金 日 成

社会主義社会における職業同盟の性格と任務について
朝鮮職業総同盟第5回大会でおこなった演説
−1971年12月14日−


 同志のみなさん!

 このたびの朝鮮職業総同盟第5回大会の報告やみなさんの発言は、極めて重要で価値あるものだと思います。私は報告と発言を聞いて、我が国の労働者階級が党にかぎりなく忠実な革命隊伍にたくましく育っていることを、改めてはっきりと知ることができました。

 私は、これまで英雄的な労働者階級が党にたいするかぎりない忠実さと高度の革命精神を発揮し、革命闘争と建設事業で大きな業績をつみあげたことにたいして満足に思い、それを高く評価するものです。

 労働者階級にたいする党中央委員会と全人民の信頼と期待は極めて大きいものがあります。革命の指導階級である労働者階級が立派にたたかえば、我が国は急速な隆盛発展を遂げ、朝鮮民族の一致した念願である祖国の統一を早めることができます。

 私は、我が国の労働者階級がこの大会を契機に、自己に課せられた重大な使命を深く自覚し、今後さらに積極的にたたかって必ず党と人民の期待にこたえるものと確信します。

 私はこの機会をかりて、現段階における職業同盟の性格と任務について簡単に述べようと思います。

 世界の労働運動は長い歴史をもっています。労働者階級は、生まれたその日から資本の抑圧と搾取に反対し、そのくびきを断ち切るためのたたかいをたえまなくくりひろげてきました。

 我が国の労働運動の歴史もけっして短いものではありません。我が国の労働運動は1920年代から始まりました。1920年代に入って、我が国の労働者階級は急速に成長し、たたかいの舞台に積極的に進出しはじめ、それ以来、我が国の民族解放運動は労働者階級の指導のもとに発展するようになりました。

 祖国を奪われ、全民族が日本帝国主義の植民地支配のもとに苦しんでいた時期、朝鮮の労働者階級には、日本帝国主義を打倒して民族の解放をかちとり、資本の搾取をなくすためにたたかうべき任務が提起されました。しかし、我が国の初期の労働運動は、労働者階級自身の力量が弱かったうえに、闘争を正しい道に導く指導者がなく革命的なマルクス・レーニン主義党がなかったために四分五裂し、大きな発展を遂げることができませんでした。

 我が国の労働運動は、1930年代の初頭にいたってマルクス・レーニン主義的指導をうけ、正しい闘争路線をもつようになってはじめて、新たな発展段階に入りました。このときから朝鮮の労働者階級は、日本帝国主義侵略者と資本家に反対してさまざまな形態の闘争をより強力にくりひろげました。特に、めざめた労働者たちは、直接手に武器をとって祖国解放をめざす正義の抗日武装闘争に参加して勇敢に戦いました。労働者階級を中核とした抗日武装隊伍は、長期にわたる勇敢な戦いによって日本帝国主義侵略者を打倒して祖国解放の歴史的偉業をなし遂げ、朝鮮人民の前に新しい社会建設の輝かしい道を切り聞きました。

 解放後、我が国の北半部には人民政権が樹立され、労働者階級をはじめとする勤労人民が国の主人となりました。このような状況のもとで、労働者階級の闘争任務は解放前とは根本的に異なったものとなりました。したがって、労働者階級の大衆的組織である職業同盟の性格と任務も解放前とは異なったものとなりました。

 しかし、教条主義にとりつかれた分派分子や地方割拠主義者は、変化した現実を考慮せず、労働者階級が政権を握っている条件のもとでも、職業同盟は資本主義社会におけると同じく政権と対決してたたかわなければならないといって、労働者階級と人民政権とを対立させようとはかり、労働運動を誤った方向へ導こうと策動しました。我が党は、分派分子のこのような策動にたいして適時に強い打撃を与え、人民政権のもとでの職業同盟の性格と任務を明らかにしました。

 民主主義革命の段階における職業同盟の基本的任務は、人民政権を擁護し、労働者階級の党と人民政権が示したすべての施策を積極的に支持し、それを貫くたたかいに労働者階級をふるいたたせることでした。同時に、職業同盟は人民政権に協力して、工場、企業所が労働者、事務員の生活上の権利と労働条件を国家が定めたとおりに保障しているかどうかを監督する機能も果たしました。

 解放後、人民政権は、労働者階級の指導する労農同盟にもとづき、広範な民主勢力の統一戦線に依拠する政権として、ある程度民族資本家の企業活動を許しました。このような状況のもとで、私営企業に雇われて働く労働者、事務員の民主主義的権利と労働条件を保障し、企業家が労働者や事務員を意のままに搾取できないよう、大衆的に監督し統制する必要がありました。そこで我が党は、職業同盟が企業主と団体契約を結び、かれらが8時間労働制と労働保護、社会保険など、労働法令を正しく実行しているかどうかを監督し統制するようにしました。

 かつて、職業同盟が企業の管理運営にたいする監督と統制の機能を果たしたのは、当時、労働者に工場や企業所を管理運営した経験がなかったという理由もあります。産業国有化法令によって、日本帝国主義と親日派、民族反逆者の所有していた工場、鉱山、鉄道をはじめ、重要産業は国家の所有となり、労働者はその主人となりました。しかし、当時、労働者には経済管理の経験と知識がなかったため、工場、企業所は依然として古くからの技術者、専門家の手で管理運営されていました。したがって、かれらが党と政府の要求どおり工場、企業所を管理運営しているかどうかを、労働者の組織である職業同盟か監督し統制する必要があったのです。

 社会主義制度が樹立し、テアン(大安)の事業体系がうち立てられてからは、職業同盟が工場、企業所の管理運営を監督、統制する必要がなくなり、したがって、職業同盟の性格と任務も変わってきました。

 社会主義革命が成功裏に遂行された結果、我が国の社会・経済関係には大きな変化が起こりました。私営企業は完全に姿を消し、社会主義経済形態が全一的に支配するようになり、工場、企業所が新しく育った勤労人民出身の技術者、専門家によって管理運営されるようになりました。特に、テアンの体系が確立された結果、資本主義的な企業管理方法である支配人の唯一管理制はなくなり、党委員会の集団的指導体系が確立されて、工場党委員会が企業活動のあらゆる問題を集団的に討議、決定し、その実行を監督し統制するようになりました。工場党委員会は、その大部分が労働者階級出身で構成されているばかりでなく、そこには直接生産現場で働く中核労働者が多数入っています。このように、工場党委員会が直接労働者大衆と結びついており、労働者の集団的意思によってすべての企業管理活動を指導している条件のもとでは、企業管理にたいする職業同盟の監督と統制の機能は全く不必要なものとなりました。

