金 日 成

中心郡党委員会の任務について
 中心郡党委員長たちにおこなった演説
 −1963年4月27日−


 このたび、みなさんは、中心郡党の委員長として赴任することになりました。私はここで、中心郡党委員会を設ける必要性と中心郡党委員会の主な課題について述べたいと思います。


 1 中心郡党委員会を設けることについて

 我が国において郡は、党と国家の末端指導単位として、極めて重要な位置をしめています。

 地方の党および経済活動家昌城(チャンソン)連席会議でも述べたように、我が国において郡は、政治、経済、文化の各分野で都市と農村を結びつけ、都市と農村の格差をなくし、農村を先進的な都市の水準に引き上げるための拠点であります。農民は、郡をとおして党の政策を受け入れ、また、郡をとおして都市との経済的連係を結び、都市の先進的文化と生活風習を取り入れます。

 特に、工業を全国各地に均等に配置する党の正しい方針が貫かれた結果、こんにち、我が国のほとんどの郡は、強固な工業基地をもち、社会主義・共産主義建設で極めて重要な役割を果たすようになりました。

 我が党は、停戦直後に開かれた党中央委員会第6回総会で、工場、企業所をいくつかの大都市に集中するのでなく、全国各地に均等に配置する方針を示しました。反党分派分子が、これに反対しましたが、我が党は、かれらの策動をしりぞけて党の方針を貫徹するためにねばりづよくたたかってきました。

 その結果いまでは、全国のほとんどすべての郡に、重要な工場、企業所が配置されています。平安南道をみても、江東(カンドン)、价川(ケチョン)、陽徳(ヤンドク)、殷山(ウンサン)、江西(カンソ)郡など、各地に大規模の工場や炭鉱、鉱山があり、海に面した郡には水産事業所があります。山間部の慈江(チャガン)道でも煕川(ヒチョン)、前川(チョンチョン)、城干(ソンガン)、長江(チャンガン)、満浦(マンポ)など、鉄道沿線の郡にはほとんどもれなく重要な工場、企業所があり、鉄道沿線から離れた郡にも炭鉱や鉱山、林産事業所が少なくありません。他の道も同様です。多くの郡に中央直轄の工業企業所がいくつもあり、ほとんどすべての郡に10余の地方産業工場があります。

 いくつかの郡を例にあげてみましょう。

 以前、煕川郡には工場が一つもありませんでしたが、いまでは、我が国機械工業の母体工場と呼ばれる煕川工作機械工場や煕川精密機械工場があり、陶製品工場や製粉工場などいくつもの地方産業工場もあります。亀城(クソン)郡にも以前には工場が一つもありませんでしたが、いまでは亀城工作機械工場や亀城鉱山機械工場、亀城紡織工場などの大工場があります。江西郡の場合にも岐陽(キヤン)トラクター工場や降仙(カンソン)製鋼所など人民経済で極めて重要な意義のある大規模の工場があり、その他にも陶製品工場やメリヤス工場など中小規模の工場がいくつもあります。

 このように工業を均等に配置するのは、決して容易なことではありませんでした。工業を都市に集中しないで各地に均等に配置するためには、多くの資金を要し、さまざまな難問題が提起されます。しかし、我々はあらゆる困難をのりこえ、党の方針どおり、工業をほとんどすべての地域に均等に配置しました。

 そうしたところ、いろいろと利点が少なくありません。

 工場、企業所をすべての郡に均等に配置するのは、社会主義・共産主義建設の合法則的要求に全的に合致します。

 工業を都市にのみ集中的に配置するのは、資本主義的生産力配置の最も本質的な欠点の一つであります。都市に工業生産力を集中的に配置するならば、原料や製品の遠距離輸送をせざるをえなくなり、多くの社会的労働を浪費するようになります。また、工場を一か所に集中するならば、人口が過密になるので供給条件も不利になります。

 特に工場を一か所に集中するならば、都市と農村の格差を増大させる結果をまねきます。

 社会主義・共産主義建設をめざしてたたかう我々が、資本主義社会における生産力配置のこうした本質的欠点を踏襲する必要はないのであり、工業を全国各地に均等に配置した我が党の措置は全く正しいものです。

 工場、企業所を全国各地に均等に配置した結果、社会的労働の浪費をなくし、工業を合理的に管理、運営できるようになったばかりか、人民生活に必要な食糧や副食物を手間をかけて都市に集中することなく、直接、産地で速やかに供給できるようになりました。

 工場、企業所を各郡に均等に配置したために、共産主義建設で解決すべき最も重要な問題の一つである都市と農村の格差を早急になくす有利な条件がつくられました。

 我が国は、もともと山紫水明の錦の山河とうたわれた国です。我が国のほとんどすべての郡は、山や川があるか、海に面しています。そのうえ、各郡に工場、企業所が均等に配置されたので、全国各地に多くの住みよい小都市が出現しています。もちろん、現在大きな工場や企業所のない郡もありますが、今後、地下資源を積極的に開発し、工業をさらに発展させるならば、すべての郡に大きな工場、企業所がもれなく配置されるようになるでしょう。そのときには、我が国にほぼ200のこじんまりした住みよい社会主義的な工業都市が生まれ、国中のすべての地域が均等に発展するようになるでしょう。

 都市と農村の格差をなくすためには、農村で思想革命を強化すると同時に、技術・文化革命を遂行して、農業を工業化しなければなりません。農業を工業化するか否かは、共産主義建設の成否にかかわる極めて重要な問題であります。

 我々と資本家とのあいだには、農業を工業化する目的において根本的な違いがあります。資本家はより多くの利潤を追求するためにそれをするのであり、資本主義社会では農業の機械化が進めば進むほど、失業者が増加します。しかし、我々が農業を工業化するのは、農民の骨の折れる労働を軽減し、少ない労働力でより多くの農産物を生産して、すべての勤労者の暮らしをいっそう豊かにするためです。

 郡に大工場が生まれれば、農作地域に先進的な思想と近代的な技術文明を所有した労働者階級の大集団が生まれ、農村に好ましい影響を与えるようになります。労働者階級は、農民に思想的によい影響を与えるばかりでなく、かれらを援助して農村の技術革命と文化革命を力強くおし進めることができます。工業企業所が農村地域に均等に配置されていることは、農業を工業化するための工業の支援を強化できる有利な条件をつくります。工場、企業所が農村地域に存在するので、労働者たちは自然に農村にいっそう関心を払い、農業をいっそう効果的に支援することができるようになります。労働者たちは、我が国の農村の実情に適した機械を増産し、農村に多くの技術援助を与えることができます。そのうえ、工場、企業所の模範に見習って、農業の運営に企業的管理・運営方法をより立派に導入することができます。

 工場、企業所を均等に配置したのは、国防の見地からも極めて重要な意義を有します。

 党中央委員会第6回総会でも指摘したように、我々は敵と直接対峙しているので、今後、戦争が再び起こりうることを予見しなければなりません。もし、工場、企業所を都市に集中するならば、戦争が起こった場合、一挙に多くの工場が破壊されるおそれがあり、戦時生産を保障するためには工場を移転させなければなりません。工場の移転が容易でないのは、みなさんも承知のことです。

 しかし、工場、企業所を全国に分散させておけば、戦争が起きても工場をそれほど多く移すことなく生産をつづけることができます。

 工業を全国に均等に配置した我が党の措置は、このように社会主義・共産主義建設の見地からも、国防の見地からも、極めて正しいものであります。

 しかし幹部たちは、工業を地方に均等に配置しておきながら、それが社会主義・共産主義建設の要請に即して効果を発揮するよう正しく指導していません。

 省、管理局は、地方にある中央直轄工業企業所にたいし不断に実質的な指導をおこなっていません。

 先ごろ金属化学工業省の鉱業管理局長と話し合ってみると、管理局の活動家は多くの場合、現地に出向いて指導をしないため、企業所の実情を知らずに仕事をしているとのことです。このように、省、管理局は、工場、企業所に行って指導しないばかりか、活動家の水準が低いために工場、企業所に出向いた場合にも懸案を解決することができないそうです。

 省ばかりでなく、道党委員会も工場、企業所を正しく指導していません。

 我々はここ数年来、中央直轄工業にたいする道党委員会の指導を強化するために、道党委員会に重工業部、軽工業部などの経済担当部署を設け、道の経済活動を掌握して指導させる措置を講じました。その結果、工業にたいする指導に一定の進歩があったのは確かです。

 しかし現在、道党委員会は、道内の工場、企業所を残らず掌握し指導していません。道党委員会は、工業ばかりでなく、農業、商業、教育、文化、保健医療など各部門の事業をすべて指導しなければならないので、多くの場合、工業は道党委員会の責任幹部が指導せず、担当部署の活動家がそれにあたっています。こうして、一つの郡の工業を1、2名の道党委員会指導員がたまに出かけて指導しているのが現状です。

 郡内の多くの工場、企業所を1、2名の道党指導員が指導するというのはとうてい不可能なことです。价川郡などには、中央直轄工業企業所だけでも17個もあり、地方産業工場も10個あります。徳川(トクチョン)郡にも徳川自動車工場、兄峰(ヒョンボン)炭鉱、徳川炭鉱など8つの中央直轄工業企業所と11の地方産業工場があります。こうした郡の工業を1、2名の道党指導員が出向いてどうして満足な指導ができるというのでしょうか。

 道党委員会に工業を指導する陣容が非常に少ないばかりでなく、道党指導員の活動経験が浅く、水準も低いために、かれらは、工場、企業所に行っても事業を改善する対策を立てることができず、散漫に指導しては帰ってきます。道党指導員は、現地に行って工場、企業所の幹部を党の政策で教育することができないばかりでなく、掘り下げた仕事ができず、視野が狭いために本質的な問題を見落とし、しばしば、二次的な小さな欠陥を誇張して報告しています。

