金 日 成

教育部門への3大革命グループの派遣について
−教育部門の3大革命グループにおこなった演説− 
1973年12月11日 

 今年の初めに、党中央委員会政治委員会の決定にもとづき、我々は大学生および党・大衆団体・国家機関の活動家からなる党中央委員会3大革命グループを各工場、企業所、協同農場に派遣しました。3大革命グループが工業部門と農業部門で活動をはじめて一年近くなりますが、その間、彼らは多くの成果をおさめました。

 3大革命グループが、工場、企業所や協同農場に行って調べた資料によれば、大学、高等専門学校など教育機関におけるこれまでの幹部養成事業の質が劣っていることがわかります。

 いま工場、企業所、農業部門で働いている幹部は、ほとんどがわが国の大学を卒業した人たちです。特に、金策工業大学、元山農業大学、平壌農業大学の卒業者が多数をしめています。総合大学の卒業者は、党機関や国家機関に多く配置されたせいか、生産現場にはあまりいません。

 わが国の大学を卒業して工場、企業所や協同農場で活動している幹部を理解したところによると、彼らには欠陥が少なくありません。もちろん、彼らには長所もたくさんあります。わが国の大学で養成された技術者、専門家の手で、かつては立ち後れた植民地農業国であったわが国をこんにちのような立派な工業国にきずきあげ、それを管理運営していること自体が、極めて光栄なことであり、誇るべきことであります。しかし、彼らのなかには、社会主義社会の技術者としての主人らしい態度で働こうとするのでなく、日本帝国主義支配時代に奴隷生活を強いられたときのように、月給取りのように働く傾向がかなりあります。一部の人は、古い思想の影響とたたかおうとせず、むしろ、それに毒されて、仕事をいい加減にし、官僚主義的にふるまう傾向がかなりあらわれています。とりわけ活動家は、大学を卒業したのち、学習を怠ったため、時勢に立ち後れています。さらには、一部の人はブルジョア思想、修正主義思想に染まって思想的に腐敗し、安逸に流れ、堕落した生活をしています。このような人がわが国の大学で教育をうけたのかと疑いたくなるくらいです。

 このたび咸鏡南道党委員会の活動に対する現地指導をつうじて、私は活動家たちに重大な欠陥があることをいっそう明確に知るようになりました。

 先日、咸興に行って、当地で活動中の3大革命グループの活動報告を聞きました。彼らは、ほぼ一年のあいだ大衆のなかに深くはいって活動したので、労働者の暮らしむきや働きぶり、幹部の思想動向や活動状況などを具体的に調べ、活動家の官僚主義的な作風や国家財産の着服・浪費行為、党および勤労者団体の活動にあらわれる欠陥など重要な問題を少なからずとらえました。

 これまで大学を卒業し工場、企業所で働いている活動家に多くの欠陥があることは明白です。彼らのうちかなりの活動家が政治的・思想的自覚に欠け、レベルが低いため、工場の管理運営も、新しい工場の建設も満足にできません。なかには、大学を出ていながら、設計図面も思うように作成できず、紀行文一つまともに書けない人がいます。

 今日、この席には大学教員が多数参加していますが、いま工場、企業所や協同農場で働いている幹部は、大多数がみなさんの教え子です。したがって、幹部のレベルが低いのは、彼らを養成した大学の教育に欠陥があることを示すものです。

 社会科学と自然科学とを問わず、大学教育の質が全般的に低いのか現状です。そのため大学卒業者の科学技術水準や政治理論水準が低く、党性、労働者階級性、人民性も高くないのです。

 それで、最近、私は総合大学と金策工業大学の講座長以上の教員に集まってもらって、大学教員が教育の質を高めるために奮起するよう強調しました。その席上で私は、教育の質を高めるために教員が学習気風を確立し、外国の図書を多く翻訳し著書も多く執筆して、各大学の図書館を充実させなければならないと話しました。

 私は、大学生のレベルが低い原因について関係部門の活動家と話しあいました。一部の人は、その理由として大学生の作業動員が多いことをあげています。しかし、我々はそうは考えていません。

 もちろん、わが国の大学生が、資本主義社会の大学生にくらべて作業を多くするのは事実です。しかし、わが国の現状のもとで、大学生に全然仕事をさせないわけにはいきません。

