかに立ちおくれていた国であっても、短期間のうちに富強な、繁栄する新しい社会を建設することができることを示しています。


  こんにちアメリカ帝国主義者とその手先は、朝鮮で戦争を挑発しようといっそう露骨に策動しており、「2つの朝鮮」をつくりだすためあらゆる陰険な策動を弄しています。あなたはこのような現情勢のもとで、朝鮮の自主的平和統一の見通しについてどうお考えでしょうか。

 また、新たな戦争挑発策動と国の永久分断策動を粉砕するための朝鮮人民の闘争に支持を与えるためには、どのような国際的連帯運動が必要だとお考えでしょうか。


  こんにちアメリカ帝国主義者と南朝鮮のかいらい一味がくりひろげている「2つの朝鮮」策動と共和国北半部にたいする新たな戦争挑発策動は、我が国の統一問題の解決に大きな障害をつくりだしています。

 アメリカ帝国主義者は、我が国の分断を固定化して南朝鮮を永久の植民地に、軍事基地にしようとするもくろみから、「2つの朝鮮」政策をもちだしました。アメリカ帝国主義者のテコ入れのもとに南朝鮮のかいらい一味は、我が国が北と南に分断されたまま、「2つの朝鮮」として国連に加盟することを主張しています。こうしてかれらは、我が国の分断を永久化し、南朝鮮で長期執権を実現しようと妄想しています。

 アメリカ帝国主義者とその手先は、一方では「2つの朝鮮」策動を弄しながら、他方では共和国北半部にたいする新たな戦争挑発策動を露骨におこなっています。敵は、核兵器をはじめ、各種の近代的な武力装備を南朝鮮にもちこんで軍事境界線近くに配置し、地上と海上、そして空中から間断なく共和国北半部にたいする武力挑発策動をおこなっています。特に最近アメリカ帝国主義者は、アジアにおける軍事戦略上の拠点としての南朝鮮の重要性について騒ぎたて、南朝鮮でかれらの兵力を増強し侵略的軍事基地を拡張しています。アメリカ帝国主義者と南朝鮮のかいらい一味のこうした策動によって、こんにち我が国の情勢は非常に緊張しています。

 しかし、アメリカ帝国主義者と南朝鮮のかいらい一味がいかに策動しても、我が国の統一を阻むことはできません。朝鮮人民は、国の統一を妨げる内外の分裂主義者をけっして許すものではなく、敵のあらゆる策動を徹底的に粉砕するでしょう。もし南朝鮮のかいらい一味がひきつづき祖国と民族を裏切り、アメリカ帝国主義者に追随して「2つの朝鮮」策動と新たな戦争挑発策動をつづけるならば、かれらはカンボジアのロン・ノル一味や南ベトナムのチユー一味と同じ運命を免れないでしょう。

 我が党と共和国政府は、祖国が分断された当初から、いかなる外部勢力の干渉もうけることなく自主的に、民主主義的原則にもとづいて平和的方法で祖国を統一する方針を示し、その実現のために可能なあらゆる努力を傾けてきました。

 我々は祖国の自主的平和統一のため、共和国北半部の革命勢力を強化し、南朝鮮人民の革命闘争を支援し、国際革命勢力との連帯を強化する路線をうちだし、それを貫徹するため積極的にたたかっています。

 朝鮮労働党の賢明な指導と朝鮮人民の積極的な闘争によって、共和国北半部の革命基地は政治、経済、軍事のあらゆる面で盤石のようにうちかためられました。こうして我々は、祖国統一の決定的な裏付けである強力な主体的革命力量をもつようになりました。

 南朝鮮人民も、祖国の統一を促進するため、アメリカ帝国主義者とその手先に反対するたたかいを力強くくりひろげてきました。南朝鮮人民の闘争は、最近いっそう高まっています。最近、南朝鮮の青年学生は「独裁政権は退陣せよ!」「学園と言論の自由を保障せよ!」というスローガンを叫び、かいらい政権に反対する力強いデモを毎日のようにくりひろげています。青年学生だけでなく、ジャーナリスト、宗教家、政界人をはじめ、各階層の南朝鮮人民が、かいらい政権のファッショ的支配に反対し、南朝鮮社会の民主化の実現をめざして勇敢にたたかっています。共和国北半部の人民は、南朝鮮人民の正義の愛国闘争に積極的な支持と声援を送っています。

 朝鮮人民と世界の進歩的人民との国際的連帯もいっそう強まっています。こんにち朝鮮人民は、世界のいたるところに朝鮮革命にたいする数多くの支持者と共鳴者をもっています。

 これらのことは、朝鮮人民が、祖国の自主的平和統一をめざすたたかいで勝利をかちとることのできる強固な裏付けであります。

 我々は、南北全朝鮮人民の団結した力によって、そして世界の進歩的人民の積極的な支持声援によって、アメリカ帝国主義者と南朝鮮のかいらい一味の新たな戦争挑発策動と「2つの朝鮮」策動を粉砕し、遠からず祖国統一の歴史的偉業をなし遂げるものと確信しています。

