金 日 成

社会主義経済建設で新たな高揚を起こすために
全国工業大会でおこなった演説
−1974年3月7日−


 同志のみなさん!

 総力をあげて社会主義建設で新たな高揚を起こそうという党の呼びかけにこたえて開かれた本大会は、極めて意義深い重要な大会であります。大会では多くの人が熱のこもった発言をし、勇敢に前進する決意をかためました。

 私は、みなさんが大会の活動に積極的に参加したことを満足に思い、大会参加者とすべての労働者階級に謝意を表します。

 私はきょう、閉会にあたりいくつかの問題について強調したいと思います。

 党中央委員会第5期第8回総会でおこなった報告と、全党員に送る党中央委員会の「赤い手紙」にすべての課題が具体的に示されているので、きょうはいくつかの実務的な問題にかぎって簡単に述べることにします。


 1 6か年計画の生産目標を期限前に完遂するために

 我々が6か年計画を繰りあげて完遂するためには、なによりもまず基本建設を力強くおし進めなければなりません。

 人民経済のすべての部門で6か年計画を繰りあげて完遂できるか否かは、基本建設を立派におこなうかどうかにかかっています。それゆえ党中央委員会は、今年を建設の年と定め、基本建設に力を集中することにしました。基本建設部門のすべての党員と勤労者は、6か年計画の生産目標を達成するのに必要な基本建設を期限前に完遂するため力強くたたかうべきであります。

 まず6か年計画の鋼鉄生産目標を達成するため、冶金基地の建設を強力におし進めなければなりません。

 6か年計画の鋼鉄生産目標の達成は、もっぱら基本建設にかかっています。金策(キムチェク)製鉄所、降仙(カンソン)製鋼所、4月13日製鉄所の拡張工事に大きな力をそそぎ、その操業期日を最大限に繰りあげなければなりません。特に、金策製鉄所の拡張工事に力を集中して、早急に完工しなければなりません。金策製鉄所の拡張工事をすみやかに完成すれば、6か年計画で予定した鋼鉄生産目標を達成することができ、国の経済的威力をいっそう強めることができます。機械工業部門では、金策製鉄所の高炉とコークス炉および焼結炉の建設に必要な設備を適時に製作して供給すべきであります。

 鋼鉄生産目標を成功裏に達成するためには、冶金基地の建設をおし進めるとともに、現在の鉄鉱山の拡張と、新しい鉄鉱山の開発に積極的に取り組まなければなりません。鉄鉱石の生産を増やさなければ、高炉をいかに多く建設しても役に立ちません。急増する鉄鉱石の需要を十分にみたすためには、現在の鉄鉱山を拡張し、新たな鉄鉱山を大々的に開発しなければなりません。

 茂山(ムサン)鉱山の拡張工事を積極的におし進めるべきです。茂山鉱山には、高品位の鉄鉱石が無尽蔵に埋蔵されています。製鉄所に原料を円滑に供給するキーポイントは、茂山鉱山をすみやかに拡張することです。茂山鉱山の拡張工事をできるだけ早めて、その生産能力を今年は450万トン、来年は550万トン、再来年は850万トンに高めなければなりません。

 徳城(トクソン)鉱山の開発も積極的におし進めるべきです。西部地区で鉄鉱石の資源がまだ多く開発されていない状況のもとで、高品位の鉄鉱石が埋蔵されている徳城鉱山をすみやかに開発することは切実な問題となっています。

 西部地区でも現在の鉄鉱山をさらに改造拡張し、新しい鉄鉱山の開発準備を十分におこなうべきです。

 6か年計画の電力生産目標の達成に必要な発電所の建設に力をそそがなければなりません。いま発電所の建設がはかどっていません。基本建設部門では、北倉(プクチャン)火力発電所と西頭水(ソドウス)発電所の第2段階工事、清川江(チョンチョンガン)火力発電所および大同江(テドンガン)発電所、大宝(テポ)火力発電所の建設工事を強力に推進し、早急に完成しなければなりません。

 大規模の化学工業基地の建設を積極的におし進めなければなりません。

 化学工業の発展は、農業生産の増大と軽工業の原料基地の拡大、人民生活の向上にとって極めて重要な意義をもちます。基本建設部門では、新しい大化学工業基地を一日も早く建設し、我が国の化学工業をいちだんと発展させなければなりません。

 まず、青年化学工場の建設に大きな力をそそぎ、36万トン能力の尿素肥料工場、1万トン能力のアクリル工場、2万5000トン能力のポリエチレン工場をはじめ、大化学工場をすみやかに建設しなければなりません。

 青年化学工場の建設は、極めて膨大な工事です。尿素肥料工場の建設を一つとってみても、けっして容易なことではありません。今後この工場で生産される36万トンの尿素肥料を硫安肥料に換算すると、76万トンの硫安肥料に相当します。現在、興南(フンナム)肥料工場で年間100万トンの肥料を生産していますが、生産能力をここまで伸ばすのには10年以上かかりました。興南肥料工場に劣らぬ生産能力をもつ尿素肥料工場を、我々は1年間で建設する計画です。この工場を建設すれば、6か年計画の化学肥料の生産目標を達成することができます。

 青年化学工場の建設とならんで、南浦(ナムポ)地区に合成ゴム工場、3万トン能力のビナロン工場、5万トン能力の塩化ビニール工場と、これらの工場に原料を供給する能力をもつカーバイド工場、そして炭酸ソーダ工場、苛性ソーダ工場のような近代的な大化学工場を新たに建設しなければなりません。