 周知のように、解放前、朝鮮には大学生が数えるほどしかいませんでした。当時にしてみれば学校にかよえるのは裕福な家庭の子弟だけで、貧しい家の子弟にはそれができませんでした。しかし、現在わが国には、働きながら学ぶ大学生を除いて、全日制の大学にかよう学生だけでもほぼ11万名に達し、これに高等技術学校の学生まで加えると24万名を越えます。このほか多数の青年が人民軍に服務しています。このように青年労働力の大部分が学校と軍隊にあるわけです。わが国に軍隊はそれほど多くありませんが、学生は非常に多いのです。人民学校から大学にいたる各級学校の学生・生徒数は460万名以上で、これに託児所と幼稚園の幼児まで加えれば800万名を越えます。

 わが国のように学生・生徒の比率が高い国は世界に例をみません。人口比からすれば、わが国の学生・生徒の比率は世界最高です。託児所の数も他国の数倍にのぼり、幼稚園数も世界で一番多いのです。したがって、国家の負担がたいへんなものです。しかし、我々はこれを大きな負担と考えず、むしろ誇りとしています。我々はかつて立ち後れていたため、早く先進国に追いつき、それを追い越すためには、国家が当然このような負担にたえるべきだと考えています。

 わが国には学生・生徒のみでなく、教員、保育員、教養員、医師、それに国家公務員、大衆団体活動家も多数にのぼりますが、これらの人々はいずれも生産に直接参加していません。こうした状況のもとでは、大学生に全く仕事をさせないというわけにはいかないのです。

 大学生が何日か農村に行って田植えや草取り、取り入れなどを少々手伝うからといって、彼らの学力が低下するわけではありません。かつて苦学生は毎日アルバイトをしながらも、裕福な家の子弟よりも成績が優秀でした。大学生の学力が劣っている原因はけっして作業が多いことにあるのではありません。そういう考え方をするのは間違っています。

 大学生の学力がかんばしくない原因は、大学教育の質が低いことと、科学知識の探究に必要な条件を完備していないところにあります。

 現在、大学生にとってさまざまな参考書を読めないのが最大の欠点となっています。さまざまな参考書を多く読んでこそ、知識が豊かで強固なものになるのですが、そうできないため、学力が向上しないのです。

 教育部門の活動家は、大学生用の参考書を多く出版するために努力すべきです。我々は来年初に全国教育者大会を開く予定ですが、全国の大学教員がいまからはじめて、それまでに本を一冊ずつ執筆するかまたは外国の図書を一冊ずつ翻訳するようにしなければなりません。そうすれば、多くの図書を出版することができます。この仕事に広く大学生まで参加させるならば、年に数十万冊の図書を出版するのは問題にもならないでしょう。

 大学生のレベルが低いのは、彼らを教える教員のレベルが低いことも主な原因となっています。

 現在、大学教員のなかには外国語をマスターしていない人がかなりいます。私はこれまで、一つ以上の外国語をマスターする運動を進めるようたびたび強調しましたが、それが正しく実行されていません。外国語を知らないので、大学教員は外国の参考書が読めません。そのうえ、外国の参考書を翻訳して出版したものも多くありません。いま一部の大学教員のもっている財産といえば、学生時代に講義をうけたノートしかありません。大学教員がこうした状況なのですから、正しい講義ができないのは目に見えています。

 我々は、全国が灰じんに帰し、人民がまだ壕舎で暮らしていた停戦直後、教員と学生を勉学に励ませるため外国から数十万冊の本を購入して平壌に中央図書館を設立しました。当時これらの書籍を外国に注文したところ、彼らはみな目を見張りました。彼らは、いま朝鮮では食べるもの、着るものさえこと欠いているというのに、それを求めるのではなく、民族幹部を養成するといって本を注文してきたと言ったものです。

 我々は停戦直後、国の実情が困難を極めていたにもかかわらず、このように民族幹部の養成に深い関心を払いました。しかし、これまで大学教員が勉強を怠ったため、そのレベルが向上していません。教員のレベルが低いのでいきおい授業の質も低くなり、結果的には大学生の学力も劣るほかはないのです。

