金 日 成

アジア・アフリカ・ラテンアメリカ諸国人民の
偉大な反帝革命偉業は必勝不敗である
チェ・ゲバラ戦死1周年にあたってアジア・アフリカ・ラテンアメリカ人民連帯機構の
理論機関誌『トリコンチネンタル』第8号に発表した論文 
−1968年10月8日− 


 ラテンアメリカ人民が生んだ不屈の革命闘士であり、真の国際主義戦士であるエルネスト・チェ・ゲバラ同志が、ボリビアの戦場で壮烈な戦死を遂げてから、はや1年になろうとしている。朝鮮人民は、全世界の革命的な人民とともに、激しい敵愾心と深い哀悼の意をもってチェ・ゲバラ同志の死去1周年を迎えている。

 チェ・ゲバラは、はやくも青年時代から反帝反米闘争の旗を高くかかげて、人民の自由と解放をめざす正義のたたかいに身を投じ、被抑圧人民の革命偉業のために全生涯をささげた。

 中世の宗教的および政治的幻影によっておおい隠されていた搾取を、公然たる恥知らずの、直接的で残忍な搾取にかえ、人間の人格的価値を交換価値にかえた血なまぐさい近代資本主義の歴史が幕をあけてから、こんにちにいたるまでの久しい期間にわたって、世界の数多くの共産主義者と革命闘士が古く腐りはてたすべてのものを一掃し、全社会構造を革命的に再編成するために、呪うべき旧社会の上層部を吹き飛ばし、自由で幸福な新しい社会の楽園をきずくために、革命の嵐のなかで血を流し命をささげた。チェ・ゲバラは、この正義の戦いにその貴い命をささげ、光栄ある世界の革命烈士の一員となった。

 チェ・ゲバラは、戦いにおいて疲れを知らない不屈の革命家であり、偏狭な民族主義的感情から完全にぬけだした真の国際主義戦士であった。かれは、その一生をつうじて不屈の革命闘士、真の国際主義者としての立派な模範を示した。

 チェ・ゲバラは、フィデル・カストロ同志をはじめとするキューバの革命家とともに英雄的な武力闘争を展開し、アメリカ帝国主義とその手先バチスタ独裁政権を打ち倒し、キューバ革命の勝利をかちとるうえで大きな貢献をなした。1965年に、チェ・ゲバラは、燃えるような革命の熱意をいだいて勝利したキューバの地をあとに、いくたの難関と厳しい試練が待ちうけている新たな哨所へ闘争の舞台を移した。かれは、ラテンアメリカのいたるところで、アメリカ帝国主義とその手先に反対する武力闘争へ人民大衆を組織動員し、その先頭に立って死の最期の瞬間まで勇敢に戦った。

 チェ・ゲバラのこのような革命活動は、キューバ革命の勝利をいっそうかため、全般的なラテンアメリカ革命の発展を促すうえで大きく貢献した。

 キューバ革命の勝利は、ラテンアメリカに起きた社会主義革命の最初の勝利であり、ラテンアメリカにおける十月大革命の継続である。キューバ革命が勝利した結果、つい最近までアメリカ帝国主義の世襲的領地とみなされてきたラテンアメリカに、こんにちでは社会主義の赤旗が高くひるがえり、社会主義陣営が西半球にまでおしひろげられ、その威力は著しく強まった。こんにち、ラテンアメリカ革命の最先頭に立ってゆるぎなく前進しているキューバ共和国は、戦うラテンアメリカ人民の希望の灯台となっており、その闘争の前途に勝利の曙光をさし照らしている。キューバ革命の勝利は、西半球におけるアメリカ帝国主義者の植民地体制を根底からゆさぶり、全ラテンアメリカを革命の嵐のなかに巻きこみ、この地域の人民を独立と自由をめざす正義の戦いへと力強く励ましている。実にキューバ革命の勝利は、ラテンアメリカにおけるアメリカ帝国主義の植民地支配体制の崩壊の発端であり、長期間にわたってこの地域の人民を搾取し抑圧してきたアメリカ帝国主義にたいする厳しい審判であり、その滅亡の宣告であった。