 セメント生産目標を達成するために、順川(スンチョン)セメント工場を早急に建設しなければなりません。順川セメント工場の第1段階工事を終えれば300万トンのセメントを生産することができます。現在、我が国の年間セメント生産量は500万トンですが、新たに300万トンの生産能力を造成すれば、6か年計画に予定されたセメント生産目標が達成できます。基本建設部門では順川セメント工場の建設に拍車を加え、来年中に300万トンのセメント生産能力を造成しなければなりません。

 軽工業工場の建設にも力をそそがなければなりません。

 国家が莫大な資材と資金を投じて多くの軽工業工場を建設しておきながら、こまごました設備がまだそなわっていないために操業できない工場が少なくありません。

 9月紡織工場は水道工事のような補助工事がまだ残っているため完成しておらず、沙里院(サリウォン)紡織工場はポイラーや変圧器のような付属設備がまだ不備なためにその能力を十分に発揮していません。もし昨年、9月紡織工場と沙里院紡織工場の建設を完成して生産を正常化していたなら、良質の織物をより多く生産して人民に供給できたことでしょう。

 9月紡織工場と沙里院紡織工場の建設が遅れた主な原因は、この仕事を直接担当すべき政務院の委員会と各省が、機関本位主義に陥り、国家的立場から責任をもって活動しなかったところにあります。各級党組織は、このようなことにたいしては断固たる思想闘争を展開しなければなりません。

 軽工業部門と建設部門では、現在進めている軽工業部門工場の建設をすみやかに完成し、軽工業部門の6か年計画を繰りあげて完遂すべきであります。

 鉄道建設を積極的におし進めることは、6か年計画を成功裏になし遂げる重要な裏付けの一つであります。鉄道運輸部門では、党がうちだした鉄道建設の方向に従って鉄道建設を力強くおし進め、増大する貨物輸送を円滑に保障しなければなりません。

 なによりも江界(カンゲ)−恵山(ヘサン)−茂山(ムサン)間の鉄道敷設工事に力を集中して、すみやかに完成しなければなりません。

 江界−恵山−茂山間の鉄道敷設工事をすみやかに完成してこそ、我が国の北部内陸地帯の東部と西部を連結させて、咸鏡(ハムギョン)北道と北部内陸地帯で大量に生産される鋼材、石炭、木材、スフ、紙などの工業原料と燃料を人民経済の各部門に円滑に供給することができ、一朝有事のさいにも戦時輸送をとどこおりなく保障することができます。現在の羅津(ラジン)−平壌間の鉄道は海岸線を走っているので、戦争がおこれは正常な運行ができなくなるおそれがあります。したがって鉄道運輸部門では、我が国の東部地方と西部地方に必要なすべての物資をいつでも円滑に輸送できるよう、江界−恵山−茂山間の鉄道の新設を急がなければなりません。

 基本建設を成功裏に進めるためには、重要な建設対象に力を集中しなければなりません。

 我々には建設力量がかぎられているため、建設を分散させてはどれ一つとして期限内に完工することができません。我々は、建設の順序を正しく定めて重要な建設対象に力を集中し、せん滅戦の方法で建設をおし進め、操業期日を最大限に繰りあげなければなりません。操業期日を1時間でも繰りあげれば、それだけ6か年計画の完遂を早めることができます。

 基本建設部門では、建設集中化の党の方針にそって、鋼鉄、電力、セメント、化学肥料、織物、穀物、水産物など6か年計画の主要生産目標を達成するための重要な建設対象に力を集中すべきです。これとあわせて、各建設場では労働の組織を合理化し、建設の機械化水準を決定的に高めて工事を極力早めなければなりません。

 こんにち、我々に提起された膨大な建設事業を成功裏になし遂げるためには、基本建設部門にたいする支援を強化しなければなりません。今年の新年の辞で示した方針にそって、全党、全国、全人民が総がかりで基本建設部門を力強く支援しなければなりません。特に、今度の大会を契機に基本建設部門にたいする支援を全面的に強化して、建設で新たな革新が起こるようにしなければなりません。

 まず、基本建設部門にたいする労働支援を強めなければなりません。最近、党は各機関、企業所で探しだした多くの労働力を基本建設部門にまわすことにしました。みなさんも各自の持ち場に帰ってから多くの潜在労働力を探しだし、基本建設部門にまわすべきです。

 基本建設部門に資材と設備も集中的に供給しなければなりません。機械工業部門では、特注設備の生産に力を入れ、基本建設部門に必要な設備をそのつど十分に生産供給すべきです。

 同時に工場、企業所に死蔵されている設備や資材を極力動員して、基本建設部門に送るべきです。いま一部の工場、企業所では不要な設備や資材をストックさせておいて、ほかの部門にまわさないそうですが、これはたいへん間違ったことです。こうした機関本位主義にたいしては、強力な思想闘争をくりひろげなければなりません。

 交通運輸部門では輸送組織を合理化して、基本建設部門に資材と設備を適時に運ばなければなりません。

 我々は寸秒を惜しんで建設を力強くおし進め、遅くとも来年の上半期までには、6か年計画の生産目標の達成に必要な基本建設をすべて完成しなければなりません。こうしてこそ、6か年計画を一年繰りあげて完遂することができます。

 次に、6か年計画の生産目標を繰りあげて達成するうえで重要な問題は、採掘工業を確固と優先させることです。

 我が国の工業で最も弱い部門の一つは採掘工業です。いま、変圧器、モーター、電線、ケーブル線などが不足して生産と建設に少なからぬ支障をきたしていますが、その原因は鉱山が非鉄金属鉱物を円滑に供給していないところにあります。鉄鉱石が十分に供給されないため高炉をフルに稼働できない場合も少なくなく、製鋼所で電極が不足して鋼鉄生産に支障をきたすこともあります。我が国は黒鉛の埋蔵量が豊富なので、当然、電極のようなものは外国に輸出すべきなのですが、鉱山からの黒鉛の供給が十分でないため、電極の不足をきたすときがあります。このように、生産の第1工程である採掘工業が後れているため、ほかの工業部門で所期の生産成果をあげることができないのです。

