金 日 成

オーストラリア記者の質問にたいする回答
−1974年11月4日−


 あなたがたの、我が国訪問を熱烈に歓迎します。

 私は、あなたがたが我が国を訪れ、社会主義建設と祖国の自主的平和統一をめざす朝鮮人民のたたかいを支持し、励ましてくださったことにたいし謝意を表します。

 あなたがたの書面による質問を拝見しました。質問は多岐にわたっていますが、便宜上いくつかにまとめてお答えしたいと思います。

 まず、チュチェ思想の基底におかれている哲学はなんであるかという質問ですが、それについて簡単にお話しましょう。

 チュチェ思想とは、革命と建設の主人は人民大衆であり、革命と建設をおし進める力も人民大衆にあるという思想です。言いかえれば、自己の運命の主人は自分自身であり、自己の運命を切り開く力も自分自身にあるという思想です。

 チュチェ思想は、人間があらゆるものの主人であり、すべてを決定するという哲学的原理にもとづいています。

 人間は自主性をもった社会的存在です。人間のあらゆる行動は思想・意識によって規定されます。人間は自主的な思想・意識をもっているので、外部世界に盲目的に順応することなく、世界を自分の意思と要求に即して目的意識的に改造していくのです。人間は世界で最も進んだ有力な存在です。自然や社会を改造するのも人間であり、科学や技術を発達させるのも人間であります。それゆえに、人間は世界を支配する主人となり、すべてを決定する要因となるのです。

 我々は、チュチェ思想のこのような哲学的原理にもとづき、勤労人民大衆を中心にすえてすべての革命理論を展開しています。

 革命と建設の主人は人民大衆です。革命闘争と建設事業は人民大衆のための事業であり、人民大衆みずからが主人となって遂行すべき事業です。勤労人民大衆は、ただみずからの闘争によってのみ、古い社会をくつがえして新しい社会を建設し、豊かで文化的な新しい生活を創造することができます。

 革命と建設をおし進める力も勤労人民大衆にあります。勤労人民大衆の力と知恵はつきることを知りません。勤労人民大衆が革命と建設の主人としての自覚をもって立ち上がれば、底知れない力と知恵が発揮され、革命と建設をめざましい速さで前進させることができます。

 チュチェ思想は、革命闘争と建設事業で自主的な立場と創造的な立場を堅持することを要求しています。主体性をうちたてるということは、革命と建設にたいして主人としての態度をとるということですが、これはつまり、勤労人民大衆が革命闘争と建設事業で自主的な立場と創造的な立場を堅持することを意味します。主体性を確立してこそ、革命と建設を成功裏に遂行することができます。

 我が党と人民はチュチェ思想を確固たる指導指針とし、それを革命と建設のあらゆる分野に具現するためにたゆみなくたたかってきました。我々は思想において主体性を確立し、政治における自主、経済における自立、国防における自衛の原則を徹底的に貫いた結果、歴史上極めて短い期間に、植民地支配の後遺症と長いあいだの立ちおくれを一掃し、富強な繁栄する新しい社会を建設することができました。

 チュチェ思想の正しさとその偉大な生命力は、朝鮮人民の革命的実践をとおして十分に立証されました。朝鮮人民は、今後もチュチェ思想を確固たる指導指針とし、それに依拠して革命と建設を力強くおし進めていくでしょう。

 我々のチュチェ思想は、日を追ってますます世界人民の大きな共感を呼び起こしています。それは、チュチェ思想が自主性を求める世界人民の志向と念願に合致しているからだと思います。

 現代は、世界人民が自主的に生きることを求める自主性の時代です。なんぴとも他人に従属して生きることを望まず、自民族の尊厳が踏みにじられることを許そうとしません。特に、長いあいだ帝国主義者に抑圧され搾取されてきた第三世界の人民は、自主の旗を高くかかげて力強く前進しています。

 こんにち、人民が自主の道を進むことは、阻むことのできない時代の潮流となっています。

 あなたがたは、発展途上諸国でチュチェ思想をどのように適用することができるかと質問されましたが、個々の国の人民がどのような思想を指導指針とし、実践闘争にどう適用するかということは、もっぱらかれら自身の意思によって決定される問題です。チュチェ思想は朝鮮革命の要求から発し、そして朝鮮革命の歴史的経験にもとづいて我々がうちだした朝鮮革命の指導思想です。したがって、チュチェ思想が発展途上諸国にそのままぴったりあてはまるとはいえません。

