金 日 成

朝鮮人民軍創建20周年を迎えて
 英雄的朝鮮人民軍創建20周年祝賀宴でおこなった演説
−1968年2月8日− 


 親愛な同志のみなさん!

 親しい外国の友人のみなさん!

 きょう、我々は大きな革命的自負と高い民族的誇りをいだいて、我が党と人民の栄えある革命的武力である朝鮮人民軍の創建20周年を祝っています。

 この意義深い歴史的祝日にあたって、私は、朝鮮労働党中央委員会と共和国政府の名で、我々の英雄的人民軍の陸海空軍および警備隊の全将兵に熱烈な祝賀のあいさつを送ります。

 私はまた、人民の自由と解放のため、祖国の独立と革命の獲得物を守るため、貴い生命と美しい青春をささげた抗日革命烈士と人民軍の英雄戦士たちに最大の栄光をささげ、その遺族に崇高な敬意を表します。

 同時に、アメリカ帝国主義者とその手先の武力侵攻に反対する祖国解放戦争で血を流して勇敢に戦い、こんにちも、ひきつづき社会主義建設の各分野で革命の美しい花を咲かせている、すべての戦傷栄誉軍人に熱烈な祝賀と感謝をささげます。

 さらに、経済建設と国防建設を並進させるという党代表者会議の決定と党の軍事路線に忠実にのっとって、国防力を強化し、人民軍を肉親のようにこのうえもなく愛し、援護している労働者、農民をはじめ、全人民に深い感謝の意を表します。

 同志と友人のみなさん!

 人民軍を創建したのが昨日のことのように思い出されますが、すでに20年の歳月が流れました。この20年間、人民軍は、我が党の指導のもとに、栄光にみちた勝利の道を力強く歩んできました。20年というのは、朝鮮人民の革命史にてらしてみればそれほど長い歳月ではありません。しかしこの期間に、人民軍は多くの試練をなめ、血も多く流し、党の示す革命の道に従って力強くたたかってきました。

 人民軍は、その英雄的で犠牲的な闘争によって、祖国と人民にたいして負った革命の任務を誇らしく遂行し、子々孫々に末永く輝く我が党の革命史にさん然たる業績をとどめました。

 人民軍は、平和的建設の時期に、共和国北半部の革命的民主基地と新しい祖国の建設に立ち上がった人民の創造的労働を、内外の敵の侵略策動と破壊・謀略策動からゆるぎなく守りました。党の指導のもとに、人民軍将兵は、祖国解放戦争で集団的英雄主義と無比の愛国的献身性を発揮して勇敢に戦い、世界「最強」を誇ったアメリカ帝国主義侵略者を撃破して、祖国の独立と革命の獲得物を誇り高く守りとうしました。戦争の烈火のなかで鍛えられた人民軍勇士は、戦後、敵のたび重なる侵略策動をそのつど粉砕して祖国の防衛線を鉄壁のように守り、社会主義革命と社会主義建設をめざす我が党と人民の革命偉業を武力をもってゆるぎなく守ってきました。

 党の指導のもとに、朝鮮人民のかちとった偉大な革命の獲得物である社会主義制度と自立的民族経済の土台には、人民の自由と幸福と祖国のかぎりない繁栄のために英雄的に戦った人民軍将兵の赤い血潮がにじんでおり、かれらの崇高な愛国主義精神がこもっています。

 人民軍は、党と革命にたいするかぎりない忠実さと、祖国と人民にたいする献身的な服務によって、全人民から深く愛され、つきない尊敬を受けています。

 10年たてば山河も変わるといいますが、20年たったいまでは、人民軍の姿も見違えるほど変わりました。この20年間、我が国で起こった激しい革命の嵐のなかで、くつがえされた搾取階級の反抗を鎮圧する熾烈な階級闘争の試練のなかで、外国帝国主義侵略者を撃退する苛烈な戦争の砲火のなかで、人民軍は、政治的、思想的に、軍事技術的にいっそう洗練され、鍛えられ、豊富な経験をつんだ強力な革命の武力に成長しました。

 いま、人民軍将兵の精神状態は、極めて立派であります。軍隊内には党の唯一思想体系がゆるぎなく確立されており、すべての軍人が、党と革命を命を賭して守ろうという一致した決意にみちあふれています。将兵間の同志的友愛と自発的規律、人民との血のつながり、これらの美しく気高い気風が人民軍の全隊伍を支配しています。まさにこのことが、いかなる帝国主義侵略軍にも見ることのできない、我が人民軍の特性であります。人民軍は、このような政治的・道徳的優位性をもっているがゆえに、戦いで屈することを知らず、技術や数量のうえではるかに優勢な侵略軍をも十分に撃破することができるのであります。

