金 日 成

アメリカ帝国主義に反対するアジアの革命的人民の共同闘争は
必ず勝利するであろう
カンボジア国家元首であり、カンボジア民族統一戦線議長である
ノロドム・シアヌーク親王を歓迎する平壌市大衆集会でおこなった演説 
1971年8月6日

 尊敬するノロドム・シアヌーク親王とモニク・シアヌーク親王夫人!

 尊敬するカンボジアの貴賓の皆さん!

 同志と友人の皆さん!

 きょう、平壌市の各階層人民は、わが国を国家訪問したカンボジア国家元首であり、カンボジア民族統一戦線議長であるノロドム・シアヌーク親王をはじめ、カンボジアの貴賓と会える大きな喜びをいだいてこの場に集まりました。

 私はまず、朝鮮労働党中央委員会と朝鮮民主主義人民共和国政府と全朝鮮人民の名において、カンボジア人民の卓越した指導者であり、不屈の反帝闘士であり、我々の最も親しい友人である国家元首ノロドム・シアヌーク親王とモニク・シアヌーク親王夫人、そして親王の家族および親戚、その他のカンボジアの貴賓の皆さんをいま一度熱烈に歓迎します。

 私はまた、あなたがたをつうじてアメリカ帝国主義侵略者とその手先に反対して英雄的に闘っている、カンボジア民族解放人民武装力と愛国的な全カンボジア人民に最も熱烈な戦闘的あいさつを送ります。

 このたび、国家元首親王がまたもやわが国を国家訪問したのは、朝鮮とカンボジア両国のあいだの不敗の戦闘的友好・団結を示威するいま一つの画期的な出来事であります。

 その間、朝鮮人民はいたるところで、永いあいだ別れていた肉親の兄弟と再会するようなうれしい気持ちであなたがたを熱烈に迎えました。これは、国家元首親王に対する朝鮮人民の深い尊敬と、闘うカンボジア人民に対するかたい戦闘的連帯の明確なあらわれであります。

 こんにち、朝鮮とカンボジアは、共通の敵アメリカ帝国主義に反対する一つの戦線につながっています。

 ノロドム・シアヌーク親王が、朝鮮人民に送るカンボジア人民の兄弟的親善の情とともに、反米救国抗戦でカンボジア人民がおさめている輝かしい勝利のニュースを伝えてくれたことは、朝鮮人民に対する新たな大きな励ましとなりました。

 国家元首親王が話されたように、カンボジア民族解放人民武装力は、アメリカ帝国主義侵略者とそのかいらい雇い兵に反対する武装闘争で、自己犠牲と英雄主義を発揮し、700万のカンボジア人口のうち400万の住民を網羅する、全国領土の10分の7を既に完全に解放しました。これは、極めて大きな政治的、軍事的な意義をもつ勝利であります。カンボジア民族解放人民武装力は、さる乾季の9か月間だけでもカンボジアの各地でアメリカ帝国主義侵略者と、そのかいらい雇い兵にあいつぐせん滅的な打撃を加え、カンボジア解放地区を全国解放の頼もしい基地に変えました。

 我々は兄弟のカンボジア人民の、これらすべての成果を自分の勝利のように心から喜び、それに対して熱烈な祝賀を送ります。

 カンボジア人民がおさめたこの勝利は、まさに、ノロドム・シアヌーク親王とカンボジア民族統一戦線の正しい指導によって達成されたものであります。とりわけ、この勝利は、国家元首親王がこれまで一貫して反帝的で、愛国的な正しい政策を実施することによってつみあげた大きな功績と、人民のあいだで集めている国家元首親王のあつい信望と切り離しては考えられません。愛国的なカンボジア人民は、アメリカ帝国主義者とその手先によって厳しい戦争を強いられているこんにち、自己の生きた体験をつうじて、これまで国家元首親王が堅持してきた内外政策が全面的に正しかったことを心から感じており、国家元首親王をいっそう深く尊敬し、そのまわりに日増しにかたく団結し、勇敢に闘っています。

