金 日 成

全般的11年制義務教育を成功裏に実施するために
 ―朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議第5期第5回会議でおこなった演説―
1975年4月10日 

 私はきょう、全般的11年制義務教育を成功裏に実施するうえで提起されるいくつかの問題について述べようと思います。

 我々は、今年の9月1日から全国的に11年制義務教育を完全に実施するようになります。最初11年制義務教育の実施にとりかかったときは、全国的に毎年20%ずつ実施して5年間で完全に実施する予定でしたが、教育部門をはじめ各部門の活動家たちの積極的な努力によって、この事業は予定よりはるかに早くなし遂げられるようになりました。これはたいへん喜ばしいことです。

 多くの同志たちが発言で一致して述べたように、わが国で全般的11年制義務教育を実施するのは、極めて正しい教育施策であります。

 我々は、教育事業を民族の将来のための最も重要な事業とみなし、これに大きな力をそそいでいます。

 現在、わが国の託児所、幼稚園には、国家と社会の負担で保育されている幼児が350万もいます。エンゲルスは、母親の世話がいらなくなったすべての幼児を国家の施設で、国家の費用によって保育することを重要な共産主義的施策の一つだといいましたが、事実上我々はこの面では共産主義を実施しているといえます。わが国ではまた、人民学校から大学にいたる各級学校で470万の学生・生徒が勉強しています。こうして人口の半分をしめる820万の幼児と学生・生徒が、国家の恩恵で思う存分学び幸せに育っています。

 国家がこのように多くの幼児と学生・生徒を引き受けて保育し教育しているので、その負担はたいへんなものです。託児所と幼稚園の幼児には、あめ、菓子、牛乳などいろいろな間食をあてがい、すべての学生・生徒に教科書や服を供給しなくてはなりません。国家では、各級学校のすべての学生・生徒に、季節が変わるたびに良質の服を廉価で供給しています。そればかりか、各商店では学用品をはじめ子ども用の品物は他の品物よりずっと安い値で売っています。

 多くの幼児と学生・生徒を国家の負担で保育し教育するだけに、彼らの面倒をみ、教育する教員も大量に養成しなくてはなりません。それで我々は、各道にいくつもの師範大学と教員大学を設置しました。国家では、大量の教員を養成するばかりでなく、彼らの生活も保障しなくてはなりません。いま教員と教養員の賃金を支給するだけでも、たいへんな金額です。

 わが国の現状で、このように教育事業に莫大な資金を支出し、大きな力をそそぐというのは、けっして容易なことではありません。人民の生活はまだそれほど豊かではなく、国の情勢も緊張しています。我々は膨大な社会主義経済建設の課題を遂行しなければならず、敵と直接対峙しているので、国防力の強化にも大いに力をそそがなければなりません。こうした状況で、人口の半分をしめる幼児と学生・生徒を国家の負担で保育し教育し、全般的11年制義務教育まで実施するというのは、力にあまることです。

 しかし、我々は次代の教育にそそぎこむ莫大な資金を出し惜しみしておらず、それを負担に考えていません。

 教育事業は、次代の幸福と祖国の繁栄のための最も張合いのある誇らしい事業です。朝鮮人民はかつて搾取され抑圧されて貧しい暮らしをしてきましたが、将来わが国の新しい世代は思う存分幸せな生活を享受できるようにしなくてはなりません。そのためには、教育事業に大きな力をそそぎ、育ちゆくすべての新しい世代を頼もしい社会主義・共産主義建設者に育てあげなければなりません。

 朝鮮のことわざに、「苦あれば楽あり」というのがあります。

 新しい世代をすべて国家の負担で保育し教育するのは、いまでこそ苦しいことですが、我々が困難をのりこえ、この事業をひきつづき立派におこなっていくならば、祖国の前途は洋々たるものです。それゆえ、わが党は「未来を愛そう!」というスローガンのもとに次代の教育にすべてを尽くしているのです。

