金 日 成

農業生産で新たな高揚を起こそう
 全国農業部門活動者大会でおこなった演説
−1973年8月9日− 


 私はまず、党中央委員会と共和国政府および私自身の名において、農業生産で新たな高揚を起こそうという党の呼びかけにこたえて、農業部門で献身的にたたかっているすべての農業勤労者と農業部門の幹部のみなさんに謝意を表します。

 私はまた、農業を指導する各級党組織の幹部と党の委任をうけて農村に出むき、思想革命、技術革命、文化革命を力強くくりひろげている活動家、特に、大学教員と大学生のみなさんに謝意を表します。

 今年は大豊作です。今年、我々は農業生産で空前の高い収穫を見こんでいます。我々は、今年度の営農で立派な成果をあげたばかりでなく、ここ1、2年内に650万〜700万トンという穀物生産の高い目標を達成できる強固な物質的・技術的土台と政治的・思想的基礎をきずきあげました。これは、党中央委員会の指導が正しく、党中央委員会の指導のもとに各級党組織とすべての農業勤労者、農村にはいっていった青年インテリたちが大いに努力したたまものであり、全党と全国の労働者階級、人民軍将兵と学生など、全人民がこぞって農村を積極的に支援した結果であります。

 私は、この大会に参加した農業部門の活動者と、農村を支援して献身的にたたかった労働者階級と学生をはじめ全人民に感謝を送ります。

 また人民軍の指揮官と兵士が、農村を支援して1トン以上の穀物を増収しようという党の呼びかけを心から支持して農村を積極的に支援するとともに、軍事的任務も忠実に果たしたことを非常に満足に思い、かれらに熱烈な祝賀と感謝を送るものです。

 一部の人は、我々が今年度の農業部門の活動を総括して万歳を唱えるのはあまりにも早すぎるのではないかと思うかもしれませんが、けっしてそうではありません。もちろん、今後、台風の被害があれば、穀物の収量が多少減ることもあるでしょう。しかし、台風の被害やどのような天災も、今年、農業部門できずきあげた物質的・技術的土台と政治的・思想的基礎を切りくずせるものではありません。今年、営農を立派におこなって国の米倉に米が多く積まれるようになったのも大きな成果でありますが、それよりも重要な成果は、今後さらに高い農業生産目標を達成しうる物質的・技術的および政治的・思想的基礎をしっかりきずきあげたことです。農業部門に強固な物質的・技術的土台と政治的・思想的基礎がきずかれていれば、我が国で700万トンどころかそれより高い穀物生産目標も達成することができます。したがって、きょう我々は、自負と確信をもって今年度農業部門でおさめた勝利を総括するのです。

 今年、農業部門で輝かしい勝利をおさめるようになった主な要因は、なによりも農村で思想革命を力強くくりひろげたところにあります。

 農村で思想革命を力強くくりひろげた結果、農業部門の幹部と農業勤労者の思想的・精神的風格が根本的に変わりました。特に、農業部門の幹部の官僚主義的、主観主義的な活動作風が姿を消しました。農村に行って農民と話しあってみると、かれらは、今年の農作がうまくいったのは、農業を指導する幹部の官僚主義、主観主義がなくなった結果だと口をそろえていっています。

 私がいつも言っていることですが、官僚主義、主観主義は、政権党にとって最も警戒すべき有害な活動作風です。我が党は、これまで幹部のあいだで官僚主義と主観主義に反対してねばり強くたたかってきたし、特に今年は、農業部門から官僚主義と主観主義を一掃するたたかいを強力にくりひろげました。こうして、農業部門の幹部のあいだに残っていた官僚主義と主観主義が克服され、すべての幹部が協同農場員のなかにはいって、かれらとともに働きながら党の農業政策を貫くために積極的にたたかう、率先垂範の革命的気風を身につけるようになりました。

 農村で思想革命を力強くくりひろげた結果、農村の幹部だけでなく、すべての農業勤労者が党のチュチェ思想で武装し、安逸に流れる傾向に反対し、社会と集団のために主人としての態度で誠実に働く気風を身につけるようになりました。

 次に、今年農業部門で輝かしい勝利をおさめるようになったのは、農村技術革命をおし進めて農業の物質的・技術的土台を強化し、農業を科学的、技術的に営むという党の方針を立派に貫いたからです。

 農業に投資もしないで豊作を期待するのは、修正主義的傾向であり妄想にすぎません。他の部門と同じく、農業部門も国家資金を投下して物質的・技術的土台を強化してこそ、生産を高めることができるのです。ところが、これまで一部の活動家は、資材や原料がないという口実で、農村にトラクターその他の農業機械を多く供給せず、燐酸肥料や微量要素肥料も十分に生産、供給しませんでした。そうして、農業を科学的、技術的に営むという党の方針を貫くためにも積極的に努力しませんでした。

 今年、我々はこのような誤った傾向を批判し、農業の物質的・技術的土台をかため、農業を科学的、技術的に営むことに大きな力をふりむけました。国では、トラクターやその他の農業機械と各種の化学肥料を大量に生産して農村に供給し、他の部門で働いていた農業技術者を農村にまわす措置も講じました。これらの措置は、今年の農業生産を著しく高める重要な裏付けとなりました。

