金 日 成

朝鮮民主主義人民共和国政府の当面の課題について
 最高人民会議第3期第1回会議でおこなった演説
 −1962年10月23日−


 代議員のみなさん!

 朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議の第3期代議員選挙は、大きな政治的高揚と今年度の6つの目標を達成する壮大な勤労闘争のなかで、勝利のうちにおこなわれました。

 我が国の全勤労者は、高度の政治的熱意をもって最高人民会議代議員選挙にこぞって参加し、人民政権と社会主義の獲得物を断固として守り、それをさらに発展させ、我が国において社会主義・共産主義の革命大業をあくまで完遂しようとするかたい決意を表明しました。選挙の結果は、労働党と人民政権にたいする朝鮮人民の絶対的な支持と信頼を示し、労農同盟にもとづく全人民のゆるぎない政治的・道徳的統一を示威しました。

 党と人民政権にたいする人民の支持と信頼、我が社会の政治的・道徳的統一は、祖国の自由と独立と新しい生活の創造をめざす長期の困難な闘争をつうじて達成されたものであります。それはまた、共和国北半部に確立された社会主義制度と、この制度のもとでの人民の自由で幸福な生活に物質的な基礎をおいています。

 朝鮮人民は長いあいだ、民族の独立と解放のために、みずからの権力をかちとるために勇敢にたたかいました。朝鮮の共産主義者と愛国的な人民は、日本帝国主義支配下の最も暗たんたる時期に言いつくせない困難と苦痛をなめながらも、ひたすら祖国の解放と人民の自由のために、15年間にもわたって英雄的な抗日武装闘争を展開しました。解放後、朝鮮人民は、朝鮮労働党の指導のもとに、外来侵略勢力と国内反動勢力のあらゆる策動を退け、権力を自己の手に掌握しました。

 我が人民政権は、朝鮮の共産主義者をはじめとする愛国的人民の栄えある革命伝統を受け継いだ政権であり、我が党の指導のもとに朝鮮人民が困難を闘争をつうじてかちとった偉大な獲得物であります。我が政権は徹底して人民に奉仕し、人民と血のつながりを結んでいる真の人民の政権であり、労働者、農民をはじめ、全人民の団結した力に依拠し、広範な人民大衆を国家活動に積極的に参加させる最も民主的で、最も強固な政権であります。

 マルクス・レーニン主義の党によって指導され、権力を自己の手に掌握している朝鮮人民の力は不敗であります。

 解放後、朝鮮人民は新しい生活を建設するたたかいのなかで、数々の難関と試練をへてきました。我が国は、旧社会から立ち後れた経済と文化を受け継ぎ、特に3年間の激しい戦争によって廃墟と化しました。我々は祖国が南北に分断されている状況のもとで、世界反動の元凶であるアメリカ帝国主義者と直接対峙して社会主義を建設しており、同時に国の統一のためにたたかっています。内外のあらゆる敵は、我々の内部を分裂させ、我々の前進運動を阻もうとたえず策動してきました。

 しかし朝鮮人民は、我が党の洗練されたマルクス・レーニン主義的指導と人民政権の不敗の生命力に依拠して、あらゆる難関と試練に英雄的にうちかち、短い歴史的期間に偉大な革命課題と偉大な建設事業を遂行し、立派な新しい社会制度と新しい生活を創造しました。

 朝鮮人民は、自分自身の死活にかかわる闘争の経験から、我が党の政策の正しさと人民政権の生命力をかたく信じています。かれらは、党の路線と政策に勝利の前途を見通しており、党の指導のもとにたたかいとった人民政権と社会主義制度を自己の自由と幸福の源とみなしています。

 我が国における社会主義建設の偉大な推進力となっているチョンリマ(千里馬)運動は、党を限りなく信頼し、自己の政権と社会制度をこのうえなく貴重なものと考え、党と政府のまわりに鉄のように団結して、さらに輝かしい未来に向かって力強く前進する朝鮮人民の高度の革命的気勢と不接不屈の闘志、つきることのない創造力の最も集中的なあらわれであります。

 いかなる力も、人民大衆のなかでの我が党の確固たる権威と信望を傷つけることはできず、朝鮮人民の手から人民政権と社会主義の獲得物を奪い取ることも、社会主義・共産主義の勝利をめざす朝鮮人民の壮大な前進運動をおしとどめることもできません。




 みなさん!

 朝鮮労働党と共和国政府の正しい政策と人民の英雄的な闘争によって、この4、5年のあいだに我が社会は、幾世紀にもわたる立ち後れと貧困から完全にぬけだし、進歩と文明への偉大な飛躍をなし遂げました。祖国の山河は姿を一新し、社会経済制度は根本的に改造され、人民のすべての物質生活と精神生活に大きな変化が起こりました。

 共和国北半部には、搾取と抑圧のない先進的な社会主義制度が確立されました。実生活は、我々の国家制度と経済制度が我が国発展の現段階において最も合理的で、最もすぐれた制度であることを明確に示しています。社会主義建設が急速に進むにつれて、我が国の社会主義制度は日増しに強化発展し、ますます大きな優位性をあらわしています。

 我々は立派な社会制度をうち立てたばかりでなく、自国な経済を自力で運営することのできる強固な経済的土台をきずきあげました。

 かつて、立ち後れた植民地農業国であった我が国にとって、民族経済の自立的土台をきずくことは、特に重要で困難な課題でした。我々は自力更生の原則にもとづいて、人民の力と国内のあらゆる資源を最大限に動員し、そして兄弟諸国の援助を最も合理的に利用して、この課題を成功裏に解決しました。

 国の経済的自立性を強化するためには、なによりもまず工業、特に重工業を急速に発展させなければなりません。

 我が国の工業生産はかつてなく速いテンポで増大し、工業の植民地的跛行性と後進性は完全に一掃されました。

 1961年のわずか1年間に、我が国の工業は、解放後の1946年から1955年までの10年間に生産したものよりはるかに多くの工業製品を生産しました。工業生産の急速な増大によって、すでに1960年には工業および農業総生産高のうち、工業の占める比重は71%に達しました。

 金属工業と化学工業が急速に発展し、燃料・動力基地がさらに強化され、自己の機械製作工業が創設されました。

 我が国の重工業は新しい技術で装備されていっそう拡張され、主に国内の天然資源と原料源にもとづいて発展しており、各種の生産手段と機械設備の国内需要を基本的にみたせるようになりました。

 こうして、我が国における社会主義的工業化の土台をきずく課題は成功裏に実現しました。我々は、国の政治的・経済的自立性の基礎であり、人民経済のすべての部門を新しい技術で装備できる近代的な重工業の確固たる根幹をきずきあげました。

 我が党は、軽工業部門で大規模の中央直轄工業と中小規模の地方経営工業を並進させる方針を実行し、一般消費物資の生産で一大革新をなし遂げました。

 大規模の軽工業部門の工場が大々的に増設され、その技術装備がいっそう改善され、全国のすべての市、郡に平均10あまりの地方産業工場が建設されました。我が国の軽工業はまた、強固な国内の原料基地をもつようになりました。

 いまや我々は、たとえ豊かではないにしても、消費物資にたいする人民の需要を自力でみたし、今後、住民に多様な良質の商品をいっそう豊富に供給できる、強固な軽工業基地をきずきあげました。

 我が国の社会主義経済建設において、農業問題、特に穀物問題は最も難しい問題の一つでありました。

 我が国には農耕地が極めて少なく、それも、ほとんどが勾配のひどい傾斜地かやせ地であります。我が国は毎年のように日照りがつづき、また風水害にもひんぱんに見舞われます。そのうえ、もともと技術的、経済的に非常に立ち後れていた我が国の農業は、戦争によって甚だしく破壊されました。

