金 日 成

今年度の活動総括と来年度の活動方向について
 −朝鮮労働党中央委員会政治委員会でおこなった演説−
1973年12月31日

 私は今日の党中央委員会政治委員会で、今年度の活動を総括し、来年度の活動方向について述べたいと思います。

 最初は来年度にはいって話すつもりでしたが、1月3日には農業大会の予備会議があり、ついで4日からは全国農業大会が開かれるので、年初にはこのように集まって長く話をする時間がありません。

 新年の辞では言いたいことを全部言うことができません。新年の辞というものは宴会の席でおこなう演説なので、長くなると座がしらけてしまいます。それで本日の政治委員会で、今年度の活動状況と来年度の活動方向について少々具体的に述べることにしました。

 今年、我々は、思想革命、技術革命、文化革命を強力におし進めて、政治、経済、文化、軍事の各分野で多くの成果をおさめました。

 何よりもまず、党活動で大きな前進を遂げました。全般的にみて、今年は党活動の水準がいちだんと高まったといえます。私は今年の党活動で大きな前進が遂げられたことを高く評価します。

 今年は、大衆のあいだで深みのある党活動が展開されました。党の指導が下部にいっそう接近し、活動家が大衆のなかにはいり、彼らを革命と建設に大いに奮起させました。特に今年、党中央委員会では工業部門と農業部門をはじめ、各部門に3大革命グループを派遣し、思想革命、技術革命、文化革命を強力におし進めました。いま工場、企業所や協同農場に派遣されている3大革命グループは大衆のなかにはいり、各自に課された革命任務を立派に遂行しています。

 我々は今年、3大革命グループを派遣することにより、国の具体的な実情を明確に把握することができました。

 何よりも、党員と勤労者の思想状態と幹部の活動水準をはっきりと知ることができました。現在、党員と勤労者の思想状態は良好であり、幹部の活動水準も低いものではありません。人民軍での判定検査のさいの評定法でいえば「良」程度だといえます。

 我々は今年、党員と勤労者の思想状態と幹部の活動水準がどの程度のものであるか、言いかえれば、我々の戦闘力がどの程度であるかを明確に把握したので、これからの革命闘争と建設事業をさらに力強く推進できるようになりました。我々の戦闘力を把握したことは、黄金をもってしてもかえられない貴重な成果であります。

 自分の力を知らないことほど危険なことはありません。何ごとをするにせよ、成果をおさめるためには、自分の力が弱いのか強いのか、値踏みをするとすれば自分の価値が50チョンなのか、1ウォンをのかを知らなければなりません。弱い者が強いふりをしてはならず、わからない者がわかったふりをしてもならず、無い者が有るふりをしてもならず、偉くもない者が偉いふりをしてもなりません。

 自分の力を知るためには、実践闘争をつうじて点検してみなければなりません。かつて我々が抗日武装闘争をおこなったときにも、日本帝国主義者と何回か戦ってみてはじめて、部隊の戦闘力がどれほどのものであるかを把握することができました。

 今年、我々は3大革命グループを派遣し、社会主義建設の各分野で思想革命、技術革命、文化革命を強力に繰り広げることによって、我々の戦闘力がどの程度のものであるかを見きわめることができました。3大革命グループを派遣したのち、私は各地方に出向いて彼らの活動報告を聴取しました。その過程で、労働者階級をはじめ、全勤労者の革命的熱意と技術・文化水準が高く、幹部の指導水準も劣ってはおらず、党組織の組織力と動員力も弱いものではないことがわかりました。

 これとともに、我々の活動における欠点と難問がなんであるかも明確に把握するようになりました。

 幹部の全般的な活動水準は劣るほうではありませんが、個別的にみれば、中間単位の幹部の水準が少々劣っています。すなわち、政務院の省と総局、それに経営局の幹部の指導水準が低いのです。そのため、社会主義建設で所期の成果をおさめられないのです。

