金 日 成

勤労者団体の活動を改善、強化するために
朝鮮労働党中央委員会第4期第9回総会での結語 
−1964年6月26日− 


 1 農業勤労者同盟の任務について

 同志のみなさん!

 このたび、新たに農業勤労者同盟を組織することになったのは、我が国農民の政治生活において非常に重要な意義があります。

 こんにち、労働者と事務員はすべて職業同盟に入って組織生活をしていますが、農民の実情は違います。もちろん、いまも農民同盟という組織はありますが、それは上部組織があるのみです。それゆえ、我が国の農村で党組織や青年同盟組織に入っていない多くの農民は、どの組織にも属していません。このように、農民を組織に加入させずに放任するのは、大きな誤りです。

 農民も労働者と同じく立派な社会主義的勤労者です。組織生活の必要なのは労働者だけで、農民にはその必要がないというのは筋のとおらない話です。

 農民が先進的な労働者階級についていくためには、必ず組織生活をしなければなりません。誰でも組織生活をしなければ立ち後れるほかありません。

 すべての農民を一定の組織に加入させ、かれらにたいする思想教育と技術・文化教育を強力に進めなければなりません。そうしなければ、社会主義農村問題にかんするテーゼでうちだした農村における思想革命、技術革命、文化革命を成功裏におし進めることができません。農業勤労者同盟の組織は、社会主義農村建設における農民の役割を高めるために切実に必要です。

 ところで、我々はなぜ、いまになって過去の農民同盟とは異なる農業勤労者同盟を新たに組織することになったのでしょうか。

 農民同盟は、貧農が中心となって、地主、富農とたたかう農民の組織でした。しかし、我が国の農村ではずっと以前に社会主義的協同化が完了し、いま、農民は社会主義農村建設のためにたたかっています。かれらの立場は、過去の個人農のときとは根本的に変わりました。こんにちの我が国の農民は社会主義的勤労者として、事実上、労働者階級とそれほどの差がありません。したがって、個人農当時の農民組織であった農民同盟は、こんにち、社会主義社会における農民の組織としてはふさわしくありません。

 だからといって、すべての農民を労働者のように職業同盟に受け入れるわけにもいきません。

 いまなお、我が国の労働者階級と農民のあいだには階級的差が残っています。所有形態も異なり、分配の形態にも違いがあります。また農民は、労働者に比べて、思想的にも、技術的、文化的にも立ち後れています。労働条件にしても、農民は労働者に比べて分散的です。もちろん、林業労働者などは農民に劣らず分散的ですが、一般的にみて工業労働者の労働は農民のそれよりはるかに集団的だといえます。それゆえ、農民が労働者と同じ組織で生活するのは、まだ適当ではありません。

 将来、農村での思想革命、技術革命、文化革命が遂行され、協同的所有形態が全人民的所有形態になった後には、農民も労働者と全く同じ組織で組織生活をおこなうことができるでしょう。しかし、いまの状態では、農民が独自の組織をもつ必要があります。このような農民組織が、すなわち農業勤労者同盟なのであります。

 農業勤労者同盟は、農村における技術革命、文化革命、思想革命の進展につれて、しだいに労働者化していく社会主義的農村勤労者の組織であります。したがって、組織の名称は農業勤労者同盟とするのがよいと思います。もちろんこれには、協同農場員だけでなく、国営農牧場や農業に直接奉仕する国家機関、企業所の労働者や事務員も加入させることができます。

 農業勤労者同盟の基本的任務は、農村における思想革命、技術革命、文化革命を成功裏に進めていくために、農民大衆を教育し、かれらの革命的熱意を積極的に引き出すことであります。農業勤労者同盟は、すべての農民大衆を包括する勤労者団体として、また、農村活動を保障する我が党の外郭団体として、社会主義農村問題にかんするテーゼがうちだした課題を実現するためにたたかえばよいのです。同盟の規約もテーゼにもとづいて決めなければなりません。

 農業勤労者同盟の任務についてはこれ以上ふれないことにして、ただ、この同盟の組織問題について少し述べたいと思います。

 まず、この同盟の組織にあたっては、階級的関係を慎重に考慮する必要があります。現在、我が国の農村はすべて社会主義的協同農場となっているので、地主や富農階級はいません。しかし、過去に地主や富農であった人たちはいまなお残っています。では、こういう人たちを同盟に受け入れるべきでしょうか、それとも締め出すべきでしょうか。かつての農民同盟は、これらの人を受け入れませんでした。しかし、農業勤労者同盟では、そうしてはならないと思います。協同化が実施された後に改造された人もいるはずです。かつては地主や富農であった人でも、改造された人は同盟に受け入れるべきです。改造された人とは、農業の社会主義的協同化に反対せず、党のすべての政策を支持する人のことをいいます。こういう人は、同盟員として受け入れるべきです。

