金 日 成

                  スポーツを大衆化し、全人民を労働と
               国防にしっかりそなえさせよう
全国スポーツマン大会でおこなった演説
-1969年11月4日-


 同志のみなさん!

 私はきょう全国スポーツマン大会に参加して、これまでみなさんがスポーツ活動でおさめた大きな成果と勝利を高く評価するとともに、我が国のスポーツ発展に大きな寄与をなした、ここに参加した人民スポーツマン、功労スポーツマン、スポーツ部門の幹部と、みなさんをつうじて我が国のすべてのスポーツマンに、党中央委員会の名であつい感謝の意を表します。

 スポーツを広く発展させ、全人民の体位の向上をはかるのは、国の興亡を決する重要な問題の一つだといえます。

 どの国を問わず、その国の強弱は、人民が肉体的、精神的にどれほど強いかどうかに大きくかかっています。また、その国の人民が強いか否かは結局、すべての人がスポーツをどのようにおこなうかに大きくかかっています。スポーツを活発におこなえば、健康になるばかりか意志も強くなります。

 これは、我が国の歴史をふり返ってみてもよくわかることです。

 我が国の歴史において、朝鮮民族が最も強大であったのは高句麓(コグリョ)時代でした。当時、人民は幼少のころから馬術と弓術に親しみ、日ごろから体を鍛えたので、困難にうちかつ強健な体力と意志をそなえていました。そうして高句麗人民は、幾十幾百万もの外国侵略者が攻め込んできても、それをそのつど勇敢に撃退し、国を守りぬきました。

 我が国が弱体化しはじめたのは、李朝時代からです。李朝5百年のあいだ、李王朝の封建支配層は、文官のみを重用し武官をさげすみ、人民のあいだで馬術や弓術をはじめ、各種のスポーツを奨励しませんでした。日本がしきりに我が国侵略の機会をうかがっていたとき、李王朝は国防を軽視したあまり、国の防備をかためるなんの対策も立てず、無事泰平に酒宴に明け暮れ、時調を吟じながらなすこともなく歳月を送りました。そのため結局、日本帝国主義者に国を奪われてしまいました。

全国スポーツマン大会で演説する金日成主席
1969年11月4日

 こんにち、我が国のスポーツを広く発展させるのは、すべての勤労者を労働と国防にしっかりそなえさせるうえで極めて重要な意義があります。

 富強な自主独立国家を建設するためには、科学と技術を発展させるだけでは不十分であり、これとあわせてスポーツを広く発展させ、すべての勤労者が強健な体力をもって社会主義建設を促進する集団労働に積極的に参加できるようにしなければなりません。科学技術が発達し、人々が高度の技術を身につけたからといって、けっして国がおのずと富強になるものではありません。もちろん、人々の科学技術水準が高くなければ、国の生産力を急速に発展させることは不可能です。しかし、いかに立派な科学技術を身につけている人でも、健康にすぐれずよく病気にかかったり、満足に働けないならば、そのような科学技術は国にとってなんの助けにもならず、使い道のないものになってしまうでしょう。またスポーツを発展させ、たえず人々の体力増進をはかってこそ、近代的科学技術を発展させることもできます。もちろん、機械化、オートメ化を実現して、労働をらくで楽しいものにすることは現代技術発展の一般的趨勢であるといえますが、一部の新しい科学技術分野では、それを扱う人の体質が極めてすぐれたものであることを要求します。健康のすぐれた人でなければ、宇宙飛行船や超音速飛行機などを操縦することはできません。結局、壮健な体力をそなえていなければ、発展した現代技術を所有することも、近代的機械を扱うこともできません。

 祖国の防衛についても同じことがいえます。人民軍が敵のいかなる不意の侵攻をも一撃のもとに粉砕できるようになるためには、軍事技術的な準備がしっかりしていなければならないばかりでなく、軍人の身体が丈夫でなければなりません。人民軍が現在のような一当百の強力な革命武力に成長したのは、軍人が立派な射撃術とすぐれた戦術を有していることにのみ起因するのではけっしてありません。それは、かれらのあいだで体育を広く発展させ、みなが壮健な体力をもつようにしたことにも起因します。いかに射撃術にたけ巧みな戦術を身につけていても、身体が丈夫でなければ、結局そのような軍隊は、敵を撃退し凱旋太鼓をとどろかせることができません。軍人が敵を圧倒し、すばやく包囲、せん滅するためには、敵に息つく暇を与えず、矢つぎ早に攻撃を加えなければなりません。そのためには、いかなる不利な地形条件のもとでも敏捷に行動できる強い体力をもっていなければなりません。

