金 日 成

農民を革命化し、農業部門において
党、代表者会議の決定を貫徹するために
全国農業活動家大会でおこなった演説 
1967年2月2日

 このたびの会議に先立って、皆さんは一週間も講習を受け、また会議で技術問題に関して多くの討議がなされたので、きょう私は、この点については多くを話さず、いくつかの他の問題についてのみ強調したいと思います。

  1 農民を革命化し、労働者階級化するために

 現在、農村活動で最も重要な問題の一つは、すべての農業部門の活動家と農場員を革命化し労働者階級化することであります。農業部門の活動家と農場員を革命化し労働者階級化するためには、農村において何よりもまず思想革命をすすめなければなりませんが、わが党は、既に社会主義農村問題に関するテーゼで、この問題を重要な革命課題としてうちだしました。

 ところがこんにち、農村において思想革命は十分には遂行されていません。テーゼが提起した農村の技術革命と文化革命はかなり進展していますが、思想革命は極めて立ち後れています。少なからぬ農民は、自分の食べる分だけ働けばよいと考え、国の利益はどうなろうと自分の得になることだけを望みます。少なからぬ農民には、自分の個人生活にだけ没頭し、集団と共同経営の発展についてはそれほど関心を示さない傾向が多く、また、一部の農業部門の活動家には、農民の物質的関心を引く一面にかたよる傾向があります。社会主義の段階では、物質的刺激と政治的・道徳的刺激を正しく組み合わせなければなりません。もし、物質的刺激の一面にかたよるならば、人々に悪い影響を与えるようになるでしょう。このような方向に進むならば、農民のあいだに利己主義思想が育ち、しだいに集団生活を嫌う危険な現象があらわれかねません。

 皆さんの発言を聞いてみても、経済・技術問題については多くふれていますが、農民の革命化については誰も言及していません。これは明らかに、皆さんが思想革命をおろそかにしていることを示しています。もちろん、農業を科学的、技術的におこなうことは、こんにち、農業部門の指導的幹部と管理幹部に提起されている重要な課題です。このたびの大会で我々は、皆さんが技術革命を遂行せず、依然として農業を経験主義的に営んでいることについて多くの批判を加え、大会に先立って技術講習もおこないました。これはもちろん必要なことです。しかし、今度の大会は、決して技術討論会や何らかの技術問題を解決するための協議会となってはならず、まして、皆さんは絶対に経済主義や技術至上主義に陥ってはなりません。それゆえ、きょう私が皆さんにまず第一に強調したいのは、農民を革命化する問題に多くの注意を払うということであります。

 もともと、人間の意識は、社会生活の物質的諸条件の変化に比べておくれがちなものです。それゆえ、我々がもし、農村で思想革命を積極的におこなわないならば、農民を革命化し労働者階級化する活動は極めて緩慢になり、農民を労働者階級の革命思想でしっかりと武装した共産主義的勤労者に改造するのは難しいでしょう。

 わが国の農村では、既に久しい以前に社会主義的協同化が完成され、土地や他の生産手段がすべて共同所有となり、すべての農民が共同経営で集団的に働いています。また、国家が多くの投資をして農村の水利化をおこない、トラクターやトラック、肥料や揚水機など技術革命に必要なものを生産し、安い価格で供給しており、住宅を建てて無料で提供し、すべての農村の里に診療所を設けて無料治療を実施し、学校では学生を無料で教育しています。このようなことは、わが国農村の制度が極めて発展した社会主義制度であることを物語っています。なかでも、すべての人を無料で治療することや学生を無料で教育することなどは、事実上、共産主義の萌芽だとみることができます。

 このように、農村において制度ははるかに先へ進んでいるが、農民の思想・意識水準はまだこれに追いついていません。農民の意識には、利己主義と小ブルジョア思想、集団主義に反する古い思想が根強く残っています。協同農場で牛を各農家に分けて飼わせると手塩にかけて育てますが、共同畜舎で飼うと、どうしていい加減に飼うのでしょうか。どうして農民は、自家米はよいものを選んで残しておきながら、国に売る穀物はよくないものを、それも、できるだけ少なく出そうとするのでしょうか。我々は、これらの1、2の事実をもっても、農民が小ブルジョア思想の影響からぬけだすのは、まだまだ先のことだということがわかります。これは、農民に対する我々の思想活動が不十分であり、農村の思想革命が技術革命と文化革命の発展についていけないでいることを示しています。

 だからといって、皆さんが帰ってから、牛を家ごとに分けて飼うのをすぐに止めよというのでは、もちろんありません。まだ農民の思想・意識水準が高くないだけに、協同農場では彼らの水準に応じて牛その他の生産手段を管理させることが必要です。

 現在、わが国の協同農場員の構成をみると、本来の雇農、言いかえると農村の無産階級は多くありません。我々が解放直後に土地改革をおこなったときも、かつてわが国に富農経営が発展しなかったために、雇農は多くなく、貧農が農村住民の絶対多数をしめていました。貧農は完全な労働者階級ではありません。貧農は、半ば労働者階級であり、半ば小ブルジョアジーであります。なぜなら、貧農は、一方では賃労働もおこなうが、牛や農具、それに自分の土地もいくらかはもっているからです。それゆえ、貧農は文字どおり、半労働者階級、言いかえれば半プロレタリアートであって、完全な労働者階級だとは言えません。中農について言えば、彼らは、既に完全を小資産階級、つまり小ブルジョアジーであります。わが国の農民が、主として半ば労働者階級、半ば小資産階級の貧農と、完全な小ブルジョアジーである中農によって構成されているだけに、彼らの意識に小所有者的根性、利己主義思想が強いのは言うまでもありません。