 経済建設で重要な問題点となっているのは、採掘工業と輸送が先行していないことです。採掘工業と輸送を優先させるという党の方針が貫徹されなかったため、人民経済の各部門に必要な原料と燃料が十分に供給されず、輸送の緊張も緩和されていません。また、生産の組織と原料や製品の保管管理、国家財産の取扱いにも多くの欠陥があります。

 このように、我々は今年、3大革命グループを派遣して思想革命、技術革命、文化革命を強力におし進める過程をつうじて、活動上の長所と短所を明確に把握しました。今年は活動の脈をとった年であり、正しい診断を下した年であったといえます。我々は今年、正しい診断を下し、いろいろな組織的対策を立てることによって、多くの成果をおさめることができました。

 我々は今年、党の唯一思想体系をさらにうちかため、党の統一と団結をいっそう強化し、党内に革命的規律を強くうち立てました。また、幹部と党員の革命化にしっかりと取り組み、彼らの活動と生活に大きな変革をもたらしました。もっとも幹部の革命化は、その取り組みが多少遅れたので、まだそれほどの効果があらわれていません。それは、来年にはいって全面的にあらわれるものと思います。

 今年、社会主義経済建設においても大きな転換がもたらされました。我々は今年、経済活動に内在する欠陥を見つけだし、それを是正するため大いに努力した結果、工業と農業をはじめ、人民経済の各部門では多くの成果が達成されました。

 今年、文化革命の遂行においても大きな前進が遂げられました。全人民の積極的な努力によって、全般的な10年制高等中学義務教育の実施が成功裏に進められ、多くの託児所と幼稚園が建設されました。現在、わが国では350万以上の子どもが託児所と幼稚園で保育され、460万を上まわる学生・生徒が各級学校で学んでいます。これは、わが国人口のほぼ半数をしめる800余万の幼児と学生・生徒が国家と社会の負担で育てられ、学んでいることを示しています。

 我々は今年、国防建設の分野においても大きな成果をおさめました。

 わが党は今年、祖国の自主的平和統一をめざす闘争において大きな勝利を達成しました。

 わが党は、7・4南北共同声明が発表されて以来、敵との深刻な政治闘争をおこない、特に今年は極めて緊張した闘争を繰り広げました。我々は敵との頑強な闘争によって、祖国の自主的平和統一をめざす朝鮮人民の闘争に有利な局面を切り開きました。

 我々は今年、朝鮮に対するアメリカ帝国主義の侵略と内政干渉の道具である「国連韓国統一復興委員団」を解体させました。

 これと同時に「二つの朝鮮」をつくりあげる目的のもとに北と南との対話で遅延戦術を使ってきた南朝鮮当局者の正体を白日のもとにあばきだしました。

 我々は南北対話を開始した当初から、すでに南朝鮮当局者が仮面をつけて我々との対話にのぞんでいることを見抜きました。そこで我々は、南朝鮮当局者の仮面をはぎとり、彼らの正体をあばくため積極的にたたかいました。わが党の巧みな戦術と積極的な闘争によって、彼らはやむなく仮面を脱ぎ捨て、最後の切札を出さざるをえなくなりました。昨年、南朝鮮当局者は、南北対話の幕裏でおし進めてきた「二つの朝鮮」陰謀を世にさらけだし、それを彼らの「政策」と宣言するまでにいたりました。

 南朝鮮当局者の「二つの朝鮮」策動が白日のもとにさらけ出されたことによって、世界の人びとは、我々が真の愛国者であり、南朝鮮当局者は徹底した売国者であること、我々が国の統一のためにたたかっているが、南朝鮮当局者は国の分断を永久化し、南半部をアメリカ帝国主義者と日本軍国主義者に売り渡そうとしていること、我々が全朝鮮人民の利益のために民族の大団結をはかり、国の完全な統一独立を達成しようとしているが、南朝鮮当局者は私利私欲と長期執権のために国と民族を分裂させようとしていることを明白に理解するようになりました。

 いま南朝鮮当局者は、人民に対するファッショ的弾圧とテロをさらに強めており、南朝鮮の人民と女性を外国に奴隷として、キーセンとして売り渡す反民族的売国行為をさらに露骨化しています。

