金 日 成

我が国の社会主義制度をいっそう強化しよう
 朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議第5期第1回会議でおこなった演説
−1972年12月25日− 


 代議員同志のみなさん!

 朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議第5期代議員選挙は、全人民が歴史的な朝鮮労働党第5回大会の決定を高くかかげて社会主義建設のすべての戦線で新たな革命的大高揚を起こし、全国が自主的平和統一の熱望でわき立っていむ環境のもとで成功裏におこなわれました。

 我が国のすべての公民は、朝鮮民主主義人民共和国の公民としての高い誇りと栄誉感をもって積極的に選挙に参加し、我が党と共和国政府にたいする絶対的な支持と深い信頼を示しました。このたびの選挙をつうじて、我々の革命政権はさらに強化され、共和国北半部の革命基地はいっそう強固にうちかためられました。

 私は、全人民がこのたびの選挙で、我が党と共和国政府に絶対的な支持と深い信頼を示したことにたいし、朝鮮労働党中央委員会と共和国政府の名においてあつい感謝の意を表します。

 同志のみなさん! 朝鮮人民が、その歴史上はじめて真の自分の憲法をもち、共和国の旗のもとに新しい社会、新しい生活を創造する道に踏みだしたときから24年がすぎさりました。この期間に、朝鮮人民は、朝鮮労働党の賢明な指導のもとに、社会主義革命と社会主義建設で偉大な成果をおさめました。そのあいだ、我が国には文字どおり天地開闢以来はじめての変革が起こり、朝鮮人民の政治・経済・文化生活には画期的な変化が起こりました。

 こんにちの我が国の現実は、新しい社会主義憲法の制定によって、朝鮮人民が社会主義革命と社会主義建設でおさめた偉大な成果を法的に固定化し、社会主義社会における政治・経済・文化分野の諸原則を法的に規定することを切実に求めています。このことから、我々は、朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法起草委員会を組織し、社会主義憲法草案を作成しました。朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法草案は、朝鮮労働党中央委員会総会で討議され、祖国統一民主主義戦線中央委員会の審議をへて最高人民会議に提出されました。

 このたびの最高人民会議で朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法を制定することは、朝鮮人民の革命闘争と建設事業で歴史的な意義をもつ大きな出来事となるでしょう。


 1 社会主義革命と社会主義建設のための共和国政府の闘争

 同志のみなさん!

 社会主義革命は、人間による人間の搾取を最終的に一掃し、社会発展の新しい道を切り開く人類史上最も深刻な社会的変革であります。

 人民大衆を搾取と抑圧から解放し、かれらの幸福な生活を保障するためにたたかう労働者階級とマルクス・レーニン主義党が、その歴史的使命をまっとうするためには、必ず人民を導いて社会主義革命を遂行しなければなりません。帝国主義の植民地的従属からぬけだした人民は、社会主義の道に進んでこそ、階級的搾取と民族的抑圧から完全に解放され自由で幸福な生活を営むことができ、国の自主独立と民族の繁栄を達成することができます。

 我が国における社会主義革命は、解放後、北半部で反帝反封建民主主義革命が遂行された基礎のうえではじめられました。労働者階級の指導する反帝反封建民主主義革命がひきつづき社会主義革命へ移行するのは、革命発展の合法則的過程であります。

 反帝反封建民主主義革命が遂行されたのち、我が国には、国営経済を基本とする社会主義的経済形態とともに、農村の個人農経営と都市手工業経営からなる小商品経済形態、都市の資本主義的商工業と農村の富農経営からなる資本主義的経済形態が存在しました。

 資本主義的経済形態と小商品経済形態を残しておいては、搾取と貧困の根源を完全になくすことも、社会の生産力を古い生産関係の束縛から完全に解放することも、国の経済全般を計画的に速やかに発展させることもできません。したがって、人民をあらゆる搾取と抑圧から完全に解放し、国の生産力を速やかに発展させるためには、民主主義革命を完遂したのち、ひきつづき社会主義革命を遂行しなければなりませんでした。

 また、労農同盟にもとづいた全人民の統一と団結を新たな社会主義的基礎のうえでいっそう強化し、反動の根拠地と古い思想を生みだす温床を取り除き、革命の政治的基盤を強化するため、民主主義革命を遂行したのち、ひきつづき社会主義革命へと移行しなければなりませんでした。

 このことから朝鮮人民は、民主主義革命につづき、直ちに社会主義へ移行する過渡期にはいりました。しかし、平和的建設の時期には、我が国の社会主義革命は部分的にはじまったばかりであり、まだ準備段階にありました。アメリカ帝国主義者に強いられた戦争のため、北半部での社会主義的改造は一時中断せざるをえませんでした。したがって、我が国における社会主義革命は、戦後新たにはじまったも同然でした。

 戦後、共和国北半部の社会経済状態は、社会主義革命を本格的におし進めることを切実に求めました。

 戦争によって農業の物質的・技術的土台がことごとく破壊され、貧農はもとより中農と富農も極度に零細化しました。戦後、我が国の農村には、役牛や農機具、労働力がいくらもなく、食糧や衣料も非常に不足していました。このように、農業が甚だしく破壊された状況のもとで、個人農経営をそのまま残しておいては、農業生産力を速やかに復興することも、戦後非常に困難になった食糧問題を解決することもできませんでした。破壊された農業生産力を速やかに復興できず食糧問題を適時に解決できなければ、工業と人民経済全般の発展に支障を与え、ひいては計画的に急速に復興発展する工業と、緩慢に復興する農業とのあいだに甚だしい不均衡をもたらすおそれがありました。また、小農経営をそのまま残しておいては、零落した農民の生活を速やかに向上させることができず、特に、戦争中に増えた貧農の問題を解決することができませんでした。一口にいって、我が国における個人農経営の制約性は、戦後最も著しくあらわれ、それ以上たえられないものとなりました。戦後、我が国における個人農経営の制約性を克服する唯一の道は農業を協同化することでした。

 戦争によって、都市の私営商工業も非常に零落しました。資本主義的商工業者は大きな被害をこうむり、手工業者や小商人と同様素手の状態になりました。当時、企業家や商人は、独力では破壊された経営を復興することもできず、生活していくこともできませんでした。戦後零落した企業家や商人が生きる唯一の道は、国家の支援のもとに力と資金を合わせて共同で働く道、すなわち社会主義へ進む道でした。戦後、資本主義的商工業者を社会主義の道へ進ませることは、朝鮮革命の要求であったばかりでなく、かれらの境遇がもたらした客観的必然性でした。

 戦後、我が国で社会主義革命を本格的におし進める必要性は、また、共和国北半部の革命基地をさらに強化することにありました。共和国北半部でひきつづき革命をおし進めることなしには、北半部を祖国の統一と革命の全国的勝利のゆるぎない基地につくることができませんでした。したがって、北半部で革命をひきつづき力強くおし進めていくことは、北半部の革命自体の要求であったばかりでなく、全朝鮮革命の不可欠の要求でもありました。

 我が党は、戦後の我が国の革命情勢にたいする科学的な分析にもとづいて、戦後を社会主義革命の最も適切な時期と認め、1955年の「四月テーゼ」で社会主義革命を本格的におし進める方針を提起しました。

 都市と農村で古い生産関係を改造し、社会主義的生産関係の全一的な支配を確立するうえでなによりも重要なのは、個人農経営を協同化することであります。

 我が党と共和国政府は、戦後の我が国の具体的な実情から、農業の技術的改造に先だって経営形態を社会主義的に改造する方針を提起し、農業協同化運動を力強く展開しました。

 我々は戦後、農業の社会主義的改造が革命の機の熟した要求として提起された状況のもとで、経済が破壊され、技術の発展水準が低いからといって、農業協同化を後回しにすることはできませんでした。農業協同化の実現で決定的な条件となるのは、農業が近代的技術で装備されているかどうかにあるのではなく、農業の協同化が農民自身の生活の要求として提起されているか否か、また、それを担当し遂行する革命力量が準備されているかどうかにあるのです。マルクス・レーニン主義が示しているように、農民の土地と農機具の単純な統合による共同経営の場合でも、個別的な小農経営では望めない経営上の改善をもたらし、労働生産性を何倍にも向上させることができるのです。このことから、我が党は、工業化の実現を待つことなく、社会発展の機の熟した要求にしたがって、まず、経営形態を改造する闘争を展開しました。その結果、戦争によって甚だしく破壊された農業生産力を早急に復興し、さらに発展させることができたし、工業の発展にともなって農村の技術革命を強力におし進めることができました。

 我が党と共和国政府は、農業協同化運動を指導するにあたって自発性の原則を厳格に守りました。

 我が党は、農業協同化運動で強制的方法を徹底的に排し、農民を自発的に協同経営に加入させるため、各種の正しい政策を実施しました。

 協同化運動での実物教育は、幾世紀にもわたって個人経営に習慣づけられた農民を説得し、自発的に協同経営に加入させる最良の方法であります。我々は、農民にたいする思想教育活動を強めるとともに、経験的段階をもうけ、実践的模範をつうじて農民に協同経営の優位性を示すことに大きな力をそそぎました。