 貧農が農村で圧倒的多数をしめる被搾取大衆として、労働者階級とともに、わが国の民主主義革命と社会主義革命で、革命の主な原動力となったことは事実であります。我々は、貧農と雇農にしっかりと依拠し、そして、中農と同盟して土地改革を実施し、その後、農業協同化を実現しました。もちろん、農業協同化をつうじて農民の所有であった土地、農具をはじめ、生産手段は共同所有となり、すべての農民が社会主義的協同経営に入りました。こうした面からみれば、農民はたしかに社会主義的農業勤労者となり、労働者階級にいっそう接近したということができます。しかし、農業協同化が実現したからといって、きのうまでの貧農や中農が完全に労働者階級化されたかと言えば、決してそうではありません。いまだに、協同農場員は、労働条件や所有関係において労働者階級とは一定の差をもっており、特に、思想の面で労働者階級に比べてはるかに後れています。だからこそ、現在、我々は、農民の革命化、労働者階級化を農村における最も重要な革命課題としてかかげているのです。

 労働者階級は、革命性と組織性が強く、国家と人民のために奉仕しようとする思想が極めて強いのであります。彼らには、国はどうなろうと自分だけよい暮らしをしようという利己主義思想は少ないと言えます。労働者階級は、全人民の福祉のために働き、自分の生産したすべてのものを社会にささげています。このようにすることが、彼ら自身の利益にもなるのは言うまでもないことです。しかし、協同農民の思想がこのような水準に達するのは、まだかなり先のことであります。農民には、集団と全体のために、国家と人民のために働こうという考えが足りません。

 社会主義社会で労働者と農民は、ともに社会主義的勤労者であり、彼らの利害関係は根本的に一致します。ただ分業によって、労働者は工業生産を担当し、農民は農業生産を担当しているだけであります。労働者には機械を作り、肥料を生産し、織物を織って農民に供給する責任があり、農民には米をはじめ、農産物を生産し、食糧または工業原料として労働者に供給すべき責任があります。農民は労働者から安い価格で農業機械や肥料、織物などを受け取っているのだから、当然、米をはじめ、肉類、野菜、食用油などをいっそう多く生産して労働者、事務員に供給するため懸命に努力しなければなりません。そうしてこそ、協同農民は、社会主義社会で農業生産を担当する勤労者としての責任と義務を果たしたと言えるでしょう。

 農民をこのような思想で教育してこそ、彼らを革命化、労働者階級化への道に導き、集団と全体のために働く共産主義思想で武装させることができます。

 農民を革命化し労働者階級化するというのは、結局、労働者と農民の差をなくすことを意味します。労働者と農民の差を完全になくすためには、技術を発展させて工業労働と農業労働の差をなくし、協同的所有を強化発展させて、しだいに全人民的所有に変えるとともに、農民の立ち後れた思想を労働者階級の先進的な思想に改造しなければなりません。わが党は労働者と農民の差をなくすためにたゆみなく努力していますが、一部の農民は、それをそのままにしておこうと固執しています。これは、農民が、自分自身の完全な解放の道、言いかえれば、骨の折れる労働と古い思想の束縛から解放される道を、みずからふさいでいることにほかなりません。

 労働者と農民の差をなくすには、農民に労働者と同様の労働条件を保障し、彼らが仕事を楽にしながらも生産を高められるようにすることが、極めて重要であります。それゆえ、わが党は既にテーゼで、技術革命を積極的におし進め、農業の水利化、機械化、電化、化学化を実現して、農民の労働を楽にし、ひいては工業労働と農業労働の差をしだいになくしていく課題をうちだし、これに大きな力をそそいできました。事実、我々がテーゼの方針に従って、農村の技術革命をおし進めるならば、この課題は十分実現することができます。

 我々が化学化を立派におこなって、窒素、カリ、リンなど合わせて化学肥料を1ヘクタール当たり1トンずつ施す水準に達し、これに微量要素肥料を組み合わせるならば、そのときには、わが国の農業を高度に集約化することができます。そして、除草剤をまき、田畑の草をなくすならば、農民の草取りの手間もはぶけるようになるでしょう。いまなお、わが国の科学者はこれらの問題を十分研究しておらず、農業の化学化を実現していないため、農民は骨を折って仕事を多くしながらも、生産を高めることができないのです。我々がこの問題を解決するようになれば、200万ヘクタールの土地を全部耕作しなくても、機械化の可能な130万ヘクタールの農地だけで、水田では1ヘクタール当たり4.5~5トン、畑では3~4トンの収穫をあげることができるはずであり、穀物を食糧としてふんだんに消費しても、なお十分な備蓄が可能となるでしょう。そして、残りの土地には牧草を植えて畜産業を発展させるならば、肉類も大量に生産して、何一つうらやむことのない豊かな暮らしをすることができます。これは空想ではなく、十分実現可能なことです。農業発展の世界的趨勢もこうした方向に進んでいます。まさに、このような遠大な構想を実現するために、わが党は農村の技術革命に大きな力をそそいでいるのです。

 ところが、農民のあいだに残っている利己主義思想、集団生活を嫌い共同財産を自分のもののように愛護せず、家もよく手入れせず、水路や肥料、農業機械もよく管理しない古い思想が技術革命を妨げています。技術革命を全面的に展開するためには、これに必ず思想革命が裏打ちされなければなりません。農村で思想革命を積極的に進め、農民の意識に残っている小ブルジョア思想を徹底的になくさないことには、技術革命をおこなうことができず、社会主義協同経営制度を強化することもできません。

 もちろん、農村における技術の発展と生産の増大、農民の物質的・文化的生活水準の向上に伴って、農民の思想・意識水準も向上するのは疑いありません。しかし、農民を革命化する粘り強い闘争なしに、その思想がひとりでに改造されるものと考えるならば、それは間違いです。会議の途中でも話したように、穀物を1戸当たり5トン以上分配し、現金を700~800ウォンずつ分配する協同農場は、その物質的土台や農場員の生活面では、非常に高い水準にあると言えます。物質的条件の点からみれば、このような農場では社会主義が完全に勝利したと言うことができます。しかし、こうした協同農場の農民の思想も、完全に労働者階級の思想に改造されてはいないでしょう。

 農民を革命化し、労働者階級の思想で徹底的に武装した、真の共産主義的勤労者につくりあげるのは、農村での社会制度の改造や技術の発展よりも、はるかに複雑で困難な仕事であります。農民に残っている利己主義や小ブルジョア的根性は、極めて根強いものであるだけに、その思想改造は長期にわたってたゆみなく、精力的に進めなければなりません。