 きょうも、国家元首親王の歴史的な1970年3月23日の5項目宣言をはじめ、アメリカ帝国主義者とその手先に反対する正義の闘争へ一丸となって立ち上がることを呼びかける国家元首親王の親しみのこもった力強い声は、常に全カンボジア国土にひびきわたり、闘う人民にかぎりない力と勇気を与えており、敵には大きな恐怖をいだかせています。

 ノロドム・シアヌーク親王は、次のように述べています。

 「…カンボジア人民は、カンボジア民族統一戦線の旗とカンボジア王国民族連合政府の指導のもとに、祖国を完全に解放するときまでいささかもひるむことなく、いかなる妥協も知らずアメリカ帝国主義に反対してひきつづき闘うでありましょう」

 ノロドム・シアヌーク親王は、カンボジア人民に送る24回目と25回目の手紙のなかで、カンボジア民族統一戦線とカンボジア王国民族連合政府が、カンボジア人民の聖なる反米救国抗戦を完全な勝利へと導く決意を、いま一度おごそかに闡明しました。

 ノロドム・シアヌーク親王は、勇敢な反帝闘士として、自由と解放をめざす人民の偉業の熱烈な擁護者として、全世界平和愛好人民のあいだであつい信頼と積極的な支持をうけています。

 国家元首親王が担っている高い国際的信望によって、カンボジア民族統一戦線の指導をうける王国民族連合政府は、カンボジア人民の唯一の合法的政府として、既に世界の27の主権国家の公式承認をうけており、その国際的地位は日増しに確固不動のものとなっています。

 こんにち、国際舞台において真に反帝の旗をかかげ民族解放闘争を支持する国にとって、ノロドム・シアヌーク親王の指導するカンボジア王国民族連合政府を承認し、アメリカ帝国主義者の手先ロン・ノル──シリク・マタク反逆者一味を断固排撃するのは、極めて当然のことであります。

 いま、愛国的カンボジア人民の闘争の気勢は極めて高く、彼らには栄えある終極的な勝利の前途が明るく開かれています。

 アメリカ帝国主義者の手先ロン・ノル──シリク・マタク反逆者一味は、プノンペンの狭い地域に包囲されて日増しに深まる混乱と絶望のなかにあえいでおり、彼らの余命はいくばくもありません。これは、アメリカ帝国主義の御用出版物でさえも認めざるをえなくなった厳然たる事実であります。

 我々は、カンボジア人民が遠からず必ず自己の祖国を完全に解放し、ノロドム・シアヌーク親王を国家首班とする、独立、平和、反帝の、人民的な、繁栄する新しいカンボジアを建設するであろうとの確信を重ねて表明します。

 カンボジア人民が、アメリカ帝国主義者とその手先に反対する闘争でおさめている勝利は、全世界の被抑圧民族の反帝解放闘争に大きな寄与となり、朝鮮人民の反米闘争に対する貴い支援となります。

 世界のどこでアメリカ帝国主義侵略者を掃滅しても、それは世界のすべての人民にとって極めてよいことであります。

 朝鮮民主主義人民共和国政府と朝鮮人民は、アメリカ帝国主義のカンボジア侵略を自己に対する侵略とみなし、カンボジア人民を支援するため全力をつくしてきました。我々は、今後もノロドム・シアヌーク親王とカンボジア民族統一戦線の指導をうける王国民族連合政府が要求するときは、カンボジア人民の支援に必要ないかなる措置をもすべてとる準備ができていることを、いま一度おごそかに闡明します。

 こんにち、カンボジア人民をはじめ、インドシナ人民は、自分の祖国の完全な解放と独立をめざして闘っているばかりでなく、アジアと世界の平和を守るために血を流して闘っています。