 キューバ革命の勝利を強固にするのは、キューバ人民の生死存亡を決する重大問題であるばかりでなく、全般的なラテンアメリカ革命発展の命運を左右するかなめの問題である。

 革命は一つの国で輝かしい成果をおさめながら始まったとしても、かなりの苦しい陣痛期を経験するようになる。国際資本主義の包囲のなかでプロレタリアートが政権を握った国は、資本主義から社会主義への革命的移行の歴史的全期間にわたって、帝国主義の侵略と資本主義復活の危険を免れることはできない。くつがえされた搾取階級は、常に奪われたかつての地位を取り戻そうと企て、外国帝国主義者は武力侵攻と政治的・思想的瓦解を狙って陰謀策動をたえまなくつづける。

 アメリカ帝国主義者とラテンアメリカの反動層は、キューバ共和国の存在そのものを非常に憎みかつ恐れ、キューバ共和国を絞め殺そうと執拗かつ悪らつな策動をおこなっている。かれらはキューバ革命を抹殺することによって、西半球を徘徊している共産主義の「妖怪」を追い払い、ラテンアメリカで燎原の火のように燃えあがっている人民の解放闘争を阻もうと企んでいる。アメリカ帝国主義者は直接、自国の武力を動員してキューバを圧殺しとうと策する一方、かれらの支配と従属のもとにあるラテンアメリカの反動的な独裁政権をそそのかして、キューバに政治的・経済的圧力を加え、封じ込め政策によってキューバを窒息させようとしている。

 国際資本の包囲のなかで政権を握った人民が革命の最終的勝利をかちとるためには、その主体的力量をあらゆる面から強めるとともに、世界社会主義革命の他の部隊の力強い支援を受け、万国の労働者階級と全世界の被抑圧人民の広範な国際的協力を受けなければならない。いわば世界の大多数の国、少なくとも周辺の多くの国で連続的に革命が起こって、帝国主義の包囲を社会主義の包囲にかえるべきであり、社会主義国を包囲している帝国主義の障壁をうちこわしてプロレタリアート独裁の世界的体制への転換の道を切り開くべきであり、包囲された一国の社会主義要塞の孤立化を防ぎ、国際労働者階級と世界の被抑圧人民の戦闘的連帯の強力なきずなをつくりあげるべきである。ただこうなった時にのみ、帝国主義者の武力干渉と資本主義復活の企てから完全に免れることができ、社会主義の最終的勝利が保障されたといえるであろう。

 人民の解放闘争は、資本の力が国際的であると同じく、国際的な運動である。それぞれの国の革命運動は、民族的なものであると同時に、世界革命の一部分である。個々の国の人民の革命闘争は、互いに支持しあい、補充しあう関係にあり、世界革命という一つの流れに合流している。先に革命に勝利した国は、その経験と模範をもって、まだ勝利していない国の革命を援助し、自己の政治的、経済的、軍事的な力で世界人民の解放闘争を積極的に支援すべきであり、まだ革命が勝利していない国の人民は、さらに積極的に戦って帝国主義者の圧殺政策から勝利した他の国の革命を守り、自国の革命の勝利を早めるべきである。こうすることは、世界革命運動発展の法則であり、すでに人民の解放闘争の過程できずかれた立派な伝統である。

 キューバ革命は世界革命の有機的な一部分であり、特にラテンアメリカ革命の決定的な環である。キューバ革命を守り、その勝利をかため発展させることは、キューバ人民の義務であるばかりでなく、ラテンアメリカの被抑圧人民と世界のすべての革命的人民の国際主義的義務である。資本主義世界体制に最初の突破口を切り開いたロシアにおける十月革命の獲得物を守ることが、世界革命発展の命運を左右する重大な問題であったとすれば、ラテンアメリカにおけるアメリカ帝国主義の植民地体制に最初の突破口を切り開いたキューバ革命の獲得物を守ることは、ラテンアメリカ革命の命運を決する重大問題である。