 いま一部の工場、企業所がテアン(大安)の事業体系の要求に即して企業の管理運営を立派におこなえない主な原因の一つも、採掘工業が先行していないため原料供給が十分でないところにあります。

 原料、燃料、動力の生産を優先させることは、工業における一つの法則だといえます。

 生産の第1工程である採掘工業が先行すれば、ほかのすべての工業部門もすみやかに発展することができます。製鉄工業をすみやかに発展させるためには、茂山鉱山をはじめ鉄鉱山を大々的に開発し、変圧器やモーター、電線を大量に生産するためには非鉄金属鉱物の生産を増大させなければなりません。採掘工業で一大高揚を起こせばほかの部門でも高揚が起き、採掘工業が確固と先行すれば6か年計画のすべての生産目標を成功裏に達成することができます。採掘工業を優先させることは6か年計画の生産目標を達成するためだけでなく、6か年計画をなし遂げて、今後新しい展望計画を遂行するためにも、最も切実な問題です。全党と全国が力を傾けて、採掘工業をすみやかに発展させなければなりません。

 採掘工業をすみやかに発展させるためには、この部門で保守主義を一掃し、技術革命を力強くくりひろげなければなりません。

 採掘工業部門の活動家にはまだ、保守主義をはじめ、古い思想の残りかすが少なからず残っています。かれらは小心で大胆なところがありません。

 かつて、日本帝国主義者は朝鮮を占領していた期間に、我が国の資源をより多く略奪するため半手工業的な方法で高品位の鉱石だけ選んで掘り出し、低品位の鉱石は捨ててかえりみませんでした。これは強盗さながらの資源略奪方法です。

 我々は、日本帝国主義者が我が国の資源を略奪するさいに使った小規模で半手工業的な方法を踏襲してはなりません。我々は高品位の鉱石だけでなく、低品位の鉱石も全部掘り出し、大量採掘、大量処理の方法でより多くの鉱石を生産しなければなりません。我が国の資源を保護し有効に利用する見地からしても、また国の万年大計をはかる見地からしても、これは正しい方法であります。

 我々は採掘工業で一大革命を起こし、鉱石を大量採掘、大量処理する方法をとらなければなりません。

 鉱石を大量採掘、大量処理するためには、採掘工業部門の設備を大型化、高速化し、運搬を多様化しなければなりません。コンプレッサーなども小型でなく大型のものを導入し、高速削岩機や高速さく井機、大型掘削機、大型ブルドーザーを取り入れるべきです。選鉱場も能力の小さい設備を何台もすえて場所ばかりとらせずに、能力の大きい設備をすえつけて、小さい面積で選鉱能力を数倍に高めなければなりません。このたびの大会の過程で、設備を改造して現在の選鉱場の能力を2倍以上に高める潜在力を見いだしたのはたいへんよいことです。

 運搬の多様化もまた重要です。炭鉱や鉱山で運搬の速度を高めるために、それぞれの実情に応じてベルトコンベヤーや空中ケーブルを設置し、電車線路を敷設しなければなりません。

 我が国は地下資源に恵まれています。地下資源を積極的に開発して有効に利用すれば、我が国はいっそう富強な国になれます。かりに鋼鉄を1000万トン生産して、そのうち500万トンを国内で使い、500万トンは外国に売れば、5億ポンドの外貨を獲得することができます。100万トンの非鉄金属を生産すれば、人口一人当たりの非鉄金属生産量で我が国は世界最高の水準に達します。100万トンの非鉄金属をそのまま輸出しても5億ポンドの外貨が得られ、それを加工してバッテリーや鋼線、モーターなどを製作して輸出すれば、その数十倍もの外貨が得られます。したがって我々は、我が国に無尽蔵に埋蔵されている地下資源を大々的に開発して、さらに多くの鋼鉄や非鉄金属を生産すべきです。

 人民経済のすべての部門で技術革命を成功裏に進め、6か年計画を繰りあげて完遂するためには、機械工業をさらに発展させなければなりません。

 技術革命は、とりもなおさず機械革命であります。機械工業は、工業の主軸であり、心臓であるといえます。

 採掘工業部門の設備を現代化・大型化、高速化し、運搬を多様化するためにも、機械工業部門で各種の近代的大型機械設備を大量に生産しなければなりません。国産の400〜500馬力エンジンで鉱山用の25トン級大型トラックや大型ブルドーザーがつくれます。決心して取り組めば高速さく井機、高速削岩機、大型ポールミルなども十分つくれます。

 採掘工業と人民経済の各部門に必要な大型機械設備を円滑に生産供給するためには、大型機械生産基地をしっかりときずかなければなりません。現在の大型機械生産基地を拡大強化し、降仙地区に大型機械生産基地をもう一つ新設しなければなりません。

 しかし、急増する特注設備の需要を機械工業部門だけに頼っては円滑にみたすことができません。すべての工業部門が、それぞれ必要な大型設備を自力で製作する機械生産基地を設けるべきです。

 例えば、金属工業部門では圧延設備などを自力で製作すべきです。金属工業設備は高度の精度を要するものでもないので、金属工業部門が自力で製作できます。鉱業部門でも鉱山機械工場をもっているのですから、それをもっと立派に整備して大型採掘設備を自力で製作すべきです。