 アメリカ帝国主義者は、南ベトナム侵略戦争で敗北を重ねるようになるや、戦争の炎をベトナム民主共和国とカンボジア、ラオスへと拡大したが、それは侵略者自身の墓穴を掘る結果をもたらしただけであります。

 国家元首ノロドム・シアヌーク親王の発起によって開かれたインドシナ人民の首脳会議の戦闘的旗のもとにかたく団結して進むインドシナ人民の不屈の英雄的闘争によって、アメリカ帝国主義が、悪名高いニクソン・ドクトリンの看板のもとにおし進めている戦争の「ベトナム化」計画と、「インドシナ人同士、闘わせようとする」策動は、全面的に破綻しつつあります。

 ベトナム人民は、不屈の英雄主義を発揮してアメリカ帝国主義者の野蛮な武力侵略を勇敢に打ち破り、アメリカ帝国主義の「不敗性」の神話をいま一度みごとに打ち砕き、平和と民族独立と社会主義をめざす全世界の進捗的人民の偉業に大きく貢献しました。ベトナム人民は、ホー・チミン同志の神聖な遺言にのっとり、反米救国戦争で完全な勝利をかちとる日を早めるために、すべての戦線でいっそう力強く戦っています。

 ラオス人民は今年、南ラオスでアメリカ帝国主義侵略者の大がかりな侵攻作戦を勇敢に打ち破り、新たな輝かしい勝利をかちとったのをはじめ、敵にひきつづき打撃を与えながら、解放戦争を成功裏におし進めています。

 最近、アメリカ国内であばかれたアメリカ国防総省のベトナム侵略戦争に関する秘密文書は、インドシナで侵略戦争を挑発した犯罪の張本人が、ほかならぬアメリカ帝国主義者自身であるという動かしがたい事実を全世界の人々の前にいっそうあますところなく暴露しました。

 アメリカ帝国主義者は、インドシナにとどまっている何らの理由も根拠もありません。アメリカ帝国主義は、インドシナで侵略戦争を直ちに中止すべきであり、自己のいっさいの陸海空侵略軍と追随国およびかいらいの軍隊と、そして、あらゆる殺りく兵器と戦争手段をとりまとめて無条件かつ完全に撤退すべきであります。

 我々はこの機会をかりて、アメリカ帝国主義者とその手先に反対する兄弟のベトナム人民とラオス人民の正義の救国闘争に全面的な連帯を示し、先ごろのベトナムに関するパリ会議で南ベトナム共和臨時革命政府代表団が提起したベトナム問題の平和的解決に関する7項目の新たな発起と、ラオス愛国戦線がラオス問題の解決のために去る4月27日と6月22日に提起した新しい提案を積極的に支持します。

 我々は、インドシナの3国人民がアジアと世界のすべての革命的人民の積極的な支持声援のもとに、アメリカ帝国主義侵略者の最後の一人を打ち倒すまで決然と闘うことによって、必ずや栄光に輝く最後の勝利をかちとるであろうことをかたく信じます。

 同志と友人の皆さん!

 こんにち、アジアは、革命の嵐が最も激しく吹きすさぶ地帯に、反帝革命闘争の基本舞台になっており、ここで帝国主義の生命線が断ち切られつつあります。

 まさに、アジアに革命をおこなう国、闘う国が多く、これらの国の団結が強いがゆえに、アメリカ帝国主義者は、アジアに侵略のほこ先を集中してアジアの社会主義諸国を封じ込め攻撃して、アジアで急激に成長する民族解放運動を妨げようとあらゆる侵略策動をおこなってきました。しかし、アメリカ帝国主義者は、団結したこの地域人民の断固たる反撃にあって敗北を重ね、アジアにこれ以上居座っていられない袋小路に追いつめられており、こんにち、ついにアメリカ帝国主義者のアジア侵略政策は、全面的な崩壊の危機に直面するようになりました。