 我々は、農村で思想活動を強化して農民の階級的自覚を高め、彼らを国家と人民に奉仕する精神で教育し、利己主義を排撃して集団主義の精神をつちかい、労働者階級の革命性と組織性を身につけさせるために粘り強く闘わなければなりません。こうして、すべての農民に「一人はみんなのために、みんなは一人のために」働く共産主義的を生活気風を身につけさせなければなりません。

  2 農村で経済建設と国防建設を並進させる党の方針を徹底的に貫くために

 いま、農村に行ってみると、いろいろなことが言われています。以前は農村でミシンをたくさん買っていたものですか、近ごろは、戦争が起これば何もかも破壊されるのに、家財道具など整えて何になろうかといって、ミシンもラジオも買わず、甚だしくは持っていたミシンまで売り払う人もいます。事実、このたび誰が神経が細く、臆病者であるかがすべて明らかになりました。ミシンも買わず、家財道具を売り払う人は神経の極めて細い人であり、臆病な人です。また 、ある人は、いますぐにでも戦争が起こるものと考えて、使っていた布団までほどいて背のうを作るだの、綿入れを作るだのと大騒ぎをしているとのことです。私の考えでは、農民たちがこのような試練を経験するのは悪いことではありません。布団をほどいて綿入れを作るのも悪いことではありません。しかし、戦争がいますぐにでも起こるとばかり考えるのは間違いです。我々は、大衆に、党代表者会議の決定と現情勢についていっそう明確に教える必要があります。

 党代表者会議は、戦争がいますぐ起こるといったのではなく、敵のありうる戦争挑発に対処して、あらかじめ準備を徹底的におこなうべきだといったのです。戦争に対処する準備を整えよというのと、いますぐに戦争が起こるというのは同じではありません。我々が戦争に備えるべきだというのは、明日にでも必ず戦争が起こると考えるからではありません。ベトナムでの戦火がわが国に飛び火することもありうるため、万一に備えて事前に徹底した準備を整えておこうというのであります。我々が戦争の備えを十分おこなって悪いことは何もありません。我々が準備をしっかり整えておけば、戦争が起こっても恐れることはなく、また、敵が我々の万端の備えに恐れをなしてあえて襲いかかれないようにして戦争を未然に防ぐこともできるので、これに越したことはありません。それに、党代表者会議は、戦争の備えだけをするようにといったのではなく、経済建設と国防建設を並進させる課題をうちだしました。言いかえれば、一方では経済建設をおこない、他方では国防建設もおこなうべきだということであって、戦争に備えるだけで、経済建設はやめてしまうということでは決してありません。

 それでは、経済建設と国防建設を並進させるという党代表者会議の決定を貫くにあたって、農業部門の活動家にはどのような課題が提起されているのでしょうか。経済建設と国防建設をともに立派におこなうために、皆さんが遂行すべき最も重要な任務は、布団をほどいて背のうや綿入れを作ることではなく、穀物を大量に生産することです。農村では穀物を大量に生産することが、経済建設と国防建設を立派におこない、戦争に対する備えに寄与する道であります。

 穀物の生産がこの2、3年間ひきつづき順調でありません。そのため、我々は毎年、外国から食糧を数十万トンずつ買い入れました。もし、我々が穀物を大量に生産して食糧を輸入しなくなれば、その金で漁船を買い入れて魚を多くとることもでき、機械を買い入れて機械工場をさらに設置することもできるでしょう。そうすれば、我々は人民生活もさらに向上させることができ、国防工業もいっそう発展させることができるでしょう。

 このように穀物を大量に生産するのは、人民生活をさらに向上させるためにも、また、国防建設を立派におこなうためにも、農業部門で必ず遂行すべき最も重要な革命課題であります。

 穀物を多く生産することはまた、人々の思想を改造して社会主義的愛国主義思想をつちかううえでも重要な意義をもちます。思想改造は経済生活をはなれて、思想活動のみでできるものではありません。四六時中、革命、革命と新聞におおげさに書きたて、万歳を唱えるだけで、人々の思想・意識が改造されるものではありません。思想・意識は、結局、社会生活の物質的条件によって規定されるのですから、社会主義社会で、それは経済力の強化と人民の生活水準の向上、社会主義制度の強化発展にもとづいて改造されるのであります。したがって、経済建設を立派におこなって社会主義の物質的・技術的土台を強化し、人民の生活水準を向上させて社会主義の優位性を十分発揮させることは、思想・意識を改造する根本的な保障となります。わが国の制度の真の生命力も、わが党の路線と政策の正しさも、結局は社会主義経済建設の具体的な成果にあらわれます。

 現在、わが国で心から社会主義がよいという人は、かつての労働者や貧農たちです。なぜなら、彼らは地主、資本家の制度のもとで受けた搾取と抑圧からぬけだし、こんにちでは国の主人となり、その生活も以前とは比べものにならないほどよくなったからです。一つ実例をあげてみましょう。私がある年の夏、昌城に行ったときのことです。ある家を訪ねたところ、その家には、以前大工をしていた労働者が住んでいて、家をたいへんきれいに整頓していました。間取りは二部屋で、床紙や壁紙も清潔で、庭には花を植えて家のまわりもきれいに手入れされていました。彼が言うには、解放前には口すぎもろくにできず、言い知れないほど苦労をしたが、いまでは何の心配もなく暮らしており、子供たちもみな学校に行かせていると、たいへん満足していました。今度は、ある分細胞書記の家に寄ってみると、彼もやはり以前には貧しい暮らしをしていた貧農の出身でした。ところが、彼の家はまことに乱雑でした。立派なかわらぶきの家をもらって住んでいなから、床紙も壁紙もはらず、台所は実に雑然としたありさまでした。以前大工だった労働者の収入は46ウォンだが、彼の収入は90ウォンにもなりました。それで、どうして家をこんなにきたなくして暮らしているのかと聞いてみると、彼は、首相同志、この程度なら十分です、このうえ何を望みましょうかと答えるのでした。そこで、私は家をきちんと整えて暮らすように諭して帰ってきました。ここから何を知ることができるでしょうか。かつての労働者や貧農は、以前極めて貧しい暮らしをしてきたために、現在の程度の生活にもたいへん満足しており、わが社会主義制度を絶対に支持しているという事実をはっきりみてとることができます。