 しかし我々は、灌漑工事や治山治水事業を大々的に進めて自然を改造し、農業技術をたえず発展させることによって、これらの悪条件を克服し、食糧問題を成功裏に解決するとともに、農業のあらゆる部門を速やかに発展させうる強固な土台をきずきあげました。

 穀物生産は年々急速に増大し、1961年には前年よりさらに100万トンも多い483万トンに達しました。我が国では2、3年前まで、毎年数10万トンの穀物を外国から買い入れなければなりませんでしたが、いまでは食糧を自給自足できるようになりました。

 現在、我が国の田野は網の目のような灌漑用水路でおおわれており、農業はいっそう新しい技術で装備されています。我が国の農民は、搾取と抑圧から解放されただけでなく、天災からも解放され、しだいに骨の折れる労働からも解放されつつあります。

 人民経済の発展でおさめたこれらすべての成果は、重工業を優先的に発展させながら、同時に軽工業と農業を発展させるという我が党の経済政策の正しさを証明するものであり、自立的民族経済の建設をめざす我が党の一貫した路線の輝かしい勝利を示すものであります。

 我々は機械製作工業を中核とする重工業を優先的に発展させてこそ、軽工業と農業を速やかに発展させて人民生活をたえず向上させ、人民経済の全面的な技術改造のための物質的・技術的土台をきずくことができました。自立的民族経済建設の路線を堅持してこそ、旧社会から受け継いだ立ち後れを短時日のうちに一掃し、我が国を強力な社会主義的工業・農業国につくりあげることができたし、ひいては国をいっそう富強にし、人民生活を豊かにするみずからの強固な経済的基盤をきずくことができました。

 社会主義建設で提起される重要な課題の一つは、文化革命を遂行することであります。特に立ち後れた国で社会主義を建設するためには、文化革命をいっそう強力におし進めなければなりません。

 我が党と政府のたえざる配慮によって、人民は新しい社会主義文化の建設で大きな成果をおさめました。

 我々は、教育分野で旧社会の残りかすを一掃し、社会主義建設の要請に合致する最も先進的な教育体系をうち立てました。

 全般的な中等義務教育制が実施され、中等および高等技術専門学校と大学が数多く増設されました。特に、夜間教育と通信教育網が拡大され、数多くの工場大学と共産大学が設立されて、多くの勤労者が生産にたずさわりながら高等教育まで受けられるようになりました。

 こんにち我が国では、93の大学をはじめ、8900余の各級学校で260余万の学生が学んでおり、そのうち大学生は20万9000人に達しています。

 このほかにも100万以上の労働者、農民が勤労者学校と勤労者中学校で一般知識を学んでおり、すべての勤労者が新しい技術を修得しています。

 実に我が国では、すべての人が学び進歩しており、すべての勤労者が科学と技術の主人となり、知識があり文化的な新しい社会の建設者になっています。

 中等および高等技術教育の急速な発展にともない、すでに16万人あまりの民族技術幹部の大集団が養成され、その隊列は年々拡大しています。

 もし、我が党と政府が、解放直後から大きな力を傾けて人民教育を急速に発展させ、勤労者の全般的な文化・技術水準を高め、将来を見通して民族幹部を大々的に養成する対策を立てなかったならば、我々は自立的民族経済の土台をきずくことも、社会主義建設の高い速度を保障することもできなかったでしょう。我々はすべての困難を克服して、教育事業と幹部養成事業を優先させ、自力で国家と経済を立派に管理し、我々の社会を非常に速いテンポで発展させることのできる重要な条件をつくりあげました。

 科学分野でも、立派な研究成果が続出しています。我が国の科学者、技術者は、ビナロン研究の完成をはじめ、無煙炭ガス化問題の解決、半導体の研究、そして各種の疾病にたいする新しい治療法の発明など、数多くの研究成果を達成して人民経済の発展と人民の福祉増進に大きく寄与しています。

 文学・芸術も、チョンリマの時代にふさわしく全面的な開花期に入っています。我が党の正しい文芸政策とそれに励まされた作家、芸術家の活発な創作活動によって、我が国では徹底的に人民大衆に奉仕する革命的な文学と芸術が急速に発展しています。

 我が国では、全人民が文学と芸術をたしなんでおり、労働者、農民をはじめ、広範な大衆が文芸活動に参加しています。我が国の文学と芸術は、真に人民大衆のものとなっており、新しい社会を建設するかれらのたたかいを励ます強力な武器となっています。

 社会主義経済の急速な発展につれて、人民の物質・文化生活はさらに向上しています。

 1961年に労働者、事務員の実質賃金は、1956年に比べて2.1倍に高まりました。同じ期間に農民の現物および貨幣収入は1.6倍に増大し、その生活は全般的に中農または富裕な中農の水準に達しました。

 住宅建設が広範に進められ、勤労者の住宅条件は著しく改善されました。1957年から1961年まで5年間をとってみても、都市では760万平方メートル、農村では580万平方メートルにのぼる新しい住宅が建設されました。

 こんにち我が国の勤労者は、衣食住の心配をする必要がなくなり、誰もが安定した生活ができるようになりました。これは、人民生活の最も基本的な問題を解決したことを意味します。

 このほかにも、勤労者は国から莫大な物質的・文化的恩恵を受けています。国家は、すべての学校の授業料を廃止して学生を無料で教育しており、大学および専門学校の学生には奨学金まで支給しています。労働者、事務員には、有給休暇制が実施され、毎年数10万の勤労者が国家の費用によって休養所で休息を楽しんでおり、全人民が無料治療の恩恵を受けています。国家および社会的費用によって運営される数多くの託児所と幼稚園が設置され、100万以上の子供を立派に育てており、婦人に社会的労働に参加できる条件を保障しています。労働能力を失った人、身よりのない老人や孤児も、みな安定した生活を国から保障されています。

 祖国を奪われ、主権をもつことのできなかった日本帝国主義の支配当時には、我が国の勤労者は二重三重の搾取と抑圧のもとで飢えと貧困に苦しみ、多くの人が生計の道を失い、物乞いをしながらさまよっていました。

 しかし、人民政権と社会主義制度のもとで、我が国の勤労者の生活は根本的に変わりました。我々は国土の半分の地に、すべての勤労者が搾取と貧困から解放され、なんの心配もなく暮らし、すべての人がひとしく幸福を享有するために、互いに助け導きあいながら、ともに働き、ともに学ぶ、まさにそのような新しい生活をきずきあげました。これは、我が国の歴史と人民の生活における偉大な変革であります。




 みなさん!

 歴史的な朝鮮労働党第4回大会は、社会主義革命と社会主義建設で朝鮮人民がおさめた輝かしい勝利を総括し、7か年計画の雄大な展望課題を示しました。

 我々は7か年計画期間に、技術革命と文化革命を全面的に遂行して社会主義の強固な物質的・技術的土台をきずき、人民の物質・文化生活をいちだんと向上させるでしょう。

 こんにち我が国の社会主義建設は新しい、より高い段階に入っています。

 5か年計画の時期までの主な課題は、社会主義の基礎をきずき、我が国を立ち後れた農業国から自立的な社会主義的工業・農業国に変えることでありました。我々はこの課題を遂行するために、都市と農村で社会主義的改造を完成し、社会主義的工業化の土台をきずき、人民の衣食住問題を基本的に解決することに全力を集中しました。

 7か年計画期間の中心的課題は、社会主義建設をいっそう促進し、我が国を近代的な工業と発達した農業をもつ社会主義的工業国につくりあげることであります。我々は7か年計画期間に、社会主義的工業化を徹底的に実現して、人民経済のすべての部門を近代技術で装備し、発展した社会主義社会に照応するよう、生産力を高い水準に引き上げなければならず、人民の衣食住問題をいっそう円滑に解決するばかりでなく、すべての生活を裕福で文化的なものにつくりあげなければなりません。