 党中央委員会は、大学教育の質が低いことを考慮して、各大学の教育事業を立てなおし、それをさらに強化するため、教育部門に3大革命グループを派遣することにしました。

 大学教育の質を高めることは、新しい世代を革命家に育てあげるための極めて重要な問題です。

 わが国の大学は、国家と人民の出費によって民族幹部を養成する機関です。わが国では、学生・生徒が大学を卒業するまで長い期間にわたって集団生活をします。託児所はさておき、幼稚園から数えても幼稚園で2年間集団生活を送り、次は人民学校および高等中学校で10年間勉強しながら集団生活をします。したがって、高等中学までとしても12年のあいだ集団生活をすることになります。高等中学校を卒業したあとは、数年間、工場で働くか、または人民軍に服務するわけです。今後、軍隊服務期間は多少短縮する予定ですが、現行の4〜5年を規準とすれば、軍隊生活までの集団生活期間は17年になります。これに大学生活を5年加えれば、幼稚園から大学卒業まで22年間集団生活をする計算になります。

 10年たてば山河も変わるといいますが、22年ならその間に2回も山河が変わってなおあまりがあります。党組織と教育部門の活動家が綿密に取り組むならば、学校教育期間に新しい世代をすべて立派な革命家に育てあげることができます。

 もちろん、わが国で全般的10年制高等中学義務教育の実施とあわせて、多くの人に大学教育までうけさせるには、国家の負担が大きく困難であることはたしかです。社会主義諸国のなかでも、10年制義務教育を実施している国はいくつもありません。

 わが国は日本帝国主義の植民地支配から解放されて30年にもなっておらず、それに彼らが敗退するとき多くのものを破壊し、さらに3年間の祖国解放戦争によって全国土が廃墟に帰した状態で社会主義建設を進めましたが、そうした状況下でも全般的10年制高等中学義務教育を外国よりも早く実施しました。こうして、こんにちわが国には、育ちゆくすべての新しい世代を立派に教育できるすぐれた教育制度が確立されました。

 幼稚園に有能な教養員を配置して、子どもが集団生活をはじめるときから正しい教育を与えるようにし、各級学校に有能な教員を配置して学生・生徒の集団生活を正しく指導するようにし、軍隊でも正しい集団生活をさせるならば、大学を卒業するときまでの期間にに人々を革命的に鍛えて、社会に送りだすことができます。

 高等中学を卒業したのち、青年を数年間人民軍に服務させて鍛えるのは非常に有益なことです。軍隊に服務して困難に耐え、規律生活をつうじて鍛えるのは、労働生活をするのと変わりありません。それで我々は幹部問題を扱うとき、軍隊服務経歴の有無を非常に重視するわけです。数年間軍隊に服務した人は、実際上、それだけの期間労働をした人以上に鍛えられているといえます。なぜなら、人民軍は革命軍隊であるからです。革命軍隊での規律と組織生活は極めて厳格です。青年が数年間、人民軍に服務すれば、革命的な規律と組織生活のなかで鍛えられます。軍隊服務を終えて大学で5年間勉強しながらさらに集団生活を正しくおこなえば、そういう人は革命的世界観の確立した立派な革命家になれます。

 今後、このすぐれた教育制度を立派に運用するならば、10年、20年後にはすべての新しい世代が文武を兼備した人材、つまり学識と軍事を兼備したすぐれた革命家に育つようになるでしょう。そうなれば、いかなる力も朝鮮民族にたちうちできなくなるでしょう。

 わが国の教育制度の優位性と、わが党と国家の次代の教育に対する配慮については外国人も驚嘆しています。

 元チリ大統領のアジェンデが政権をとる前に訪朝したことがあります。そのとき、私は彼と長時間談話を重ねましたが、彼は自分が政権をとって社会主義を建設するようになれば、朝鮮のやり方を採用するといいました。さらに朝鮮の教育制度その他いろいろな問題を学ぶために、夫人と妹を送るといいました。彼は大統領に就任すると、約束どおり妹をわが国によこしました。

 アジェンデの妹はわが国にきて、我々が全国の児童・生徒・学生に一度にタフタ織の綿入れをつくって着させているのを見て非常に感嘆しました。私が彼女と会見したときに同席した駐朝チリ大使は、自分は世界の多くの国を見てまわったが、1か月のうちに全国の児童・生徒・学生に残らず冬服を支給するような恐るべき力をもった国ははじめて見たと言いました。