 元々、チュチェ思想は、個々の国の人民が主人としての立場に立って、革命と建設で提起されるすべての問題を自主的に、創造的に解決していくことを求めています。外国の経験や革命理論を受け入れる場合にも、自国人民の利益と自国の実情に即して受け入れることを要求します。それゆえ、発展途上諸国がチュチェ思想を適用するさいにも、あくまでも自国の実情にてらして創造的に適用すべきだと思います。そうしてこそ、チュチェ思想の生命力がいかんなく発揮されるでしょう。

 次に、朝鮮人民が遂行している6か年計画の目的について簡単に話しましょう。

 我が党第5回大会の報告に示されているように、6か年計画の基本課題は、工業化の成果を強化発展させ、技術革命を新たな高い段階に前進させて社会主義の物質的・技術的土台をいっそう強固にし、人民経済のすべての部門で勤労者を骨のおれる労働から解放することです。

 我々が6か年計画で最も重要な目標としてかかげているのは、三大技術革命を遂行し、我が国のすべての勤労者を骨のおれる労働から解放することです。

 前回の7か年計画期間に社会主義的工業化の歴史的な課題が実現して、人民経済のすべての部門で技術装備が根本的に改善され、勤労者の骨のおれる労働を軽減するうえでも多くの問題が解決されました。しかし、勤労者を骨のおれる労働から解放する事業には、まだまだなすべきことがたくさん残されています。

 我が国の工業部門には、いまなお重労働と軽労働の差が残っており、高熱労働と有害労働が完全にはなくなっておらず、農業労働は工業労働にくらべはるかに骨がおれ、人口の半数をしめる女性も家事の重い負担から完全に解放されてはいません。そこで我が党は、第1に、工業部門で高熱労働と有害労働をなくし、重労働と軽労働の差を著しく縮める技術革命を遂行し、第2に、農業労働と工業労働の差を著しく縮める農村技術革命を力強くおし進め、第3に、女性を家事の重い負担から解放する技術革命を遂行するという、三大技術革命の課題をうちだしました。

 三大技術革命は、極めて困難で複雑な課題です。しかし、我が国の労働者、農民、科学者、技術者の創造的なたたかいによって、三大技術革命の課題は成功裏になし遂げられています。

 三大技術革命が遂行されれば、搾取と抑圧から永久に解放された我が国の勤労者は骨のおれる労働からも解放され、ますます豊かで文化的な生活を営めるようになるでしょう。

 次に、我が国での税金撤廃問題について話しましょう。

 あなたがたもよくご存知のように、元来租税制度は国家の発生とともに生まれ、階級社会とともに数千年にわたって支配階級の統治機構を維持し、勤労人民を収奪する手段として利用されてきた一つの搾取制度です。

 我が党と人民政権は、解放後、日本帝国主義支配時代の反人民的で略奪的な植民地租税制度を撤廃し、人民的で民主的な税制をしきました。我々の実施した人民的な税制は、国の経済・文化建設の補足的な資金源として、また各階層住民の生活水準の格差を調節する補足的な手段として利用されてきました。

 我が党と共和国政府が税政策を実施するうえで堅持した一貫した原則の一つは、住民の税負担を系統的に軽減し、最終的には古い社会の遺物である税制を完全になくすことでした。

 我々は、社会主義革命と社会主義建設が進捗し、社会主義的国家経営からの収入が増大するにつれて、勤労者の税負担を系統的に軽減し、1964年から1966年にかけては農業現物税を完全に撤廃する措置をとりました。

 農業現物税制が廃止された結果、我が国には所得税と地方自治税だけが残り、それは国家歳入のうちとるに足らない比重をしめるにすぎなくなりました。昨年度の国家歳入のうち98.1%が社会主義経営からのもので、住民からの税収入は1.9%にすぎませんでした。

 人民生活を均等にそして系統的に向上させるための我が党の正しい政策と、特に年々増大する国家の莫大な追加的恩恵によって、我が国のすべての勤労者は国家から生活条件の保障をうけており、その物質・文化生活はたえず均等に向上しています。そのため、各階層住民の生活水準の格差を調節するテコとしての税金の必要性もなくなりました。

 我が国の社会主義制度がいっそう強化発展し、自立的民族経済の威力がくらべようもなく強まり、社会主義国家財政がいっそう強固になった結果、税金を完全になくすことが十分に可能となりました。