 今年、農業部門でかちとった勝利はまた、労働行政を改善して農作業に全力を集中した結果もたらされたものです。

 農村の労働力を分散させることなくすべての力を農作業に集中する問題については、すでに1960年、江西郡青山里党総会で述べ、その後もたえず強調してきました。しかし、これまで農業部門の一部の幹部は、党のこの方針を正しく貫徹しませんでした。我々は、今年にはいって農村で労働力を分散させる現象を徹底的になくし、農作業に労働力を集中させるとともに、トラクターやトラックをはじめ、農村にある農業機械や運搬手段を農作業以外には使わせないようにしました。このように、農村のすべての力を農作業に集中した結果、今年度の農業生産では大きな成果がおさめられました。

 今年、農業部門でおさめた勝利は、偶然に得られたものではありません。我々の勝利は、闘争をつうじて得た勝利です。したがって、この勝利は真の勝利であり強固なものであります。我が国の社会主義農村は、この勝利をふまえて今後さらに発展するでありましょう。

 私はここで、農業部門の成果をいちだんとかため、農業生産で新たな高揚を起こすために提起されるいくつかの課題について述べようと思います。

 まず、農村技術革命をさらに力強く促進しなければなりません。

 周知のように、1974年は、『我が国における社会主義農村問題にかんするテーゼ』の発表10周年にあたる年です。我々は農村技術革命に大いに力をそそぎ、来年にはテーゼに示された農村技術革命の主要課題を完遂しなければなりません。思想革命は、すべての人を完全に労働者階級化し、革命化、共産主義化するまでたえまなくつづけなければならない革命課題ですが、技術革命は段階ごとに明確な闘争目標をかかげてそれを達成することができ、比較的短期間内に完成することができます。これまで、テーゼの方針に従って農村技術革命が強力におし進められた結果、すでに久しい前に農業の水利化が完成し、農村の電化も立派に実現し、農業の機械化、化学化も高い水準に達しました。我々が農村技術革命をひきつづき力強くおし進めれば、来年はテーゼで提起した農村技術革命の主要課題を成功裏に遂行し、農村技術革命を完成するたたかいで決定的な勝利をおさめることができます。

 こんにち、農村技術革命を完成するための重要な課題は、農業の機械化を速やかに完成することであります。

 農業の機械化を完成するためにはなによりもまず、トラクターの生産に力を集中してさらに多くのトラクターを農村に送らなければなりません。

 トラクターの生産を大幅に増やし、農村のトラクター台数を7万〜8万台に到達させるという農村テーゼの課題を来年のうちに完遂し、耕地面積100ヘクタール当たりのトラクター台数を1975年には5台、1976年には6〜7台に到達させなければなりません。

 トラクターの生産を急速に増大させるためには、金星(クムソン)トラクター工場の生産能力を最大限に発揮させ、生産を高い水準で正常化することが重要です。昨年、党と国家がトラクター工場の生産能力の拡張に力を集中した結果、いま金星トラクター工場はその生産能力が以前に比べて10倍に高まっており、毎年数万台のトラクターを生産できる強固なトラクター生産基地になりました。

 金星トラクター工場の労働者は、技術熟練度を速やかに高めてオートメ化された機械や設備を巧みに扱い、すべての機械をフルに動かし、工場の生産能力を最大限に発揮させてさらに多くのトラクターを生産すべきです。そして当該部門の幹部は、この工場で2交替制作業が完全に実施できるよう、足りない労働力を早急に補充し、生産の正常化に必要な条件をすべてととのえなければなりません。

 トラクターの台数を速やかに増やし、農業の機械化を早めるためには、各種の小型トラクターを量産することです。

 我が国の農村の実情に最も適したトラクターは、いうまでもなく千里馬号トラクターであります。

 しかし、山間部の協同農場では、前進(チョンジン)号のような小型トラクターを使うほうが便利です。前進号トラクターは、平野部の協同農場でも運搬用としてすこぶる便利です。前進号トラクター1台は、運搬作業で10台の牛車に匹敵します。したがって、小型トラクターを量産して農村に供給すれば、農村で数年内に牛車を全部なくすことができます。9.25トラクター工場では、いまの生産能力を最大限に発揮させて前進号トラクターの生産を大幅に増やすことが必要です。

 前進号トラクターとともに、忠誠(チュンソン)号トラクターを大量に生産すべきです。最近地方で工夫してつくった忠誠号トラクターは、構造が簡単で扱いやすいので、山間部の協同農場にむいています。機械工業部門では、忠誠号トラクターを製作している工場を引き取って、今年は技術上の準備を完成し、工場の生産土台をしっかりととのえて、来年からは生産を正常化するようにしなければなりません。これとともに、各道が忠誠号トラクターの製作経験を取り入れて、地方自体の力で小型トラクターの生産に取り組むべきです。

 トラクター生産の増大にともなって、来年は、平野部と中間部の協同農場にさらに多くのトラクターを送らなければなりません。特に、穀物をたくさん生産する平安(ピョンアン)北道の龍川(リョンチョン)郡、平安南道の文徳(ムンドク)郡、黄海北道の黄州(ホワンジュ)郡、それに咸鏡南道の咸州(ハムジュ)郡、江原(カンウォン)道の安辺(アンピョン)郡など平野部の郡にある700余の協同農場には、耕地面積首ヘクタール当たり4〜5台のトラクターがゆきわたるようにすべきです。それから、穀物生産の潜在力の大きい中間部の協同農場にも、トラクターをたくさん送って穀物の収量を高めるべきです。