 これまで、教育部門をはじめ、各部門の活動家が党の正しい教育政策を体して、その貫徹のために積極的にたたかった結果、次代の教育では輝かしい成果が達成されました。

 現在この会場には、最高人民会議の代議員とともに高等中学校と人民学校の校長、幼稚園の園長、各級学校の教員が多数参加しています。このたびの会議では多くの同志が演壇にのぼって討論しましたが、私はそれらの討論を聞いてたいへん感動させられました。

 これまで、教育部門の活動家は立派な仕事をたくさんしました。きょう、愛院高等中学校の胸をうつ模範的な事実が紹介されましたが、それはたんに愛院高等中学校にかぎられたことではありません。わが国には幾百幾千の愛院高等中学校があります。私は、これを大きな誇りに思っています。

 わが国の教育者は、一個人の名誉や享楽のためではなく、祖国の輝かしい未来のため、育ちゆく新しい世代に代をついで革命をおこなわせるため、すべてを尽くしてたたかっています。

 教育者は、革命家を育てる栄誉ある革命家であります。

 私は、教育者が革命家としての高い誇りと自負、強靭な意志をもって粘り強い努力を傾け、次代の教育で輝かしい成果をあげたことを高く評価し、党中央委員会と共和国政府の名において、彼らにあつい感謝を送ります。

 教育部門の活動家ばかりでなく、各級党組織と政権機関、すべての活動家と勤労者が、教育事業を発展させ、全般的11年制義務教育を成功裏に実施するため積極的に努力しました。我々の活動家と勤労者は、全般的11年制義務教育実施にかんする法令が発布されると、それを一日も早く実践に移すため、いっせいに取り組んで教室を建て増しし、幼稚園を建設しました。

 同時に、教員と教養員をより多く養成し、教科書をつくり、各種の実験・実習器材と教具・校具を整える仕事を力強くおし進めました。その結果、全般的11年制義務教育を予定よりはるかに早く、完全に実施できるようになりました。

 私はこれに対し、各級の党組織と政権機関の活動家、全国の工場、企業所と協同農場の管理幹部、そして、すべての労働者階級と勤労農民に感謝を送ります。

 次代の教育で我々のおさめた成果は誇るべきものです。

 しかし、我々はこれに満足してはならず、我々にはより多くのなすべき課題が提起されています。

 我々は全般的11年制義務教育を立派に実施し、教育事業でおさめた成果をいっそう強化発展させなければなりません。

 学齢期の児童をすべて学校に受け入れたからといって、全般的11年制義務教育が満足におこなわれるわけではありません。

 すべての児童を就学させるだけでなく、彼らに充実した勉強をさせ、中等一般知識を完全に身につけて高等中学校を終えさせなければなりません。

 全般的11年制義務教育を立派に、とどこおりなく実施するためには、何よりもまず決定的に教員の資質向上をはかり、彼らを革命的世界観で武装させなければなりません。

 教員の水準が高くてこそ生徒を立派に教育することができます。もし、教員が豊富な知識をもっていなければ、生徒に生きた、深い知識を与えることはできません。教員は、教科書や参考書の内容をオウム返しにくりかえす方法で生徒を教育してはなりません。教員は、教育綱領に従い、教科書と参考書の内容を党の政策と結びつけて巧みに教えられるようにならなくてはなりません。教員は教科書の一句をもっても、生徒がそれを容易に理解できるように、興味ある生き生きとした実例をたくさんあげて、十分な説明を加えるべきです。教員がこのように授業を巧みにおこなうためには、本もたくさん読み、勉強も多くしなければなりません。高等中学校の教員は、すべて師範大学卒業程度の知識を身につけなくてはなりません。

