金 日 成

思想革命、技術革命、文化革命をさらに力強くおし進めよう
 朝鮮労働党中央委員会政治委員会江西拡大会議での結語
−1973年3月14日− 


 同志のみなさん!

 我が党は久しい前に、思想革命、技術革命、文化革命のスローガンをかかげました。そして、私は、党代表者会議の報告と共和国政府の十大政綱、第5回党大会の報告など多くの報告や演説で、思想・技術・文化革命を力強くおし進めるよう強調しました。しかし、党の示した思想・技術・文化革命の課題は、まだ十分に実行されていません。

 思想革命を遂行するのは、社会主義・共産主義建設の合法則的要求であり、社会主義制度の樹立後、プロレタリアート独裁国家に提起される最も重要な革命課題の一つであります。思想革命をおこなわなければ、社会主義の完全な勝利をなし遂げることも、共産主義を建設することもできません。国際共産主義運動の経験は、物質的土台をきずくだけでは、社会主義・共産主義を成功裏に建設できないことを示しています。

 私は、資本主義制度をくつがえしたのち、社会主義・共産主義建設においてなによりも重要なのは、思想的要塞を占領するたたかいを強めることであると、常に強調し、思想革命をすべての活動に優先させるよう各党組織に訴えました。しかし、これまで、工場、企業所、協同農場の党組織をはじめ、多くの党組織は、党のこの呼びかけに形式的に応じるだけで、全社会の革命化、労働者階級化を力強くおし進めませんでした。

 一部の党組織は、技術革命の遂行にも積極的に取り組みませんでした。我々は第5回党大会で、工業と農業をはじめ、人民経済各部門で技術革命を力強くくりひろげ、重労働と軽労働の差、農業労働と工業労働の差を著しく縮め、女性を家事の重い負担から解放する3大技術革命課題を提示しました。3大技術革命は、6か年計画の中心的課題であり、第5回党大会が示した基本的闘争スローガンの一つであります。党の方針どおり技術革命に積極的な単位もありますが、全般的にはまだ3大技術革命の遂行においてこれといった前進がみられません。現在、一部の工場では党の方針どおり技術革命をおこなうのではなく、「人海戦術」の方法で、言いかえれば、人手を増やす方法で生産を高めようとしています。これは非常に間違っています。人口が多く労働力に余裕のある国ならいざ知らず、労働力の不足している我が国では、そういう方法で生産を高めようとしてはなりません。

 党組織は、思想革命と技術革命だけでなく、文化革命も満足に遂行していません。

 これまで党組織が、思想・技術・文化革命を力強くおし進めなかった結果、すでに建設された多くの工場がその真価を発揮しておらず、農業生産の成長テンポもにぶっています。それで最近、党中央委員会は、思想・技術・文化革命遂行のたたかいをさらに力強く展開するため、工場、企業所、協同農場に3大革命グループを派遣しました。

 それでは、なぜ第5回党大会ののち直ちに3大革命グループを派遣しようとせず、今年になって派遣することにしたのでしょうか。これも他の問題と同じく、弁証法的に考察しなければなりません。

 これまで、思想・技術・文化革命がスムーズに進捗せず、工業と農業部門に多くの欠陥がありましたが、これらは現在のように深刻には表面化しませんでした。一般的に、活動に内在する欠陥は当初はよくあらわれないものです。水は温度が摂氏0度まで下がれば凍り、摂氏100度まで上がれば沸騰するように、活動に内在する欠陥も一定の限界に達しなければ表面にあらわれません。気温が正常温度のときは寒さ暑さを感じませんが、正常より低くなったり高くなったりすると寒さ暑さを感じるようになります。これと同じく、工業や農業部門に内在する欠陥も、当初はよくわかりませんが、それが一定の限界に達するとはっきりわかるようになります。

 思想・技術・文化革命がスムーズに遂行されず、工業と農業部門に欠陥が少なくないことは、最近、農村に行って農民と話しあう過程ではっきりと知るようになりました。

 周知のように、我々はここ数年来、人民生活を早く向上させるため、各地に近代的な軽工業部門工場を建設し、電子管工場、半導体工場、小型モーター工場、継電器工場などの弱電工場や機械工場を数多く建設しました。これらの工場を操業させるには多くの労働力が必要であり、特に、女性労働力が多く要求されました。しかし活動家たちは、技術革命によって新設工場の運営に必要な労働力を得ようとするのではなく、農村から女性労働力を引きぬいてきました。農村には男子が少なく、主として女性によって農業が営まれているのに、そこからまた女性労働力を引きぬいてきたので、農業生産に支障をきたすようになりました。昨年、私が農村に出むいたとき、農民は、トラクターもあまりなく、労働力も不足しているのに女性労働力まで引きぬいていって、農業はどうするのかと言いました。私は、農民の話を聞いて大きな衝撃をうけました。いわば、うすら寒い感じがしました。その後、農村から女性労働力を引きぬいた問題を各面から分析してみましたが、これはたしかに誤っていました。

 我々は、党中央委員会政治委員会を開いて労働行政を検討し、そこに誤りがあることにたいし深刻に批判しました。そして、工業部門から労働力の潜在力を引きだすため、重要な工場、企業所に党中央委員会の指導グループを派遣しました。しかし、党中央委員会の指導グループが、工場、企業所で1か月間も活動したにもかかわらず、なんの成果も達成できませんでした。かれらは、工場、企業所に行って保守主義を打ち破り、労働力の潜在力を引きだしたのではなく、工場の頑固な保守主義者の反撃にであって、素手でもどってきました。

 労働力予備動員グループが、工場、企業所で失敗してもどってきた状況のもとで、新たに積極的な措置を講じなければなりませんでした。

 我々は直接、工場、企業所に出むいて活動することを決心し、黄海南道へ行き殷栗(ウンリュル)鉱山の労働行政実態を検討してみました。このようにした重要な目的は、活動家の保守主義がどの程度のものであるかを確かめることにありました。いわば、川の深さを測るため石を投げてみるようなものです。殷栗鉱山の労働行政実態を調べてみたところ、そこでは約2000名の労働力が浪費されているにもかかわらず、労働力を出そうとは考えてもいませんでした。我々は、殷栗鉱山の労働行政実態の検討をつうじて、活動家のあいだの保守主義が相当に根深いものであることを知り、各部門にわたって保守主義との闘争を力強く展開しなければならないという決心をかためました。