 南朝鮮人民は、彼らの民族分裂政策と反民族的売国行為に激憤しています。今年の秋に南朝鮮の青年学生と各階層の人民は、ファッショ的弾圧の厳しい状況のもとでも、再び救国闘争に勇敢に立ち上がり、いまも断固としてたたかいつづけています。

 我々は今年、対外活動分野においても大きな成果をおさめました。

 この9月に80余か国の国家元首と政府首班、そしてその代表の参加のもとに開かれた第4回非同盟諸国首脳会議は、アメリカ帝国主義者と南朝鮮当局者の「二つの朝鮮」策動を糾弾し、わが党の自主的平和統一方針に全面的に合致する「朝鮮問題に関する決議」を全会一致で採択しました。

 今年、我々は外国との国家関係もさらに発展させました。わが国は今年、多くの国と大使級外交関係を結びました。こうして現在、世界の64か国と外交関係をもっています。

 これらのことは、わが党と共和国の国際的地位が非常に高まり、朝鮮革命の国際的連帯がさらに強められたことを示すものです。最近、日本のある雑誌は、今年、国際舞台で朝鮮民主主義人民共和国と南朝鮮が対決したが、この対決で朝鮮民主主義人民共和国が勝利し、南朝鮮はかろうじて安堵の息をついただけだ、という論評を載せました。これは正しい論評だと思います。

 今年、全党が年頭から年末まで緊張した闘争を繰り広げ、革命と建設で大きな勝利をおさめました。我々は今年を勝利の年であったと断言することができます。

 今年、革命と建設で達成された勝利と成果は、みなさんが党の路線と政策を支持して積極的にたたかったために得られたものです。多くの幹部が批判されたり追及をうけたりしながら、党から与えられた課題を実行するため奔走し、積極的に努力しました。みなさんの苦労はなみなみならぬものでした。

 1974年は、我々がさらに奮闘すべき年であります。

 我々は今年の成果に少しも満足することなく、来年度に革命闘争と建設事業をさらに力強くおし進め、社会主義建設で新たな高揚をもたらさなければなりません。

 何よりもまず、基本建設に大きな力をそそぐべきであります。

 来年度に、我々には6か年計画の重要目標を達成するための膨大な基本建設が提起されています。

 6か年計画の鋼鉄生産目標を達成するため、来年度に茂山鉱山の選鉱場を近代的な大規模のものに拡張し、金策製鉄所に大型溶鉱炉と焼結炉、コークス炉、転炉、熱間圧延職場を新設し、4月13日製鉄所と降仙製鋼所の拡張工事を積極的におし進めなければなりません。また、南興地区には清川江火力発電所とアクリル工場、ポリエチレン工場、ナフサ工場、製紙工場、尿素肥料工場などを建設し、南浦地区にはビナロン工場、塩化ビニール工場、苛性ソーダ工場、炭酸ソーダ工場、ゴム工場など近代的な大規模の工場を建設しなければなりません。また、現在進行中の北倉火力発電所の第2段階工事、西頭水発電所所の第2段階工事、大同江発電所の建設をおし進め、近代的な大規模の順川セメント工場を新設しなければなりません。

 そのほかにもビール工場、穀物加工工場、皮革工場、ゴムひも工場、メリヤス工場、紡織工場、乾電池工場、電線工場、ベアリング工場など数多くの工場を建設しなければなりません。現在、輸入ずみの工場設備も多く、これから輸入することになっている工場設備も少なくありません。もし来年度の建設を早急に進めないならば、外国に多くの不要な支払いをしなければならなくなります。

 我々は来年度を建設の年と定め、基本建設に全党的、全国家的な力を傾けなければなりません。

 基本建設部門では、来年度に金策製鉄所、4月13日製鉄所、降仙製鋼所などの拡張工事、西頭水発電所と北倉火力発電所の第2段階工事、清川江火力発電所、大同江発電所、青年化学工場、南浦化学工場、順川セメント工場の建設をはじめ、6か年計画の目標を成功裏に達成するための重要建設対象に力を集中し、突撃戦を繰り広げなければなりません。