 我々はまた、土地が農民の私的所有となっており、かれらの財産所有と思想的水準が互いに異なる事情を考慮して農業協同経営の形態を3つに定め、農民が、みずからの意思に従って、そのうちの一つ形態を選択するようにしました。農民の生産手段を統合するうえでも、役牛や農機具のようなものは、かれらの希望に従って統合するか、または一定の時期までひきつづき私的所有として残しておきながら共同で利用するようにし、統合する場合は必ずその代価を支払うようにしました。我が党のこのような施策は、各階層の農民が協同化方針を容易に受け入れられるようにし、協同化運動にあらわれうるさまざまな弊害をあらかじめ防げるようにしました。

 自発性の原則を踏まえて、あい異なる階層の農民を協同経営に加入させるうえで、我が党は貧農にしっかり依拠して中農との同盟を強化し、富農を制限しながらしだいに改造する階級政策を堅持しました。

 我が党は、農業協同化を最も積極的に支持した貧農と農村の中核分子をもって、まず、テストケースとして、各郡に若干の農業協同組合を組織し、それを強化した基礎のうえで協同化運動を発展させました。そして、すべての農業協同組合で貧農に中核的役割を果たさせる一方、富裕な農民だけで協同組合を組織したり、農業協同組合の活動に富農の影響が及ぶことのないようにしました。我が党はまた、中農を強制的に協同経営に加入させたり、かれらの利益を侵して中農との同盟を弱めるような偏向が生じないように厳しく警戒しながら、個人経営と協同経営との競争をつうじて、中農に協同経営の優位性を示すようにしました。富農にたいしては、収奪し清算したのではなく、搾取的な側面を制限し自発的に協同組合に加入するようにしました。

 我が党と共和国政府は、農業協同化運動の全期間、農民にたいする組織・政治活動をたゆみなくおこない、社会主義的工業に依拠して農業協同組合に各種形態の強力な物質的・技術的支援と労働力の援助を与えました。このような指導と援助は、初期に貧農で組織された弱い農業協同組合を強化し、個人経営にたいする、その優位性を示すうえでも、協同経営制度を政治的、経済的に強固にするうえでも決定的な役割を果たしました。

 我が党と共和国政府の、これらの賢明かつ創造的な方針によって、我が国で農業協同化運動は極めて、順調に進められ、わずか4、5年という短い期間に勝利のうちに終わりました。

 都市と農村で社会主義的生産関係の全一的な支配を確立するためには、農業の協同化とあわせて、私営商工業を社会主義的に改造しなければなりません。

 我が党は、過渡期の初期から手工業の協同化を試験的に実施し、戦後にそれを積極的におし進め、短期間に成功裏に実現しました。

 我が党と共和国政府は、私営商工業を社会主義的に改造するにあたって、資本主義的商工業の改造に特別な注意を払いました。我が党は、我が国の資本主義的商工業の特性を考慮して、資本主義的商工業者を収奪せず、社会主義的に改造する方針をとりました。

 植民地半封建社会の民族資本家は、不徹底ではあるがある程度の革命性をもち、反帝反封建民主主義革命に切実な利害関係をもっています。我々は、植民地半封建社会の民族資本家のこうした特性を考慮に入れて我が国の民族資本家を革命の側に引き入れ、民族解放闘争も、民主主義革命もともにおこないました。最初から民族資本家にたいする我々の立場は、かれらとともに反帝反封建民主主義革命を遂行するだけでなく、社会主義・共産主義社会までともに進むということでした。したがって、社会主義革命の段階において資本主義的商工業者が革命の対象だからといって、企業家や商人を収奪するわけにはいきませんでした。特に、戦争によって資本主義的商工業がことごとく破壊され、企業家や商人が党の社会主義革命路線を支持するようになった状況のもとで、かれらを収奪する必要が全くなかったし、また、収奪しようにも収奪するものがありませんでした。

 したがって我が党は、資本主義的商工業を社会主義的に改造する方針を提起し、戦後すべての条件が熟するにつれて、自発性の原則を厳守しながら、かれらをいろいろな形態の協同経営に加入させるようにしました。

 我々はまず、手工業者で組織された生産協同組合を強化し、それを踏まえて企業家を漸次、協同経営に加入させるようにし、商人には、販売協同組合や生産販売協同組合を組織させ、そのなかでしだいに生産の割合を高め、それを純然たる生産協同組合に切りかえるようにしました。党の賢明な指導のもとに、我が国で資本主義的商工業の社会主義的改造は非常に早く進捗し、1958年に農業の協同化とほぼ同時に完成されました。

 都市と農村で古い生産関係を社会主義的に改造する歴史的課題が立派に実現した結果、我が国の北半部には、搾取と抑圧のない先進的な社会主義制度が樹立されました。共和国北半部における社会主義制度の勝利は、社会主義建設をさらに促進し、人民の物質的・文化的生活を根本的に改善するひろびろとした道を切り開きました。

 同志のみなさん! 我が党と共和国政府は、勝利を得た社会主義制度にもとづき、社会主義建設のたたかいを力強くおし進めました。

 社会主義建設において我が党は、社会主義の物質的・技術的土台をきずく事業と人々を共産主義的に教育改造する事業、言いかえれば、共産主義建設の物質的要塞を占領する闘争と、思想的要塞を占領する闘争をともに強力におし進めていく原則を堅持しました。

 社会主義経済建設は、労働者階級の党と国家の最も重要な革命課題の一つであります。社会主義経済建設を立派におこなえば、生産力を社会主義社会に照応する高い水準に発展させ、人民の物質的・文化的生活を系統的に高め、国の政治的独立と自主性をしっかりと保つことができます。

 社会主義経済を建設するための朝鮮人民のたたかいは、戦後復興建設の段階、工業化の基礎をきずく段階、工業化完成の段階の3段階にわたって進められてきました。我が党と共和国政府は、社会主義経済建設の各段階ごとに我が国の実情に即した正しい路線と政策を示し、その貫徹をめざすたたかいに全党員と勤労者を力強くふるいおこしました。

 我が党は、社会主義経済建設の全期間にわたって重工業を優先的に発展させながら、同時に軽工業と農業を発展させるという、社会主義経済建設の基本路線を堅持しました。

 社会主義経済建設における我が党の基本路線は、戦後の我が国の経済発展の合法則的要求と現実的可能性を正しく踏まえた正当な路線であります。この路線はまた、マルクス・レーニン主義の拡大再生産理論を我が国の具体的な実情に即して創造的に適用したものであり、人民経済の各部門間の均衡を保ち、生産成長の高いテンポを達成できる正確な路線であります。

 我が党と共和国政府は、社会主義経済建設の基本路線にそって、まず、機械工業を中核とする重工業の建設に力をそそぎました。

 重工業建設における我が党の方針は、我が国の豊富な天然資源と原料源に依拠して人民経済の発展に必要な原料、燃料、動力、機械設備などを基本的に国内で生産し供給できるみずからの強固な重工業基地を創設することでした。我々は、みずからの強固な重工業基地を創設するため、既存の重工業部門工場を復旧し、改造、拡張することとあわせて、我が国になかった新しい工業部門や工場、企業所を数多く建設しました。我々は、重工業の建設にあたって重工業のための重工業ではなく、軽工業および農業の発展と、人民生活の向上によりよく奉仕できる重工業を建設するようにしました。このような、我が党の重工業建設方針は、比較的少ない資金でみずからの強力な重工業を建設し、それを基礎として軽工業と農業をも速やかに発展させうるようにしました。

 こんにち、我が国の重工業は、基幹的部門の完備した強力な重工業に発展し、その威力は比べようもなく強まりました。なかでも、機械工業が画期的な発展を遂げました。我が国の機械工業は、各種の大型機械や精密機械、そして、近代的な工場設備を総合的に生産できる水準に達しました。

 我が党と共和国政府は、軽工業の発展にも大きな力をふりむけました。

 軽工業を発展させるにあたって我が党は、大規模の中央直轄工業と中小規模の地方経営工業を並進させる方針を堅持しました。我が党と共和国政府は、近代的な大規模の中央直轄軽工業部門工場の建設とあわせて、地方の潜在力を広く動員して地方産業工場を大々的に建設し、地方経営工業の技術的改造を積極的におし進めました。

 中央直轄工業と地方経営工業を並進させる方針は、多額の国家資金を投下せずに短期間に消費物資の生産を増大させ、国家資金を重工業と中央直轄軽工業に集中して人民経済全般の高い発展テンポを保障できるようにしました。地方経営工業の発展はまた、農民の農業生産物と副業生産物を適時に買い付け加工して、かれらの生活を速やかに向上させ、都市住民にたいする消費物資の供給活動も改善できるようにしました。

 軽工業の発展において、大規模の中央直轄工業と中小規模の地方経営工業を並進させる党の方針が立派に貫徹された結果、こんにち、我が国には大規模の近代的な中央直轄軽工業部門の工場とともに数千の地方産業工場が建設され、その技術装備も著しく改善されました。こんにち、我が国の軽工業は、勤労者の各種消費物資の需要を国内でまかなう頼もしい消費物資生産基地として発展しました。