 アメリカ帝国主義が、朝鮮侵略戦争でアメリカ史上最初のみじめな軍事的敗北を喫し、下り坂にさしかかったときから、インドシナ人民の勇敢な闘争によって再び甚大な敗北を被っているこんにちにいたるまでの全過程は、帝国主義者のいかなる狂気じみた策動も、既に傾いた彼らの運命を絶対に救うことはできず、人民の解放闘争を阻むことも、社会主義の勝利的な前進をおしとどめることもできないことを示しています。

 いま、アメリカ帝国主義は、内外でいっそう重大な危機に直面しています。アメリカ国内で反戦運動と反政府運動が大衆的にもりあがっており、経済の沈滞とインフレーションはつづき、失業者は増え、国際収支はたえず悪化しています。アメリカで社会的不安は、日を追って深刻になっており、支配層内部の矛盾は極度に達しています。侵略武力を世界各地に分散配置しているアメリカ帝国主義の軍事戦略上の弱点は、日がたつにつれてさらけだされ、市場と勢力圏争奪のための帝国主義列強間の矛盾は日増しに先鋭化しています。アメリカ帝国主義は、インドシナをはじめ、世界のいたるところで連続的な打撃をこうむり、敗北を重ねています。

 アメリカ帝国主義者は、滅びゆくその境遇からぬけだすための必死のあがきとして、悪名高いニクソン・ドクトリンをもちだし、いわゆる政策の変更について騒ぎたてながら、より狡猾で冒険的な侵略策動にのりだしたが、これもやはり失敗の運命をたどっています。

 アメリカ帝国主義者がアジアの革命勢力を攻撃するにあたり大きな力を入れたのは、中華人民共和国を封じ込め、窒息させようということでありました。

 中国で人民革命が勝利するや、アメリカ帝国主義は、はじめから中華人民共和国を承認せず敵視し、すべての反動勢力を動員して中国を封じ込め、孤立させようとあらゆる悪辣な策動をおこないました。アメリカ帝国主義者は、朝鮮侵略戦争を挑発したのと時を同じくして、中華人民共和国の不可分の神聖な領土である台湾を占領し、中国人民に対する軍事的侵略の威嚇と敵対的挑発行為をたえずはたらいてきました。

 しかし、これらはすべて水泡に帰しました。中華人民共和国は、アメリカ帝国主義の封じ込めおよび孤立化政策にもかかわらず、窒息するどころかアジアに毅然とそびえる社会主義強国に、強大な反帝革命勢力に日とともに成長強化しました。

 最近になって、中華人民共和国を中国人民の唯一の合法的政府として承認し、中華人民共和国と外交関係を結ぶことは、おしとどめることのできない世界的潮流となっており、アメリカ帝国主義の中国封じ込め政策は恥ずべき終末を告げるようになりました。

 このように、アメリカ帝国主義が内外的に袋小路に追いつめられた歴史的な環境のもとで、先ごろニクソンは中国訪問計画を発表したのであります。

 これは、世界人口のほとんど4分の1をしめる中国における偉大な革命的変革過程を、「力」で阻止しようと20年以上も無謀に追求してきたアメリカ帝国主義の中国敵視政策がついに完全に破綻したことを意味し、アメリカ帝国主義が世界の強大な反帝革命勢力の圧力の前についに屈服したことを物語っています。

 結局、ニクソンは、かつて朝鮮戦争で敗北したアメリカ帝国主義侵略者が白旗をかかげて板門店にあらわれたように、白旗をかかげて北京にやってくるようになったのであります。

 すべての事実は、我々の時代に帝国主義の崩壊過程が非常に速いテンポで進んでいることを示しています。

 いま、ニクソンの中国訪問計画と関連して世界ではさまざまな世論が起こっています。

 ニクソンの中国訪問は、勝利者の行進ではなく、敗北者の行脚であり、アメリカ帝国主義の西山落日の運命をそのまま反映するものであります。これは、中国人民の大きな勝利であり、世界の革命的人民の勝利であります。