 工業にたいする指導がこのように形式的におこなわれているために、工場、企業所の生産が正常化されず、労働者の寮や住宅も満足にととのえられず、労働者区に野菜などの副食物も十分に供給されていません。

 それでは、工場、企業所にたいする指導を強化するためにはいかにすべきでしょうか。

 工場、企業所の管理、運営の改善において基本は、あくまでも工場党委員会の役割を高めることです。それゆえ我々は、大安(テアン)電機工場を指導した後に工場党委員会を強化する画期的な措置を講じ、現在、かなりの工場党委委員会が立派に活動しています。しかし、すべての工場党委員会が自発的にいっさいの問題を党の要求する方向で円滑に処理できる水準には達していません。工場党委員会がその役割を正しく果たすためには、常に、上級党機関の指導と統制のもとで活動しなければなりません。

 工場、企業所にたいする党の指導を正しく保障するためには、道党委員会の機構を拡張することも考えられます。しかし、道党委員会の機構をいかに増やしても、道党委員会が、工場、企業所から遠く離れているため、工場党委員会の活動を常に綿密に指導することはできません。中央直轄工業企業所を掌握し、生産にたいする党の指導を円滑に保障するためには、工場、企業所の近くにある郡党委員会の役割を高めることが大切です。

 ところが、郡党委員会には極めて多くの任務が課されています。以前は、郡が農業を指導すればよかったのですが、いまでは工業ばかりでなく、労働者区の便益施設の運営とか給養活動も指導しなければなりません。郡党委員会がこれらの事業を立派に指導できるようにするためには、それに即して郡党委員会の機能を高めなければなりません。

 そこで、今度我が党は、多くの中央直轄工業企業所のある重要な郡に、中心郡党委員会を設けることにしたのです。すべての郡に中心郡党委員会のような機構を設ければよいことは確かですが、幹部問題を解決することができないので、いますぐそうすることはできません。当面して、3つ以上の中央直轄工業企業所のある郡にまず中心郡党委員会を設け、今後幹部も準備され、工場、企業所が増設されるにともない、しだいにより多くの郡に中心郡党委員会を設けるようにすべきです。今度は30余の中心郡党委委員会を設けますが、次の段階に30、その次の段階にさらに30ほど設ければ、中心郡党委員会は100ほどになるでしょう。そうなれば、中心郡党委員会という名称自体には特別な意義がなくなり、全般的に郡党委員会の役割がいちだんと高まるでしょう。

 中心郡党委員会の設置は、工業にたいする指導と統制を強めるばかりでなく、郡の役割を決定的に高めて工業と農業の有機的な結びつきを強め、労働者階級の先進的な思想と技術、文化を農村に普及して農民の思想を改造し、農村を技術的、文化的に速やかに発展させるためにも切実に必要であります。

 中心郡党委員会が農業ばかりでなく、工業にたいする指導も立派におこなえるようにするため、従来の郡党委員会の編制に市党委員会の一部の編制を加えて機構をつくるべきです。中心郡党委員会が工業と農業のいずれをも指導するからといって、市党委員会の編制どおり機構をつくる必要はありません。郡にある工場、企業所は散在しており、工業企業所を中心にして都市が形成されているのではなく、四方に分散している農村地域をもっているために市とは事情が違います。

 中心郡党委員会には、工業部をおいて、中央直轄工業と地方経営工業の指導にあたらせるべきです。水産事業所が3つ以上ある中心部党委員会には水産部をおくべきです。そして、他の郡党委員会にも工場、企業所を指導するために工業部をおくべきです。中心郡以外の郡にある工場、企業所のうち、3級企業所までは道党委員会が指導し、4級企業所以下は郡党委員会が指導するのがよいでしょう。

 中心郡党委員会は、住宅管理をはじめ都市経営を指導すると同時に、商業部をおいて野菜、食用油など副食物の供給やその他さまざまの商品供給事業を着実に指導すべきです。

 中心郡党委員会の機構定員は一律に定めることなく、仕事の量を考慮して定めるべきであり、人口と活動対象の多いところには定員を増やすべきです。そして、中心郡党委員会に工業部と農業部をはじめ経済担当部署がいくつも新設されるので、組織部に多くの人員をおく必要はありません。新たな中心郡党機構表草案をみると、組織部の人員が多すぎます。もちろん、中心郡は、党員の数も多く、党内活動で提起される問題が多いだけに、組織部の人員を多少増やす必要はありますが、過度に増やしてはなりません。江西郡党委員会の組織部には45人を予定していますが、5人ほど減らして40人ほどにするのが適当でしょう。

 中心郡党委員会には、副委員長を4人ほどおくのがよいでしょう。組織部長を兼ねた組織担当副委員長、宣伝部と教育部担当の副委員長、経済担当の副委員長、軍事担当の副委員長がいればたります。中心郡党委員会に工業や農業担当の副委員長をおこうという意見も出されましたが、その必要はなく、工業は中心郡党委員長が直接指導するのがよいでしょう。

 中心郡党委員長は他の仕事もすべきですが、主として工場党委員会を掌握し、工場の党活動を指導すべきです。工場、企業所の党委員会や細胞会議にも参加し、工場、企業所の党細胞委員長や技術者との活動もおこないながら、工場の党活動を掘り下げて指導すべきです。

 このたび中心郡党委員長が新たに配置されるのと関連し、現任の郡党委員長は、第1副委員長にして農村事業、里党活動を指導する任務を与えるべきです。

 中心郡党委員会に、その役割を正しく果たさせるためには、委員長、副委員長をはじめ、郡党活動家の陣容を立派にととのえなければなりません。党中央委員会と道党の活動家のなかから一部を中心郡党委員会に配置し、工場党委員会の活動家のなかからも選抜して中心郡党委員会を強化すべきです。そして、各省からも堅実な活動家を選んで中心郡党委員会に配置すべきです。省の活動家が配置されて直ちに党活動ができないようであれば、道党委員会に配置して党活動の方法を学ぶようにし、そのかわり道党委員会からそれだけの人員を中心郡党委員会に配置してもよいでしょう。省から活動家を少々転任させても、省の仕事に大きな支障をきたすことはないでしょう。省に多くの人員がいて、不必要な文書をしきりにつくって下達するよりは、活動家を郡党委員会に配置してそれを強化すれば、工場、企業所にたいする指導が改善されるはずです。

 特に、中心郡党委員長には、堅実な人を配置するのが大切です。我々は、党中央委員会の副部長、課長、省党委員長、相、副相のなかから思いきって必要な人を選抜し、中心部党委員長に任命することにしました。もし、中央の幹部を下級機関に配置するのは少々問題だと考える人がいるとすれば、それは誤りです。指導を現実に接近させ、活動で成果をあげるためには、下部の単位、特に郡党委員会を強化しなければならず、そのためには有能な幹部が郡党委員長として赴任しなければなりません。

 いつも話すことですが、教師の場合にも児童を教える人民学校の教員のほうがいっそう能力があり水準が高くなければなりません。これと同様、党の大衆路線を下部の単位で貫徹し大衆のあいだで党の政策を直接実行する郡党委員長は水準が高くなければなりません。したがって、郡党委員長の格が、中央の幹部の格よりも低くなければならないという原則はありえません。

 元来、共産主義へ移行するためには、都市と農村の格差をなくすと同時に、上部と下部の幹部の水準の差もなくさなければなりません。幹部の格差が大きいときには、上部の幹部はいっそう尊大ぶり官僚主義的に行動するようになります。共産主義を建設するためにたたかう我々が、中央の幹部と地方の幹部のあいだに大きな差をおいて、そうした現象を助長させる必要はありません。もちろん、我が国では、上部の幹部と下部の幹部のあいだに給料やその他待遇の点では大差がないといえます。

 待遇上の差は、行政的措置によって容易になくすことができます。要は、上部の活動家と下部の活動家の水準上の差をなくすことです。

 このたび、中心郡党委員長として赴任するみなさんは、高いクラスの幹部が下部におりていく先駆けだといえます。我々は、今後中央でひきつづき幹部を多く養成し、郡党委員長をすべて高いクラスの幹部でかためる考えです。こうして、すべての郡党委員長をみな有能な幹部でかためるならば、相や副相を顕職と考えるようなこともなくなり、下部の単位が強化されて、すべての活動がいちだんと順調に進められるはずです。

 そして、中心郡党委員会の工業部長にも水準の高い堅実な人を配置すべきです。中心郡党委員会の工業部長は、少なくとも2級企業所の支配人クラスの人でなければなりません。だからといって、2級企業所の支配人のなかから選抜して工業部長に配置するのでなく、その程度の水準にある人をほかから抜てきすべきです。

 中心郡党の幹部陣容とともに、中心郡党委員会を強化することが大切です。これまでは郡党委員会に農村の活動家が多く入っていましたが、今後は委員の構成を少し変える必要があります。中心郡党委員会が工業を指導するようになったため、工業部門の活動家を中心郡党委員会の委員に多く加えるべきです。

 また、中心郡党委員会常務委員会の定員も多少増加し、郡クラスの幹部とともに重要な工場、企業所の党委員長を常務委員に加えるべきです。特級企業所や1級企業所をはじめ、重要な工場、企業所の党委員長を郡党常務委員に選出しなくては、中心郡党委員会が活動を円滑に進めることができません。例えば、徳川郡に中心郡党委員会を設けたのは、主として徳川自動車工場の事業を正しく指導するためであるから、その工場の党委員長が郡党常務委員会に参加せずには、問題を正しく討議し決定することができないでしょう。それゆえ、郡党のある部長が常務委員になれなくても、こうした重要な工場の党委員長は必ず常務委員になるようにしなければなりません。