 平野部の協同農場には、豊年(プンニョン)号と千里馬号トラクターをたくさん送り、中間部の協同農場には千里馬号と前進号トラクターを多く供給し、山間部の協同農場には前進号のような小型トラクターをたくさん送るべきです。

 農業の機械化を完成するためには、さらに多くのトラックを生産して農村に送らなければなりません。自動車生産基地をさらに拡充し、自動車工場で技術革新を起こしてトラックの生産を大幅に増大させるべきです。

 農業の総合的機械化を実現するためには、トラクターとトラックの生産を増大させるとともに、田植え機、除草機、移動式脱穀機など各種の農業機械も、さらに多く生産して農村に送るべきです。

 稲作の多い我が国では、田植えの機械化が極めて重要です。性能のよい田植え機を考案して量産する必要があります。そうして、1975年までには、田植えの機械化を完成することです。除草を極力機械化し、脱穀作業も機械化すべきです。いま協同農場では、田んぼで脱穀できずに稲束を脱穀場に運んできておこなうので、多くの手間がかかり穀物も少なからず消失しています。性能のよい各種の移動式脱穀機を大量に生産して農村に送り、田んぼで直接脱穀作業をおこなうようにし、1975年までには脱穀作業の機械化を完成すべきです。

 農作業の機械化とならんでカマス織りや縄ない、トウモロコシの茎の皮むきなど骨がおれ手間のかかる作業を、すべて機械化するため積極的に努力しなければなりません。

 このようにして、党が提起した農業の総合的機械化の課題を速やかに完遂しなければなりません。

 トラクターをはじめ、各種の農業機械が農村に大々的に供給されているので、農業部門では、それを有効に利用するために努力すべきです。特に、トラクターの利用度を最大限に高めるよう積極的に努力しなければなりません。

 トラクターの利用度を高めるためには、耕地整理に力を入れなければなりません。
 現在、農村には多くのトラクターがはいっていますが、耕地整理が不十分なためその利用度が高くありません。一部の協同農場にはまだ、整理すべき棚田や小区画の畑がたくさんあります。棚田はトラクターが作業するにも困難で、ヘクタール当たりの収量も高くありません。棚田の多い協同農場では、耕地整理を大々的におこなって田の区画を大きくできるところでは大きくし、勾配の急を棚田は畑につくりかえるべきです。水田ばかりでなく畑も区画をきちんと整理して、トラクターがどの田畑ででも自由に作業できるようにしなければなりません。

 国では、協同農場で耕地整理が十分におこなえるように、ブルドーザーや豊年号トラクターを多くつくって供給すべきです。協同農場では、千里馬号トラクターによる耕地整理も広範におこなうべきであります。

 耕地整理とともに道路の整備が必要です。道路を整備しなければ、トラクターの利用度を高めることができず、その寿命も保てません。すべての協同農場で農道や村の道路をすべて立派に整備しなければなりません。

 トラクターの利用度を高めるにはまた、各種の連結農業機械を量産すべきです。各種の連結農業機械を創意考案し製作するため積極的にたたかい、特に各道でトレーラーの生産を増やすために力を入れ、道内でその需要をみたさなければなりません。

 トラクターの利用度を高めるうえでまた重要なのは、部品の生産を増やし、トラクターの補修や整備を十分におこなうことです。地方ごとにトラクター修理基地を立派にととのえ、必要な部品を自給自足するようにすべきです。トラクターの修理に必要な部品は、トラクター部品工場で大量に生産するばかりでなく、地元の他の機械工場でもつくるのがよいでしょう。

 また、すでに示した方針どおり、郡協同農場経営委員会に移動修理車を1、2台ずつ配置して、協同農場で要求されるトラクターの小修理をおこなうようにすべきです。移動修理車には、旋盤やボール盤、溶接機などをそろえ、それに運転手を含めて2、3名の修理工をつければ、協同農場に出かけていってトラクターを修理できるでしょう。トラクターの中修理は郡でおこない、大修理は道にトラクター修理工場を1つか2つ設けて、そこでおこなうようにすべきです。

 農村技術革命を完成するためには、機械化とならんで化学化を急がなければなりません。

 『我が国における社会主義農村問題にかんするテーゼ』には、農業の化学化を実現するために、田畑ヘクタール当たりの化学肥料施肥量を1トン以上の水準に到達させる課題が示されています。我々が奮闘すれば、来年はテーゼのこの課題を十分になし遂げることができます。

 農業の化学化を全面的に実現するための当面の重要課題は、現在進行中の化学肥料工場の生産能力拡張工事と補修・補強、それに新しい肥料工場の建設を早く完成して肥料生産で革新を起こし、三要素肥料と各種の微量要素肥料をさらに多く生産供給することです。