 しかし、我が党に反対し、依然として地主制度の復活を妄想している連中は、農村における階級闘争の対象であり、農業勤労者同盟の闘争対象であります。したがって、こうした連中は、同盟員として受け入れるわけにはいきません。

 「治安隊」加担者やその他の経歴の複雑な人にたいしては、どうすべきでしょうか。複雑な階層にたいする活動をどのようにおこなうべきかについてはすでに党の決定が出されているので、それを参考にすべきです。「治安隊」加担者の圧倒的多数は、その出身階級からみて、当然我々の側に立つべき人たちです。「治安隊」加担者でも、出身階級がよく、また現在、誠実に働いている人なら無条件に同盟に受け入れるべきです。

 過去の地主、富農、牧師など、いろいろな理由で農業勤労者同盟に入ることのできない人にたいしては、どうすべきでしょうか。かれらにたいしては、個別的に教育する対策を立てるべきです。

 農業勤労者同盟の基礎組織は、作業班を単位にして組織すべきです。その次は、里単位、郡単位に組織をつくらなければなりません。

 しかし、その中心は郡単位におくべきです。郡農業勤労者同盟をしっかりとかためなければなりません。こうしてこそ、同盟の活動を農業生産と密接に結びつけることができます。現在、農業にたいする生産的指導の中心は郡です。工業分野で工場職業同盟組織を強化するのが重要であるように、農業分野では郡農業勤労者同盟をかためることに力をそそぐ必要があります。

 道の機構は小さくした方がよいでしょう。できれば、道党委員会のある部署に機構を一つ設けて、そこで直接この仕事を担当するのが一番よいと思います。中央にも、小さな機構を設けることにしましょう。必要な教育資料は党で唯一的につくって送り、党の組織部と宣伝部が適当な指導をおこなうことになるので、大きな機構を設ける必要はありません。

 しかし、郡には、必要な各部署を設け、人員も多く配置すべきです。組織活動、宣伝活動、技術教育活動をはじめ、同盟に提起されるすべての問題を処理する各部署がなければなりません。

 農業勤労者同盟の幹部は、貧農や雇農出身で土地改革のときから熱心に活動した人、また、農村の中核分子として積極的に活動し、後退の時期、敵に虐殺された人の子弟たちでかためなければなりません。また、必要な場合には、労働者出身を幹部に採用するのもよいと思います。地主、富農、偶然分子などが、農業勤労者同盟の指導機関に絶対に潜入できないようにしなければなりません。

 農業勤労者同盟は、広範な農民大衆を相手に活動します。大衆にたいする活動を立派におこなうためには、党の政策をよく知り、問題を適切に処理できる老練な幹部が必要です。それゆえ党組織では、農業勤労者同盟の幹部を有能な人でかためるように努めなければなりません。農場や作業班にも堅実な幹部を配置すべきです。

 こうするためには、同盟の組織づくりを、あまりあせる必要がありません。少々時間がかかっても堅実な幹部を選抜して、はじめから同盟組織をしっかりとかためなければなりません。

 今年中に農業勤労者同盟の大会を開こうという意見もありますが、時期尚早です。まず、組織をしっかりとかためたうえで、来年になって開くのがよいと思います。

 農業勤労者同盟を組織するにあたって、あらかじめ一つ警戒すべきことは、党組織が、農民にたいする教育活動を、すべてこの同盟組織に任せてしまうおそれがあるということです。そうなってはなりません。党組織は、同盟組織の幹部にたいする活動をたゆみなくおこない、同盟組織をつうじて農民にたいする活動を責任をもっておこなわなければなりません。


 2 職業同盟の活動について

 その間、職業同盟の活動は大きく前進し、少なからぬ成果をおさめました。同盟内に党の思想体系が確立し、同盟の各級組織がしっかりとかためられました。しかし、職業同盟の活動は、急速に発展する我が国の現実に後れをとっており、党の要求する水準でおこなわれていません。