 朝鮮人民は、祖国の統一をめざすたたかいで、世界各国人民の国際的支持と声援を非常に重視しています。

 我々はこれまでと同様、今後とも正義を愛する世界のすべての平和愛好人民が、「国連軍」の看板のもとに南朝鮮を占領しているアメリカ帝国主義侵略軍を撤退させるための朝鮮人民の闘争に強い連帯を示すものと確信しています。我々はまた、世界のいたるところで、アメリカ帝国主義者と南朝鮮のかいらい一味を徹底的に孤立させ、その侵略策動と民族分裂策動を糾弾し、南朝鮮人民の民主化運動を積極的に支持声援する国際的連帯の声がよりいっそう高まることを期待しています。

 私はこの機会をかりて、祖国の自主的平和統一をめざす朝鮮人民のたたかいに支持声援を寄せているコスタリカ人民と全世界の平和愛好人民に感謝の意を表します。


  あなたは、アメリカをはじめ、資本主義世界が直面している経済危機をどう分析されますか。そして、この経済危機がどのような結果をもたらすとお考えでしょうか。


  いま資本主義世界は、史上最も深刻な経済危機に見舞われています。石油危機、原料危機、食糧危機が世界のすべての資本主義国を襲っています。アメリカ、日本、西ドイツをはじめ、多くの資本主義国が生産の急激な減退と、とどまることを知らぬ通貨膨張、天井知らずの物価騰貴、街頭にあふれる数百万の失業者によって大混乱に陥っています。

 こんにち資本主義世界が直面している経済危機は、資本主義制度の必然的な産物です。生産手段にたいする私的所有にもとづいて生産が無政府的におこなわれる資本主義社会で、経済恐慌と経済的混乱が起きるのは一つの法則です。資本主義制度がつづく以上、経済危機を防ぐことは絶対不可能であり、その破局的な結果を免れることはできません。資本主義世界の経済危機は日を追って深刻さを増し、その結果もいっそう破局的なものとなるでしょう。

 アメリカをかしらとする帝国主義者は、この経済危機からぬけだそうと必死にあがいています。帝国主義者は、対内的には勤労者にたいする搾取と略奪をいっそう強化し、対外的には他国にたいする侵略策動を露骨におこなっています。特に帝国主義者は、石油と原料資源に恵まれている第三世界諸国に圧力を加えているばかりか、その資源を武力で強奪しようとする破廉恥きわまる無謀な策動まで強行しています。

 しかし、帝国主義者のいかなる狂気じみた策動も、危機からかれらを救いだすことはできないでしょう。

 帝国主義者の搾取と略奪が強まれば強まるほど、生存の権利を守るための勤労者の闘争は強化され、この闘争は帝国主義者をいっそう苦境に陥れるでしょう。

 第三世界諸国にたいする帝国主義者の威嚇と恐喝、侵略策動も失敗を免れないでしょう。こんにち第三世界諸国の人民は、帝国主義者の侵略と略奪政策に反対し、国の天然資源と海洋権を守るため勇敢にたたかっています。第三世界諸国が、団結した力で経済的独立と国の資源を守るたたかいをひきつづき強力に展開するなら、帝国主義者の略奪政策と侵略策動を打ち破り、かれらを滅亡のふちに追いこむことができます。

 社会主義諸国の人民と第三世界諸国の人民、それに全世界の平和愛好人民が警戒心を高め、帝国主義者の新たな戦争挑発策動に反対して断固たたかうならば、戦争の危険を防ぎ、世界の平和と安全を守ることができるでしょう。

 帝国主義者は歴史の教訓を忘れてはなりません。もし、帝国主義者がこんにちの破局的な経済危機からぬけだそうと無謀にも戦争を引き起こすならば、それは帝国主義の最終的滅亡をいっそう促し、世界革命の勝利を早める結果をもたらすでしょう。


  こんにち第三世界諸国は、経済的独立をかちとり、自主性を強化し、新しい生活を創造するため強力な反帝闘争をくりひろげています。主席閣下、第三世界諸国が搾取と抑圧のない、完全な自主独立の道を進むにはどうすべきかについて話していただけないでしょうか。


  第三世界諸国が政治的独立をかため、搾取と抑圧のない新しい社会を建設するためには、何よりもまず、外国帝国主義者と国内反動の破壊策動を徹底的にうちくだき、民族解放の偉業を最後までなし遂げなければなりません。政治的独立は、民族解放革命の最終的勝利を達成する第一歩にすぎません。民族解放の偉業を最後までなし遂げるためには、帝国主義植民地支配の政治的・経済的基盤を一掃して進歩的な社会制度をうちたて、自立的民族経済と民族文化を建設しなければなりません。こうしてはじめて、植民地支配から受けついだ長いあいだの立ちおくれと貧困をなくし、富強な自主独立国家を建設することができます。