 ところが、中農や都市の小市民、インテリをはじめ、以前財産もいくらかもっていて比較的よい暮らしをしていた人たちと話をしてみると、彼らは、あれもない、これもないと、ただ、ないない節を唱えるばかりです。また、ないものが多いのも事実です。我々はまだ、中産階層の生活を満足させるまでにいたっていません。それゆえ、彼らは社会主義制度が本当に資本主義制度よりもよいものかどうか、社会主義制度が勝利するか否かについて疑問をいだいています。彼らのなかには、プロレタリアート独裁が恐ろしくて公然と社会主義に反対することはできないけれども、心のうちでは反対している人も一部にはいるでしょう。いつになったら、彼らが心から社会主義をよいと言うでしょうか。我々が生産力をさらに発展させてこれらの人の生活水準を向上させ、彼らが以前よりもはるかによい暮らしができるようになったとき、ただそのようなときにのみ、彼らは社会主義を心からよいと言い、この制度を守るために献身的に闘うでしょう。

 社会主義革命が勝利するか否かは、結局労働者と資本家の二つの階級のうち、誰が農民をはじめ、小ブルジョア大衆を最終的に自分の側に獲得するかによって決定されると言うことができます。もし、労働者階級が中産階層を味方にかちとれば社会主義革命は勝利するでしょうし、逆にブルジョアジーが中産階層を味方に引きつければ資本主義が勝利するでしょう。これについては、これまでの社会主義革命の経験がよく示しています。レーニンの指導のもとにロシアの労働者階級が十月社会主義大革命で勝利したのも、まさにレーニン主義がこの問題を正しく解決したところにその重要な要因の一つがあります。

 中産階層が社会主義制度の勝利に対して疑問をいだき動揺している状況のもとでは、社会主義が完全に勝利したとは言えません。以前の小ブルジョアジーが心から社会主義がよいということを認め、わが制度を心から支持するときに、はじめて社会主義が完全に勝利したと言うことができるでしょう。

 さきの祖国解放戦争のときに、人々は自分たちに自由と解放をもたらし、工場と土地の主人にしてくれた人民政権を守りぬくために命をかけて戦いました。言いかえれば、そのときの戦いは、人民政権と民主制度を守りぬくか奪われるかという戦いでした。しかし、こんにちでは事情が変わりました。今後、もし戦争が再発すれば、そのときは社会主義制度を守りぬくか奪われるかという決戦となるでしょう。社会主義制度を支持する人が多ければ多いほど、この戦いが我々にいっそう有利に終わることは疑う余地がありません。

 このことから、我々が経済建設を立派におこなって国の経済的土台を強化し、人民の生活水準を向上させることが、いかに重要であるかを知ることができます。皆さんが穀物を大量に生産し、国の経済力と国防力を強化し、人民の生活を向上させるならば、それだけ社会主義制度の優位性を発揮させることになります。こうして、社会主制度が真に立派な制度であるということをすべての人が心から感じるようになるとき、人民の社会主義的愛国主義思想も非常に高まることでしょう。一言で言って、穀物を大量に生産すれば、食糧問題が解決されるのはもちろん、そこから大砲も、戦車も、飛行機も生まれ、社会主義的愛国主義思想も生まれるのです。

 我々は、今年、昨年より穀物100万トンを増産する運動を展開しなければなりません。穀物100万トンを増産すれば、毎年50万トンずつ買い入れていた食糧を買わなくてもすむばかりでなく、備蓄をしておいても50万トン程度、外国に輸出することができます。こうなれば、畜産業を速やかに発展させることもでき、漁船をもっと買い入れて魚を大量にとることもできるでしょう。

 今年、農村で穀物100万トンの増産が力にあまることかと言えば、そうでもありません。トウモロコシを1ヘクタール当たり2トンずつ生産すれば、70万ヘクタールのトウモロコシ畑から140万トン生産することができ、米を2ヘクタール当たり4トンずつ生産すれば、70万ヘクタールの水田から280万トン生産できます。これだけでも、既に穀物が420万トンになります。このほかに、大豆を35万~40万トンぐらい生産し、他の穀物をいま少し生産すれば、昨年よりも100万トンの穀物を増産することができます。我々は、この目標を達成できる十分な可能性をもっています。溜まり水による被害をなくし、正しい施肥方式を確立し、種子の問題を立派に解決するだけでも、ここから既に数十万トンの穀物が増収されるでしょう。今年国家では、昨年より18万トン以上の化学肥料を農村に供給することを予定しています。これだけあれば、化学肥料を1ヘクタール当たり水稲には370キログラム、陸稲、トウモロコシ、高梁にはそれぞれ200キログラム、小麦、大麦には235キログラム、粟と大豆の主作には100キログラム、他の穀物には80キログラム、いも類には60キログラム、普通の野菜には150キログラム、高級野菜には350キログラム、飼料作物には80キログラム、綿には250キログラム、タバコには200キログラムずつ施すことができるでしょう。農業部門の活動家が、党の指示どおり仕事の手配を手際よくおこない、あらゆる予備と可能性を正しく引き出して利用し、農民を積極的に奮い立たせるならば、我々は今年、穀物100万トンの増産目標を必ず達成することができます。

 農村で穀物増産闘争を展開すると同時に、戦争に備えて農業機械その他の設備を大切に扱い、食糧と物資を節約して備蓄する仕事を手ぬかりなく組織しなければなりません。特に、トラクターをよく整備し、いまから燃料油の予備を大量に貯えておき、戦争が起こっても機械で耕作ができるようにしなければなりません。また、家畜の品種も改良し、人工受精を広くおこなって子家畜をふやし、特に、牛をたくさん繁殖させて役牛の予備をつくらなければなりません。こうして、経済建設と国防建設を並進させ、国の経済土台を強化し、人民生活を向上させるとともに、戦争に対処する万端の準備をぬかりなく整えることについての党代表者会議の決定を徹底的に貫かなければなりません。