 このように、我が国で税制撤廃の社会経済的および物質的条件が十分にととのったので、ことしの3月、朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議は税制を完全に撤廃する法令を採択しました。

 こうして、税金のない世の中で暮らしてみたいという朝鮮人民の長いあいだの宿望は現実となり、我が国は世界最初の無税国となりました。

 税制の廃止は、国家と社会のすべてが勤労者に奉仕する我が国社会主義制度の優位性と社会主義の自立的民族経済の威力を示すものです。

 次に、我が国の統一問題について話しましょう。

 朝鮮の統一に関する朝鮮民主主義人民共和国の綱領はなにかという質問でしたが、国の統一問題を解決するうえで我が共和国が一貫して堅持している根本的な立場は、祖国の統一をいかなる外部勢力の干渉もうけることなく、朝鮮人民自身の手によって自主的に、民主主義的原則にもとづいて平和的な方法で実現することです。我々は、このような根本的な立場から出発して、これまで最も正当かつ合理的な数多くの祖国統一方案を提示しました。1972年7月に発表された南北共同声明には、自主、平和統一、民族大団結という祖国統一の三大原則が明らかにされていますが、これも我が共和国政府の立場をそのまま反映したものです。

 我々は南北共同声明発表後、内外の分裂主義者の分裂策動がますますはげしくなる実情にてらして、祖国の自主的平和統一の偉業を促進するため、昨年6月、新たに祖国統一の五大方針をうちだしました。

 我々のうちだした祖国統一の五大方針は、北と南の軍事的対峙状態の解消と緊張の緩和、北と南の多面的な合作と交流の実現、北と南の各階層人民と各政党、大衆団体の代表からなる大民族合議の招集、高麗(コリョ)連邦共和国の単一国号による南北連邦制の実施、単一の高麗連邦共和国の国号による国連加盟をその内容としています。

 祖国統一問題にたいする我が共和国の根本的な立場とそれを具体的に反映した祖国統一の五大方針は、南北朝鮮の全人民と全世界の進歩的人民の積極的な支持と歓迎をうけています。

 我が共和国政府のねばり強く誠意ある努力と世界の進歩的人民の積極的な支持声援によって、ここ数年のあいだに我が国の統一問題を解決するうえである程度の進展がみられましたが、祖国統一の前途には依然として大きな難関が横たわっています。

 朝鮮の統一を阻んでいる最も大きな障害は、アメリカ帝国主義の南朝鮮占領とその分裂策動です。アメリカ帝国主義は第2次世界大戦後、日本帝国主義にかわって南朝鮮を不法に占領し、それをかれらの植民地、軍事基地にかえ、最近は「2つの朝鮮」政策をかつぎだし、それを実現しようと狂奔しています。アメリカ帝国主義者は、一方では南朝鮮の反動層を民族分裂行為へと積極的にあおりたてており、他方では国連をはじめ国際舞台で「2つの朝鮮」の陰謀をこらしています。

 アメリカ帝国主義の積極的なテコ入れのもとに南朝鮮の反動層が強行している民族分裂永久化策動と南朝鮮人民にたいするファッショ的弾圧策動も、祖国の自主的平和統一を妨げる大きな障害の一つです。

 南朝鮮当局者は、祖国の自主的平和統一をめざす南北共同声明の原則と合意事項に反して分裂策動をつづけ、昨年の6月には、民族の分裂を永久化、固定化する「政策」を公然と世に発表しました。かれらはまた、南朝鮮で武力を増強し、戦争準備に拍車をかける一方、「十月維新」なるものをつくりあげてファッショ独裁体制を強化し、大々的な弾圧騒動をくりひろげました。こうして、祖国の平和統一をめざす朝鮮人民の闘争は大きな難関に直面し、北と南の対話も停滞状態に陥るにいたりました。

 我が国の統一問題は、南朝鮮からアメリカ帝国主義侵略軍を撤退させ、アメリカ帝国主義者とその手先の民族分裂策動を徹底的に粉砕してのみ成功裏に解決することができます。

 最近南朝鮮では、反動層のファッショ的弾圧が極めて厳しい状況のもとでも、社会の民主化と祖国の統一をめざす青年学生と人民の闘争が力強くもりあがっています。南朝鮮の青年学生は、「朴正煕は辞任せよ」、「維新憲法を撤廃せよ」、「拘束学生を釈放せよ」、「学園の自由を保障せよ」などのスローガンを掲げて、毎日のように抗議集会やデモをくりひろげています。近ごろでは、南朝鮮の新聞・放送記者も当局者の言論弾圧に抗議していっせいにたたかいに決起しています。南朝鮮人民の反ファッショ民主化闘争の隊列には、宗教家やその他各階層の人々も広く参加しています。