 我々はこのようなすぐれた教育制度をきずき、学校教育に必要なあらゆる条件を国家が保障しています。要は、大学をはじめ各教育機関が教育をいかにおこなうかにかかっています。

 教育部門の3大革命グループは、今回大学に出向いて、教育事業がわが国の先進的な教育制度に即しておこなわれているかどうかを具体的に調べるべきです。

 教育部門に派遣される3大革命グルーブの任務は、工業部門や農業部門に派遣された3大革命グループの任務とは異なります。後者の任務は、工場、企業所や協同農場で思想革命、技術革命、文化革命を力強くおし進めるよう指導することです。しかし、前者は主として大学における思想革命と文化革命の遂行状況、つまり大学で学生を朝鮮革命の頼もしい後続隊として正しく教育しているか、思想教育と学習気風の確立に力を入れているかを点検し、指導することです。教育部門では、設備改善や技術改造といった技術革命の課題は直接提起されません。ですから教育部門の3大革命グループは大学に行って直接技術革命を遂行することはなく、教員が現代科学技術発展の要求に即して教育をおこない、学生の科学技術水準を高めるために極力努力するよう指導することです。

 教育部門の3大革命グループは、何よりも学生を革命家に育てあげる重責を担っている教員自身が共産主義者、革命家としての資格をそなえているかを調べるべきです。

 かねがね言っていることですが、学生を共産主義者に育てるためには、まず教員自身が共産主義者にならなければなりません。したがって、教育部門の3大革命グループは、学長、教務部長をはじめ、全教職員が共産主義思想、わが党のチュチェ思想で武装しているかどうか、共産主義者としての品格をそなえているかどうかということから調べるべきです。これが最も重要なことです。

 大学に行って調べてみれば、教員のなかに不堅実な人がいないともかぎりません。もちろん、そういう人は解職することもできますが、できるだけそうせずに、教育改造すべきです。言いかえれば、医師が患者の病気を治療するように、みなさんも欠陥のある人を教育改造しなければならないのです。

 次に、教育部門の3大革命グループは、大学教育が社会主義教育学の要求に即して革命的におこなわれているのか、または社会主義的なものでもなく資本主義的なものでもない、どっちつかずの教育がおこなわれてはいないのかを検討すべきです。

 先日、咸鏡南道に行ったとき3大革命グループから聞いたことですが、そこのある図書館にはいまなお封建思想を説教する書物や反党分派分子の書いた不健全な書籍がかなり残っているといいます。これは、そこではまだ革命の旋風が起きていないことを物語っています。

 大学で社会主義的なものと資本主義的なもの、封建的なものが入り混じったどっちつかずの教育をおこなうならば、そのような教育をうけた学生はどっちつかずの人間にならざるをえません。大学で学生を、社会主義制度を擁護し共産主義社会の建設のために献身する共産主義者に育成するためには、必ず社会主義的で革命的な教育をおこなわなければなりません。したがって、教育部門の3大革命グループは、大学で資本主義的なもの、封建的なものなど、雑多なものが入り混じったどっちつかずの教育がおこなわれてはいないのか、社会主義教育学の要求に即した社会主義的で革命的な教育がおこなわれているのかを見きわめるべきであり、教育において社会主義教育学の要求が全面的に具現されるよう指導すべきです。

 社会主義教育学における最も重要な問題は、地主、資本家階級および搾取制度を憎悪するように学生を教育することです。

 帝国主義者と地主、資本家に抑圧され搾取された過去を忘れるな、というのはわが党が示した重要なスローガンです。学校教育では、かつて日本帝国主義の植民地支配のもとで朝鮮人民が帝国主義者と地主、資本家からいかにひどく搾取され抑圧されたか、また革命烈士が帝国主義侵略者と地主・資本家階級に反対していかにたたかったかを正しく教えなければなりません。言いかえれば、わが党の栄えある革命伝統で学生を教育しなければなりません。これとあわせて資本主義社会の本質と社会主義社会の本質、資本主義制度に対する社会主義制度の優位性を明確に認識させるべきです。こうしてこそ、学生を帝国主義と地主、資本家の制度を憎み、社会主義制度を愛し、革命の獲得物を守るため献身的にたたかう革命家に育てることができます。