 今後、機械工業部門では大量に必要な機械製品だけを生産することにし、採掘工業や冶金工業、化学工業、建材工業部門などに必要な特注設備は当該部門で生産すればよいと思います。いま機械工業部門よりも、ほかの工業部門のほうがはるかに多くの工作機械を持っています。工作機械の利用ではまだまだ潜在力がたくさんあります。もしも、すべての部門で現在、持っている工作機械を正しく利用するならば、それぞれの部門に必要な機械設備をほとんど自力で製作することができるでしょう。

 この大会に参加した職場長のみなさんは持ち場に帰ったら、各自の工場、企業所の工作機械を効果的に利用するようにしなければなりません。全国的に工作機械の調査確認をおこなって工作機械をもれなく登録し、不合理に配置されているものは再配置し、その利用度を高めなければなりません。

 大型機械生産基地を新設し、現在の大型機械工場を拡張するためには、大型工作機械の生産を画期的に高めなければなりません。

 新しい大型機械生産基地の創設に必要な設備を、すべて貴重な外貨をかけて輸入するわけにはいきません。我々は、「大型工作機械の子生み運動」を大衆的運動として力強くくりひろげ、必要な機械設備を自力で生産しなければなりません。

 1959年に「工作機械の子生み運動」をくりひろげたように、大型ボーリング盤、大型旋盤、大型ターニングミルのような大型工作機械をつくりだすたたかいを大衆的な運動として進めなければなりません。

 1959年の「工作機械の子生み運動」のときのように、積極性と創意性を発揮して大胆に取り組むならば、「大型工作機械の子生み運動」においても大きな成果がおさめられるでしょう。龍城(リョンソン)機械工場では、既に10余年前に8メートルターニングミルを製作し、北中(プクチュン)機械工場でも第5回党大会を契機に10メートルターニングミルを製作しました。ですからこんにち、ほかの機械工場で15メートル旋盤や16メートルターニングミルのような大型工作機械を製作できないわけがありません。

 かつて我々が、困難を状況のもとで内外の敵のあらゆる妨害策動をしりぞけながら経済建設をおこなったときには、誰もが緊張した動員態勢で積極的にたたかいましたが、生活にいくらかゆとりができたいまでは、自己満足し闘争意欲に欠けた現象が一部にあらわれています。祖国の南半部はいまなお敵に踏みにじられています。南半部にいる敵が、我々に戦争をしかけようとしているのに、我々がどうしてこれまでの成果におごり、安逸をむさぼっていられるでしょうか。我々は、政治的、経済的、軍事的にさらに強大な力を培って敵を打ち倒し、革命の最終的勝利をかちとる決意をかためなければなりません。すべての部門で自力更生の革命精神を大いに発揮し、大胆に大型工作機械をつくりだすことによって、大型機械生産基地をいっそうしっかりときずきあげなければなりません。

 次に、水産業の発展に大きな力をそそがなければなりません。

 漁業は、人民生活の向上にとって極めて重要な意義をもっています。我が国では、人民の副食物問題を解決するうえで畜産業を発展させるよりも漁獲量を高めるほうがいっそう有利です。

 我々は各地に大きな養豚工場を建設しましたが、これには資金も多くかかり、工場の管理もおろそかにしたので豚肉の生産原価が高くついています。我が国は畜産業の歴史が浅いので、畜産業を高い水準に引き上げるには、まだいくらかの時日を要するでしょう。しかし我が国は、水産業では歴史があるといえます。朝鮮人民は昔から小舟ででも漁獲はしてきたので、その面ではある程度の経験をつんでいます。

 漁獲量を高めて、一人当たり日に魚を200〜300グラム食べるようになれば、肉を100グラム食べるのと変わりありません。我が国で人民の副食物を解決するいちばんの早道は水産業を発展させることです。

 漁獲量をすみやかに高めるためには、水産部門で保守主義、経験主義を一掃し、漁業で一大革命を起こさなければなりません。

 なによりもまず、漁船を大型化すべきであります。

 我が国の沿海は毎年冬場になると、メンタイが約40日間も回遊します。ところが、いま我が国には大型漁船が少ないので、沿海にやってくるメンタイをたくさん捕ることができません。小型漁船では、風が強かったり波の高いときには海に出られないので、メンタイの漁期に漁労作業が思うようにできません。小型漁船では、メンタイが回遊する40余日間のうち、約半分の日数しか出漁できません。もし、大型漁船が多くあって、40日間欠かさず海に出て漁労作業をおこなうとすれば、メンタイだけでも100万トン以上は捕れます。

 3750トン級の大型漁船があれば、遠洋に出漁しても100万トン程度の魚はらくに捕れます。今年は例年より1か月も早く遠洋漁業に出ましたが、我が国で建造した3750トン級漁船が2網で40トンの魚を捕っています。いま加工母船がまにあわないので、もっと捕れる魚も捕れずにいるそうです。

 現在、数百名の従業員をもつ水産事業所で2年間に2万5000トンの魚を捕っていますが、3750トン級の漁船なら1隻でも70名の人手でそれくらいの魚を捕ることができます。3750トン級の漁船が100隻だけあれば、250万トンの魚を捕ることができます。

 小舟に乗って漁をしていた時代は、既にすぎさりました。小舟では多くの魚が捕れません。魚をたくさん捕るためには、漁船を決定的に大型化しなければなりません。

 漁船を大型化するために3750トン級の漁船を多く建造するとともに、捕った魚をすぐに運んでこれるように、5000トン級、1万トン級、2万トン級の運搬船もたくさん建造しなければなりません。