 中国共産党と中国人民は、長いあいだ反帯革命闘争をくりひろげてきた栄えある伝統をもっており、敵のほこ先にはほこ先で立ち向かって、それをへしおり、敵の欺瞞戦術には革命的原則でもって、それを粉砕した豊富な闘争経験をもつ、洗練され鍛えられた党であり人民であります。こんにちも中華人民共和国は、アジア反帝革命勢力の頼もしい柱として、アメリカをかしらとする帝国主義者の侵略と戦争政策に立ち向かって断固闘っており、プロレタリア国際主義の原則にしっかりと立って、アメリカ帝国主義侵略者に反対するアジアと世界のすべての革命的人民を積極的に支援しています。中華人民共和国政府は、今後も変わることなく自己の革命的原則をかたく守り、闘う革命的人民をひきつづき積極的に支持声援するであろうことを闡明しています。

 いまニクソンの中国訪問計画と関連して、帝国主義陣営の内部は新たな混乱と瓦解状態に陥っています。アメリカ帝国主義に全面的に追随して中華人民共和国に対する敵視政策を誰よりも先頭に立って実施してきた日本首相・佐藤は、周章狼狽し、毎日のようにつじつまの合わないことを言っては、自己の反動的政策の破綻をおおいかくそうと必死になっています。アメリカ帝国主義に盲従してきたその他の追随国とかいらいも、みな、慌てふためいており、とりわけ、蒋介石一味と南朝鮮かいらい一味は、大きな不安と恐怖にとりつかれて悲鳴をあげています。

 全般的な情勢は、日を追って我々革命をおこなう人民にますます有利に変わりつつあります。

 当面の情勢は、世界のすべての革命をおこなう国、闘う国の人民がかたく団結し、混乱に陥って下り坂を転げる帝国主義者に、より強力な攻撃をかけて、帝国主義の最後の息の根を止めることを要請しています。

 歴史の経験が示すように、帝国主義の侵略的本性は、例え、その力が弱まっても決して変わるものでなく、帝国主義者は自己の古い陣地から進んで退こうとはしません。帝国主義者は、窮地に陥れば陥るほど、片手にはオリーブの枝を、片手には銃剣をふりかざす「二面戦術」にいっそうしつこくしがみつきながら、「平和」の看板のもとに侵略と戦争策動をますます悪辣に強行するものであります。

 アメリカ帝国主義のひきつづく侵略策動のため、いまもインドシナでは戦争の炎が燃えつづけています。アメリカ帝国主義者は、朝鮮で再び戦争を引き起こそうと各種の軍事挑発行動を絶え間なくおこなっており、アジアの全般的な情勢をひきつづき緊張させています。

 アメリカ帝国主義によって日本軍国主義が復活した結果、アジアの情勢はいっそう先鋭化しつつあります。

 1969年11月の米日「共同声明」から米日「安全保障条約」の自動延長と先ごろの米日間の「沖縄返還協定」の締結にいたるすべての事実が示すように、アメリカ帝国主義者はニクソン・ドクトリンに従い、既に公然と日本軍国主義者をアジア侵略の突撃隊におしたてる段階に入りました。最近にも、アメリカ帝国主義者は、国防長官を直接日本と南朝鮮に派遣して、日本の侵略武力をさらに大々的に増強し、アメリカ郡のアジア侵略作戦を日本に肩がわりさせ、南朝鮮での「米・日・韓共同作戦体制」をいっそう完備するための謀議をさせました。

 復活した日本軍国主義者は、「アジア人同士闘わせる」というアメリカ帝国主義の「新アジア政策」に便乗して、かつての「大東亜共栄圏」の夢を実現しようと妄想しなから、国内体制のファッショ化を急いでおり、海外侵略の野望を露骨にさらけだしています。日本反動支配層は、口を開けば日本が「アジアの主役」を果たすべきだと騒いでおり、南朝鮮、台湾、インドシナを含むアジアの広大な地域を自分らの「防衛圏」として宣言し、朝鮮戦線に日本の侵略武力を投入するための謀略を公然とおし進めています。