 かりに、5か年計画期間が社会主義という大木の根を深くはらせ、幹を丈夫に育てる時期であったとすれば、7か年計画期間はこの木をますます成長させ、それに美しい花を咲かせて、立派な実を結ばせる時期であるといえます。

 7か年計画が遂行されれば、真に社会主義の新しい生活があらゆる分野でさん然と開花するようになるでしょう。

 我が国の工業は多面的に発展し、よりいっそう新しい技術で装備され、各種の生産手段と機械設備、そして、良質で多様な消費物資をはるかに多く生産するようになるでしょう。農業の技術的改造が実現し、穀物をはじめ、すべての農産物と畜産物の生産高は決定的に増大し、農民は骨の折れる労働から解放されるでしょう。

 我が国の都市と農村はさらに美しく建設され、人民はみな他人におとらぬ豊かな暮らしができるようになるでしょう。

 共和国北半部における社会主義建設は、北半部の人民だけでなく全民族の死活の利益に合致するものです。7か年計画の遂行は、北半部の革命基地を不敗の力量にかため、祖国の平和的統一を実現するうえで決定的な局面を切り開くでしょう。また、7か年計画を遂行することによって、将来、南朝鮮の経済を急速に復興し、南朝鮮人民の生活を根本的に改善する物質的土台がいっそうしっかりときずかれるでしょう。

 このように7か年計画は、共和国北半部における社会主義建設の雄大な綱領であるとともに、統一し独立した富強な朝鮮を建設し、3千万朝鮮人民の将来の幸福を保障するための偉大な民族的綱領であります。

 それゆえ、北半部の全勤労者は、この綱領を実現するためにたぐいない革命的熱意と愛国的献身性を発揮しており、全朝鮮人民がこの綱領の実現に最大の関心を寄せているのであります。

 我が党と共和国政府が明確に規定しているように、我々は7か年計画の前半期に重工業の骨幹に肉づけをし、それをいっそう効果的に利用することによって、農業と軽工業の急速な発展と人民生活の画期的な改善に力を傾け、後半期に入っては、重工業基地をさらに拡大し、その技術装備を改善して社会主義の物質的・技術的土台を決定的に強めることに重点をおきながら、人民生活をいっそう向上させるでありましょう。

 我々は7か年計画の前半期の課題を遂行するうえで、すでに大きな前進を遂げました。党の呼びかけに常に忠実な勤労者は、社会主義建設のあらゆる分野でつきることのない創造力と才能を発揮して、7か年計画の第1年目である1961年の人民経済計画を成功裏に完遂し、今年度の6つの目標を達成するたたかいでも輝かしい労働の偉勲を立てています。

 6つの目標を基本とする今年度の人民経済計画は、工業および農業生産の高い成長速度を見込んだ膨大かつ困難な課題でありました。

 年末まではまだ2か月以上の日にちが残っていますが、我々はすでに、6つの目標を達成するたたかいで決定的な勝利をおさめたと確信をもって言うことができます。

 農業は、社会主義経済建設で極めて重要な位置を占めています。農業がうまくいけば食糧が豊かになり、国の全般的な経済状態がよくなります。特に今年度の穀物500万トンの生産目標は、6つの目標のなかでも最も中心的なものであります。

 我々は極めて不利な気候条件のもとで、この目標を達成するたたかいをくりひろげました。今年、我が国では、ひどい日照りにひきつづいて3か月以上にわたる長雨がつづき、4回も大水に見舞われました。そればかりではなく、冷害や病虫害も生じ、台風にも襲われました。実に、今年は我が国の農業にとって、自然条件において最も厳しい試練の年であったといえます。

 しかし、我が国の社会主義的農業は立派にこの試練にうちかちました。今年、我が国の農村では、穀物生産が昨年より減少しなかったばかりでなく、例年にない大豊作をおさめました。

 我々がここ数年来ひきつづき豊作をかちとり、特に今年のような年でも大豊作をあげたということは、我が国の農業生産が気候の変動やその他の偶然の要因によって左右されるのではなく、工業生産と同様に、社会主義経済の発展法則に従って、ゆるぎなく不断に成長していることを示しています。

 農業でおさめたこの輝かしい勝利は、我が党の農業政策の勝利であり、農村でのチョンサンリ(青山里)精神とチョンサンリ方法の勝利であります。それはなによりもまず、我が国の農村に創設された社会主義的協同経営制度の優位性と農業の物質的・技術的土台の強固さ、特に党と国家と全人民が多くの力を傾けて建設した、灌漑システムと治山治水施設の威力をはっきりと示すものであります。それはまた、我が党がチョンサンリ精神とチョンサンリ方法にもとづいて政治活動を優先させ、農民にたいする共産主義教育を強力に展開し、かれらに労働で自発的な熱意と献身性を発揮させるとともに、社会主義的分配の原則を正しく適用し、作業班優遇制をとりいれて、農民の生産意欲を物質的に刺激する方針を徹底的に貫いた結果えられたものであります。

 500万トンの穀物生産目標を達成するたたかいをつうじて、農業の物質的・技術的土台はいっそう強まり、営農技術もさらに発展しました。農村のトラクター数は、15馬力換算で1万5000台に達し、農業の機械化水準はいちだんと高まりました。灌漑面積は昨年に比べて3万ヘクタールも拡張され、化学肥料の施肥量は113%に増えました。

 穀物生産とともに、工芸作物の生産、畜産業、養蚕業、果樹栽培業など、すべての農業部門が発展しました。

 今年、軽工業部門では、2億5000万メートルの織物生産目標を達成するために全力を傾けました。

 紡織工業を急速に発展させ、良質の織物をより多く生産することは、人民の衣料問題をいっそう円滑に解決するための重要な課題であります。党が提起した織物生産目標を達成するために立ち上がった紡織工業部門の労働者、技術者たちは、すでに上半期の織物生産計画を成功裏に超過遂行し、下半期にも生産をひきつづき急速に高めています。すべての状況は、今年、2億5000万メートルの織物を十分生産できることを示しています。これは、昨年に比べて30%以上の増加を意味し、人口一人当たりの織物生産量が約25メートルに達することを意味します。織物生産で質の良い織物の比重がしだいに高まりはじめ、また縫製品工業が急速に発展して婦人の家事負担を減らし、住民により良い衣服を供給できるようになりました。

 今年、我が国の軽工業基地は全般的に拡大し強化されました。清津(チョンジン)化学繊維工場と吉州(キルジュ)パルプ工場の拡張工事が完成し、既存の紡織工場に10万5000錘の設備が増設され、1万5000錘の恵山(ヘサン)紡織工場、2万トン能力の恵山製紙工場など、新しい軽工業部門の工場の建設工事が成功裏に遂行されました。また、地方経営工業の機械化が強力に進められ、すべての地方産業工場がいっそう立派にきずかれました。

 我が国に豊富な水産資源を積極的に開発することは、人民生活の向上にとって重要な意義をもっています。

 党の正しい指導と国家の多額の投資により、また、水産部門従事者の献身的な労働によって、戦後、水産業の物質的・技術的土台は決定的に強化され、1961年の水産物の生産高は59万トンに達しました。

 党と政府はこのような成果にもとづいて、今年は80万トンの水産物を生産する膨大な目標をかかげ、この部門に大きな力を傾けています。党の政策に限りなく励まされた水産部門のすべての働き手は、この膨大な目標を達成するために英雄的にたたかっており、すでに大きな成果をおさめています。もちろん、まだ11月、12月の重要な盛漁期をひかえているだけに自己満足するわけにはいきません。しかし、すでにかちとった成果と現在の生産状況からして、また水産部門の働き手の非常に高い意気込みからみて、必ず80万トンの水産物生産目標に勝利の旗をなびかせるものと確信することができます。

 20万所帯の住宅建設目標を達成するたたかいは、勤労者の住宅条件を改善し、特に数千年来受け継いできたあばらやを取り払って、我が国の農村の面目を一新するための栄えあるたたかいであります。