 大型の船をたくさん建造するためには、各種エンジンの生産を増やさなければなりません。特に、2500馬力中速エンジンを大量に生産しなければなりません。2500馬力中速エンジンがあれば、5000トン級、1万トン級の船舶を建造することができます。2500馬力中速エンジンはディーゼル機関車の生産にも利用できます。現在、2500馬力中速エンジンの生産が極めて緩慢ですが、このエンジンの生産を担当している工場の労働者と幹部は奮起して、党に誓った決意を必ず実行しなければなりません。

 漁船を大型化すると同時に、大型船舶が横付けできるよう港湾の改築拡張をおこなわなければなりません。

 既に建設した冷凍工場も十分に利用すべきです。我々は数年間取り組んで、元山(ウォンサン)をはじめ、大きな港に1万トン以上の能力をもつ冷凍工場をたくさん建設し、消費地にも多くの冷凍工場を建設しました。

 冷凍工場を大々的に建設した結果、四季にわたって人民に新鮮な魚を供給しています。昨年捕った魚が、まだ約6万トンも冷凍倉庫に貯蔵されています。冷凍工場を建設して魚を蓄えておき、四季おりおり人民に新鮮な魚が供給できるのは非常によいことです。

 漁船を大型化するからといって、小規模漁業の発展をなおざりにしてはなりません。我々の祖先は、昔から、海に面しているところでは海の幸を、山に面しているところでは山の幸をとって暮らせといいました。3面が海にかこまれている我が国では、海を十分に利用しなければなりません。海に面している農村では半農半漁を広くおこない、小型の舟をもって小規模漁業を積極的に発展させるべきです。釣りや養殖業も積極的におこなわなければなりません。

 次に、化学工業の急速な発展をはからなければなりません。

 化学工業を発展させるうえで最も重要なのは、カーバイド生産を大幅に増やすことです。

 我が国では、石油を輸入して化学工業を発展させるよりは、国内で生産しているカーバイドで化学工業を発展させたほうが有利です。

 もちろん石油で化学工業を発展させれば、製品生産が多様化するのは事実です。しかし、我が国でまだ石油が生産されない状況のもとで、石油で化学工業を発展させるためには外国から大量の石油を輸入しなければなりません。石油を輸入するには、輸送問題をはじめ、複雑な問題がいろいろと提起されます。いま世界の石油埋蔵量もさほど多くありません。

 我が国には、カーバイドの原料である石灰石と無煙炭が無尽蔵にあります。それゆえ、我々はカーバイドを大々的に生産して、それを原料とする化学工業を発展させる方向に進むべきです。そうしてこそ、我が国の化学工業を急速に発展させ、人民生活を画期的に向上させることができます。

 カーバイドの生産を増大させるためには、カーバイド工業部門でも革命を起こさなければなりません。いまカーバイド炉は密閉式でないので、高熱と有毒ガスが少なからず外部にもれています。カーバイド炉をすみやかに密閉式に改造して、労働者を高熱労働と有害労働から解放し、カーバイド生産をいちだんと高めなければなりません。

 カーバイドの生産には多くの電力を要します。それゆえカーバイド生産部門では、できるだけ電力を節約してカーバイドを生産するよう努力すべきです。

 カーバイド工業を発展させるためには、水力発電所を多く建設しなければなりません。石炭をたいて電力を生産するよりは、建設には少々骨がおれても、水力発電所を建設して運営したほうが有利です。したがって、水力発電所をたくさん建設すべきです。いまのところ、水力発電所ほど電力生産費が少なくてすむ発電所はありません。

 我が国には、水力発電所の建設に適した河川がたくさんあります。鴨緑(アムノク)江と禿魯(トンロ)江にもさらに建設できるし、礼成(レソン)江、清川(チョンチョン)江、大同(テドン)江にも多く建設することができます。

 私は先の祖国解放戦争当時、平安南道順川郡栢松里(ペクソン)へ行って、総合大学の教員と学生に、大同江と元山を結ぶ運河を建設する問題を研究課題として与えました。最近、総合大学の教員と学生が、大同江と元山を結ぶ大運河の建設と、その閘門を利用した電力生産の設計図を作成してもってきました。それには、58万KWの発電能力を造成することが計画されています。もちろん、この問題は今後さらに検討を要しますが、非常に興味のある問題です。我々は国の水力資源を積極的に開発して、水力発電所をさらに建設しなければなりません。

 潮水力を利用した電力生産についても研究し、自力で原子力発電所も建設しなければなりません。

 次に、鉄道運輸をいちだんと発展させなければなりません。

 鉄道は、国の動脈であり、人民経済の先行者であります。いま我が国では、貨物輸送で鉄道が最も重要な役割を果たしています。それゆえ、鉄道運輸を優先させる党の方針を徹底的に貫かなければなりません。

 鉄道の電化をひきつづき力強くおし進めるべきです。鉄道を電化すれば、鉄道の輸送能力をいちだんと高めることができます。鉄道の電化は、工事も容易で費用も少なくてすみ、鉄道の文化性も保障できます。今後より多くの鋼を生産して、鉄道の電化を積極的に促進しなければなりません。

 鉄道の電化とならんで、線路を重レールにかえ、重貨車を量産するとともに、構内線を拡張しなければなりません。そうしてこそ、鉄道の電化が真価を発揮し、牽引重量を数倍に高めることができます。