 そうかといって、重要な工場、企業所の党委員長を一律に郡党常務委員にするのではなく、郡機関所在地の近くにある重要な工場、企業所の党委員長だけに限るべきです。例えば、江西郡の場合には岐陽トラクター工場の党委員長と降仙製鋼所の党委員長を郡党常務委員に選出し、郡機関所在地から遠く離れたところにある他の工場、企業所の党委員長は常務委員に選ばなくてもよいでしょう。

 重要な工場の党委員長を郡党委員会の常務委員に選んで常務委員会に参加させれば、利点が少なくありません。郡党常務委員会で問題の討議、決定に参加するのと参加しないのとでは、決定の実行にあたってかなりの違いがあります。工場の党委員長が、常務委員会における諸問題の討議、決定に参加すれば、決議を実行するためにいっそう努力するようになるでしょう。また、かれらが郡党常務委員会に常に参加するならば、党の政策もいっそうよく知り、いろいろと学び、視野が広くなるはずです。

 中心部党委員会を強化することによって、それが郡のすべての活動を円滑に指導し、郡内の党員を正しく教育し、立派に立ち上がらせて党の政策を実践するようにすべきです。


 2 中心郡党委員会の重要な任務について

 みなさんが郡でおこなうべき仕事については講習でくわしく言及されたものと考えるので、私はいくつかの重要な問題に限って強調したいと思います。

 中心郡党委員会の重要な任務は、工場、企業所、郡協同農場経営委員会、郡人民委員会にたいする党の統制を強め、これらの部門で党の政策が貫徹されるよう正しく指導することです。行政・経済活動にたいする党の統制を強化するということで、郡党委員長の指示を無条件受け入れるようにとむやみに押しつけてはいけません。中心郡党委員長は、工場、企業所と郡協同農場経営委員会、郡人民委員会の党組織を積極的に援助し、活動上の難問題を適時に道党委員会や党中央委員会に報告して速やかに解決するようにすべきです。


 1 工場党委員会を正しく指導することについて

 中心郡党委員会はまず、工場党委員会の活動を正しく指導し、援助しなければなりません。これまで、郡党委員会は、主として里党を対象にして農民との活動を多くおこない、工場党委員会にたいしては関心を払わず、労働者たちを指導しませんでした。今後、中心郡党委員会は、工場党委員会の活動を掌握し、労働者のなかに深く入らなければなりません。

 いま、工場党委員会の活動に不手際があるために、生産が正常化されず、可能な生産成長の潜在力も引き出していません。したがって、工場党委員会がその役割を正しく果たすようにすることがなによりも大切です。

 工場党委員会の役割を高めることがいかに重要であるかは、徳川自動車工場の実例をみてもよくわかります。

 昨年、徳川自動車工場では党委員会が着実に活動しなかったため、自動車を十分に生産することができませんでした。以前に比べ設備も増え生産条件も有利になったにもかかわらず、自動車の質と生産量は上がりませんでした。しかし、自動車生産を改善する問題について明確な意見を出す人はいませんでした。徳川郡党委員会は腕をこまぬいているだけであり、道党委員会にしても常に自動車工場に出向いて指導しているとはいうものの、自動車生産をもりたてる明確な対策を講じることができませんでした。機械工業省の活動家たちも、しばしば徳川自動車工場に出向きましたが、自動車の生産で障害となっている問題点を解明することはできませんでした。

 徳川自動車工場の事業が停滞しているので、最近、工場党委員長をはじめ、工場の幹部として企業管理に経験のあるすぐれた活動家を新たに配置し、工場党委員会の役割を高める措置を講じました。新任の工場党委員長が赴任してからまもなく、自動車生産を速やかに発展させるうえで解決すべき問題がなんであるかを解明しました。工場党委員会が解明したのは、労働者、技術者の技術熟練度を高める問題、工程間の連係を円滑にする問題、労働条件を改善し労働の組織を合理化して労働者が疲労を感じることなく生産にエネルギーをそそぎこむようにする問題などでした。それらは、別に複雑な問題でもなければ解決が困難な問題でもありません。その工場の党委員長は、それらの問題を早急に解決し、党が与えた自動車生産の課題を必ず遂行することができると語りました。

 徳川自動車工場の実例は、工場党委員会を強化するならば、あらゆる問題を正しく分析、判断し、生産における難問題を解決する正しい対策を立てることができることを示しています。

 工場党委員会の活動を改善させるため工場党委員会の幹部を堅実な人でかためると同時に、中心郡党委員長が正しく指導しなければなりません。なにごとであれ、活動上の欠点は当事者よりも第三者のほうが気づきやすいものです。工場の党活動における欠陥も工場党委員会は気づかなくても、郡党委員会は容易に気づくことができます。したがって、中心郡党委員長は、工場の党活動上の欠陥を適時に指摘し、工場党委員会が立派に活動するよう正しく指導しなければなりません。

 しかし、中心郡党委員長が工場党委員会の上に君臨してとやかく指示しようとしては絶対になりません。中心郡党委員会は、あくまでも工場党委員会の活動を援助することに重点をおくべきです。飛行機にたとえれば、中心郡党委員会は航空士の役割を果たすべきです。飛行機が飛行するとき航空士は、操縦士に左右、上下と方向を指示して、目的地まで飛行機を無事に操縦させます。中心郡党委員会も航空士のように工場党委員会の活動が順調に進むよう後ろから工場党委員会を援助しなければなりません。

 工場党委員会を援助するうえで重要なのは、工場党委員会が活動力のある組織となって集団的指導機関としての役割を十分に果たすようにすることです。

 中心郡党委員会はなによりもまず、工場党委員会が工場の運営で提起される重要な問題を委員会で集団的に討議し、その解決策を立てて実行するように指導しなければなりません。一部の工場党委員会は、行政・経済活動を代行しないようにといわれると、当然、工場党委員会で対策を講じるべき問題も討議せず、行政・経済活動家に追随しています。こうした現象を速やかになくし、工場の運営で新たに提起される重要な問題を工場党委員会が集団的に討議すべきです。こうして、支配人やその他の人が党委員会の指導を忌避したり、党委員会をぎゅうじったりするようなことがないようにすべきです。工場党委員会は、工場のすべての党員を代表する最高指導機関であるため、決して誰であろうと党委員会の統制から外れることはできず、工場党委員会を左右することもできません。

 それと同時に、工場党委員会の集団的指導機能を高めることを誤って解釈し、工場党委員長の個人的責任を弱めるようなこともなくすべきです。工場党委員会の集団指導の強化が強調きれたからといって、一部では党委員長が単独で結論のくだせる些細な問題まで党委員会の討議にかける無責任な傾向がかなりみうけられます。集団指導ということで、些細な問題まですべて工場党委員会を開いて討議しようとしてはならず、個人責任制を無視してはいけません。

 中心郡党委員会は、工場党委員会の集団指導の機能を高めると同時に、工場党委員会が行政・経済活動を代行して独断専行するようなことがないように指導すべきです。

 かなりの工場党委員会は、いまなお自己の本分を果たそうとせず、不必要に些細な行政・経済活動に干渉しています。工場党委員会が工場の最高指導機関としていっさいの活動を掌握し統制するということで、ねじくぎの出庫や住宅の割り当てまで工場党委員会で討議しており、工場党委員長は些細な問題まですべて自分の承認を受けるよう行政・経済活動家に要求しています。その結果、工場の支配人を独自に活動できなくし、党委員長が支配人の代理役を果たし、仕事に不必要な複雑さをまねいています。党委員会がこのように行政・経済活動を代行するならば、実務にとらわれ、ある側面に偏重して他の側面をおろそかにするようになり、ある問題にかかわっているうちに他の問題を見逃し、一点にかかずらっているうちに他のほうが失敗するのもわからなくなります。

 したがって、中心郡党委員会は、工場党委員会が行政・経済活動を代行して独断専行することなく、行政・経済活動にたいする舵取りの役割を正しく果たすよう援助すべきです。

 次に中心郡党委員会は、工場党委員会が着実に運営されるよう指導しなければなりません。

 現在、工場党委員会の運営上の欠陥は、それが極めて形式的に運営されていることです。十分な準備なしに党委員会を開くため、提起された問題の具体的な解決策を提出することも、委員たちが活発に意見を述べることもなく、あれこれと論じ合うだけで閉会する場合が少なくありません。党委員会をこのように運営してはなりません。

 党委員会の集団指導を正しく保障するためには、委員会を開く前に十分に準備をととのえなければなりません。委員会である問題を討議する必要があれば、誰かにどのような方向で研究し一定の案を作成して会議に提出するよう任務を与えるべきです。そして、すべての委員に委員会を開く日時と議題を事前に知らせるべきです。党委員会では、最初に党委員長が意見を述べ、それを討議にかけるなり、支配人が生産で解決すべき問題を提起して討議にかけることができますが、いずれにしてもすべての委員が意見を述べられるようにしなければなりません。このように、集団的知恵を発揮して提起された問題にたいする正しい対策を講じ、それを遂行するために委員たちに具体的な任務を分担しなければなりません。

 しかし、党委員会で委員たちが無政府主義的に各自の意見に固執するとか、一人、二人が反対するからといって結論をくださず持ち越すようなことがないようにすべきです。

 工場党委員会が活動力のある組織として集団的指導機関の役割を正しく遂行するためには、党委員会の党委員を堅実な人で構成し、かれらが各自の役割を十分に果たすようにしなければなりません。

 人間の手足や心臓、肺臓など、さまざまな器官のうちどの一つが機能を果たさなくても、死亡するか、生きていても満足に活動できないように、党委員会もすべての委員が活発に動かなければその役割を円滑に果たすことはできません。

 中心郡党委員長は、工場党委員会を堅実な人でかため、すべての委員が自分の任務を立派に遂行するよう正しく指導しなければなりません。こうして、工場の党委員長、支配人、技師長が、それぞれ自分の役割を果たし、各自自分の任務に従って立派に活動するようにすべきです。こうしてはじめて、党委員会は工場の事業における誤りを直ちに見きわめ、欠陥を党委員会で適時に批判し是正することができます。