 一方、党組織から選抜したすぐれた活動家と知識のある大学生で指導グループを組織し、思想・技術・文化革命遂行のたたかいが可能であるかどうかを試すため、軽工業部門の工場に指導グループを派遣してみました。その結果、それが十分可能であるばかりか、この闘争に知識のある大学生もともに参加させるのが最も適切であるという結論を得ました。大学生は、我が党の唯一思想、チュチェ思想で武装し、我が党のチュチェ思想以外には、いかなる思想をもうけつけない革命的な新しい世代であります。また、大学生は、技術を深くは知らなくても、立ち後れた技術と現代技術とを見分けることはできます。そしてかれもは、新しいものを好み、古いものを思いきって捨てさる革命性に富んでいます。それゆえ、党中央委員会政治委員会では、思想・技術・文化革命を遂行する闘争に、党の中核とともに知識のある大学生を参加させることに決定し、党の中核と大学生で3大革命グループを組織し、工場、企業所、協同農場に数十名ずつ派遣する措置を講じました。

 3大革命グループが、工業部門と農業部門で活動をはじめて1か月近くになります。その間、3大革命グループは、工場、企業所、協同農場の実態調査を進めました。

 私は数日前、南浦(ナムポ)市党委員会総会で南浦地区で活動している3大革命グループの活動報告を聴取し、きょうはこの江西(カンソ)で党中央委員会政治委員会拡大会議を開き、江西地区で活動している3大革命グループの活動報告を聴取しました。2回にわたるかれらの活動報告をつうじて、工業部門と農業部門に派遣された3大革命グループが出だしから成果をあげていることがわかります。

 いま黄海製鉄所では、みずからすすんで5000名の労働力を出すといっており、今後さらに多くの労働力を出せるといっています。これまでテレビ化という言葉を口にすらしなかった工場、企業所の幹部が、いまではテレビ化のために奔走しています、これは、かれらが「人海戦術」を放棄し、技術革命によって生産を高める方法で活動しはじめたことを物語っています。

 3大革命グループは、設備の予備も多く見つけだしています。先日、降仙製鋼所の支配人が100両の貨車を要求してきたことがあります。しかし現在、鉄道運輸部門では貨車の事情がままならぬ状態なので、かれの要求を聞き入れることができませんでした。私はかれに、降仙製鋼所のような大工場で、なぜ自力で貨車を修理して使えないのか、あなたがたは貨車を要求するのではなく、かえって貨車の緊張している鉄道運輸部門を援助すべきだ、と話しました。その日の晩、降仙製鋼所で活動している3大革命グループは、支配人といっしょに製鋼所の貨車能力を検討してみました。その結果、製鋼所では新たに100両の貨車をもらわなくても、現有の貨車をもって生産を十分保障することができるという結論に到達しました。

 このように、3大革命グループのたたかいは好ましい結果をもたらしています。今後、3大革命グループの活動が深化すれば、さらに大きな成果が達成されることは疑う余地もありません。3大革命グループが緒戦でおさめた成果は、工業部門と農業部門に革命グループを派遣して思想・技術・文化革命を力強くおし進めることにした党中央委員会の措置が極めて正しいものであることを実証しています。

 革命というものは、スローガンを叫び決定書を採択し、その遂行方途を書きこむだけで遂行されるものではありません。革命は必ず、陳腐で停滞したものとの鋭いたたかいの過程でのみ前進することができます。たたかいのない革命などありえず、革命なくしては社会が進歩しません。

 一部の人は、古い社会制度をくつがえし新しい社会制度をうち立てることだけを革命といっていますが、我々はそうは考えません。思想・技術・文化の分野で古いものを新しいものにかえるのも一つの革命であります。したがって、思想・技術・文化革命も必ず陳腐で停滞したものとのたたかいをとおしてのみ遂行されます。思想・技術・文化革命が、なんの闘争もなく、なにごともなしに、しかも順調に遂行されるものと考えるのは愚かなことです。思想・技術・文化革命を遂行する闘争は、社会主義・共産主義の勝利をめざす深刻なたたかいです。

 しかし、これまで一部の党組織と幹部は、党の示した思想・技術・文化革命の課題を遂行するため積極的にたたかいませんでした。そのため、思想・技術・文化革命の遂行において当然達成できるはずの成果を達成することができませんでした。少々遅ればせの感はありますが、これからでも各級党組織は、党の方針どおり思想・技術・文化革命を力強くおし進めなければなりません。

 我々がおこなおうとする思想革命は、欠陥のある人そのものに反対し、首をはねることに目的があるのではなく、人々の頭のなかにくすぶっている古い思想を一掃し、かれらを革命化、労働者階級化するたたかいです。技術革命は、古い技術を新しい技術にかえ、手労働を機械化、半オートメ化、オートメ化するたたかいです。文化革命は、勤労者の文化・技術水準を高め、生産文化と生活文化を確立するたたかいです。簡単にいえば、思想革命は人々の頭のなかの錆を落とす闘争であり、技術革命は機械の錆を落とす闘争であり、文化革命は人々の生活と住宅、工場と集落のあかを落とす闘争であります。

 思想・技術・文化革命は、互いに密接に結びついています。思想革命を強化して人々の階級的自覚と思想・意識水準を高めることなしには、技術革命と文化革命も成功裏に遂行することができません。また、技術革命と文化革命をおこなわなければ、勤労者を骨のおれる労働から解放してかれらの文化・技術水準を高めることも、思想革命を成功裏に遂行することもできません。それゆえ、我々は思想革命を優先させる原則を堅持しつつ、思想革命、技術革命、文化革命をともに力強くおし進めなければなりません。

 なによりもまず、思想革命を力強くおし進めなければなりません。

 思想革命の基本は、党員と勤労者を我が党のチュチェ思想でしっかりと武装させることです。

 我が党のチュチェ思想は、すべての勤労者が、革命と建設で主人としての立場と態度を堅持することを要求します。革命と建設は、人民大衆のための事業であり、人民大衆自身が遂行すべき事業であるため、人民大衆は当然、革命と建設にたいして主人としての態度をとらなければなりません。革命と建設にたいする人々の主人としての態度は、事大主義と教条主義に反対するだけでなく、自己の職場で主人らしく働き、国家と社会の共同財産を愛護することにもあらわれなければなりません。

 しかし、これまで党組織が、党員と勤労者を我が党のチュチェ思想で武装させる活動を正しくおこなわなかったため、一部の活動家と勤労者はチュチェ思想について多くを論じてはいますが、まだその本質を明確に理解しておらず、自己の革命課題を主人としての立場で責任をもって実行していません。3大革命グループの報告を聴取してみても、活動家にみられる主な欠陥は活動において主人としての態度が欠けていることです。

 チュチェ思想は、我が党の唯一の指導思想であります。したがって、すべての党員と勤労者は必ず、チュチェ思想でしっかり武装し、チュチェ思想の要求どおり思考し、行動しなければなりません。それができない人は党員の資格がなく、党に忠実な革命戦士になることができません。