 キューバ革命を守るためには、その周辺にあるラテンアメリカ諸国で革命運動を発展させることが極めて重要である。アメリカ帝国主義が足を踏み入れているラテンアメリカの多くの国で革命の炎が激しく燃えあがれば、アメリカ帝国主義の力はそれだけ分散し弱まり、力を集中してキューバを窒息させようとするアメリカ帝国主義者とその手先の策動は破綻を免れないであろう。さらにすすんで、ラテンアメリカの他のいくつかの国で革命が勝利すれば、キューバは帝国主義の四面包囲から脱し、キューバとラテンアメリカの革命には有利な局面が開かれ、世界革命はさらに促進されるであろう。

 革命が起こるためには、革命の主体的および客観的情勢がつくりだされなければならない。革命は、それぞれの国の客観的な革命情勢の具体的実情に即して展開されなければならない。しかしこれは、決して革命がひとりでに発展しうるとか、成熟しうるということを意味しない。革命は必ず、革命家の積極的で苦難にみちた闘争をつうじてのみ前進し、成熟する。革命が困難だからといって、ただ有利な情勢が到来するのを待ち、積極的な闘争をくりひろげないならば、革命勢力を成長させることはできない。革命勢力は闘争なしに自然発生的につくられるものではなく、困難にみちた闘争をつうじてのみ成長することができる。敵の弾圧から革命勢力を保存するとともに、積極的な戦いをつうじてそれをたえず蓄積し成長させ、革命の決定的な時期を迎える準備をととのえないならば、たとえ、客観的情勢が熟したとしても、革命の勝利をかちとることはできないであろう。犠牲を避けるという口実のもとに、革命から目をそむけることは事実上、人民に資本の終身奴隷になれということであり、残酷を搾取と抑圧、ひどい虐待とさげすみ、数々の苦痛と犠牲を永久に耐え忍べというにひとしい。一般に革命的転換期の急性の疼痛は、旧社会の腫瘍からくる慢性的な苦痛よりははるかに軽いものである。社会革命は、白昼にたんたんたる大道を歩むようにたやすくなし遂げられるものではなく、順風に帆をあげた船のように順調に進むものでもない。革命の途上には険しい茨の道と波瀾曲折もあり、一時的な失敗や部分的な犠牲もありうる。難関にうちかつことができず、犠牲を恐れて革命をためらうならば、それは革命家の態度ではない。

 各国の革命家の任務は、内外の情勢を正確に判断し、敵味方の力関係の正しい検討にもとづいて科学的で綿密な闘争方法を示し、平時には暗礁をよけてとおり、不必要な犠牲を避けながらも、積極的な闘争をくりひろげ、困難な革命の試練のなかで中核分子を育て、人民大衆をめざめさせて革命勢力を蓄積し、成長させ、革命的大事変を迎える万端の準備をととのえることである。こうして、ひとたび革命情勢が熟せば、時を移さず直ちに反動支配を粉砕する決定的な戦いに立ち上がらなければならない。

 革命闘争の形態と方法もやはり個々人の意志によって決定されるものではなく、それはあくまでも、その時の主体的および客観的情勢、そして、反動支配階級の反抗いかんによって決定されるのである。革命家は、あらゆる闘争形態に備えていなければならず、政治闘争と経済闘争、暴力闘争と非暴力闘争、合法闘争と非合法闘争など、さまざまの闘争形態と方法を正しく組み合わせて革命運動を着実に発展させていかなければならない。