 工場党委員会が工場の最高指導機関となっている条件のもとで、職業同盟が企業管理を監督、統制するとすれば、それはマルクス・レーニン主義党の組織原則にも反するものです。マルクス・レーニン主義党は、労働者階級の先進分子で組織された部隊であり、勤労者大衆のすべての組織のなかでも最高形態の組織であります。職業同盟をはじめ、すべての大衆団体は、党の指導をうけ、党の路線と政策を実行するため積極的にたたかわなければなりません。工場党委員会が工場の企業管理運営を直接指導し統制している状況のもとで、職業同盟が企業管理を監督するならば、それは結局、職業同盟が党の活動を監督することになり、職業同盟を党の上に置くことになるでしょう。

 それで我が党は、既に以前に、職業同盟が工場側と団体契約を結ぶ制度と企業管理にたいする職業同盟の監督権を取り消すことにしました。また、半思想教育団体、半行政組織であった職業同盟を、労働者階級と職業同盟員を革命的に教育して党のまわりにかたく結集し、党が提起した政治的・経済的課題の遂行へとふるいおこす、完全な思想教育団体に切りかえました。

 職業同盟を思想教育団体に切りかえた我が党の措置は、極めて正しいものでした。それは、我が国の実生活をとおしてはっきりと証明されました。

 職業同盟の教育者的機能を強め、労働者階級にたいする思想教育を強化した結果、現在、我が国の労働者階級の革命的熱意は極めて高く、かれらの英雄的なたたかいによって、我が国の経済は毎年速いテンポで発展しています。もちろん、社会主義経済建設のうえで我々の前には少なからぬ難関が横たわっています。先の祖国解放戦争の結果、労働力が極めて不足し、ここ数年来、日照りで貯水池の水が確保できなかったため、電力事情もゆとりがありません。しかし、こうした困難は一時的なものであり、遠からず克服されるものです。労働力の問題は、むこう数年内には解決されるでしょう。党の方針どおり機械を多く生産し、技術革命をおし進めるならば、労働力の問題はより早く解決される見込みがあります。電力問題にしても、既に大火力発電所を建設し、また、新しい発電所もひきつづき建設しているので、まもなく解決されるでしょう。労働力と電力の問題が解決されれば、我が国の経済はさらに早く発展するでしょう。

 我々は、人民生活もむこう数年内にいちだんと向上させる見通しをもっています。これまでは、国防建設に多額の資金をふりむけたため、人民生活に大きな力をそそぐことができませんでした。しかし、いまは人民生活の急速な向上をはかれる条件がととのっています。アクリル工場をはじめ、合成繊維工場をさらにいくつか建設すれば、衣料問題は完全に解決されるはずです。食の問題では、いまも穀物は外国から買い入れておらず、魚類は、まだ十分には僕給されていませんが、来年からは一人当たり毎日100グラムずつ供給する計画です。また、新しく建設した養鶏工場が威力を発揮しつつあり、大規模の養豚工場も新設中です。飼料用穀物の問題は、畑に散水式灌漑を取り入れて二毛作をおこなえば解決されるでしょう。

 このように、こんにち、社会主義経済建設と人民生活の分野で、我が国の全般的な状態は極めて良好です。

 社会主義・共産主義を成功裏に建設するためには、革命と建設の深化、発展にともなって党の指導とプロレタリアート独裁をさらに強化しなければならず、職業同盟をはじめ、すべての大衆組織が党と政府を積極的に擁護し、党のうちだした路線と政策を無条件にうけいれ、それを徹底的に実行すべきであります。

 まだ人びとの意識のなかに古い思想の残りかすがある状況のもとで、労働者が党の指導をうけずに勝手に行動するならば、かれらのあいだに自由主義と利己主義がはびこり、外部からブルジョア思想が浸透して革命と建設を台無しにしてしまうでしょう。

 社会主義社会における職業同盟は、党のベルトとして、共産主義の思想的要塞と物質的要塞を占領するたたかいへ労働者階級を力強くふるいたたせなければなりません。そのためには、なによりもまず労働者階級にたいする思想教育を強化すべきであります。社会主義社会における職業同盟の基本的任務は、思想教育活動を強化してすべての同盟員を労働者階級化、革命化することです。

 現在、一部の活動家のなかには、労働者階級化、革命化について口では多く語っても、労働者階級化がなんであり、革命化がなんであるかを明確に理解していない人もいるようです。では、労働者階級化とはなんであり、革命化とはなんでしょうか。一言でいえば、労働者階級化とは、労働者階級でない人たちを先進的な労働者階級の姿に改造することであり、革命化とは人びとを革命的世界観の確立した熱烈な革命家、真の共産主義者につくりあげることです。

 職業同盟は労働者階級の組織ではあるが、職業同盟員を労働者階級化する活動をおこなわなければなりません。職業同盟員のなかには、労働者階級だけでなく事務員や教員もおり、その他の職業に従事している人も多くいます。したがって職業同盟は、労働者階級でないすべての人を労働者階級の姿に改造するため、積極的にたたかわなければなりません。

 職業同盟は同盟員のあいだで、労働者階級化のためのたたかいとあわせて、革命化、共産主義化のためのたたかいを力強くくりひろげなければなりません。

 いまある人は、革命というのは古い社会制度を打倒するたたかいを表現する術語であるから、社会主義制度が樹立したのちには革命という言葉を使うべきでないと主張しています。これは、革命という術語にたいする解釈の誤りであり、社会主義社会における継続革命を否定する正しくない主張です。

 人びとの意識のなかにある古い思想の残りかすを根こそぎにし、人びとを共産主義思想で武装させる活動は、封建的なもの、資本主義的なものと、共産主義的なものとの深刻な階級闘争であり、思想分野における革命であります。したがって、人びとを共産主義的に教育し改造するためには、社会主義制度が樹立したのちにも、思想領域においてひきつづき革命をおこなわなければならず、人びとを革命化、共産主義化するためにたたかわなければなりません。勤労者を労働者階級化するだけでなく、革命化、共産主義化すれば、かれらはいかなる逆境にあっても革命的節操をかたく守り、共産主義偉業の勝利のためにあくまでたたかいぬくことができます。したがって職業同盟組織は、労働者階級でない人びとは労働者階級化、革命化し、労働者階級は革命化、共産主義化するためにたたかわなければなりません。

