金 日 成

党活動をいっそう強化することについて
党組織活動家講習会の参加者に送った書簡
−1974年7月31日−


 このたび党中央委員会の計画にもとづき、約1か月間にわたって党組織活動家の講習会をおこないました。

 講習会では現段階における党活動の緊切な諸問題を幅広く、そして深く掘りさげて取り扱いました。今回の講習会は、党活動家、特に党組織活動家の政治理論水準と実務能力を高め、党活動全般の深化発展をはかるうえで画期的な契機となるでしょう。

 私は、全国の党組織活動家が集まった機会に、現段階において党活動を強化するために提起されるいくつかの問題について強調したいと思います。

 こんにち、朝鮮革命は新たな発展段階にはいっています。

 思想、技術、文化の三大革命が全面的に深化発展しており、社会主義建設のすべての分野で一大高揚が起きています。

 南朝鮮人民の革命闘争は厳しい試練を克服して日ましに発展しており、祖国統一の機運は南朝鮮人民のあいだで、ますますもりあがっています。

 我が党と共和国政府の国際的地位はかつてなく高まり、対外活動の範囲も著しく拡大され、朝鮮革命の国際的連帯がいちだんと強化されました。

 我が党自体も大きな発展を遂げました。

 全党に唯一思想体系が確立されてチュチェ思想にもとづく党の統一と団結が強化され、党の戦闘力が著しく高まりました。党の大衆的基盤がかためられ、人民大衆のあいだで党の権威と威信は非常に高まっています。党活動体系が全党に整然とうち立てられ、党の活動方法と活動作風も著しく改善されました。我が党の活動では、いま、まさに新たな転換が起こりつつあります。

 発展する現実は、我が党にさらに高い要求を提起しています。我々は、発展する現実の要求にそって党活動をいちだんと強化し、我が党に課された革命任務を立派に遂行しなければなりません。


 1 党隊列と党組織をいっそう強化することについて

 我が党は、朝鮮革命の参謀部であり、朝鮮人民の指導的力量であります。我が党は、大小にかかわりなく朝鮮革命のあらゆる問題と、朝鮮人民のこんにちの生活と明日の運命にたいし全面的に責任を担っています。朝鮮革命の勝敗と朝鮮人民の運命は結局、我が党をいかに強化するかにかかっているといえます。

 我が党を不敗の革命隊伍に強化するため積極的にたたかうのは、すべての党組織の基本的任務であり、主要な課題であります。

 党隊列を強化するうえで最も重要なのは、幹部陣容をしっかりかためることです。

 幹部は、我が党の中核力量であり革命の指揮メンバーです。幹部陣容をかためずには党隊列を強化することができず、幹部がその役割を十分に果たさずには我が党のすべての活動を順調に進めることができません。革命の実践的経験は、幹部がすべてを決定づけることを示しています。

 幹部を正しく選抜、配置し、革命の有能な指揮メンバーに育てあげることは、我が党の活動の出発点となり、基本とならなければなりません。

 では、こんにち、我が党が求める幹部はどのような人でしょうか。それは一言でいって、我が党にかぎりなく忠実な人、党と人民のために、革命と建設のためにすべてをささげてたたかう高い思想的自覚をもち、党の与えるいかなる革命任務をも立派に果たせる準備のできた人のことです。

 党にたいする忠実性は、幹部の基本的な表徴です。幹部は、我が党の革命思想、チュチェ思想でしっかり武装して党を政治的、思想的に擁護し、生命をとして防衛すべきであり、労働者階級の立場と革命的原則に徹して、いかなる条件や環境のもとでも変質したり動揺することなく、最後まで党に忠実でなければなりません。党にたいする忠実性は、実践活動にあらわれるべきです。幹部は、党の路線と政策を貫くためには水火もいとわずたたかい、与えられた革命任務を無条件誠実に遂行しなければなりません。

 全身に汚れのない清らかなチュチェ型の血が流れ、政治的自覚が高くて能力があり、党の政策と意図を貫くためにすべてをささげてたたかうチュチェ型の共産主義者、このような人が幹部の表徴にかなった人です。