 これまで師範教育に大きな力をそそいで教員を多数養成しましたが、教員養成事業は急速に発展している教育事業に追いついていません。こうして、高等中学校の教員のうちには、まだ師範大学を出ていない人が少なからずいます。師範大学を出ていない教員は、働きながら学ぶ通信教育体系に網羅されて、師範大学の卒業資格をとらなければなりません。

 10余年前に昌城郡の薬水中学校へ行ってみたとき、その学校の教員15、6名のうち、師範大学を卒業した教員は2人しかいませんでした。ほかの教員はみな中学ないし専門学校を出た人たちでした。それで、私は彼らに、師範大学の通信教育学部に籍をおいてもっと勉強をするようにいいました。それから数年後また薬水中学校に行ってみたところ、大学未卒の教員がみな師範大学の通信教育学部を終え、水準がいちだんと高まっていました。

 わが国では、誰でも大学の通信教育学部で勉強する道が開かれています。教員が師範大学の通信教育学部で勉強すれば、教授活動をつづけながら、十分大学の課程を終えることができます。生徒の教育にたずさわりながら、余裕時間に勉強し、年に1カ月ずつスクーリングして講義や試験をうければよいでしょう。

 教員は、資質向上に努めるばかりでなく、革命的世界観の確立した革命家、共産主義者に自分自身をしっかりと鍛えなくてはなりません。

 教員自身が、熱烈な革命家、真の共産主義者にならなくては、生徒を革命家、頼もしい社会主義・共産主義建設者に育成することはできません。それゆえ、教員は自分自身を革命化するため積極的に努力しなければなりません。

 いま一部には、完成した革命家をもって任じ、革命化を怠っている人がいるそうですが、それではいけません。

 革命に身を投ずる人は、誰をとわず一生を終えるときまで、革命的世界観を確立するための闘争を中断してはなりません。

 私は、若いころからこんにちまで、ほぼ50年間革命にたずさわってきましたが、いまでも革命的世界観をいっそう完成させるためにひきつづき努力しています。もう年をとりましたが、私はいまでもよく人民のなかにはいっていきます。人民のなかにはいっていけば新しいものが多く、学ぶべきこともたくさんあります。労働者階級のなかにはいれば、彼らのなかに新しいものがあり、彼らから多くのことを学び、農民のなかにはいれば、農民のなかにも新しいものがあり、学ぶべきことがあります。また、インテリのなかにはいれば、インテリのなかにも新しいものがたくさんあります。学ぶことには際限がなく、誰であろうと自分を完成した革命家をもって任ずることはできません。

 もちろん、教員はみな革命事業に参加しているのですから、彼らを革命家と呼ぶことができます。しかし、けっして彼らが革命的世界観の確立した、完成された革命家だということはできません。

 教員が自分自身を革命化するうえで最も重要なのは、組織生活を強化することです。誰でも自分の所属している組織で組織生活に積極的に参加すれば、自分自身を革命化することができます。党員は党生活に積極的に参加し、社労青員は社労青の組織生活に積極的に参加し、女性同盟員は女性同盟の組織生活に積極的に参加しなくてはなりません。組織生活に積極的に参加すれば、党の政策も学習し、批判と自己批判もおこない、その過程で古い思想を取り除き、自分自身を改造し革命化するようになります。

 教員が革命的世界観を確立するためには、組織生活に積極的に参加すると同時に、本もたくさん読み、各分野にわたる広い知識を所有するため積極的に努力しなければなりません。教員が勉強をたくさんするのは、実力を高めて教授活動を立派におこなうためばかりでなく、自分自身の革命的世界観を確立するためにも切実に必要であります。

 次に、社会主義教育学の原理を教育に具現しなければなりません。

 社会主義教育学については、まだ完成された著書がありません。しかし、私は機会あるごとに社会主義教育の目的と内容について多くのことを話しました。もちろん、今後さらに努力を重ね、社会主義教育学を完成しなければなりませんが、その基本的原理はすでに明らかにされたといえます。したがって重要なのは、それを教育に具現することです。

