金 日 成

テアンの事業体系をいっそう発展させるために
大安電機工場党委員会拡大会議でおこなった演説 
−1962年11月9日−

 このたび大安(テアン)電機工場党委員会拡大会議に参加して、工場党委員長の報告やみなさんの発言を興味ぶかく聞きました。

 この会議は、この1年間にみなさんが党政策の貫徹でおさめた大きな成果を総括する勝利者の会議であります。

 みなさんは、今年の計画を2か月も繰り上げて超過遂行しました。精密度と高度の技術を要する機械工業で、3か年計画や5か年計画ならともかく、わずか1年間の計画を2か月も期限を繰り上げて遂行するというのは、まれに見る成果であります。

 みなさんは年間計画を期限前に超過遂行することによって、来年度の生産に必要な技術的準備と原料の貯蔵を十分ととのえる余裕をもつようになり、来年度にいっそう大きな成果をおさめる確固たる土台をきずきあげました。

 一般に、緊張した生産闘争をおこなったところでは、設備が少なからずこわれて使えなくなるとか、工場が乱雑になるとか、いろいろな弊害が生じがちです。

 ところがこの工場では、設備がいっそう立派に整備され、工場はたいへん清潔になりました。党員や労働者たちは、技術水準が向上し士気旺盛で、工場内の団結がより強化されました。みなさんは実に秩序整然と緊張した生産闘争を進め、すべての面で大きな勝利をかちとりました。

 これは昨年末、この工場ではじめて取り入れた新しい工場管理体系と生産指導体系が確かにすぐれていることを実証するものであります。

 以前の工場管理体系も社会主義的なものではありますが、資本主義的な残りかすを多分にふくんでいる管理体系であったといえます。そこには、官僚主義、機関本位主義、個人主義・利己主義の要素がかなり残っていました。上部は下部に出向いて援助するのではなく、官僚主義的に号令をかけるばかりであったし、職場相互間には助けあう気風が欠け、人びとのあいだでも「お前はお前で、俺は俺」といった個人主義・利己主義の傾向がありました。そのため、以前の事業体系では、労働者の積極性と創意性を十分発揮させることができず、人びとは、ただ忙しく動き回るだけで、生産で大きな成果をあげることができませんでした。

 大安の事業体系はかつての事業体系とは根本的に異なり、共産主義的企業管理の要素を多分にもっているすぐれた事業体系であります。この新しい事業体系は「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という集団主義的、共産主義的な生活原則を立派に具現しています。この事業体系では、上部の人は下部の人を助け、知っている人は知らない人に教え、すべての人が同志的に協力し、すべての職場が互いに緊密に協力しています。

 昨年この工場に来たときには、党幹部と管理幹部のあいだがしっくりいかず、技師長と支配人も互いに不満をもっていたし、労働者とインテリのあいだの団結もうまくいっていませんでした。ところが今度きてみると、そのような欠点は改められ、みながむつまじく団結しており、工場全体に共産主義的を生活気風が確立されています。

 仕事のうえで共産主義的な原則が貫かれれば、おのずと官僚主義もなくなり、利己主義もなくなるものです。多くの人が生産で革新を起こしましたが、かれらは決してより多くの金を受けとるためではなく、国家と人民のために献身的に働いたのであります。人びとを金銭しか知らない人間にしては、共産主義へ進むことはできません。共産主義へ進むためには経済を発展させなければないませんが、人びとの古い意識も改造しなければなりません。人びとが自覚的に意識的に、すなわち共産主義的に働くようにすることが、何よりも大切であります。

 この事業体系は、人びとが共産主義的に働き、共産主義的に生活できるようにする事業体系であります。これは、すべての人を団結させ、かれらの献身性と創意性を積極的に発揮させるので、生産でいっそう大きな成果をもたらします。

 新しい事業体系の威力は、団結と協力の威力であり、大衆の自発的な熱意と創意性の威力であり、党の指導が下部に深く及ぶところから生ずる威力であります。

 もちろん、このような威力は、単なる機構改革によって生まれるものではありません。機構は他のところでもすべて改めました。しかし、いまだに少なからぬ工場では、新しい機構の威力が十分に発揮されていません。