 特に我が国の自然地理的条件のもとでは、社会主義建設を早めるためにも、また祖国の防衛を強固にするためにも、人民の体力を全般的に向上させなければなりません。

 我が国は山地と河川が多く、三面が海にかこまれており、海岸線が比較的長いのが特徴です。我が国を富強な国に発展させるためには、金銀宝玉が多く埋もれている山を開発し、水産資源の豊かな海を征服しなければなりません。また一朝有事のさい敵と戦うにしても、山地や河川、湿地などの障害を迅速に克服しなければなりません。

 こんにち、我が国人民には、共和国北半部で社会主義建設をいっそう力強くおし進めて社会主義の完全な勝利を達成し、北半部の革命基地をさらに強固にし、南朝鮮人民と力をあわせて我が国の領土からアメリカ帝国主義者を追い出し、祖国を統一すべき重大な歴史的任務が提起されています。したがって全人民は、いつにもまして緊張した動員態勢で社会主義建設の各分野で献身的に働き、一朝有事のさいにはアメリカ帝国主義侵略者との決戦にのぞむ万端の準備をととのえていなければなりません。戦争は、我々がしたくてするのではありません。我々がアメリカ帝国主義者と直接対峙しており、またかれらが我が国を侵略しようと狂奔し、南朝鮮人民を依然として抑圧し搾取しているからです。

 これらのことは、平和的労働に参加している勤労者と祖国防衛の持ち場にある軍人とを問わず、全人民がいつにもまして壮健な体力をもつことを切実に求めています。労働者、農民、軍人、学生、そして老若男女を問わず、全人民が一人残らずスポーツをおこない、いかなる難関と障害をも十分克服できるよう身体を丈夫に鍛えてこそ、我が国が強くなり、祖国統一の革命的大事変も主動的に迎えることができるでしょう。

 また革命的変革の時代に生きている朝鮮人民は、全世界の革命的人民と力をあわせて、地球上から帝国主義者を最終的に一掃し、世界革命を完遂するためのたたかいを力強くくりひろげなければなりません。我々は、世界革命偉業の任務を忠実に遂行するためにも、国防と労働にそなえての壮健な体力をもっていなければならないのです。

 今後、すべての部門、すべての単位でスポーツ活動を全人民的運動によって広く発展させなければなりません。

 我が党は解放直後からスポーツを非常に重要視し、その発展に深い関心を払い、幾人かの専門家のみがおこなう選手本位のスポーツではなく、全人民が参加する大衆的スポーツを発展させるよう強調してきました。

 我々は、学生・生徒をはじめ、人民軍軍人と社会主義勤労者に、深い知識、崇高な共産主義的道徳とともに、必ず強健な体力を兼備する課題を示しました。知・徳・体を兼備するのは、革命闘争と建設事業のために全人民が必ず貫徹すべき任務であり、社会主義・共産主義を建設するまで堅持していくべき我が党の重要なスローガンであります。

 すべての部門の幹部は、スポーツのもつ大きな意義を明確に認識し、まずスポーツにたいする正しい観点をもたなければなりません。スポーツを娯楽と考えるのは間違っています。スポーツは娯楽ではなく、一つの科学です。スポーツを発展させるのは文化革命の重要な構成部分です。我々が文化革命を遂行する目的は、すべての勤労者に自然と社会にかんする深い知識を身につけさせるとともに、スポーツを広くおこなって壮健な体力をもたせることにあります。もともと、労働者階級が資本の抑圧と搾取に反対してたたかう過程でかかげた最初のスローガンは8時間労働、8時間学習、8時間休息を保障せよというものでしたが、8時間の学習時間のなかには当然スポーツの時間も含まれていなければなりません。

 スポーツを全人民的運動で発展させるためには、なによりもまず学校での体育をさかんにしなければなりません。

 我が国では、既に中等義務教育制を実施し、それにもとづいていまでは全般的9年制技術義務教育を実施しており、幼稚園にはじまり中学校を卒業するまで、国家では一文の金もとらずにすべての子供を無料で勉強させています。