 鉄道運輸を発展させるためにはまた、新しい鉄道を多く敷設しなければなりません。

 鉄道の電化と新しい鉄道の敷設を促進して輸送の緊張を緩和し、急増する輸送需要を円滑にみたさなければなりません。


 2 社会主義経済建設の十大展望目標について

 最近開かれた党中央委員会第5期第8回総会は、社会主義経済建設の十大展望目標をうちだしました。

 総会で十大経済建設展望目標をうちだしたのは、人民が明日への輝かしい展望と明確な闘争目標をもって6か年計画を繰りあげて完遂し、社会主義建設のより高い目標に到達するためにいっそう力強くたたかうようにするためです。将来の展望が明るく、闘争目標が明白であってこそ、人民はそれを一日も早く繰りあげて実現しようと積極的にたたかうことができます。

 我々はかつて、日本帝国主義者に抗して戦っていたとき、祖国光復会十大綱領をうちだしました。祖国光復会十大綱領には、日本帝国主義を打倒して真の朝鮮人民革命政府を樹立する問題、朝鮮の独立のために戦う革命軍を組織する問題、産業国有化と土地改革、8時間労働制、男女平等権、無料義務教育をはじめ、民主主義的な諸施策の実施問題が規定されています。それで、抗日遊撃隊員と人民は、日本帝国主義を打ち破れば人民が政権の主人となり、労働者は工場の主人に、農民は土地の主人となり、労働者は8時間労働をし、青少年は無料で民族教育をうけ、女性は男性と同等の権利をもつようになるという確信をいだき、日本帝国主義に抗して勇敢に戦いました。このたびの社会主義経済建設の十大展望目標は、朝鮮人民に明日への輝かしい展望と確固とした闘争目標を示すことによって、かれらを社会主義・共産主義建設をめざす闘争にいっそう力強く立ち上がらせることでしょう。

 我々が党中央委員会第5期第8回総会で社会主義経済建設の十大展望目標をうちだしたのはまた、労働者階級をはじめ、広範な大衆から多くの意見を聞いて、次の展望計画を正しく立てることにも目的があります。みなさんはこのたびの大会で、社会主義経済建設の十大展望目標を4年間で達成できると発言しましたが、それは非常によいことです。次の展望計画を6か年計画にするか、5か年計画にするか、あるいは4か年計画にするかは、みなさんの意見を参しゃくして今後、党中央委員会政治委員会で討議し決定することにします。

 我々がしっかり取り組むなら、社会主義経済建設の十大展望目標を短期間のうちに十分達成することができます。

 社会主義経済建設の十大展望目標のうち、最も重要なのは鋼鉄1200万トンの生産目標ですが、我々は十分この目標を達成できます。我が国には鉄鉱石が無尽蔵にあり、鉄鉱石生産基地がしっかりきずかれています。ゆくゆくは、茂山鉱山の精鉱生産能力を1000万トンに高めようと考えています。現在の鉄鉱山の生産能力を高めるとともに、新たな鉄鉱山も大いに開発する考えです。最近、咸鏡北道金策地区をはじめ、各地区で鉄鉱石の埋蔵地が発見されましたが、埋蔵量が豊富で品位も上々です。我々は、鉱山開発に必要な大型設備を自力で生産しているのですから、鉄鉱山を大々的に開発することができます。

 鉄鉱石さえ豊富にあれば、鉄はいくらでも生産できます。高炉、焼結炉、コークス炉などはいずれも自力で建設できます。我々は、既に1500立方メートルの高炉を建設した経験があるので、2000立方メートルの高炉も建設できます。来年から2000立方メートルの高炉を毎年1基ずつ建設しても、鋼鉄1200万トンの生産目標を1980年以前に達成することができます。

 製鉄工業で解決すべき重要な問題は、国内の燃料で鉄を生産することです。製鉄工業部門の科学者、技術者と労働者は、コークスのかわりに国内炭を用い、コークスを使う場合でも国内炭の配合率を高めて、コークスを極力節約する問題を解決しなければなりません。そうしてこそ、我が国の製鉄工業を安定した土台の上で急速に発展させていくことができます。

 セメント2000万トンの生産目標も十分達成できます。現在、順川地区に500万トン能力の近代的なセメント工場を建設しており、今後、川内(チョンネ)地区に500万トン能力の近代的なセメント工場をもう一つ建設する計画です。順川セメント工場と川内地区のセメント工場の建設が完成すれば、この2つの工場からだけでも1000万トンのセメントが生産されるでしょう。このほかに500万トンのセメント生産能力をさらに造成すれば、現在、生産しているものを合わせて2000万トンのセメントを生産することができます。

 鋼鉄1200万トンとセメント2000万トンだけでなく、100万トンの非鉄金属、1億トンの石炭、500億KWhの電力、500万トンの機械加工製品、500万トンの水産物、500万トンの化学肥料、10万ヘクタールの海面干拓、1000万トンの穀物生産目標もすべて達成できます。

 我が党は、社会主義経済建設の十大展望目標を必ず実現できると確信しています。この展望目標を実現すれば、朝鮮人民は社会主義の高峰をきわめ、我が国はいっそう強力な国となるでしょう。

 我々が社会主義経済建設の十大展望目標を実現すれば、南朝鮮革命と祖国の自主的統一はさらに早められるでしょう。十大経済建設目標が実現すれば、南朝鮮人民の革命闘争をいっそう力強く支援できるようになり、南朝鮮人民は、共和国北半部人民の社会主義建設の成果に励まされ、社会主義制度に強くあこがれて、アメリカ帝国主義者とその手先に反対する革命闘争をさらに力強く展開することでしょう。

 社会主義経済建設の十大目標の実現をめざす朝鮮人民の闘争は、社会主義と民主主義、民族独立と新しい社会の建設のためにたたかう世界の進歩的人民をいっそう力強く励ますでしょう。