 生産力を合理的に配置することは、人民経済全般の発展を促し、社会主義・共産主義建設の展望的課題を成功裏に解決するうえで重要な意義をもっています。

 我が党と共和国政府は、国の生産力を配置するにあたって、工場、企業所を原料供給地と消費地に接近させ、人民経済各部門の均衡のとれた発展と、国の全般的地域の均衡のとれた発展を保障し、都市と農村の差を速やかに縮める原則から出発しました。我々はこういう原則に従い、戦後人民経済の復興建設にあたって、復興の速度を保障し資金を節約するため、かなりの工場、企業所をもとの位置に復旧したが、新設する工場、企業所は多くの地域に分散配置するようにしました。その結果、全国いたるところに新しい工業都市が形成されて各地方に総合的な工業生産基地がきずかれ、過去の工業配置における不備な点と不合理さが完全に克服されました。

 工業の合理的配置は、国の天然資源と労働力の源泉を有効に利用して社会主義経済建設を促進させ、国の全般的地域を均衡的に発展させうるようにしました。工業の合理的配置はまた、労働者階級と農民との政治的・経済的・文化的結びつきを緊密にして労農同盟をさらに強め、農業にたいする工業の援助と農村にたいする都市の支援を強めて農村の立ち後れをなくし、都市と農村の差、労働者階級と農民の階級的差を著しく縮められるようにしました。また工業の合理的配置は、いくつかの都市への工場や人口の過度の集中を防ぎ、こんにち、資本主義諸国で大きな社会的問題となっている公害現象を前もって防止できるようにしました。

 農業を速やかに発展させることは、社会主義経済建設における最も重要な課題の一つであります。これまで我が党と共和国政府は、個人農経営を協同化するとともに、農業の物質的・技術的土台を強化し、農業生産を高めるため積極的にたたかいました。特に、我が党の社会主義農村建設の綱領である『我が国における社会主義農村問題にかんするテーゼ』にそって、農村で思想革命を確固と優先させるとともに、技術革命と文化革命を強力におし進めました。

 水利化は、農村技術革命において第一義的に提起される重要な課題でありました。共和国政府は、すでに停戦直後から農業協同化運動とあわせて潅漑工事を広く進め、農業協同化が完成するにつれて、この事業を全人民的運動としておし進めました。こんにち、我が国では水田の潅漑が完全に終わり、畑潅漑もかなり実現し、主な稲作地帯で湛水排除工事が完了しました。こうして、干ばつと洪水の被害をこうむらずに農業を営んでみたいという農民の幾世紀にもわたる願望は完全に実現しました。

 共和国政府は、大規模の発電所とあわせて中小規模の発電所を多く建設して農村電化の課題も立派に実現しました。こんにち我が国では、すべての里に電気が引かれ、すべての農家に電灯がともるようになりました。農村で電気は、農民の家庭文化生活だけでなく、農業生産の機械動力と熱源として広く利用されています。

 共和国政府は、農業の機械化と化学化にも大きな力をふりむけました。これまで我が党と共和国政府は、トラクターやトラックなど各種の能率的な農業機械と化学肥料、農薬などを大々的に生産して農村に供給しました。こうして、農業の機械化と化学化の水準が著しく高まり、農民は骨のおれる労働からしだいに解放されつつあります。

 農村の技術革命が進むにつれて農業生産が速やかに発展し、かつて貧困と暗黒の支配していた我が国の農村は、いまでは裕福で文化的な社会主義農村に変わりました。

 民族幹部の養成は、かつて立ち後れた植民地であった我が国において極めて重要な問題として提起されました。解放直後、我が国に民族幹部が極めて少なかったことは、国家の管理と経済、文化の建設における大きな隘路の一つでありました。したがって、我が党と共和国政府は、民族幹部の養成に大きな力を傾け、特に、戦後、社会主義建設が本格的におし進められるにともない、これを担当し遂行する民族技術幹部を大々的に養成するため積極的に努力しました。我々は、学業を専門とする高等教育体系とともに、働きながら学ぶいろいろな形態の高等教育体系を発展させ、地方に総合的な幹部養成機関をしっかりととのえました。その結果、こんにち我が国には50万に達する技術者、専門家の大集団が形成され、かれらによって国家・経済・文化機関と近代的な工場、企業所、協同農場などが立派に管理運営されています。

 社会主義革命と社会主義建設をめざす朝鮮人民のたたかいは、敵の侵略策動がたえずつづけられる、極めて困難な状況のもとで進められました。我が党と共和国政府は、敵の侵略から祖国と人民を防衛し、革命の獲得物を守るために革命と建設の全期間、国防力の強化に深い関心を払いました。特に、我々は、アメリカ帝国主義者の侵略策動がさらに露骨化するにともない、経済建設と国防建設を並進させる新しい路線を提起し、社会主義建設事業全般を革命的に再編成し、国防建設にいっそう大きな力をふりむけました。我々は、経済建設にある程度の支障をうけながらも祖国防衛に完璧を期すべく、多くの人的資源と物的資源を国防建設にふりむけ、全人民を党の軍事路線貫徹へと力強くふるいたたせました。こうしてこんにち、人民軍は、不敗の革命武力に強化され、全人民が武装し、全国土が要塞化されました。我々は、いかなる敵の侵略をも退けて祖国と人民を防衛し、革命の獲得物を守りうる強力な国防力をそなえたということを確信をもっていうことができます。

 人々を共産主義的に教育改造することは、社会主義・共産主義の建設で提起される最も重要な課題の一つであります。

 人間は、自然と社会の主人であり、すべてを決定する基本的要因であります。社会主義社会の主人は人民大衆であり、革命と建設をおし進める力もまた人民大衆にあります。したがって、社会主義・共産主義を建設するためには、国の物質的・技術的土台を強化するとともに、社会の主人である人間を共産主義的に教育改造しなければならず、人民大衆の創造的知恵と革命的熱意を積極的に発揮させなければなりません。

 我が党と共和国政府は、革命と建設の各段階ごとに人々を教育改造するための正しい路線と方針を提起し、それを貫くため積極的にたたかってきました。社会主義革命の時期に、我々は、経営形態の改造と人間改造を密接に結びつけ、社会の全構成員を社会主義的勤労者につくるためにたたかい、社会主義制度が勝利したのちは、全社会を革命化、労働者階級化する方針を提起して、人々を共産主義的に教育改造する活動を力強くおし進めました。

 我が党と共和国政府は、人々を教育改造するにあたって、労働者階級の思想性と組織性、文化性を高め、労働者階級を手本にして農民とインテリを教育改造する原則を一貫して堅持しました。

 我々はなによりもまず、労働者階級にたいする政治・思想活動を強化して階級的自覚を高め、生産闘争のなかでたえず鍛え、その隊列を組織的、思想的にしっかりととのえるため積極的にたたかいました。こうして、革命と建設における労働者階級の前衛的役割が著しく高まり、勤労者のあいだでその革命的影響力がいちだんと強まりました。こんにち、我が国の労働者階級はわずかの金のためにではなく、ただ国の富強発展と人民の自由と幸福のためにすべてをささげてたたかう、最も先進的で革命的な階級となり、朝鮮革命の指導階級としての任務を立派に果たしています。

 我が党と共和国政府は、革命の基本部隊の一つである農民を教育改造することにも深い関心を払いました。我々は、農村にたいする労働者階級の指導と援助を強化して、農村で技術革命と文化革命を促す一方、思想革命を力強くおし進めました。その結果、農民の思想・意識水準は著しく高まり、かれらのあいだに革命的で共産主義的な生活気風が確立されました。こんにち我が国の農民は、社会主義建設の頼もしい担い手として、社会と集団のために誠実に働いており、労働者階級をはじめ、すべての勤労者により多くの食糧を送り、軽工業の原料を十分に生産、供給するため積極的にたたかっています。

 政権を握った労働者階級は、みずからのインテリ陣容をしっかりかためなくては、科学と技術、文学と芸術を速やかに発展させることも、社会主義・共産主義を成功裏に建設することもできません。我が党と共和国政府は、革命と建設の全期間にわたってインテリにたいする教育をねばり強くおこない、特に、古くからのインテリの教育改造に大きな力をそそぎました。インテリを教育改造する党の方針が貫かれた結果、我が国のインテリは、社会主義的勤労インテリに改造され、党の示す道を確信をもって進んでいます。我が国のインテリは、個人の功名や名誉のためではなく、党と革命のために、祖国と人民のために、知恵と才能をことごとくささげて働いており、労働者、農民と同じ革命隊列に肩を並べて、我が国社会主義制度を強化発展させるため積極的にたたかっています。

 勤労者を教育改造する事業は、人々の頭に残っているいっさいの古い思想と古い習性を根絶し、かれらを労働者階級の革命思想、共産主義思想で武装させる活動であります。したがって我が党と共和国政府は、人々の教育改造を、思想教育を主として解説と説得の方法で進めてきました。我々は、勤労者にたいする党政策教育を強化するとともに、階級的教育を基本とする共産主義教育をねばり強くおこない、すべての勤労者が先進的な労働者階級の革命思想、共産主義思想で武装するようにしました。