 人民軍の軍事技術装備は全般的に改善され、指揮官の能力がはるかに高まり、その戦闘力はいちだんと強化されました。

 人民軍は最新兵器で装備され、すべての将兵が近代的軍事科学と軍事技術を修得しています。特に、我が革命武力は、朝鮮の共産主義者が祖国の自由と独立のために手に武器をとって抗日武装闘争をはじめたときから、こんにちにいたるまでの長い期間にわたって、日本帝国主義の朝鮮駐屯軍および関東軍をうち負かし、世界反動の元凶であるアメリカ帝国主義の侵略軍隊もうちやぶり、遊撃戦も、現代戦も戦った豊富な経験をもっています。これは、我が人民軍がいかなる状況のもとで、どのような帝国主義侵略軍と戦っても十分に勝利できる、巧みで洗練された用兵術と戦闘力をもった革命の軍隊に成長したことを示しています。

 人民軍の質的構成も根本的に変わりました。

 こんにち、我々を特に喜ばせているのは、人民軍の中核をなす革命的根幹が数多く成長したことであります。人民軍が創建された当時には、厳しい革命の試練のなかで鍛えられた革命的根幹が数千人にすぎなかったとすれば、20年をへたこんにち、人民軍内には抗日武装闘争に直接参加した古参の革命闘士とともに、祖国解放戦争の烈火のなかで鍛えられた革命的根幹が数万人に増えました。我が人民軍は、すべての軍種と兵種にわたって、すぐれた軍事・政治幹部でしっかりとかためられています。これは、この20年間、人民武力の建設でおさめた我々の最も大きな成果であります。人民軍の革命的根幹は、なにものともかえがたい我が党の貴重な中核であり、朝鮮革命の勝利を促進するための極めて大切な基盤であります。

 人民軍の革命的根幹が数多く成長するとともに、全般的な隊列の構成においても質的な変化がもたらされました。こんにち、人民軍の隊列は、労働者、農民、インテリなど勤労人民のすぐれた息子や娘たちで民主主義革命と社会主義革命のための闘争と社会主義建設の革命的大高揚のなかで成長し、共産主義的に教育された新しい世代によってかためられており、またたえず補充されています。人民軍将兵は誰もが、我が党の正しい教育政策によって中等および技術教育や高等教育を受けた高い技術・文化水準の所有者であります。ここにまた、我が人民軍の軍人が、最新軍事科学・技術で武装し、いかに複雑な近代兵器や戦闘技術機材をも巧みに使いこなすことのできる、一当百の幹部軍隊に急速に成長しうる重要な裏付けがあります。

 我々は、人民軍の革命酌根幹がこのように大々的に増え、革命の隊伍が質的に強化されたことを大きな自負をもって誇ることができます。

 栄えある抗日武装闘争の輝かしい革命伝統を継承し、祖国解放戦争の豊富な戦闘経験をもっており、党の唯一思想体系でかたく武装し、近代的軍事科学・技術と最新軍事技術機材でしっかりと装備された正規の武力として成長した朝鮮人民軍は必勝不敗であります。

 我々は、人民軍をあらゆる面から強化すると同時に、全人民を武装させ、全国土を要塞化する大事業を遂行することによって、ゆるぎない自衛態勢をととのえています。特に、豊かな戦闘経験と軍事技術を身につけた数多くの除隊軍人が全国のいたるところで、都市や農村、工場、企業所や協同農場で社会主義建設を成功裏に進めながら祖国防衛の事業で中核的な役割を果たしているため、我が国の全人民的、全国家的防衛体制の威力はいっそうしっかりと裏付けられています。我々は、共和国北半部に、いかなる帝国主義の侵略にも十分に対処できる、鉄壁の防衛力がきずきあげられたことを確言することができます。

 同志のみなさん!

 我々は、これまでの成果に決して満足することはできません。我々には、なし遂げたことよりも、これからなすべきことのほうが多いのです。

 我々は、まだ革命を完遂していません。不倶戴天の敵アメリカ帝国主義はいまなお生きており、日本軍国主義も復活しています。アメリカ帝国主義の占領している南朝鮮には、地主や資本家と米日両国の手先である反動官僚集団がそのまま巣くつています。敵がいるかぎり、我々は革命をつづけなければならず、革命の武力をさらに強化しなければなりません。

 こんにち、我が国とアジアの全般的情勢は極めて緊張しています。
 アメリカ帝国主義者は、ベトナム侵略戦争での惨敗を挽回しようと狂奔しており、戦争をアジアの全地域に拡大しようとしています。

 朝鮮におけるアメリカ帝国主義者の新たな戦争挑発策動は、すでに重大な段階に達しています。

 特に最近、アメリカ帝国主義者と朴正煕一味は、武装情報収集艦プエブロ号のだ捕事件と関連して、狂気じみた戦争騒ぎをくりひろげています。かれらは、南朝鮮と我が国の東海岸一帯におびただしい侵略武力を引き入れて戦争態勢をととのえており、共和国北半部を侵攻すると公然と騒ぎたてています。

 武装情報収集艦プエブロ号の我が国領海侵犯についていうならば、それは、白昼強盗さながらの海賊行為であり、主権国家にたいする乱暴な侵害であり、朝鮮で新たな戦争を引き起こそうとするアメリカ帝国主義者の計画的な策動の一環であります。

 もし、アメリカ帝国主義者がひきつづき武力を動員し、威嚇する方法でこの問題を解決しようとするならば、かれらがそこから得るものはなにもないでしょう。あるとすれば、それはただ屍と死だけでありましよう。