 大安電機工場党委員会はいま立派に活動しています。そこでは、支配人や技師長にそれぞれ各自の任務を果たすようにしているので、かれらは自分の任務を遂行するために努力しています。そして、工場の事業で偏向が生じたときには、工場党委員会を開いて委員たちが討議し、是正策を適時に立てています。他の工場党委員会もこのように活動すべきです。

 工場党委員会は、集団指導の機能を正しく遂行するばかりでなく、党の大衆路線を貫いて大衆のなかに入らなければなりません。

 工場党委員会は、活動を官僚主義的におこなうのでなく、常に大衆のなかに入って労働者の生活に気を配り、大衆の意見を尊重し、それに耳を傾けるべきです。

 広範な大衆の意見を聞いてこそ、すべての問題を適切に処理し、工場の管理、運営を正しく指導することができます。しかし、工場党委員会は大衆の意見だということで、どんな意見でも無条件に受け入れてはなりません。大衆の意見のなかには、建設的な意見もあれば、そうでない意見もあります。もし、工場党委員会がプチブル的な不満にもとづいた意見をうのみにして党の決定を採択するならば、偏向をおかすことになります。したがって、なにか意見が出されたときには、意見を出した人がどんな人であるかを検討しなければなりません。例えば、誰かが人民の生活が困難だというなら、それをただ聞きすごすのでなく、かれが過去どのような暮らしをした人であるかを調べるべきです。以前に貧しい暮らしをした人なら誰でもそういうことは言わないでしょう。貧しい暮らしをした人はそうは言わずに、もっとよい暮らしをしたいが、現状では無理なことだ。いまでも、以前に比べればはるかによい暮らしをしていると言うでしょう。生活が苦しいと不平をならべる人は、例外なく過去豊かな暮らしをした人です。それゆえ、そうした人の意見を大衆の意見として受けとってはなりません。

 中心郡党委員長は、工場党委員会が常に勤労者大衆の声に耳を傾け、かれらと意見を交わし、かれらをよりどころにしてすべての問題を調べ、正しく処理するよう指導すべきです。

 中心郡党委員会が工場党委員会を援助するうえで主な関心を払うべき問題は、工場の党と労働者の隊伍をかためることです。

 党と労働者の隊伍をかためるというのは決して、少しでも問題のある人を工場から追い出せということではありません。要は、党員と労働者のあいだで党政策教育を強め、党の大衆路線にしっかり依拠して、かれらを我が党のまわりにかたく結集することにあります。我が党を信頼し支持する人はすべて教育して、党のまわりに団結させなければなりません。

 現在、工場党委員会は、労働者の隊伍をかためる活動を着実におこなわず、堅実な人と不堅実な人とを識別できないために、当然、教育して党のまわりに結集させるべき人も結集していません。その結果、一部の人は、いたずらに党が自分を信頼しているかどうか疑いをいだいて動揺し、最後には悪い道に陥ることさえあります。

 中心郡党委員長は、工場党委員会が党員と労働者の隊伍を十分に理解して堅実な人と不堅実な人とを識別し、教育しうる人は積極的に教育して党のまわりに結集するよう正しく援助しなければなりません。地主の子女であっても現在悪巧みをせず熱心に働く者には、きみは地主の子だがおこないは悪くない、我々と一緒に働くことができる、これからも決して悪いことをせずに誠実に働くようにと言ってきかせるべきです。そして党員たちに、誰それは地主の子でこういう欠陥があるが、現在熱心に働いているから許してやり、かれと団結して働こうということを話してやるべきです。こうせずに、あいまいな態度をとったのでは人々を党のまわりに団結させることができません。

 人々を党のまわりに団結させるということで、我が国の制度に反対し、我が党の政策を非難する敵対分子まで包容しようとしては決してなりません。敵対分子とは、妥協することなくたたかい、最後まで我々に反対する者には仮借なく打撃を加えなければなりません。敵対分子が摘発されたときには、かれらの犯罪行為を大衆の面前に暴露し、かれらを大衆から孤立させる方法でたたかわなければなりません。そうしてこそ大衆は、敵対分子の犯罪行為をはっきりと知り、かれらと断固たたかい、かれらからよくない影響を受けないようになります。工場党委員会は、傾向のよくない者が悪事をはたらくたびに大衆の前に暴露し、かれらが過ちを心から悔い改めるときには許し、悪事をつづけるときには断固と処罰すべきです。

 このように、工場、企業所で大衆を党のまわりに団結させることを基本にしながら、悪質分子は公開闘争をとおして孤立させ、党員と勤労者の隊伍をさらに強化すべきです。


 2 経済活動にたいする党の指導を強化することについて

 中心郡党委員会が最も関心を払うべき問題は、工業にたいする指導を正しくおこなうことです。

 なによりもまず、工業企業所がテアン(大安)の事業体系を正しく導入するように指導しなければなりません。

 テアンの事業体系とは一言でいって、経済管理に我が党の革命的大衆路線を具現した事業体系であります。この体系は、上部が下部を助け、知識のある人がない人を助け、支配人が一人ですべての事業をとりしきっていた支配人唯一管理制ではなく、党委員会の集団指導によって企業管理における重要な問題を解決し、設備の点検補修、設計の作成、部品の準備などの技術準備と原料・資材を先行させて生産を正常化することを求めています。

 いまテアンの事業体系をとり入れているところでは、例外なく仕事が順調に運んでいます。この1年間の経験は、テアンの事業体系が極めてすぐれた経済管理体系であることを示しています。

 解放後、我々は、経済を管理、運営した経験がなかったので、外国の経済管理方法をかなり取り入れました。それらの管理方法には、官僚主義的要素と人々の利己主義を助長する要素が多分にありました。もちろん、テアンの事業体系にもこれから完成していかなければならない問題点はあるはずです。しかし、新たな経済管理方法は、過去の経済管理方法に比べてはるかにすぐれており、したがって、それを取り入れることは企業管理を改善する決定的な裏付けです。

 テアンの事業体系にもとづいて工業経営学の教科書も書き直すべきです。現在使われている工業管理・運営にかんする書物には、価値法則が過度に強調され、物質的刺激の問題に多くのスペースがさかれています。我々は、上部が下部を助け、知識のある人がない人を助ける方法・集団主義精神を発揮させる共産主義的方法による経済の管理、運営を経営学の基本的な内容とすべきです。

 工業部門の当面の重要な課題は、党の方針どおり技術革新運動を強化して労働力を節約し、労働者一人当たりの生産高を増やすことであります。

 我々はいま労働力が不足しているために、もっと採掘できるはずの地下資源も採掘できず、もっとできるはずの仕事もできません。もし、労働力を節約して20万〜30万人の労働力を得ることができれば、経済建設で難点となっている多くの問題を解決することができるはずです。

 先ごろ党中央委員会と内閣の幾人かの幹部たちにも話したことですが、非鉄金属を大量に採掘するならば、外貨不足を解消することができます。我々は、石油やコークス用炭を輸入しており、繊維、ゴム、油脂作物などもかなり輸入しているので、多くの外貨が必要です。

 我が国には豊富な地下資源があり、外国が我が国に依存している原料もあるので、努力さえすれば必要な外貨を獲得するのは、難しい問題ではありません。

 我が国には膨大なマグネサイトが埋蔵されていますが、それは金属工業の発展に欠くことのできない貴重な耐火材です。世界的にマグネサイトの埋蔵量が限られているので、我々はマグネシア・クリンカーを生産するならばいくらでも輸出することができます。マグネシア・クリンカーの輸出は、鉱石を焼いて売ればよいのですから十分に採算がとれます。いまでもかなりの量のマグネシア・クリンカーを輸出していますが、今後いっそう大量に生産して輸出し、オイル代を得るようにすべきです。マグネサイトを鉱石で250万トン、クリンカーで50万〜60万トン生産して輸出すれば、我々が輸入するオイル代は得ることができるでしょう。それに、外国から輸入するコークス用炭の代価も鉱山をさらに開発して鉱石を輸出するなり、黒鉛工場を建設して電極などを生産し輸出して支払うようにすべきです。

 ところが、我々はいま、労働力不足のために、そうしたことを積極的におこなうことができません。労働力不足問題を解決するためには、技術革命を積極的におし進めなければなりません。

 技術革新運動を強力におし進めて一人当たりの生産高を増やしてこそ、労働力や資金のゆとりが生じ、工場も多く建設し鉱山や漁場も新たに開発することができます。こんにち、我が党が社会主義経済建設で技術革命の推進に大きな力をそそいでいる理由はここにあります。

 中心郡党委員会は、工場、企業所で技術革新運動を強化し、作業を極力機械化、オートメ化し、1工数の労働力でも節約し、労働力の補充を受けることなくより多く生産するために努めなければなりません。

 中心郡党委員会が関心を払うべき重要な問題は次に、工場、企業所で基本建設の対象をあまり広げないようにすることです。

 このことについては、かなり前から指摘してきましたが、いまなお、この病根は取り除かれていません。

 南浦(ナンポ)製錬所では、試験生産もおこなわず、設計もなしに硫黄工場の建設にとりかかり、中途で取りやめました。もちろん、硫黄工場の建設は必要です。しかし、研究や準備もせずして無計画に工場を建設することはできません。南浦製錬所だけでも、こうして中途で中止した建設対象が5つもあります。

 基本建設の対象を広げすぎるのは、南浦製錬所に限らず、ほとんどすべての工場、企業所に共通してみられる現象です。党が、しばしば注意を促したにもかかわらず、建設陣容を分散させる欠陥が是正されない責任は、党組織にもあります、多くの場合、工場党委員会は、工場の管理幹部の提起する建設対象にたいして具体的な検討もせずに同意しており、行政に追随して基本建設にたいする統制を怠っています。