 党組織は幹部事業に第一義的な関心を向け、党の求めるこのような活動家で幹部陣容をしっかりかためなければなりません。

 党組織は、幹部を理解し選抜、配置するさいに階級的原則をふまえ、あくまでも当人を基本として人を評価する原則を堅持しなければなりません。そのためには、幹部事業において履歴書だけで人を評価する古い方法を一掃すべきです。人間は思想・意識をもった社会的存在であり、したがって、履歴書のみで人を正しく評価することはできません。人は実生活をつうじて理解し、実践闘争のなかで点検してこそ、正しく評価することができるのです。我々は履歴書を見て家系を問題にするのではなく、当人を理解して、その思想を把握し、真に党に忠実な人を幹部に登用しなければなりません。

 こんにち、幹部事業で特に力をそそぐべき問題は、幹部を徹底的に革命化することです。

 人間は固定不変の存在でなく、たえず変化するものです。鉄を大気にさらしたままでおくと酸化してさびつくように、人間も教育せずに放っておくと悪い思想の影響で頭がさびつき変質しかねません。いかによい人であっても、幹部に登用したのち、ひきつづき組織の統制下において根気よく教育、鍛練しなければ、安逸にながれ、高慢になりかねません。一部の幹部のあいだでは主人らしく革命的に働かず、消極的で要領本位の無責任な仕事のやり方をし、労働者階級的作風に欠け、もったいぶり、権力にものをいわせて官僚主義的に行動するといった傾向があらわれていますが、これは幹部が革命化されていない証拠です。幹部のあいだに見られるこのような傾向を適時に克服しなければ、我が党は革命闘争と建設事業を正しく組織し指導することができず、多くの幹部を失うことになるでしょう。

 党組織は幹部を革命化するため、ひきつづき積極的に努力しなければなりません。こうして、すべての幹部がいささかも変質することなく、汚れのない革命思想とあくことのない革命的闘志と情熱をもち、あくまでも革命に忠実であるようにしなければなりません。

 幹部のあいだで、革命化とともに、水準を高めるたたかいも強化しなければなりません。幹部のあいだで学習を強めてその政治・実務水準をたえず高め、すべての幹部が自己に課された革命任務を立派に果たせるようにすべきです。

 党隊列の強化をはかるうえで次に重要なのは、我が党の全党員を革命の精粋分子に鍛えることです。

 党は党員の結集した政治的集団である以上、党が強力な組織となるためには、党を構成しているすべての党員が健全かつ堅実でなければならず、各自の役割を十分に果たさなければなりません。もともと、マルクス・レーニン主義党は、労働者階級の前衛部隊であり、労働者階級の先覚者、勤労人民の最もすぐれた中核分子だけが入党を許されます。党隊列を革命の精粋分子でかためるのは、マルクス・レーニン主義党建設の基本原則の一つです。

 朝鮮の労働者階級と勤労人民の革命的前衛部隊である我が党は、こんにち、全社会を我が党の革命思想、チュチェ思想で一色化する戦闘的な綱領をかかげ、その実現をめざしてたたかっています。全社会を一つの革命思想で一色化するというのは極めて高い要求であり、むずかしい課題です。この困難な課題を成功裏になし遂げるためには、全党員を革命の頼もしい根幹に、精粋分子に鍛えあげなければなりません。我々は、党内のすべての幹部を一級高い幹部の水準に引き上げ、党員はすべて幹部の水準に引き上げて、全党の幹部化、精鋭化を実現しなければなりません。

 党員を精粋分子に鍛えるためには、党組織がかれらの党生活の指導と政治・思想教育を決定的に強めなければなりません。こうして、すべての党員を党にかぎりなく忠実で、政治的、思想的に鍛えられ洗練された共産主義者につくりあげるべきです。

 党隊列を精粋分子の集団にするためには、党勢拡大を正しくおこなわなければなりません。

 新しく育つ労働者、農民、兵士、勤労インテリのすぐれた先進分子で党隊列を不断に補充しないことには、その質的構成をたえず改善することも、党の戦闘力をさらに強めることもできません。

 党組織は党勢拡大に深い関心を払い、労働者階級をはじめ、勤労者大衆から入党対象者を選んで系統的に育成し、党の唯一思想体系をしっかり身につけ、革命任務を模範的に果たす鍛えられた中核分子を入党させるべきです。