 窒素肥料の生産を増やすために化学工業部門と建設部門では、現在進行中の青水(チョンス)化学工場と順川(スンチョン)石灰窒素肥料工場、阿吾地(アオジ)化学工場の拡張工事に拍車をかけ、興南(フンナム)肥料工場の補修・補強を速やかに完成しなければなりません。そうして機械工業部門では、窒素肥料工場の生産能力拡張工事に必要な、窒素分離器やコンプレッサーその他各種の機械設備をとどこおりなく生産供給しなければなりません。こうして来年は、150万トンの窒素肥料を必ず生産しなければなりません。

 化学肥料の生産で重要なのは、燐酸肥料の生産を急速に増やすことです。いま我が国の窒素肥料の生産量は少ないものではなく、来年はその需要をほとんどみたせるようになります。しかし、燐酸肥料はまだいくらも生産していません。したがって、燐酸肥料の生産に大きな力をそそぎ、それを早急に増大させなければなりません。

 燐酸肥料の生産を早急に増大させるためには、必ず自己の強固な原料産地をつくらなければなりません。我々は、近年、主要穀物生産地帯である道に燐酸肥料工場を建設し、燐灰石鉱山を大々的に開発して燐酸肥料工場の原料基地をつくりあげました。しかしまだ、咸鏡南道と咸鏡北道には燐灰石の生産基地がありません。咸鏡南道と咸鏡北道は、鉱業総局と協力して、東岩(トンアム)地区と金策(キムチェク)地区の燐灰石鉱山を速やかに開発すべきです。

 燐酸肥料の生産を増大させるためにはまた、現在進行中の燐酸肥料工場の拡張工事と、新しい燐酸肥料工場の建設工事を早急に完成しなければなりません。いま咸鏡北道には燐酸肥料工場がありませんが、そこでも道自体の燐酸肥料工場を一つ建設するのがよいでしょう。こうして来年は、燐酸肥料を100万トン以上生産し、6か年計画の末にはその生産高を150万トンに引き上げるべきです。

 化学肥料生産の急速な増大にともなって、農業部門では、科学的施肥体系を確立し、肥料の効能を最大限に高めるようにすべきです。燐酸肥料とカリ肥料を少なく施し、窒素肥料だけ多く施したのでは穀物の収量を高めることができません。、窒素肥料と燐酸肥料、カリ肥料を適切に配合して施せば作物がよく育ち、風にも耐え、立派に結実します。

 来年、窒素肥料は150万トン、燐酸肥料は100万トン以上生産することになるので、肥料を成分量でヘクタール当たり水田には窒素120キログラム、燐酸100キログラム、カリ30キログラム、畑には窒素100キログラム、燐酸70キログラム、カリ30キログラムの割合で施すべきです。カリ肥料はこの基準量より少し多いほうが好ましいのですが、当分はこの基準に従い、今後、肥料生産が増えるにつれてもっと施すようにすべきです。協同農場では、農村に供給される化学肥料をこのような施肥基準に従って、土壌条件や農作物の特性に即して適切に施すべきであります。

 三要素肥料とともに、各種の微量要素肥料を大量に生産して供給すべきです。

 一部の人は日照率が低いと農作が思わしくないといっていますが、それは以前微量要素肥料を施さず、三要素肥料も少ししか使わないで農作をしたときの古い経験です。三要素肥料とともに微量要素肥料を十分に与えれば、日照率とはかかわりなく作柄がよく、安定した高収穫が得られます。微量要素肥料の生産を担当した部門では、国家計画にあるとおり軽焼マグネシア、硼砂、硫酸銅、硫酸マンガン、硫酸亜鉛をはじめ、各種の微量要素肥料を必ず生産して供給すべきであります。

 農業の化学化を実現するためには、効能の高い除草剤をはじめ、各種の農薬も大量に生産して供給しなければなりません。

 除草剤を大量に生産して農村に送れば、最も骨のおれる労働の一つである草取りから農民を解放し、穀物の収穫を高めることができます。いま農民は、多くの除草剤を要求しています。来年は、現有の除草剤工場の生産能力を拡大するとともに、新しい除草剤工場を建設して除草剤の生産を高めるべきです。そして、農村に効能の高い各種の除草剤をさらに多く供給しなければなりません。

 次に、農村で文化革命を力強くくりひろげなければなりません。

 文化革命は、社会主義農村の建設において重要な位置をしめています。我々は、農村文化革命の遂行にひきつづき大きな力をそそぎ、社会主義文化農村建設をいっそう早めなければなりません。

 なによりもまず、農村における全般的10年制高等中学義務教育む実質的に実施すべきであります。そのためには、学校を多く建てなければなりません。農村の幹部や各級党組織は、学校建設を大衆的運動として力強くくりひろげ、今年の入学適齢児童をすべて受け入れられるよう教室を十分にそなえなければなりません。

 これとともに、師範大学と教員大学の事業を改善し、全般的10年制高等中学義務教育の実施に必要な教員を大々的に養成すべきであります。

 国では、学校に実習用の自動車やトラクター、工作機械などを提供して、生徒たちがトラックやトラクターの運転技術も覚え、旋盤、ボール盤など工作機械の扱い方も身につけるようにすることです。こうして、生徒たちが高等中学を卒業すれば、みな自動車やトラクターの運転ができ、工作機械が扱えるようにならなければなりません。そうなれば、自動車やトラクターの運転手を養成する学校を別個に設けなくてもすみます。10年制高等中学義務教育を終えた生徒に約1か月ほど運転規定を教え、必要な講習をおこなったのち、免許証を与えて自動車やトラクターを運転させればよいでしょう。