 機構というのは、それにふさわしい活動方法と結びついたときにのみ、威力を発揮するものです。いくら機構を改めても、活動方法が官僚主義的であってはなんにもなりません。みなさんが大きな成果をおさめることができたのは、新しい管理機構を運営するにあたってチョンサンリ(青山里)方法に依拠したからであります。

 みなさんは、この一年間新しい管理機構に即して、チョンサンリ方法を徹底的に貫くため献身的にたたかって大きな成果を達成し、共産主義的な生活原則を具現した新しい事業体系の大きな優位性をはっきりと証明しました。

 みなさんは、党が示した共産主義的を工業管理・運営方法を優に実現できるということをみずから体験したばかりでなく、このような活動方法と事業体系を他のすべてのところでも十分適用できることをわが国の全勤労者に示すことによって、新しい事業体系を確立するたたかいで栄えある先駆者の役割を果たしました。

 いま、この席には党中央委員会政治委員たちと共和国内閣の構成員がみな参加しています。わたしは党中央委員会と共和国政府が、みなさんの達成した業績にたいして非常に満足に思っていると伝えるものです。

 工場の党委員会はもちろん、すべての党員と労働者、技術者、事務員、給養部門の活動家、教員が党の政策を貫くために一致してたたかい、さらには家庭の主婦もこの闘争に積極的に参加しました。

 古いものを捨てさり新しいものを作りだそうとすれば、難関にぶつかることもあり、動揺する人も出てくるものであります。しかし、工場党委員会と全党員は、党の政策を実行するために粘り強く取り組み、あらゆる難関を勇敢に克服して不撓不屈の闘争をくりひろげました。

 わたしは党中央委員会を代表して、党の政策を貫くため献身的にたたかった工場党委員会の委員、細胞委員長、細胞委員、工場内の全党員、そして、民主青年同盟員、職業同盟員、女性同盟員とすべての労働者、技術者、事務員に感謝を送ります。

 みなさんも大いに発言しましたが、わたしは大安電機工場にうち立てられた新しい事業体系の優位性について、いま一度強調したいと思います。

 新しい事業体系の第1の優位性は、それが工場の管理、運営において集団性を十分保障することにあります。

 以前は、工場におけるいっさいの決定権を支配人がもち、生産にたいする責任も支配人が負っていました。労働者は、工場の管理、運営に積極的に参加せず、かれらはただ8時間のあいだ自分の受け持った仕事をして家に帰ればそれまででした。工場で生産がうまくいくかどうかは、かれらにとってほとんど関係のないこととなっていました。

 しかし、新しい事業体系では、工場党委員会が最高の指導機関として工場を管理、運営し、すべての党員、労働者、技術者が工場の管理に参加しています。生産にたいして特定の個人が責任を負うのではなく、すべての党員と労働者、技術者が責任を負い、何よりもまず集団的指導機関である工場党委員会が責任を負うのであります。

 支配人ひとりで責任を負い、労働者、技術者が生産管理に参加しないならば、労働者は生産の主人としてではなく、ただ官僚主義的な命令や指示に服従する一介の使用人として行動するにすぎません。これは社会主義制度の本性に反するものであり、またこのようにしたのでは勤労者大衆の創意と積極性を発揮させることはできません。

 党委員会が、重要な問題について集団的に討議し、工場を管理、運営すれば利点がたくさんあります。

 この工場の党委員会には35名の委員がいるとのことですが、この35名が集団的に討議をおこなえば、よい意見がたくさん出てくるでしょう。ここには、党の幹部、管理幹部、中核的な労働者や技術者がみな入っています。したがって、党委員会は党員や労働者の意識状態や技術水蜂、そして、技術整備の状況、資材および給養物資の供給状況など、工場内のすべての事情を考慮に入れたうえで正しい方針と対策を立てることができます。

 そして、党委員会が集団指導を立派におこなえば全党員を動かすことができるし、全党員が動けばすべての勤労者大衆を動かすことができます。党委員会の指導のもとに、すべての党員と勤労者が生産を円滑におこなうために、工場をよりよく管理、運営するために意識的に活動するようになれば、これ以上徹底した集団指導はなく、これ以上、工場の集団的な力を発揮させる方法はありません。このようになりさえすれば、すべての問題を正しく解決することができるし、生産で大きな革新を起こすことができます。