 党員と勤労者が、チュチェ思想で武装しなければ、ブルジョア思想、修正主義思想、事大主義思想など悪い思想毒素におかされて思想的に変質をきたします。鉄を長いあいだ放置しておけば酸素の作用で錆が生じ、食物を長いあいだ放っておけばばい菌の作用をうけて腐敗するのと同じように、人間の場合も思想教育をおこなわず放置するならば頭が錆びついて、資本主義、修正主義、事大主義、要領主義などの病菌の作用によって腐敗します。人間の体は日ごろから鍛え、そのつど予防注射をうってこそ、抵抗力が強くなって病菌がはいってさても病気にかからないのと同じように、人々をチュチェ思想で武装させ、思想鍛練を日常化してこそ思想的変質をきたしません。それゆえ党組織は、常に党員と勤労者をチュチェ思想で武装させることに最も大きな力をそそぐべきです。

 党員と勤労者をチュチェ思想で武装させ、かれらをチュチェ思想の要求どおり思考し行動するようにさせるためには、党組織が対人活動を正しくおこなわなければなりません。

 人間がすべてを決定するのですから、党組織は、対人活動を正しくおこなって人々の思想・意識水準を高め、かれらの自発的熱意と創意性を呼び起こすなら万事がスムーズにいき、そうしなければすべてがうまくいきません。それゆえ、党組織は、党活動を徹頭徹尾対人活動に切りかえなければなりません。

 現在、党組織は対人活動を正しくおこなっていません。党活動における最大の欠陥は、対人活動を行政的方法でおこなっていることです。

 行政的方法、すなわち命令と指示の方法では、人々の思想を改造することも、かれらの革命的熱意と自覚を呼び起こすこともできません。特に、人によって性格と体質、レベルがそれぞれ異なるため、対人活動を紋切り型におこなってはなりません。対人活動は、解説と説得を基本とし、根気よく、しかも対象の特性に即してさまざまな形式と方法で進めなければなりません。人々を教育し奮起させるには、講演、話し合い、芸術公演、映画上映、歌謡普及などさまざまな形式と方法がありますが、党組織はこのような形式と方法を効果的に利用しなければなりません。党組織は思想教育のあらゆる形式と方法が、人々を我が党のチュチェ思想と、それを具現した党の路線と政策で武装させ、かれらを革命化、労働者階級化することに服従するようにしなければなりません。

 思想革命の遂行で重要な問題の一つは、党員と勤労者のあいだで組織生活を強化することです。

 党員と勤労者は、誰をとわず組織生活に積極的に参加し、組織の統制のもとで生活しなければなりません。そうしてこそ、思想的変質をきたすことなく、みずからを革命的に鍛え、あくまで革命に忠実であることができます。組織生活に参加して批判と自己批判もし、他人が批判されるのをはたで聞く過程で自分自身にある欠陥に気づき、それを改めるため努力するようになります。それゆえ、党員は党生活に積極的に参加し、社労青員は社労青生活に、職業同盟員は職業同盟生活に、農業勤労者同盟員は農業勤労者同盟生活に、女性同盟員は女性同盟生活に誠実に参加しなければなりません。

 組織生活によく参加しようとせず、大衆の統制をけむたがる人は、頭に錆がついてもそれを適時に落とすことができず、この種の人は必ず誤りをおかすようになります。一部の工場、企業所の支配人、党書記などの幹部が、ときたま誤りをおかすのは、ほかでもなく党生活に積極的に参加せず、大衆の統制からはずれることにあります。党組織は、活動家と勤労者のあいだで組織生活に参加したがらない傾向にたいし強い思想闘争をおこない、かれらが党および勤労者団体の組織生活に積極的に参加し、常に大衆の統制のもとで生活するようにさせるべきです。

 思想革命の遂行でまた重要な問題は、党員と勤労者が党の路線と政策を尺度にしてすべてを判断し、党の路線と政策にしっかり依拠して行動する革命的気風を確立することです。

 党の路線と政策は、革命発展の各時期、各段階において党員と勤労者の進路をさし示す行動の指針であります。党の路線と政策には、組織生活や階級闘争、経済活動の方法など、各分野の活動方針が具体的に示されています。したがって、党の路線と政策は、党員と勤労者がすべての問題について思考し行動する出発点となるべきであり、活動において正否を見定める尺度とならなければなりません。

 すべての党員と勤労者は、党の路線と政策にしっかりと依拠して活動し、あらゆる問題を党の政策をもって判断し、ことの正否を見定める革命的活動気風を身につけるべきです。そうしてこそ、党の意図どおり思考し行動し、党の唯一思想に反する傾向とたたかうことができます。党の路線と政策にもとづいて思考し行動しない人は、党を擁護することができず、栄えある革命の戦列で最後までたたかいぬくことができません。したがって、党組織は、党員と勤労者のあいだで、党の路線と政策に依拠して思考し行動し、あらゆる活動を組織する革命的気風を確立することに大きな力をそそがなければなりません。

 社会の全構成員を革命的法規と規定の要求に即して働き生活するようにさせることは、思想革命の遂行において重要な問題の一つであります。

 革命闘争と建設事業は、一人の力によってではなく、多数の人の共同闘争によって進められます。人間が一人で生活するなら勝手な行動をしてもかまいませんが、多くの人が集団的に生活し、組織的に行動する場合は勝手に行動してはなりません。多くの人が集団的で組織的な生活をするには、必ず一定の行動規範と準則が必要であり、また、すべての人がそれを厳守しなければなりません。そうしてこそ、人々の行動の統一を実現し、集団の規律と秩序を保つことができます。

 軍隊には、内務規定や衛兵規定などいろいろの規定があります。内務規定には、軍人の日課や営舎の整頓の仕方、上官が来たときの号令のかけ方や報告の仕方など、軍人の日常生活秩序が明記されています。衛兵規定には、歩哨の任務や歩哨の立ち方、歩哨交替の秩序など、衛兵の行動準則が規定されています。軍隊では、すべての軍人がこのような軍事規定に従って行動するため、規律と秩序がしっかりと保たれるのです。

 規範と規定は、軍隊だけでなく、国家と社会のすべての部門、すべての単位に必要なものです。ですから、国家機関の活動家、工場、企業所、協同農場の勤労者、学生・生徒をとわず、すべての人が定められた規範と準則にもとづいて働き、生活するようにさせなければなりません。

 我々のすべての法規と規定は、社会主義建設偉業に奉仕する社会主義的で革命的なものでなくてはなりません。資本主義社会の法規と規定はすべて、勤労者大衆を抑圧、搾取し、搾取階級の利益と搾取制度を擁護するためのものです。我々は、すべての法規と規定から資本主義の残りかすを一掃し、社会主義制度と朝鮮革命の要請に合致する、社会主義的で革命的な法規と規定を新たに制定しなければなりません。