 こんにち、南朝鮮人民と各階層の人士が南朝鮮当局者に反対して勇敢にくりひろげている闘争は、社会の民主的発展をはかる正義の闘争であり、国と民族を救うための愛国闘争であります。我々は、南朝鮮人民の正義のたたかいをいつでも全力をあげて積極的に支持声援するでしょう。共和国北半部の人民は、同じ民族として、南朝鮮人民の愛国闘争を積極的に支持声援することを神聖な民族の義務とみなしています。

 南朝鮮人民の強力な闘争に恐れをなした南朝鮮当局者は、ファッショ的弾圧に狂奔しています。南朝鮮当局者はことしの春、「全国民主青年学生総連盟事件」関係だけでも、青年学生をはじめ、各階層の人民を数千名も検挙、投獄し、軍事裁判にかけて二百余名を死刑あるいは無期懲役などの極刑や重刑に処しました。いま南朝鮮当局者が殺人裁判にかけて迫害を加えている人々のなかには、著名な詩人やカトリック教の司教、大学教授、さらにはかつて「大統領候補」として出馬した人や「大統領」をつとめた人まで含まれています。これは、南朝鮮当局者がどれほど徹底的に孤立し、またどれほど恐怖におののいているかを如実に示すものです。

 南朝鮮当局者の狂気じみたファッショ的弾圧騒動は、滅亡の運命にさらされた者の最後のあがきにすぎません。南朝鮮当局者はいかなる弾圧騒動によっても、南朝鮮人民の正義の闘争を抑えることはできず、崩れゆく支配体制を長く維持することはできません。弾圧のあるところには必ず革命闘争が起こるものです。南朝鮮の反動層が人民にたいするファッショ的弾圧を強めれば強めるほど、人民の闘争はいよいよはげしくなるでしょう。

 いまでこそ南朝鮮人民の闘争は、南朝鮮反動層のファッショ的弾圧をうけて多くの試練をなめていますが、必ずやファシスト支配を粉砕し、南朝鮮社会の民主化を実現するものと、我々は確信しています。

 あなたがたは、南朝鮮駐留「国連軍」の問題と関連した朝鮮民主主義人民共和国の立場について質問されましたが、我々は、南朝鮮で「国連軍」の帽子をかぶっているアメリカ軍が、「国連軍」の帽子をとって一日も早く撤退すべきであると主張するものです。

 南朝鮮駐留の「国連軍」は、名ばかりの「国連軍」であって、実際には、国連とはなんのかかわりもないアメリカ帝国主義侵略軍です。アメリカ帝国主義者は南朝鮮占領を合理化しようと、不当にも国連の名を盗用しているのです。「国連軍」の帽子をかぶって朝鮮にやって来たアメリカ帝国主義侵略軍がしたことといえば、罪のない朝鮮人民を数かぎりなく殺りくし、南朝鮮の歴代のかいらい政権を後押しし、我が国の自主的平和統一を妨げて、朝鮮人民に民族分裂の災厄と苦痛をもたらしたことしかありません。

 こんにちアメリカ帝国主義者は、朝鮮半島の平和を守るためにアメリカ軍が南朝鮮に駐留していなければならないとうそぶいていますが、アメリカ軍が南朝鮮から撤退しても、朝鮮で戦争は起こらないでしょう。朝鮮でこの20余年間平和が維持されてきたのは、けっして「国連軍」の帽子をかぶったアメリカ軍のためではなく、全的に平和を愛する我が共和国政府の一貫した努力によるものです。

 アメリカ帝国主義侵略軍が「国連軍」の帽子をとって南朝鮮から撤退してこそ、朝鮮での緊張を取り除き、真の平和を維持することができ、我が国の統一問題も順調に解決することができるのです。