 第三世界諸国が民族解放の偉業を最後まで完成するためには、自立的民族経済を建設することが非常に重要です。

 経済的自立は、政治的独立の物質的基礎です。経済的に他国に従属し、依存するときには、政治的にも他国への従属を免れず、植民地奴隷の境遇からぬけだすことができません。自立的民族経済を建設してこそ、政治的独立を強固にし、国の富強発展と民族の繁栄をかちとることができます。

 帝国主義植民地支配の結果、立ちおくれた経済を受けついだ第三世界諸国は、自立的民族経済の建設において少なからぬ難関に直面しています。しかし、自国人民の創造力と自国の資源を最大限に動員し利用するならば、十分経済的自立をなし遂げることができます。

 第三世界諸国が完全な自主独立の道を進むためには、自主性を堅持しなければなりません。自主性を堅持してこそ、民族の尊厳と栄誉を守りぬき、完全な平等と相互尊重の原則にもとづいて対外政策を実施し、新しい社会の建設を力強くおし進めることができるのです。自主性を堅持することは、自主独立国家建設の不可欠の要求であり、根本原則であります。

 第三世界諸国が搾取と抑圧のない新しい社会を建設するには、既にかちとった民族の独立を強固にし、その基礎に立って漸次、社会主義の道に進まなければなりません。

 民族の独立をかちとった国が資本主義の道に進むならば、搾取と抑圧を一掃することができないばかりか、再び帝国主義者に従属させられるおそれがあります。資本主義の道は従属と没落、搾取と抑圧の道です。社会主義の道のみが完全な自主独立をもたらす道であり、搾取と抑圧のない幸せな新しい社会を建設する道です。それゆえ、こんにち第三世界の多くの国が社会主義を志向しているのです。

 新しい社会を建設するたたかいで、第三世界諸国間の戦闘的団結と協力を強めることが重要です。

 第三世界の人民は、民族の独立と国の自主権を守り、新しい社会の建設をめざす闘争で密接なつながりをもち、共通の利害関係をもっています。第三世界諸国間の戦闘的団結と緊密な協力は、革命偉業の勝利をかちとる重要な裏付けとなります。

 第三世界諸国が政治的に団結し、経済的に緊密に協力するならば、なしえないことはありません。第三世界諸国が団結してたたかうならば、帝国主義者の略奪と侵略策動をうちくだき、新しい社会の建設においてあらゆる障害と難関を克服し、民族の隆盛と繁栄をもたらすことができます。

 我々は第三世界諸国との団結と協力を重視し、それを強化するためにあらゆる努力を傾けています。


  いまラテンアメリカの一部の政府は、バナナの国際価格を守るためバナナ輸出国同盟を結成し、自国の輸出入商品を運ぶためキューバを含むカリブ商船隊を組織し、アメリカ帝国主義者の干渉をうけずにラテンアメリカの経済を運営していくため現存の「米州国家機構」にかわるラテンアメリカ経済機構を創設し、パナマ運河地域にたいする自主権をパナマに返還させる闘争など、自国の完全な自主権の獲得と経済発展をなし遂げるため多くの努力を傾けています。あなたは、このたたかいについてどうお考えでしょうか。また、このたたかいが朝鮮人民をはじめ、他の国々の人民にとってどのような重要性をもつとお考えでしょうか。


  こんにちラテンアメリカ人民は、反帝・自主の旗のもとに、アメリカ帝国主義の支配と従属に反対して国の自主権を守り、経済的独立を獲得するため力強い闘争をくりひろげています。

 最近コスタリカをはじめ、ラテンアメリカの一部の国が、バナナの国際価格を守るためバナナ輸出国同盟を結成し、輸出入商品を運ぶカリブ商船隊を組織し、「米州国家機構」にかわるラテンアメリカ経済機構を創設し、パナマ運河と運河地帯にたいする実際的な自主権と合法的権利をパナマに返還させるための共同闘争をくりひろげていることは、たいへん立派なことです。

 コスタリカをはじめ、ラテンアメリカ諸国人民がくりひろげているこのような闘争は、国の自主権と民族の利益を守り、帝国主義の干渉と侵略に終止符をうち、領土保全と経済的自立を達成するための正義の闘争です。

 朝鮮民主主義人民共和国政府と朝鮮人民は、国の自主権を守り、経済発展を促すためのコスタリカをはじめ、ラテンアメリカ諸国人民のたたかいを全面的に支持します。朝鮮人民は常に、正義の偉業をめざしてたたかうラテンアメリカ人民の側にしっかりと立ちつづけるでしょう。

 我々は、国の自主権と経済発展をめざすラテンアメリカ人民の勇敢な闘争が、平和と民主主義、民族の独立と社会主義をめざす世界各国人民の共同闘争に大きく寄与するものと思います。

 私はこの機会をかりて、朝鮮人民の名で、新しい社会と新しい生活の建設をめざすコスタリカ人民のたたかいにかたい連帯を送ります。我々は、朝鮮とコスタリカとの友好・協力関係が両国人民の利益にかなうよう好ましく発展するものと確信します。
                             

出典:金日成著作集 30巻

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