 労働者階級を革命化、共産主義化することは、我が国の労働者階級の特性と関連してさらに切実な問題として提起されています。我が国の労働者階級は歴史の浅い階級です。解放後、特に戦後、工業が急速に発展するにつれて、労働者階級の隊列は急激に拡大しました。こういった関係から、我が国の労働者階級の隊列には、旧社会で搾取や抑圧をうけたことのない人が多数入ってきたし、特に、かつての農民、小商人、手工業者が数多く入ってきました。かれらはいま労働者として働いていますが、利己主義をはじめ、いろいろな古い思想の残りかすを多分にもっています。したがって、労働者の古い思想の残りかすを根こそぎにし、かれらを共産主義的世界観で武装させる思想革命を力強くおし進めなければなりません。

 職業同盟員を労働者階級化、革命化するうえで最も重要なのは、かれらを我が党の唯一思想、チュチェ思想で武装させることです。

 チュチェ思想は、我が国の現実に創造的に適用したマルクス・レーニン主義であり、我が国の革命と建設の最も強力な武器です。すべての勤労者が、我が党の革命的なチュチェ思想で武装すれば、事大主義や教条主義、修正主義などあらゆる不健全な思想に反対して断固たたかい、革命闘争と建設事業を成功裏におし進めていくことができます。

 我が党は、チュチェ思想の革命の旗を高くかかげ、政治、経済、文化、軍事のあらゆる分野で主体性を確立した結果、国際共産主義運動内に日和見主義的潮流があらわれて革命運動の発展に障害をつくりだし、帝国主義者が共産主義に反対する思想攻勢をかつてなく強化した複雑な環境にあっても、マルクス・レーニン主義の純潔を守りぬき、我が国の革命と建設を勝利の道に導くことができました。

 ひところ、帝国主義者と国際反動層は、一部の社会主義国での農業の不振をたてにとって、農業を協同化したために失敗したとか、社会主義社会では農業問題は解決できないとかいって、社会主義制度を誹謗・中傷しました。こうした時期に、我が党は社会主義農村問題にかんするテーゼを発表し、農業を急速に発展させ、毎年豊作をおさめて社会主義農業経営制度の優位性を全世界に余すところなく示し、帝国主義者の反動的思想攻勢を完全に粉砕しました。

 我が党はまた、一部の国の人たちが自国の経済がすみやかに発展せず、伸びなやんでいるのを合理化するため、社会主義経済がたえず急速な発展を遂げるのは不可能だという修正主義的理論をふりまいていたとき、新しい社会主義経済理論によってそれにこたえました。我が党の指導のもとに、英雄的な朝鮮の労働者階級が起こしたチョンリマ(千里馬)運動と社会主義建設における革命的大高揚、そして我が国の人民経済発展の全過程は、経済の規模が大きくなるにつれて生産をひきつづき急速に発展させることはできないという修正主義者の理論が根拠のない詭弁にすぎないことを証明しました。

 我々は、革命と建設の実践闘争をとおして、チュチェ思想の正しさとその生命力をはっきりと示しました。こんにち、我が党の革命的なチュチェ思想は世界の多くの人民の共感を呼んでいます。

 チュチェ思想を擁護し、それをさらに輝かせるためにたたかうことは、我が国の労働者階級とすべての勤労者に課せられた栄えある崇高な義務であります。職業同盟組織は、労働者階級と職業同盟員が、これまでと同じく今後も、我が党のチュチェ思想でさらに強く武装し、それを擁護、貫徹するため積極的にたたかうよう教育しなければなりません。

 勤労者を革命化、労働者階級化するためには、共産主義教育を強化しなければなりません。

 勤労者にたいする共産主義教育を強化することについては、すでに他の機会をつうじてしばしば話したので、ここでは簡単にふれることにします。

 共産主義教育でなによりも重要なのは、勤労者の個人主義・利己主義をなくし、かれらを集団主義で武装させることです。

 個人主義・利己主義は、資本主義社会の遺物であります。資本主義社会は、他人はどうなろうと自分さえ安楽に暮らせればよいという個人主義にもとづく社会です。個人主義・利己主義にもとづく社会がどんなものであるかは、こんにちの南朝鮮の現実がはっきり物語っています。

 こんにち南朝鮮では、一握りの地主、資本家はぜいたく三味な暮らしをしていますが、労働者、農民をはじめ、絶対多数の勤労者はバラックや掘っ建て小屋で苦しい生活をしており、数百万の失業者が職と糧を求めてちまたをさまよっています。それで、いま南朝鮮の人びとは、南朝鮮社会を「富益富、貧益貧」の社会だといって非難しています。これは、富める者はますます財をなし、貧しい者はますます貧しくなるという意味です。南朝鮮でごく少数の金持ちだけがますます豊かな暮らしをし、絶対多数の人民がますます貧しい境遇に追いこまれているのは、その社会が地主、資本家のための社会であるからです。

 最近、ある資本主義国の記者が南朝鮮の現実を皮肉った記事を書きました。かれはそのなかで、南朝鮮に高速道路は立派につくられているが、その両側にはみすぼらしいわらぶき屋が並んでおり、街にはこじきがうようよしていると書いています。

 資本主義社会とは違って、社会主義・共産主義社会は、集団主義にもとづく社会であり、すべての人が互いに助け導きあいながらともに生産し、ともによい暮らしをする社会であります。このような社会で、自分だけがぜいたくに暮らそうとする個人主義・利己主義は許されません。

 個人主義・利己主義は、共産主義思想とは緑もゆかりもありません。すべての人が十分に食べられ、よい服を着て立派な家に住み、誰もが心ゆくまで学び、治療をうけられる幸福な社会主義・共産主義社会を建設するためには、人びとの個人主義・利己主義を徹底的になくし、かれらを集団主義で武装させなければなりません。こうして、すべての人がいつ、どこにあっても、自分一個人の安逸と享楽のためではなく、社会と人民のため、党と革命のため献身的にたたかうようにしなければなりません。

 個人主義・利己主義をなくすためには、勤労者にたいする思想教育を強化しなければなりません。

 社会主義制度が樹立されたからといって、勤労者のあいだに残っている個人主義・利己主義がおのずからなくなるものではありません。これまでの経験は、社会主義制度が樹立し、個人主義・利己主義を生みだす社会的・経済的基礎がなくなった条件のもとでも、勤労者にたいする思想教育を十分におこなわなければ、個人主義・利己主義が助長されることを示しています。個人主義・利己主義が助長されれば、人びとは国家と人民の利益よりも個人の安逸と享楽を追い求めるようになり、自分一個人の利益と享楽のためには、他人の生命や財産をそこねることもためらわず、祖国と自国人民の名誉を汚すことさえはばからなくなります。このような個人主義者や利己主義者に、革命の同志と集団を愛し、党と革命のため献身的にたたかうことを期待できないのはいわずと知れたことです。