 我々はチュチェ思想でしっかり武装し、革命的闘志と気迫にあふれた新しい世代を大いに入党させるとともに、老化と停滞に陥ることのないようすべての党員を教育して、我が党を永久に生気にみちた躍動する革命的党に発展させなければなりません。

 我が党の隊列を強化し党の戦闘力を高めるためには、党の唯一思想、チュチェ思想にもとづく全党の統一と団結をゆるぎなく保障しなければなりません。

 党の唯一思想にもとづく全党の統一と団結は、我が党の生命です。党の唯一思想にもとづいて隊列の統一と団結をゆるぎなく保ってこそ、我が党は不敗の戦闘力をもった革命的党となり、革命闘争と建設事業にたいする指導を立派におこなうことができます。それゆえ、党組織は、常に党の唯一思想にもとづく党の統一と団結をゆるぎなく保つことに党活動の中心をおき、この活動をたえず深化発展させなければなりません。

 党の統一と団結を強化するうえでなによりも重要なのは、幹部と党員を我が党の唯一思想、チュチェ思想でしっかり武装させることです。

 チュチェ思想は、我が党の指導思想であり、党の統一と団結の思想的基礎であります。我が党内にはチュチェ思想があるのみであり、我々の望む党の統一と団結は、ほかならぬチュチェ思想にもとづく統一と団結であります。

 党組織は、幹部と党員にたいするチュチェ思想教育をさらに強化して、すべての幹部と党員をチュチェ思想でしっかり武装させ、党中央のまわりにかたく結集することによって、党内にチュチェの思想体系を確立しなければなりません。党組織は、チュチェ思想に反するブルジョア思想、封建的儒教思想、修正主義、教条主義、事大主義、セクト主義、地方主義、家族主義などのあらゆる不健全な思想と断固たたかわなければなりません。同時に、党に忠実でない傾向、党の唯一思想体系に反する傾向とも、強力な思想闘争を展開すべきです。党の統一と団結を妨げるものは、それがさ細なものであっても見逃すことなく、ただちに打撃を加えて徹底的に克服しなければなりません。

 全党が党中央の唯一的指導のもとに動く強い組織規律をうちたてることは、党隊列の統一と団結を保障する重要な条件の一つです。党中央の唯一的指導をぬきにしては、党内の思想、意志の統一を保障することができず、全党が一体となって動く全一的な組織体となることができません。我々は、すべての党組織が党中央の唯一的指導のもとに一体となって動き、党中央の示すすべての方針を無条件受け入れ、徹底的に貫く鉄の規律が全党を支配するようにしなければなりません。

 党隊列と党組織の強化にかかわるすべての問題を成功裏に解決するキーポイントは、党員の党生活を強めることです。

 党員の党生活を強めることなくしては、幹部を革命化し、党を精粋分子でかため、チュチェ思想にもとづく全党の統一と団結を強化するすべての活動を成功裏に進めることができません。したがって、党組織は党員の党生活を強めることに大きな力を傾けるべきです。

 党組織は党員のあいだに革命的な党生活気風を確立し、すべての党員が党生活準則に従って、党生活に自覚的に、積極的に参加するようにしなければなりません。党組織は、日ごろからすべての党員に党の任務分担をおこない、かれらが高い革命的自覚のもとに不断に活動するようにしなければなりません。そして、規則的に党生活の総括をおこない、党会議を高い政治的・思想的水準で進めて、党員を常に批判と思想闘争の溶鉱炉のなかで鍛えるべきです。

 特に、幹部の党生活を強めるべきです。幹部の党生活を強めるのは、かれらを革命化する最も重要な方法です。党組織は、すべての幹部が党細胞の組織生活にもれなく参加し、常に党組織と党員の統制のもとで生活するようにしなければなりません。

 党員と幹部の党生活を強めるためには、党組織部の役割を高めなければなりません。党組織部は、党員の党生活を直接掌握して指導する、党組織生活の指導部署です。したがって、党員の党生活を強化するか否かは、多くの場合、党組織部がその役割を円滑に果たすかどうかにかかっています。各級党委員会は、組織部の役割を決定的に高めて党員の党生活を系統的に把握し、それにたいする指導と統制をいっそう強めなければなりません。