 他の工場で新しい管理体系を取り入れたのちも、まだ大きな成果をあげられずにいる主な原因は、党委員会がその役割を十分に果たしていないところにあります。例えば、黄海製鉄所などでは、党委員会に中核的な役割を果たす人びとが入っておらず、第二義的な部門の人がたくさん入っていたため、党委員会が集団的指導機関としての役割を十分に果たすことができませんでした。そのため、ひところ黄海製鉄所では仕事が順調にいきませんでしたが、現在では党委員会の活動を改善した結果、生産が再び正常化されています。

 みなさんが党委員会の活動を強化するために委員の水準を高め、かれらが意見を十分述べられるようにしたのは非常によいことであります。

 大安電機工場がおさめたすべての成果は、生産指導における最も重要な課題が党委員会の活動を強化し、工場で働く全党員の前衛的役割を高めることであるということをいま一度はっきりと示しています。

 ひきつづき工場党委員会と職場細胞委員会の役割を高め、各党員に任務を分担してすべての党員を活動させ、すべての大衆が動くようにしなければなりません。

 次に、新しい事業体系の優位性は、それが工業を計画的に運営するうえで最も効果的であるということです。

 大安電機工場の活動経験が示しているように、新しい体系では計画化事業の正確さを期するために生産者と直接協議し、生産を指導する人がみずから計画を作成するようになっています。

 社会主義経済を運営するうえで、計画化は最も重要な問題の一つであります。計画化を正しくおこなうためには、設備の状態や資材の供給状況、労働力、勤労者の技術水準など生産に必要なすべての要因を綿密に検討しなければなりません。ところで、これを一番よく知っているのは誰でしょうか。それは、直接生産にたすさわっている労働者であります。

 労働者は、工場の設備状態はどうか、原料は十分供給されているか、機械は使いこなせるがなど、すべてをよく知っています。直接生産にたずさわる人と協議もせずに、机のうえで数字上の計算をするだけでは、決して現実に即した計画を作成することはできません。

 現在の政治経済学の教科書には、計画化を保障するためのさまざまな条件が書かれていますが、計画化事業において大衆路線を貫くことについては強調されていません。わたしは、大衆路線にもとづく新しい経済学教科書をつくる必要があると考えます。

 生産者大衆を参加させずに作成する計画は主観主義的な計画であり、そのような計画を下部に押しつけるのは官僚主義であります。国家計画、管理局計画、工場計画または職場計画にいたるまで、すべて生産にたずさわる人たちとの討議をへて作成しなければなりません。

 一部の人たちは、労働者は楽なことばかり好むと言っていますが、これは労働者の革命性を信じない正しくない考えです。労働者階級は、社会主義・共産主義建設の主力部隊であります。労働者に正しい認識を与えれば、かれらのなかからすべての問題を解決する対策が生まれてきます。

 わが党がきわめて困難を状態にあった1957年当時、我々は難関を打開する対策を直接、労働者と討議しました。労働者たちに国内的にも国際的にも我々が困難な事情に直面していることを率直に知らせ、これを乗り切る唯一の道は、節約と増産によって経済建設をいっそう促進することであることを認識させました。そうしたところ、降仙製鋼所の労働者は、以前には通常能力に従って、6万トンしか生産できないといわれていた分塊圧延職場で12万トンを生産しました。これは計画が大衆との討議をへて作成され、大衆がその計画を自分のものとして受けとめたときには、いかに緊張度の高い困難な計画であっても必ず実現できることを示す一つの実例であります。

 もし、我々が大衆と協議せず、平壌にいて計画を立てたとしたら、降仙製鋼所の分塊圧延職場では6万トンしか生産できないものと決めこんでいたでしょうし、かりに計画に6万トンを超過する数字を書き入れたとしても、それは実現しなかったに違いありません。

 今年、黄海製鉄所で困難に直面したのも、金属管理局が労働者の意見を受け入れず、官僚主義的に仕事をしたことに起因しています。例え、生産計画の数字が多少高かったとしても、管理局が労働者と討議し、かれらの意見を受け入れて積極的な対策を立てていたならば、今年度の計画は問題なく遂行されていたでしょう。