 これは、我が国のスポーツを全人民的に発展させるうえでの極めて有利な条件です。育ちゆくすべての世代が9年間義務教育をうける条件を利用して、全国のすべての学校で体育活動を強化し、すべての学生・生徒に幼いときから体力を鍛える習慣をつけさせるならば、かれらはみな卒業して社会で働くようになるので、スポーツを全人民的に発展させる問題は容易に解決されるでしょう。したがって、学校で体育活動をどのようにおこない、人々が学生時代に体力鍛練をどのようにするかは、スポーツを全人民的に発展させる問題を決定する鍵であるといえます。

 ところが現在、学校での体育活動は活発におこなわれていません。これは、教育部門の活動家が体育をほかの科目のように重視せず、体力の鍛練に多くの関心を払っていないからです。

 そのため、学校を出て人民軍に入隊するときにも、一部の青年は身体発達の均整がとれていません。青年たちは人民軍に入隊するとき、当然、壮健な体力をもっているべきですが、入隊したのちに体力を鍛えているのが現状です。入隊後、2、3年すれば骨格が正常に発達して、背も伸び骨ぶとになります。それは、軍人の食生活が特別よいからではなく、軍隊でかれらに節度ある規律生活をさせ、体力鍛練を強化するからです。

 学校で体育活動を強化し、学生・生徒のあいだで体力鍛練を広くおこなうならば、すべての学生・生徒が強健な体力をそなえて入隊し、また職場に出て働くようにもなるでしょう。

 数年前、私は海州(ヘジュ)革命学院を訪れたことがあります。この学院の生徒はみな、父母が戦死したか敵に虐殺された、愛国者の子弟です。戦時中、この子供たちは両親もなしに一人で暮らしたか、または母親がいたとしても生活が困難であったため、骨格が正常に発達しませんでした。そのため、多くの生徒は背が低く、身体も貧弱でした。いわば体格が奇形的でした。

 したがって学院では当然、子供たちを入学させたのち、まずその体力の鍛練に取り組むべきでした。しかし学院では、生徒のあいだで体育活動を発展させることを非常に軽視しました。

 そこで私はそのとき、海州革命学院で体育を重要な科目とし、背を伸ばし均整のとれた骨格の発達をはかる訓練を強化する課題を与えて帰ってきました。

 それから3年後、私は南浦(ナンポ)革命学院創立10周年を記念するためこの学院を訪れました。そこには海州革命学院の生徒もみなきていましたが、かれらの体位は非常に向上していました。一般的な健康状態がよくなったばかりか、背もほかの学校の生徒に比べてはるかに高くなっていました。これはその間、海州革命学院が生徒のあいだで体育訓練を強化した結果です。

 このような経験に見習って、幼稚園から人民学校、中学校、大学にいたるまで、すべての教育機関で体育活動を広くおこなうべきです。

 学校での体育を強化するためには、体育の時間を適切に定めるとともに、課外時間の多くを体力の鍛練にあてなければなりません。

 学生・生徒の体力鍛練はさまざまな形でおこなうのがよいと思います。サッカー、バレーボール、バスケットボールなどをさせ、特に鉄棒、平行棒、器械体操を大いにやらせるべきです。鉄棒や平行棒はつくるのも簡単で、一度つくつておけば長持ちします。したがって、こうした運動器具をたくさんつくって、学生・生徒が常に利用できるようにすべきです。板跳び、ブランコ、綱引きなどの民族スポーツも大いに奨励すべきです。

 中学以上の学校では、春と秋に登山をひんぱんにおこなうべきです。このごろの学生・生徒は登山をあまりしていません。ことしの夏、慈江(チャガン)道へ指導に出向く途中、妙香(ミョヒャン)山に立ち寄ってみたのですが、登山をする学生・生徒はあまり見当たりませんでした。そこで私は社労青中央委員会委員長に、学生・生徒に登山を活発におこなわせる課題を与えました。学生時代から山を越え、断崖に登り、谷川を渡るなどして身体を鍛えてこそ、我が国の険しい山地を克服することができ、我が国の自然についていっそうよく知ることができます。

 夜間行軍をはじめ、行軍をしばしばおこなって、身体を鍛えるのも重要です。夜間行軍を体験するのがどれほど重要であるかは、3年間の祖国解放戦争の経験がよく物語っています。当時、人民軍部隊の進撃や後退の困難なときに部隊とはぐれた軍人をみると、そのほとんどが夜間行軍のときいねむりをしたか、隊列についていくことができず、おくれて一休みしていた人でした。