  3 農業生産の指導における十大課題と協同農場の管理における10大課題について

 農業をさらに発展させるためには、農業部門活動家の生産指導水準と協同農場の管理運営水準を高めることが重要であります。私はきょう、生産指導と農場管理において、農業部門の活動家と農村の党組織がなすべき仕事について、それぞれ10項目の課題を提起したいと思います。これにはもちろん、もれたものもいくらかあるでしょうが、まず、この2つの10大課題だけでも立派に遂行すれば、農業生産と協同農場の管理運営に大きな前進がもたらされるものと考えます。

 まず、生産指導における10大課題から述べることにします。

 第1に、水の管理を正しくおこない、風水害を徹底的に防止しなければなりません。

 国家では農業生産をもりたてるために、電力不足で工場を十分に稼働できないことがあっても、まず農村に電気をおくって揚水機を動かすようにしています。しかし、農業部門の活動家たちは、大量の電気を使って揚水機で汲み上げた水の一滴一滴がどれほど貴重なものであるがを考えず、適当に水の管理をしています。水路がこわれても手を加えようとせず、水田の底から水がもっても粘土の一荷も敷こうとしません。こうして、一方では多くの水を無駄に流しながら、他方ではひきつづき揚水機で川の水を汲み上げています。こういうわけで、工場では、肥料、カーバイド、織物、それに鋼鉄、鋼材などの増産が可能であるにもかかわらず、電力不足のためそれができずにいます。揚水機をまわして1ヘクタール・メートルの水を汲み上げるには、1トンの硫安肥料の生産に消費する電力が必要です。したがって、1ヘクタール・メートルの水を浪費するのは、貴重な化学肥料1トンを無駄にするのと同じことになります。

 協同農場では、水を浪費する行為と強く闘い、水を極力節約するようにしなければなりません。これとともに、雨が降っても田畑の溜まり水をすぐ排水できるようにあらかじめ対策を立てて田畑が冠水しないようにし、種子を改良し、地帯的条件に即した作物を配置して穀物が風に倒れないようにしなければなりません。特に、溜まり水による被害をなくす問題が極めて重要です。稲が冠水すれば収穫が20~30%減るとのことですが、これは大きな損失です。雨期に水がたくさん溜まるおそれのある所には前もって大きな揚水機を設置するか、トラクター揚水機などを備えて、水が溜まればすぐに汲み出すようにしなければなりません。

 第2に、土壌改良、土地保護、耕地獲得、耕地整理を積極的におこなわなければなりません。

 昨日、碧潼郡南中里の協同農場管理委員長が討論で立派な経験を多く述べました。彼は、どうすれば現在の耕地をもってより多くの収穫をあげることができるか農場員と討議した後、土壌改良に取り組みました。酸性化した土地には石灰をまいて中和させ、水が溜まる畑にはみぞを掘って排水し、水のもる水田は粘土を敷いて水がもらないようにしました。そればかりでなく、農場員のあいだで耕地拡張運動を起こし、畑のなかにある石塚をかたづけ、道を畑の端と山のふもとに移して多くの耕地を新たに手に入れました。すべての協同農場で、このように土地を大切にし、丹念に手入れをするならば、農業生産をいちだんと高めることができます。

 ところが、これまで農業部門の幹部や協同農場の管理幹部が土地の管理を軽視した結果、7万ヘクタールの貴重な耕地を失ってしまいました。耕地を失ったのには、いろいろの原因があります。夏季に大水で流されたのもあるし、田畑の真ん中にやたらに道を作るとか家を建てて無駄にしたのもあり、学校の運動場を作るために必要以上に数千坪も使って大切な耕地を無駄にしているのもあります。いつも言っていることですが、畑のへりや川岸に柳などを植えておけば、雨水で土地が流されることぐらいは、いくらでも防ぐことができます。また、田畑のなかにある道をできるだけ畑のへりに移し、住宅もよい田畑をつぶして平地に建てるべきでなく、山のふもとの日当たりのよい場所に建てれば多くの耕地を得ることができ、生活にもいっそう都合がよく、戦争が起きても安全です。学校の運動場も、生徒たちが走りまわれるようにおよそ1000~1500坪ほど残して、あとは再び耕して作物を植えるようにすべきです。こうして、失った7万ヘクタールの土地をとり戻すとともに、現有の田畑を保護し立派に改良して、みなよい耕地につくらなければなりません。

 第3に、トラクターや連結農業機械をはじめ、すべての農業機械や設備をよく整えて効果的に使用し、牛車、手ぐわ、鎌などの中小農具を十分そなえ、常に整備し修理するようにしなければなりません。

 いま、農村には、トラクターや連結農業機械、揚水機その他多くの農業機械と農産設備があり、牛車、鎌、手ぐわ、シャベル、がんづめなど各種の中小農具があります。これらはすべて、農業になくてはならない重要な生産用具です。農業部門の労働者、技術者や、すべての協同農場員は、農業機械と農産設備、中小農具を常に大切に扱い、修理および整備を適時におこない、農作業にいっそう効果的に使用すべきであります。

 第4に、優良種子を育て、よく選んで保管し、種子の処理を上手におこなって種子を適切にまき、浪費しないようにしなければなりません。

 農業生産で収穫を高めるためには、何よりも種子がよくなければなりません。ところが、少なからぬ協同農場では種子を大切に扱っていません。育種田の手入れにも念を入れず、種子の脱穀もおおまかにやっては、砕けたものを取り除こうともせず、そのまま、かますに入れて所かまわずいい加減に保管しています。こういうありさまなので、種をまいても芽がよく出なかったり、また発芽したものもよく育たず、十分な収穫をあげることができません。協同農場では、肥えた土地を育種田にあてて丹念に手入れをし、秋には種子を一穂一穂よいものを選んで脱穀しなければなりません。そして、冬には種子をひつに入れて大切に保管し、春にまくとき種子を科学的に処理して、芽がよくでて病気にかからないようにしなければなりません。