 常に計画を生産者と協議して作成し、その計画を生産にたずさわる大衆自身のものにするという原則を徹底的に守らなければなりません。

 計画は、必ず生産を指導する人が直接作成しなければなりません。それにもかかわらず、これまで金属管理局では計画の作成を計画担当者だけに任せて、生産を指導する人はその計画を検討もせずに上部に提出し、計画はそっちのけにして勝手に仕事をしました。このようにしたため生産の実情に適した計画を作成することもできず、生産にたいする計画的な指導もできなかったのであります。

 生産を指導する人が生産者である労働者と協議して計画を立て、その計画を生産者自身のものにすることは、新しい事業体系のきわめてすぐれた点であるといえます。

 次に、大安の事業体系の優位性は、生産にたいする技術指導を強め、生産を総合的に指導するようになっていることであります。

 生産過程とは結局、技術工程であります。技術を知らなければ生産を指導することはできません。生産は必ず技術的に指導しなければなりません。

 そして計画の作成から技術準備や生産過程の指導にいたるまで、生産と直接つながりのある仕事はすべて、技術を知っている人が総合的に指導することが必要であります。

 以前の事業体系では、生産と関連のある各部署が互いに分離され、生産を総合的に指導する参謀部がありませんでした。

 工場での仕事は、生産のための仕事であります。すべてを生産に服従させるべきであり、生産を指導する人が参謀長の役割を果たさなければなりません。生産を計画し、準備し、指導する仕事は、ある一人が掌握しておこなわなければなりません。これをなん人かの人が分けて受け持ったのではうまくいきません。

 工場では誰が参謀長の役割を果たすべきでしょうか。支配人でも技師長でも結構ですが、いずれにしても技術をよく知っている人が担当しなければなりません。支配人は工場の事業全般を指導するので、技師長が参謀長の役割を果たすのかよいでしょう。

 軍隊でも参謀長が戦闘を準備し組織します。作戦計画を立てることから戦闘準備、戦闘指揮にいたるまで、参謀長がすべてを詳しく知っているように、技師長は生産について何でも知っていなければならず、生産の全過程を統一的に指導しなければなりません。

 このような事業体系は、我々が長いあいだの闘争をつうじて積みかさねた経験にもとづいてつくりあげたものであります。大安電機工場での1年間の経験は、技師長を中心とする統一的な参謀部を設けたことが、生産にたいする指導を円滑に保障するうえで大きな優位性をもっていることを示しています。

 次に、新しい事業体系は、生産に奉仕する各部署の役割を根本的に改善しました。

 以前は、生産にたずさわる人びとに物資を適時に供給しませんでした。

 資材の供給でも、上部では伝票を切るだけで何の責任も負わず、ことごとく生産にたずさわる者が責任を負うようになっていました。そのため、職場長とその他の責任ある幹部たちは、生産を指導するのではなく、資材を入手しようとかけ回るのに多くの時間を費やしました。これは官僚主義的で資本主義的な活動方法であります。

 しかし、いまでは、資材を上部から下部に供給する体系がうち立てられたため、職場長は資材の心配をすることなく本来の任務に専念できるようになりました。かれらは、生産の指導と設備の整備および勤労者の技術水準の向上に力を集中できるようになりました。

 生産過程での決定的な要因は、人間と生産用具、すなわち、生産者と設備であります。原料も重要ですが、これは供給してくれる人が別にいるので、生産を指導する人は対人活動、技術設備にたいする活動を立派におこなえばよいのです。今度この工場に来て職場長と話し合ってみたところ、かれらは資材を手に入れるために時間を費やしたのではなく、設備の整備、労働者の意識水準と技術水準の向上、生産の指導に力を傾けたと言っています。これは大変よいことであります。

 上部から下部へ資材を円滑に供給するためには、機械工場のなかに半製品倉庫を設けるのかよいと思います。特に、多くの種類の部品や半製品で機械を組み立てる工場には、必ずこのような倉庫がなければなりません。