 我が国のすべての法規と規定は、党の路線と政策、そして、社会主義憲法にもとづくものでなければなりません。最高人民会議第5期第1回会議で採択された社会主義憲法は、共和国の全公民が義務的に遵守すべき最も基本的な法規であり、行動準則であります。社会主義憲法には、政治、経済、文化分野における国家活動の諸原則と国家機関の任務、公民の基本的権利と義務が定められています。それゆえ、各部門、各単位では、社会主義憲法に制定された原則に即して具体的な活動規範と行動準則をつくり、人々をそのとおり活動させ、生活させるべきです。

 しかし、一部の活動家は、社会主義憲法を実行する具体的な対策を立てておらず、社会主義憲法の学習さえ満足にしていません。活動家のあいだで社会主義憲法についての学習を強化すべきです。同時に、すべての国家・経済・文化機関で社会主義憲法にもとづいてそれを実行する法規と規定をつくり、現行の法規と規定も新憲法の要求に即して改めるべきです。

 法規は、固定不変のものではありません。革命はたえず高い段階に発展するのですから、法規と規定もそれに即して改められなければなりません。民主主義革命段階に必要であった一部の法規と規定は、社会主義制度の樹立以後には不必要になります。例えば、民主主義革命時期には、中小商工業者に企業活動の自由を法的に保障しましたが、中小商工業者が社会主義的勤労者に改造され、社会主義的生産関係が全一的に支配するようになったこんにちにいたっては、個人企業の自由を保障する法規は不必要なものになりました。同一の革命段階においても、活動の環境と条件が変われば、それに即して法規と規定も変わらなければなりません。分組管理制の規定にしても、協同農場にそれほどトラクターがなく、農業の機械化水準が低いときにつくった規定を、農村にトラクターや農業機械が多くはいってきたこんにちの条件にそのまま適用してはならないでしょう。分組の物質的・技術的土台と活動条件が変化した以上、分組管理制の規定も改められなければなりません。

 しかし現在、変化した現実にそぐわない古い規定が少なくありません。法規と規定が変化した現実の要請に応じて適時に改められない主な原因は、法規と規定をつくる活動家が現実の変化に敏感でなく、現実生活に後れをとっているところにあります。現実の要請が正しく反映されず、活動家の主観的意思によってつくられた法規と規定は我々の革命偉業に役立たず、むしろ社会主義建設と人民生活に支障を与えるようになります。

 江西郡三墓(サムミョ)協同農場に3大革命グループの一員として派遣されたある大学生の報告によれば、いま農村の商店の営業時間は午前9時から午後6時までとなっているとのことです。これは、商業規定が間違っていることを意味します。農村商店の販売時間を都市と同じように定めてはなりません。農民は、朝早く野良に出て、夜遅く帰ってきます。にもかかわらず、農村商店の販売時間がこのように定められているので、農民は買い物をしようとすれば作業時間中に商店に行くほかありません。商店の販売時間を定めるのはたやすいことのようですが、このように具体的実情を考慮することなく定めるなら、人民の生活に多くの不便を与え、生産にも支障をきたすようになります。

 現在、工場、企業所や協同農場で実施されている規定には、このほかにも人民の利害関係や実情にそぐわないものが少なくないと思います。3大革命グループは、現行の法規と規定が、社会主義憲法の要求と具体的実情に適しているかどうかを検討し、誤った法規と規定を改めるための建設的な意見を提起すべきです。

 社会主義的な法規と規定を完成させると同時に、すべての勤労者がそれを厳守するよう、教育と法的統制を強めるべきです。

 「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という集団主義的原則と、労働の量と質による社会主義的分配の原則は、我々の制度のもとで社会生活を規制する基本原則であり、この原則を厳守するのは我が国全公民の神聖な義務であります。これは、社会主義憲法にも明記されています。しかし、一部の活動家は、いまなお社会と集団の利益よりも個人の利益を優先させています。一部の活動家のなかには、工場や協同農場のバスやトラックを自家用車のように乗りまわしている者がいるそうですが、これは利己主義の表現であり、集団主義の原則に反する行動であります。また、一部の協同農場の末端幹部のあいだには、仕事を少ししかせずに多くの労働点数をもらう人がおり、労働者、事務員のなかにも、自己の職分を果たすことなく、賃金や食糧を全量うけている人が少なくありません。これらはいずれも、社会主義的分配の原則に反することです。

 活動家と勤労者のあいだでこのような傾向があらわれないようにするためには、思想教育を正しくおこなうと同時に、法的統制を強めなければなりません。経験は、人々にたいする共産主義的教育が思想教育一本やりでは不完全であり、それに社会主義的法規と規定にもとづく法的統制を正しく結合してこそ、成果をおさめることができることを示しています。それゆえ、党組織は、すべての勤労者が社会主義的法規と規定を厳守するように統制することを、思想革命の重要な課題の一つとして提起し、それに取り組まなければなりません。

 次に、技術革命を力強くくりひろげなければなりません。

 そのためには、活動家が、技術革命にたいする正しい認識をもつことが重要です。一部の活動家はまだ、技術革命にたいする正しい認識をもっておらず、技術革命をおし進めるため積極的にたたかっていません。

 資本主義社会では、技術が発展するにつれて失業者が増大し、勤労者の労働条件と生活がいっそう困難になります。それゆえ、資本主義社会では、労働者が技術の発展に関心をもたず、資本家の新しい技術導入に反対してたたかいます。資本主義社会では、技術が発展して生産物がいかに多くても、労働者の全般的境遇は少しも改善されません。資本家は、余剰商品を海に投げこむことがあっても、けっしてそれを労働者にただで与えようとはしません。資本主義社会では、技術が発展するほど極少数の搾取者はさらに富み、その反面、絶対多数の勤労者の生活はますます貧しくなります。技術の発展につれ、富める者はますます富み、貧しき者はさらに貧しくなるのが、資本主義社会の一つ法則となっています。

 しかし、社会主義社会の場合は、これとは正反対です。社会主義社会において、技術革命は、勤労者を骨のおれる労働から解放し、物質的富の生産を増やし、人民生活をさらに豊かで文化的なものにします。社会主義社会では、技術が発展するほど勤労者の労働はよりらくで能率的なものになり、人々はさらに自主的で創造的な活動ができるようになります。社会主義社会では、技術革命が遂行されるからといって労働力が余ることはなく、失職者が生まれることもありません。社会主義社会では、常に労働力が不足するのが一つ社会的現象となっています。したがって、社会主義社会では、勤労者が技術の発展に深い関心をもち、技術を発展させるためにあらゆる力と才能をつくします。社会主義社会における技術革命と資本主義社会における技術改造との根本的な違いはまさにこの点にあります。