 全党と全人民が総力をあげて社会主義大建設のたたかいを力強くくりひろげ、来年までに6か年計画のすべての生産目標を繰りあげて達成し、そのあとひきつづき社会主義経済建設の十大展望目標をめざして総進軍すべきであります。そうして、数年内に社会主義経済建設の十大目標を必ず達成しなければなりません。


 3 工場、企業所の職場長の任務について

 職場長は、工場、企業所の生産単位の責任者であります。大きな工場、企業所の職場は一つの工場と変わりありません。したがって、職場長の責任は重く、その任務は極めて重要です。

 職場長の仕事でもっとも大切なのは、生産組織を正しくおこなうことです。

 職場長が生産組織を正しくおこなわなければ、職場の生産課題を円滑に遂行することはできません。生産者にとって生産課題はとりもなおさず革命課題であります。したがって、職場に課せられた生産課題を円滑に遂行できるよう、生産組織を手際よくおこなうのは職場長の基本的な革命任務だといえます。

 職場長が生産組織を手ぎわよくおこなうためには、対人活動を正しくおこない、設備・資材との活動を正しくおこなわなければなりません。

 私は、第2回全国チョンリマ作業班運動先駆者大会で、対人活動を正しくおこない、設備・資材との活動を正しくおこない、書籍との活動を正しくおこなうことがチョンリマ作業班運動の中心課題であると述べました。ここで、対人活動をおこなうというのは、勤労者にたいする教育活動を強めるということであり、設備との活動というのは、設備がいつもその能力を十分発揮できるようよく管理し、それをいっそう近代的なものに改造するということであり、書籍との活動というのは、勤労者のあいだで学習を強化してかれらの文化・技術水準をたえず高めるということです。

 職場長は対人活動でなによりも、作業班長との活動を正しくおこなわなければなりません。

 職場長は軍隊でいえば中隊長か小隊長に相当し、作業班長は軍隊の分隊長に相当するといえます。職場長がその役割を十分に果たすためには、作業班長との活動を強めて、かれらを正しく教育しなければなりません。そうして作業班長が対人活動、設備・資材との活動、書籍との活動を立派におこなうようにしなければなりません。

 職場長はまた、労働者が自発的に労働規律を守るようしっかり教育しなければなりません。

 労働規律の強化は、社会主義経済の管理運営においてもっとも重要な問題の一つです。工場内に規律と秩序がなければ、そのような工場は社会主義的な工場とはいえません。

 労働規律を強めるためには、思想教育を正しくおこなって、すべての労働者が自発的に労働に参加するようにしなければなりません。資本主義社会では、なぐったり、ののしったり、くびにするといった強制的な方法で労働者を働かせますが、社会主義社会ではそんなやりかたは許されません。我々の社会には、ただ労働者の自覚にもとづく労働規律があるだけです。

 職場長は、すべての労働者が労働を愛し、誠実に労働に参加するよう教育しなければなりません。特に、労働者に480分の勤務時間を厳守させることが大切です。すべての労働者が480分勤務時間の1分1秒を無駄にせず、勤務時間中は少しの雑念ももつことなく、ひたすら労働者階級と全人民の利益のために奉仕するという一念で、力と才能をささげて働くようにすべきです。そうして不合格品を一つも出すことなく、より多く生産しなければなりません。

 労働規律を強化するためにはまた、職場長、作業班長が労働の組織を綿密におこなわなければなりません。工場、企業所に行って調べてみると、労働規律が確立していない主な原因の一つが労働の組織をおろそかにしているところにあります。職場長、作業班長は、労働者にその知識程度や技能水準、体質に適した作業をまかせ、作業条件を十分に保障すべきであり、労働者の作業遂行状況を常に点検し、欠点はそのつど改めさせなければなりません。

 設備・資材との活動は、職場長が深く注意を払うべき重要な仕事です。

 生産設備は国家の大事な財産であり、全人民に豊かな生活をもたらす貴重な元手であります。それゆえ、すべての経済管理幹部と労働者は設備を大切にし、よく管理しなければなりません。

 職場長は設備管理に力をそそぎ、適時に設備の点検・補修対策を講じるとともに、設備を大切に扱うよう労働者をしっかり教育しなければなりません。こうして、自分の瞳のように武器を愛護する人民軍の軍人のように、すべての労働者が設備を極力愛護するようにさせるべきです。

 設備をよく管理するとともに、資材を節約するたたかいを積極的にくりひろげるべきです。工場、企業所で使っている資材はすべて、労働者が刻苦奮闘して生産したものです。すべての職場と作業班で鋼材などの資材を極力節約し、削りくず一つにしても捨てることのないようにしなければなりません。

 資材節約運動を強めるためには、職場長が労働者をしっかり教育しなければなりません。そうして、労働者が一片の鋼材を手にしても、これを生産するために冶金工場の労働者が鉄を溶かすのにどれほど汗を流し、鉱山の労働者が鉄鉱石を掘り出すのにどんなに苦労したかを考えるようにすべきです。労働者がそういうことを考えるならば、鋼材を無駄にしたり、削りくずなどをやたらに捨てるようなことはしないでしょう。

 次に、職場長は工場と職場を文化的にととのえなければなりません。

 これまで何度となく話していることですが、工場の内部は宮殿のように、工場のまわりは公園のようにつくらなければなりません。生産環境を文化的にととのえなければ、労働者の健康を守ることも、立派な製品をつくることもできません。

 職場長は、社会主義的分配の原則を正確に適用しなければなりません。

 すべての人が共産主義思想を身につけるまでは、社会主義的分配の原則を徹底的に貫かなければなりません。こうして、すべての人が、労働の量と質に応じて分配をうけるようにすべきです。仕事を熱心にした人にはそれなりの評価を与え、そうでなかった人には不熱心だったと公正に評価すべきです。仕事を熱心にした人を低く評価したり、そうでない人を高く評価したりするならば、勤労者の生産意欲を低下させることになります。