 人びとの意識に深く根ざしている個人主義・利己主義をなくすことは、勤労者を革命化する出発点となります。職業同盟組織は、同盟員にたいする思想教育を強めて個人主義・利己主義の思想を根だやしにしなければなりません。

 人民軍協奏団が最近創作した革命歌劇『党の真の娘』は、勤労者を共産主義思想で教育するうえで非常に立派な作品です。この歌劇は、革命同志と集団のために自分一個人を犠牲にするある人民軍看護婦の気高い戦友愛と集団主義精神を感動的に描いています。集団の利益のためにためらいなく身をささげるのは共産主義者の気高い品性です。

 今後、職業同盟組織は、集団主義教育を強化して、すべての同盟員が「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という共産主義的原則にもとづいて働き、生活するようにしなければなりません。

 個人主義・利己主義をなくすうえで、女性にたいする教育活動を強めることが大切です。

 既に、女性同盟第4回大会でも述べたことですが、女性にたいする教育活動を強化しなくては、彼女たちを革命化、労働者階級化することができず、男性の個人主義・利己主義をなくす活動も成功裏におこなえません。家庭の主婦である女性の思想状態は、子供や夫に少なからぬ影響を及ぼします。個人主義・利己主義思想に毒された女性が家庭であれこれと愚痴を並べたてたり、あれを買ってくれ、これがほしいとねだれば、夫もいつのまにか物欲にとりつかれるようになり、革命化できなくなります。したがって、女性にたいする教育活動を特に強化し、彼女たちをすべて革命化、労働者階級化しなければなりません。

 女性の個人主義・利己主義をなくし、革命化、労働者階級化するうえで重要なのは、女性を社会に進出させ組織生活をさせることです。女性が社会に進出しないで家庭にとじこもっていれば、社会の動きにうとくなり、頭の中に自分だけよい暮らしをしようとする利己主義思想が育つようになります。

 女性を社会に積極的に進出させ、組織生活、政治生活を強化すべきです。こうして、すべての女性を革命化、労働者階級化することによって、全社会を革命化、労働者階級化する過程をさらに早めなければなりません。

 我々は、幾人かの人が裕福に暮らす社会を建設するためではなく、すべての人がひとしく豊かに暮らせる社会を建設するためにたたかっているのです。したがって、いっさいの活動を組織し展開するうえで、常に個人主義・利己主義にあくまで反対し、集団主義を大いに発揮するようにしなければなりません。

 共産主義教育においてまた重要なのは、すべての勤労者が労働にたいし共産主義的態度をとるようにすることです。

 共産主義はすべての勤労者が労働を愛し、労働に誠実に参加してはじめて成功裏に建設することができるのです。共産主義という言葉それ自体に、すべての人が共同で生産するという意味が含まれています。幾人かの人が働くだけでは、社会のすべての人が豊かに暮らせるほど物資を豊富に生産できません。したがって、すべての人が労働に参加し、仕事をさらに立派にするようにしなければなりません。

 もし、人びとが働かずに遊んで暮らすことを好むならば、共産主義の物質的要塞を占領できないのはいうにおよばず、社会そのものを維持することすら不可能になるでしょう。各人は能力に応じて働き、必要に応じて分配をうける共産主義的原則を実現するためには、なによりも社会の全構成員が労働を愛し、労働に自発的に参加し、社会のために自分の力と知恵をつくしてたたかわなければなりません。

 働くことを好み労働に誠実に参加することは、共産主義者の最も重要な品性の一つです。したがって、人びとが働くことを好むかどうか、共同労働に誠実に参加するかどうか、祖国と人民のため労働に一生をささげる覚悟ができているかどうかによって、どの程度革命化、共産主義化したかを知ることができます。

 心から労働を愛し、党と革命のために懸命に働いている共産主義的なお母さんの話を一つしましょう。

 私は最近、馬東煕(マドンヒ)同志のお母さんを訪ねたことがあります。彼女は、夫や息子、嫁や娘をみな革命にささげました。そのうえ、彼女自身も監獄で日本帝国主義者のひどい拷問をうけ、いまでも足が不自由です。彼女は自分が足の不自由なことを私が知れば心配するだろうと思って、いままでそれを誰にもいわなかったのです。彼女は年をとり不自由な身でありながらも、今年、女性同盟で組織したとうごま養蚕運動にすすんで参加しました。彼女は自宅の庭にとうごまを栽培し、それを蚕のえさにするよう近所の女性同盟員に分け与えました。

 馬東煕同志のお母さんは、これまで他人の世話にならずひとりで暮らしてきました。私は彼女に、もう年もとったことだし家事もたいへんだろうから、台所仕事を手伝う人を一人おいてはどうかと何度もすすめました。しかし、そのたびに彼女は、党と国のおかげで安楽に暮らしているのに、これといって国のためになることはできないまでも、国の大切な人手をさいてまで家事を見てもらうことはできないと言って断わるのでした。それで、私はやむなく、先ごろ、ある病院に勤めている看護婦を一人住まわせて、昼は病院で働き、夜は家でいっしょにすごしながら彼女の世話をするようにさせました。

 力の及ぶかぎり働き、自分の労働で少しでも国につくそうと努力している彼女こそ、真の共産主義的な母というべきです。

 職業同盟組織は、労働者階級と同盟員にたいする思想教育活動を強化し、かれらが労働にたいする共産主義的な態度を身につけて、労働に参加しないことを最も恥ずべきことと思い、常に労働を愛し労働規律を自発的に守り、社会主義建設のため力と知恵をつくして働くようにしなければなりません。

 職業同盟は国家と社会の共同財産を愛護し、節約するよう同盟員を教育しなければなりません。

 我が国では国家と社会のすべての財産が人民の共同所有です。それは労働者、農民をはじめ、勤労者の血と汗によってつくられたものであり、朝鮮人民と次の世代の幸福な生活のための貴い元手であります。共同財産を愛護し節約しないならば、我々がいかに多く生産し建設しても国を富強にすることができず、また人民の暮らしを豊かにすることもできません。

 そのうえ、我々はまだ祖国を統一しておらず、敵と対峙して社会主義を建設しています。最近、南朝鮮のかいらい一味は、「北からの南侵の脅威」を口実に「非常事態」まで宣言して戦争準備に狂奔しています。こういう状況のもとで、我々は経済建設をおこないつつ戦争にもそなえなければなりません。領土が狭く人口も少ない我が国が戦争にそなえながら社会主義を建設するということは、けっして容易ではありません。したがって我々は、あらゆる分野で徹底的に浪費をなくし、最大限に節約し増産しなければなりません。