 職業同盟の活動における最も大きな欠陥は、職業同盟組織が大衆団体としての本来の任務を忠実に果たしていないことです。いま、職業同盟組織は、勤労者にたいする教育活動をおこなうのではなく、あたかも第2の労働省のように行政活動をおこなっています。そのため、それが行政機関なのか、労働監督機関なのか、または、労働者の教育団体なのか、はっきりしません。これは、いまだに職業同盟組織がその任務と役割をはっきりと認識しておらず、力を入れるべき活動の中心方向が明確に定められていないことを示しています。

 さらに、その活動体系にも欠陥があります。一口にいえば、職業同盟の活動体系は、いまだに古い枠からぬけだしていません。それは、完全に社会主義的なものとはなっておらず、我が国の実情に適合していません。

 職業同盟の活動には、いまなお資本主義社会における労組活動の古い形式が残っています。例えば、職業同盟組織と支配人が生産契約を結ぶのは不合理なことです。職業同盟と行政管理側との利害関係は完全に一致します。職業同盟が行政管理側と契約を結ぶのは、労働者が自分自身と契約を結ぶのと同じで、無意味なことです。資本家が一掃された社会主義社会では、生産を保障するうえで、わざわざこのような契約を結ぶ必要はありません。

 組織体系にも不合理な点があります。例えば、現在、職業同盟には多くの産別組織がありますが、そのなかには管下に3、4の工場しかもっていないものもあります。ソ連のように国が大きく、部門別工場の多いところでは産別組織も必要でしょうが、我が国の場合こうした組織は不必要です。これはすべて、外国のものを機械的に真似た教条主義の産物だといえます。

 解放直後には、みずからの経験がなかっただけに、外国のものを真似るのも無理からぬことでした。しかし、外国のものが我が国の実情に合わないということがはっきりわかったこんにち、それを捨てるのをためらう必要がどこにあるでしょうか。我々は、経済・技術面では、まだ外国に幾分後れをとっていますが、大衆の思想・意識水準や、国家社会制度の運営とすべての秩序の面においては、外国よりはるかに進んでいます。今後、我々が仕事をさらに発展させるためには、教条主義的な古い枠を大胆に捨てて、変化した我が国の実情に合う自己の活動体系を確立しなければなりません。

 しかし、これまで党組織は、職業同盟の活動体系や活動方法改善のための指導を適切におこないませんでした。党は、職業同盟の活動における古い枠をそのままにして、ただ、立派に活動するようにと強調するだけでした。党建設においても我々が経験したように、古い枠をうちこわさずには、活動を根本的に改善することはできません。

 こんにち、我々には、職業同盟の活動における古い枠を完全にうちこわし、発展した現実に即して同盟の活動を新たな高い段階に引き上げるべき重要な任務が提起されています。

 それでは、職業同盟の重要な任務はなんでしょうか。

 職業同盟は、なによりもまず労働者階級を共産主義的に教育する学校であります。それは、行政機関ではなく、広範な労働者、事務員を結集した勤労者団体であり、党と労働者階級を結びつけるベルトであります。

 労働者階級が政権を掌握している社会主義社会での職業同盟の基本的任務は、すべての労働者、技術者、事務員が社会主義建設と社会主義経済の運営に主人らしく参加するように、党の思想、共産主義の思想でかれらを武装させることです。それゆえ、職業同盟組織は、勤労者にたいする共産主義教育に第一義的な注意を払うべきであります。

 職業同盟組織は、労働者、技術者、事務員のあいだで、マルクス・レーニン主義の原理教育とあわせて、共産主義教育を、党政策教育、革命伝統教育と密接に結びつけて力強く進めなければなりません。こうして、すべての勤労者が、党に限りなく忠実で、労働を好み、国家財産を愛護し、個人主義・利己主義を捨てて革命の利益のためには水火をいとわずたたかいぬく、党の革命戦士となるようにしなければなりません。共産主義教育の具体的な内容と方法については何度も話したことなので繰り返さないことにします。

 次に、職業同盟組織の最も重要な任務の一つは、生産を保障することです。

 資本主義社会における労働組合は、労働者階級の解放のため、資本家とたたかうことを基本的な使命としています。したがって、資本主義社会で労働組合組織や労働者が、工場主に反対し生産をサボタージュするのは当然なことです。

 しかし、社会主義社会では、事情が根本的に違います。社会主義社会では、工場の主人は労働者自身です。社会主義社会における労働者の本来の任務は、自分自身と国家と人民のために、より多くの生産をおこなうことであります。したがって職業同盟組織は、当然、党と国家が示した生産課題を遂行するために、積極的にたたかわなければなりません。