 我々は社会主義・共産主義の建設をおこなっているだけに、社会主義的な教育に徹しなくてはなりません。社会主義的なものでもなく、資本主義的なものでもない、どっちつかずの教育をおこなっては絶対になりません。どっちつかずの教育をおこなったのでは、次の世代が革命偉業をひきつぐことも、社会主義・共産主義を建設することもできません。

 社会主義教育の目的は、育ちゆく新しい世代を社会と人民のために、労働者階級のためにたたかう熱烈な共産主義的革命家に育成することにあります。

 学生・生徒を共産主義的革命家に育てるうえで最も重要な問題は、彼らに対する政治・思想教育を強めることです。

 我々の次代が祖国と自国人民、自己の階級を愛さず、社会も政治も眼中にない人間になっては絶対にいけません。政治・思想教育を強化し、すべての学生・生徒が社会主義祖国を熱烈に愛し、社会主義・共産主義のため積極的にたたかう政治活動家、革命家になるようにしなければなりません。

 この問題についてはすでに何度も話しているので、きょうは長く話そうとは思いません。

 学生・生徒を政治的、思想的に教育するとともに、彼らに科学知識を深く身につけさせることが極めて重要です。

 こんにちは科学の時代であり、科学と技術を知らずには何ごともできません。トウモロコシを1株栽培するにも生物学をはじめ、いろいろな科学知識と技術が必要であり、ひなどりを1羽飼育するにもやはり科学技術が必要とされます。

 近年、わが国では農業生産が急速な発展を遂げていますが、その要因をみれば、農村テーゼの方針に従って、農村の水利化、電化が実現し、機械化、化学化の水準が高まり、農業生産の物質的土台が強固に築かれたこともあげられますが、農業大学の学生をはじめ、近代的科学技術を身につけた多くの大学生が協同農場に出向いて、農業を科学的、技術的に指導したところに重要な原因があります。かつて協同農場では、施肥も、どの土壌にどの肥料をどれほどほどこせばよいのかもよく知らずにおこない、田植えにしても科学的・技術的考慮もなしにいい加減におこないました。しかし、いまでは3大革命グループとして農村に出向いている大学生の指導のもとに、協同農場では農業を科学的、技術的に営んでいます。

 3大革命グループとして農村に出向いている大学生を呼びよせて活動報告を聞いてみたところ、彼らは農村に出かけて多くの仕事をしました。彼らは、農民とともに低温湿地を改良し、種子改良もおこない、施肥方式や用水の管理システムも正しくうち立てました。彼らはまた、すべての農作業を科学技術の理に即しておこなうよう、農民に十分な援助を与えました。その結果、数年のあいだに農業生産は著しく成長しました。

 3大革命グループが農村に出向く前は、党と国家が農業発展をはかる立派な決定を採択して示達しても、それが正しく実行されませんでした。それは、農村の幹部と農民が近代的な科学知識に欠けていることに多く起因していました。

 昨年、トウモロコシをヘクタール当たり5万4000株植えるよう党が指示したところ、科学技術の理にうとい一部の人は、トウモロコシをコウリャンのように密植する法はないといって、よく受け入れようとしませんでした。しかし、農業大学の学生をはじめ、3大革命グループと党の中核分子は、党の指示は無条件実行すべきだといって、党の指示どおりにおこないました。党の指示どおりに農作をおこなった協同農場ではいずれも作柄が上々でした。しかし、党の指示どおりにしなかった一部の協同農場の作柄はよくありませんでした。

 工業と農業をはじめ、人民経済のすべての部門は、近代的な科学技術に依拠してこそ、急速な発展を遂げることができます。

 技術革命の促進、自然改造と経済発展における成果は、科学技術の発展水準に大きくかかっています。

 科学技術の発展水準が高くてこそ、事大主義も一掃することができます。科学技術水準が他国に劣れば、人びとのあいだに他国を仰ぐ事大主義が生まれます。いま、南朝鮮の人たちにアメリカと日本に対する事大主義がはびこっているのも、主にこれと関連があります。国の科学技術の発展水準が高く、すべての分野で他国より進んでいれば、事大主義はなくなります。