 革命的な組織生活を強化することは、人々を共産主義的に教育改造する重要な方途の一つであります。我が党と共和国政府は、すべての勤労者が組織生活に積極的に参加して組織の規律を自覚的に守り、組織の指導と統制のもとで生活するよう深い関心を払いました。特に、批判の方法によって思想闘争をおこない、思想闘争をつうじて勤労者を革命的に鍛えました。

 我が党と共和国政府は、チョンリマ(千里馬)作業班運動をとおして、人々の教育改造を実践活動と密接に結びつけ、これが大衆自身のものとなるようにしました。

 勤労者を共産主義的に教育改造する活動が成功裏に進められた結果、朝鮮人民の政治・思想生活には大きな変化が起こり、我々の革命隊列は不敗のものに強化発展しました。

 我が党の賢明な指導のもとに、共和国政府はこれまで、革命闘争と建設事業でじつに偉大な業績をつみあげました。搾取と抑圧が支配していたこの地に、最も先進的な社会主義制度を樹立し、立ち後れた植民地農業国であった我が国を、極めて短い期間に強力な自立的民族経済と国防力をもった社会主義強国に発展させました。科学と文化をさん然と開花発展させ、全社会を革命化、労働者階級化する活動でも大きな成果をおさめました。我々は、社会主義革命と社会主義建設で偉大な勝利をおさめ、社会主義・共産主義への道で高峰をきわめました。


 2 我が国の社会主義制度の優位性

 同志のみなさん!

 我が国で社会主義革命が勝利したのち、政治、経済、文化の各分野でおさめた輝かしい成果は、我が国の社会主義制度の優位性と不敗の生命力を実証しています。

 我が国の社会主義制度は、勤労者大衆があらゆるものの主人となっており、社会のすべてのものが勤労者大衆に奉仕する最もすぐれた社会制度であります。

 勤労者大衆は、自然と社会の改造者であり、歴史の創造者であります。勤労者大衆の創造的労働と闘争によって、社会のすべての物質的富が創造され、社会的変革と進歩が遂げられます。したがって、勤労者大衆は当然、社会の主人となるべきであり、すべての物質的富の享有者とならなければなりません。

 しかし、いかなる社会でも勤労者大衆が社会の主人になれるものではありません。人々の社会的地位は、国家権力と生産手段を手中におさめているか否かによって決定されます。国家権力と生産手段を手中におさめた人であってこそ、社会の主人となることができます。

 搾取社会において、勤労者大衆は国家権力を握れず生産手段をもっていないため、社会の主人となれず搾取と抑圧の対象となっており、人格的にあらゆる侮辱と蔑視をうけています。金銭がすべてを支配する資本主義社会では、人格も金銭によって評価され、金のない人は品物扱いにされています。

 勤労者大衆は、社会主義社会ではじめて、社会の真の主人として自主的で創造的な生活を営むことができます。こんにち我が国では、国家のすべての政策が、労働者、農民をはじめ、勤労人民の利益と幸福のために実施されており、社会のすべての富が勤労人民の福祉増進にふりむけられています。我が国では、勤労者大衆を最も大切にし、かれらの人格と権利を最大限に尊重しています。特に、社会の未来を代表する新しい世代を誰よりも大切にしており、かれらが搾取社会でのような社会悪を知らずに幸せに育つようあらゆる配慮をめぐらしています。

 社会主義社会で勤労者大衆が、社会の主人となり、その人格と権利が最大限に尊重されるのは、まさにかれらが国家権力と生産手段の主人となっているからです。勤労者大衆が国家権力と生産手段の主人となっているところに、社会主義制度のすべての優位性と不敗の生命力の基礎があるのです。

 我が国の社会主義制度は、労働者、農民をはじめ、勤労人民に政治的自由と権利を実質的に保障する、真に民主主義的な制度であります。

 我が国では、性別と職業、財産と知識水準、政党の違いにかかわりなく、すべての勤労者に選挙権と被選挙権があり、言論、出版、集会、デモをはじめ、あらゆる社会・政治活動の自由と権利が保障されています。かつて、従属と無権利のなかで暮らしてきた労働者、農民をはじめとする勤労人民が、いまでは権力の主人として国家管理と国の政治に直接参加しており、政党、大衆団体の組織に加わって社会・政治活動を自由におこなっています。こんにち我が国の勤労者は、社会主義制度のもとで真の政治的権利と自由を享受し、尊厳と誇りにみちた生活を営んでいます。

 しかし、国家権力が一握りの搾取階級の手に握られている資本主義社会では、勤労者大衆にはなんの政治的権利や自由もありません。資本主義社会の勤労者は、国家権力に参加する権利がないのはもちろん、自己の政治的意思を発表する最も初歩的な自由や権利さえもてず、かれらには搾取階級にしたがう義務のみが負わされています。資本家がとなえている「自由」と「権利」は、もっぱら支配者や搾取階級が人民大衆を抑圧し搾取するためのものであり、かれらのいう「民主主義」はブルジョア独裁をカムフラージュするためのものにすぎません。

 我が国の社会主義制度の優位性はまた、国家が、労働者、農民をはじめ、勤労人民の物質・文化生活を全面的に責任をもって保障するところにあります。

 人民にひとしくよい暮らしをさせ、人民の物質・文化生活を系統的に向上させるのは、社会主義制度の本質的な特性であります。搾取社会では、国家が労働者、農民を抑圧し搾取する道具として奉仕していますが、社会主義社会では国家が人民の利益のために奉仕し、勤労者の物質・文化生活を責任をもって保障する任務を担っています。

 現在我が国では、労働年齢に達すれば誰もが国家から能力と素質に適した職業を保障され、労働の量と質に応じて分配をうけています。また勤労者には、労働保護制と8時間労働制、有給休暇制と静養・休養制の恩恵によって安全な労働条件と休息条件が保障されており、特に、子供をもつ婦人勤労者は、国家から大きな恩恵をうけています。我が国では、国家が労働能力をもつすべての勤労者に職場を与えるばかりでなく、年をとったり労働災害や疾病のため労働能力を失った人、そして身よりのない老人や児童の生活までも責任をもって保障しています。したがって、我が国には職場を求め歩いたり物乞いをしてさまよっている人が一人もなく、我が国では子供から老人にいたるまで、すべての人が国家と社会の配慮によって幸福に暮らしています。

 我が国では、国家がすべての勤労者に衣食住のすべての条件を保障しています。誰もが生まれたときから食べる権利を保障されており、託児所や幼稚園の子供から大学生にいたるまで、すべて国家から衣服の供給をうけています。労働者、事務員は、住宅を国家から保障されており、農民も国家が建てた文化住宅で生活しています。

 我が国ではまた、全般的な無料治療制が実施され、すべての勤労者が医療上の心配をすることなく暮らしています。都市と農村とをとわず、勤労者が働き、生活しているところには、すべて医療機関と医療従事者がおり、先進的な医療奉仕制度である医師区域担当制が実施され、国家が勤労者の健康を責任をもって見守っています。現在我が国では、解放前にくらべて死亡率が半分に減り、人々の平均寿命は26年ものびました。あらゆる疾病からぬけだそうとする朝鮮人民の幾世紀にもわたる願望は、共和国の制度のもとではじめて実現しました。

 我が国では、すべての人がともに学び、発展できるあらゆる条件を保障しています。いま、人民学校の児童から大学生にいたるまで、すべての学生・生徒が無料教育をうけており、学齢前の子供は、託児所、幼稚園で国家と社会の負担で幸福に育っています。特に、1年間の就学前義務教育と10年間の学校義務教育を与える全般的10年制高等中学義務教育の実施によって、我が国の新しい世代は11年間、国家の恩恵で完全な中等一般教育をうけています。これは事実上、11年制義務教育であり、我が国が世界で最も高い水準の義務教育を実施していることを物語っています。

 社会主義国家は、かつて搾取社会で学ぶ権利を奪われ、社会文明から遠くとり残されていた成人にも学びの道を開いています。我が国では、すべての勤労者が、勤労者中学校や工場高等技術学校、工場大学など働きながら学ぶ教育体系に組みこまれて、各自の希望と素質に従って心ゆくまで学んでいます。まことに我が国は、国家の恩恵で全人民が学ぶ「教育の国」「学びの国」であります。

 いま、我が国の人民は、たとえ地主や資本家のように豪華な生活はできないとはいえ、就職や衣食住の心配を知らずにひとしくよい生活をしており、心ゆくまで学んでいます。これは、我が国の社会主義制度が真に労働者、農民をはじめ、全人民のための制度であることを明示しています。

 社会主義制度は、人民にこんにちの幸福な生活を保障しているばかりでなく、明日のより輝かしい生活の展望を開く最もすぐれた社会制度であります。社会主義社会では、労働の結果がもっぱら社会の発展と勤労者の福祉増進にふりむけられるだけに、社会の富が増えれば増えるほど、人民の生活はより裕福になり文化的になります。