 我々は技術革命をおこなってこそ、重労働と軽労働の差、農業労働と工業労働の差をなくし、すべての勤労者を骨のおれる労働から解放することができ、精神労働と肉体労働の差をしだいになくし、生産力を速やかに発展させて、社会の全構成員が能力に応じて働き、必要に応じて分配をうける共産主義社会を建設することができます。

 技術革命を力強くくりひろげることは、特に、当面の労働力の緊張を解消し、一人当たりの生産額を高め、社会主義建設をいっそう促進するため我々に提起されている焦眉の課題です。

 技術革命をおこなわずしては、当面の労働力の緊張を緩和することも、一人当たりの生産額を高めることもできません。社会主義建設の進捗につれて新しい工場がたえまなく建設され、新たな生産部門がひきつづき創設されています。しかし、こんにち我が国の労働力事情は非常に緊張しています。労働力が不足して既存の工場を円滑に操業させておらず、必要な新しい工場をそのつど建設することができないありさまです。

 工場、企業所で技術革命を力強く展開し、5万程度の労働力を節約するだけでも、それをもって青年突撃隊といったものを組織して新たな鉱山を開発し、必要な工場を増設し、海面干拓もさらにおこなうことができます。

 我々は、西部地区に大規模の化学工場を建設する計画ですが、労働力不足でそれに着手することができません。鉱山も新しく開発すべき対象が多いのですが、労働力が不足して開発にとりかかれません。現在、銅の需要が日ましに増大していますが、労働力不足のため膨大な銅を地下に埋蔵させたまま掘り出せない状態にあります。合成ゴム工場の建設も予定していますが、労働力が不足して建設できず、毎年大量のゴムを輸入しています。

 我々は、大規模のビナロン工場と塩化ビニール工場を新設しなければなりません。塩化ビニール工場を建設し、塩化ビニールの生産を大幅に増やさなければ、各種の日用品を増産することも、穀物生産を増大させることもできません。

 耕地面積の少ない我が国で穀物生産を増やす重要な方途の一つは、海面干拓をおこなって新しい土地を獲得し、そこで早く作物を栽培し、多収穫をおさめることです。海面干拓のために海をせきとめるのは、それほどむずかしいことではありません。重要なのは、干拓地の塩分を速やかに取り除くことです。干潟地を干拓したのち、そのまま放置しておいたのでは、7、8年すぎなければ作物を栽培することができません。干拓地から塩分を速やかに取り除くためには、地下導管潅漑方式を導入しなければなりません。そのためには、合成樹脂工場を増設し、ビニールパイプの生産を現在よりはるかに増やさなければなりません。

 合成樹脂工場を増設してビニールパイプの生産を増やし、散水式潅漑方式や地下導管潅漑方式を広範に実施すれば、畑作のヘクタール当たり収量を現在よりはるかに高めることができます。散水式潅漑方式や地下導管潅漑方式を導入すれば、畑でヘクタール当たり4トンのトウモロコシを容易に生産することができ、よくすれば5、6トン生産することができます。我が国で機械化の可能な70万ヘクタールの畑に全部潅漑システムを導入し、ヘクタール当たりトウモロコシを5トンずつ生産するとすれば、350万トンになります。それに、我が国に二年三作の可能な畑が30万ヘクタール程度あるので、それらの畑で二年三作をすれば、そこからもほぼ100万トンの穀物を増産することができます。我が国の水田面積は約65万ヘクタールです。水田でヘクタール当たり平均5トンの粗米を生産するとみても、325万トンになります。それゆえ、我が国の農業生産を高度に集約化し、現有の土地を効果的に利用すれば、年にほぼ1000万トンの穀物を生産することができます。

 海面干拓をおこなって新しい土地をさらに獲得し、現有の土地を効果的に利用するなど、これらのことをおこなうには、多くの労働力が必要です。

 しかし、現在、我々には労働力の源泉がかぎられており、国の労働力事情は非常に緊張しています。我々は、世界帝国主義の頭目であるアメリカ帝国主義と直接対峙している状況のもとで、多くの軍隊を維持することを余儀なくされています。これは、国の労働力事情をさらに緊張させています。軍隊を縮小すれば、緊張した労働力事情は多少緩和されましょうが、現状では、直ちにそうすることは不可能です。周知のように、我々は、南朝鮮からアメリカ帝国主義侵略軍を撤退させ、南北が武力を行使しないことを保証する平和協定を締結し、軍備競争を中止し、南北の軍隊を縮小することを南朝鮮当局者に幾度も提案しました。しかし、南朝鮮当局者はありもしない「南侵の脅威」を口実に、我々のこの正当な提案を受け入れようとせず、依然として70余万に達する大兵力を維持しています。南朝鮮当局者は、軍隊を縮小しようとしないばかりか、外国からひきつづき各種の新型兵器と作戦装備を搬入し、戦争準備に拍車をかけています。このような状況のもとで、けっして我々が一方的に軍隊を縮小するわけにはいきません。

 こんにちの我が国の実情で、緊張した労働力事情を解決する唯一の道は、技術革命を力強くおし進めることです。我々が、第5回党大会で3大技術革命の課題を示した重要な目的も、勤労者を骨のおれる労働から解放すると同時に、緊張した労働力事情を解決するところにあります。

 技術革命を力強くおし進めるためには、なによりもまず、技術革命の遂行において障害となる保守主義、事大主義、技術神秘主義、経験主義を一掃しなければなりません。

 技術革命も一つの革命であるため、技術の発展を妨げる保守主義、事大主義、技術神秘主義、経験主義とのたたかいなくしては、成功裏に進めることができません。保守主義、事大主義、技術神秘主義、経験主義は、我が党のチュチェ思想とはなんの縁もなく、それはチュチェ思想と絶対に両立することのできない悪い思想であります。

 こんにち技術革命の推進において最も大きな障害となっているのは、事大主義と技術神秘主義です。活動家の頭に事大主義と技術神秘主義がはびこっているため、大胆に新しい機械を製作することができません。農業科学院農業機械研究所で多くの研究士が農業機械の研究を進めているとのことですが、まだ我が国の実情に適した農業機械は製作されていません。一部の科学者、技術者は、自力で立派な農業機械を考案、製作しようと考えるのではなく、外国のものをそのまま真似てつくることばかり考えていますが、そういうことでは、我が国の実情に適した立派な農業機械をつくりだすことはできません。土がやわらかく、畑に砂利のない国で使われている農業機械が、砂利畑と水田の多い我が国の実情にあうわけはありません。それゆえ、外国の農業機械を真似ることばかり考えず、自分の頭をはたらかせて我が国の実情にかなった新しい農業機械を製作すべきです。外国の農業機械を参考にする場合にも、我が国の実情と似かよった国のものを取りよせて参考にすべきです。そうしてこそ、我が国の実情に適した農業機械の製作に役立たせることができます。