 その他の建設は少々後にまわすべきであります。我々には、資材、資金、労働力がかぎられているので、各部門で要求される対象を一度に全部建設することはできません。したがって、1本のくぎ、1枚の板、1文の外貨でも節約して重要建設対象に集中すべきであります。いま多くの人が外国出張で外貨を消費していますが、出張費もできるかぎり節約しなければなりません。

 私はこのたびの新年の辞で、基本建設に第一義的な力を振り向けることについて強調するつもりです。1972年には工作機械の生産に力をかたむけ、1973年にはトラクターと自動車の生産に力を入れましたが、1974年には基本建設に第一義的な力をそそがなければなりません。我々は来年度の基本建設を成功裏に保障するため、さきごろ青年化学工場の建設状況を調べ、基本建設を促進する対策も講じました。

 来年度、我々に提起されているいま一つの重要な課題は、採掘工業を優先させて、石炭と鉱物の生産を画期的に増大させることです。

 来年度に我々は、新たな炭鉱と鉱山を大々的に開発し、炭鉱および鉱山設備の大型化、現代化、高速化、運搬の多様化をはかって石炭と鉱物の生産を大幅に増大させなければなりません。

 機械工業部門では、大型船舶の建造を大幅に増やすとともに、特注設備の製作に力を入れなければなりません。龍城機械工場、北中機械工場、羅南炭鉱機械工場、車輦館鉱山機械工場など大規模の機械工場では人民経済の各部門で要求されている特注設備をそのつど円滑に生産供給しなければなりません。

 来年度には軽工業を画期的に発展させ、品質のよい各種の一級消費物資をより多く生産しなければなりません。

 軽工業の速やかな発展をはかるのは、わが国社会主義制度の優位性を示し、戦争に対処する準備をととのえるための緊切を問題であります。

 我々は来年度から約2年間、軽工業の発展に力をそそぎ、わが国の軽工業を決定的にもりたてなければなりません。これは多くの資金を要するわけでもありません。幹部の努力しだいで軽工業を速やかに発展させることは十分可能です。

 しかしいま、幹部は軽工業を発展させるために粘り強く取り組んでいません。平壌市の責任幹部は、外国からゴムひも工場の設備が到着して数か月になるにもかかわらず、いまなお設置していません。この工場を設けるならば、品質のよい靴下やタイツを大量に生産できるのですが、幹部はそれに関心を払っていません。

 軽工業部門の幹部は、現有の建物を入念に管理し、そこに機械設備をそなえつけて早く製品を生産しようとはせず、建物ばかり新築しようとしています。我々は地方の潜在力を積極的に探しだして、現有の地方産業工場を現代化する一方、新しい地方産業工場をより多く建設しなければなりません。こうして、一日も早く人民生活を向上させ、わが国社会主義制度の優位性を余すところなく発揮させなければなりません。

 来年度に農村技術革命を成功裏に遂行するため、農村への支援をあらゆる面から強化しなければなりません。機械工業部門ではより多くのトラクターと自動車を、化学工業部門では各種の化学肥料、特にリン酸肥料を大量に生産して農村に供給すべきであります。こうすれば、来年度の農業生産を画期的に増大させることができます。

 農業部門では、来年度の営農準備を手ぬかりなくおこなわなければなりません。数日前、農村に出向いてみたところ、来年度の営農準備がスムーズにはかどっていませんでした。金属工業部門がトラクターの部品と連結農業機械の生産に必要な数千トンの鋼材さえ供給すれば問題はないのですが、それをしていません。農業部門に必要な資材を優先的に供給するよう再三強調していますが、いまなおこの部門の活動家はそれを満足に実行していません。金属工業部門では、トラクターの部品と連結農業機械の生産に必要な鋼材を早急に供給すべきであります。

 農村には商品も多く供給しなければなりません。いま農民は良質の洋服地やチマ・チョゴリ用の布地をはじめ、各種の商品を多く求めていますが、良質の商品を増産して農村に供給すべきであります。