 科学と技術の速やかな発展と勤労者の全般的技術水準の向上をはかるためには、学校で自然科学の教育を立派におこなわなくてはなりません。特に、数学、物理学、生物学、電子工学などの科目に力を入れ、学生・生徒にこの分野の深い知識を身につけさせなければなりません。

 自然科学を十分に学ばせるには、その分野の図書をたくさん提供しなくてはなりません。

 教科書ばかりかじっていたのでは、知識の幅を広げることができません。教科書とともに、各種の参考書をたくさん出版しなければなりません。わが国には科学技術書が多くないので、数年前、大学の教員を集めて、外国の本を翻訳するなり、我々の成果と経験にもとづいてわが国の実情にかなった科学技術書を多く執筆するなりするようにといいました。その後、大学の教員は多くの仕事をしました。現在、わが国には、技術者、専門家が80万以上もいますが、彼らが本を1冊ずつ翻訳するか執筆するかすれば、80万冊の本が出版されます。本を大量に出版してこそ、学生・生徒が自然科学に対する広く深い知識を身につけることができます。

 本を大量に出版して図書館にそなえ、 学生・生徒だけでなく、全人民が学習に励む気風をうち立てなくてはなりません。

 図書を大量に出版すると同時に、科学映画をつうじての自然科学知識の普及活動も広くおこなうべきです。新聞、雑誌でも、政治・経済問題ばかりとりあげずに、自然科学関係の記事も多く載せるべきです。そして、自然科学問題を専門とする雑誌も発行しなくてはなりません。

 次に、学校の実験・実習土台をしっかりと築かなければなりません。

 我々は学校をたくさん建て、学生・生徒に必要な教科書もすべて与えています。しかし、これだけでは足りません。全般的11年制義務教育を立派に実施するためには、生徒が実験・実習を十分おこなえるよう、実験器具と実習器材を大量に生産供給し、図書室も立派に整えなければなりません。

 各級党組織と政権機関、勤労者団体は、学校の実験・実習土台を整える仕事を積極的に援助すべきです。特に、道、市、郡党の責任書記と各級行政委員会の委員長をはじめ、責任幹部が、この仕事に大きな関心を払わなければなりません。

 今後、工場、企業所で新たな製品を生産するさい、それが学校の実験・実習土台の構築に必要なものであれば、各学校に一つずつ供給するようにすべきです。出版機関でも、新刊書を1冊ずつ学校に送り、図書室を整えるようにすべきです。このように全党、全人民、全国が取り組んで協力すれば、数年内に学校の実験・実習土台を立派に整えることができると思います。

 次に、生徒に対する社会教育を強化すべきです。

 学校教育だけでは、生徒を正しく教育することはできません。

 生徒は放課後に課外生活をいろいろとおこないますが、その時間を利用して生徒を正しく教育することが非常に重要です。

 いま、平壌をはじめ、各都市に学生少年宮殿や学生少年会館がありますが、それを効果的に利用して、生徒に各種のサークル活動を活発におこなわせるべきです。こうして、生徒は放課後、各自の趣味と素質に応じて、スポーツをしたい人はスポーツを、音楽をたのしみたい人は音楽を、刺繍をしたい人は刺繍を、工作機械について習いたい人は工作機械を、トラクターを運転したい人はトラクターの運転を、それぞれおこなうようにすべきです。

 生徒の野営生活や修学旅行も広くおこなわなければなりません。

 数年前、平壌市内のある中学校に行って牛がどんな動物かを生徒に聞いてみたところ、牛をよく知っていませんでした。わが国は3面が海にかこまれており、また平壌からは海がさほど遠くもないのに、市内の生徒は海についてもよく知っていませんでした。彼らは、登山も、海水浴もしたことがありません。