 半製品倉庫は部品や半製品を蓄えておき、それを適時に供給する連帯生産司令部としての機能を果たすことができます。半製品倉庫は各職場との連係を強めて、連帯生産に必要な資材を系統的に確保しておき、これを必要な部門に円滑に供給しなければなりません。倉庫では資材を保管するだけでなく、どの部門に、どの部品と資材がどれくらい必要であるかを具体的に調べ、それを供給するために常に資材を準備しておかなければなりません。

 資材の予備があれば生産の不均衡をなくすことができます。いま資材をしきりに蓄えていますが、必要なものはなく、不必要をものがあり余るという現象が少なくありません。このような現象をなくし、資材の供給と連帯生産を円滑におこなうためには、倉庫長が計画の作成に参加し、生産の実情も十分知っていなければなりません。

 管理局の資材商社も、工場間の連帯生産が円滑におこなわれるよう責任を負わなければなりません。資材商社の人は、各工場に必要な資材の予備をつくるため、生産過程に深く浸透して不合格品の生産をなくし、生産量を調節し、生産期間を短縮するうえでも一定の作用を及ぼすようにならなければなりません。こうなれば、資材商社は連帯生産司令部の役割を果たし、各工場へ資材を順調に供給することができるでしょう。

 生産を円滑におこなうためには、給養活動を活発におこなわなければなりません。

 以前は、労働者の生活にたいして責任を負う機関がありませんでした。しかし、新しい事業体系には、労働者の生活を保障するための給養体系がうち立てられています。

 大安電機工場では、給養担当副支配人と工場労働者地区の政権機関、総合商店、農牧場、協同農場など、給養活動に参加するすべての機関が一つの経営委員会を組織して、その地区の労働者の生活にたいし完全に責任を負うという新しい給養体系をうち立てました。

 以前には、これらすべての機関が連係をもたず、おのおの勝手に機関本位主義的に活動したため、労働者に供給できる物資さえも満足に供給できませんでした。

 しかし経営委員会が組織され、給養担当副支配人の指導のもとに、これらすべての機関が労働者の生活を保障するため緊密に協力した結果、給養活動は著しく改善されました。今後もひきつづき、このような給養体系を発展させなければなりません。

 以上で述べたように、大安電機工場における1年間の活動経験は、わが党のうちだした新しい事業体系が勤労者大衆の熱意と創意を呼びおこすうえで、生産にたいする指導を強めるうえで、また生産と労働者の生活のための供給を保障するうえで、その優位性を十分発揮していることをはっきりと示しています。

 我々は、この革業体系をいっそう発展させ、これをすべての部門に取り入れる必要があると考えます。

 新しい事業体系を取り入れるうえで、最も重要なことは革命的な闘争精神であります。党の政策を貫くために粘り強く取り組み、さまざまな困難を勇敢に克服していかなければなりません。大安電機工場の活動経験から学ばなければならない点は、まさにここにあります。いかに立派を事業体系でも、このような闘争精神がなければ、その優位性を十分に発揮させることはできないのであります。

 次に、みなさんの今後の課題について述べたいと思います。

 みなさんがおさめた成果がいかに大きなものであっても、それは1年という短期間に得たものであるということを知らなければなりません。みなさんの活動には、いまなお少なからぬ欠陥があり、研究を重ねてさらに発展させるべき点もたくさんあります。みなさんの課題は、達成した成果にもとづいて新しい事業体系をさらに完成するために、ひきつづき努力することであります。

 工場の管理機構をいっそう合理的につくるために努力すべきであり、活動方法を改めるためにもいっそう努力しなければなりません。新しい事業体系は一言で言って共産主義的な事業体系であります。すべての働き手が共産主義的な活動作風と活動方法を身につけなければ、新しい事業体系を運営することも、さらに発展させることもできません。それゆえ、誰もがチョンサンリ方法、チョンサンリ精神でいっそうしっかり武装しなければなりません。

 次に、工場における党の指導的役割を高めることにひきつづき深い関心を払わなければなりません。党委員会と党細胞を強化し、党員の前衛的役割をいっそう高めなければなりません。