 しかし資本主義社会では、少数の搾取階級が日ましに富む反面に、絶対多数の勤労人民はますます零落し、悲惨な生活をしています。資本主義社会は、搾取階級と被搾取階級の貧富の差が日ましに甚だしくなる「富益富・貧益貧」の社会であり、勤労者大衆を飢餓と貧困へと追いこむ暗たんたる生き地獄であります。

 我々はすべての事実をとおして、我が国の社会主義制度が、真に労働者、農民、勤労インテリのための人民的な社会制度であることを、高い誇りをもって堂々と自負することができます。

 我が国では、経済と文化、科学と技術が、たえず速いテンポで発展しています。これは、我が国の社会主義制度の重要な優位性の一つであります。

 社会主義社会には、経済をたえず速いテンポで発展させうるあらゆる条件と可能性がそなわっています。社会主義社会では、国家が国のすべての人的資源と物的資源を計画的に利用し、生産と分配、蓄積と消費を統一的に掌握し指導することによって、経済の計画的・均衡的発展を保障することができます。また社会主義社会では、勤労者が国の主人として、社会と集団のために、自分自身の幸福のために働くので、生産において高度の革命的熱意と創意を発揮するようになります。

 こんにち我が国では、国家の経済組織者的機能が強化され、勤労者の思想・意識が高まるにつれて経済がたえず速いテンポで発展しています。我が国では、1957〜1970年の工業化の全期間に、工業生産が毎年平均19.1%の速いテンポで成長し、社会主義的工業化の困難で複雑な課題が14年というきわめて短い期間に輝かしく実現しました。

 社会主義社会では、文学・芸術もさん然と開花発展します。社会主義制度は、権力と生産手段ばかりでなく、文学・芸術も人民のものにすることによって文学・芸術の広い発展の道を開き、文学・芸術が勤労者大衆に奉仕する真の文学・芸術となるようにしました。

 こんにち我が国では、広範な勤労者が、文学・芸術活動に積極的に参加しており、文学・芸術を心ゆくまで楽しんでいます。我が国の文学・芸術は、その人民的、革命的な性格によって、人民からかぎりなく愛されており、さん然と開花発展しています。

 人民大衆の政治的・思想的統一が強化され、勤労者のあいだの同志的協力関係が日ましに発展するのは、社会主義制度の本質的な優位性の一つであります。

 搾取階級とあらゆる搾取制度の一掃は、労働者、農民、勤労インテリの境遇と社会的関係を根本的に変えました。社会主義制度が樹立された結果、我が国の人民はすべて社会主義的勤労者となり、その精神的・道徳的風格には根本的な変化が起こりました。我が国の労働者階級と協同農民、勤労インテリは、社会的・経済的境遇の共通性、目的と利害関係の共通性によって、政治的、思想的にかたく結びついており、同志的に緊密に協力しています。

 極端な利己主義にもとづき、弱肉強食の法則が作用する資本主義社会では、詐欺とペテンがはびこり、人々が互いに嫉視反目し、功名と出世、個人の安逸と享楽のために他人を犠牲にするのが一般的な現象となっています。しかし我が国では、集団主義の原則にもとづいて人々が互いに尊重し信頼し協力する、真の同志的関係が全社会を支配しています。我が国の勤労者のあいだでは、知識のある人が知識の足りない人を助け、先んじている人が後れている人を導きながらともに前進する、高度の共産主義的な美徳が発揮されています。

 こんにち、我が国は、全人民が一つの政治的力量にかたく結束した和気あふれる革命的な大家庭に変わっており、すべての人がこの大家庭のなかで革命的情熱と楽観にみちて働き、生活しています。全人民が、政治的、思想的に統一され革命的情熱を発揮して働くところに、我が国の社会制度の強固さの基礎があり、その不敗の力の源泉があります。

 我が国の社会主義制度の優位性と不敗の生命力は、日ましに全面的に発揮されています。

 朝鮮人民は、生活をつうじて社会主義制度のみが、勤労者大衆に真の自由と権利を保障し、最も裕福で幸福な生活をもたらすものであることを確信するようになり、この制度のもとで生活し革命をおこなうことをこのうえない光栄に、幸福に思っています。共和国北半部の人民は、自分自身が選択し、その優位性と偉大な生命力が実証された共和国の社会主義制度を誰にも譲ろうとはせず、この制度をさらに強化発展させるために一致して力強くたたかっていく決意に燃えています。


 3 朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法の基本内容

 同志のみなさん!

 我々は、共和国北半部に樹立された社会主義制度をさらに強固にし、社会主義の完全な勝利をめざすたたかいを力強くおし進めるために、今回の最高人民会議で朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法を制定することになります。

 新しく作成された社会主義憲法は、我が国における社会主義革命と社会主義建設の諸成果を正しく反映しており、社会主義社会における政治・経済・文化分野の諸原則ならびに公民の基本的権利と義務を規定しており、また、国家機関の構成とその任務と活動原則を定めています。社会主義憲法は、共和国北半部に樹立された社会主義制度とプロレタリアート独裁を法的に擁護し、労働者階級の革命偉業の遂行に服務すべき使命を担っています。

 朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法は、これまで朝鮮人民が革命闘争でかちとった政治的勝利と諸成果を法的に固定化し、革命発展の要求に即して国家の性格と任務と活動原則を規定しています。

 社会主義憲法は、朝鮮民主主義人民共和国を自主的な社会主義国家として宣布しています。その間、我が国では社会主義制度が樹立され、それを基礎にして、労働者階級が指導する労農同盟にもとづいた全人民の政治的・思想的統一がさらに強まり、社会主義的工業化の歴史的課題が輝かしく実現しました。その結果、共和国政権は、新しい社会主義的土台と確固とした政治的基盤をもった社会主義的政権に強化発展しました。

 朝鮮民主主義人民共和国の主権は、労働者、農民、兵士、勤労インテリにあります。最高人民会議と地方各級人民会議には、労働者、農民、兵士、勤労インテリの代表が代議員として参加し、かれらが国家機関を管理運営します。共和国は、勤労者大衆が国の主人となり、全人民が主権を行使している真の労働者、農民の国家であります。したがって、共和国は、搾取と抑圧から永久に解放された労働者、農民、兵士、勤労インテリの利益を擁護し保護することを、最も重要な使命としています。

 朝鮮人民の栄えある革命伝統を受けついだ共和国政権は、マルクス・レーニン主義を我が国の現実に創造的に適用したチュチェ思想をその活動の指導指針としており、朝鮮労働党の路線と政策を実行するためにたたかいます。

 北半部で社会主義の完全な勝利をかちとり、全国的な規模で外部勢力をしりぞけ、民主主義的基礎のうえで祖国の統一独立を達成するのは、共和国政権に課された基本的な革命課題であります。この課題を成功裏に遂行するためには、なによりもまず、共和国政権の機能と役割を高めて、社会主義制度に反対する内外の敵対分子とのたたかいを強化し、思想革命を強力におし進めて社会の全構成員を革命化、労働者階級化しなければなりません。

 社会主義憲法は、共和国政権がその活動において常に階級路線と大衆路線を貫き、チョンサンリ(青山里)精神、チョンサンリ方法の要求どおり、あらゆる活動において政治活動、対人活動を優先させて大衆の自覚的熱意を呼び起こし、社会主義建設における我が党の総路線であるチョンリマ運動を強力に推進し、それによって、勤労者を共産主義的に教育改造する活動と、経済建設をともに力強くおし進めるべきであることを明記しています。

 これとともに社会主義憲法は、朝鮮民主主義人民共和国の武装力の使命と、自衛の原則にもとづいた祖国防衛の方針、そして、完全な平等と自主性、マルクス・レーニン主義とプロレタリア国際主義の原則にもとづいた共和国の対外活動の方針を明確に規定しています。

 朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法は、朝鮮人民が自立的民族経済の建設でかちとった成果を法的に固定化し、我が国における社会・経済生活の諸原則を明示しています。

 生産手段にたいする社会主義的所有は、朝鮮民主主義人民共和国の経済的基礎であります。都市と農村で全一的支配が確立された社会主義的生産関係にもとづいて、国家のあらゆる経済活動と勤労者の社会・経済生活は徹底した社会主義的原則にそっておこなわれ、国の経済は非常に速いテンポでたえず発展しています。朝鮮民主主義人民共和国の経済的威力は、社会主義的生産関係の大きな優位性と自立的民族経済の強固な土台によってしっかりと裏打ちされています。

 労働にかんする問題は、社会主義社会において社会・経済生活の基本をなす最も重要な問題の一つであります。社会主義憲法は、我が国における労働の性格と勤労者の労働生活の原則、それに社会主義的分配の原則について明確に規定しています。

 社会主義・共産主義は、幾百万勤労者大衆の創造的労働によってのみ建設されます。労働を愛し社会主義・共産主義を建設する共同労働に誠実に参加するのは、社会主義社会の勤労者の崇高な義務であり、最大の栄誉であります。我が国では、すべての勤労者が労働に参加しており、祖国と人民のために、自分自身の幸福のために自覚的熱意と創意を発揮して働いています。