 幼児を社会的、国家的に保育することは、女性の負担を軽くし、幼児を共産主義的な人間に育てる大切な仕事であります。現在、農村にある託児所や幼稚園をいっそう立派にととのえるとともに、近代的設備の新しい託児所と幼稚園を多く建てて、すべての幼児を託児所と幼稚園で保育すべきです。それと同時に、託児所、幼稚園にたいする供給活動を改善して、幼児に滋養分の多い、おいしい食べ物を十分に与えなければなりません。こうして、すべての幼児を丈夫に育て、農村の女性が子供のことで気苦労せずに、安心して働けるようにすべきです。

 農村文化革命でまた重要なのは、農民の文化・技術水準を速やかに高めることです。農民の文化・技術水準を高めずには近代化した農業を正しく管理運営できず、農村の技術革命と文化革命を成功裏に進めることができません。

 農民の文化・技術水準を向上させるためには、学習を強化することが必要です。いま農村の一部の党組織や幹部は農民の学習にあまり関心を払っていませんが、これは誤っています。今後、農村の党組織と幹部は、農民のあいだで広範に学習を組織し、ことに冬季に農民を集中的に学習させるべきです。冬季に農民に学習させるためには、カマス織りや縄ないなどを機械化しなければなりません。いま農民は、手でカマスを織り、縄をなうので農閑期の冬季にも学習ができません。カマス織りや縄ないを機械化すれば、農民は、冬、学習もし休息もとれるでしょう。国では、それらの作業を機械化するよう、カマス織り機や縄ない機を量産して農村に供給すべきであります。

 段取りさえよくすれば、田植えどきなどにも農民に技術・文化知識を習得させることができます。田植えどき、農村支援に出むいた大学生や大学教員に正しく働きかければ、農民に技術や文化知識をいくらでも教えることができます。問題は、農村の幹部が農民の文化・技術水準の向上に関心がうすく、仕事の手配を怠っているところにあります。今後、農村の党組織や幹部は、農村支援におもむいた大学生や大学教員に働きかけて、かれらが農民とともに働きながら、科学的で技術的な営農に必要な技術知識やいろいろな文化知識を農民に教えるようにすべきであります。

 農業を科学的、技術的に営み、農民の文化・技術水準を高めるうえで、農業技術幹部と農業大学の卒業生を農村にふりむけることが重要です。党は最近、他の部門で働いている農業技術者をすべて農村に送る措置を講じましたが、まだこれが、はかばかしくいっていません。党の方針どおり、他の部門で働いている農業技術者をすべて協同農場に送る一方、今後、農業大学を卒業する技術者はすべて農村に配置すべきであります。そうすれば、農村技術幹部の陣容がしっかりととのうばかりでなく、かれらをつうじて農民の技術・文化水準を速やかに高めることができるでしょう。

 農業大学を卒業した若い幹部を農村に多く送るとともに、農業部門で長年働いた老幹部の再教育対策も立てるべきであります。

 農村における出版物の普及と放送宣伝活動を改善することは、農民の文化・技術水準を高めるための重要な課題の一つであります。今後、新聞や雑誌その他の各種出版物を多く農村に送るようにすべきです。同時に、農村にテレビをさらに供給し、農村の有線放送をいちだんと改善する対策も立てなければなりません。こうして、すべての農民がより文化的に生活し、文化・技術水準を早く高めるようにすべきです。

 農村の文化住宅建設にいっそう拍車をかけなければなりません。

 我が党第5回大会は、農村で毎年、15万〜20万所帯の住宅を建てる課題を提起しました。農業部門の幹部と党組織は、農村により多くの住宅を建てる運動を力強くくりひろげて、党大会が提起した課題を必ず実行しなければなりません。

 農村の住宅建設は、地元の資材でおこなうべきです。産業建設をはじめ、多くの建設が国家的に進められているだけに、農村の文化住宅建設に必要な資材をすべて国が供給するわけにはいきません。したがって、国からは木材だけを供給し、レンガやセメント、鋼材その他の資材は地元で生産して使うべきです。

 農村に住宅をたくさん建てると同時に、農民に住宅の手入れをよくさせなければなりません。国では莫大な資金をかけて農民のために立派な文化住宅を建てているのに、一部の農民はそれをよく手入れしていません。農村の幹部と党組織は、農民のあいだで住宅の手入れをおろそかにする古い習性をなくす思想闘争を強力にくりひろげて、すべての農民が住宅をきれいに手入れするようにさせるべきです。

 農村の水道化を早急に実現し、クリーニング店や浴場も多くつくらなければなりません。同時に、国では洗濯機や各種の台所用品を量産して農村に送らなければなりません。こうして、農村女性を家事の重い負担から解放し、すべての農民が衛生的で文化的に暮らせるようにすべきです。

 農村の診療所と病院をいっそう立派にととのえなければなりません。現在、協同農場ごとに診療所や病院がありますが、医薬品が少なく、医療器具が不足しているので、農民にたいする医療奉仕が十分にゆきとどいていません。国では、各種の医薬品や医療器具をより多く生産し農村の診療所や病院に供給して、農村住民にたいする医療奉仕を改善し、無料治療制の優位性を十分に発揮させるべきです。