 反革命的暴力は、すべての搾取階級にとって必須の支配手段である。人類の歴史は、いまだにいかなる支配階級もその支配権をやすやすと譲り渡したことがなく、また、いかなる反動階級も反革命的暴力を行使せずにおとなしく政権から引き下がったためしがないことを教えている。特に帝国主義者は、滅亡の日が近づけば近づくほど、その支配を維持しようとますます必死になって暴力手段にしがみつくのである。帝国主義者は、自国の人民を弾圧するだけでなく、他国を侵略し略奪する目的で軍事力を動員し、被抑圧民族のあらゆる革命的進出に血なまぐさい弾圧を加える。

 このような状況のもとで、被抑圧人民の解放闘争は、外国帝国主義者およびそれと結託した国内搾取階級の反動的独裁機構をくつがえす革命的暴力なしに勝利することはできない。暴力には暴力で立ち向かうべきであり、革命的武力で反革命的武力を打ち破らなければならない。

 こんにちラテンアメリカで激しく燃えあがっている革命の炎は、この地域の革命情勢がもたらした当然の結果である。

 ラテンアメリカの絶対多数の国は、アメリカ帝国主義の完全な支配と従属のもとにおかれている。ラテンアメリカの多くの国に親米独裁政権が樹立され、これらの国の経済はアメリカ独占資本の完全な従属経済となった。ラテンアメリカにたいするアメリカ帝国主義の侵略と略奪政策は、この地域の社会の発展を阻む基本的な足かせとなっており、この地域の人民をたえがたい不幸と苦痛のなかに陥れている。アメリカ帝国主義者とラテンアメリカの親米独裁政権は、軍隊と警察をはじめ、さまざまな暴圧機構を大々的に拡大して、人民のあらゆる革命的進出に最も残忍な弾圧を加えている。

 飢えと貧困にさいなまれ、抑圧され虐げられているラテンアメリカ人民が、圧制者に抗して手に武器をとり、勇敢に立ち上がって戦わずして、自由と解放をかちとることができないのは明らかである。

 チェ・ゲバラが、プロレタリア国際主義の旗、反帝反米闘争の旗のもとに、ラテンアメリカの革命家たちとともにキューバ革命を守り、この地域の被抑圧人民の解放の日を早めるために、手に武器をとって犠牲をかえりみず、ラテンアメリカの多くの国で積極的で英雄的な革命闘争をくりひろげたのは、極めて正当であり、また、立派なことである。全世界の革命的な人民は、ラテンアメリカの革命家たちとともに英雄的な武装闘争をくりひろげたチェ・ゲバラの勇敢な行動にたいし、深い共感を示している。チェ・ゲバラの輝かしい模範は、たんにラテンアメリカ人民の革命闘争ばかりでなく、アジア、アフリカ人民の解放闘争のかがみとなっており、かれらを英雄的偉勲へと奮起させている。

 チェ・ゲバラは、いまは亡き人となった。しかし、かれの流した血は、けっして無駄にはならないであろう。かれの名と、かれが積み上げた不滅の革命的業績は、人類解放の歴史にとこしえに書きとどめられ、その気高い革命精神は永久に生きつづけるであろう。アジア、アフリカ、ラテンアメリカの革命闘争の決戦場には、幾千幾万の第2のチェ・ゲバラがあらわれるであろうし、かれがなしえなかった革命偉業は、ラテンアメリカの革命家と世界の革命的な人民の闘争によって必ずやなし遂げられるであろう。

 こんにち、アジア、アフリカ、ラテンアメリカは、最も激しい反帝戦線となっている。帝国主義は、アジア・アフリカ・ラテンアメリカ諸国人民の強力な抗争にぶつかっており、最も大きな打撃を受けている。しかし、帝国主義はこれらの地域で自己のかつての地位を維持し、失った陣地を取り戻そうと必死にあがいている。

 アジア・アフリカ・ラテンアメリカ諸国人民の解放偉業は終わっていない。地球上に帝国主義が存在し、人民を抑圧し略奪するかぎり、人民はかたときも反帝闘争をやめるわけにはいかない。たたかいは、地球上からあらゆる形態の植民地主義を最終的に一掃するときまで、抑圧され虐げられたすべての民族が自己の独立国家を建設し、社会進歩と民族の繁栄をかちとる日までつづけられなければならない。