 私は、このたびの新年を農民とともに祝って農業大会を開く考えです。

 今年、農民は党の呼びかけにこたえて豊作をおさめました。私は、農民が今年の農作を立派に営めば、彼らを平壌に呼びよせて大劇場や体育館を見物させ、すばらしい映画や歌劇も観覧させると約束しました。いま革命歌劇『血の海』を観覧させてほしいという農民の要望がだいぶ多いとのことです。農民の生産した穀物を国家がたくさん買い上げているのですから、彼らを平壌に連れてきて見物させるべきだと思います。

 今度、党中央委員会では直接、農民を呼びよせて講習会を開き、教育も与える計画です。関係部門の活動家は、農業大会を成功させる準備を綿密におこなうべきです。

 次に、幹部の革命化を強力におし進めなければなりません。

 こんにち、わが国の情勢は依然として緊張しています。わが国ではいつまた戦争が起きるかわかりません。現在、我々が進めている革命闘争は深刻な階級闘争であります。これは労働者階級と資本家階級との闘争であり、社会主義制度と資本主義制度との闘争であり、国土の半分を奪われた朝鮮人民と全朝鮮を植民地化しようと策するアメリカ帝国主義者との闘争であります。この闘争で勝利するためには、我々の革命隊伍をさらに強化しなければなりません。革命隊伍の強化におけるキーポイントは幹部を革命化することです。

 我々は特に、中間単位で働いている幹部の革命化に大きな力を入れなければなりません。

 いま労働者は仕事を誠実におこなっており、上部の幹部にもこれといった問題はありません。問題は中間単位の幹部にあります。党の示した革命課題が円滑に実行されず、国の経済がより早く発展しない主な原因の一つはほかでもなく、中間単位に消極分子が居座って仕事を積極的に進めないところにあります。仕事を積極的に進めようとせず、なりゆきにまかせる悪いくせのある人たちとは強くたたがわなければなりません。ただし、そうした人たちとたたかうからといって、いちかいに政治的レッテルをはりつけたり、首をはねようとしてはなりません。我々はあくまでも教育を基本とし、思想闘争をつうじて彼らを改造し革命化しなければなりません。

 中間単位の幹部を革命化するためには、上級機関の幹部、すなわち党中央委員会政治委員会委員、党中央委員会の書記と部長、政務院の副総理と相たちがまず自分自身を革命化しなければなりません。まず上級機関の幹部を革命化し、彼らが下部の活動家を教育し革命化する方法ですべての幹部を革命化しなければなりません。

 党組織は幹部の革命化において、すべての幹部をわが党のチュチェ思想でしっかり武装させ、党の指導者を中心にかたく団結させることに基本をおくべきであります。

 周知のように、革命はひとりでに勝利するものではありません。革命はただ闘争をつうじてのみ前進し、勝利します。革命闘争を勝利に導くのは党であります。我々は革命をするために党を創立したのであり、わが党の正しい指導のもとに朝鮮革命はこんにちまで勝利のうちに前進してきました。

 ここに列席した幹部は、長いあいだ我々とともにたたかってきた革命の同志であります。解放直後からたたかいに参加した同志にしても、ほぼ30年間も我々とともに革命闘争をつづけてきました。30年というのはけっして短いものではありません。我々は長いあいだ、互いに信頼し愛し、団結してたたかい、そうしたがゆえに革命闘争で勝利することができたのです。

 我々はこれからも団結をいっそう強化しなければなりません。現在、我々には3つの革命課題が提起されています。それは第1に、分断された祖国を統一することであり、第2に、共和国北半部で社会主義の完全な勝利を達成することであり、第3に国際革命勢力と団結して世界革命の勝利を達成することであります。まさに、この3つの革命課題を成功裏に遂行する共通の目的のために、すべての幹部は一つの思想、一つの意志でかたく団結しなければなりません。

 わが党中央委員会の内部には、わずかばかりの亀裂があってもなりません。

 我々は幹部のあいだで真の同志的団結、チュチェ思想にもとづく共産主義的団結を保障し、それをかたく守りぬくとともに、すべての幹部がひたすら党を信頼し、党に最後まで忠実であるようにしなければなりません。