 2 党の大衆路線を貫くことについて

 革命の参謀部である党を強化するとともに、大衆を党のまわりにかたく結集させることが重要です。大衆を結集せずしては、党自体を強化することも、革命を遂行することもできません。

 大衆を教育改造して党のまわりに結集させ、大衆の力と知恵を引きだして革命課題を遂行するのは、我が党が一貫して堅持している大衆路線です。

 大衆路線は、勤労者大衆があらゆるものの主人であり、すべてを決定するというチュチェ思想に根ざす、我が党の活動の根本原則です。

 革命は、人民大衆のための事業であり、広範な大衆が積極的に参加してはじめて勝利することができます。したがって、党組織は大衆を党のまわりにかたく結集させ、大衆の革命的熱意を呼び起こすことに常に深い関心を払わなければなりません。

 こんにちの革命情勢と党に課された革命任務は、大衆路線を貫いて、広範な大衆を党のまわりにいっそうかたく結集させることを切実に要求しています。

 いま我が国では、アメリカ帝国主義と南朝鮮反動層の民族分裂政策と新たな戦争挑発策動を粉砕し、祖国の統一をめざすたたかいが力強くくりひろげられています。祖国の統一をめざすたたかいは、アメリカ帝国主義とその手先に反対する全民族的なたたかいであるとともに、社会主義と資本主義、革命と反革命との厳しい階級闘争です。このたたかいの勝敗は結局、どちらがいかに多くの大衆を獲得するかにかかっています。我が党が広範な大衆を獲得するなら、敵との軍事的対決においても、政治的対決においても勝利し、祖国統一の歴史的偉業を成就することができます。

 こんにち共和国北半部では、歴史的な社会主義大建設の壮大なたたかいがくりひろげられています。社会主義大建設のたたかいは、我が党が大衆路線を貫いて、全人民の革命的熱意と創意を十分に発揮させることを要求しています。

 こんにち党の大衆路線を貫くうえで重要な問題は、各階層の大衆を教育改造して党のまわりにかたく結集させることです。

 日本帝国主義の長年の植民地支配とアメリカ帝国主義による祖国の分断、さらに祖国解放戦争時期の敵の離間策によって、我が国の住民の社会的・政治的構成は複雑なものになっています。だからといって、家族関係や経歴の複雑な人びとをすべて締めだして、何一つ欠点のない人だけで革命を進めるわけにはいきません。我々は、家族関係や社会・政治生活経歴の複雑な人びとをすべて教育改造して党のまわりに結集させ、かれらが心から党を支持し、党に従うようにしなければなりません。

 党の組織活動家はなによりもまず、人びとの階級的成分の問題について正しい認識をもち、人びとを正確に評価しなければなりません。

 人びとの階級的成分とは、思想上の構成成分を意味します。

 人間の階級的成分は固定不変のものではなく、生活環境と条件の変化によって変わるものです。人間の思想はどのような教育をうけるかによって、よくもなり悪くもなります。出身階級がよい人でも、たえず自分自身を革命的に鍛えなければ変質し、逆に出身階級のよくない人でも、党の思想でしっかり武装するためにねばり強く努力するなら、立派な革命家になることができます。

 人びとの階級的成分は、社会の発展と思想・意識の変化に応じて再評価しなければなりません。我が国が日本帝国主義の植民地支配から解放されてすでに30年近くなり、祖国解放戦争が終わってからも20年がすぎました。その間、我が国の社会・経済関係や階級関係には根本的な変化が生じ、人びとの思想的・精神的品位も見違えるほどの変化を遂げました。複雑な階層の多くの人があらゆる困難と試練を克服して、こんにちまで我が党に従い、党の示した革命課題を遂行するために献身してきました。このような人は、革命闘争のなかで鍛えられ、点検されたといえます。

 変化した現実に応じて人びとの階級的成分を正しく評価しなければ、我々を支持し従おうとする人びとを失うおそれがあります。それゆえ、党組織は、家族関係や経歴にのみこだわることなく、当人の現在の階級的自覚程度と思想状態を基本として、人びとを評価しなければなりません。