 事大主義、技術神秘主義とともに、保守主義、経験主義も技術発展と生産成長にとって大きな障害となっています。農業部門をとってみても、現在、この部門の活動家が頑固な保守主義と経験主義にとらわれているため、ここ数年間、我が国の農業生産の成長テンポはにぶり、農村技術革命も速やかに進められていません。

 人民経済の各部門で事大主義、技術神秘主義、保守主義、経験主義を大胆に粉砕し、技術革命を力強くおし進めるべきです。特に、科学者、技術者は、主体的な立場で研究活動を進め、技術革命の遂行に切実に必要な高性能の各種機械を多く考案、製作すべきです。

 農業の総合的機械化の実現において切実に必要なのは、移動式脱穀機です。博川(パクチョン)郡や文徳(ムンドク)郡のような平野部では、脱穀場から遠く離れた田んぼで稲を刈り、それをトラクターで脱穀場まで運搬して脱穀したのち、わらくずをまた田んぼに運びだしています。それで、私は最近、党中央委員会政治委員会で、移動式脱穀機を製作して平野部に提供する課題を提起しました。移動式脱穀機があれば、秋に稲束を脱穀場まで運びこむことなく田んぼでじかに脱穀して籾米だけ運び入れ、わらやわらくずは堆肥にすることができます。わらやわらくずを田んぼに積んでおいて消石灰と水をかけて腐食させれば良質の堆肥になります。こうすれば、農村で多くの労働力を節約でき、トラクターは他の農作業にまわし農民の骨のおれる労働を大いに軽減することができます。

 移動式脱穀機だけでなく、高性能の田植機や稲刈機も切実に必要です。したがって、これらの機械を考案、製作する研究を積極的に進め、我が国の田野で広く使用できる立派な農業機械を多く製作すべきです。

 高性能の各種機械を多く考案、製作するためには、勤労者大衆をこれに広く参加させるべきです。新しい機械の考案、製作や設備の改善といった技術革新を幾人かの技術者、専門家の力だけで円滑に進めることはできません。広範な勤労者大衆をこれに積極的に参加させてこそ、各部門、各単位でたえず技術革新が起こり、技術革命が急テンポで推進されます。

 技術革新運動に勤労者大衆を広範に参加させるためには、技術者が労働者の創意考案を積極的に援助しなければなりません。労働者から出された創意考案がたとえ些細で未熟なものであっても、技術者はそれを集団的な協議にかけて具体的に討議し、技術上の欠点があればみんなで助けるべきです。そうして、労働者の創意考案を完成させ、生産に導入すべきです。こうしてこそ、労働者は自信をもって創意考案をしようと大いに努力し、広範な勤労者大衆のなかから立派な創意考案が多く出されるでしょう。

 人民経済の各部門で、技術者、専門家と広範な勤労者が、力をあわせて技術革新運動を力強く展開し、多くの労働力を縮小すべきです。そうして、国の緊張した労働力事情を解決し、近い将来に従業員一人当たりの生産額を倍以上に高めなければなりません。

 技術革命の遂行では、平安(ピョンアン)南道が全国の先頭に立つべきです。平安南道には、国の経済発展において重要な役割を果たしている降仙製鋼所をはじめ、大冶金工場や勝利(スンリ)自動車総合工場、岐陽(キヤン)トラクター工場などの大規模機械工場もたくさんあります。平安南道では、これらの工場の機械化、オートメ化水準をさらに高め、生産の急速な増大に大きな力をそそぐべきであります。

 降仙製鋼所では、生産工程全般のテレビ化を早急に実現し、徐々にリモートコントロール化に移行すべきです。そうして、国の経済発展と技術革命の遂行に必要な鋼材をさらに多く生産しなければなりません。勝利自動車総合工場と岐陽トラクター工場では、自動生産ラインを早急に完成させ、今後1、2年内に、自動車生産は2倍、トラクター生産は3倍以上に高めるべきです。

 技術革命を力強くおし進めると同時に、技術革命によって得られる労働力を適切に配置すべきです。重工業部門では、技術革命の推進につれ、主として女性労働力を多く浮かしていますが、彼女たちを体質と能力に応じて適材適所に配置しなければなりません。そうして、職場が不適当で彼女たちがやめることのないようにすべきです。もし、縮小された女性たちが職場をやめてしまうならば、我々が技術革命をおこなった意味もなくなり、女性の革命化、労働者階級化も成功裏に進めることができなくなります。重工業部門の大工場のそばに小さな軽工業部門工場や生産協同組合などをつくり、女性をひきつづき職場で働かせるようにすべきです。

 次に、文化革命を積極的におし進めるべきです。

 文化革命の遂行で重要なのは、勤労者の文化・技術水準を早急に高め、生産文化と生活文化を確立することです。3大革命グループは、この3つの問題に重点をおいて文化革命を力強くおし進めるべきです。

 まず、勤労者の文化・技術水準を高める活動を活発におこなわなければなりません。特に、勤労者のあいだで、技術知識を広く普及する活動を強化すべきです。協同農場でも、工場、企業所でも、勤労者の技術知識水準を早急に高めなくては、生産を発展させることができません。現在、協同農場では、管理幹部や農場員の技術知識水準が低いため、農業を科学的、技術的に営むことができず、経験主義にとりすがっています。農業を科学的、技術的に営むためには、協同農場の管理幹部と農場員のあいだで技術学習を強化し、かれらに土壌学、作物学、肥料学、農業機械学などの知識をもたせるようにすべきです。

 すべての協同農場と工場、企業所で、技術学習体系をうち立て、知識のある者が知識のとぼしい者に教え、すべての勤労者が、技術知識の習得に積極的に努力するようにさせるべきです。1人が10人を、10人が100人を、100人が1000人を教える方法で技術知識の普及活動を広範に進め、近い将来技師、技手の隊伍を急速に増大させ、全勤労者の技術知識水準をいちだんと高めなければなりません。

 生産文化の確立は、すべての工場、企業所と協同農場が力を入れるべき重要な活動です。

 工場、企業所で生産文化を確立することなしには、立派な製品を生産することができません。工場の生産環境をととのえ、生産において規律と秩序を確立してこそ、機械はもちろん、布地や日用品も立派なものが生産されます。また、生産文化を確立してこそ、人々がさっぱりとした気持ちで楽しく働くことができます。労働者の健康を保つためにも、必ず生産文化を確立しなければなりません。

 工場、企業所では、機械設備をよく補修、整備し、塗装を要するものはきれいに塗装し、すべての機械設備をきれいにみがきあげ、それを常に、きちょうめんに管理すべきです。そして、不合理に配置された機械設備は、生産面積の利用率を高め、半製品が各生産工程を秩序正しく流れるよう、合理的に配置すべきです。