 第5に、畑作では適地適作の原則を厳守し、適期にまきつけ、除草を十分おこなわなければなりません。工芸油脂作物の収量を高め、特に大豆の栽培に力を入れるべきであります。野菜栽培を上手におこない、住民に新鮮な野菜を一年中きらさず供給しなければなりません。

 畑作で多収穫をあげるためには、土壌の性質と地帯の条件に応じて、どんな作物を植えるべきかを決め、また、二毛作、単作もそれぞれ適地を選んでおこなわなければなりません。例えば、トウモロコシが収量の高い作物だからといって、湿地や風の強いところにまで、よく考えもせずトウモロコシばかり植えてはなりません。湿地には、それに適した高梁などを植え、風の強いところには丈の低い作物を植えてこそ、安定した収量をあげることができます。協同農場では、その地方の自然的特徴と土壌の性質を具体的に調べ、どの畑にはどの作物がよくでき、どのような方法でまきつけるのか一番よいかを明確に把握し、科学的な方法で農作業をおこなわなければなりません。

 第6に、稲作では三耕方式を導入し、苗作り、田植えを適期に立派におこない、除草を十分おこなって稲をよく育てなければなりません。

 第7に、土壌と作物に合わせて施肥方式を正しくうち立て、病虫害を防止しなければなりません。

 土壌や作物の特性を考慮せず、どんな肥料でもかまわずいい加減に施したのでは満足な収穫をあげることができません。同じ肥料でも土壌と作物の性質によってその作用が異なり、同じ作物でも播種期と生育期、結実期にはそれぞれ異なった成分の肥料を必要とします。したがって、協同農場では、土壌と作物の特性を具体的に把握し、それに合う各種の肥料をとりあわせて適切に施さなければなりません。

 第8に、刈り入れを適時におこなって、とどこおりなく運び入れ、脱穀を着実におこない穀物を大切に保管しなければなりません。

 いま、管理幹部と農場員は、夏、耕作するときには一所懸命に努力するけれども、耕作を終えて秋になるとなおざりにするのが大きな欠点です。穀物を運び入れるとき田畑に穂を落としてもそのままほうっておき、脱穀のときわら束に稲穂がついていても気にかけません。穀物を保管するにも、個人農のときには家ごとに穀倉をつくって入れておいたものですが、いまは貴重な穀物をじめじめとした地面にそのまま積んでおきます。これでは、農民がいくら農作を立派におこなっても何にもなりません。田畑の落穂ひろいは日曜日などに人民学校の生徒をつれていっておこなっても、十分できることです。脱穀した穀物も、作業班ごとに穀倉をいくつかずつ作れば、みな立派に保管できます。穀倉をいくつかずつ作ることまで、国をあてにしないで協同農場が自力で作るべきです。

 第9に、果樹園をよく手入れし、栗の木をよく管理して、人民にさらに多くの果物や栗を供給しなけれなりません。

 北青会議以後、皆さんが果樹園造成運動を活発にくりひろげた結果、こんにち、わが国の果樹園は13万ヘクタール以上に達しています。我々が苦労して作ったこれらの果樹園は、いまや効果をあらわすときがきました。果樹も人間と同じように青春期が一番みのりの多い、よい時期です。1970年代にわが国の果樹園はみな青春期を迎えます。リンゴ1ヘクタール当たり10トンの収量があがるとしても、13万ヘクタールからは130万トン取れます。ひかえめに見積もって100万トンだけ取り入れても、半分は国内で消費し、残りの50万トンを輸出すれば、小麦100万トンを買い入れることができます。小麦100万トンなら、製粉して食料に当てても、そのふすまを家畜の飼料に使えば30万~40万トンの肉類を生産することができます。また、リンゴ、桃、杏、スモモなどで缶詰をたくさんつくれば、四季をつうじて人民に安く供給することができ、輸出することもできます。

 果樹園は、国の大切な財産です。我々は、これを立派に手入れしなければなりません。果樹に肥料をたくさん施し、枝も適時にせん定し、しばしば農薬をまいて害虫を駆除し、1970年にはすべての果樹園で立派な果物が取れるようにしなければなりません。

 栗の木もよく手入れしなければなりません。調査によれば、現在わが国には3000万株以上の栗の木がありますが、これもやはり大きな資源です。ところが、この大切な資源の世話をする人がいません。栗の木を育てる人もいなければ、熟した栗を取り入れる人もいません。そのため、有名な平壌甘栗も姿を消すようになり、法事の供物にする栗さえ求めにくくなりました。これからは、協同農場に栗の生産課題を与え、栗の木を責任をもって管理するようにしなければなりません。栗の木の管理には壮丁(壮年の男子。血気さかんな男子。成年に達した男子。わかもの)労働力を当てずに、炭鉱や鉱山などで体が弱くて力仕事のできない人を配置するのかよいでしょう。

 第10に、共同畜産と個人畜産を正しく組み合わせ、畜産業を積極的に発展させなければなりません。

畜産業を発展させるうえで最も重要な問題は、飼料基地を作ることです。ところが、わが国は山の傾斜が急で雨期に土砂崩れが起こることもあるので、立木を伐りはらって山に飼料基地を作ることはできません。それゆえ、我々はできるだけ樹木のない丘陵地帯や川の土手、川岸、あぜなどを利用すべきです。わが国にある水路や川の土手だけでも、おそらく数百里をこすでしょう。ここにみな牧草を植えれば多くの家畜飼料を得ることができます。