 家族関係や社会・政治生活経歴の複雑な人びとの子弟も正しく評価すべきです。

 人びとの出身階級を調べる目的は、その人がどのような境遇において、どのような思想的影響をうけたのか、どのような思想が頭にしみこんでいるのか、階級闘争でどれほど堅実でありうるかを知ろうとするところにあります。「治安隊」の加担者や越南者の息子だからといって、必ずしも悪い人間になるとはかぎりません。問題は、かれがどのような教育をうけたかということです。

 出身階級の複雑な人の子弟でも、我々の制度のもとで革命的教育をうけて育ち、党に忠実な若い世代にたいしては、父や祖父の出身にこだわって、それを問題視すべきではありません。

 党組織は、各階層の大衆を大胆に信頼して包容し、かれらが安心して働ける条件をととのえなければなりません。

 党活動家は、出身階級の複雑な人を根拠もなしに疑いの目で見てはならず、党に従う人びとを排斥したり、のけものにしてはなりません。我が党を支持し、仕事に熱心な人にたいしては、社会・政治生活の面で差別することなく党の信任を示し、その功労や活動の成果を公正に評価すべきです。こうして、すべての人が、社会の主人としての強い自負、前途にたいする希望と抱負をいださ、活気にみちて生活し、革命闘争と建設事業に献身するようにしなければなりません。

 各階層の大衆を包容して、教育改造する活動は、階級闘争を排除するものではありません。党組織は、大衆との活動で階級的原則を堅持し、反動分子と反党反革命分子に反対する階級闘争をいっそう強化しなければなりません。党の組織活動家は孤立させるべき対象と、教育改造すべき対象とをはっきり区別し、ごく少数の敵対分子にたいする闘争と、広範な大衆を教育改造する活動を手ぎわよく進めなければなりません。

 各階層大衆との活動を正しくおこなうためには、党組織活動家が我が党の階級政策をしっかり身につけなければなりません。党組織活動家は、革命発展の各段階に実施した我が党の階級政策と我が国における階級闘争の経験を掘りさげて学習し、各階層大衆との活動でわずかな偏向もおかすことのないようにしなければなりません。

 大衆を党のまわりにかたく結集させるには、整然とした大衆活動体系を確立する必要があります。

 大衆を教育改造して党のまわりに結集させる活動は、すべての党員と広範な中核的大衆の積極的な参加がなくては成果をおさめることはできません。

 党組織は、党員の前衛的役割を高め、党員が大衆のなかから中核分子を教育し、さらに、その中核分子が広範な大衆を教育するというふうに、大衆を教育し結集する活動を大衆化しなければなりません。つまり、一人が十人、十人が百人、百人が千人を教育し動かす、我が党の伝統的な活動方法によって大衆を教育改造し、党のまわりに結集させなければなりません。

 党組織はまた、勤労者団体をつうじて大衆活動をおこなう体系を確立しなければなりません。

 党が勤労者団体をつうじて大衆活動をおこなうのは大衆指導の根本原則であり、我が党の伝統的な大衆指導方法です。

 勤労者団体は、大衆にたいする思想教育団体であり、党と大衆を結びつけるベルトです。非党員大衆を革命化して党のまわりにかたく結集させ、かれらを党政策の貫徹に力強く奮い立たせることは勤労者団体の基本的任務であり、第一義的な革命課題です。

 党組織は、勤労者団体の活動家が行政的・経済的キャンペーンにのみとらわれることなく、本来の任務の遂行に専念するよう指導、統制するとともに、勤労者団体が能動的に活動するよう援助しなければなりません。党組織は勤労者団体にたいする正しい観点にたって、大衆活動に積極的に勤労者団体をあたらせ、思いきって勤労者団体に仕事をまかせ、その遂行方向と方途を明確に教え、活動条件を十分に保障すべきです。こうして、勤労者団体が大衆を教育改造する活動で大きな役割を果たすようにしなければなりません。

 党組織は党の大衆路線を貫き、各階層の大衆を党のまわりにかたく結集させることによって、社会の全構成員がいかに困難な環境のもとでも、我が党を支持し、党の示す道にそって最後までたたかうようにしなければなりません。