 平壌市内の生徒が毎日通学しながら街で目にするものといえば、アパート、自動車、バスなどのようなものしかないので、そうなるしかありません。

 我々は、こうした事実を知ったのち、直ちに党中央委員会政治委員会を開いて対策を討議しました。こうして、すべての中学校で毎年2回ずつ春と夏に生徒の修学旅行をおこなうようにしました。

 このような措置が講じられてからは、平壌市の中学校の生徒が元山に行って海を見たり、妙香山に行って山登りをしたり、川を渡り、山の動物を見るなどして野営生活をたのしめるようになりました。

 今後、全国的に生徒の野営生活と修学旅行をいっそう活発におこなわなければなりません。こうして、生徒を「もちぐされ文庫」にせず、広い視野と生きた知識を身につけた、役に立つ人間に育てなくてはなりません。

 生徒の課外活動に必要な施設を十分に整えなくてはなりません。

 これまで、学生少年会館も建て、景色のよいところに少年野営所も少なからず設置しましたが、まだ足りません。機関の建物や旅館などは少々建てられなくても、学生少年のための会館、野営所、図書館はもっと多く建てなければなりません。

 生徒のあいだで社労青、少年団の組織生活を強化することが非常に重要です。

 わが国では、ほとんどすべての青少年が学校にかよっています。

 それゆえ、社労青では生徒のあいだで社労青の組織生活と少年団の組織生活を強化することに主力をそそがなければなりません。

 私は数年前、平壌市内の大同門人民学校に行ったとき、少年団に入団して間もない8つの児童に、少年団で批判されたことがあるか、はじめて批判をうけたときの気持はどうだったかと聞いてみたことがあります。そのときある児童は、鉛筆を削ってこなかったので先生が読んでくれる字を書き取ることができず、少年団の集まりで批判されたが、批判をうけるのははじめてだったので胸がどきどきし、顔が真っ赤になったといいました。その児童は、批判をうけてからというものは必ず鉛筆を削って登校し、勉強を熱心にしているといいました。もう一人の児童は、宿題をよくしてこないため批判されたことがあるが、批判をうけてからは必ず宿題をしてくるといいました。そのときの担任教員の話によると、児童が過ちをおかしたときは個別的に呼んで話すよりも、少年団の会議で集団的に批判するほうが何十倍も効果があるとのことでした。これらの事実からも、生徒を教育するうえで組織生活を強化することがどれほど重要であるかがよくわかります。

 生徒が小さいときから少年団と社労青の組織生活をまじめにおこない、学校を卒業してからは生産職場に勤めるなり人民軍に入隊してひきつづき組織生活を立派におこなえば、彼らはみな革命化されるでしょう。10年たてば山河も変わるといいますが、11年制義務教育期間に生徒の組織生活を強化し、たゆみなく教育するなら、革命化されないはずはありません。11年間学校で社会科学と自然科学の知識を深く学ぶだけでなく、組織生活の溶鉱炉のなかで鍛えられれば、有能な、鋼鉄の意志をもった立派な革命家になれます。

 社会主義労働青年同盟中央委員会をはじめ、社労青の各級組織は、生徒の組織生活の強化にひきつづき大きな関心を払わなければなりません。各級党組織と政権機関、工場、企業所、協同農場では、社労青組織を積極的に助け、生徒の課外活動に必要な物質的条件を十分に整えるべきであります。

 私は、すべての教育活動家が、全般的11年制義務教育を立派にとどこおりなく実施するため力と才能を尽くしてたたかい、育ちゆく新しい世代を、わが党の革命思想で武装し、多面的な知識を身につけた朝鮮革命の頼もしい後続部隊に育成する事業に積極的に寄与するものと確信します。
 出典:サイト「わが民族同士」 参照:『金日成著作集』30巻

ページのトップ


inserted by FC2 system