 また、南半部を忘れないように学生を教育すべきです。祖国の半分である南朝鮮はいまなおアメリカ帝国主義者の占領下にあり、そこには地主、資本家がそのまま残っています。そこではまた、ファッショ支配がおこなわれています。南朝鮮社会では、生活難に耐えられず一家服毒心中をしたり学費が払えず投身自殺を遂げるといった惨状が日常茶飯事となっています。我々はアメリカ帝国主義者とその手先のファッショ支配のもとで、あらゆる不幸と苦痛をなめている南朝鮮人民をかたときも忘れてはなりません。

 南朝鮮はアメリカ帝国主義者に占領されているばかりか、しだいに日本軍国主義者の植民地に転落しつつあります。それで最近、南朝鮮の愛国的な青年学生は「日本による経済的植民地化反対!」「朴政権打倒!」のスローガンをかかげて毎日はげしい闘争を繰り広げています。今日も南朝鮮では各大学の学生が宣言文を発表して、反「政府」、反ファッショ闘争をつづけていると伝えられています。南朝鮮青年学生の闘争を支持声援し南朝鮮革命を支援するのは、我々の崇高な民族的任務であり、階級的責務であります。学校では学生が南半部を忘れないように教育することによって、彼らが民族的任務と階級的責務を果たすため積極的にたたかうようにすべきです。

 学生に共産主義の未来を愛する精神を植えつけるのは、社会主義教育学の重要な内容の一つです。共産主義の未来を愛する精神で教育してこそ、彼らがうるわしい三千里錦の山河に搾取と抑圧のない共産主義社会を建設するため積極的にたたかい、ひいては帝国主義がなく、地主、資本家もない新世界を創造するために最後までたたかうようになります。

 学校教育ではまた、封建主義思想、ブルジョア思想、事大主義思想などさまざまな古い思想を一掃し、マルクス・レーニン主義思想、わが党のチュチェ思想で武装させるために大きな力を傾けるべきです。

 学校ではすべての学生を「一人はみんなのために、みんなは一人のために」たたかう集団主義思想で武装させ、労働を好み国家と社会の共同財産を愛護し、勤労者を骨のおれる労働から解放する3大技術革命の課題を実現するために、新しい技術と科学の探究に専念するよう教育すべきです。

 社会主義教育学は、このように学校で学生を社会主義的、革命的に教育することを求めています。教育部門の3大革命グループは、社会主義教育学のこのような内容を基準にして大学の教育事業を検討し、是正すべきです。

 次に、教育部門の3大革命グループは、教員と学生のあいだで学習気風を確立するために努力すべきです。こうして、すべての大学教員と大学生に学習を好む習慣をつけさせなければなりません。

 学習気風の確立とあわせて党、勤労者団体の組織生活と学校の規律を強化すべきです。

 すべての教職員と学生を社労青組織生活および党生活に積極的に参加させ、学校の規律を厳守するようにすべきです。いま学校の規律が非常に乱れています。学校の規律を強めて、遅刻や無届欠席をなくし、すべての学生が身なりを端正にし帽子もきちんとかぶり、靴もきれいに磨いてはくようにすべきです。学校の規律の確立では教員が模範を示すべきです。教育委員会では、教員から先に身なりを端正にし、学校の規律を自発的に守るように指導すべきです。

 授業規律も確立すべきです。そうして学生が授業時間にふざけたり秩序を乱したりすることのないようにしなければなりません。

 もちろん規律を強化するからといって、資本主義社会でのように強制的な方法を用いてはなりません。しかし、点検制度は厳格に実施する必要があります。毎朝点検するのを制度化すれば、学校の全般的規律を強化することができます。教育部門の3大革命グループは、大学に出向いて学習規律や組織生活規律にかぎらず、大学の全般的規律も厳格に確立するようにしなければなりません。