 職業同盟組織は、勤労者のあいだで技術革新運動と創意考案運動を広く組織、展開し、製品の質を高め、不合格品をなくすためにたたかわなければなりません。そして、工場、企業所で出勤率を高め、480分の勤務時間を完全に利用するようにするなど、生産の保障に必要なすべての問題に深い関心を払わなければなりません。職業同盟組織は、労働者のあいだで生産のための討論会や協議会を広範に組織して、かれらの創意性と積極性を発揮させ、提起された問題を適時に解決しなければなりません。職業同盟組織は、生産を保障するための政治活動を力強くくりひろげ、すべての労働者が生産闘争に自覚的に参加するようにしなければなりません。

 しかし現在、職業同盟の一部の活動家は、生産の保障に力をそそごうとはせず、賃金や労働基準量の制定にばかり頭を使っています。かれらは、そうするのが、労働者の利益を擁護することであるかのように考えています。これは、あたかも工場内に労働者の利益を侵す者がいるかのように考えるところからくる誤った偏向です。支配人は、決して職業同盟組織の闘争対象にはなりえません。支配人自身が労働者出身であり、労働者の利益のためにたたかう人です。工場の支配人が、労働者の利益を侵したり、労働者を酷使したりすることはできないし、また、そのようなことをしたのではもちこたえることができません。

 もちろん、職業同盟組織は、労働基準量や賃金の制定にも関心を払うべきです。しかし、職業同盟内にこうした仕事を専門におこなう部署を別に設ける必要はありません。賃金や労働基準量を定めるうえで最もよい方法は、我が党の大衆路線にもとづいて労働者のあいだで広範な協議と討論をへて、かれらの意見を考慮して決定することです。それゆえ、職業同盟組織は、この問題をめぐって支配人と争うべきではなく、労働者の意見をまとめて行政管理側に提起すべきです。

 次に、職業同盟組織の重要な任務は、労働保護を責任をもっておこなうことです。

 現在、一部の職業同盟組織は、労働保護について直接責任を負おうとせず、支配人に任せっきりにしています。職業同盟の一部の活動家は、行政管理側に労働保護を要求する権利だけあって、それを保障する義務はないかのように考えています。支配人も特別な存在ではありません。かれも同じ職業同盟員です。職業同盟組織も行政管理を担当する支配人も、ともに労働保護のために努力しなければなりません。労働者が、自分自身の安全のために努力するのは当然なことです。したがって職業同盟組織は、労働保護を自己の本来の仕事とみなし、それを直接、組織し実行しなければなりません。

 職業同盟組織は、労働者のあいだで事故を未然に防止するための教育活動を広範におこない、労働条件をたえず点検し、危険個所を探しだして速やかに安全対策を講じなければなりません。

 例えば、石炭採掘で危険な個所があるとすれば、職業同盟組織は、党委員会にそのことを提起した後、職業同盟の会議を開いて対策を討議すべきです。こうして、数日間生産を止めても、まずは危険な個所から修理し、その後で力をそそいで生産課題を完遂する方針を立てなければなりません。

 労働保護物資についても同じことがいえます。職業同盟組織は、行政管理側が労働保護物資を、くれるの、くれないのと難癖ばかりつけるのではなく、それを大切に使うたたかいを展開しなければなりません。このようにしてこそ、職業同盟が労働者階級の利益のために主人らしくたたかっているといえるでしょう。

 次に、職業同盟組織は、労働者にたいする技術教育活動を強化しなければなりません。

 正常な生産を保障し、労働保護を立派におこなうためには、労働者にたいする技術教育を強化することが重要です。生産の過程は結局、技術的工程です。技術を知らずには、生産を円滑に保障することができません。また、技術を発展させなくては、労働生産性の向上をはかることができず、したがって、従業員一人当たりの生産額を高めることもできません。

 こんにち、工業分野における従業員一人当たりの生産額は約3600ウォンですが、これは非常に低い水準です。今後、従業員一人当たりの生産額を7000〜1万ウォン程度にまで引き上げなければなりません。

 従業員一人当たりの生産額の向上は、結局、国民所得の増大を意味します。労働者の技術水準を高めれば生産が上がり、生産が上がれば国民所得も増大し、労働者の収入も増えるはずです。

 ところが、職業同盟の一部の活動家は、労働者の技術水準を高めるための闘争はおこなわずに、技術の未熟な人に技能等級ばかり上げてやろうとしています。これは結局、国を欺いて賃金を多くもらえるようにすることにほかなりません。国を欺くのは、自分自身を欺くことです。人民があらゆるものの主人となっている我が国社会主義制度のもとでは、欺くべき相手はどこにもいません。