 基本建設にたいする統制を強めるために、建設対象を重要性に応じて5つの等級に分け、1級から先に建設し、それが完成した後に、2級、3級と順を追って建設する秩序を立てるべきです。しきりに建設対象を広げる悪癖を決定的になくすためには、党中央ばかりでなく、必ず党中央と地方党がともに統制しなければなりません。そうしてこそ、相や省の幹部が、工場に来て無計画に基本建設の対象を広げるのを防ぐことができます。

 中心郡党委員会は、基本建設の対象を不必要に広げないよう強く統制すべきです。基本建設の問題が提起されれば、それが是非とも必要か否かについて検討し、労働者たちとも具体的に討議すべきです。そして、その必要性のない対象は建設をしないようにし、是非建設すべき対象は労働力と資材を節約して短期間に建設する対策を講じなければなりません。

 次に、中心部党委員会は、採掘工業を先行させることに深い関心を払うべきです。

 我が国の採掘工業は、人民経済発展の要請に比べて非常に立ち後れており、加工工業に原料を円滑に供給していません。

 我々はいま、石炭を円滑に供給できないため、大規模の火力発電所を建設しておきながらもその発電能力を完全に発揮することができず、石炭が足りなくて肥料生産にも支障をきたしています。

 こうした状況のもとで、我々は7か年計画に予定された2300万トンの石炭を必ず生産しなければなりません。

 現在、我々は製鉄所に鉄鉱石も十分に供給していません。

 以前にも採掘工業が立ち後れていることは知っていましたが、昨年6つの目標を達成する闘争過程で、採掘工業に大きな問題があることをいっそう痛感するようになりました。そこで、昨年9月から採掘工業に力をそそぎ、今年もそれに大きな力を傾けることにしました。最近我々は、炭鉱、鉱山用の10トン積みトラックを生産し、エクスカベーター、ブルドーザーも量産する課題を与えました。

 しかし、これだけでは不十分です。採掘工業部門への投資を増やし、採掘工業用の各種機械設備も増産しなければなりません。

 現在、採掘工業部門には、必要な設備が完備していません。削岩機にしても数種が必要ですが、いまは一つの種類しかありません、これは敵と戦う軍隊が2種類の武器しかもっていないようなものです。軍隊が敵と戦うためには、小銃や火砲、戦車や飛行機など各種の兵器や装備は言うまでもなく、同じ兵器にしてもさまざまな型のものを備えていなければなりません。例えば、火砲の場合は遠距離砲や近距離砲、または曲射砲や直射砲などがなければなりません。

 これと同様、炭鉱や鉱山で石炭や鉱石を多量に採掘するためには、削岩機も教種を備えなければなりません。ところが現在、我が国の機械工業は、そうした各種の機械設備を生産していません。炭鉱や鉱山に能率的で近代的な機械設備をより多く備えることに深い関心を払わなければなりません。

 中心郡党委員長は採掘工業部門の指導を正しくおこない、特に阿吾地(アオジ)炭鉱・价川炭鉱、茂山(ムサン)鉱山をはじめ、重要な採掘工業企業所のある地方に赴任する中心郡党委員長は、人一倍立派に活動しなければなりません。

 中心部党委員長は、採掘工業部門の技術知識も学び、その部門の事業に精通しなければなりません。炭鉱や鉱山に出向いて労働者たちとともに働きながら、石炭や鉱石の増産方途について協議し、必要な対策を講じなければなりません。

 石炭や鉱石ばかりでなく木材の生産にも問題があります。年間500万〜600万立方メートルの木材を生産しなければならないのですが、いまのところ400万立方メートルそこそこにとまっており、そのため坑木の需要すらみたしていないありさまです。

 これまで我々は、木材生産にかなりの投資をおこない、この部門に多くの機械や運搬手段を提供しました。しかし、それらは効果的に使用されておらず、小さな部品が破損して使用できないトラクターも少なくありません。活動家たちは役牛が1頭死んでも大騒ぎをしますが、数十頭の役牛の働きをするトラクターのような大きな機械が動かないことにたいしては痛くもかゆくも思っていません。

 林業部門の事業が発展しないのは、この部門にたいする国家の投資が少なかったり、設備の供給がなされなかったからではなく、この部門の幹部を堅実な人でかためなかったことに主な原因があります。林業部門企業所の幹部も、工場で鍛えられた人たちを養成してちゅうちょすることなく配置すべきです。これまで、林産事業所の支配人をはじめ、幹部たちには、林業部門での経歴の古い人たちを配置しましたが、それと同時に、機械に明るく生産にたいする技術指導のできる人でこの部門の幹部陣容をかためるべきです。

 次に、中心郡党委員会は、労働行政の改善に深い関心を払わなければなりません。

 まず、工場、企業所が、農村の労働力をみだりに引き入れることがないよう党の統制を強めなければなりません。現在、農村の労働力事情は、非常に緊張しています。農作業が機械化されて一人当たり15〜30ヘクタールの農地を耕作できるようになれば農村に多くの労働力のゆとりが生じますが、我が国の農業がそれまで発展するのはまだ先のことです。農業を発展させるためには、耕地整理、潅漑面積の拡張、我が国に適した優良種子の育成、農業機械の量産など、仕事が山積しています。これらの諸問題が解決される前には農村の労働力を他に回すことができません。したがって、工業部門に要する労働力はできる限り都市で解決すべきです。

 そして、女性のできる仕事に男子を使おうとせず、女性にさせるべきです。

 私は解放直後、咸鏡(ハムギョン)南道で道党委員会の婦人部長にも男子を使っていた呉淇燮(オギソプ)を厳しく批判したことがあり、その後も機会あるたびに女性のできる仕事は女性にさせるよう強調してきました。

 もちろん、女性を多く採用しているところもあります。最近、徳川郡のある工場を訪ねたところ、支配人や党委員長も婦人であり、430名の従業員のうち男子は22名で残りは全部女性でした。これは非常に好ましいことです。しかしまだ、かなりの工場、企業所では女性が容易にできる仕事も女性にさせていません。黄州(ホンジュ)織物工場の例をとってみても、女性が容易にできる仕事に多くの男子を使っています。人口も多くなく、労働力の不足している我が国で、女性を遊ばせて女性のできる仕事も男子にさせるのは矛盾しています。

 労働行政を改善して、余裕労働力を残らず利用し、女性を極力社会に進出させ、現在、女性の働ける職場にいる男子は他に回すべきです。

 同時に、工場、企業所が、労働者にたいする給養活動を円滑におこなうよう深い関心を払うべきです。

 中心郡党委員会は、労働者区にきれいな住宅を整然と建て、下水道を設け、労働者が暮らしに不便を感じないようにすべきです。下水道は管を敷設する方式にこだわらずに開渠にして、後から暗渠に改造してもよいでしょう。そして、労働者の住宅を適時に修理して雨がもらないようにすべきです。

 労働者の住宅は、将来を見通して立派に建設すべきです。徳川、煕川(ヒチョン)、亀城(クソン)、朔州(サクチュ)、満浦(マンポ)、吉州(キルチュ)など大工場があって将来性のある重要地区には、万年大計の近代的都市を建設する必要があります。しかし、あまり高い建物は建てないで、3階か4、5階程度にするのが適当です。

 山間部の炭鉱村や鉱山村には、大きな住宅を建てる必要がありません。石炭や鉱石を数100年のあいだ採掘できる地帯には比較的立派な建物を建てるべきですが、数10年後には廃鉱しなければならない地帯には耕地をおかさず、山の傾斜地などにきれいな平屋を建てるべきです。

 同時に、郡協同農場経営委員会が立派に活動し、野菜、肉類などの副食物を責任をもって生産、供給するようにすべきです。

 次に、中心郡党委員会は、農業にたいする指導を正しくおこなうべきです。

 中心郡党委員会が、工業にのみ関心を払い、農業にたいする指導をおろそかにしてはなりません。中心郡党委員会は、郡協同農場経営委員会を掌握し、農業を正しく指導するために努力すべきです。

 現在、郡協同農場経営委員会は、農業にたいする指導を着実におこなっていません。郡協同農場経営委員会を設けたのは、農業を行政的方法ではなく、企業的方法で指導するためです。しかし多くの場合、郡協同農場経営委員会の幹部は、かつて郡人民委員会が農業を指導していたときのように行政的方法で指導しています。

 農業生産も一つの技術工程です。したがって、農業生産は必ず技術的に指導すべきであり、郡協同農場経営委員会は農村の技術革命をおし進めることに主な関心を向けるべきです。

 しかし現在、郡協同農場経営委員会は、農村の技術革命を掌握して指導せず、農作業の機械化をはじめ、農村技術革命を推進する活動に力を入れていません。それは、トラクターの利用状況をみてもよくわかります。トラクターで耕転、除草、運搬などさまざまな作業をすべきですが、耕転に使うだけで稼働させていないのが現状です。温泉(オンチョン)郡でも再三強調しましたが、トラクターをこのように使うのなら苦労して大量生産する必要がありません。

 一部の幹部は、農作業を機械化できるよう営農方法を発展させようとはせず、逆に農作業に機械を使えないようにする方向に向かっています。それで稲苗の並木植えにも反対し、依然として古い方法で農作業をしようとしていますが、これは正しくありません。古い方法に固執するならば、農作業を機械化することができず、農民を骨の折れる労働から解放することができないという結論しか得られません。

 トラクターをより効果的に利用し、農作業を極力機械化するためには、営農法をたえず発展させなければなりません。

 一部の人は農作業を機械化すると収穫が減少するといって歓迎しませんが、それは非常に誤った態度です。機械で農作業をおこなえば手労働でおこなうときに比べて収穫が多少落ちるにしても、農民にいつまでも手労働で骨の折れる農作業をさせることはできません。