 幹部がみずからを徹底的に革命化するためには、それぞれグループをつくって団結に支障をきたすような行動をとってはなりません。

 幹部自身の革命化で特に重要なのは物欲をなくすことです。幹部は絶対に金品に欲をだしてはなりません。物欲のとりこになって生活が清廉潔白でなく、わいろや贈物などをもらいたがるような幹部は、人民の信頼と尊敬をうけることができません。

 幹部は絶対に他人から贈物をうけてはなりません。また幹部は、自分の家族が他人から贈物をうけないように正しく教育し、家に見なれないものが目につけば、それがどうして手に入ったのかをただしてみるべきです。こうして、下部の人たちが贈物をもってとりいろうとする手に乗らないようにしなければなりません。

 幹部は物欲をなくすために努力するとともに、国家財産を節約するためにも大いに努力しなければなりません。

 いま幹部のあいだには、国家財産を浪費する傾向が少なからずあらわれています。国家では貴重な外貨をかけて高級乗用車を輸入して幹部に提供しましたが、一部の幹部はそれを大事にせず、やたらに乗りまわして台無しにしています。彼らのなかには貫禄をつけるために乗用車を乗りまわす人がいますが、そういうことではいけません。国家が幹部に乗用車を提供するのは、出張のときなどに利用し、時間の浪費をなくして仕事に励むようにするためです。それゆえ、幹部は乗用車をやたらに乗りまわそうとせず、仕事のために有効に利用すべきです。

 幹部は家庭の革命化に深い関心を払わなければなりません。子女や弟を正しく教育し、特に妻の教育に力を入れて徹底的に革命化すべきです。妻を完全に革命化するのは無理だとすれば、せめてその後れた思想に毒されないようにすべきです。幹部は妻の後れた思想の影響からぬけだし、最後まで革命活動にすべてをささげなければなりません。

 幹部の革命化において重要なのは、党組織が対人活動に力を入れ、彼らのあいだで階級的動揺を起こすようなことのないようにすることです。

 幹部が階級的動揺を起こさないようにするというのは、どの階級の出身であれ、労働者階級に奉仕するというかたい決意をもって、最後まで革命に忠実でありつづけるようにすることを意味します。

 幹部のなかには、家族関係が複雑であっても、変わることなく労働者階級に忠実に奉仕している人が少なくありません。きのう、私はわが国の水力資源の開発問題について電気・石炭工業省電力総局の技術処長と話しあいました。彼は労働経歴ももっている、鍛えられた電気技術者ですが、家族関係で多少複雑な問題をかかえている人です。彼はきょうまで20年近く同じ地位で働いています。しかし彼は、地位についていささかの不満ももらさず、同じ地位で労働者階級のために忠実に働いてきました。そのため、彼は党中央委員会の委員にまで選挙されたのです。きのう、私は彼に、わが国水力資源のより積極的な開発案を作成して提出する課題を与えました。党中央委員会重工業部は、彼が党から与えられた課題を立派に遂行できるよう援助すべきであります。

 きょう、私が彼のことを例にあげたのは、いまなお幹部のなかに自分の経歴問題で悩んでいる人がいるからです。党に信頼してもらえればいうことがないはずなのに、なぜ経歴問題で悩むのでしょうか。

 常々言っていることですが、履歴薯は系譜を詮索するためのものではありません。党が履歴書をみるのは、幹部がかつてどのような思想の影響をうけ、どのような思想要素をもっているのかを知り、悪い思想要素を除去するのに適した薬を用いるためです。

 にもかかわらず、一部の幹部はこれを正しく認識していないため、自分の経歴問題でいたずらに思い悩んでいます。これには、党活動家が幹部事業を正しくおこなっていないところにもある程度原因があります。いま一部の党活動家は履歴書を基本にして幹部事業をおこなっています。

 かつて、地主階級出身の子弟のなかにも、我々とともに革命闘争をおこなった人がいます。もし系譜を詮索するならば、そのような人は我々と同じ隊伍で革命に参加することはできなかったはずであり、社会主義制度のもとで働くこともできないはずです。しかし20〜30年間も党と革命のため、労働者階級のためにたたかってきた人に出身階級などなんの関係があるというのでしょうか。