 古い生活様式に反対し、新しい社会主義的生活様式を確立するためにたたかうことは、こんにち文化革命の重要な課題の一つとなっています。農村にはまだ、古い生活因習が少なからず残っています。祝いごとにしても虚飾虚礼が多く浪費が甚だしいのです。祝いごとに料理をたくさんつくって浪費していますが、これは搾取社会が残した古い生活因習であります。結婚式のとき、ごちそうをたくさんつくって無駄をするより、その費用で洋服ダンス、寝具ダンスなど家具類なり台所用品なりを買ったほうが有益でしょう。

 農村の党組織は、農村で古い生活因習をなくし、新しい社会主義的生活様式を確立する運動を積極的にくりひろげなければなりません。古い生活様式に反対するからといって強制的な方法を用いてはいけません。行政的な命令とか強制的な方法では、古い生活因習を根絶することはできません。農民のあいだで古い生活因習をなくして新しい社会主義的生活様式を確立するためには、思想教育を強化しなければなりません。最近、劇映画撮影所で制作した劇映画『婚礼の日』は、古い生活因習に反対し、社会主義社会にふさわしい新しい生活様式を確立するうえで、教育的価値の大きい映画です。この映画を農村で広く上映するのがよいと思います。

 次に、思想革命を力強くおし進めなければなりません。

 思想革命で最も重要なのは、勤労者を我が党のチュチェ思想で武装させることです。社会主義農村建設と農業生産で新たな高揚を起こすためには、農民が革命の主人としての立場と態度をとるように教育しなければなりません。党組織は、農業勤労者にたいするチュチェ思想教育を強化し、かれらが国家と社会の主人であり、生産の主人であるという高い自覚をもって働くようにしなければなりません。

 農民のあいだで、社会主義制度の優位性と資本主義制度の反動性、腐朽性を十分に認識させる教育活動をいちだんと強めるべきです。これは、敵が社会主義制度を悪辣に誹謗中傷している状況にてらして、いつにもまして重要な課題となっています。

 我々は農民に、社会主義制度は勤労人民が国の主人となっており、すべてが勤労人民の利益のために奉仕する最もすぐれた制度であること、資本主義制度は一握りの地主や資本家が、労働者、農民を抑圧し搾取する反動的な制度であることを十分に認識させるべきです。こうして、かれらが資本主義制度を憎み、社会主義制度を守るため積極的にたたかうようにしなくてはなりません。

 また、農民にたいする反帝教育を強めて、帝国主義、特に、アメリカ帝国主義を憎み、それとあくまでたたかうようにしなければなりません。

 いま一部の人は、帝国主義の侵略的本性が変わったかのように考えていますが、それは誤りです。帝国主義の侵略的で略奪的な本性は少しも変わっておらず、また変わるはずがありません。狼はあくまでも狼であります。こんにち、アメリカ帝国主義者は、ますます狡猾な二面戦術にしがみついており、「平和」の看板にかくれて世界各地で侵略と干渉策動をつづけています。アメリカ帝国主義は、いま大国とは関係を改善する一方、小さい国を一つひとつ攻めとろうと狡猾に策動しています。我々は、帝国主義者の侵略策動にたいして警戒心を高め、すべての勤労者を反帝闘争の精神で徹底的に武装させなければなりません。

 我が国にたいする帝国主義者の侵略と戦争政策を阻止し破綻させるためには、勤労者を思想的に武装させるとともに、全人民の武装化、全国土の要塞化、全軍幹部化、全軍現代化を基本内容とする我が党の自衛的軍事路線をひきつづき貫徹しなければなりません。我が国はたとえ小さくとも、全人民が武装し、全国土を要塞化すれば帝国主義者もあえて手出しができません。1968年のプエブロ号事件当時、アメリカ帝国主義者は、我が国の近海におびただしい兵力を集結して、共和国北半部にたいする武力侵攻を公然と企てました。しかしかれらは、我が国の全人民が武装し、全国土が要塞化されていることを知ったので、あえて攻めいることができませんでした。経験は、我が党の自衛的軍事路線が極めて正しかったことを示しています。我々は今後も、帝国主義にたいする警戒心を高め、チュチェ思想にもとづく全人民の政治的・思想的統一を強化する一方、自衛的軍事路線をひきつづき貫徹しなければなりません。

 思想革命で成果をおさめるためには、幹部が大衆のなかにはいって大衆と生活をともにしながら、教育活動をねばり強くおこなわなければなりません。幹部が大衆のなかにはいっていかず、一般的な演説などぶってまわるだけでは、人々を正しく教育することができません。農村の幹部は、農民とともに生活し、ともに仕事もしながら、かれらのレベルにふさわしい、いろいろな方法で教育活動をたゆみなくおこなわなければなりません。

 思想革命の遂行でまた重要なのは、思想教育と法的統制を正しく組み合わせることです。まだ農民のあいだには、集団の利益よりも個人の利益を先に考え、労働をきらうといった資本主義的な傾向がかなり残っています。このような傾向をなくすためには、思想教育とともに社会主義的法規と規定による統制を強化しなければなりません。協同農場では、特に作業日を正しく評価し、社会主義的分配を正確におこない、労働規律を強めて、すべての農場員が協同農場の規約に従って働き、生活するようにすべきであります。