 学生・生徒の体力を鍛えるため、川や海での水泳もさかんにおこなうべきです。水泳は全身を鍛え発達させるよい運動です。泳ぐことができれば、川や海がこわくありません。どの年だったか冬のさなかに羅津(ラジン)、西水羅(ソスラ)の沖合で一隻の漁船が難破したことがあります。そのとき無電をうけて海に投げ出された人を見つけだすまでには20時間以上もかかりましたが、漁業労働者たちは健康で、みな水泳が上手であったので、死亡した者は一人もなく全員救出されました。

 すべての学生・生徒が幼いときから上手に泳げるよう手ほどきをしなければなりません。そうしてこそ、かれらが大きくなって海を征服し、困難にうちかつことができます。

 スポーツを全人民的運動によって発展させるためには、学校だけでなく、すべての機関、企業所と協同農場でも広くスポーツをおこなわなければなりません。

 工場、企業所において労働者、事務員が、2時間おきか3時間おきに、屋外に出て20~30分程度中休み体操をする規律を立てるべきです。これは、勤労者が仕事は仕事なりにおこないながらも、体力を鍛えることのできるよい制度です。

 中休み体操は、炭鉱や鉱山の切羽で働く人も、地下工場で働く人もおこなうべきです。工場内で仕事をするときは、主に立ったまま機械を操作したり、腰を曲げて仕事をするので、運動が奇形的なものになります。したがって仕事の中途に中休み体操をして、歩いたり走ったりするのは非常に必要なことです。そうしてこそ血のめぐりがよくなり、疲労をほぐすこともできます。

 また工場、企業所では土曜日や日曜日などに、定期的に障害物克服、垣の跳び越し、ランニングなど国防体育を大いにおこなうべきです。

 人民経済の各部門、各単位の幹部は、中休み体操などの運動をするのは時間の浪費でもなければ労働力の浪費でもないことを知らなければなりません。もちろんスポーツ活動を強化する気風を確立するからといって、仕事はせずに運動ばかりしてはなりません。あくまでも仕事は仕事なりにおこないながら、スポーツを広く発展させるべきです。

 次に、家庭でも体力を鍛えるべきです。

 個々の家庭は、社会を構成している細胞といえます。したがって家庭で冷水摩擦や滝浴び、朝の運動などをすることは、全人民的な体育を発展させるうえで重要な位置をしめています。

 こんにち、我が国の社会主義社会では、誰もが働く権利、学ぶ自由をもっており、スポーツも思いどおりにすることができます。すべての人が、仕事をしながらも、各自の趣味と能力に応じて、いたるところでスポーツを大いにおこなうべきです。

 このようにスポーツを大衆化し、全人民の体力をたえず鍛え、それにもとづいて専門のスポーツマンの隊列を強化し、すべてのスポーツ種目をいちだんと高い水準に引き上げなければなりません。

 スポーツの大衆化と専門スポーツマンの隊列の強化は、有機的な結びつきをもっています。広範な人民大衆がスポーツをおこなう過程をつうじてのみ、技術のすぐれた才能ある多くのスポーツマンが輩出します。また専門のスポーツマンがすぐれた技術を所有してこそ、全人民のスポーツを高いレベルに引き上げることができます。

 すべてのスポーツ種目をいちだんと高い水準に引き上げ、スポーツテクニックをさらに発展させるためには、専門のスポーツマンのあいだで訓練を強化しなければなりません。

 訓練を精力的におこなうのは、スポーツテクニックの向上と我が国のスポーツ発展のために、党と国家にたいして専門のスポーツマンがになっている重要な責任であります。スポーツマンはこの責任をまっとうするため、訓練で大いに汗を流さなければなりません。

 私は日ごろから人民軍の軍人に、戦闘訓練で多くの汗を流せば、戦闘で血を多く流さなくてすむといっています。スポーツマンの場合も同じです。スポーツマンも平素の訓練で多くの汗を流してこそ、それだけテクニックが向上し、競技で勝つことができます。