 3 社会主義建設にたいする党の指導を強化することについて

 社会主義制度の確立後、社会主義建設は労働者階級の党に提起される最も重要な革命課題です。社会主義建設を強力におし進めなくては、社会主義の物質的・技術的土台を強固にきずくことも、共産主義の物質的要塞を占領することもできません。

 党組織は、党をしっかりかため、広範な大衆を党のまわりに結集させる活動とともに、社会主義建設にたいする党の指導を強めることにも深い関心を払うべきです。

 党を組織的・思想的に強化する活動も、それ自体に目的があるのではなく、社会主義建設をより立派におこなうところに目的があります。党活動は常に社会主義建設と密接に結びつけられ、社会主義建設をより立派におこなうことに服従すべきであり、党活動の成果は社会主義建設の成果にあらわれなければなりません。

 革命と建設の成果は、もっぱら党の指導的役割にかかっており、党の指導を強めることは革命と建設の勝利のための決定的な裏付けとなります。我が党の指導なくしては、革命闘争と建設事業を一歩も前進させることができません。

 社会主義建設が新たな高い段階に発展し、経済の規模が著しく拡大し、自然を征服するたたかいが、かつてない規模で展開されているこんにちの現実は、社会主義建設のすべての分野で党の指導的役割をいっそう高めることを切実に要求しています。

 社会主義経済建設にたいする党の指導で重要なのは、かじとりを正しくおこなうことです。各級党委員会は、党の経済課題を遂行するための正しい方向と方途を集団的に討議して決定し、それを貫くたたかいに党組織と党員、勤労者大衆を奮起させ、決定した問題が正確に実行されるよう、常に指導と統制をおこなわなければなりません。

 経済活動にたいする党の指導においては、党活動家が行政を代行する傾向や、党の内部活動に没頭して経済活動に無関心な傾向をともに警戒しなければなりません。

 党活動家は行政・経済活動家をさしおいて、自分がすべての仕事を担当しなければうまくいかないかのように考えて、行政・経済活動を代行する誤った観点と活動態度を一掃し、党的方法、政治的方法で経済活動を保障するため積極的に努力しなければなりません。党活動家は、行政・経済活動家が党の路線と政策にもとづいて立派に仕事をするよう方向を示し、組織・政治活動を正しくおこなって、すべての党員と勤労者が経済課題の遂行に献身するよう指導するとともに、党政策の実行状況をたえず点検、総括、再配置するなど、中途で投げだすことなく党政策を最後まで貫くよう根気よく導かなければなりません。これが行政・経済活動にたいする党の指導の基本要求であります。

 党組織活動家は党内活動を担当しているからといって、経済活動を度外視してはなりません。社会主義建設とかけ離れた党組織活動などありえません。党組織活動は経済活動と密接に結合されるべきであり、党内活動は社会主義建設を成功裏に保障し、経済活動を裏打ちする方向でおこなわなければなりません。

 かつて、抗日革命闘争の時期には、射撃がうまく、勇敢に戦う人を革命に忠実な人として評価し、すべての隊員に戦闘で無比の英雄主義を発揮させることに重点をおいて党の組織・政治活動をおこないました。我が党が政権を握って社会主義を建設しているこんにちにおいては、高い技術や技能をもって社会主義建設に献身する人が党に忠実な人であり、すべての勤労者が党の経済課題の遂行に知恵と情熱のすべてをささげるようにすることに党の組織・政治活動の重点をおかなければなりません。

 社会主義建設にたいする党の指導を強化するうえで緊要な問題は、党活動家の水準を高めることです。党活動家の水準が低いため視野がせまく、すべての問題を党的見地に立って正しく分析し判断することができません。現在、経済活動にたいする党の指導が形式的におこなわれている主な原因も、党活動家の水準が低いところにあります。

 経済活動の方向と方法を示し、経済活動の成否を見分ける尺度となるのは、我が党の経済政策です。党活動家は、なによりもまず我が党の経済政策を深く学習、研究して、それに精通しなければなりません。