 帝国主義は駆逐されないかぎり、植民地従属国にたいする、その支配を決して放棄しないであろう。侵略と略奪は、帝国主義の本性である。侵略的でない帝国主義があるとすれば、それはもはや帝国主義ではない。帝国主義の侵略的本性は死滅するときまで変わらない。したがって、帝国主義にたいするいっさいの幻想を捨てさるべきであり、帝国主義に反対してあくまでたたかうべきである。ただ、帝国主義に反対する原則的立場を堅持し、断固たる反帝闘争を強化してのみ、被抑圧民族は自由と独立をかちとることができ、解放された人民は、帝国主義の侵略を阻止し、民族の独立を強固にし、国と民族の繁栄をもたらすことができる。

 アメリカ帝国主義は、現代の最も野蛮で最も凶悪な帝国主義であり、世界帝国主義の頭目である。アメリカ帝国主義によって自主権と領土を侵され、または、アメリカ帝国主義の侵略の脅威を受けている国は、アジアとラテンアメリカ諸国だけでなく、アフリカ諸国だけでもない。地球上にはアメリカ帝国主義の侵略の触手がのびていないところはなく、アメリカ帝国主義が足を踏み入れているところで、人民の血が流されていないところはない。アメリカ帝国主義者は、全世界を自己の従属下におこうとする変わらざる目的を追求している。ほかならぬこの目的を実現するために、アメリカ帝国主義は、社会主義諸国と新興独立諸国にたいする武力侵略と破壊活動をたえまなくおこない、アジア・アフリカ・ラテンアメリカ諸国人民の解放闘争に野蛮な弾圧を加えているのである。アメリカ帝国主義のこの侵略的野望を断固粉砕しなければならない。アメリカ帝国主義に反対する闘争をぬきにしては、世界の平和を守ることもできず、民族の解放と独立も、民主主義と社会主義の勝利もかちとれないことは明らかである。反米闘争は、世界のすべての人民の避けることのできなら共同の義務であり、第一義的な革命課題である。

 アメリカ帝国主義を成功裏に打ち破るためには、アメリカ帝国主義の世界戦略を徹底的に看破することが必要である。

 こんにち、世界侵略をめざすアメリカ帝国主義の基本戦略は、大きい国とはできるだけ関係を悪化させず対決を避けながら、小さくて分断されている革命的な社会主義諸国と新興独立諸国を武力で各個撃破し、思想的に軟弱で革命をおこなおうとせず、帝国主義との無原則な共存のみを唱えながら人民のあいだに帝国主義にたいする幻想をまきちらし、帝国主義と仲よく暮らすことを願っている国にたいしては、思想的・政治的攻勢を強めてこれらの国を内部から切り崩そうとすることである。

 アメリカ帝国主義者は、このような世界戦略にもとづいて軍備を大々的に拡張しており、社会主義諸国と進歩的な国を攻撃するための軍事基地と侵略的な軍事同盟をいっそう強化している。アメリカ帝国主義者は、全面戦争と核戦争を大々的に準備するとともに、ベトナムをはじめ、一連の地域で「局地戦争」と「特殊戦争」を露骨に強行する道に踏み入った。

 それとともに、アメリカ帝国主義者は、労働運動の隊列のなかで革命を恐れる卑怯者を買収して手先に利用しようと狂奔する一方、一部の国における「自由化」と「民主主義的発展」を助長するための新たな形態の冷戦にしがみついている。かれらは、「最恵国」待遇だの、「東西間の接触と交流」の拡大だのといいながら、それを手段にして反動的な思想と文化を浸透させ、人民を思想的に堕落させ、経済の発展を阻み、これらの国を内部から破壊しようと企てている。帝国主義者は、新興独立諸国を反帝戦線から一つ一つ切り離そうと破壊活動と転覆の陰謀を強行している。かれらは、むきだしの暴力に依拠するとともに、「援助」をえさに新興独立諸国に浸透し、これらの国の内政に干渉している。アメリカ帝国主義者は、右翼反動を糾合して、進歩的勢力に反対させ、一部の新興独立諸国を反革命の道へむかわせようとしている。