 我が国では労働の結果が、もっぱら祖国の富強発展と勤労者の福祉増進にふりむけられています。すべての勤労者が、能力にしたがって働き、労働の量と質に応じて分配をうけるのは、動かしがたい社会主義的原則であります。共和国は、人民の物質・文化生活をたえず高めることを第一義的な課題としており、その活動の最高原則としています。

 社会主義憲法には、我が国の社会主義的経済管理形態と国家の経済指導原則が指摘されています。

 生産者大衆の集団的な力に依拠して経済を科学的に、合理的に管理運営するテアン(大安)の事業体系と、農業を企業的方法で指導する新しい農業指導体系は、実践をとおしてその優位性が十分に証明された、最もすぐれた社会主義的経済管理形態であります。また計画の一元化と細部化は、経済管理において民主主義中央集権的規律を強化し、生産の高い発展テンポと人民経済の均衡のとれた発展を保障する社会主義的計画化の体系であり、方法であります。我が党によって創造された社会主義経済管理体系の優位性を全面的に発揮させ、この体系の要求に従って経済を指導し管理運営することは、社会主義経済建設で成果をおさめるための決定的な裏付けであります。

 社会主義憲法にはまた、社会主義の物質的・技術的土台をさらに強固にきずきあげて勤労者を骨のおれる労働から永久に解放し、協同的所有を漸次全人民的所有に移行させ、都市と農村の差、労働者階級と農民の階級的差をなくすための経済的課題が示されています。

 朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法は、文化建設分野で朝鮮人民がかちとった輝かしい成果をふまえて、文化革命を徹底的に遂行し、社会主義的民族文化の建設を促進させる方向と、この分野で国家が堅持すべき諸原則を明示しています。

 社会主義社会における文化革命の基本目的は、すべての勤労者を自然と社会にかんする深い知識と高度の技術を身につけた有能な社会主義・共産主義建設者に育成し、我が国の文化を社会主義勤労者に奉仕する真に人民的で革命的な文化にすることにあります。文化革命のこうした目的を達成するためには、帝国主義の文化的浸透と復古主義的傾向に反対してねばり強くたたかい、教育、科学、文学・芸術をはじめ、社会主義文化建設のあらゆる部門を健全な土台のうえで速やかに発展させなければなりません。

 社会主義憲法には、教育事業で社会主義教育学の原理を徹底的に具現し、一般教育と技術教育、教育と生産労働を密接に結びつける国家の教育方針と、労働年齢に達するまでのすべての新しい世代に10年制高等中学義務教育を実施する問題をはじめ、重要な人民的教育施策が具体的に指摘されています。憲法にはまた、科学と文学・芸術、体育と人民保健医療事業の発展にたいする国家の革命的方針が明示されています。

 朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法は、社会主義社会の本性に即して公民の基本的権利と義務を明確に規定しています。搾取と抑圧がなく、社会の利益と個人の利益が根本的に一致する我が国において、公民の権利と義務は「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という集団主義の原則にもとづいています。社会主義憲法に規定された公民の基本的権利は、人民が社会生活で実質的に享有している民主主義的権利と自由を法的に確認したものであります。憲法に規定された公民の義務は、社会主義制度を強化発展させ、祖国をいっそう富強にするうえで、国の主人である人民が当然履行すべき栄誉ある義務であります。

 朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法は、革命発展の現実にふさわしく国家機関の構成と任務、活動原則を新たに規定しています。

 社会主義憲法によって定められた新しい国家機関の体系は、労働者、農民、兵士、勤労インテリが、国家活動と国家管理により積極的に参加できるようになっており、また国家機関がみずからの機能と役割を高めて人民の利益のためによりよく奉仕し、革命闘争と建設事業をさらに力強くおし進められるようになっています。

 我が国の国家機関は、労働者、農民、兵士、勤労インテリの代表によって構成され、勤労人民の利益を擁護し、人民の自由と幸福のためにたたかいます。新たな国家機関の体系は、行政機関がその活動において、常に人民大衆の監督と統制をうけることになっています。新たな国家機関の体系では、従来の国家機関の体系とは違って、人民委員会と行政機関を分離させ、労働者、農民、兵士、勤労インテリの代表からなる人民委員会が行政機関の活動を常に監督し統制する機能を果たし、それによって行政機関の活動家がその活動において官僚主義をなくし、人民の忠僕として人民のためによりよく奉仕できるようにしました。

 社会主義憲法は、民主主義中央集権制の原則をすべての国家機関の組織と活動の基本原則として規定しています。国家機関の組織とその活動における民主主義中央集権制は、全国的規模で党の路線と政策を統一的に実行し、社会主義・共産主義の建設に全人民を力強く動員できるようにします。人民政権機関は、民主主義中央集権制にもとづいているため、社会主義・共産主義建設の強力な武器としての機能と役割を十分に果たすことができます。

 朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法は、労働者、農民、兵士、勤労インテリのための最も人民的な憲法であります。新憲法は、労働者、農民、兵士、勤労インテリの意思と要求を十分に反映しており、勤労人民の利益を徹底的に擁護しています。新憲法はまた、社会生活の各分野にわたってすべての人民に真の自由と権利を与え、それが実質的に保障されるようあらゆる条件を法的に裏付けています。

 朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法は、最も革命的な憲法であります。主として国家機関の体系を記述している憲法とは異なり、社会主義社会の政治・経済・文化分野における諸原則を全面的に規定している我が国の社会主義憲法は、我が党と共和国政府の政策を擁護し、社会主義革命の獲得物をゆるぎなく守るプロレタリアート独裁の鋭い武器として、また、社会主義経済建設を力強くおし進め、思想革命と文化革命を強化し、社会主義的生活様式を確立して全社会を革命化、労働者階級化する強力な手段として服務することでしょう。

 社会主義憲法の制定により、共和国政府は、プロレタリアート独裁の新たな武器をもつようになり、朝鮮人民は、社会主義の完全な勝利と祖国の自主的平和統一をなし遂げるためのたたかいで、確固とした法的裏付けをもつことになるでしょう。共和国北半部での社会主義憲法の実施は、社会の民主化の実現と、祖国の自主的平和統一をめざしてたたかう南朝鮮人民を強く励ますでありましょう。

 社会主義憲法が実施されることにより朝鮮人民の政治・経済・文化生活には新たな転換がもたらされ、朝鮮人民は、自己の偉業の正しさを確信し、社会主義・共産主義の道を力強く前進することでしょう。


 4 社会主義制度を強化発展させるための課題

 同志のみなさん!

 こんにち、朝鮮民主主義人民共和国政府と朝鮮人民には、新しい社会の建設でおさめた誇らしい成果を踏まえ、革命闘争と建設事業をひきつづき力強くおし進めて社会主義制度をさらに強化発展させ、社会主義の完全な勝利を実現すべき歴史的な任務が提起されています。

 社会主義の完全な勝利をかちとるためには、都市と農村の差、労働者階級と農民の階級的差をなくし、社会主義の物質的・技術的土台を強固にし、人民の物質・文化生活をいちだんと向上させ、敵対的階級のしゅん動と古い思想の腐食作用を徹底的になくさなければなりません。

 社会主義の完全な勝利をめざす闘争は、社会生活のすべての領域で、古い社会の遺物を最終的に一掃する闘争であり、経済と文化、思想と道徳のすべての分野にわたって、社会を労働者階級の姿に改造する闘争であります。したがって、労働者階級の党と国家は、社会主義の完全な勝利を実現するため、共産主義建設における2つの要塞である物質的要塞と思想的要塞を占領するための闘争をともに力強くおし進めなければなりません。我々は、技術革命、文化革命、思想革命をひきつづき力強くおし進めて、社会主義制度をさらに強固にし、社会主義の完全な勝利をかちとらなければなりません。

 現段階における技術革命の基本課題は、朝鮮労働党第5回大会が提起した3大技術革命の課題を成功裏に遂行することであります。

 重労働と軽労働の差、農業労働と工業労働の差を大幅に縮め、女性を家事の重い負担から解放するための3大技術革命の課題は、社会主義の完全な勝利を保障する栄誉ある課題であり、社会主義的工業化が実現したのちに提起される社会主義建設の戦略的課題であります。3大技術革命を遂行するのは、勤労者を骨のおれる労働から解放し、労働生活でより完全な平等を保障し、人民経済の技術的改造と生産力の発展を促進する基本的方途であります。また、3大技術革命の課題を遂行すれば、勤労者の技術・文化水準の向上と思想・意識の改造をなし遂げ、都市と農村の差、労働者階級と農民の階級的差をなくす問題も順調に解決していくことができます。

 共和国政府は、党が提起した3大技術革命の課題を現段階における社会主義経済建設の中心的課題としてとらえ、それを成功裏に遂行するため積極的にたたかうでありましょう。

 重労働と軽労働の差を縮め、高熱労働と有害労働をなくすために、骨のおれる作業や高熱労働、有害労働がおこなわれる部門で機械化・半オートメ化、オートメ化の水準を全般的に高め、農業労働と工業労働の差を縮めるために農業の総合的機械化と化学化を全面的に実現しなければなりません。これとともに、女性を家事の重い負担から解放するために、家事を短時間のうちにらくにできるよう、いろいろな条件を十分ととのえなければなりません。3大技術革命のこのような目標を達成するために、人民経済のすべての部門で大衆的技術革新運動を力強くくりひろげ、生産で新たな高揚を起こさなければなりません。