 職場長は、作業班長の仕事や作業班の生産活動を正しく評価しなければなりません。そのためには、事務室にとじこもっていないで、作業班に行ってみなければなりません。職場長が事務室に座って生産統計を見ているだけでは、作業班の仕事を正しく評価することができません。職場長は常に生産現場に出むき、労働者とともに働きながら、作業班長の仕事を助けるべきです。そうしてこそ、職場内のすべての活動を正しく評価することができます。

 次に、職場長は、労働者、技術者の技術熟練度を高めるため積極的に努力すべきです。職場長は、労働者と技術者のあいだで、日常的に技術伝習や技術討論会を運営して、職場全員の技術熟練度をたえず高めなければなりません。

 職場長は、労働者の文化生活に関心を払わなければなりません。

 人間は労働をしたのちは、一定の時間休息をとらなければなりません。特に、肉体労働にたずさわる労働者はエネルギーの消耗がはげしいので、それをおぎなうため十分な休息をとらなければなりません。職場長は、労働者の文化生活に深い関心を払い、十分な休息条件を保障しなければなりません。

 労働者が休息するときには、テレビ、小説、映画、音楽などを楽しんだり、娯楽会も開くようにすべきです。かつて一部の幹部は、労働者が芸術サークル活動をすると、生産もせずに踊りにうつつをぬかしているといって、それを許しませんでした。労働者の芸術サークル活動が生産に支障を与えるというのは間違った考えです。もちろん、芸術サークル活動を勤務時間中にしてはなりません。しかし、勤務時間が終わってからは、文化生活もし、学習もすべきです。

 いま我が国では、労働者が8時間働いてからは、十分に学習や文化生活のできる条件がそなわっています。もともと8時間労働、8時間休息、8時間学習は、労働者階級が労働運動の初期からかかげてきた要求です。労働者に文化生活をさせず、無理に仕事ばかりさせたのでは、かれらは進歩することも、愉快な生活を営むこともできません。特に若い労働者は、歌をうたったり踊りをおどったりしてこそ楽しくなり、仕事の能率があがるものです。したがって職場長は、労働者が文化生活を十分に営めるようにしなければなりません。

 職場長は、労働者の給養活動にも深い関心を払うべきです。

 職場長は、労働者の衣食住の問題について責任をもたなければなりません。職場長は、労働者の寝室の温度が正常に保たれているか、寝具はそろっているか、十分な睡眠をとっているか、といったことにいたるまで、こまかく気をくばらなければなりません。労働者にたいする給養活動に無関心な職場長は、革命的同志愛のない人です。革命的同志愛のない人は、革命活動を立派にすることができません。職場長は、労働者にたいする給養活動に常に深い関心を払い、かれらが生活上なんの不便も感じないようにしなければなりません。

 職場長は、職場のすべての構成員が政治生活を正しくおこなうようにしなければなりません。

 政治生活で大切なのは、組織生活と学習です。勤労者のあいだで組織生活と学習を強化してこそ、かれらを革命化することができます。したがって、党員は党生活に、勤労者団体の同盟員は勤労者団体の組織生活に積極的に参加するようにしなければなりません。

 すべての人が組織生活を絶対化すべきであり、誰であれ組織生活に参加するのを妨げてはなりません。職場長は組織生活で模範を示すだけでなく、職場のすべての従業員が組織生活を立派にできる条件をつくってやらなければなりません。そうして、職場のすべての従業員が組織生活をとおして自分自身をたえず革命化し、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という共産主義的気風をもって働き、学び、生活するようにしなければなりません。

 終わりに、思想革命、技術革命、文化革命の遂行において、青年インテリの役割を高める問題について簡単にふれたいと思います。

 工場、企業所に実習に行っている青年インテリは、これまで少なからぬ仕事をしました。しかしそれは、初歩的な成果にすぎず、党が与えた課題を遂行するためにはさらに多くの仕事をしなければなりません。

 青年インテリは、絶対に古い思想に毒されることなく、ひきつづき高度の革命性を堅持しなければならず、思想革命、技術革命、文化革命を力強くおし進めなければなりません。特に思想革命を力強くおし進めて、すべての勤労者を我が党のチュチェ思想で徹底的に武装させ、全社会を革命化するため積極的にたたかうべきです。青年インテリは、党の命令、指示にたいし、かけひきをしたり、それを正しく実行しない傾向、労働力の浪費、保守主義と消極性、無責任さなどにたいする思想闘争をさらに強めなければなりません。

 こんにち、我が国労働者階級の革命的熱意は非常に高まっています。全国の労働者階級が党の戦闘的呼びかけにこたえて、社会主義大建設の闘争に立ち上がりました。要は、労働者階級のこの高まった革命的熱意をいかに引きだすかにあります。党中央委員会の各部署と政務院をはじめ国家・経済機関では、労働者階級がその高度の革命的熱意をあますところなく発揮できるよう、仕事の手配を綿密におこなわなければなりません。こうして、社会主義建設のすべての部門で新たな革命的大高揚を起こすようにしなければなりません。

 私は、この大会の全参加者と我が国のすべての労働者階級が、本大会の精神にもとづいて仕事をさらに立派におこない、全党員に送る党中央委員会の「赤い手紙」に示されているように、6か年計画のすべての生産目標を1年繰りあげて達成するためにいっそう力強くたたかうよう望むものです。

出典:「金日成著作集」29巻


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