 工場の主人は、すべての党員であり、党委員会であります。すべてのことは、党が決定し、組織し、指導します。

 工場党委員会はこの1年間、活動を立派におこなってきました。弱い環をそのつどとらえて、難関を克服するために党員を立ち上からせ、動揺することなく最後まで党の政策を貫いてきました。いわば工場党委員会が、舵取りの役割を立派に果たしたといえます。党員と勤労者大衆に革命伝統の教育をおこない、かれらを団結させる活動も立派に進め、文化革命でも大きな成果をおさめました。

 他の工場でも、この工場党委員会の活動を手本として、党活動を改善する必要があると思います。

 一部の党活動家は、ふろしき包みをかかえてあちこち飛び回ってばかりいますが、こんなことでは仕事がうまくいくはずがありません。党活動家がまるで行商のように明け方から上を下へと駆けずり回ってばかりいたのでは、舵取りの役割を果たすことはできません。大衆のなかに深く入っていき、仕事を研究し、大衆に方向を示し、かれらの仕事をたえず援助しなければなりません。事実、平安南道党委員会は、大安電機工場の党委員会の活動にこれといった援助を与えていません。党は、常に舵取りの役割を果たさなければなりません。

 この工場党委員会の活動から学ぶべきもう一つのことは、党の力量を適切に配置したことであります。ここでは、党員を重要な部門に配置し、その前衛的役割を高めるために大きな努力を傾けました。現在、この工場では党員が非党員より技術水準も高く、より困難な仕事を受け持っています。

 協同農場に行ってみると、党の力量の配置が正しくおこなわれていないところが少なくありません。党員が第二義的な仕事をしたりして生産で成果をあげておらず、困難な仕事の先頭に立っていません。

 党員ともあろうものが楽な仕事を受け持ち、空論に明け暮れていたのでは、どうして前衛的役割を果たしているといえるでしょうか。党員は、何よりもまず生産で模範とならなければなりません。党員は生産で困難で重要な部門を受け持ち、非党員よりも熱心に働かなければならず、技術もより積極的に学び、生活においても文化性を高め、尊大ぶらず謙虚でなければなりません。そうすれば、党員が大衆のなかで発言権をもち、信望を得て大衆を導いていくことができます。

 工場、農村を問わず、あらゆるところで党員の役割を高めるためにひきつづき努力しなければなりません。

 次に重要なのは、自力更生の革命精神をさらに発揮することであります。自力更生の精神とは自力で革命をなし遂げようとする精神であります。ないものは作りだし、足りないものはもっと探しだし、わからない問題は学び研究して知るように努め、すべての難関と試練を恐れることなく、それを勇敢に克服して前進する不屈の革命精神で武装しなければなりません。

 他人の力に頼らず、すべてのことを自力でやっていかなければなりません。我々は兄弟諸国の人民から援助を受けましたが、それは、わが国の発展を促進する一つの条件となったにすぎません。決定的なのは、朝鮮人民自身の闘争であります。

 大安電機工場にしても、誰かの援助で建設したのではありません。全国各地に2千余の地方産業工場を建設しましたが、これも援助によるものではありません。現在、我々は大小すべての工場を基本的に自力で建設しています。技術図面も自力で作成し、建設も自力でおこなっています。

 もちろん、一部の機械は外国から輸入していますが、それも金を支払って買い入れるのであって、ただでもらうのではありません。今後も必要な機械を買い入れることがあるでしょう。自力更生というのは、他国の機械を全然使わないことを意味するのではありません。それはまた、他国から学ぶのを拒むことでもなければ、他国の援助を全然受け入れないということでもありません 。要は、自分の力が主でなければならないということであります。

 言うまでもなく、機械もできるだけ自力でつくるのがよいでしょう。昨年、みなさんは自力で大きな機械を製作しましたが、今後さらに多くつくるべきだと思います。わたしは外国から機械を買い入れず自力でもっとつくろうという、みなさんの意見に全面的に賛成であります。

 昨年、みなさんのつくった機械を外国から買い入れようとすれば3年はかかります。我々は、毎日毎時建設に追われているのに、どうして3年間も我慢できるでしょうか。自力でつくれるものはなんでも、大胆に自力でつくって使わなければなりません。