 なによりもまず、機械工業の発展に大きな力をそそぎ、この部門で革新を起こさなければなりません。

 技術革命は、とりもなおさず機械革命であります。人々の骨のおれる労働の手間をはぶく決定的な手段は機械であり、生産力の発展もほかならぬ機械の改良によってなし遂げられるのです。3大技術革命を成功裏に遂行するか否かの問題は、結局、機械工業を速やかに発展させ、各種の近代的機械設備を円滑に生産し供給できるかどうかにかかっています。

 機械工業の発展で第一に力をそそぐべき問題は、工作機械の生産をひきつづき急速に増大させることであります。これまで、機械工業部門の英雄的な労働者たちは、党の呼びかけにこたえて工作機械の生産で革新を起こし、年間工作機械3万台の生産目標を輝かしく達成して、3大技術革命の遂行で勝利をかちとる確固たる展望を切り開きました。機械工業部門では勝利におごることなく、すでにおさめた成果をかためながら工作機械の台数をひきつづき増大させるためにたたかい、特に、工作機械の種類を増やし、その品質を向上させるため、力強くたたかわなければなりません。

 トラクター、トラックの生産を速やかに増大させることは、3大技術革命遂行のさし迫った要求であり、当面して機械工業部門に提起される最も重要な課題であります。我が党は、農業の総合的機械化を成功裏に実現するため、近い将来に田畑100ヘクタール当たりトラクターは6、7台、トラックは1台ずつ供給する方針を示しました。党のこの方針を貫くため、トラクターと自動車の生産基地を拡張整備し、トラクターとトラックの生産で新たな革新を起こさなければなりません。そして、今後1、2年のうちに年産トラクターは3万台、トラックは1万5000〜3万台の水準に到達しなければなりません。

 機械工業部門の重要な課題の一つは、大型機械と特注設備の生産を発展させることです。大型機械生産基地をさらに拡張整備して、採取工業や大自然改造事業に必要な総合掘進機大型ブルドーザー、大型掘削機をはじめ、各種の大型機械と大型船舶をより多く生産し、特注設備の生産で革新を起こさなければなりません。

 人民経済の各部門で半オートメ化、オートメ化を広く実施するためには、電子工業や自動化工業を速やかに発展させなければなりません。すでに、きずかれた電子工業と自動化工業の土台を最大限に利用して、各種の自動化要素および計器・器具類を大量に生産する一方、中小規模の自動化要素分工場や自動化計器・器具分工場を大々的に建設しなければなりません。

 機械工業を速やかに発展させ、膨大な建設事業を円滑に保障するためには、金属工業の発展に力をそそぎ、各種の鋼材や非鉄金属の生産を大幅に増やさなければなりません。金策製鉄所や降仙製鋼所をはじめ、金属工場を近代的に改造し拡張する工事を早急に完成して生産を画期的に高めるとともに、新しい近代的大金属工業基地の建設を力強く進めなければなりません。これと同時に、非鉄金属生産基地をさらに強化し、製錬所の生産能力を最大限に発揮させて、各種非鉄金属の生産を著しく増大させなければなりません。

 採取工業と電力工業を優先させるのは、3大技術革命を成功裏に遂行し、人民経済のすべての部門を急速に発展させるための重要な裏付けであります。採取工業部門では、探鉱活動を優先させ、技術革新運動を力強くくりひろげて、炭鉱、鉱山の機械化、オートメ化水準を決定的に高め、生産で新たな革新を起こさなければなりません。電力工業部門では、現存発電所の設備をよく管理して電力生産を最大限に高める一方、新しい発電所の建設工事を力強く促進し、その操業期日を繰りあげなければなりません。

 化学工業部門の重要な課題は、軽工業の原料基地をさらに拡大強化し、農村の技術革命の遂行に必要な化学肥料と農薬の生産をひきつづき増大させることであります。化学工業部門の労働者は、6か年計画の遂行ですでに大きな成果を達成し、特に、ビナロンと塩化ビニールの生産では、今年すでに6か年計画末の水準を突破しています。今後、化学工業部門では、現存の生産能力をより効果的に利用するために努力する一方、新しい近代的な化学工業基地の建設を力強く進めなければなりません。また化学肥料の生産では、ガス化によるアンモニアの生産を正常化し、燐酸肥料と微量要素肥料の比重を著しく高めなければなりません。同時に、製紙基地をさらに完備して、全般的10年制高等中学義務教育の実施と文化革命の遂行に必要な紙を十分に生産し供給しなければなりません。

 我々には、3大技術革命を成功裏に遂行し、人民経済を新たに発展させるための膨大な建設事業が提起されています。基本建設部門では、党の建設集中化方針に従って、国の経済発展と人民生活の向上で決定的意義をもつ重要な建設対象に力を集中し、操業期日を最大限に早めなければなりません。

 建材工業と林業の発展に力を入れ、各種の建設資材の需要を円滑にみたすようにしなければなりません。

 軽工業を速やかに発展させることは、人民生活を著しく向上させ、女性を家事の重い負担から解放するうえで極めて重要な意義をもっています。共和国政府は、紡織工業と被服工業に大いに力をそそぎ、特に、日用品工業と食品加工工業の現代化を力強くおし進めなければなりません。日用品工業と食品加工工業を現代化するためには、機械工業部門でこれに必要な各種の単能設備を大量に生産、供給しなければなりません。我々は、機械が機械を生みだし、工場が工場を生みだす大衆的運動を広範にくりひろげ、日用品工業と食品加工工業の現代化を速やかに実現して、日用品と食品の生産に一大転換をもたらすようにすべきであります。

 農業労働と工業労働の差を縮め、農民を骨のおれる労働から解放するために提起される最も重要な課題は、農業の総合的機械化を全面的に実現することであります。農業部門ではトラクター、トラックの生産が急速に増大するにつれて、農作業の機械化の比重を著しく高め、なかでも中間部の機械化の実現に力を集中すべきであります。トラクターの修理基地と連結農業機械生産基地をしっかりととのえる一方、耕地整理を大々的におこない、トラクターの利用度を最大限に高めることによって、農業の総合的機械化を成功裏に実現しなければなりません。これとともに農業の化学化を促進し、先進的な営農方法を広く適用して農業生産に新たな高揚をもたらさなければなりません。

 3大技術革命の遂行で、交通運輸部門は極めて重要な役割を受け持っています。この部門では、鉄道の電化をひきつづきおし進め、新しい鉄道建設と港湾建設を力強くおし進めて交通運輸の物質的・技術的土台をさらに強化し、輸送組織を改善し、貨物の積みおろし作業を極力機械化して増大する貨物輸送を円滑に保障しなければなりません。

 共和国政府は、技術革命とともに文化革命をひきつづき力強くおし進めなければなりません。

 こんにち、文化建設分野のさし迫った課題は、社会主義建設の現実が要求する技術者を大々的に育成し、勤労者の全般的な文化・技術水準をいちだんと高めることであります。

 我々は、大学と高等専門学校の事業を改善、強化し、大学を増設し夜間教育および通信教育をさらに強化発展させて、近い将来に技術者、専門家の隊伍を100万以上に拡大するという第5回党大会の決定を必ず実行しなければなりません。

 勤労者の文化・技術水準を高めるためには、全般的10年制高等中学義務教育を充実させなければなりません。共和国政府は、10年制高等中学義務教育を順調に実施するため、それに必要な各種の物質的条件を十分にととのえ、師範教育を決定的に改善、強化して、優秀な教員を大量に養成しなければなりません。教育部門では、社会主義教育学の原理を具現して、すべての学生・生徒を我が党の革命思想で武装させ、知・徳・体をかねそなえた頼もしい社会主義・共産主義建設の担い手に育成しなければなりません。

 勤労者の文化・技術水準を全般的に高めるためにはまた、勤労者中学校と工場高等技術学校をはじめ、働きながら学ぶ教育体系をいっそう発展させ、すべての勤労者が一定の教育体系のもとに日常的に学ぶようにしなければなりません。

 こうして、すべての勤労者が、高等中学卒業程度の水準に達し、一つ以上の技術を身につけるようにしなければなりません。

 共和国政府は、党の一貫した方針に従って、思想革命をひきつづき力強くおし進め、全社会の革命化、労働者階級化を実現しなければなりません。

 全社会を革命化、労働者階級化するうえで最も重要なのは、勤労者を我が党の唯一思想、チュチェ思想で武装させることであります。我が党のチュチェ思想は、朝鮮革命を成功裏に遂行するための最も正しい指導思想であります。勤労者が、我が党のチュチェ思想で武装してこそ、真の革命的世界観を身につけることができ、革命闘争と建設事業で自己に課せられた任務を円滑に遂行することができます。勤労者にたいする党政策教育と革命伝統教育をさらに強化して、我が党の唯一思想、チュチェ思想でかれらを武装させることによって、すべての勤労者がいかなる逆境にあっても革命的節操をかたく守り、党の路線と政策をあくまで貫く、党の真の革命戦士、共産主義的革命家になるようにしなければなりません。