 水田の表作や果樹園の間作として飼料作物を栽培し家畜の飼料を得ることもできます。水田の表作として飼料作物を植えることについて党は何度も強調しましたが、依然として正しく実行されていません。わが国には70万ヘクタールの水田がありますが、少なくともその50%には表作として秋にライ麦か春麦をまくべきです。水田の表作として植えた作物は穀物として食用にするような考えはいっさいやめて、稲作に支障のないように田植えど
きになれば、すぐに刈り取って家畜の飼料にすべきであります。それを穀物として食べるならば、かえって白米の飯を麦飯ととりかえて食べるといったことになりますが、適時に刈り取って家畜に食べさせれば、米は米として生産しながらも、多くの食肉を確保することができます。果樹園でも果樹の間に栄養価が高くて収量の多い飼料作物を植えるのがよいでしょう。康翎(カンリョン)郡の経験によると、果樹園の間作としてサツマイモを生産し、25%のでん粉をとり、酒をつくったあとの残りかすでいくらでも豚を飼うことができるといいます。我々は可能なあらゆる方法で多くの飼料基地を築き、畜産業を積極的に発展させなければなりません。

 生産指導における10項目の課題はおよそ以上のとおりであります。

 次に、協同農場の管理における10大課題について述べることにします。

 第1に、協同農場の定款をよく守り、民主主義的管理原則を遵守しなければなりません。

 現在、少なからぬ協同農場で農場の定款をみだりに違反し、管理委員長自身が民主主義の原則を守っていません。一部の人は、管理委員長の役を官職のように考えて、権力をかさにきて官僚主義的にふるまっています。こういうことでは協同農場を正しく管理運営することはできず、農場員の自発的な熱意を呼び起こすこともできません。協同農場の定款には、協同農場をどのように管理運営すべきかが明確に示されています。まず、管理委員長自身が協同農場の定款をよく研究し、こうした弊害を早急になくさなければなりません。

 第2に、管理委員長、作業班長、里党書記、細胞書記は、すべての仕事の先頭に立ち、特に生産労働に積極的に参加しなければなりません。

 いま一部の人は、管理幹部や作業班長が生産労働に参加するのは困難だといっており、党の分細胞書記までも生産から完全に遊離させて党活動に専従させようと要求しています。これは、つきつめてみれば、生産労働に参加するのが嫌だということなのです。我々は、このような主張には絶対に賛成できません。

 かつて抗日パルチザンの指揮官たちは、常に困難な仕事で隊員の先頭に立ち、その模範によって隊員を教育しました。彼らは戦闘のさい、攻撃するときは最先頭に立って勇敢に戦い、後退するときは危険をものともせず、しんがりをつとめて襲いかかる敵を撃ち、宿営地に着けばまっ先に斧を手にして木を切ってかがり火をたき、炊事の仕度をしている女子隊員を助けて釜をかけてやったりしました。指揮官たちがこのようにみずから模範を示したので、隊員も毎日のようにつづく困難な戦闘や行軍で疲れ、空腹ではあったが、誰もが自発的に規律を守り、常に勇敢に戦ったのであります。

 党規約に書いてあるように、わが党は、抗日パルチザンの革命伝統を受け継いでいる党であります。それならば、わが党員、特に革命の指揮メンバーである幹部たちは、当然抗日パルチザンの気高い品性と革命的活動方法に見習わなければならず、彼らのように行動しなければなりません。ところが、いまだに少なからぬ活動家はそのようにしていません。口先では革命伝統を研究し見習うといっているけれども、実際の行動では管理委員長や党書記にでもなると、すぐ号令をかけようとし、骨の折れる仕事からは後ずさりしようとします。絶対にこのようなことがあってはなりません。

 すべての管理幹部と農村の党活動家は、協同農場の生産労働に義務的に参加すべきであり、特に田植えどきや除草どきなど、仕事が忙しく骨が折れるときほど、農場員の先頭に立って働かなければなりません。

 第3に、国家納入穀をよく納め、穀物買付け計画を必ず実行し、農場の財政管理を正確におこない、それを農場員に報告しなければなりません。

 現在、一部の協同農場では、援護ファンドだの、何々ファンドだのと穀物をあれこれさしひいて国家の穀物買付けに積極的に応じなかったり、買付け穀物を念入りに選別せず、何でもかまわず集めて納める傾向があります。これは極めて正しくないことです。協同農場では、国家納入穀はもちろんのこと、穀物の買付けに対してもそれを商売と考えずに、一つの国家的義務とみなさなければなりません。協同農場管理幹部と農村の党組織は、農場員が国家の穀物買付けについて正しい認識をもつように教育し、買付け計画を適時に、間違いなく遂行するようにしなければなりません。そして、国家の支援と農場員の労働の結果によって築かれた協同農場の財産が農場をさらに発展させ、農場員の生活の向上に正しく使われるようにし、協同農場の財政をどこに、どのように使ったかを農場員にそのつど知らせなければなりません。

 第4に、労働の組織を綿密におこなって作業日を正確に評価し、決算分配を正しくおこなわなければなりません。これは、協同農場の管理運営で最も重要な問題であります。

 第5に、分組管理制と作業班優遇制を確実に実施しなければなりません。分組管理制をこの一年間実施してみましたが、これは、現在わが国の農村の実情に適した最もすぐれた生産および労働の組織形態であることがわかりました。わが国農業活動家の管理運営水準からみても、わが国農業の技術的特性からみても、農業の作業単位を大きな集団にするよりは、このように比較的小さい集団にする方がいっそう便利です。我々は、昨年の経験を生かして分組管理制をさらに正確に実施し、その優位性をはっきり示すようにしなければなりません。

 第6に、協同農場員が生活を立派におこなうようにしなければなりません。

 工場、企業所の幹部が、労働者の生活に責任を負うように、協同農場の管理幹部も責任をもって農場員の生活の世話をしなければなりません。農場員の生活の世話をするにはいろいろ問題はあるでしょうが、何よりもまず、彼らの日常生活に必要な野菜、しょう油、みそ、薪などを十分に保障し、すべての農場員が各自の自留地をよく利用するよう援助しなければなりません。