 我が党第4回大会は、7か年計画期間に都市と農村にそれぞれ60万所帯の文化住宅を建設する雄大な課題を示しており、我々は今年からこの課題の実行にとりかかりました。主権と国のあらゆる財貨が人民の手に握られ、強力な経済的土台がきずかれている我々の社会においてのみ、勤労者のためにこのように膨大な住宅建設をおこなうことができるのであります。

 これまでも数多くの住宅を建設してきましたが、今年ほど多くの住宅を建てたことはなく、まして農村で1年間に10万所帯の住宅を建てたことはありません。それにもかかわらず建設部門の働き手たちは、全人民の積極的な支援のもとにこの困難な課題を立派に遂行しています。都市の住宅建設はもちろん、農村の住宅建設でもすでに決定的な成果が達成され、今は20万所帯の建設を完工する最終段階のたたかいがくりひろげられています。今年は、都市と農村にそれぞれ十万所帯の文化住宅を必ず建設するでしょう。

 今年、重工業部門には鋼鉄120万トン、石炭1500万トンの生産目標を達成し、他の生産目標も残らず達成するたたかいを強力に支援すべき重大な任務が課せられていました。総体的に見て重工業は、この課題を基本的に遂行しました。

  鉄鋼業部門の労働者、技術者は、今年、銑鉄および粒鉄120万トンの生産目標を達成し、110万トンの鋼鉄を生産するでしょう。これは鋼鉄生産目標に少々みたないものですが、しかし、昨年に比べて銑鉄および粒鉄は29%、鋼鉄は40%以上も上回る大きな成果であります。

  石炭工業部門では、党がたびたび強調した水害防止対策を徹底的に立てなかったため、うちつづく大雨によって坑内が浸水し、採炭および運搬作業に大きな支障をきたしました。このため石炭生産は、目標を著しく下回りました。もちろん、昨年に比べれば、石炭採掘量は10%ほど増加するものと予想されますが、もし、この部門の活動家たちが党の要求を適時に正しく実行していたならば、1500万トンの生産目標も優に達成できたはずです。

 電力工業、化学工業、機械製作工業部門ではいずれも大きな成果をおさめ、生産を大きく増大させました。特に機械製作工業は、農業および水産業の機械化に必要な設備をはじめ、冶金設備、化学設備、電力設備、炭鉱および鉱山設備、軽工業用設備などを大量に生産、供給することによって、人民経済の技術的改造の促進に大きく貢献しました。

 今年、重工業部門では、城津(ソンジン)製鋼所の8万トン能力の新中板圧延職場、降仙(カンソン)製鋼所の3万トン能力の鋼管素材圧延職場、南浦(ナンポ)製錬所の1万2000トン能力の非鉄金属圧延職場、1万2000トン能力の平壌電線工場、5万トン能力の本宮(ポングン)苛性ソーダ工場、文坪(ムンピョン)製錬所の4万5000トン能力の硫酸職場など数多くの職場と工場が新設されました。これとともにすべての重工業部門の工場で技術装備がいっそう強化され、先進的な生産方法と技術工程が広く取り入れられ、生産能力が著しく増大しました。

 こうして、我が国の重工業はさらに整備、補強され、軽工業および農業の発展と人民生活の向上のために、いっそう効果的に奉仕できるようになりました。

 今年は、社会主義建設のすべての分野で非常に緊張したたたかいをくりひろげてきました。しかし、この闘争は、祖国の限りない繁栄と人民の幸福をめざす栄光にみちた張り合いあるたたかいであり、我々はこのたたかいで輝かしい勝利をかちとりました。

 みなさん!

 7か年計画の最初の2年間におさめた大きな成果によって、我々には3、4年内に人民生活を著しく高めることのできる広びろとした展望が開かれました。我々はこの展望を実現するために、1963年と1964年にひきつづき力強い闘争を進めなければなりません。

 1963年度人民経済計画の基本的課題は、今年度の6つの目標達成でおさめた成果を強固にするとともに、新たなより高い目標を達成する準備を進めることであります。来年も農業と軽工業の発展に力を傾け、重工業部門ではすべての工場をさらに整備、補強しながら、採掘工業の発展に全力を集中するでありましょう。これとともに、南朝鮮に居座っているアメリカ帝国主義者と軍事ファシスト一味のますます激化する侵略策動に対処して、党と政府は国防力をいっそう強化することに深い関心を払うでありましょう。

 採掘工業を決定的にもりたてることは、来年度、重工業部門に提起される重要な課題であります。採掘工業は生産の第一工程であり、したがって、この部門を優先させなければ、人民経済のすべての部門を正常に発展させることはできません。

 党と政府はひきつづき加工工業を発展させながら、1963−1964年の期間に採掘工業部門に投資を集中して、炭鉱と鉱山の物質的・技術的土台を強化し、人民経済の増大する各種鉱石と石炭の需要を円滑にみたすでありましょう。

 こんにち我々は歴史的な偉大な事業をおこなっているだけに、我が国の豊富な地下資源を広く開発し利用しなければなりません。石炭工業では、来年に1500万トンの石炭生産目標を必ず達成し、今後ひきつづき採炭量を増大させるべきであり、鉱石採掘業では鉄鋼業に鉄鉱石を十分に供給するとともに、各種の非鉄金属、希金属および非金属鉱物をより多く生産しなければなりません。特に、鋼、鉛、亜鉛、ニッケルなどの非鉄金属鉱物と合金原料を大々的に開発し、その精錬加工をいっそう強化して、鋼材と合金の品目を増やし、その生産高をいっそう増大させなければなりません。こうしてのみ、重工業の発展で新たな前進をもたらす準備を円滑にととのえることができます。

 採掘工業を発展させるためには、探鉱事業を優先させなければなりません。探鉱部門の探査陣と技術装備をいっそう強め、探鉱事業をより広範に、いっそう深く進めるべきであります。

 また、電力工業にひきつづき多額の投資をおこなって、すでに建設中の江界(カンゲ)発電所、雲峰(ウンボン)発電所および平壌火力発電所の建設を促進し、予定期日に必ず操業できるようにしなければなりません。

 機械製作工業をいっそう発展させることは、7か年計画の全期間をつうじて重要な課題として提起されています。我々は特に、いまなお立ち後れている大型機械製作工業を今後1、2年内に急速に拡大することを予見しています。既存の大型機械製作工場を拡張し、その生産能力を最大限に利用するとともに、新しい工場をさらに建設して、発電所、炭鉱、鉱山、その他の大規模な工場に必要な設備を十分供給できるようにしなければなりません。これとともに、すべての機械工場で設備利用率を極力高め、生産を合理的に組織して、人民経済により多くの機械設備を生産し、供給しなければなりません。

 ここ1、2年のあいだに重工業基地はいっそう強固になりましたが、まだ完全には整備されていません。それゆえ、重工業の骨幹に肉づけをする仕事をひきつづき強力に進めなければなりません。

 すべての重工業部門の工場で設備をいちだんと補強し、設備の点検・補修制度を確立し、必要な付帯設備と付帯条件を十分にととのえて、生産を完全に正常化しなければなりません。また、科学と技術上の成果を生産に大胆に、積極的に取り入れ、あらゆる可能性を利用して生産工程をいっそう機械化、自動化し、技術革新運動をより広範に展開しなければなりません。

 技術分野では、我が国にない資材や原料の代用品をつくりだすことに特別の関心を払わなければなりません。鉄鋼業部門で鉄コークスと球団鉱を広く利用し、鉄鉱石の品位をいっそう高めるための対策を徹底的に立て、コークスの使用量を大幅に減らしながらも、より多くの鉄を生産するようにすべきであります。