 次に、農業部門の当面のいくつかの課題について述べようと思います。

 なによりもまず、草刈り運動を広範に展開することであります。国が化学肥料を多く供給するからといって、堆肥の生産をおろそかにしてはなりません。田畑に化学肥料を多く施せば、それだけ有線質の肥料を与えなければなりません。草や雑低木を刈りとって腐らせれば、立派な有機質肥料になります。すべての協同農場で広く草刈り運動を展開し、良質の堆肥を大量に生産しなければなりません。

 風雨による作物の被害を防ぐ対策を徹底的に講じるべきです。今年は、季節おくれの長雨が来そうです。したがって、湛水排除用の揚水機をよく整備し、堤防などもあらかじめ補修して、このさき大雨に見舞われても農作物に被害のないようにしなくてはなりません。

 豊かに実った作物を無駄なく適時に取り入れできるように、収穫の準備を徹底的におこなうべきです。今年はみごとな作柄ですが、作物を適時に取り入れて脱穀しないと、一年中苦労してつくった多くの穀物が失われてしまうでしょう。協同農場では、収穫機、脱穀機などの農業機械や脱穀場、乾燥場をよく補修、整備して、作物が実りしだい取り入れて脱穀できるようにしなければなりません。脱穀した穀物をしっかりと保管できるように簡易穀倉もあらかじめ手入れしておくことです。

 穀物を無駄なく適時に取り入れるためには、移動式脱穀機を早く生産して協同農場に送らなければなりません。機械工業部門では、移動式脱穀機700台を取り入れ前に生産して、まず平安北道、平安南道、黄海南道をはじめ、平野部の各協同農場に1台ずつ供給すべきです。

 精米所の設備を点検、補修して籾摺り搗精歩合を高める対策を立てなければなりません。現在、精米所で設備の点検と補修をよくおこなわないため籾摺り搗精歩合が低く、かなりの穀物の損失をまねいています。精米所で設備を適時に整備し、籾摺り搗精歩合を高めるために努力すれば、さらに数万トンの穀物を得ることができます。各道党委員会は、精米所の設備を点検、補修し、籾摺り搗精歩合を高めるよう機械技術者で指導グループを組織して派遣するのがよいと思います。

 協同農場では、作業日を正確に評価し、社会主義的分配の原則を徹底的に貫くべきであります。党組織は、働いた作業日は少ないのに、分配は多くもらおうとする傾向と強くたたかわなければなりません。協同農場が、社会主義的分配の原則を守らず、作業日の少ない人に分配を多く与えるなら、農民のあいだに遊んで暮らそうとする好ましくない風潮が助長されるでしょう。したがって、決算分配を社会主義的分配の原則にもとづいて正確におこなわなくてはなりません。

 協同農場での決算分配のさい、国家の支援労働力が働いた分の計算も正確におこなわなければなりません。労働者、事務員、学生、軍人が、協同農場に行って働いた分を正確に計算しなければ、協同農場では支援労働力は無償と考えて、より多くの支援労働力をうけようとし、自力でできる仕事も支援労働力にたよって解決しようとする、好ましくない傾向が生じるおそれもあります。国家の支援労働力が働いた分のうち一部は、協同農場の共同蓄積フォンドにまわし、それでもって革命烈士の遺族、愛国烈士の遺族、人民軍留守家族のうち人手が足りないとか、高齢でまともに働けない人たちを援護するのがよいでしょう。その場合も、ある個人が勝手に決めることのないようにし、誰にどれだけ援助するということを会議で決定して全農場員に公開すべきです。

 農業部門では、今年の穀物生産でおさめた成果をかためて、来年に穀物650万〜700万トンの目標を達成するために力強くたたかわなければなりません。農業部門の幹部と党組織はいまから、来年の穀物650万〜700万トンの目標を達成するための営農準備を手ぬかりなくおこなうべきであります。

 来年、さらに高い穀物生産目標を達成するためには、なによりも土地改良と耕地整理に力を入れ、同時に新しい耕地獲得運動を力強くくりひろげなければなりません。土地をよく手入れし改良すれば、やせた土地も沃土につくりかえることができます。酸性化した土地には、いかに多くの肥料を施してもたいして効能がありません。酸性化した土地は、消石灰をほどこして中和させなければなりません。低温湿地では、溝を掘るとか、土管またはビニールパイプなどをいけて冷湿気を取り除かなければなりません。

 海面干拓も強力におし進めるべきです。我が国で穀物総生産高を著しく増やし、すべての人民に白米を食べさせるためには、少なくとも70万ヘクタール以上の水田がなければなりません。平安南道、平安北道、黄海南道では海面干拓を積極的におし進めて、6か年計画期間に3万ヘクタールを干拓し、将来は10万ヘクタールを干拓する物質的・技術的土台をきずくべきであります。

 農業生産で収穫を高めるには、種子がよくなければなりません。すべての協同農場で優良種子を採取し、それをよく保管しなければなりません。

 来年は、畜産業の発展に大いに力をそそぎ、畜産物の生産に根本的な転換をもたらすべきです。今年は農作物の作柄が上々なので、来年に畜産業を大々的に発展させうる条件がととのいました。協同農場では、いまから畜産の土台を強化し、各農家で食肉100キログラム、卵1000個以上、各作業班で食肉2トン以上を生産し、各協同農場で50頭以上の牛を飼う運動を活発に展開しなければなりません。これと同時に、国営牧場の経営を改善すべきです。来年は全国的に17億個以上の卵を生産しなければなりません。