 第7に、託児所、幼稚園、診療所、浴場、理髪店、衣服修繕所などを立派に運営しなければなりません。

 第8に、住宅、井戸、農村道路をよく管理し、常に補修し整備しなければなりません。

 国家は、多くの労働力と資材をかけて農民に文化住宅を建てて与えましたが、農民がこれを適時に修理し、常にきちんと手入れするようにさせなければなりません。家のこまごました修理は農場員自身がおこない、資材と手間の多くかかる、大、中の修理は協同農場管理委員会が修理ファンドを支出しておこなうのがよいでしょう。郡人民委員会は、建材商店を有効に運営して、農民の住宅修理に必要な資材や道具をいつも販売するようにしなければなりません。農村の道路を立派に整備して適時に補修し、日常的にきれいに管理する問題も非常に重要です。農村の道路がよくなってこそ、わが国の農村は文化的になり、トラクターやトラックの故障も少なくし、その寿命をのばすことができます。

 第9に、農村の商店を立派に運営するように援助し、よい商品を管理幹部が先に買うことのないようにしなければなりません。

 党は、農民の生活向上のために、農村ごとに商店を設け、よい品物を農村商店にできるだけ多く出すようにしています。農村の党組織と管理幹部は、常に商店の世話をし、それが農民の生活と生産活動によりよく奉仕するように指導しなければなりません。ところが、少なからぬ農村では、商店によい品物が届くと、そこの管理幹部、党活動家、教員、社会安全駐在員たちが先に買ってしまうので、農場員にはほとんどゆきわたらないありさまです。これは、道徳上からみて正しくないばかりでなく、協同農場の管理運営にまで悪い影響を及ぼし、ひいては、党と大衆とを引き離すよくない行為です。今後はこういうことをなくし、商店に出るよい品物をまず農場員が買えるようにし、農村の幹部は最後に買うようにしなければなりません。

 第10に、すべての農業部門の幹部と農場員は、各自の政治・経済および技術・文化水準を高めるためにたゆみなく努力しなければなりません。

 党中央が、全党と全人民が学習しようというスローガンをかかげてから既に久しく、その間少なからぬ成果をおさめました。ところが、この課題の最もよく実行されていないのが農村です。これからは、すべての農村活動家と協同農場員が学習しようというスローガンを実践に移さなければなりません。政治・経済知識が浅く、技術・文化水準が低くては、日増しに発展する社会主義農村を指導することはできず、社会主義的農業勤労者となることもできません。

 管理委員長をはじめ、協同農場の管理幹部は、生産労働におけると同様に、学習でも農場員の先頭に立ち、すべての農村で熱心に働き、熱心に学習する革命的気風を確立しなければなりません。中央では、農村活動家と協同農場員が学習をよくおこなえるよう、必要な条件を保障し、積極的に援助しなければなりません。政治・経済知識や技術・文化に関する資料をわかりやすく書いた雑誌や農業部門の科学・技術書を多く出版して農村に送り、農村活動家のための学校も設立し、講習もたびたびおこなわなければなりません。国家では現在、工場支配人学校、職場長学校、作業班長学校を設ける準備を進めていますが、今後は協同農場管理委員長学校や作業班長学校も設けることになるでしょう。そして、学校が設けられるまでは、さしあたって上部から直接出向いて数日間ずつ講習会もおこない、科学・技術映画なども多く上映し、農村活動家と協同農場員が政治・経済知識を習得し、技術・文化水準を速やかに高めるよう援助しなければなりません。

 以上が協同農場の管理における10項目の課題であります。

 皆さん、現在、わが労働者階級は、党代表者会議の決定を支持し、工業生産で一大高揚を起こすためにこぞって立ちあがっています。工業をはじめ、人民経済の他のすべての部門と同じく、農業部門においても、党代表者会議の決定とこのたびの農業活動家大会の精神にそって、今年の農業生産で大高場を起こさなければなりません。1961年に、農業部門の活動家とすべての協同農場員が、穀物100万トン増産闘争に立ちあがって大きな成果をおさめたように、今年も我々はいま一度穀物100万トン増産運動をくりひろげ、農業生産で新たな前進を遂げましょう。我々には、これを遂行しうる十分な可能性があります。問題は、皆さんが今度帰ってから、いかに組織活動をおこなうか、大会で誓った各自の決意をいかに実践するかにかかっています。

 今年の穀物100万トン増産運動で我々が勝利するためには、何よりもまず当面の営農準備から着実におこなわなければなりません。営農準備で最も重要な問題は、堆肥を大量に作り、田畑に適時に運びだすことであります。1961年に我々が農業生産で大きな成果をあげたのも、その年に堆肥を十分に施したからです。今年もまた穀物100万トンを増産するためには、国家が化学肥料をさらに多く農村に送らなければなりませんが、それより農村でみずから堆肥を大量に準備しなければなりません。これとともに、春耕期に入る前に河川整理もおこない、溜まり水による被害を防ぐ対策もあらかじめ手ぬかりなく立てておかなければなりません。

 農業部門の課題を成功裏に遂行するためには、農村活動家が対人活動を立派におこない、すべての農民を増産闘争に奮起させることが最も重要であります。そのためには、農村の党組織と農業勤労者同盟組織の役割を高めなければなりません。いま、農業勤労者同盟の役割が非常に弱いのですが、農業勤労者同盟組織は、農民の物質・文化生活水準を高めるための闘争とともに、彼らのあいだで思想教育活動を強化して、すべての農民を革命化、労働者階級化する闘争を積極的にくりひろげなければなりません。

 農村の党組織は、協同農場でのチョンサンリ(青山里)総括を実質的におこなうよう、正しく指導しなければなりません。こうして、農民に対する思想教育活動が単なる思想教育活動に終わることなく、その結果が農民の生産活動に実際にあらわれるようにしなければなりません。

 農村の党組織の指導のもとに、すべての農業部門の幹部と協同農民が農業生産で新たな高揚を起こす闘争に勇敢に立ちあがるならば、これに歩調を合わせ、労働者階級をはじめ、全人民もまた、農村への支援活動にこぞって立ちあがるでしょう。

 私は、今後、農業部門のすべての活動家が、みずからをいっそう革命化し、その活動でチョンサンリ精神とチョンサンリ方法を徹底的に貫き、『わが国における社会主義農村問題に関するテーゼ』と党代表者会議が農業部門に示した栄誉ある課題を立派に遂行するものと確信します。
                                                
出典:『金日成著作集』21巻


ページのトップ


inserted by FC2 system