 ところがいま、活動家や勤労者のあいだには節約精神がとぼしく、国家の財産をおざなりに管理したり浪費する現象が少なくありません。

 国家の財産を愛護しない現象は、どの部門、どの単位にも見うけられます。国で建てた立派な住宅に住みながら、それを満足に手入れしない人が多く、機械設備や自動車、トラクターをよく管理しないところから、それを使いものにならなくしてしまう現象がいたるところにあらわれています。資材を浪費したり、商品をぞんざいに扱って役に立たなくしているのも少なくありません。農業部門の働き手たちは、田植えから取り入れまでは熱心に働きますが、その後は大事な穀物をよく管理していません。このごろも農村に行ってみると、いまなお田にいなむらが残っているばかりでなく、甚だしくは刈り取ったままになっている穀物さえあります。一年間骨おってつくった穀物をこのように適時に運ばず、また脱穀しないために失ってしまう量はたいへんなものです。

 国家や社会の共同財産をおざなりに扱い浪費するのは、人びとの頭に個人主義・利己主義の思想があるからです。職業同盟組織は、共同財産を浪費したり、侵害することにたいして強い思想闘争をくりひろげ、すべての同盟員が国の経済管理で主人としての態度をとるよう、教育活動をさらに強化すべきであります。

 職業同盟組織はまた、同盟員が搾取制度を憎み、社会主義制度を熱烈に愛するよう教育すべきであります。

 勤労者が社会主義制度をかぎりなく愛し、その強化発展のため献身的にたたかうよう教育するためには、かれらに搾取社会の本質と、朝鮮人民が抑圧され、しいたげられた過去についてはっきり認識させなければなりません。

 いま労働者階級のなかには、搾取され抑圧されたことも、苦難にみちた革命闘争の試練をへたこともない人がたくさんいます。かれらは、こんにちの幸福な社会主義制度がどのようにして生まれ、この制度のために革命烈士たちがどれほど多くの血を流し、生命をささげて戦ったかをよく知りません。

 職業同盟組織は、同盟員に搾取制度の本質と社会主義制度の優位性について、また社会主義制度をうち立て、それを守るための朝鮮人民の苦難にみちたたたかいについて十分に認識させることによって、かれらが敵の侵害から社会主義制度をゆるぎなく守り、それをさらに強化発展させるためにすべてをささげてたたかうようにしなければなりません。

 次に、職業同盟組織に課された重要な任務は、労働者の技術・文化水準を高めることです。

 社会主義の完全な勝利を達成し、共産主義を建設するためには、思想革命とともに技術革命を遂行しなければなりません。技術革命をおこなわなければ、重労働と軽労働の差、農業労働と工業労働の差をなくすことができず、精神労働と肉体労働の差をなくすことも、共産主義の物質的要塞を占領することもできません。

 こんにち我々には、第5回党大会が提起した三大技術革命の課題を成功裏に遂行すべき重大な任務が課されています。三大技術革命の課題は、我が国のすべての勤労者を骨のおれる労働から解放し、かれらに豊かで文化的な生活を保障する誇らしい革命課題であります。第5回党大会が提起した三大技術革命の課題を成功裏に遂行するためには、人民経済のすべての分野にわたってすみやかに機械化を完成し、半オートメ化、オートメ化を広範に実施しなければなりません。

 現代はオートメ化の時代です。我々が努力して半オートメ化、オートメ化を広く実施すれば、人民経済のすべての部門で勤労者の労働をいちだんとらくで能率的なものにすることができます。

 最近、発達したある国の科学映画を見ましたが、その国では、200万〜300万トン能力の大製鉄所を自動装置で動かしています。室内に何人かが座って、ボタンを押すだけで自動的に炉内に鉱石が入り、銑鉄が流れだし、銑鉄は酸素転炉に入って鋼鉄になって出てきます。オートメ化水準がこの程度になれば、肉体労働と精神労働の差は完全になくなったといえます。

 我々も科学や技術を広く研究し発達させれば、炉まわり工たちが平炉や電気炉の高熱にさらされながら、炉に生石灰などをスコップで放りこむ苦労をしなくても鋼鉄を生産することができるし、採取工業や基本建設部門などでも、いくらでも生産工程をオートメ化することができます。農業部門でも技術革命を促進して機械化、化学化の水準を高めれば、農民を骨のおれる労働から解放することができます。

 工業、農業をはじめ、人民経済のすべての部門で機械化水準を高め、半オートメ化、オートメ化を実現して勤労者を骨のおれる労働から解放するのは、労働者階級が責任をもって遂行すべき誇らしい革命課題であります。工業部門での技術革命はいうまでもなく、農村の技術革命も主に労働者階級が担当して遂行すべきであります。農民の力だけでは、農村の技術革命は成功裏に遂行できません。先進思想と技術を身につけた労働者階級が農村にどしどし入っていけば、農業の機械化、化学化を力強くおし進めることができます。

 先日、煕川(ヒチョン)工作機械工場からの帰り道に香山(ヒャンサン)郡のある里に立ち寄り、農業の機械化水準を高めて農村の労働力を節約する問題について多くの人と話しあってみました。私はその人たちに、いま新しい工場、企業所や職場がひきつづき増えているため国の労働力が非常に不足していることを話し、農作業を機械でおこなって農村の労働力を節約し、工業部門にまわすことはできないだろうかと聞いてみました。すると、そこで長いあいだ農業に従事してきたという一人の働き手は、野良仕事は機械でするより手でしたほうがましだといって、機械化をしぶる気色でした。しかし、労働者階級出身の除隊軍人である一人の作業班長は、農作業の機械化を積極的に支持し、ほかの人たちが機械化をしぶるなら、自分の作業班でまずモデルケースとしてやってみるから、トラクターとトラックを供給してほしいといいました。かれは、自分たちの作業班にトラック1台とトラクター3台だけよこしてくれれば、多くの人手を減らしても、いまよりはるかに多くの穀物を生産できるといいました。その場にいたトラクター運転手も、作業班長の意見が正しいと言って農作業の機械化を主張しました。これは、農村に先進思想と技術を身につけた労働者階級が多く入っていけば、農村の技術革命を力強くおし進めていけるということを物語っています。

 農村に労働者階級が多く入っていき、トラックやトラクターをはじめ、各種の農業機械と化学肥料、農薬などを十分に供給して機械と化学の力で農業を営むようにすれば、穀物生産の向上をはかれるばかりでなく、農業労働と工業労働の差をなくし、農村でも8時間労働制を実施することができます。農村の技術革命が順調におし進められれば、農民の労働者階級化もさらに早く実現するでしょう。