 この目標を達成するためには、種畜場を十分ととのえ、優良種の子家畜を各農家や協同農場に多く供給し、飼料を十分に用意しなければなりません。国では、各農家に家畜の飼料として100キログラムの穀物を供給し、そのかわり、各農家では100キログラムの食肉を義務的に生産して国に売り渡すようにするのがよいでしょう。各級党組織と農業部門の幹部は、他の部門で働いている畜産技術者を畜産部門にまわして畜産技術陣をしっかりととのえ、畜産業関係の技術学習資料を多く出版するようにすべきです。

 農業部門では、外貨獲得運動を活発にくりひろげるべきです。我々は人民生活を一日も早く向上させるために、近代的設備の食品加工工場や紡織工場その他の軽工業部門の工場をより多く建設する予定です。近代的な軽工業部門の工場を新しく建設しようとすれば、外国から一部の設備を輸入しなければならないので、多額の外貨が必要です。したがって、農業部門でも外貨獲得運動を積極的に展開しなければなりません。

 外貨獲得で重要なのは、養蚕をさかんにおこなうことです。一部の人は蚕をたくさん飼うと穀物生産にさしさわりがあるといっていますが、実際はそうでなく、それは仕事の手配が下手な人の言い訳にすぎません。仕事の手配さえうまくおこなえば、養蚕をさかんにしながらも穀物生産を立派におこなうことができます。すべての協同農場で、今年、種卵を十分に用意しておいて、来年にはより多くの繭を生産しなければなりません。家蚕や柞蚕だけでなく、ヒマ蚕もたくさん飼うべきです。

 越冬準備をぬかりなくおこなうことは、農業部門の当面の重要な課題の一つです。石炭工業総局と各道党委員会は、農民の越冬用石炭の供給対策を立てなければなりません。石炭は、粉炭のままでなく練炭にして各農家に1、2トンずつ供給すべきです。そして、すべての農家が、来年からは夏は石炭をたかずに、石油コンロで炊事ができるよう、その準備を進めなければなりません。同時に、農民が冬にはいる前に住宅を手入れできるように、セメントや障子紙、床紙、ガラスなどを販売すべきです。

 農村への商品供給を決定的に改善すべきであります。農民は、食糧や食肉を生産して労働者と全人民に供給する重要な任務を受け持っています。したがって、国家は当然、農民の生活に責任をもつべきであり、農民が求める商品を適時に十分供給しなければなりません。

 最後に、来年度の農業生産計画の作成方向について述べようと思います。

 来年は、穀物生産で650万〜700万トンの目標をかかげるべきであります。来年、農業部門が奮闘して650万〜700万トンの穀物を生産すれば、6か年計画の穀物生産目標を達成したといえます。来年にこの目標を達成するのは、けっして不可能なことではありません。農村にトラクターと化学肥料をより多く供給し、技術指導をよくおこなえば、それぐらいの穀物は十分生産できます。

 来年、穀物生産目標を達成するためには、少なくとも52万〜60万ヘクタールのトウモロコシ畑を確保し、ヘクタール当たり平均4〜5トン以上のトウモロコシを収穫しなければなりません。稲は、現在の62万ヘクタールの水田からヘクタール当たり5〜6トン以上収穫しなければなりません。全国的に水稲をヘクタール当たり5〜6トン生産するためには、・平野部でヘクタール当たり6トン以上収穫し、自然条件が多少不利な地帯では、ヘクタール当たり少なくとも4・5トン以上収穫しなければなりません。

 麦類は、5万ヘクタール以上の作付はひかえたほうがよいと思います。麦類は、潅漑システムができているか、降雨式散水機の使えるところにかぎって栽培すべきです。大麦は「二条種」だけ作付し、小麦は両江道をのぞく他の地方では、すべて「平壌1号」を栽培するのがよいと思います。潅漑システムが完備し、肥料を十分に施す条件のもとでは、ヘクタール当たり4トン以上の麦類を生産しなければなりません。

 ジャガイモ畑とサツマイモ畑として10万ヘクタールの面積を確保しなければなりません。ジャガイモとサツマイモは食糧としても必要ですが、特に畜産業を大々的に発展させるうえで家畜の飼料用として大量に要求されます。台風が多くてトウモロコシのよくできない地帯では、トウモロコシのかわりにサツマイモを植えればよいと思います。

 私はこの大会で、主として農業生産上の実務的な問題についていろいろ述べました。みなさんは、『我が国における社会主義農村問題にかんするテーゼ』と、我が党第5回大会および年頭の農業部門活動家協議会で示した方向、そして、この大会で提起した具体的な課題にもとづいて活動を進めるべきであります。

 私は、みなさんが『我が国における社会主義農村問題にかんするテーゼ』と第5回党大会が提起した課題を実践する闘争で、新たな飛躍を遂げるよう望むものであります。

 全党がひきつづき農業を掌握して、穀物650万〜700万トンの生産目標をめざして力強く前進しましょう。 

出典:『金日成著作集』28巻 


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