 また製鉄、製鋼工程に酸素吹込み法を広く取り入れ、石炭ガス化を実現する対策を立てなければなりません。

 来年度の軽工業部門の中心的課題は、2億5000万メートルの織物生産を堅持し、それをさらにかためながら、1964年には3億メートルの織物を生産できるよう、すべての条件をととのえることであります。同時に、日用品と食料品の品質を高め、品目を増やし、その生産高を大きく増大させなければなりません。

 この課題を遂行するためには、まず軽工業の原料基地をいっそう強化し、軽工業工場の生産能力を著しく高めなければなりません。

 2.8ビナロン工場、清津化学繊維工場、恵山紡織工場の稼働を完全に正常化し、軽工業に原料を供給するすべての部門の生産をいっそう増大させなければなりません。また、紡織工場をはじめ、すべての軽工業部門の工場で、生産面積を合理的に利用してより多くの機械を設置し、設備をいっそう整備し、労働者の技術熟練度を高めて、生産をたえず増大させなければなりません。

 全国の各市、郡に散在する2000余の地方産業工場は、一般消費物資の生産を急速に増大させる大きな潜在力をもっています。1964年に、地方経営工業だけで1億メートルの織物と4万〜5万トンの紙類を生産し、しよう油、みそ、食用油はもちろん、少なからぬ加工食品と日用品にたいする地元の需要を自力でみたすようにすることを予定しています。地方の党および経済活動家昌城(チャンソン)連席会議で提起した課題を貫き、地方経営工業をいちだんと発展させるならば、これはいくらでもできることです。

 地方経営工業をいっそう発展させるための最も重要な問題は、技術的改造を力強くおし進めることであります。地方産業工場では、立ち後れた手工業的技術をなくし、すべての生産工程を機械化し、半自動化すべきであり、労働者の技術熟練度をたえず高めなければなりません。

 また、地方経営工業の原料基地をさらに強固にきずき、必要な原料の大部分を自力でまかなうべきであり、工場の管理、運営を改善し、生産文化を向上させることに深い関心を払わなければなりません。

 こうして、すべての地方産業工場を新しい技術で装備し、主に地元の原料を加工して各種の消費物資を生産し、国家と人民に大きな利益をもたらす、清潔で文化的で能率的な工場につくらなければなりません。

 来年、農業部門では、米の収穫高をいっそう増大させて、穀物生産の質的構成を改善するために力を傾けなければなりません。

 こんにち、我が国では全住民に食糧を十分僕給しており、一定の穀物の蓄えまでもつようになりました。しかし、これで満足することはできません。勤労者に食糧を量的に十分供給するばかりでなく、質的にももっとよいものを供給して、かれらによりよい暮らしをさせるべきであります。

 我が党と政府は、北半部の全人民に白米を食べさせるため、今後、数年内に米の生産高を300万トン以上に高めるという膨大な課題を提起しました。これは実に全人民を喜ばせる立派な課題であり、また十分実現できる課題であります。

 穀物、とりわけ米の収穫高を増大させるためには、自然改造事業をひきつづき進めなければなりません。

 国家は、約9万ヘクタールの耕地をうるおす大規模の鴨緑(アムノク)江灌漑工事に力をそそぎ、その建設をいっそう促進し、今後は黄海(ホワンヘ)南北道一帯の10万ヘクタール以上の田畑をうるおあす礼成(レソン)江の大灌漑工事をおこなうでしょう。これとともに既存の灌漑施設をいっそう合理的に利用し、ひきつづき中小の灌漑工事をおこない、西海岸の海面干拓を強力におし進めなければなりません。特に、海面干拓は大きな効果を生みだしています。昨年干拓した4000ヘクタール余りの干拓地で、今年はすでにヘクタール当たり3トン以上の米を収穫しました。今後、塩分がもっと取り除かれれば、これらの水田の収穫高がさらに高まることは疑いありません。我々は、このように有益なことをいっそう多くおこなわなければなりません。

 こうして、これから1964年の春までのあいだに、水田の面積をさらに6万ヘクタール余り拡張して、1964年には60万ヘクタールの水田で田植えができるようにすべきであります。

 灌漑工事とともに国土管理事業を正しくおこなわなければなりません。我々は、今年の経験にてらして、大きな川ばかりでなく小さな川までも日ごろからよく管理し、必要な個所はさらに整理しなければなりません。山林を立派に造成し、すべての河川の堤防をいっそうしっかりきずき、川床を整理するなど、治山治水事業をひきつづき強力に展開して、今年よりもっと激しい大雨に見舞われても被害をこうむらないようにしなければなりません。

 農業の機械化と化学化を促進し、育種事業をたえず改善し、すべての営農技術をいっそう発展させなければなりません。国家は1963年にも、農村に多くのトラクターやトラック、その他各種の近代的農業機械を供給するでしょう。来年の化学肥料の施肥量は70万トンに達し、各種の農薬と除草剤の供給量も著しく増加するでしょう。

 このように60万ヘクタールの水田に稲を栽培し、二毛作の面積を拡張し営農技術をたえず発展させて、すべての作物のヘクタール当たり収量を高めるならば、我々はひきつづき500万トン以上の穀物を生産し、そのうち米の収穫高を300万トン以上の水準に十分引き上げることができます。

  食糧問題が完全に解決されるにともなって、畜産業を急速に発展させる新たな可能性が生まれています。

 党と政府は、1964年から多くの穀物を家畜の飼料に回すことを予定しています。今後、穀物飼料が急速に増加することを考慮して、いまから優良種畜を確保し、その頭数を増やし、畜舎と獣医・防疫施設を整備し拡張するなど、畜産業の土台をいちだんと強化すべきであります。こうして1965年には草食家畜だけでなく、豚、アヒルなどを多く飼って食肉の生産量を20万トンに達するようにしなければなりません。

 各種の油脂作物と亜麻、麻、青麻などの繊維作物の作付け面積を拡張して、その収穫量を高め、果樹栽培業、養蚕業もいっそう発展させなければなりません。

 工業と農業を発展させるとともに、勤労者のための住宅建設をひきつづき強力に進めなければなりません。建設部門の働き手たちは今後も都市と農村に、いっそうしょうしゃで美しく、勤労者の生活に便利な文化住宅をより多く建設しなければなりません。

 我々は3、4年のうちに、これらすべての課題を立派に遂行することによって、人民生活を著しく向上させ、国の経済的土台をさらに強化しなければなりません。

 3、4年たてば、人民の物質・文化生活には新たな大きな転換が起きることでしょう。そのときには、300万トンの米と20万トンの食肉、3億メートルの織物を生産することになり、そのときまでに都市と農村に新築される文化住宅は数10万所帯に達するようになります。こうなれば、朝鮮人民は誰もがみな瓦ぶきの家に住み、白米のご飯と肉汁で食事をし、絹の服を着て暮らす、豊かな生活ができるようになるでしょう。これは、我が国の勤労者が遠い昔から夢みてきた念願を我々の時代に実現するという、このうえもなく喜ばしく誇らしいことであります。

 それだけでなく、近い将来、我々はすでに準備してきた全般的9年制技術義務教育を実施するでありましょう。全般的技術義務教育制を実施することによって、我々はすべての若い世代を、先進的な科学と技術知識を身につけた有能な社会主義・共産主義建設者に育成するでしょう。技術義務教育の実施とともに、高等教育もひきつづき急速に発展し、2、3年後には技術者および専門家の総数が40余万名に達し、我が国のすべての工場、企業所の職場長以上の幹部がみな技師、専門家または技手、中等専門家の資格をもつことになるでしょう。

  この輝かしい展望は、我が国のすべての勤労者を限りなくわき立たせており、英雄的な勤労闘争へとかれらをいっそう力強く励ましています。こんにち、我が国の勤労者は、党と政府のまわりにかたく結集して、自己の明るい未来をはっきり見通しながら、より大きな希望と勇気にあふれ、新たな勝利をめざして確固と前進しています。党の指導のもとに、朝鮮人民は英雄的なたたかいを展開し、必ずや7か年計画を勝利のうちに完遂するでありましょう。