 労働者階級が自己に課された技術革命の課題を成功裏に遂行するためには、高度の技術・文化知識を身につけなければなりません。したがって、労働者はたえず自分自身を革命化するとともに、技術・文化水準を高めるため積極的に努力しなければなりません。

 労働者が技術・文化水準を高めるためには、熱心に学習しなければなりません。労働者は、党政策の学習とともに技術学習にも励んで、いろいろな近代的科学技術知識を深く身につけなければなりません。

 我々は既に、久しい前から通信教育学部や工場大学をはじめ、勤労者が働きながら学べる立派な高等教育体系を確立するとともに、土曜学習の制度と毎日2時間ずつ学習する制度を設けました。労働者は、全党、全軍、全人民が学習するという党の方針を高くかかげ、与えられた有利な条件を十分利用して熱心に学び、自己の技術・文化水準をたゆみなく高めなければなりません。

 労働者が学習に励むようにするためには、職業同盟組織の役割を高めることが大切であります。第2回全国チョンリマ作業班運動先駆者大会でも述べたことですが、対書籍活動を立派におこなって勤労者の技術・文化水準を高めるのは、チョンリマ作業班運動の中心課題の一つであります。職業同盟組織は、労働者が日ごろ学習に励むよう常に深い関心を払い、かれらがたえず技術・文化水準を高められるようあらゆる条件を十分にととのえてやるべきです。

 こうして、我が国の労働者が、すべてインテリに劣らぬ広い知識と技術、高い文化的素養を身につけるようにしなければなりません。

 次に、職業同盟組織は、同盟員を当面の経済課題の遂行へと力強くふるいたたせなければなりません。

 こんにち、社会主義建設で我々に提起されている重要な課題は、第5回党大会が提起した三大技術革命の課題を成功裏に遂行することです。職業同盟組織は、勤労者を骨のおれる労働から解放するための三大技術革命の課題遂行へと労働者階級を力強くふるいたたせなければなりません。

 三大技術革命の課題を成功裏になし遂げるためには、なによりもまず機械工業をすみやかに発展させなければならず、特に工作機械の生産に拍車をかけなければなりません。

 技術革命遂行の基本的な鍵は、工作機械生産の拡大にあります。技術革命は機械革命だといえます。工作機械なしには機械工業それ自体の発展も望めず、いかなる技術革命の課題も成功裏に遂行することができません。我々が三大技術革命の課題を成功裏に遂行できるかどうかは、もっぱら工作機械を大量に生産できるかどうかにかかっています。したがって我が党は、6か年計画遂行初年度のたたかいにおいて、工作機械の生産に力を集中したのです。

 我々は、今年の初めに煕川工作機械工場に行って、労働者たちに工作機械の生産で一大革新を起こすよう呼びかけました。煕川工作機械工場の労働者は、党の呼びかけに熱烈にこたえ、大胆にとりくんで設備を改造し、積極的に生産工程をオートメ化しました。こうして、以前は一年間にやっと2500台の工作機械を生産していたこの工場が、いまでは1万台の生産水準を突破しています。

 煕川の英雄的な労働者たちが点じた技術革新ののろしに呼応して、亀城(クソン)や万景台(マンギョンデ)の工作機械工場の労働者をはじめ、全国の機械工業部門の労働者が積極的なたたかいをくりひろげ、工作機械生産では一大変革が起こっています。いま工作機械生産部門の労働者は、来年の4月15日までに3万台の工作機械を生産することを決議し、その遂行をめざして突撃をおこなっています。

 3万台の工作機械生産目標を達成するためには、工作機械工場で生産に拍車をかけるとともに、その関連部門が工作機械の生産に必要な原料や資材、設備を適時に、円滑に供給しなければなりません。

 金属工業部門では、工作機械の生産に必要な各種鋼材を円滑に生産しなければなりません。人民経済の急速な発展にともなって、鋼材の需要はますます増大しています。現在、機械工業部門で使用する鋼材だけでも莫大な量にのぼっています。もしも、金属工業部門で鋼材を順調に保障しないならば、機械工業部門で3万台の工作機械の生産目標を達成することは不可能です。金属工業部門の労働者は、増大する鋼材の需要をみたすため、より積極的なたたかいをくりひろげなければなりません。

 鋼材の生産を増やすためには、採掘工業を発展させ、冶金工業に必要な鉄鉱石を円滑に供給すべきであります。採掘工業部門の労働者は、採掘工業の総合的機械化を実現し、鉄鉱石の生産で一大革新を起こさなければなりません。

 3万台の工作機械を生産するためには、連帯生産に参加する各工場で部品を適時に生産して工作機械工場に供給しなければなりません。工作機械工場がいかに多くの工作機械を生産しても、モーターをはじめ、各種の部品を適時に供給しなければ、その機械はなんの役にも立ちません。いま煕川工作機械工場では、電気工場からモーターが供給されないので、多くの機械が半製品のまま倉庫に積まれているそうです。電気工場ではさらに多くのモーターを生産し、機械工業をはじめ、人民経済の各部門に供給しなければなりません。

 モーターの生産を増やすためには、その生産に必要な鋼を供給しなければなりません。こんにち、電気機械工業をはじめ、人民経済の各部門では鋼の需要が非常に高まっています。特に国防工業部門で銅を多く使っています。我々は敵と対峙している条件のもとで社会主義を建設しているので、国防工業を発展させないわけにはいきません。我々は、敵が残っているかぎり、いかに多くの銅を使うことがあっても、ひきつづき国防工業を発展させなければなりません。

 増大する鋼の需要をみたすためには、新しい銅鉱山をさらに多く開発するとともに、既存の銅鉱山で、さらに生産を増大させるたたかいを力強く進めなければなりません。

 また、鋼を使うすべての部門で、鋼の節約運動を積極的にくりひろげなければなりません。いま、電気機械工業をはじめ、人民経済の各部門で鋼の節約運動を積極的におこなっていません。モーターをつくっている工場にしても、もう少し頭を使って努力すれば多くの鋼を節約できるのに、そうしていません。今後、モーターを生産する工場では、技術革新運動を広範にくりひろげ、鋼を少なく使って性能のよいモーターを大量に生産すべきであります。これとともに、人民経済のすべての部門で鋼の消費基準を最大限に切り下げ、鋼を極力節約しなければなりません。