 労働者の技術水準を高め、技術革新を起こしてこそ、労働力の問題も解決できます。

 こんにち、我々には、なすべきことが山積しています。建設もさらにおこない、地下資源もより多く採掘しなければなりません。ところが労働力が足りません。いま、我々にとっては、労働力の問題が難点となっています。もし我々が、生産にオートメ化、半オートメ化を広く取り入れるならば、少ない労働力でもたくさんの仕事ができるはずです。我々が技術革命を立派におこなえば、現在の労働力でも生産をさらに2〜3倍上げることができるでしょう。

 労働者の技術水準を高め、技術革新を起こしてこそ、480分の勤務時間を完全に利用する問題も解決することができます。現在、人民経済の多くの部門で、480分を十分に利用していません。例えば、炭鉱などでは発破のとき多くの時間を浪費するため、一日の作業時間は3〜4時間にすぎません。職業同盟組織は、こういうことにたいして心を痛めるべきです。もし、技術を革新して発破をおこなわずに採掘する方法を新たに導入するとか、発破をおこなう場合にもガスを取り除く問題を解決するならば、炭鉱で発破のために勤務時間を浪費することはなくなるでしょう。

 このように、技術問題は、生産を保障するうえで極めて重要な位置をしめています。それゆえ、職業同盟組織が技術教育の問題を掌握せずには、本来の任務を十分に果たすことができません。

 労働者にたいする技術教育活動を、科学知識普及委員会のみに任せておくわけにはいきません。科学知識普及委員会がいくつあっても、それが職業同盟のおこなうべき技術教育活動を代行することは決してできません。職業同盟は職業同盟なりに、責任をもって技術教育をおこなわなければなりません。もちろん、科学知識普及委員会は、労働者にしばしば講演もおこない、必要な教育資料も与えています。職業同盟組織は、労働者にたいする技術教育を強化するために、それらを有効に利用するのがよいと思います。

 職業同盟組織は、労働者にたいする技術教育体系をたえず強化し、あらゆる技術教育手段を合理的に利用するために積極的に努力しなければなりません。今後、職業同盟組織では、各種の技術講演会や技術伝習会を定期的におこない、各級の技術学校を利用して労働者の技術水準の向上をはからなければなりません。また、労働者のあいだで技術競争も広く組織すべきです。できれば、すべての労働者の技術水準を毎年1級ずつ引き上げるための競争運動を組織するのがよいでしょう。

 次に、職業同盟組織は、労働者の文化生活水準を高め、文化革命を促進するために努力しなければなりません。

 我が国の労働者の文化水準は、まだ低い状態にあります。一般知識水準や文化的教養も高いとはいえず、生活も文化的、衛生的に営んでいません。職場や機械をきれいに管理しておらず、家庭や村も清潔にしていません。労働者の文化生活は、党の要求する水準に比べて非常に立ち後れています。

 労働者の文化水準を向上させずには、思想革命や技術革命を成功裏に進めることも、勤労者の生活をより楽しいものにすることもできません。職業同盟組織は、労働者の文化活動を極力強化し、具体的な計画のもとにこの活動を定期的におこなわなければなりません。

 今後、職業同盟組織は、すべての労働者に中卒程度以上の知識を身につけさせ、その文化的教養をたえず高め、生活をきちょうめんにきずかせるために積極的に努力しなければなりません。職業同盟組織は、労働者が党と国家からほどこされるあらゆる配慮と有利な条件を十分に利用し、より幸せで誇らしい社会主義建設者に、より文化的で有能な労働者階級になるようにしなければなりません。

 しかし現在、一部の活動家は、時間がないということを口実に、労働者の文化活動をおろそかにしています。時間がないというのは嘘です。生活を合理的におこなわず、無駄口をたたきたがる人には、いつでも時間がないものです。

 いま、文化活動をおこなう時間が少ないのは、会議やその他の負担が多いからではなく、工場、企業所に規律と秩序が確立しておらず、幹部が仕事を綿密に手配していないためです。

 もともと、我々の実施している8時間労働制そのものが、労働者の十分な休息と文化生活を考慮に入れたものです。言いかえると、それは、8時間働き、8時間休み、残りの8時間は、すべて学習や文化生活にふり向けることになっています。もし、我々が生活を合理的におこないさえすれば、480分の勤務時間を完全に保障しながらも、いくらでも学習や文化生活をおこなうことができます。

 勤務時間をおかさずには、十分な文化活動がおこなえないと考えるのは大きな誤りです。480分の勤務時間は、絶対におかしてはなりません。文化活動は、必ず勤務時間外におこなうべきです。