 我々に自力更生の革命精神があったからこそ、チョンリマ(千里馬)を駆ることができたのです。他人が我々をチョンリマに乗せてくれたのではありません。乗馬術を心得ていないものは、他人に乗せてもらっても落馬してけがをしかねません。我々は自力でチョンリマにまたがり、ひきつづきチョンリマの手綱を放さずに前進しています。

 今後、仕事をさらに立派におこなって、3、4年後には新たなより高い目標を達成しなければなりません。何よりもまず、人民生活を画期的に向上させなければなりません。ここで重要な課題は全人民に白米を常食とさせることですが、そのためには3百万トンの米を生産しなければなりません。

 他人が我々に白米のご飯を食べさせてくれるだろうと考えるのは愚かなことです。我々は自力で白米を常食とするために努力しなければなりません。

 どのようにすれば白米を食べる問題を解決できるでしょうか。潅漑工事を多くおこない、トラクター、トラック、化学肥料をもっと大量に生産すれば解決できます。みなさんの課題は、発電機、電動機、変圧器をより大量に生産することであります。

 米の問題が解決されれば、他の穀物は飼料に回せるので、食肉の問題も解決できるでしょう。

 努力さえすれば、魚ももっと多く食べることができます。みなさんが電気設備をもっと多くつくれば、漁船もたくさん建造し、漁獲量を増やすことができます。

 かわらぶきの家に住む問題も自力で十分解決できます。

 我々には将来、いっそう豊かな暮らしのできるしっかりした元手があります。我々は自力で十分豊かな暮らしをすることができます。これは、なんぴとも奪うことのできない我々の権利であります。

 次に、みなさんは、製品の品質を高め、資材を節約するためにひきつづき力強くたたかわなければなりません。みなさんは銅、雲母、絹織物など、きわめて貴重な資材を大量に扱っています。みなさんが不合格品を最小限度に減らし資材を節約すれば、国家に大きな利益をもたらすことができます。

 製品の品質を高めるためには、労働者、技術者の技術水準を向上させなければなりません。わが国の文献や外国の文献も大いに研究し、最新技術を身につけるためにいっそう努力すべきであります。技術者は、いささかも自己満足することなく、速やかに世界的な技術水準に追いつくために、ひきつづき力強くたたかわなければなりません。

 次に、幹部養成事業をさらに立派におこなわなければなりません。この工場は他の工場の模範となるべきであり、他の工場を積極的に援助しなければなりません。そのためにはみなさんが幹部をたくさん養成して、他の工場にも一部送ってやらなければなりません。

 この工場の労働者を全部、幹部に育てあげなければなりません。昔は文武を兼備すべきものとしていましたが、みなさんは優秀な技術と革命的な思想で武装した幹部にならなければなりません。

 そうなれば、この工場は、わが国の機械工業の発展で大きな役割を果たすことができます。これは、きわめて重要な課題であります。このたびの会議でこのような課題を受けとめ、その実現のために努力すべきだと思います。

 次に、給養活動をさらに改善しなければなりません。寄宿舎に行ってみましたが、いまなお改善すべき点がたくさんあります。点数をつけるとすれば、かろうじて3点ぐらいでしょう。5点満点をもらえるように、さらに立派にととのえなければなりません。供給条件も改善し、村や住宅ももっときれいに、文化的にととのえなければなりません。野菜も切らさないようにし、食用油も十分供給し、水産物も毎日200グラム程度は供給すべきです。給養活動が3点の成績では幹部部隊にはなれません。みなさんがこの工場をもっと立派につくれば、将来幹部に選ばれて他の工場へ行っても、この工場を手本にして自分の工場を立派につくることができます。

 裏山に果樹園をつくり、周囲ももっと清潔にしなければなりません。そして誰もが、もう少し文化的な生活をするようにしなければなりません。いまなお身なりのきちんとしていない人が目につきます。労働者やその家族がすべて、自分の身のまわりを清潔にするようひきつづき努力しなければなりません。

 このたびみなさんの会議に参加して、立派な経験を多く学びました。大安電機工場で積みあげた経験を他の部門にも一般化するのがよいと思います。みなさんの今後の活動でより大きな成果を達成するよう望んでやみません。

出典:『金日成著作集』16巻



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