 大学教育で重要な問題の一つは、学生に大衆活動の方法を正しく教えることです。

 大学を卒業して社会に進出した人たちが、まもなく古い思想に毒されて官僚化し、官僚主義的な行動をとるようになりますが、これは大学教育が正しくおこなわれなかったことを示しています。大学は民族幹部を養成する教育機関なのですから、当然学生に社会・政治活動もおこなわせ、大衆活動の方法も教えるべきです。そうしてこそ在学中に高度の科学知識を所有するとともに、大衆の前での演説の仕方、党の政策や科学技術問題の解説方法、洗練された大衆活動の方法なども身につけるようになります。

 大学ではまた、学生に情勢に関する講演も定期的におこなうべきです。いま大学で情勢に関する講演を適時におこなわないため、学生は情勢をよく知らないありさまです。今後、大学では党中央委員会と社労青中央委員会が作成したテキストをもって毎週1回講演をおこなうべきです。そうして学生が常に内外情勢に通じているようにしなければなりません。

 こんにち朝鮮革命の国際的環境は極めて良好です。わが党と共和国政府の国際的威信がかつてなく高まり、朝鮮革命の支持者は日を追って増大しています。

 周知のようにアメリカ帝国主義者と南朝鮮の反動層は朝鮮の分断を永久化するため、今年の国連総会に「二つの朝鮮」国連同時加盟案を提出しましたが、多数の国がそれに反対しました。

 現在、世界には多くの非同盟国がありますが、これらの国はわが党の自主的平和統一方針を積極的に支持しています。さきごろアルジェリアで80余か国の首脳とその代表の参加のもとに開かれた第4回非同盟諸国首脳会議では、朝鮮の内政に対するあらゆる形の外国勢力の干渉にピリオドを打ち、国連の旗のもとに南朝鮮を占領している外国軍隊を撤退させ、「国連韓国統一復興委員団」を解体し、朝鮮の国連加盟は朝鮮の完全を統一後、あるいは南北連邦制実施後に単一国号によってなされるべきであるという決議を採択しました。この会議後、国連総会での朝鮮問題の討議をひかえて、アルジェリア革命評議会議長は第4回非同盟諸国首脳会議議長の名で、非同盟諸国の首脳に電文を送りました。彼はその電文で、第4回非同盟諸国首脳会議で採択された「朝鮮問題に関する決議」について想起させ、今年の国連総会で同首脳会議の決議の精神にそって、朝鮮問題の平和的解決がなされるように、非同盟諸国の首脳がひきつづき努力するよう呼びかけました。

 現在国連に加盟しているのは130余か国ですが、そのうち80余の非同盟諸国がアメリカ帝国主義者とその手先の提出した朝鮮問題に関する「決議案」に反対すれば、それが否決されることは目に見えていました。それで、アメリカ帝国主義者と南朝鮮反動層は、やむなく彼らの「二つの朝鮮」国連同時加盟案を撤回しました。こうして今年の国連総会では、彼らの「二つの朝鮮」国連同時加盟策動は破綻しました。そして、アメリカ帝国主義の御用機関である「国連韓国統一復興委員団」は解体されました。

 今年の国連総会では、国連の旗のもとに南朝鮮を占領しているアメリカ帝国主義侵略軍の撤退問題は解決されませんでした。我々は今年の国連総会で、アメリカ帝国主義侵略軍の南朝鮮からの撤退問題を表決にもちこみませんでした。それは、国連総会でわが党の主張を反映した決議案が可決されたとしても、南朝鮮を占領しているアメリカ帝国主義侵略軍の撤退問題は解決されないからです。「国連軍」の帽子をかぶったアメリカ帝国主義侵略軍を南朝鮮から撤退させる問題は国連総会ではなく、国連安保理事会で最終的に決定されること担っています。したがって、この問題が国連総会で可決されれば、安保理事会に移管されます。安保理事会では少数の構成国によって問題を討議するわけですが、どこか一国でも拒否権を行使すれば決議は採択されません。またこの問題が安保理事会に移されると、共和国代表は国連で自己の主張を発表する機会を失うことになります。そのため、我々は今年の国連総会で、国連の旗のもとに南朝鮮を占領しているアメリカ帝国主義侵略軍の撤退問題を表決にもっていかなかったのです。我々は今後、国連でこの問題をもってひきつづきたたかうでしょう。