 勤労者をチュチェ思想で武装させるとともに、階級的教育を基本とする共産主義教育を強化することによって、すべての勤労者が、労働者階級の階級意識と集団主義思想で武装し、我が国の社会主義制度を熱烈に愛し、その強化発展のため献身的にたたかうようにしなければなりません。

 人民の物質・文化生活をたえず向上させることは、共和国政府のすべての活動の最高原則であります。共和国政府はこれまでと同様、今後もひきつづき人民の物質・文化生活水準を高めるためにあらゆる努力を傾けるでありましょう。

 我々は、人民の生活を系統的に向上させながら、すべての勤労者の生活をひとしく向上させる原則を貫徹しなければなりません。共和国政府は、我が党第5回大会が提起した方針にそって、人民の生活を全般的に向上させながら、特に、労働者と農民の生活水準における格差、都市と農村住民の生活条件における格差を早急になくすため積極的に努力すべきであります。

 こんにち、提起されている革命課題を成功裏に遂行し、社会主義制度を強化発展させるためには、政権機関を強化し、その機能と役割をいちだんと高めなければなりません。

 革命と建設の強力な武器である労働者、農民の政権を強化することは、社会主義の完全な勝利を保障し、労働者階級の歴史的偉業を完遂するための重要な裏付けであります。我々は、各級政権機関を強化し、革命と建設でその機能と役割を高めるためにたゆみなく努力しなければなりません。

 各級政権機関は、労働者、農民をはじめ、勤労人民の政治的権利と利益の擁護者として、かれらの生活に責任をもつ戸主として、その役割を決定的に高めなければなりません。政権機関は、勤労者の政治的権利をあらゆる面から擁護し、かれらの生命と財産を保護し、全人民が豊かに暮らせるようにするため積極的に努力しなければなりません。各級政権機関は、人民の生活と直接つながっている商業、都市経営、教育、保健医療、生産と建設を掌握し、それにたいする指導を強めて、人民によりよい生活条件をもたらさなければなりません。政権機関はまた、国家財産と社会財産を立派に保護、管理し、それを横領し浪費する行為にたいして強い闘争をくりひろげるべきであります。

 共和国政権が、革命と人民の利益のために奉仕する真の労働者、農民の政権となるためには、なによりもまず、政権機関の活動家のあいだで党の唯一思想体系を確立しなければなりません。各級政権機関の活動家は、我が党の唯一思想で武装し、常に党の路線と政策に依拠してすべての活動をおこない、いかに困難な条件のもとでも、それをあくまで擁護し貫徹すべきであります。これとともに、政権機関の活動家は、活動方法と活動作風をたえず改善しなければなりません。労働者階級が政権を握ったのち、活動方法と活動作風にあらわれがちな主な欠陥は官僚主義であります。官僚主義は、政権機関の活動家のあいだで自分の地位を官職のようにはき違える誤った観点と主観主義から生まれるものです。活動家の官僚主義は、大衆を党から引き離し、革命課題を成功裏に遂行できなくします。政権機関の活動家のあいだで官僚主義的な活動方法を決定的になくし、我が党の革命的な活動方法であるチョンサンリ方法を徹底的に貫かなければなりません。

 共和国政府は、国防力の強化にひきつづき大きな力を入れなければなりません。

 我々は、世界帝国主義のかしらであるアメリカ帝国主義と直接対峙して社会主義を建設しているため、国防力の強化をいっときもおろそかにすることはできません。共和国政府は、帝国主義者の戦争政策と侵略策動にたいし、常に警戒心を高め、自衛の革命的原則にもとづいて、国防力をあらゆる面から強化しなければなりません。我々は、全軍幹部化と全軍現代化、全人民武装化と全国土要塞化を基本的内容とする党の軍事路線をひきつづき貫徹し、国防力を鉄壁にかためることによって、帝国主義者のいかなる侵略策動をもそのつど粉砕し、祖国と人民の安全と、社会主義の獲得物をゆるぎなく守らなければなりません。

 社会主義制度を強化発展させ朝鮮革命の最終的な勝利をさらに早めるためには、主体的革命力量を強化すると同時に、国際革命勢力との連帯を強化しなければなりません。

 対外政策の分野で朝鮮民主主義人民共和国が堅持している一貫した原則は、我が国にたいし友好的なすべての国と、平等と互恵の原則で友好・協力関係を発展させていくことであります。我々は今後もひきつづき、対外政策の分野でこの原則を堅持するでありましょう。

 共和国政府は、マルクス・レーニン主義とプロレタリア国際主義の原則にもとづいて、社会主義諸国間の統一と団結を達成し、社会主義諸国との友好・協力関係を発展させるためにあらゆる努力をつくすでありましょう。

 共和国政府は、自由と民族独立をめざしてたたかうアジア・アフリカ、ラテンアメリカ諸国との国家的関係をさらに拡大強化し、より多くの国と友好関係を結び、それを発展させるために努力するでありましょう。我々はまた、我が国と親善関係を結ぶことを望み、朝鮮半島の南と北にたいして侵略的性格のない等距離政策を実施する資本主義諸国とも、平和共存の5原則にもとづいて国家的および政治的・経済的・文化的関係を結ぶために努力するでありましょう。

 アメリカをはじめとする帝国主義の侵略と戦争政策に反対し、世界の平和と安全を守るためにたたかうことは、対外活動分野で共和国政府の堅持している一貫した方針であります。

 こんにち、アメリカをはじめとする帝国主義者は、「平和」と「話しあい」という体裁のよい看板のかげにかくれて、ひきつづき狡猾な方法で侵略と戦争政策を追求しています。我々は、反帝反米闘争の革命の旗を高くかかげて、帝国主義者の侵略と戦争政策を阻止、破綻させ、世界平和を守るためにひきつづき断固たたかうでありましょう。我々はまた、帝国主義に反対する世界各国人民の闘争を積極的に支持声援し、すべての反帝勢力との連帯を強めるため積極的に努力するでありましょう。

 朝鮮民主主義人民共和国政府と朝鮮人民は、常に平和と民主主義、民族独立と社会主義をめざしてたたかう人民の側に、しっかりと立つでありましょう。

 これまで、在日朝鮮公民は、民主主義的民族権利を守り、祖国の自主的平和統一を早め、日本人民をはじめ、世界の進歩的人民との国際的連帯を強化するたたかいで大きな成果をおさめました。

 在日朝鮮公民は、今後もチュチェ思想の旗を高くかかげ、総聯を中心にかたく団結して民族教育を発展させ、祖国への帰国と往来の自由を実現するため、ひきつづきねばり強くたたかうべきであります。在日朝鮮公民はまた、我が党の自主的平和統一の方針を高くかかげ、朝鮮人民の最大の民族的課題である祖国の統一を早めることに積極的に寄与し、日本人民をはじめ、世界各国人民との国際主義的友好をさらに強化すべきであります。

 朝鮮民主主義人民共和国政府は、在日朝鮮公民をはじめ、すべての海外朝鮮公民を保護することをその神聖な義務とみなしています。共和国政府はこれまでと同様、今後も海外朝鮮公民の利益と民族的権利を侵害するあらゆる不当な策動に反対して断固たたかい、海外同胞の正当な闘争をあらゆる面から支援するでありましょう。

 代議員同志のみなさん!

 朝鮮人民は、朝鮮労働党の賢明な指導のもとに、おり重なる難関と厳しい試練を勇敢に克服して、社会主義革命と社会主義建設で偉大な勝利と成果をおさめました。これまで朝鮮人民がおさめたすべての輝かしい勝利と成果は、我が党のチュチェ思想の正しさと不敗の生命力を証明するものであり、朝鮮人民の底知れぬ力を示威するものであります。

 こんにち朝鮮人民には、革命と建設をさらに促進し、共和国北半部で社会主義の完全な勝利を実現し、祖国の自主的平和統一をなし遂げるべき重大な課題が提起されています。我々はこの課題を完遂するため、ひきつづき高度のエネルギーと献身性を発揮して力強くたたかい、あらゆる難関を乗り越えてさらに早く前進すべきであります。

 我々は、国家社会生活のすべての分野に、今度新しく制定される社会主義憲法を具現し、それにもとづいて革命と建設をさらに力強くおし進めなければなりません。すべての公民は、社会主義憲法を自覚的に遵守して革命闘争と建設事業に一大転換をもたらさなければなりません。

 我々の革命偉業は正当であり、勝利は我々のものであります。

 我が党の指導のもとに、自己の手に主権をしっかり握って進む朝鮮人民の前途を阻む力はありません。

 ともにマルクス・レーニン主義の旗、チュチェ思想の革命の旗を高くかかげ、党中央委員会と共和国政府のまわりにかたく団結して、社会主義・共産主義の輝かしい未来をめざして勇敢に前進しましょう。

出典:『金日成著作集』27巻 


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