 工作機械の生産を増大させるとともに、その種類を増やし品質を高めるたたかいを力強くくりひろげるべきであります。

 我が国の工業を現代技術で装備するには、130余種の工作機械が必要ですが、いま我が国で生産している工作機械は40余程にすぎません。それで党中央委員会第5期第3回総会では、工作機械の種類を増やす課題を提起したのです。機械工業部門の労働者は、党中央委員会第5期第3回総会の決定を熱烈に支持し、工作機械の種類を増やすため積極的にたたかわなければなりません。

 こんにち、現代技術で装備され急速に発展している我が国の人民経済は、高性能の精密工作機械を必要としています。工作機械の品質を決定的に高めないことには、経済をいっそう発展させることも、三大技術革命の課題を円滑に遂行することもできません。いまは、我が国ではじめて「工作機械の子生み運動」をくりひろげた1959年とは事情が違います。職業同盟組織は現代科学技術の発展に即応して、すべての機械工場で工作機械の品質を高めるたたかいを力強くくりひろげるべきです。

 工作機械の台数と種類をさらに増やし、その品質を決定的に高めるために奮闘するならば、勤労者を骨のおれる労働から解放するための三大技術革命の課題をはるかにくりあげて遂行できるでしょう。

 三大技術革命の課題を成功裏に遂行するためにはまた、電力工業をさらに発展させなければなりません。電気はすべての産業を動かす基本動力です。電気なしには技術革命の順調な遂行も、国の経済発展も望めません。電力工業をいっそう発展させて、人民経済の各部門と三大技術革命課題の遂行に必要な電力を十分供給しなければなりません。発電所の建設に参加している労働者は、既に着手した建設をさらに早めて一日も早く竣工し、現在、電力生産をおこなっている発電所では、電力生産を最大限に高めるたたかいを力強く進めなければなりません。

 三大技術革命の課題を円滑に遂行するためには、人民経済のすべての部門で生産工程を半オートメ化、オートメ化するたたかいを力強くくりひろげなければなりません。

 人民経済のすべての部門を半オートメ化、オートメ化するためには、電子工業と自動化工業を発展させなければなりません。いま我が国には、電子管、半導体をはじめ、電子要素を生産する近代的な電子工業と自動化工業の基地がそなわっています。これを土台にして大規模の電子工業部門の工場と自動化工業部門の工場を拡大強化する一方、大衆的運動を起こし、各地に中小規模の自動化計器・器具分工場を建設しなければなりません。こうして、オートメ化に必要な電子要素と自動化計器・器具を大量に生産して、人民経済のすべての部門の半オートメ化、オートメ化を成功裏に実現できるようにしなければなりません。

 三大技術革命の課題を遂行するうえで、農業労働と工業労働の差をなくし、農民を骨のおれる労働から解放することが極めて重要です。

 農業労働と工業労働の差をなくし、農民を骨のおれる労働から解放するためには、なによりも農業の機械化を実現しなければなりません。農業の機械化を実現するためには、機械工業部門の労働者がトラクターとトラックをはじめ、近代的な農業機械をさらに多く生産して農村に送らなければなりません。当面して、労働者は、散水式灌漑システムの導入に必要な設備や資材を大量に生産して農村に送るべきであります。

 次に、祖国統一の問題について簡単に述べましょう。

 祖国統一の問題については、既に何度も話しており、また第5回党大会で重ねて祖国統一方針を明示しました。

 常々言っていることですが、南朝鮮の革命はあくまでも南朝鮮の労働者階級と人民自身が主人となって遂行しなければなりません。共和国北半部の人民には、同じ民族として南朝鮮人民の革命闘争を積極的に援助すべき義務があります。共和国北半部の人民は、いつでも南朝鮮人民の革命闘争を援助できるよう、徹底した準備をととのえていなければなりません。

 こんにち、南朝鮮人民はすべて祖国の自主的平和統一を念願しており、その実現をめざしてたたかっています。

 南朝鮮人民は、特に最高人民会議第4期第5回会議で示した8項目の平和統一案と、私がさる8月6日の演説で示した南北協商の提案を、南朝鮮当局者がうけいれるよう要求して、ひきつづき力強くたたかっています。最近、南朝鮮人民のあいだでは、滅亡に瀕したニクソンが北京やモスクワを訪ねるというのに、朴正煕はどうして北朝鮮を訪ねていかないのか、北朝鮮では民主共和党とも協商しようと言っているのに、なぜそれに応じられないのか、という声が高まっています。

 このように、南朝鮮人民の南北協商を要求する声が高まるや、窮地に追いこまれた南朝鮮かいらい一味は、南北赤十字会談に応じざるをえなくなりました。我々の南北協商の提案に反対しつづけてきた南朝鮮かいらい一味が南北赤十字団体の予備会談に応じるようになったのは、かれらの主人であるアメリカ帝国主義者から、我が方と対話をしてみるようにとそそのかされたこととも関連があるようです。

 南朝鮮かいらい一味は、南北赤十字会談に応じはしたものの、その後始末をどうすべきかについて非常に苦慮しています。かれらは南北赤十字会談の問題が提起されたとき、最初から家族捜し運動程度のことをやろうといいました。かれらは、家族捜し運動程度のことなら、おそらく我が方がそれに応じないに違いないし、そうなれば会談を破綻させることができるだろうと予測していたようです。

 我が方は、家族捜し運動が些細な事業ではあるが、それでもよいから会談をおこなおうといいました。そして我が方は、南北に離散している家族を捜す問題だけにかぎらず親戚、親友も捜し、南北間の手紙のやりとりと自由な往来を実現する問題まで含めて討議しようと提案しました。ところが南朝鮮側は、我が方のこの正当な提案をうけいれようとしません。それは、自由往来が実現し、南半部の人民が共和国北半部にやってきて、すべての人が衣食住になんの不自由もなく心ゆくまで学び、働き、幸福に暮らしているのを目撃するようになれば、自分らにたいする人民の不満と抵抗がますます強まるに違いないことを南朝鮮の為政者も知っているからです。

 いま南朝鮮かいらい一味が窮地に追いこまれているばかりでなく、その主人のアメリカ帝国主義者も苦境に陥っています。

 アメリカ帝国主義者がどれほど苦境に陥っているかは、ニクソンが外交関係も結んでいない中国を訪ね、ついでソ連を訪れるということにもはっきりとあらわれています。いまアメリカ帝国主義者は、政治的、経済的、軍事的に深刻な危機にさらされており、同盟者や同僚からも孤立しつつあります。こういった状況のもとで、アメリカの反動支配層は、戦争という一つ方法だけでは、現在直面している危機をのりきることが困難であるとさとり、なにか別の活路を求めて中国やソ連を訪ねようとしているようです。だからといって、アメリカ帝国主義の侵略政策が変わったわけではありません。アメリカ帝国主義の侵略政策は依然として変わっていません。ニクソンは、中国を訪問して中国との関係を改善し緊張を一時やわらげ、また、ソ連を訪ねては軍備競争をやめ核兵器生産の削減について合意を見ることによって、現在直面している危機から逃れ、時間をかせいで侵略戦争の準備をさらに強化しようとしています。一言でいって、ニクソンが中国とソ連を訪問するのは哀願に行くのです。したがって我々は、ニクソンの中国、ソ連訪問を別に不可解なこととは思っていません。