 我々に提起された社会主義建設の膨大な課題を成功裏に遂行するためには、社会主義建設の武器としての国家機関の役割と機能をいっそう強化し、人民経済の管理と指導をたえず改善しなければなりません。

 我が党と政府は、変化した新しい環境に即して国家および経済機関の活動を改編し、その活動家の指導水準を向上させる一連の重要な措置をとることによって、この分野で大きな成果をおさめ、貴重な経験を頼みました。

 特に、青山里にたいする指導の経験を一般化する過程で、国家・経済機関の活動には一大転換が起こりました。指導が下部にいっそう接近するようになり、上級機関が下級機関を助け、幹部が大衆のなかに深く入り、かれらを教育改造して団結させ、大衆の熱意と創意を発揮させてすべての問題を解決する革命的な活動方法が確立されました。

 今年、我々は、人民経済の管理および指導でチョンサンリ精神とチョンサンリ方法をいっそう徹底的に貫くために、工場の管理機構を改めるとともに、郡協同農場経営委員会と道農業経営委員会を設ける新しい画期的な措置をとりました。

 工業と農業にたいする新しい管理体系は、まだつくられて間もありませんが、すでにその優位性をはっきりと示しています。

 工場の管理機構が改編された結果、党委員会の集団指導のもとに工場の管理、運営がなされるようになり、工業にたいする党機関の指導、統制と、労働者階級のなかでの党の政治活動を決定的に強化することができるようになりました。また、工場内の各部署の責任範囲と任務分担が明確になり、工場にたいする省、管理局の指導と援助がいっそう強化され、設備、資材、供給物資をすべて上部から下部に送達する体系が確立することによって、工場の幹部が雑多な仕事から解放されて、生産・技術指導に大きな力をそそぎ、大衆のなかにいっそう深く入って大衆にたいする活動をさらに円滑におこなえるようになりました。

 農業部門で、郡協同農場経営委員会を設けてここに農業技術者と農業機械作業所、地方農機具工場・灌漑事業所など、農業に奉仕する国営企業所を集中させた結果、それまでのような行政的方法ではなく、企業的な方法によって農業をいっそう効果的に指導することができるようになり、農業生産力の発展と、特に農村の技術革命をいっそう強力に進めることができるようになりました。また、協同農場にたいする国家の指導と物質的・技術的援助が著しく改善され、協同的所有にたいする国家的所有の指導的役割がさらに高まりました。これはまた、都市と農村、工業と農業の生産的連係を強め、労農同盟をいちだんと強固にし、この同盟における労働者階級の指導的役割をいっそう高めました。

 地方に専門の農業指導機関を創設したことは、地方人民委員会の活動にも大きな肯定的影響を与えています。これからは、道・市・郡人民委員会が商業、建設、教育、文化、保健医療事業などに大きな力をそそぐことになり、それによって、これらの部門の活動をいっそう立派に指導できるようになりました。

 我々は、我が党によって創造されたこのような工業および農業管理体系が、マルクス・レーニン主義の原則と我が国の現実に完全に合致する、社会主義経済管理の新しい立派な形態であると確信をもって言うことができます。

 いまや問題は、すでに創設された管理体系の優位性に依拠して、幹部の活動方法をさらに改善し、指導水準を決定的に高めることにあります。いまなお、幹部の活動方法は、新しい管理体系にふさわしく完全に改められておらず、指導が大衆の高まった革命的気勢に追いついていません。このような欠点を速やかに克服しなければなりません。

 なによりもまず政治活動をいっそう強化して、大衆の思想・意識をたえず高め、広範な大衆を革命課題の遂行に自発的に参加させることが重要です。すべての活動で政治活動を優先させ、勤労者にたいする共産主義教育を党政策教育と結びつけて力強くおし進めるとともに、これに行政・実務活動と物質的・技術的裏付けを正しく結びつける原則をひきつづき堅持しなければなりません。

 それとともに、指導を下部にいっそう接近させ、指導方法をさらに改善しなければなりません。指導において重要なのは、大衆に依拠する革命的な活動方法と下部を実質的に援助する活動体系をより徹底的に確立することであります。

 生産と建設に直接たずさわるのは、労働者、農民であり、ほかならぬかれらが誰よりも現場の実情をよく知っており、誰よりも多くの創意考案を出します。したがって、幹部は現地におもむき、常に大衆のなかに深く入り、大衆と協議し、かれらの意見を聞き、かれらから知恵を得て問題解決の方法を見いだし、大衆を奮い立たせてすべての革命課題を遂行するようにしなければなりません。

 下部を指導する目的は、あくまでも下部の活動家たちを援助し、あらわれた欠陥を是正することによって仕事の成果をあげることにあります。幹部は、下部に行って命令や督促ばかりするのではなく、下部の活動家を親切に教え、かれらと力を合わせて懸案の問題を解決し、下部の活動家がよく活動できるように実質的な援助を与えなければなりません。

 こうして、すべての分野でチョンサンリ精神、チョンサンリ方法をいっそう徹底的に具現して、大衆の高まった革命的熱意を巧みにくみ上げ、人民経済に内在している潜在力と可能性を余すところなく引き出さなければなりません。

 勤労者のつきない創造力と才能は、社会主義建設の雄大な綱領を実現するための決定的な裏付けであります。

 我々は、勤労者のあいだでチョンリマ作業班運動をいっそう拡大強化し、すべての勤労者を共産主義思想で教育改造して党のまわりにいっそうかたく結集し、かれらの革命的熱意と創造的才能を高度に発揮させなければなりません。こうして、社会主義建設のすべての分野でひきつづき革新を起こし、ひきつづき速く前進しなければなりません。

 すべての幹部と勤労者は、不健全な生活と安逸を排撃して質素に生活し、緊張した態勢を堅持するとともに、自力更生の革命精神を発揮して、すべての難関を勇敢にのりこえていく革命的気風をいっそうしっかりと確立しなければなりません。

 我々は革命のためにたたかう共産主義者であるがゆえに、必ず自力更生の精神を身につけなければなりません。この精神がなければ自分の力を信じなくなり、自国の資源を開発し利用するためによく努力しなくなり、したがって、革命の大業をなし遂げることができません。

 もちろん我々は、今後もひきつづき兄弟の社会主義諸国の人民と世界のすべての進歩的な人民の支持と援助を必要とし、このような支持と援助は勝利の重要な裏付けとなります。しかし、他国の援助だけをあてにして、自分が努力しないのは革命家の態度ではなく、このような態度では革命をおこなうこともできません。朝鮮革命勝利の決定的な要因は我々自身の力であります。我々は、主として自分の力で我が国に新しい社会を建設すべきであり、朝鮮革命の最終的勝利をかちとらなければなりません。まさに、これが、プロレタリア国際主義の原則とも合致し、国際革命運動の発展に貢献する道であります。

 社会主義経済の建設でも、ひきつづき自力更生の原則を堅持し、民族経済の自立的土台をさらに強固にする方向に進まなければならず、この基礎のうえで兄弟諸国との経済的・文化的協力をさらに発展させなければなりません。

 自立的民族経済を建設するというのは、国を富強にし、人民生活を向上させるうえで必要な重工業および軽工業製品と農産物を基本的に国内で生産し保障できるように、経済を多面的に発展させ近代技術で装備し、自国の強固な原料基地をきずきあげて、すべての部門が有機的に結びついた一つの総合的な経済体系をつくりあげることを意味します。