 こんにち我々は、敵の最後のあがきにひとしい「二面戦術」に常に警戒心を高め、彼らのいかなる悪巧みをもそのつど粉砕することによって、死滅しつつある帝国主義を完全にほうむりさらなくてはなりません。

 我々は、アジアで戦争を防止し、緊張を緩和し、真の平和をもたらすためには、アメリカ帝国主義侵略者が、南朝鮮と台湾から、インドシナと日本から、そして彼らが足を踏み入れているアジアのすべての地域から撤退すべきであり、追随国とかいらいどもを武装させて「アジア人同士闘わせる」策動をやめるべきであり、米日反動層が他国人民の民族解放闘争を弾圧し、他国人民の内政に干渉するのをやめるべきであり、それぞれの国の問題はその国の人民自身の手で解決されるべきであると強く主張します。

 もし、アメリカ帝国主義者と日本軍国主義者が手をひかずに侵略策動をつづけるならば、彼らは人民の団結した闘争によって、あらゆるところから追いだされてしまうでしょう。

 こんにち、アジアに対するアメリカ帝国主義者と日本軍国主義者の侵略と戦争策動を挫折させるためには、特に、彼らの侵略を直接うけているアジアの革命的諸国人民の反帝反米統一戦線をいっそう強化することが重要であります。

 アジアの革命的人民の戦闘的団結は、歴史的に形成されたものであり、帝国主義侵略者に反対する困難な闘争をつうじて強化発展してきました。こんにち、アメリカ帝国主義者と日本軍国主義者の新しい侵略策動は、朝鮮、カンボジア、中国、ベトナム、ラオスをはじめ、アジアの革命をおこなう国々の人民の団結をいっそう強めさせています。

 朝鮮人民と中国人民は、アメリカ帝国主義者とその手先に反対する共同戦線で常に肩を並べて一致した歩調で闘ってきたし、実生活をつうじて自分らの運命が互いに切り離せない関係にあることを体験しました。アジアでアメリカ帝国主義者と日本軍国主義者の共謀結託による侵略と戦争策動が日増しに露骨になっているこんにち、朝中両国人民は、かつて同じ塹壕で生死苦楽をともにしながら戦って勝利したように、今後も革命戦友として、兄弟的同盟者として、敵のいかなる侵攻にも共同で対処すべき万端の態勢をいっそう整えています。

 最近においても、朝中友好・協力および相互援助に関する条約締結10周年を契機に、両国のあいだには、党および政府代表団の交換がおこなわれ、両国の首都、平壌と北京をはじめとする各地で盛大な大衆集会が開かれました。これらの記念行事は、アメリカ帝国主義と日本軍国主義に反対して最後までともに闘い、勝ちぬこうとする朝中両国人民の確固たる決意をいま一度全世界に示威しました。

 血で結ばれ、歴史のあらゆる試練にうちかった朝中両国人民の兄弟的な友好・団結は不敗であります。朝鮮人民は、今後も永遠に共通の敵に反対する闘争で兄弟の中国人民とともに進むでありましょう。

 アメリカをかしらとする帝国主義者をうち負かすためには、アジアの革命をおこなう国の人民だけでなく、世界のすべての革命をおこなう国の人民の連帯をさらに強化しなければなりません。我々は今後もマルクス・レーニン主義の旗、反帝反米闘争の革命の旗を高くかかげて、社会主義諸国の人民と団結し、アジア、アフリカ、ラテンアメリカをはじめ、世界の各地域の革命的人民と団結して、我々の共同の偉業の勝利をめざしていっそう力強く闘っていくでありましょう。