 党活動家は、対人活動を正しくおこなって大衆を党のまわりにかたく結集させ、特に幹部との活動に力を入れ、家族関係の複雑な幹部が活動の過程で人の顔色をうかがったり、ひっこみ思案になったりすることのないようにすべきであります。そうしてこそ、彼らを革命化することができます。党組織は、家族関係の複雑な幹部が勇気と自信をもって仕事に励むよう積極的に援助しなければなりません。

 また家族関係の複雑な幹部は、みずからが労働者階級に忠実な革命家になるため積極的な努力を傾けなければなりません。誰でも生涯を革命闘争にささげようとするならば革命家になれるものです。鄭準沢同志や姜永昌同志は労働者階級の出身ではありませんでしたが、みな革命家であります。

 党組織は幹部の家族関係を狭い目でみてはならず、また幹部自身にしても、自分の系譜に拘束されないようにすることです。家族関係の複雑な幹部も、ひたすら党を信頼し、いささかも動揺することなく、労働者階級の立場をかたく守るべきであります。

 幹部の革命化で次に重要なのは、すべての幹部が党組織にしっかりと依拠して生活し、党に自分の問題を率直にうちあける習慣をつけるようにすることです。党員は誰であれみずから党組織を尋ねて一身上の問題にいたるまですべての問題をうちあけなければなりません。党組織の責任者に直接話しにくい場合には、彼に正しく報告できる他の幹部に話してもかまいません。

 この世に欠点のない人間などありえません。要は、誤りの性格にあり、おかした誤りをいかに正すかにあるのです。誤りをおかしたとしても、それを適時に悟り、早く改めればよいのです。

 党員は、自分のおかした誤りを党の前に率直にうちあけるべきです。そうしてこそ、心が晴れ、党組織の援助をうけて誤りを速やかに改めることができます。

 自分の誤りをかくして話そうとしない人は危険な存在であり、いつかは問題を起こすものです。かつて、ある人は、投獄されて転向文を書いたことまでは党の前にうちあけましたが、革命の同志を密告したことはかくしていました。もちろん転向文を書いたのも悪いが、革命同志を密告したのは重大な反逆行為であります。しかし我々は、彼が党の前に自分の誤りを率直にうちあけるものと信じ、彼に職務を担当させました。党は彼に信頼を示しましたが、彼は最後まで革命の同志を密告した事実を党の前にうちあけませんでした。

 いま幹部のなかに党に心を許そうとしない人が一部いますが、それには2つの原因があるといえます。その1つは、一種の疑惑の念をいだいているからであり、いま1つは、最初うちあけなかったことを、いまになってうちあけてたいへんなことになるのではないかという危惧の念があるからです。いずれにせよ、党に心の底をうちあけず、欠陥を包みかくしておくのは正しくありません。遅くなったとしても、党の前に自分の誤りを率直にうちあけるべきです。

 幹部がみずからを徹底的に革命化するためには、第1に党生活を強化し、第2に学習気風を確立しなければなりません。現在、我々は狡猾きわまりない敵と対峙しています。我々は南朝鮮のかいらい一味ばかりでなく、その背後にある狡猾なアメリカ帝国主義者、日本軍国主義者ともたたかわなければなりません。これらの敵とたたかって勝利するためには、何よりも革命の指揮メンバーである幹部が革命的鍛練を強化し、革命的世界観でしっかり武装しなければなりません。そのためには、幹部のあいだで党生活を強化し、革命的学習気風を確立しなければなりません。

 特に、道党委員会の活動家と経済機関の活動家の革命的鍛練に深い関心を払わなければなりません。現在、道党委員会と経済機関には、党性鍛練に欠けた活動家が少なくありません。したがって、党中央委員会は、道党委員会と経済機関の活動家に対する活動に力を入れ、彼らをいっそう革命的に鍛えなければなりません。