 いま開会中の第29回国連総会では、アルジェリアをはじめとする37か国の国連加盟国の共同提案によって、国連の旗のもとに南朝鮮を占領しているすべての外国軍隊を撤退させる問題が討議されることになっています。我々は、国連がことしの総会で、南朝鮮を占領しているアメリカ帝国主義侵略軍から「国連軍」の帽子をはぎとり、南朝鮮からアメリカ帝国主義侵略軍を完全に撤退させる肯定的な措置を講じて、我が国の統一問題の解決に有利な条件をつくりだすべきであると認めます。我々は、昨年の国連総会と同様、ことしも世界のすべての進歩的な国々がしっかりと正義の側に立って、朝鮮人民の自主的祖国統一の偉業に積極的な支持を寄せてくれるものと確信しています。

 次に、我が国と日本との関係について話しましょう。

 我が国と日本との関係は、まだ改善されていません。

 朝鮮と日本両国間にこんにちまで友好関係が結ばれていないのは、もっぱら日本政府の我が国にたいする敵視政策に起因しています。

 もっとも近年、我が国にたいする日本政府の態度には、以前にくらべて若干の変化がみられます。しかし、そこに本質的な改善とみなせるものはなにもありません。

 現在、朝鮮と日本とのあいだには部分的な交流がおこなわれていますが、それは一方的なもので、条件付きといった性質をおびたものにすぎません。代表団の往来問題一つをみても、日本の政治代表団は我が国を自由に訪問できますが、我が国の政治代表団は自由に日本に行けません。日本政府は我が国の代表団の日本訪問を承諾する場合にも、いろいろと条件をつけています。

 日本政府は一辺倒政策をとり、朝鮮半島の北と南にたいし不均等な態度をとっています。かれらは、朝鮮民主主義人民共和国に反対するよう、南朝鮮の反動層をそそのかしており、朝鮮にたいする再侵略策動を強化しています。日本政府は国際舞台でアメリカ帝国主義の片棒をかつぎ、朝鮮の統一を妨げる極めて好ましくない行動をつづけています。

 日本政府は、朝鮮民主主義人民共和国の国籍をもっている在日朝鮮公民に、外国人として与えるべき当然の待遇を与えていません。これも我が国にたいする日本政府の非友好的な態度のあらわれです。

 我が国にたいする日本政府のこのような敵対的で非友好的な政策によって、こんにち朝・日両国の関係は改善されていません。

 もし、日本政府が朝鮮の内政に干渉せず、我が国に友好的にたいするなら、朝・日両国の関係はすみやかに改善されるでしょう。

 朝鮮と日本との関係にたいする我々の立場ははっきりしています。我々は、日本政府が我が国にたいする敵視政策を取りやめ友好的な態度をとるならば、平等、互恵、内政不干渉の原則にもとづいて日本との関係を改善する用意があります。

 今後、朝・日両国のあいだに善隣関係が成立するかどうかは、もっぱら我が国にたいする日本政府の態度にかかっています。

 最後に、朝鮮民主主義人民共和国とオーストラリアとの関係について簡単に話したいと思います。

 我が国とオーストラリアの関係は、1972年、オーストラリアで労働党の新政府が樹立されて以来、好ましい方向へと発展しはじめました。オーストラリア政府は、米日帝国主義者と南朝鮮反動層の妨害策動をはねのけ、この7月に我が国と外交関係を結びました。私は、我が国とオーストラリアのあいだに大使クラスの外交関係が結ばれたことを歓迎しています。

 こんにち、オーストラリア政府は、朝鮮民主主義人民共和国政府の政策にたいする理解をしだいに深め、これに共鳴を示しています。

 我々は、オーストラリア政府と人民が、祖国の平和的統一をめざす朝鮮人民の正義の闘争に支持と共鳴を示していることに感謝しています。

 あなたがたは、朝鮮とオーストラリアの今後の関係についてどう考えるかという質問をだされましたが、我々は両国の関係が今後政治、経済、文化の各分野にわたっていっそう拡大、発展するものと考えています。我々は、オーストラリアと我が国が社会体制は異なっても、両国の友好・協力関係を好ましく発展させることができると考えます。

 我々は、我が国にたいして友好的な態度をとる国や人々とは、過去を問うことなく親しくつきあうつもりです。

 私は、朝鮮民主主義人民共和国とオーストラリアの友好・協力関係が、完全な平等と自主性、相互尊重と内政不干渉の原則にもとづいてひきつづき好ましく発展するものと確信します。

 私はこの機会をかりて、帝国主義と人種主義に反対し、国の自主的発展をめざすオーストラリア人民の闘争で、より大きな成果があるよう心から願うものです。

出典:金日成著作集 29巻

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