 このような経済を建設すれば、国のすべての天然資源を最も合理的に、総合的に利用することができ、生産力を急速に発展させて人民生活をたえず向上させることができ、国の政治的・経済的威力をいっそう強化することができます。また、自立的民族経済を建設すれば、プロレタリア国際主義の原則と完全な平等および互恵の原則にもとづいて、兄弟諸国と経済的に有無相通じ、これらの国との相互協力と分業をいっそう効果的におこなうことができ、社会主義陣営全体の威力の強化に貢献することができます。

 我が党の指導のもとに、朝鮮人民は悪戦苦闘して民族経済の自立的土台をきずきあげることによって、国の経済力を強化し、生活をさらに向上させたばかりでなく、兄弟諸国との相互協力をいっそう発展させ、我が国にたいする兄弟諸国の負担を著しく軽減することができました。これは、兄弟諸国人民の積極的な支持と援助にたいする我々の当然の返報であり、社会主義陣営全体の威力の強化にたいする我々の重要な寄与であります。

 我々は、今後とも自力更生の旗のもとに自分自身の力と内部源泉を最大限に動員し、プロレタリア国際主義の原則にもとづいて兄弟諸国との協力をたえず発展させ、それによって我が国の社会主義建設をさらに促進し、社会主義世界体制の威力の強化に貢献するでありましょう。

 朝鮮人民は、党と政府のまわりに鉄のように団結し、あらゆる難関を勇敢に克服しながら、ひきつづきチョンリマを駆る勢いで力強く前進し、7か年計画を必ず完遂して社会主義の高峰をきわめるでありましょう。




 代議員のみなさん!

 共和国北半部における社会主義建設の偉大な成果は、アメリカ帝国主義植民地支配下の南朝鮮の人民に大きな革命的影響を及ぼしており、朝鮮における革命と反革命との力関係を革命勢力の側にますます有利に変えています。

 南朝鮮人民は、北朝鮮の兄弟が社会主義建設でおさめた偉大な勝利に励まされて英雄的な闘争に立ち上がり、12年間、南朝鮮人民の頭上に君臨していた李承晩「政権」を打倒し、いまアメリカ帝国主義の植民地支配と軍事独裁に反対してひきつづき力強いたたかいを展開しています。

 四月人民蜂起以後の南朝鮮における情勢の発展は、アメリカ帝国主義が「政権」の「合法的」な交替によっても、直接暴力によるテロ独裁の樹立によっても、南朝鮮の政治的・経済的危機を収拾することはできず、民主的自由と生存の権利と祖国の平和的統一を求める南朝鮮人民の闘争をおしとどめることができないことを示しています。

 アメリカ帝国主義者と南朝鮮軍事「政権」の血なまぐさい弾圧にもかかわらず、南朝鮮の広範な人民大衆のあいだで反米感情はますます高まり、愛国的、民主的勢力はしだいに成長しています。

 軍事ファシスト一味の「政権」掌握後1年半のあいだに、南朝鮮の政治的・経済的危機はますます深まりました。経済はいっそう破綻し、人民生活はひきつづき悪化しており、腐敗と社会的無秩序はますます甚だしくなっています。

 南朝鮮のすべての政党、大衆団体は解散させられ、すでに1年以上も「戒厳令」がしかれています。

 南朝鮮の軍事「政権」は、人民の民主的自由にたいする類例のない野蛮を攻撃を強行する一方、「自立経済の建設」「経済開発5か年計画」「民生を塗炭の苦しみから救い出す」などのうたい文句で人民大衆の不満をなだめようとやっきになっています。しかし、アメリカ帝国主義の植民地支配の道具にすぎない南朝鮮の軍事「政権」に、それができると信ずる者は誰もいないし、それが宙に浮いた全くの空言にすぎないことは、すでに余すところなく暴露されています。

 アメリカ帝国主義占領下の南朝鮮の経済は、収拾のつかない破局に陥っています。

 アメリカ帝国主義者は、南朝鮮経済の命脈を握り、それを自己の軍事的付属物に変え、南朝鮮の民族経済をすっかり破壊してしまいました。

 アメリカ独占資本と買弁資本の圧迫によって、南朝鮮の民族工業は完全に窒息し破産しました。原料難、資金難、販路難は、ますますひどくなり、そのため軍事「政権」出現以後の1年間だけでも、工業生産はさらに9%低下しました。

 南朝鮮の農業も余すところなく破壊されました。広範な農民大衆は、依然として封建的な地主制度のもとで過酷に搾取されています。アメリカ帝国主義者と地主の略奪と搾取によって、南朝鮮の農業は極度に衰退しています。耕地面積と作付け面積はひきつづき減少し、農業生産はあいかわらず中世的な立ち後れた技術によっておこなわれています。こうして、かつては穀倉地帯といわれた南朝鮮が、毎年400万〜500万石のアメリカの余剰穀物を輸入しなければならない慢性的な飢きん地帯に変わりました。

 経済の全面的な破綻、アメリカ帝国主義者と地主、買弁資本家のひどい搾取によって、南朝鮮人民の生活はたとえようのないみじめな状態におちこんでいます。

 数百万の勤労者が職を失って街にさまよい、なんらの救済も受けられないまま飢餓線上にあえいでいます。現在、南朝鮮では労働力人口の60%に達する勤労者が失業および半失業の状態におかれています。

 人民生活が極度に零落しているにもかかわらず、南朝鮮の支配者は莫大な軍事費を捻出するため勤労者にたいする租税収奪をますます強化しています。1962年の南朝鮮人民の租税負担は、1960年に比べて43%も増加しています。軍事費の膨張によるインフレの激化のため、物価はひきつづき騰貴しています。今年の7月現在、南朝鮮の物価は1960年末に比べて20%以上もはねあがっています。

 アメリカ帝国主義者は、南朝鮮の経済を余すところなく破壊し、南朝鮮人民を言いようのない苦しみのなかにつきおとし、南朝鮮全土を大衆にたいするテロと暴圧が支配する生き地獄に変えました。人民の生命と財産は、常時アメリカ帝国主義者によって脅かされており、我が同胞、兄弟姉妹が侵略者によって侮辱され、虐殺されています。大衆的飢餓が南朝鮮全土をおおっており、数多くの人々が毎日のように飢え死にしています。

 これは、アメリカ帝国主義植民地支配が南朝鮮にもたらした結果であり、南朝鮮支配者の売国政策が生んだ結果であります。

 南朝鮮の現事態を収拾し、南朝鮮人民を飢えと貧困から救い出す唯一の道は、アメリカ軍を追い出し、国の統一を達成することであります。

 祖国の完全な独立と統一を達成せずには、朝鮮人民は片時も安らかに暮らすことはできないし、南朝鮮人民は現在の悲惨な状態からぬけだすことはできません。祖国統一の大業をなし遂げることは、南北朝鮮全人民の一致した念願であり、民族の最高課題であります。

 我が国の統一は、外国軍隊を追い出し、外国勢力の干渉を受けることなく、自主的にそして平和的に実現しなければなりません。

 アメリカ帝国主義者は、南朝鮮を自国の植民地・軍事基地に変え、南朝鮮の社会を滅亡のどん底につきおとし、緊張を激化させ朝鮮の平和をたえず脅かしており、あらゆる凶悪な策動をつくして我が国の統一を妨げています。

 アメリカ帝国主義者の南朝鮮占領とその侵略政策は、南朝鮮人民のすべての不幸と苦痛の根源であり、南朝鮮社会の進歩と、我が国の平和的統一の基本的な障害であります。

 歴史上、外国侵略軍によって国土が占領され、外国勢力の干渉を受けている状態のもとで、国の独立と統一が実現したためしはありません。

 アメリカ侵略軍を南朝鮮から追い出すことによってはじめて、南朝鮮人民を飢えと貧困、植民地的奴隷の境遇から救い出すことができるし、分断された祖国を統一しようとする民族の念願を実現することができます。アメリカ軍の南朝鮮占領を庇護しつつ国の統一について云々する者は、実際には統一に反対する者であり、帝国主義の手先であります。