 工場の労働者は一日8時間働いていますが、農民はそれよりも長時間働いており、農民の労働の強度も高いのです。それで、農村の青年は農村に定着しようとしないのです。

 もちろん、農村青年が農村に定着して熱心に働くよう教育活動を強化する必要があります。しかし、いかに教育しても、農民と労働者との労働の差が現在のように大きくては問題を解決することができません。

 共産主義を建設するためには、勤労者を骨の折れる労働から解放し、重労働と軽労働の差、肉体労働と精神労働の差をなくさなければなりません。しかし幹部のなかには、往々にして自分が共産主義の建設をめざしてたたかう革命家であるということを忘れ去り、この重要な革命課題の遂行にそれ相応の関心を払わない人がいます。

 郡協同農場経営委員会の役割を決定的に高めて、農村技術革命を力強くおし進めなければなりません。

 農業の発展をはかるためには、郡内の工業と労働者階級の支援を強めることが極めて重要です。労働者は、田植えと除草の時期に直接田畑へ出て労働をもって支援するばかりでなく、農業機械を修理し、新しい農業機械もつくってやらなければなりません。そして、協同農場に行って、生産の組織方法、労働の組織方法、会計の方法などを教え、科学知識の普及もおこなうべきです。

 しかし、郡にある工場、企業所は、農村をそのように援助しておらず、協同農場の仕事の成否について全く関心を払っていません。

 実例をあげてみましょう。

 鏡城(キョンソン)郡にある朱乙(チュウル)電機工場には技術者が100人以上もいますが、かれらは工場の近くの協同農場に出向いて技術的に援助する仕事もしていません。江西郡にある降仙製鋼所や岐陽トラクター工場でも協同農場をよく援助していません。それらの企業所に行ったときにも再三強調しましたが、郡内の協同農場に製鋼所で生産される鋼材で各種の農業機械をつくって提供し、トラクターも増産して数台ずつ送れば、農作業を立派に機械化することができるはずです。当地の労働者たちを動かせば、容易にできるはずですが、誰もそうしたことをおこなっていません。そのため、降仙製鋼所や岐陽トラクター工場の近くの協同農場は立ち後れた状態にとり残されています。徳川自動車工場の場合も同じです。徳川邑の農地は農作業の機械化に適していますが、そこの活動家が仕事を怠っているうえに、自動車工場がよく援助しないため、農作業の機械化がなされていません。

 このように工場、企業所が、農村を支援しなければ、労幼者にたいする給養活動も円滑に保障されません。工場、企業所が、農村を積極的に支援して農作業を機械化し、農業を発展させてこそ、農民の骨の折れる労働を軽減するばかりでなく、穀物生産をいちだんと高めることができ、機械化による余裕労働力で野菜、肉類などの副食物を増産し、農民とともに労働者の生活水準をさらに高めることができます。

 中心郡党委員会は、工場、企業所の農村支援活動を綿密に組織し指導しなければなりません。以前とは違って中心郡党委員会が、郡内のすべての工場、企業所を掌握し指導するようになったので、努力さえすれば労働者、技術者をふるい立たせて農村を十分に支援することができるはずです。

 そして中心郡党委員会は、協同農場に適した農作物を大量に栽培させて農業生産を専門化することにも相応の関心を払わなければなりません。タバコなどは手間がかかり買上げ条件が厳しいので栽培したがらないそうですが、最近タバコの買付け価格も引き上げたので、タバコの適地ではその栽培を専門化するのがよいと思います。


 3 郡人民委員会の活動に深い関心を払うことについて

 中心郡党委員会は、工業と農業にたいする指導とともに、郡人民委員会の活動にたいする指導も正しくおこなわなければなりません。

 まず、教育事業を正しく指導すべきです。

 教育部門の当面の主な課題は、技術学校を正しく配置することです。

 もともと、技術学校の卒業生はすべて地元の郡で使うのが原則です。したがって、技術学校は、必ず郡の実情に即して配置しなければなりません。

 しかし現在、技術学校はそうした原則にもとづいて配置されていません。郡の工業と農業の実情を十分に検討したうえで郡の経済発展に必要な部門の技術学校を設立すべきですが、なんの考慮もなしに技術学校をいい加減に配置しています。そのため、農業技術学校の卒業生が工場に進出し、工業技術学校の卒業生が協同農場に進出する結果をまねいています。

 黄州邑には、大きな軽工業部門の工場もなく地方産業工場があるだけなのに、軽工業技術学校を設立しました。これでは、その学校の卒業生が当該部門で働けないのは目に見えています。黄州邑などには軽工業学校を設立する必要はないのですが、もし設立するとしても黄州食品工場で働ける知識を授ける科を設けるべきです。しかし、そうしなかったために、その工場では他の郡から労働者を採用しています。

 中心郡党委員会は、郡の実情にもとづいて技術学校を配置するよう正しく指導すべきです。技術学校の学科別生徒数もその比率を綿密に検討し、郡の経済発展の要請に合うよう正しく定めなければなりません。

 次に、教員陣容を強化しなければなりません。

 郡党委員長が教育事業に関心を払わないために、教員陣容が立派に構成されていません。これでは、生徒を正しく教育することができません。

 次の世代を立派に育成できるかどうかは、教員がかれらをどのように教育するかに大きくかかっています。したがって、堅実な人を教員に配置することが非常に重要です。

 教員陣容を強化するためにはまず、教員大学と師範大学の学生推薦を正しくおこなわなければなりません。学生推薦が正しくおこなわれていないために、多くの場合、他の大学に選抜した残りの学生を教員大学や師範大学に入学させています。その結果、教員養成の大学に優秀な人があまり入学していません。

 中心郡党委員会は、教員陣容の強化に深い関心を払い、特に教員大学と師範大学の学生推薦を正しくおこなうよう指導すべきです。堅実な人を選抜して教員大学や師範大学に推薦し、かれらがこれらの大学で学ぶことを党から与えられた重要な任務と心得るように教育しなければなりません。

 中心郡党委員会は、商業も指導すべきです。

 商業網を正しく運営するのは、人民生活の向上にとって極めて大きな意義があります。中心郡党委員会は、商業網を掌握し、郡内人民の生活に必要な商品を適時に仕入れて売るようにし、農村のさまざまな生産物を適時に買上げるよう正しく指導しなければなりません。

 次に、郡機関所在地を立派にととのえることに深い関心を払わなければなりません。

 現在、郡機関所在地が立派にととのっていません。大同(テドン)郡機関所在地にしても、住宅や町の手入れをよくしないために非常に不潔です。これでは、郡機関所在地が農村に好ましい影響を与えることができざせん。

 すべての郡機関所在地を立派にととのえるべきですが、特に中心郡の機関所在地はいっそう立派にととのえなければなりません。郡機関所在地をととのえるのには多くの資金や物資も要しません。郡内に豊富にある石を運んできて、必要に応じて石を積んだり、下水道を敷設すればよいのです。必要なセメントは、道党委員長フォンドのセメントを多少使ってもよいでしょう。

 郡機関所在地をととのえるということで、高層建築ばかり建てようとしないで、現在ある建物で町をきれいにととのえるべきです。現在の建物でも努力さえすれば郡所在地を十分立派にととのえることができます。昌城郡機関所在地が清潔であるのは高層建築があるためではありません。そこにあるのはほとんどがスレート屋根の家ですが、手入れをよくし、町に花壇をつくり、住宅のまわりの清掃美化作業を丹念におこなうので、清潔な感じがするのです。他の郡でも郡機関所在地をこのようにととのえるべきです。

 中心部党委員会は、この他にも郡人民委員会に課されている保健医療などさまざまな事業を正しく指導すべきです。

 こうして、中心郡のすべての事業が順調に運ばれるようにしなければなりません。そうでなければ、中心郡党委員会を設けたかいがありません。中心郡党委員会は、経済活動と人民委員会の活動を正しく指導して、工業や農業、教育・文化、商業などの事業や郡機関所在地や労働者区をととのえるすべての面で、中心郡がその周辺の郡の模範とならなければなりません。徳川郡は寧遠(ニョンウォン)郡・孟山(メンサン)郡の模範となり、江西部は龍岡(リョンガン)郡、大同郡によい影響を与え、すべての中心郡がこのように1、2の郡に模範を示して、それらの郡でもすべての事業がスムーズに運ばれるようにしなければなりません。


 3 中心郡党委員長の活動方法と活動作風について

 次に、中心郡党委員長が郡に赴任して、どの仕事から着手し、どのように活動し、どのような活動作風を身につけるべきかについて述べたいと思います。

 なによりもまず、中心郡党委員長は郡に行って、下部の活動家を教育することから始めなければなりません。下部の活動家にたいする教育は、中心郡党委員長が郡に行っておこなうべき第一義的な仕事です。

 中心郡党委員長が、下部の活動家を教育して動かそうとせず、自分一人でなにか大きな仕事でもするかのように奔走したのでは、成果をおさめることができません。中心郡党委員会の活動を立派におこなうためにはまず、下部の活動家から正しく教育してかれらが着実に活動するようにすべきです。

 下部の活動家を正しく教育することについては以前から強調してきました。咸鏡北道党委員会の活動を指導したとき会寧(ヘリョン)郡党委員会にいっても述べ、江西郡党委員会の活動を指導したときにも指摘しました。しかし、まだ郡党委員長が下部の活動家をよく教育しないため、郡党委員会の部長や指導員の水準が極めて低いのが実情です。それで、かれらは、下部の指導に出向いてもことの正否を判別できず、任務を十分に果たすことができません。

 中心郡党委員長は、下部の活動家の教育が最も重要な仕事であることを明確に認識し、郡党委員会の副委委員長、部長、指導員を正しく教育するために取り組まなければなりません。