 一部の人は、文化活動が生産に支障をきたすといっていますが、それは勤務時間中に文化活動をおこなうからです。文化活動そのものが生産に支障を与えるのではありません。かえって、文化活動を活発におこなえば、それだけ生産も上がり、生活もいっそう楽しいものになるでしょう。もし、時間がないからといって学習もせず、会議もおこなわず、スポーツや文芸サークル活動もおこなわないならば、我々は、自分の意識水準や知識水準を高めることができず、活気にみちて楽しく働き、生活することもできないでしょう。こうなれば、生産においても成果をあげることはできません。

 協同農場で働いているあるチョンリマ(千里馬)騎手は、会議にも多く参加し、社会活動もたくさん受け持っていますが、1年間に400作業日も稼ぎました。彼女は、会議や活動に積極的に参加する過程でいろいろと刺激を受け、意識水準もいっそう高まり、すべての面で他の模範とならなければならないという責任感がいっそう強まりました。それで、彼女はどんなに忙しいときでも、自分の責任量はその日のうちに必ずなし遂げました。やる気で取り組めば、時間はいくらでもみつけだすことができます。

 職業同盟組織は、勤務時間と休息時間を除いた残りの8時間を有効に利用して、学習や会議などもおこない、労働者のあいだでスポーツや文芸サークル活動も活発におこなうようにすべきです。こうして、すべての労働者が、常に高い自覚と健康な体で楽しく働き、文化的な生活をおこなうようにしなければなりません。職業同盟組織は、労働者が清潔な服を着て身なりを端正にし、自分の家や村をきれいにし、自分の機械や工場を丹念に手入れするように、たえず教育しなければなりません。

 次に職業同盟組織は、労働者のあいだで国家財産を愛護する運動を強くくりひろげなければなりません。もちろん、国家財産を愛護する問題は、チョンリマ作業班運動でも強くうちだしています。しかし、これをチョンリマ作業班運動にだけ任せておくわけにはいきません。現在、チョンリマ作業班運動にすべての人が決起しているわけでもありません。チョンリマ作業班運動を強化する一方、職業同盟組織が、直接、国家財産を愛護する問題を自己の重要な仕事として掌握していくべきです。

 職業同盟組織は、労働者のあいだで、設備と資材を愛護管理し、節約する運動を強力に展開しなければなりません。いま、あるところでは、熱の管理が不十分なため、石炭を多く使いながらも、熱が足りなくて部屋も寒く、生産も正常に保障できないありさまです。これからは、職業同盟が中心となって、熱管理を立派におこなう運動を強くくりひろげなければなりません。

 職業同盟にたいする党の指導をさらに強化すべきです。職業同盟は、党に限りなく忠実な組織とならなければなりません。職業同盟内に党の思想体系を確立し、すべての職業同盟組織をいっそう革命的で戦闘的な組織につくりあげなければなりません。

 かつて、職業同盟で要職についていた一部の悪い連中は、職業同盟組織が広範な大衆を擁しているということをたてに、党の指導を受けようとしませんでした。これは、誤りも甚だしいものです。党の指導をはなれた職業同盟組織など、考えることさえできません。職業同盟組織には、すべての勤労者大衆を党のまわりにかたく結集し、かれらに党の政策をあくまで貫かせる義務があるのみです。

 各級党組織は、職業同盟の活動をいっそう強化発展させるために、常に細心の注意を払わなければなりません。我々は、職業同盟の規約と内部生活の秩序を変化したこんにちの実情に合うように改め、自己の闘争課題を正確に規定するよう指導しなければなりません。

 そして、社会主義労働青年同盟と同様に、職業同盟をつうじても、社会主義建設で鍛えられ点検された、すぐれた労働者が我が党に入党できるようにすべきです。

 職業同盟を強化するためには、職業同盟の幹部養成事業を改善しなければなりません。職業同盟の活動家は、企業管理の方法や技術も心得ていなければならず、文化的教養も高くなければなりません。そうあってこそ、労働者のなかで活動を巧みにおこなうことができます。

 職業同盟の幹部養成体系を強化し、現役活動家の再教育と後続幹部の養成事業を計画的におこなわなければなりません。現在、職業同盟学校で利用している教科書には、我が国の実情に合わないものがたくさんあります。教科書も再検討して我が国の実情に合うように改め、職業同盟の活動にかんする教科書を新しくつくらなければなりません。

 出典:『金日成著作集』18巻


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