 いわばアメリカ帝国主義者は、片手にはオリーブの枝を、片方の手には弓矢をふりかざしながら、核恐喝と「平和的浸透」、弾圧と懐柔、欺瞞を組み合わせて、革命的な国は武力侵略によって一つ一つ攻めとり、思想的に軟弱な国は思想的・文化的侵略によって瓦解させようと企んでいる。

 全世界の人民は、アメリカ帝国主義のこのような陰謀策動にたいして最大の警戒心をもち、ありうる敵のさまざまな侵略に対処して万端の準備をととのえていなければならない。

 反帝反米闘争を力強く発展させるためには、帝国主義に反対するすべての地域、すべての国、すべての党派とすべての人、すべての勢力の戦闘的団結を最大限に強化することが重要である。

 アジア・アフリカ・ラテンアメリカ諸国人民は、共通の念願と志向をもっているために、その革命闘争は密接な結びつきのなかで進められている。ラテンアメリカが、帝国主義のくびきのもとで苦しめば、アジアとアフリカの人民がやすらかでありうるはずはなく、アジアとアフリカ地域でアメリカ帝国主義が滅べば、ラテンアメリカ諸国人民の民族解放運動にも有利な局面が切り開かれるであろう。アジア・アフリカ・ラテンアメリカ諸国人民の戦闘的団結と緊密な連帯は、反帝反米革命勢力を数倍、数十倍に強め、帝国主義者の侵略と国際反動の連合戦線を成功裏に打ち破る不敗の力となるであろう。したがって、アメリカ帝国主義が居座っているすべての地域の人民が力を合わせ、かれらに強力な打撃を与えなければならない。

 アジア、アフリカ、ラテンアメリカには、社会主義国もあり、中立国もあり、大きい国もあれば、小さい国もある。帝国主義者のかいらい政権や追随諸国を除いては、これらすべての国は反帝反米勢力となる。これらの地域の国の人民は、国家・社会・政治制度や政見、信教の相違にもかかわらず、ひとしく帝国主義者と植民地主義者に抑圧され搾取されてきた被抑圧民族であり、帝国主義と新旧植民地主義に反対し、民族の独立と繁栄をかちとるという共通の目的と志向をもっている。国家・社会・政治制度や政見と信教の相違は、アメリカ帝国主義に反対する闘争をともに進めるうえで、けっして障害とはならない。各国は共通の敵を打ち破り、共通の目的を達成するために反帝統一戦線を結成し、反米共同行動をとらなければならない。

 もちろん、帝国主義に反対する人々のなかには、いろいろな部類の人がいるであろう。ある人は帝国主義に反対して積極的に立ち上がるであろうし、ある人は反帝闘争で動揺することもあり、また、ある人は自国人民と世界人民の圧力におされてやむなく反帝闘争に合流することもありうる。しかし、その動機はどうであれ、帝国主義の手先を除いては、これらすべての勢力を反米共同闘争に引き入れることが必要である。たとえ、不徹底で強固でない勢力であっても、より多くの勢力を反米共同闘争に引き入れ、アメリカ帝国主義を最大限に孤立させ、これに共同で打撃を加えるとすれば、それはよいことでこそあれ、決して悪いことではない。反帝闘争を避ける人は反帝闘争に立ち上がらせ、反帝闘争に消極的な人は積極的に立ち上がるようにしなければならない。反米統一戦線を分裂させたり、反米共同行動を拒むことは、反帝反米闘争を弱める重大な結果をまねくだけである。