 それでは、下部の活動家になにを教えるべきでしょうか。かれらに党の政策、マルクス・レーニン主義の基本原理、経済知識の3つを教えなければなりません。

 活動家にたいする教育で基本は、党の政策を教えることです。活動家が、我が党の政策、我が党の思想を知ることなしには、マルクス・レーニン主義の原理にいかに精通していても無益であり、党の望むとおりに活動することができません。我が党の政策は、マルクス・レーニン主義の原理を我が国の現実に創造的に適用して発展させたものであるため、それをよく知ってこそマルクス・レーニン主義の真髄も明確に理解することができます。

 我が党の政策は、あらゆる活動の成否を測る尺度のようなものです。したがって、活動家が仕事を立派におこなうためには、必ず党の政策を知らなければなりません。これは、軍隊が行軍するにはまず、方位を測る磁石盤を読めなくてはならないのと同じです。中心郡党委員長は、下部の活動家にたいする党政策教育に重点をおき、活動家を党の思想でかたく武装させなければなりません。

 活動家のあいだで党政策教育とマルクス・レーニン主義の基本原理教育を立派におこない、かれらに工業、農業、商業などさまざまな経済知識を教えてこそ、郡党委員会の部長や指導員が、工場や企業所、農村に行って生産における問題点を見いだし、党の要求に反することも適時に発見することができます。それでこそ、郡党委員長が部長や指導員をとおして工場や企業所の実態と農村の実情を詳しく知り、経済事業を正しく指導することができます。

 活動家の教育は、漸進的方法でねばり強くおこなうべきです。党の政策やマルクス・レーニン主義の基本原理を一度に教えることはできません。また、活動家を教育せよということは、仕事を後まわしにして学習をさせるようにということでもありません。仕事もしながら常に活動家を教育しなければなりません。

 活動家の教育には、さまざまな方法があります。

 まず、個別的話し合いや集団的話し合いの方法で活動家を教育することができます。個別的話し合いとは一人ずつ会って話をすることであり、集団的話し合いとは一度に2、3人と話し合うことです。活動家との話し合いは事務室でもできるし、一緒に歩きながらでもできます。中心郡党委員長は、活動家とたびたび会って任務を与え、その前に与えた任務の遂行状況を調べ、誤りを是正させながら教育しなければなりません。

 会議や講演会、講習会をとおして活動家を教育することもできます。細胞会議などに参加して討論を聞き、誰それの発言で正しい点と誤っている点はどんなことだというように一つ一つ教える方法で教育することもできれば、党委員会を開いて仕事を討議する過程で教育することもできます。そして、党の政策上の問題を研究して講演会で講演するなり、講習会を開いて活動家を教育することもできます。中心郡党委員長が時間をさけないときには、郡党副委員長や部長に任務分担をおこなって十分に準備させ、原稿を検討してから、講演会や講習会に出させてもよいでしょう。

 最近、会議を頻繁に開かないように指摘したところ、当然開くべき講習会も開かないそうですが、これではいけません。活動家たちに知らせる問題があれば、党中央委員会でおこなっているように、十分な準備をととのえて郡党の活動家を集めて講習会を開き、講習の内容が多くて1日でできなければ2、3日かけておこなってもかまいません。

 このように、さまざまな方法で活動家を教育すれば、かれらの水準をいちだんと高め、教育課程をとおして活動家たちをさらによく理解することができます。中心郡党委員長は活動家を教育する過程で理解し、かれらが仕事を立派に遂行できるよう育てなければなりません。

 次に中心郡党委員長は、郡党委員会が経済活動にたいする舵取りの役割を立派に果たすように指導しなければなりません。

 そのためにはまず、すべての問題を党の政策にてらしてみなければなりません。すなわち、工業部門や農業部門の仕事が正しくおこなわれているかどうかを、党の政策を尺度にして測ってみなければなりません。郡党委員会の指導員も現地に行って測ってみるようにし、中心郡党委員長も現地で測ってみなければなりません。私がいつも下部の活動家を生産現場に派遣したり、また直接行ってみたりするのは、仕事が正しくおこなわれているかどうかを党の政策で測ってみるためです。

 このように、党の政策どおり仕事が正しくおこなわれているかどうかを検討し、正しくおこなわれていないときには、その原因を究明して上部に報告し、必要な対策を講じなければなりません。欠陥の原因を究明するときには、あらゆる条件を具体的に検討すべきです。主体的・客観的条件を十分に調べないで軽率に結論をくだそうとせず、一つ一つ検討して、欠陥の原因が活動家の水準の低さによるのか、活動家が怠慢しているためか、あるいは他に問題があるのかを明らかにすべきです。

 欠陥の原因を究明したり必要な対策を講じるとき、中心郡党委員長は自分の意見を押しつけようとすることなく、多くの人と協議すべきです。朝鮮のことわざに“知っている道でも尋ねながら行け”というのがありますが、活動上の問題を人に尋ね、かれらと協議して処理すれば悪いことはなにもありません。

 私はなにか仕事をするときには、それを担当している副委員長や下部の人とも協議し、政治委員会でも討議します。

 中心郡党委員長も、基本建設、生産、設備、労働行政など経済活動の諸問題を一緒に仕事をする人や下部の人、そして、上部の人とも討議して処理すべきです。経済活動で解決を要する問題が提起されたときには、一緒に仕事をしている人やその仕事を担当している下部の人に、あらわれた欠陥とその原因、是正方法について意見を尋ねるべきです。そして、上部の人に活動上の欠陥とその原因について報告し、善後策を出して意見を求め、協議したうえで対策を講ずるならば、間違いがありません。

 欠陥の是正対策を講じた後には、それを実行する組織・動員活動をおこなうべきです。一部の人は決定書を立派につくり、扇動的な講演でもおこなえば、組織・動員活動がすんだかのように考えていますが、それは誤りです。対策を大衆に明確に知らせ、その対策を実行するならば欠陥を是正することができ、提起された課題を立派に遂行することができるということを認識させ、その後に任務の分担を正しくおこない、その遂行方法も教えるべきです。こうするのが、組織・動員活動です。

 中心郡党委員長は、行政・経済活動を代行しようとせず、このように仕事の手配をし、行政・経済活動家に方法を教え、かれらが立派に活動できるようにすべきです。

 それと同時に、手配した活動は、必ず点検すべきです。中心郡党委員長が直接点検に出向いてもよいし、指導員を派遣して点検させてもかまいません。点検は必要に応じて個別的におこなってもよく、多くの人が集団的に出向いておこなってもよいでしょう。しかし、隠密検察官のようなやり方で点検してはなりません。生産現場に行って仕事を指導しながら労働者と話し合ったり、会議に参加したりして仕事の状況を具体的に調べなければなりません。そうすれば、手配した活動の実行状況を知ることができるはずです。点検した後には、生じた欠陥を是正する対策を講じ、活動家に活動方法を教えるべきです。

 中心郡党委員長がこのように経済活動を指導するならば、舵取りの役割を立派に果たすことができるはずです。

 次に、中心郡党委員長は、必ず計画にもとづいて活動すべきです。

 現在、幹部の活動における主な欠陥の一つは、活動を計画的におこなわないことです。幹部が計画的に活動せず、あちこちをかけずりまわっているため、すべての部門に気を配ることができず、見逃すことが少なくありません。そのため、関心を払わなかったところはさびがつき、最後には腐敗してしまいます。

 中心郡党委員長は、工業、農業、商業、教育および文化、保健医療部門をはじめ、すべての部門を指導しなければならないため、なすべきことが極めて多いのです。この多くの仕事を正しくおし進めるためには、必ず計画にもとづいて活動しなければなりません。そうでないと一面にかたより、すべての活動を掌握して指導することができません。

 計画的に活動するためには、計画を正しく立てなければなりません。計画には過度に多くのことを予定せずに、その日に中心的におこなうべき問題だけを予定すべきです。一部の人の計画書をみると、不要な活動目的や活動方向などを書き込んでおり、実行できないような事項が多く記入されています。かれらは、計画書を書類箱にしまい込んだまま見ようともせず、計画どおり活動せずにいて点検を受けるときにはじめて取り出して見せています。このような計画はないのも同然です。

 中心郡党委員会の活動計画は複雑に立てることなく、会議の計画を簡単に立てればよいのです。その日に遂行すべき活動を見込んで、郡党常務委員会と協議会で討議する問題を定め、計画に予定すればすむはずです。

 しかし、計画を簡単に立てるからと、会議で討議すべき議題を書き入れるだけではいけません。例えば、営農期が近づけば営農準備の状況を郡党常務委員会で討議することを計画に予定することができますが、計画書にたんに「営農準備状況を検討する」と書くのでなく、誰に準備をさせて報告をさせるかということまで明記すべきです。営農事業の報告は、郡協同農場経営委員長か協同農場管理委員長、または、里党委員長にさせることもできます。このように計画を作成し、本人に知らせて事前準備を十分にさせたうえで郡党常務委員会で営農準備状況を討議すれば、手ぐわをはじめ、農機具の準備が不十分だとか、役牛や堆肥、労働力が不足しているとか、さまざまな問題点が提起されるでしょう。そうすれば、それらの解決策を明確に立てることができるはずです。

 私の考えでは、郡党常務委員会は、月に3回程度予定するのがよいでしょう。例えば、今月に工業と農業で必ず解決しなければならない重要な問題があり、党組織活動の重要な問題があるとすれば、郡党常務委員会で、工業問題、農業問題、党組織活動と関連した問題をそれぞれ一度ずつ取り上げることができるはずです。

 幹部問題を扱う郡党常務委員会だけでも1か月のあいだに数回開くそうですが、それは党活動が正しくおこなわれていないためです。能力のない人を十分に調べずに幹部に配置し、教育もせずに放置しておいて、解任したり頻繁に転任させるので、常務委員会が幹部問題をたびたび取り上げるようになるのです。幹部を十分に理解した後で配置し、5、6年間そのポストに勤めさせるようにすれば幹部問題をそれほど頻繁討議しなくてもよいはずです。