 我々は来年度に6か年計画の重要目標を達成するための基本建設を強力に進め、社会主義経済建設に一大高揚をもたらす一方、党活動に新たな転換をもたらし、幹部の革命化をさらにおし進めなければなりません。そして来年度は、社会主義経済建設分野では建設の年に、党活動分野では幹部の革命化の年になるようにすべきであります。

 次に、党の唯一思想体系を確立するたたかいをひきつづき強化すべきであります。

 党組織は党員と勤労者の思想教育を正しくおこない、彼らをわが党の唯一思想、チュチェ思想で武装させなければなりません。こうして、すべての党員と勤労者に、わが党の思想と領袖以外は認めないという確固とした立場と観点をもたせるべきであります。

 党の唯一思想体系の確立において特に、個別的人物に対する幻想が生じないようにすることがきわめて重要です。歴史的経験は、個別的人物への幻想が生じれば党と革命に重大な悪結果をまねくことを示しています。党内ではなんぴとであれ神聖不可侵の存在とはなりえません。革命家の遺児にしても同じです。いうまでもなく我々は革命家の遺児をいたわり愛さなければなりません。しかし、革命家の遺児だからといって、神聖不可侵の存在となるものではありません。革命家の遺児は父親の革命闘争の経歴を鼻にかけるのではなく、自己に負わされた革命課題を立派に遂行することによって、大衆の信望を得なければなりません。

 今後、党中央委員会組織指導部および宣伝扇動部では、下達ずみの『党の唯一思想体系確立の10大原則』を検討し、必要な内容を修正、補足して下達しなおすのがよいでしょう。そして各級党組織ではそれをもって党の唯一思想体系を確立する活動をひきつづき深化させるべきです。

 党の唯一思想体系を確立する活動で形式主義を一掃しなければなりません。

 最近、咸鏡南道に行ってみましたが、そこの党組織には党の唯一思想体系が確立されていませんでした。

 咸鏡南道にはまだ地方主義が濃厚であり、人びとの意識にはブルジョア思想も少なからず残っています。地方主義とブルジョア思想は、わが党の唯一思想とは緑もゆかりもありません。

 銅像を建て家庭に肖像画をかけるからといって、党の唯一思想体系が確立されるわけではありません。もちろん、そういうことも党の唯一思想体系の確立にとって必要なことです。しかし、それだけでは党の唯一思想体系を確立することはできません。党の唯一思想体系を確立するためには、銅像を建てたり肖像画をかけるにとどまらず、党員と勤労者に党の路線と政策を明白に認識させ、それを自分の血と肉とするようにしなければなりません。

 次に、南北対話の問題について簡単にふれておきましょう。

 現在、南朝鮮当局者は、狡猾にも南北対話を利用して南朝鮮人民の反ファッショ・反「政府」闘争を抹殺しようと策動しています。また彼らは、あたかも南北対話に熱意があるかのように装い、人民をあざむき時間をひきのばそうと策しています。

 それで我々は、南北対話の推進方法を研究しています。この問題については今後、党中央委員会政治委員会でいま一度討議する予定です。

 祖国の自主的平和統一を達成するためには、一日も早く我々とアメリカとのあいだに平和協定を結ばなければなりません。これは、祖国の統一をめざす闘争で我々の達成しようとする重要な目標の一つであります。これとともに南北朝鮮の軍隊を縮小し、南朝鮮の「反共法」を撤廃して南朝鮮社会の民主化を実現しなければなりません。そうして南北朝鮮の各政党・大衆団体の人士が自由に行き来し、政治活動ができるようにしなければなりません。こうなれば、祖国の自主的平和統一をめざす朝鮮人民の闘争には、より有利な局面が開かれるようになるでしょう。

 しかし南朝鮮の反動層は、わが党の平和統一方針を受け入れるならば南朝鮮で人民の革命闘争が起こるといって、これに極力反対し、ファッショ的な「維新体制」を維持するため必死になっています。したがって、我々が祖国の自主的平和統一を実現するためには、南朝鮮当局者とひきつづき粘り強い闘争を展開しなければなりません。
出典:『金日成著作集』28巻 

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