 党活動家が経済知識にとぼしく、技術を知らなければ、経済問題について発言権を得ることはできず、経済活動にたいする党の指導を実質的におこなうこともできません。党活動家は、誰もが経済知識を所有し、技術を学ぶべきです。学ぶということはすべからくよいことであり、革命を前進させるうえで切実に必要なことです。すべての党活動家が、経済知識と技術を学んで、経済活動を手ぎわよく指導できる能力をつちかわなければなりません。

 我々の当面の重要な課題は、社会主義大建設をひきつづき力強くおし進めていくことです。党組織は、6か年計画の主要目標を党創立30周年以前に繰りあげて達成し、社会主義建設の新たな高峰──十大経済建設展望目標に向けての進軍運動をさらに高揚させるために、党の組織・政治活動を強化すべきです。

 三大技術革命は、現在我が党が掌握して進めるべき経済建設分野の最も中心的な課題であり、三大技術革命を強力に推進するところに6か年計画を繰りあげて完遂し、社会主義建設を早める重要な裏付けがあります。党組織は、すべての部門、すべての単位で三大技術革命の旗をさらに高くかかげ、技術革新運動に広範な大衆を奮起させ、特に科学者、技術者が知恵と情熱をつくして技術革命の遂行に積極的に貢献するよう、政治的に正しく奮起させ導いていかなければなりません。

 大衆の高まった意気込みと発展する現実の要求に即して、経済指導と管理を改善することが極めて重要です。党組織は、経済部門の幹部が我が党によって創造された最もすぐれた社会主義経済管理形態であるテアン(大安)の事業体系の要求に即して経済の指導と管理をたえず改善し、計画の一元化、細部化の方針を正しく貫き、企業管理を正規化して経済をいっそう科学的・合理的に運営するように指導しなければなりません。


 4 党の活動方法と活動作風を改善することについて

 我が党の路線と政策はいずれも正しく、党の路線と政策を実行する対策と方途も明確に示されています。党の路線と政策が正確に貫徹されるか否かは、もっぱら、その実行にあたる幹部の活動方法と活動作風にかかっています。いかに党の路線と政策が正確で、実行対策と方途が正しくても、幹部が活動方法と活動作風を誤るならば成果は期待できません。党の活動方法と活動作風の改善は、党の路線と政策を成功裏に貫く重要な裏付けです。

 党組織は古い活動方法と活動作風を一掃し、党活動に根本的な転換をもたらさなければなりません。

 党の活動方法と活動作風を改善するためにはまず、我が党の革命的な活動方法であるチョンサンリ(青山里)精神、チョンサンリ方法を党活動に立派に具現しなければなりません。

 党活動の基本は対人活動です。言いかえれば、党活動は人びとを教育改造する活動であり、かれらを革命闘争と建設事業に奮い立たせる活動です。命令や指示を与え、報告書や統計を提出させ、決定書を下達するといった行政的方法によっては、人びとを教育改造することも、かれらの自覚的熱意を呼び起こすこともできません。党活動は、ひとえにチョンサンリ精神、チョンサンリ方法の要求どおり政治活動の方法でおこない、解説と説得、教育と啓発の方法でおこなわなければなりません。

 党活動でチョンサンリ精神、チョンサンリ方法を具現するためには、党活動家が現実のなかにはいっていかなければなりません。党活動の対象は党員と勤労者です。党活動家は、常に党員と勤労者のいる下部に行ってかれらに党の路線と政策を宣伝し、党の路線と政策が正確に実行されているかどうかをたしかめ、率先垂範して下部の人を教え、援助しなければなりません。

 党の活動方法と活動作風を改善するうえで重要な問題は、党の権威乱用と官僚主義を一掃することです。

 我が党は権力機関ではなく、権威をふりかざす機関でもありません。党の権威乱用と官僚主義は、我が党の活動方法とは無縁のものです。党活動家が党の権威を乱用し官僚主義的にふるまうならば、党を大衆から遊離させ、大衆の創意と自覚を眠りこませてしまいます。