 朝鮮人民は、アメリカ帝国主義と日本帝国主義の復活に反対する日本人民とアジア人民の闘争を積極的に支持します。朝鮮人民は、アメリカ帝国主義者とその手先イスラエル侵略者に反対するパレスチナ人民をはじめとするすべてのアラブ人民の闘争と、帝国主義、植民地主義、人種主義に反対し自由と解放と民族独立の強化をめざすアフリカ人民の闘争に対してかたい連帯を表します。朝鮮人民は、アメリカ帝国主義の絶え間ない侵略と破壊策動を粉砕しなから社会主義を成功裏に建設しているキューバ人民の闘争と、ラテンアメリカ人民の反米反独裁闘争を断固支持し、世界各国の人民の反帝反米闘争にかたい連帯を表します。

 アメリカ帝国主義者はいまでこそ虚勢を張っているが、世界の革命的人民がみな襲いかかりいたるところで彼らの五体を切り取るならば、アメリカ帝国主義は結局は滅び去るでしょう。

 日本軍国主義者も、侵略の野望にとりつかれて第2次世界大戦の苦い惨敗から教訓をくみ取ろうとせず、再びかつての侵略の轍を踏むならば、彼らも同じく、終極的な滅亡のみじめな運命を免れないでしょう。

 同志と友人の皆さん!

 朝鮮革命の最終的勝利をおさめるためには、国際革命勢力との団結を強化するとともに、主体的な革命力量をあらゆる面から強化発展させなければなりません。

 アメリカ帝国主義者が南朝鮮から出ていかず、依然と居座って朝鮮人同士、闘わせようと策動しており、アメリカ帝国主義者の庇護のもとに日本軍国主義者が再侵略策動を強めているこんにち、我々は一瞬も警戒心をゆるめてはならず、いかなる不意の事態においても祖国防衛の完璧を期すよう、社会主義経済建設とともに国防力の強化にひきつづき大きな力をふりむけなければなりません。

 朝鮮人民は、わが党の賢明な指導のもとにチュチェ思想の旗を高くかかげ、自主・自立・自衛の革命路線を具現して社会主義工業化の歴史的な課題を立派に遂行し、帝国主義者が武力で襲いかかってくるときには、いつでもそれを徹底的に撃破しうるゆるぎない防衛力を築き上げました。

 南朝鮮人民は、共和国北半部の成果に励まされながら、アメリカ帝国主義者とその手先の軍事ファシスト独裁をくつがえし、日本軍国主義者の再侵略策動を粉砕し、自由と解放と祖国の統一を実現するためにひきつづき力強く闘っており、アメリカ帝国主義の植民地支配により手痛い打撃を与えています。

 革命の側に日増しに有利に変わりつつある情勢発展に恐れをなした南朝鮮の現かいらい一味は、ひきつづきアメリカ帝国主義の袖にすがる一方、さらに日本軍国主義者に頼って余命を維持しようといたずらに狂奔しており、その売国的・反民族的正体をおおい隠し、南朝鮮人民のあいだでおしとどめることのできない勢いで高まっている平和統一の気運をなだめようと、謀略的な「平和統一構想」についていっそう騒々しくわめきたてています。しかし、南朝鮮かいらい一味のこの愚かな欺瞞的謀略策動は誰もだますことができず、その滅びゆく運命を救うこともできないでしょう。

 朝鮮の平和統一のために一貫して努力している朝鮮民主主義人民共和国政府は、去る4月、8項目からなる祖国の自主的平和統一方案を再び提案しました。

 アメリカ帝国主義者と南朝鮮かいらい一味は、全民族の一致した志向を反映した我々のこの公明正大な平統一方案に対し、このたびも、何らの応答もせず、口先で「平和統一」を云々しているだけです。もし、南朝鮮の為政者が真に国の平和統一を願うならば、まずアメリカ車の長期駐屯を哀願すべきではなく、彼らを南朝鮮から撤退させ、日本軍国主義者と結託して彼らを南朝鮮に引き入れることをやめ、平和統一を主張する南朝鮮の政党、大衆団体および民主人士に対する弾圧を中止し、彼らが国の統一のための南北間の協商をおこなえるようにし、朝鮮問題は朝鮮人自身の手によって解決されるべきであるという見地から出発しなければなりません。