 我々は、戦争を望まないが、決して戦争を恐れはしません。朝鮮人民と人民軍は、アメリカ帝国主義者の「報復」には報復で、全面戦争には全面戦争でこたえるでありましょう。アメリカ帝国主義者が我々の警告にもかかわらず、情勢を激化させてあくまで戦争の道へ進むならば、今度こそかれらは、より大きな惨敗をこうむるであろうことを、十分に覚悟すべきでしょう。

 最近のすべての事態は、アメリカ帝国主義によって、我が国でいつ戦争が再発するかわからないことを示しています。

 すべての人民軍将兵と労農赤衛隊員および全人民は、アメリカ帝国主義者の侵略策動とありうる戦争挑発に対処して、革命的警戒心をさらに高め、常に動員態勢を保って各自の持ち場をかたく守らなければなりません。すべての部門、すべての単位で国の軍事力をさらに強化し、侵略者がみだりに攻めかかるならば、一撃のもとに粉砕できるよう、万端の戦闘準備をととのえなければなりません。

 我々は、党代表者会議と共和国政府の十大政綱に示された方針に従って、経済建設と国防建設を並進させ、全軍の幹部化と全軍の現代化、全人民の武装化と全国土の要塞化の方針を貫徹しなければなりません。

 我々は、人民軍を政治的、思想的にしっかり武装し、軍事技術的により強く鍛えられた一当百の革命の軍隊につくりあげなければなりません。

 軍人を政治的、思想的に武装させるのは、かれらを党と革命に忠実な共産主義闘士として育て、我が軍隊の威力を強化する基本的な裏付けであります。軍人にたいする政治・思想活動を強化し、かれらを我が党の唯一思想で、社会主義的愛国主義思想と不屈の革命精神で武装させなければなりません。

 人民軍部隊では、戦闘訓棟をいっそう精力的に展開して、すべての軍人が近代的軍事科学と軍事技術を十分身につけ、最新兵器と戦闘技術機材の使用に熟達するようにしなければなりません。我々は、現代戦の要求に即して人民軍を近代的兵器と戦闘技術機材でしっかり武装させ、我が国の実情に合う軍事科学・技術を広く発展させなければなりません。

 国防は、全党的、全国家的、全人民的な事業であります。人民軍とともに、すべての人、すべての機関や企業所、全国のすべての地域が、国防力の強化に力をそそがなければなりません。すべての労農赤衛隊員と全人民が、武装し、軍事を誠実に学び、戦争の経験をたゆみなく研究すべきであります。これと同時に、前線と後方とを問わず、全国各地に防衛施設を堅固に築くことによって、全国土を難攻不落の要塞に変えなければなりません。

 人民軍の援護に、全党的、全人民的関心を払わなければなりません。すべての部門で人民軍を支援し、全人民が、人民軍将兵を兄弟のように愛し、誠心誠意援助することによって、かれらが各自に負わされた軍事的任務をさらに立派に遂行するようにしなければなりません。

 アメリカ帝国主義者はあがいているが、こんにちの全般的情勢は朝鮮人民の革命偉業に依然として有利であります。アメリカ帝国主義者の激化する侵略策動は、かれらの強大さを示すものではなく、反対に、かれらの立場がますます困難になっていることを示すものです。アメリカ帝国主義は、すでに下り坂にさしかかっています。他方、アジア、アフリカ、ラテンアメリカで、世界のいたるところで、アメリカ帝国主義に反対する人民の闘争隊列はますます拡大しています。アメリカ帝国主義者はいかなる策動によっても、もりあがる人民の革命闘争をおしとどめることはできないし、かれらは必ず滅亡するでありましょう。

 朝鮮人民軍と朝鮮人民は、アメリカ帝国主義者とその手先の侵略策動に反対してひきつづき力強い闘争をくりひろげるとともに、敵の戦争挑発陰謀を阻止、破綻させて朝鮮における平和を守るであろうし、祖国統一の歴史的偉業を必ず達成するでありましょう。我が党に指導される朝鮮人民軍と朝鮮人民の正義の偉業は必勝不敗であります。

 我々は、人民軍将兵が、これまでと同じく今後も、我が党と共和国政府のまわりにかたく団結して、我々の革命偉業を武力をもってしっかりと裏打ちし、党と人民のあつい信頼と期待に立派にこたえるものと確信します。

 私は、朝鮮人民軍創建20周年にあたって、我が党の革命的武力である人民軍のたえまない強化と発展のために、我々の革命武力の建設に大いに貢献した抗日闘士をはじめ、人民軍内の革命的中核と根幹の健康のために、人民軍と警備隊の全将兵の健康と軍事・戦闘任務の遂行でのいっそう大きな成果のために、片手には銃を、片手には鎌とバンマーを持って、経済建設と国防建設のすべての分野で大きな成果をおさめている労農赤衛隊員の健康のために、それに全人民と幹部たちの健康のために、また、我々の祝日を祝って、この席に列した各国の外交代表および武官の健康と社会主義諸国の戦闘的団結のために、乾杯することを提起します。

出典:『金日成著作集』22巻 


ページのトップ


inserted by FC2 system