 党活動家は絶対に党の権威を乱用したり、官僚主義的に行動してはなりませんが、党組織活動家の場合は、特にそういうことがいえます。党活動家は、常に母親のような気持ちで党員と勤労者に接し、かれらの困っていることや欲していることを知りだして、直ちに解決してやるべきです。党活動家は強い党性とともに、豊かな人間味と教養を身につけ、謙虚かつ素朴で、礼儀正しく行動すべきです。

 党の活動方法と活動作風を改善するためには、形式主義と要領主義を一掃しなければなりません。

 形式主義と要領主義は、活動家のあいだにあらわれている極めて有害な活動作風です。いま一部の活動家は、仕事の面で主人らしい態度がとぼしく、うわべだけ飾ろうとし、あれこれと口実をかまえて自分の仕事に責任をとろうとしません。

 党活動家は、形式主義と要領主義を一掃し、主人らしく責任をもって、すべての仕事にあたり、いかなる困難な条件のもとでも汚れのない革命的良心をもって、党と労働者階級と人民のために誠実に働かなければなりません。

 党の活動方法と活動作風を改善するうえではまた、隠密検察官式の活動方法をなくさなくてはなりません。

 隠密検察官式の活動方法というのは、こっそりと人の裏を探る陰険な活動方法です。正しい目的と任務を示して人民のためにたたかう我が党の活動において、陰険なやり方は絶対に許されません。

 党活動を隠密検察官式におこなったのでは、下部の実情を具体的に知ることができず、主観主義にとらわれ、人事問題をはじめ、すべての問題を正しく処理することができません。それに、党活動を隠密検察官式におこなうならば、人びとを互いに疑わせ、不安をかもしだすようになります。要するに、党活動家が、党活動を隠密検察官式におこなうとゆゆしい結果をまねくことになります。党組織活動家の場合、なおさらそうです。

 党活動家は人の欠点を裏で探ったり、欠陥を書きつらねた文書などを持ち歩いてはなりません。党活動家は下部に行って、活動状況を組織的に把握し、下部の人に欠点があればさとし、それを改めるよう力をかすことです。また提起された問題を誇張したり、ねじまげたりすることなくありのままに報告し、それらの資料を確認したうえで慎重に処理しなければなりません。

 党の活動方法と活動作風を改善するにあたって、郡党委員会の活動方法を改善することが極めて重要です。

 郡党委員会は、党の基礎組織を掌握し指導する我が党の末端指導機関であり、大衆のなかで直接党政策を掌握し実践にうつす実行単位です。したがって、郡党委員会の活動方法を改善し、その戦闘的機能と役割を高めることなしには、大衆を党政策の貫徹に立ち上がらせることはできません。

 我々は、郡党委員会の活動方法を改善し、その戦闘的機能と役割を高めるため以前から多くの努力を傾け、最近も一連の重要な措置を講じました。先ごろ大きな郡に特級郡党委員会を設けたのも、郡党委員会の活動方法を改善し、その機能と役割を高めるところに重要な目的があります。

 しかしいまなお、かなりの郡党委員会では古い方法で活動しており、その機能と役割を果たしていません。

 郡党委員会は実行単位ですから、里や工場の初級党組織に決定書や指示書を下達し、統計を提出させるといった方法で活動すべきではありません。組織部、宣伝扇動部をはじめ、郡党の各部署の活動家がすべて里や工場に行って初級党組織を指導し、大衆のなかにはいって活動を把握し組織し、大衆を教育しなければなりません。

 活動方法と活動作風は、活動家の活動能力や性格上の問題ではなく、思想のあらわれです。それゆえ、活動家が正しい思想観点に立たなければ、活動方法と活動作風を改善することはできません。

 党の活動方法と活動作風を改善するためには、党活動家のあいだで古い思想を一掃する思想闘争を力強く展開しなければなりません。党組織は、古い活動方法と活動作風をなくすための強力な思想闘争をくりひろげて、すべての党活動家が革命的活動方法と人民的活動作風を身につけ、党と労働者階級と人民のために立派に働くようにすべきです。

 私は、みなさんが今回の講習会を契機に、党活動に新たな転換をもたらし、我が党をいちだんと強化発展させ、共和国北半部における社会主義の完全な勝利と、祖国の自主的平和統一を早めるために大いに貢献するものと確信します。

出典:「金日成著作集」29巻


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