 工場の建物を適時に補修して外観をきれいにし、屋根もふきなおして雨漏れのないようにすべきです。工場内に集塵装置や排気装置をそなえつけ、床もきれいに手入れし、常に清潔に掃除してほこりがたたないようにすべきです。そして、工場の照明装置もよくととのえるべきです。

 工場の構内を横切っているパイプも埋設すべきものは埋設し、屋外に出ているものは保温装置を完全にして見苦しくないようにすべきです。

 工場構内の道はみな舗装すべきです。セメントがなければ風化土を敷いてかためてもよく、天然スレートか大きな石を敷いてもよいでしょう。工場の塀も丈夫につくり、工場の周辺もきれいに整理すべきです。

 このようにして、すべての工場が、工場の内部は宮殿のように、工場の構内や周辺は公園のようにととのえなければなりません。

 生産文化の確立において重要なのは、製品の包装を改善し、原料や製品の保管管理を秩序正しくおこなうことです。各工場で製品の包装設備をととのえ、製品を規格別にきちょうめんに包装し、製品倉庫と原料倉庫を必ず設け、原料や製品をすべて倉庫にきちんと保管すべきです。そして、原料倉庫と製品倉庫の出入庫秩序を確立すべきです。

 協同農場では、農業における基本的生産手段である土地と農業機械にたいする管理を正しくおこなわなければなりません。耕地整理に力を入れて田畑を整然とととのえ、あぜや畑のへりを常にきれいに手入れしなければなりません。傾斜畑のへりには石垣をつくるか、柳を植えるなどして、雨水で畑が削られることのないようにし、みぞもきちんと掘ってしばしば手入れして、水がもらないようにすべきです。特に、農業機械を愛護する運動を広範に展開し、すべての農業勤労者がトラクターをはじめ、各種の農業機械をよく管理し、大切に扱うようにすべきです。

 3大革命グループは、工場、企業所、協同農場に行って、機械設備や生産施設をよく管理せず、雑に扱う古い習性を一掃する思想闘争を力強く展開し、また、実際の行動をもって機械設備や生産施設を文化的に管理する活動を積極的に援助すべきです。

 生産文化と同時に生活文化も確立すべきです。

 これまで、都市と農村を文化的にととのえるうえで大きな成果をおさめましたが、いまだに欠陥も少なくありません。平安南道の実情をみても、一部の郡や里の所在地は立派にととのえられていますが、大部分の農村はそうなっていません。

 都市と農村を文化的にととのえるため、文化住宅をさらに建設すべきところには建設し、街路を整然とととのえるべきところは早急にととのえるべきです。平安南道では今年、新たに4万所帯の農村文化住宅を建設しなければなりません。

 文化住宅をさらに建設すると同時に、すべての住宅と村落を文化的、衛生的にととのえるべきです。住宅や村落をきれいにする運針を、大衆あげての運動で力強く展開すべきです。

 住宅や村落をきれいにする運動では、社労青員や少年団員が先頭に立つべきです。社労青中央委員会をはじめ、各級社労青組織は、住宅と村落をきれいにすることを社労青と少年団組織の重要課題として提起し、すべての社労青員と少年団員をこの活動に積極的に立ち上がらせなければなりません。

 住宅や村落をきれいにするうえでの最適任者は、高等中学校の生徒だと思います。大人はみな職場に勤めているため、住宅や村落の手入れにあてる時間がかぎられます。それゆえ、高等中学校の生徒にこの活動を担当させるのがよいでしょう。高等中学校の生徒はだいたい11〜16歳ですから、かれらに住宅や村落の手入れをまかせれば立派になし遂げるでしょう。いま、各学校に衛生近衛隊が組織されていますが、かれらは自分の学校を手入れする程度のことしかしていません。今後、衛生近衛隊員たちは学校をきれいにするだけでなく、自分の家や村落を常にきれいにし、文化的、衛生的にいっそう立派にととのえるため積極的に努力すべきです。

 住宅や村落をきれいにし、文化的にととのえさせるためには、それに必要な条件を保障しなければなりません。

 農民に住宅を修理できるよう、セメントや障子紙、床紙、壁紙などを国家が販売すべきです。セメントを数キログラムずつ紙袋づめにして建材商店や農村商店に出せば、農民がそれを買って軒下の土場や塀の手入れもし、オンドルの修理もできるでしょう。平安南道では、毎年自力で数十万トンのセメントを生産しているのですから、そこから何万トンかを割いて農民に売ってもよいでしょう。農民に売るセメントを郡が横取りして流用することのないようにすべきです。セメントとともに石灰、ガラス、ガラス切り、くぎ、障子紙、床紙、壁紙なども大いに農民に販売すべきです。各郡で地方産業工場を立派に運営するならば、このようなものはいくらでも自力で生産し、農民に販売することができるでしょう。

 農村を文化的にととのえ、農村住民の生活条件をさらに改善するため、農村の水道化に拍車を加えるべきです。第5回党大会で農村の水道化を実現する課題を示しましたが、まだ少なからぬ地方ではこれを積極的におし進めていません。そのため、農村女性は生活上の不便を感じているばかりでなく、一部の平野部の農民は飲料水のために苦労しています。第5回党大会の方針どおり、すべての地方で農村の水道化を力強くおし進め、早急に完了すべきです。

 工場、企業所では、労働者の寮や食堂、休憩所を充実させることに力を入れるべきです。そして、各工場、企業所、協同農場では、会館をはじめ、文化施設と託児所、幼稚園を文化的、衛生的にととのえ、効果的に運営すべきです。

 生活文化の確立において、勤労者の身なりを文化的に改善することが重要です。工場、企業所では、労働者が職場に出勤または退勤するさい、そして街に出歩くとき、常に身なりを端正にし、仕事をするときには、必ず作業条件と労働安全規定に即して作業服をきちんと着用する気風を確立すべきです。また、都市や農村の女性や子供、すべての人が常に社会主義的生活様式に即して身なりをきれいにするようにしなければなりません。

 すべての人の身なりを文化的なものにするため、婦人服工場などの被服工場を設ける運動を広く展開すべきです。そうして、各地方でそれぞれ人民にいろいろな衣服を着せられるようにすべきです。特に、婦人服と学齢前幼児用の衣服を多く生産、販売しなければなりません。学齢前幼児用の衣服は、被服工場でも生産し、商業網でも生産して、すべての学齢前幼児にかわいらしい服を着させるべきです。いま、老人用の服があまり販売されていませんが、それも多くつくって売るべきです。

 勤労者の食生活を改善するためにも積極的に努力しなければなりません。特に、副食物問題の解決に力をそそぐべきです。鶏、豚などの家畜を飼育する運動を大衆的に広く展開し、すべての勤労者に卵と食肉が供給できるようにすべきです。