 しかし、南朝鮮かいらい一味は、ニクソンの中国訪問について非常に大きな危惧をいだいています。それは、アメリカの『ニューヨーク・タイムズ』の記者の記事を見てもわかります。最近『ニューヨーク・タイムズ』の記者は、アジアの習わしでは、弱者が強者を訪ねて敬意を表することになっている、したがって南朝鮮の人たちは、ニクソンが中国を訪問することによって中国の指導者たちを目上の人と認めたことになる、と認識していると書いています。

 近ごろ、内外の情勢が不利になっていくのにあわてふためいた南朝鮮かいらい一味は、ありもしない「北からの南侵の脅威」を口実に「非常事態」を宣言し、人民弾圧騒ぎを引き起こしています。南朝鮮かいらい一味が「非常事態」を宣言した目的は、南北の接触と協商を破綻させ、南朝鮮人民の日ましに高まる平和統一の機運をおさえつけることによって、その余命をつなごうとするところにあります。

 南朝鮮かいらい一味は、「北からの南侵の脅威」を口実に「非常事態」を宣言したものの、このような欺瞞策にまどわされる人は一人もいません。南朝鮮かいらい一味のファッショ的弾圧騒ぎは、南朝鮮人民と世界人民の大きな憤りと抗議をまき起こしています。南朝鮮かいらい一味が「非常事態」を宣言したのち、国際世論は、南朝鮮の為政者が「南侵の脅威」を口実に「非常事態」を宣言したのは、南朝鮮でかれらに反対する勢力を弾圧することに目的があると一致して糾弾しています。ひいては、アメリカや日本、西ドイツの一部反動支配層や御用出版物までが、南朝鮮での「非常事態」宣言は「南侵」の脅威からというよりは、むしろ内部事情からつくりあげた政治的術策だといっています。南朝鮮かいらい一味は、ありもしない「北からの南侵の脅威」を口実に「非常事態」を宣言したために、かえって自分自身をいっそう孤立させ窮地に追いこんでいます。

 窮地に追いこまれた南朝鮮かいらい一味は、最近そこからの活路を模索しているようです。それは、我々が民主共和党とも協商をおこなう用意があるといったことにたいし、実際に自分らと協商しようとしているのかどうかを、いろいろな面から探ろうとしていることにあらわれています。

 南北協商についての我々の立場ははっきりしています。我々は、南朝鮮の現執権者がアメリカ帝国主義侵略軍の撤退を要求し、日本軍国主義勢力を南朝鮮に引き入れるのをやめ、愛国者と政治犯を釈放し、人民を弾圧せず、諸政党、大衆団体の活動の自由を保障するならば、かれらといつでも協商する用意があります。南朝鮮かいらい一味は、我々のこのような協商提案に応じるときにのみ、祖国と人民に犯した罪が許されるでしょう。

 こんにち、内外の情勢は、祖国の自主的平和統一をめざす我々の闘争に極めて有利に発展しています。こうした情勢のもとで、我々は祖国の統一をめざす平和攻勢をひきつづき強化しなければなりません。

 我々は平和攻勢を強化するとともに、戦争にもぬかりなくそなえなければなりません。アメリカ帝国主義者は下り坂をたどっているとはいえ、依然として南朝鮮を占領しており、侵略の野望をすてていません。それに、復活した日本軍国主義者が南朝鮮かいらい一味と結託して、我が国で新たな戦争を起こすおそれも依然として残っています。こうした状況のもとで、我々は敵のいかなる策動にも対処できるよう、共和国北半部の政治的・経済的・軍事的威力をさらに強化するため積極的にたたかわなければなりません。

 祖国統一の偉業を成功裏になし遂げるためには、自己の革命力量を強化するとともに国際革命勢力との連帯を強化しなければなりません。

 党中央委員会第4期第15回総会以後、対外宣伝活動が強化され、対外活動でさらに主体性を確立した結果、我々は国際的にさらに多くの支持者と共鳴者をもつようになりました。いま、我々は世界のいたるところに数多くの支持者と共鳴者をもっています。今後、対外活動をさらに活発におこなうならば、ますます多くの友人をかちとることができるでしょう。

 職業同盟は、世界各国の労働者階級と団結し、国際労働運動との連帯を強化し、さらに多くの支持者と共鳴者を獲得するために積極的な努力を傾けなければなりません。我々は、たとえ我々の革命偉業にたいして消極的な共鳴と支持を寄せている不徹底な勢力であっても、それらをすべて獲得しなければなりません。

 他国人民の革命闘争を積極的に支持声援することは、国際革命勢力との連帯を強める基本的な裏付けとなります。我々は、アメリカをかしらとする帝国主義者に反対してたたかう国ぐにの人民と新興独立諸国の人民を積極的に支援すべきであります。もちろん国が小さいうえに、国土の半分をアメリカ帝国主義者に奪われている条件のもとにあって、我々がほかの国に援助を与えるというのは容易なことではありません。しかし、我々は、困難はあっても、それを克服して他国人民の革命闘争を援助しなければなりません。そうしてこそ、世界革命を促進し、我が国の革命にたいする支持者と共鳴者をさらに多く獲得することができます。

 我々は、たたかう国ぐにの人民と新興独立諸国の人民を物心両面から援助するため、さらに多くのことをなさなければなりません。我々は、けっしてよその国のやり方を真似て労働時間を短縮し、作業量を減らす方向に進むわけにはいきません。我々は、社会主義建設での成果が大きければ大きいほど、さらに多く働いて我が国の社会主義制度をいっそう強化発展させ、世界人民の革命闘争を積極的に支援しなければなりません。

 我が国の労働者階級は、全人民の先頭に立って革命と建設をひきつづき力強くおし進め、「万国の労働者、団結せよ!」というマルクスの言葉どおり、世界労働者階級との団結を強化し、国際革命勢力との連帯を強めるため積極的にたたかわなければなりません。

 私は、我が国の英雄的な労働者階級と職業同盟員が、党中央委員会のまわりにかたく団結し、祖国の自主的統一と革命の最終的勝利のためにいっそう力強くたたかうよう望みます。

出典:「金日成著作集」26巻


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