 これまでみなさんは、祖国の栄誉を全世界にとどろかせてみせるという強靭な意志をもって、日ごろから汗を多く流し、訓練を精力的におこなってきました。そして陸上および水上競技、バレーボール、サッカーをはじめ、多くの種目にわたって、国際競技で輝かしい成果をおさめました。スポーツマンはこれに少しも自己満足することなく、ひきつづき訓練を強化しなければなりません。

 スポーツの全種目をさらに発展させ、競技で百戦百勝するためにはまた、朝鮮人の体質にかなった主体的な戦術体系をうちたてることが重要です。

 これまでスポーツの発展で成果をおさめた主な要因は、事大主義や教条主義に陥ることなく主体性を確立したことにあるといえます。かつて一部の人が、スポーツを発展させるうえで主体性を確立せず、事大主義と教条主義に走ったため、この分野で所期の成果をおさめることができませんでした。なにをするにしても、事大主義と教条主義に陥ってはなりません。朝鮮人は5百年にわたる李朝時代に事大主義に陥ったため、国を滅ぼしたのです。スポーツ活動においても事大主義に陥るなら、発展をもたらすことができないのはいうにおよばず、ついにはそれを完全に失敗させることになります。他国の人が朝鮮人より立派なスポーツテクニックを身につけているのはこれといってありません。こんにち、スポーツをさらに発展させることができるか否かは、もっぱらスポーツマンとスポーツ部門の幹部が、我が党のチュチェ思想をいかにこの活動に具現するかにかかっています。

 すべてのスポーツマンは、我が党のチュチェ思想で武装し、スポーツ活動で提起されるあらゆる問題を自主的立場で解決しなければなりません。

 スポーツで大きな成果をおさめるためにはまた、すべてのスポーツマンが集団主義精神で武装し、集団の知恵を発揮することが重要です。

 こんにち、人民経済各部門で広範な革新運動が起こっているのは、社会主義的勤労者が集団的英雄主義を発揮しているからです。いかなる部門の活動であれ、集団主義を大いに発揮すれば、個々に活動するときに比べて何倍もの偉大な力が発揮されるものです。特に、緊密な共同作戦によってのみ成果をおさめることのできるスポーツ活動においては、なおさらのことです。運動競技で集団的英雄主義は、勝利の確固たる裏付けです。集団的英雄主義を発揮するかいなかによって、運動競技の勝敗が左右されます。ことし我が国で開かれた社会主義諸国青少年サッカー競技で、朝鮮チームが強豪チームだといわれていた外国チームをすべて負かすことができたのも、競技の運営で高度の集団主義精神を発揮したからです。

 スポーツマンのあいだで功名主義と個人英雄主義を一掃し、集団主義精神でかれらをたえず教育しなければなりません。

 我々がマスゲームを極力奨励するのも、青年学生のあいだに集団主義精神をつちかうことが重要な目的です。

 私がいつもいうことですが、マスゲームは青少年学生の体力増進をはかるだけでなく、かれらのあいだに集団主義精神をつちかい、組織的で規律ある生活を強化するうえで大きな意義があります。マスゲームでは、一人の動作が間違っても数万名が参加するマスゲーム全体に傷をつけることになるので、個々の学生・生徒は一個人を全集団に服従させるため努力するようになるのです。これは人々の教育において極めて重要な問題です。

 マスゲームは高度の芸術性と思想性が組み合わされているスポーツ形式であるため、青年学生はこれをおこなう過程で政治的、思想的に鍛えられ、芸術的素養も高まって歌や踊りも上手になります。

 マスゲームのこのような優位性を生かすため、平素からマスゲームをさかんにおこなうようにすべきです。もちろん急に大規模なマスゲームをおこなおうとすれば、一度に多くの時間と資金をかけることになります。しかし、各学校で一部分ずつ担当し、日ごろから計画的に練習して、必要なときにそれを一つにまとめるなら、一度に多くの時間と資金をかけなくても、完成したものをつくりあげることができるはずです。このように、全国的範囲で、マスゲームを高い水準で広く発展させる必要があると思います。

 マスゲームを広く発展させるためには、専門家をたくさん養成しなければなりません。専門家は、我が国のマスゲームを発展させるためばかりでなく、外国の人々を援助するためにも必要です。我が国を訪れる多くの外国人は、マスゲームを観覧してそれを高く評価し、専門家を自国に派遣してくれるよう要請しています。現在、我が国の多数のマスゲーム専門家が外国に派遣されていますが、それでも足りなくて派遣の要請がたえません。我々は体育教員を多数養成して、我が国のマスゲームの水準をさらに高める一方、外国にも多く派遣するようにしなければなりません。