 今年の国連総会でアメリカ帝国主義者とその手先の「二つの朝鮮」国連同時加盟策動は完全に粉砕されましたが、彼らは依然としてその侵略的野望を捨てていません。アメリカ帝国主義者は朝鮮を分断し、南朝鮮を侵略的軍部基地として利用しつづけようとしており、日本軍国主義者は南朝鮮を永久の商品市場にかえようと策動しています。

 南朝鮮の青年学生は、アメリカ帝国主義者と日本軍国主義者のこうした侵略的野望を見きわめ、それに反対して勇敢にたたかっています。南朝鮮の情勢も、祖国統一偉業の実現をめざす朝鮮人民の闘争に有利に進展しています。

 こうした情勢のもとで、我々の重要な課題は全人民をわが党の革命思想、チュチェ思想で武装させ、朝鮮革命の代をつぐべき新しい世代を熱烈な革命家、真の共産主義者に育てあげることです。これとともに社会主義経済建設をさらに促進し、人民生活を早急に向上させなければなりません。

 これまで人民が奮闘した結果、いまでは国防工業も、重工業も一定の水準に到達しました。現在わが国の重工業に欠点があるとすれば、それは採掘工業が十分に先行していないことだといえます。3大革命グループが現地に行って調べたところによれば、石炭と鉄鉱石の採掘が先行しないため、人民経済全般の発展に少なからず支障をきたしています。それで最近、党は採掘工業を決定的に先行させる措置を講じました。

 わが党が当面の重要課題としているのは、採掘工業の先行とあわせて、生活必需品の生産に大きな力を傾け、人民生活をいちだんと向上させることです。わが党は今後数年のうちに人民に衣服や靴類もより上質をものがゆきわたるようにし、他国に劣らぬ豊かな生活を保障する考えです。

 今年、農民は党の方針にそって営農に励んで豊作をおさめました。我々は必要な食糧を備蓄してもなお、来年分の食糧を十分に確保できるようになりました。

 来年度からは食肉の問題も解決できそうです。最近、党中央委員会政治委員会では、来年度に人口一人当たり毎日55グラムの食肉を供給できる可能性を見つけだしました。仕事を綿密に手配して取り組むならば、これは十分可能なことです。これからは食品加工工業もさらに発展させる計画です。

 このように、党はいま人民生活の向上のために大きな力を傾けています。私の考えでは、今後2〜3年のあいだ軽工業の発展に力を入れれば、人民生活の向上において画期的な前進が遂げられるものと思います。

 私は今日、みなさんに長々と話をしようとは思いません。党中央委員会ではまだ、教育部門の活動を具体的に把握していません。現段階において明白にいえることは、これまで大学教育をうけた活動家のレベルが低いということです。大学卒業者のうちにはもちろんレベルの高い人もいますが、全般的にみてレベルが低いのか現状です。現在、党中央委員会が把握しているのはこの点です。今回、教育部門に派遣される3大革命グループは何よりもこの欠陥を改めることに重点をおいて活動すべきです。

 今回は教育部門の3大革命グループが15の大学で6か月間活動すること担っているとのことですが、手始めとしてはそうするのがよいと思います。今後、師範大学の学生で3大革命グループを組織して、普通教育部門の学校に対してもひととおり点検をおこなうべきです。高等中学校に3大革命グループを派遣して、学習気風を確立し、教員と生徒の組織生活を強化する必要があります。

 今回はすでに手配したとおり、まず大学に3大革命グループを派遣すべきです。教育部門の3大革命グループは大学に行って、今日、指摘した方向にそって大学の事業を検討し、教育部門の全般的状況も調べ、教育部門の活動にあらわれている欠陥の是正方途も考えて党中央委員会に報告すべきです。

 来年の5月ごろ、教育部門3大革命グループの活動報告をうけて中間総括をおこなうようにするのがよいでしょう。


<注釈>わが党の栄えある革命伝統 金日成主席が抗日革命闘争の時期にきずきあげた朝鮮革命の貴重な財貨。
 朝鮮労働党の革命伝統は、チュチェの思想体系と共産主義的革命精神、不滅の革命業績と貴い闘争経験、革命的活動方法と人民的活動作風を基本内容としている。
                       
出典:『金日成著作集』28巻 

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