 南朝鮮の為政者が、我々の8項目の平和統一方案を受け入れるか否かは別としても、彼らが真に国の統一を願うならば、どうして南北が接触し協商するのを恐れるのでしょうか。

 我々は、南朝鮮の民主共和党を含むすべての政党、大衆団体および個別的な人士といつでも接触する用意があります。

 南朝鮮の為政者が、南北間の初歩的な接触さえも拒み、口先だけで「平和統一」について騒ぎたてるならば、それは人民のより大きな憎悪と怒りを買うでしょう。彼らは、自分たちの「実力の培養」される1973年度以降の時期、または、1970年代の後半期に入ってはじめて統一問題が論議されうると公言しているが、その内心は、復活した日本軍国主義者をそのときまで南朝鮮に全面的に引き入れた後「勝共統一」の妄想を実現しようとするところにあります。

 朝鮮人民は、共和国北半部で社会主義建設をさらにおし進め、南朝鮮人民を支援して南朝鮮革命を完遂し、朝鮮人同士が祖国の統一問題を自主的に民主主義的基礎のうえで平和的に解決するために、ひきつづき力強く闘うでありましょう。

 南朝鮮からアメリカ帝国主義侵略者を撤退させて朝鮮で緊張を緩和し、国の自主的平和統一をめざす朝鮮人民の正義の闘争は、全世界平和愛好人民の日増しに強まる支持声援のもとに必ずや勝利するでありましょう。

 ノロドム・シアヌーク親王とカンボジア王国は、久しい前からアメリカ帝国主義者とその手先に反対する朝鮮人民の側にしっかりと立ち、朝鮮民主主義人民共和国のみを朝鮮人民の唯一の合法的国家とみなしてきたし、南朝鮮からアメリカ帝国主義侵略軍を撤退させ、祖国の自主的平和統一をめざすわが共和国政府と朝鮮人民の闘争を積極的に支持声援してきました。

 私はこれに対し、ノロドム・シアヌーク親王とカンボジア民族統一戦線と王国民族連合政府にあつい感謝をささげます。

 朝鮮人民とカンボジア人民は、アメリカをかしらとする帝国主義に反対し、新しい生活を創造するための共同の闘争をとおして、かたい戦闘的な友好のきずなを結びました。

 朝鮮人民は、カンボジア人民のような英知にたけた勇敢な人民を親しい友人にもっていることを非常にうれしく思っており、両国人民の友好・団結を常に重んじています。このたびのノロドム・シアヌーク親王のわが国訪問は、我々の反米共同闘争を強め、両国人民の戦闘的な友好・団結をいっそう強化発展させるうえでばかりでなく、アジアの革命的諸国人民の反帝反米統一戦線をより強化発展させ、世界の革命的人民の偉業を促進させるうえで、さらに大きな寄与となります。我々は、これを非常に満足に思っています。

 私は終わりに、朝鮮人民が反米共同闘争において、今後ともカンボジア人民と永遠に肩を並べてともに闘うであろうし、彼らの頼もしい戦友に、同盟者になるであろうことをいま一度確言しつつ、尊敬するノロドム・シアヌーク親王の賢明な指導のもとに、勇敢なカンボジア人民が反米救国闘争でより輝かしい勝利をおさめるよう心から祈ります。

 朝鮮人民とカンボジア人民の不敗の戦闘的友好・団結万歳!

 ノロドム・シアヌーク親王を議長とするカンボジア民族統一戦線とカンボジア王国民族連合政府万歳!

 アジアの革命的諸国人民の団結万歳!

 世界人民の団結万歳!
                                                
出典:『金日成著作集』26巻


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