 我が国のスポーツをいっそう発展させるためにつぎに重要なのは、スポーツ施設と器具を全人民的運動によって建設し、ととのえることです。

 我々はこれまでスポーツ施設の具備に大きな関心を払ってきましたが、まだ不備な点がかなりあります。道、市、郡の所在地に劇場や映画館などはすべて建設しましたが、体育館のないところはまだたくさんあります。現在、平壌市をはじめ、一部の都市にある体育館にしても、施設はそれほどよいものとはいえません。

 今後、道、市、郡の所在地と労働者区、学校に、大衆的運動で体育館を建設すべきです。特に、学校ごとにプールを建設し、サッカー、バレーボール、テニス、野球、卓球、バスケットボールができる場所をととのえ、そのほか板跳び、ブランコなどの民族スポーツと各種器械体操に必要な施設もそろえるべきです。

 こういったスポーツ施設と器具をそろえるには、資金もそれほどかかりません。問題は、幹部がスポーツに関心を払わず、それを発展させるために努力しないところにあります。これから道・市・郡人民委員会の関係者は、綿密な計画を立て、スポーツ施設を一つ一つそなえていくようにすべきです。

 スポーツマンは、高度のテクニックと強健な体力、崇高な集団主義精神をもって、我が国のスポーツを世界的レベルに引き上げるためねばり強く努力するだけでなく、生活においてつつましく美しい共産主義的道徳品性をそなえた、我が党の革命的なスポーツマンとなるべきです。

 そのためには、スポーツマンにたいする思想教育を強化して、古いブルジョア思想を一掃し、かれらを我が党の唯一思想で武装させなければなりません。

 資本主義社会ではスポーツが一つの娯楽となっており、スポーツマンは金で売り買いされています。そのため、ブルジョア社会のスポーツマンは、最後にはならずものか、あぶれものになるのがおちです。しかし、我が国の社会主義制度下において、スポーツマンの使命は全人民のスポーツ水準をいっそう高めることにあり、専門のスポーツマンとして我が国と人民の栄誉を全世界にとどろかせることにあります。ところがスポーツマンのなかには、ときとしてその重責と高い栄誉を自覚できず、労働党時代の革命的なスポーツマンにふさわしくない行動をとる人がいます。聞くところによれば、スポーツマンのなかには、いまなお友人に暴力をふるうようなことが根絶されていないそうです。こういったことは、我が国社会主義制度のもとではあるまじきことであり、スポーツマンの大きな恥であります。身体を丈夫に鍛えるのは、敵と戦い、自然を征服するためであって、けっしてろうぜきをはたらくためではありません。

 スポーツマンのあいだで、けんかをするようなことが二度とないようにしなければなりません。専門のスポーツマンはまた、度を越した飲酒をしないようにすべきです。酒を飲むと、修養の足りない人は乱暴をはたらくようになり、体が弱って運動も満足にできなくなります。

 スポーツマンはみな労働者階級化、革命化するため努力しなければなりません。労働者階級化、革命化、これは資本主義から社会主義・共産主義への過渡期における我々の重要な任務であります。

 我々は、幾人かだけが裕福に暮らす社会を建設するのではなく、すべての人が幸せに暮らせる共産主義社会を建設するためにたたかっています。共産主義社会を建設するためには、なんぴとであれ出身階級とはかかわりなく革命化、労働者階級化しなければなりません。特に、スポーツマンのなかにはさまざまな複雑な家族関係のなかで育った人が多いため、共産主義社会まで行くには、誰よりも積極的に革命化に取り組む必要があります。革命化において極めて重要なのは、我が党の革命思想で武装するための党政策学習を強化し、特に革命的組織生活に誠実に参加し、組織の規律を厳守することです。党員は党生活に、非党員は勤労者団体の組織生活に積極的に参加すべきです。そうして、すべてのスポーツマンが党性、労働者階級性、人民性をそなえた真の共産主義的スポーツマンとならなければなりません。

 私は、みなさんが高度の革命的熱意をもって、スポーツを大衆あげての運動に発展させることにより、我が党のスポーツ政策を立派に貫くものと確信します。

出展:「金日成著作集」24巻


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