 また、郡党協議会は、月に2回くらい開くのが適当です。協議会は、農業技術者や工業技術者、商業部門の活動家とも開けるし.教員や司法・検察部門の活動家とも開くことができます。

 中心郡党委員会の活動計画には、このように郡党常務委員会と協議会を含めて5回ほどの会議を予定し、中心郡党委員長が直接おこなうべき他の活動は自分の指導活動計画に予定すればよいのです。

 中心郡党委員長自身の活動計画は、党中央委員会と道党委員会が招集する会議に参加する期間も考慮して作成しなければなりません。中心郡党委員長は、党中央委員会には平均2か月に一度ほど、通党委員会には1か月に数回行かなければなりません。道党委員会には会議のほかにも、提起された諸問題を討議するために行かなければなりません。交通の便はよいので、幹部問題をはじめ、重要な問題は直接道党委員会に行って討議するのがよいと思います。それで、道党委員会には月に2回ほど行くことを予定すべきです。

 中心郡党委員長が、郡党常務委員会および協議会をおこなう期間と党中央委員会および道党委員会に行っている期間を月に平均10日ほど予定すればよいでしょう。

 こうしてみると、1か月のうち20日が残りますが、このあいだにおこなう学習や下部の指導、活動家の教育といった計画を立てなければなりません。計画には、郡党委員会の部署会議や工場党委員会、里党委員会、郡協同農場経営委員会などの会議への参加を予定するのもよいでしょう。また計画には、ある問題を準備して活動家のための講習会を開くことや、協同農場管理委員長、里党委員長、学校の校長、社会安全機関の活動家と話し合うことを予定するのもよいでしょう。

 このように、計画を作成して活動を計画的におこなえば、すべての事業をもれなく指導し、郡の事業全般を掌握して、仕事を順調に進めることができます。
 中心郡党委員長は、正しい活動方法とともに、正しい活動作風を所有すべきです。

 まず、中心郡党委員長は、謙虚でおおらかでなくてはなりません。

 党活動家が気難しく高慢であれば、人がよりつきません。ですから、そうした作風では党活動を立派におこなうことができません。機械を扱う人は気難しくても大して問題はありませんが、対人活動をおこなう人はなにか気に入らないことがあっても、そのように行動してはなりません。気難しいのはもちまえの性格なので直せないという人がいますが、それは間違いです。気難しい性格でも、それを直すことを重要な党の課題と考え、正しい作風を身につけるために極力努力しなければなりません。対人活動を立派におこなうためには、笑顔もつくらなければならず、誰でも遠慮なく訪ねて来て自分の意見が言えるように人々に接しなければなりません。

 だからといって八方美人になって活動家の怠慢を黙認したり、人にあたりさわりなく接しようとしてはなりません。平素は人々と親しく話を交わし一緒に食事をとり、娯楽もともに楽しみおおらかに接しながらも、仕事のうえでは妥協がなく厳格でなければなりません。活動家に任務を与えたあとには、それを必ず実行するよう強く統制し、仕事を怠るときには厳しく批判すべきです。

 同時に、中心郡党委員長は、常に活動と生活で率先垂範しなければなりません。労働規律を誰よりもよく守り、困難な問題が提起されれば人の先頭に立ってそれを打開しなければなりません。会議にも遅刻をせず人よりも先に会場に行き、すべての面で他人の模範とならなければなりません。そして、酒も度を越さないようにし、堕落することなく常に質素に生活すべきです。

 また中心郡党委員長は、常にすべての問題を深く考え、人にかんする問題は慎重に処理しなければなりません。

 中心郡党委員長は10万以上の大衆を指導するだけに、それは決して容易なことでありません。このように、多くの大衆を正しく指導して革命課題を成功裏に遂行させるためには、常に慎重に活動しなければなりません。

 現在、提起された問題をさまざまな角度から分析して慎重に検討せずに処理するのが幹部の大きな欠点です。問題の一面を見るだけで他の面を見ないため、処理された問題を検討すると誤ったことが少なくありません。これは結局、活動家の水準が低く、修養が足りないことを示しています。

 なにごとでも正しく処理するためには必ず、すべての側面を検討すべきです。

 特に、人にかんする問題を処理するときには一時的な気分にとらわれて結論をくだすことなく、長所と短所を同時に検討して結論をくだすべきです。かりに過ちをおかした人がいるとすれば、かれの長所と短所はなんであり、どちらが多いか、寛大に許すときと処罰するときにそれぞれどのような結果をまねくか、といったことを検討して処理すべきです。

 幹部の問題では、いっそう慎重を期さなければなりません。幹部の活動に多少の欠陥があるからといってみだりに処罰したり解任しようとせず、正しく教育してかれらが過ちをおかさずに立派に活動するようにすべきです。他の問題もそうですが、特に幹部問題は、道党委員会と協議して処理すべきです。ある幹部の問題が提起されたときには、さまざまな角度から分析して決心をしてから、道党委員会に行って、かれの長所と短所はなんであり、留任させて教育するならばよい点、悪い点はなんであるのか、詳しく意見をそえて協議して処理すれば間違いがないはずです。

 人の問題の処理ばかりでなく、党の政策を実行するすべての活動を手配するにあたっても、中心郡党委員長は慎重でなければなりません。ある課題が提起されたときには、その遂行方途を十分に検討して立て、どうすればそれがいっそう順調に運ぶかを深く研究すべきです。

 最後に、中心郡党委員長は、学習を強化すべきです。

 中心郡党委員長は、たえず水準を高めることなしには発展することができず、自分に課された重大な革命任務を成功裏に遂行することができません。

 自分は以前、高級党学校や大学を卒業したのだから学習しなくてもよいと考える人がいるとすれば、それは大きな間違いです。学校でいかに多くのことを学んだにしても、それをすべて記憶しているわけでもなく、また、以前に学んだ知識のなかには、古くなって役に立たないものもかなりあるはずです。ことに大学を出たからといって、時期ごとに示される我が党の政策に精通することはできないのです。したがって、どの学校を卒業したかにかかわりなく、誰でもたえず学習しなくてはなりません。

 なによりもまず、党政策の学習に力を入れ、それに精通しなければなりません。

 中心郡党委員長は、党の文献と決定、指示を深く研究して精通してこそ、党の政策に反することを適時に知り、提起される問題を党の意図に従って正しく処理し、常に党の思想どおり考え、行動することができます。

 党の政策とならんでマルクス・レーニン主義の基本原理を学習し、経済知識も広く学ぶべきです。中心郡党委員長が経済知識を所有してこそ、工業と農業を正しく指導し、技術革命も積極的におし進めることができます。

 また、中心郡党委員長は、文化水準と一般知識水準を高めるためにもたゆみなく学ばなければなりません。

 中心郡党委員長は、学習が自分に課された重要な課題であることを深く認識し、革命的な学習気風を確立するために努力すべきです。みなさんは年齢もあまり多くはないので、努力すればいくらでも学べるはずです。

 まず、1日に2時間以上学習する気風を確立すべきです。自習は、勤務時間にしようとせずに他の時間におこなうべきです。勤務時間以外にも学習時間はいくらでもあります。朝早く起きて出勤前に1、2時間読書をし、夜帰宅して新聞や雑誌を読む習慣をつけるべきです。こうして、毎日食事をとるように学習を日常化し、一日でも学習をしなくては過ごせないようにすべきです。

 多く読書するばかりでなく、党学校の通信教育講義を受けるのもよいでしょう。そして、土曜学習にかかさず参加すべきです。

 中心郡党委員長が水準を高めるためには、技術者と話し合い、技術協議会にも参加し、知らないことは下部に行って技術者に尋ねるべきです。また、技術者を郡党委員会に招いて経済・技術問題の講演を聞くのもよいでしょう。

 技術者に講演をさせるのは、かれらに勉強をさせるためにも必要です。技術者に一定の題目を与え、郡党委員会で講演をする任務を与えるならば、かれは多くの書物を読むはずです。私は常に、党中央委員会の当該部署に、科学者と協力して所与の問題を準備し報告するよう課題を与えます。それで、学者と当該部署の活動家は、多くの資料に目をとおし学習を多くおこなうようになります。みなさんもこのように技術者に課題を与えて報告させたり講演をやらせて、かれらにも学習させ、自分もまた多くのことを学ぶようにすべきです。

 今後、郡党委員長をはじめ、郡党委員会の活動家が、学習を着実におこなえるよう参考資料を多く出すべきです。党政策にかんする学習資料ばかりでなく、工業と農業の参考書も出すべきです。経済知識の参考書は、党の政策と結びつけて簡単で平易に書くべきです。そして、経済雑誌も多く出版し、『労働新聞(ロドンシンムン)』にも多少の経済知識を載せるのがよいでしょう。経済雑誌に載せる論文は長文にせず、内容が豊富でありながらも短く書くべきです。

 こうして中心郡党委員長が学習に励んでこそ、他の人にも学習を熱心にさせることができます。

 中心郡党委員長として赴任するみなさんにきょう話そうとしたのは以上のようなことです。

 みなさんは、重要な名誉ある党の任務を受けて郡に赴任することになりました。したがって、誤りをおかすことなく、立派に活動しなければなりません。みなさんが工業を直接指導しながら生産現場に行ってみれば、生き生きとした現実にふれ、労働者から多くのことを学ぶことができるはずです。現実から虚心に学び、綿密に活動に取り組めば、仕事も楽しく、多くの成果をおさめることができるでしょう。

 私は、みなさんが自己に課された任務を遂行するために努力し、党の信頼と期待に立派にこたえるものと確信します。

 出典:『金日成著作集』17巻


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