 一世帯当たり鶏を5羽ずつ飼っても、子供に毎日卵を食べさせることができます。協同農場の作業班でも鶏は飼えます。平壌市三石(サムソク)区域長水院(チャンスウォン)協同農場第3作業班では、数年前から脱穀場のそばでかなりの鶏を飼っていますが、鶏1羽が年に190個の卵を産んでいます。脱穀場のそばで鶏を飼えば、飼料を別に与えなくてもすみます。また、管理労力もそれほど要りません。年をとったり身体が弱くて力仕事のできない農場員を一人ほどおいて鶏舎の手入れや卵の収集などにあたらせればよいでしょう。協同農場の各作業班がこうした方法で鶏を100羽ずつ飼うならば、託児所、幼稚園の子供たちに毎日欠かさず卵を供給することができるでしょう。

 乳牛を飼育する運動もおこなうべきです。今後、農村に小型トラクターを多く生産供給して牛車のかわりに使わせ、農村で役牛のかわり、乳牛を多く飼育するようにすべきです。乳牛とともに、ヤギも多く飼わせるべきです。そうして、託児所、幼稚園の子供たちに毎日、乳を飲ませなければなりません。

 これと同時に、勤労者に簡易な食生活をさせることに深い関心を払うべきです。特に、食品工場を多く設けるべきです。各道に穀物加工工場を一つずつ設け、そこでトウモロコシを加工して、澱粉、水あめ、ブドウ糖、菓子、あめ、しょう油、酒など各種の食料品を生産すべきです。

 思想・技術・文化革命の遂行において、工場、企業所の幹部や協同農場の管理幹部は、闘争対象になってはならず、たたかいの先頭に立つべきです。そのためには、なによりも幹部が党生活に積極的に参加しなければなりません。これまで、一部の工場では少なからぬ幹部が、党組織の統制からぬけだして生活しました。かれらは、党会議にもよく参加せず、下部の活動家から批判もそれほどうけず、学習も満足にしませんでした。そのため、出身は労働者階級であっても、幹部になったのちに官僚化し、技術的にも立ち後れるようになりました。一口にいって、少なからぬ幹部はもう使いものにならなくなっているのです。かれらが、かつて、日本帝国主義支配時代に高等学校で学んだ技術は、古くさいものです。解放後、我が国の大学で学んだ技術も、それはまだ教員がチュチェ思想で武装しておらず、教科書や教育施設が不備な状況のもとで学んだものであるため、こんにちの現実にはよくあいません。幹部は、学習を決定的に強化し、党組織の統制をうけるため積極的に努力すべきです。そして、幹部は3大革命グループと力をあわせて、欠陥を改めるため積極的に努力すべきです。

 いま、支配人、技師長など、工場、企業所の幹部が自分の誤りに気づきはじめたとのことですが、それは非常に結構なことです。革命家は、常に正しい旗をかかげ正しい路線に従って前進するので必ず勝利し、保守主義、事大主義、修正主義、ブルジョア思想に毒された人は失敗をまぬがれません。

 工場、企業所の作業班長、職場長を生産労働に積極的に参加させるべきです。

 常々、話していることですが、作業班長や職場長などの末端幹部が、生産労働で率先垂範するのは極めて重要なことです。工場、企業所の作業班長や職場長は、軍隊でいえば小隊長や中隊長にあたります。軍隊で小隊長や中隊長は、兵士とともに戦いながら直接戦闘を指揮する指揮官です。軍隊が突撃戦で勝利するためには、指揮官がまず「前進! 私につづけ」と隊員の先頭に立って敵陣めがけて突進しなければなりません。そうせずに指揮官がしんがりで、隊員に突撃せよと駆り立てたのでは、戦闘で勝利することはできません。我々は抗日武装闘争当時、常に隊員の先頭に立って危険をかえりみることなく戦闘を指揮し、宿営のときには隊員を寝かせて、みずから歩哨に立ったりしました。抗日遊撃隊では、すべての指揮官がそうしました。そうしたため、抗日遊撃隊員はみな勝利の確信をいだいて、常に勇気百倍、敵と戦いました。工場、企業所でも、作業班長や職場長が生産労働で率先垂範してこそ、労働者の生産熱意を大いにふるいおこすことができます。

 工場、企業所では、作業班長が生産労働に参加するのはいうに及ばず、職場長も年に何十日かは労働に参加すべきです。協同農場の管理委員長のように、80日間程度参加してもよいでしょう。いずれにせよ、職場長が一定の期間、義務的に生産労働に参加する制度を確立し、それを厳守するようにさせるべきです。

 作業班長や職場長を生産労働で率先垂範させるためには、かれらを若い人でかためなければなりません。現在の作業班長、職場長のうち、高齢か虚弱などの理由で労働に参加できない人は若い人と交替させるべきです。高齢の作業班長、職場長のうちには功労の多い人がいるはずですが、そういう人には顧問役をつとめてもらえばよいでしょう。子供の多い女性や家庭をもつ女性も作業班長や職場長には不向きです。彼女たちは、託児所にもしばしば通い、産休も受けるため、生産労働で率先垂範することは不可能です。特に、農村で田植えや草取りのような農繁期に分組長や作業班長が産休にはいってしまえば、作業を成果的に保障することができません。したがって、協同農場にせよ、工場、企業所にせよ、生産労働に率先垂範できない女性は、分組長や作業班長、職場長をさせないようにすべきです。

 3大革命グループは、緒戦でおさめた初歩的な成果におごることなく、ひきつづきたたかいを深化させなければなりません。3大革命グループは、まだ広範な大衆のなかに深くはいっていません。3大革命グループは、大衆のなかに深くはいり、かれらの革命的熱意と創造的知恵を積極的にくみあげなければなりません。そうして、3大革命グループと工場、企業所、協同農場の幹部、そして全勤労者が力をあわせて、思想・技術・文化革命をさらに力強くくりひろげなければなりません。

 3大革命グループが自己に課された栄誉ある革命課題を成功裏に遂行するためには、おごりたかぶることなく、常に謙虚な態度をとり、健全な生活をしなければなりません。そうしてこそ、大衆から愛され尊敬されます。3大革命グループは、誰からも、党中央委員会から派遣されてきた人はやはり違う、ほんとうに党中央の親衛隊、近衛隊らしい、3大革命グループの模範に見習うべきだ、といわれるように行動すべきです。3大革命グループは、指導活動期間中、絶対に安逸に流れてはならず、高度の革命性を堅持すべきです。そうしてこそ、他人を批判し、指導することができます。

 私は、3大革命を遂行する戦闘的任務をうけて、全国各地に派遣された党中央委員会3大革命グループと各級党組織が、自己の栄誉ある革命任務を成功裏に遂行して、党の信頼と期待に立派にこたえるものとかたく信じるものであります。

出典:『金日成著作集』28巻 


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