 アメリカ帝国主義を打ち負かすためには、大国、小国を問わず、すべての国がアメリカ帝国主義に打撃を加えなければならない。ここで、特に、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの小さい国々が、大国に依存しようとする事大主義を捨て、反米闘争に積極的に立ち上がることが重要である。大国が戦わなければアメリカ帝国主義を打ち倒すことができないかのように考えるのは誤りである。もちろん、大きい国が小さい国とともにアメリカ帝国主義に反対して戦うならば、それはいっそうよいことである。したがって、小さい国は大きい国と団結するために努力しなければならない。しかし、大国でなければアメリカ帝国主義と戦って勝てないというのでは決してない。大国にたいする依存心をもって腕をこまぬいていては革命はできず、他人が革命を肩代わりしてくれるわけにいかないのはあまりにも自明なことである。小さい国も主体性を確立し、人民大衆を団結させて犠牲を恐れず勇敢に立ち上がって戦うならば、強大な敵にうちかつことができる。これは、実生活によって実証された我々の時代の極めて明白な真理である。朝鮮戦争の経験が、この真理を証明しており、キューバ革命の勝利とベトナム人民の英雄的な反米救国抗戦がまた、この真理を立派に証明している。

 さらに、小さい国でも帝国主義に反対して多くの国が力を合わせて戦うならば、いかに強大な敵をも人民は決定的に優勢な力で、十分打ち破ることができる。革命途上国の人民が力を合わせて、アメリカ帝国主義が侵略の触手をのばしているすべての地域で、その左腕と右腕をもぎとり、左足と右足をひきさき、最後には首を切り落とさなければならない。いまでこそアメリカ帝国主義者は虚勢をはっているが、世界の革命的な人民がおどりかかって手足や首を切り取れば、アメリカ帝国主義は力つき、ついには滅びさるであろう。我々は小さい国を各個撃破しようとするアメリカ帝国主義の戦略にたいして、小さい国がこぞってアメリカ帝国主義の手足と首を切り取ることでこたえなければならない。こうすることが、アメリカ帝国主義にうちかつための小さい国の闘争戦略であるといえる。

 朝鮮人民は、アメリカ帝国主義の南朝鮮占領に反対し、国の統一をめざして20年以上もたたかっている。朝鮮革命は、国際革命運動の一部分であり、朝鮮人民の革命闘争は平和と民主主義、民族独立と社会主義をめざす全世界人民の共同闘争のなかで発展している。朝鮮人民は、自己の民族解放偉業を完成するためにたたかうと同時に、国際革命運動の全般的発展を促進するためにあらゆる努力を払っている。朝鮮人民は、アメリカ帝国主義に反対するすべての勢力と団結し、アメリカ帝国主義に反対するすべての国の人民のたたかいを一貫して支持している。我々は、これを朝鮮革命の勝利の重要な要因とみなしている。

 帝国主義は、その時代を生きつくした死滅しつつある勢力であり、人民の解放闘争は人類の進歩をめざす新しい勢力である。人民の解放闘争の途上には、いくたの困難と障害が横たわっており、さまざまな曲折がありうるが、帝国主義が滅亡し人民の解放闘争が勝利するのは、おしとどめることのできない歴史発展の法則である。アメリカをかしらとする帝国主義者は、高まりつつある人民の解放闘争を阻もうと狂奔しているが、それは滅びゆく者の最後のあがきにすぎない。アメリカ帝国主義者があがけばあがくほど、かれらの境遇はますます困難になっている。アメリカ帝国主義は下り坂を転げおちており、西山落日の運命に直面している。人民の解放闘争によって、アメリカ帝国主義者はアジア、アフリカ、ラテンアメリカから必ず追い出されるであろう。アジア・アフリカ・ラテンアメリカ諸国人民の偉大な反帝革命偉業は必勝不敗である。              

 出典:『金日成著作集』23巻


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