 アメリカ帝国主義者にはその軍隊を南朝鮮に駐留させるなんの根拠もなく、それを正当化するいかなる口実もありえません。アメリカ軍は南朝鮮から撤退すべきであり、朝鮮問題は朝鮮人民自身の手によって解決されなければなりません。

 アメリカ帝国主義者は、「北からの共産主義の侵略」を防ぐために南朝鮮にアメリカ軍が駐留すべきだと宣伝しています。しかし、アメリカ帝国主義者は、そのような欺瞞によっては誰もだますことができません。

 我が党と共和国政府は、一貫して朝鮮問題の平和的解決のために努力しています。我々には南進する意図もないし、朝鮮の統一問題を武力で解決しようとする意思もありません。

 「北からの共産主義の侵略」というのは、アメリカ帝国主義者が南朝鮮をひきつづき占領し、全朝鮮を侵略し、ひいてはアジアを侵略しようとするその凶悪な目的をおおい隠すためのかくれみのにすぎません。

 南朝鮮人民は、朝鮮人を互いに戦わせることによって全朝鮮を侵略しようとするアメリカ帝国主義者の陰険な策動を徹底的に暴露し、粉砕しなければなりません。

 我々は、国連には、朝鮮問題を討議する権利がないし、我が国の内政に干渉する権利がないと考えます。朝鮮問題は、ニューヨークやワシントンで外国人が論議するのではなく、平壌かソウルで朝鮮人同士が討議しなければなりません。

 朝鮮の統一問題は、朝鮮人民の内政問題であり、ただ朝鮮人民自身によってのみ解決することができます。

 朝鮮の内政に他国が干渉するなんの根拠があり、外国人がどうして我が民族内部の問題を解決できるでしょうか。外国勢力に依存して祖国を統一しようとするのは妄想であり、それは全朝鮮を帝国主義の侵略にゆだねようとするものであります。

 朝鮮人民は、自力で十分、祖国を統一することができるし、また必ず統一しなければなりません。

 我が国の統一は、容易に実現することのできない複雑で困難な問題であります。世界帝国主義のかしらであるアメリカ帝国主義が南朝鮮を占領して、全朝鮮とアジアにたいする侵略政策を追求し、新たな戦争挑発陰謀に狂奔している状況のもとでは、困難かつ長期の闘争をへてのみ祖国統一の大業をなし遂げることができます。

 我が国の自主的平和統一は、南朝鮮から外国軍隊を撤退させる条件のもとで、一連の中間的過程をへて、しだいに実現しなければなりません。

 国の統一を達成するためには、アメリカ帝国主義者によってつくりだされた南北間の緊張状態を取り除くことがなによりも重要であります。

 アメリカ軍を追い出し、南北がともに相手側を攻撃しないという平和協定を結び、南北朝鮮の軍隊をそれぞれ10万、またはそれ以下に縮小すべきであります。我々はこのことをなんども提案し、なしうるあらゆる努力を払ってきました。

 軍隊を増強し軍備を拡張すべきではなく、兵力を縮小し緊張状態を取り除いて、南北朝鮮がともに民族経済の建設と人民生活の向上に力をそそぐべきであります。

 アメリカ帝国主義者は、南朝鮮人民の血と汗を搾り取って70万の傭兵を維持しています。南朝鮮のこのような膨大な軍事力は、民族防衛とはなんのかかわりもないものであり、それはただアメリカ帝国主義者の侵略政策の道具にすぎません。これは、南朝鮮人民にとって耐えがたい重い負担となっており、朝鮮の平和に大きな危険をつくりだしています。

 南北朝鮮のあいだで平和協定を結び、軍隊を縮小することは、なによりもまず南朝鮮人民の重い軍事費の負担を減らし、南北間に人為的につくられた緊張状態を取り除き、相互信頼の雰囲気をつくりだすでしょう。

 南朝鮮からすべての外国軍隊を撤退させ、南北間で平和協定を結び兵力を減らすことは、祖国統一への重要な第一歩となるでありましょう。

 南北間の緊張状態が取り除かれるならば、さらに一歩進んで、経済、文化の交流と協力を実現することができるでしょう。

 こんにち、南朝鮮において破壊された経済を復興し、塗炭の苦しみに陥った人民生活を改善することはさし迫った問題であります。南北間の経済と文化の連係を実現し、交流と協力をはかる以外に、この問題を解決する道はありません。

 我が党の指導のもとに北半部の人民は、英雄的な闘争を進めて工業化の基礎をきずき、強固な民族経済の自立的土台をきずきあげました。我々がすでに共和国北半部に建設した経済的土台は、全朝鮮の民族経済の自主的発展の強固な元手となるものであります。

 南北朝鮮が経済的協力と交流を実現して、北朝鮮にきずかれた経済的土台を利用してこそ、南朝鮮の工業と農業を復興・発展させ、数百万の失業者に職を与え、南朝鮮人民の生活を全般的に改善することができます。

 南北の交流を効果的におこなうために、南北朝鮮の代表からなる経済委員会を組織する必要があると考えます。

 いま、南朝鮮当局者は朝鮮人民の意思に背いて、外資導入に活路を求めようとしています。外資導入は従属の道であり、亡国の道であります。それは、破壊された南朝鮮経済をますますぬけだすことのできない破滅のふちへ陥れ、南朝鮮をいっそう帝国主義の従属下に追いやるだけであります。解放後17年にわたるアメリカの南朝鮮にたいする「援助」の結果がこれをよく示しています。

 南北が力を合わせ、北朝鮮の強力な経済的土台に依拠して豊かな国内資源を共同で開発するならば、朝鮮民族は十分に自力でやってゆけるばかりでなく、文化的で富強な独立国家を建設することができます。

 南北間の交流と相互協力が実現すれば、我々はさらに一歩進んで、国の初歩的な統一を実現する画期的な措置をとることができるでしょう。

 国の初歩的な統一を達成するためには、我が党と共和国政府がすでに提案した連邦制を実施するのが合理的であると考えます。

 我々が提案している連邦制は、南北朝鮮に現存する社会・政治制度はそのままにしておき、朝鮮民主主義人民共和国政府と「大韓民国政府」の独自の活動を保持しながら、両政府の代表からなる最高民族委員会を組織して、民族共同の関心事となる問題を共同で処理しようというものであります。

 このような連邦制のもとで、南北は互いに相手側の内政に干渉してはならず、どちらか一方が他方に自己の意思を強制してもなりません。南北朝鮮は、それぞれの政治的信念に従って自由に行動し、ただ連邦機構をつうじて合意に達した民族共通の利害にかんする問題を共同で解決するでありましょう。

 この連邦制は、言語、風習、文化の相異なる民族間の連邦とは違って、長い歴史をつうじて同じ言語、同じ風習、同じ文化を形成してきた単一民族の一時的に分裂した2つの部分が連邦に結合することであります。したがって、南北が連邦制を実施することになれば、我々は民族経済と民族文化を統一的に発展させ、国内のすべての資源を共同で開発し、対外活動の多くの分野に単一民族として共同で進出するなど、祖国の繁栄と民族の利益のために大きな事業をなし遂げることができるでしょう。

 連邦制の実施はまた、南北間の接触と相互理解を促進し、政治的・経済的連係を強化し、民族的親和の雰囲気をつくり、祖国の完全な平和的統一の達成に極めて有利な局面を開くでしょう。

 我々は、このような中間的な過程をへて祖国の完全な統一に到達することができるし、また必ず到達しなければなりません。

 我が党と政府がたび重ねて明らかにしているように、国の完全な統一を達成するためには、民主的原則にもとづく全朝鮮の自由選挙によって、南北朝鮮の各階層の参加する統一的中央政府を樹立しなければなりません。

 外国勢力の干渉をいっさい排除することはもちろん、南北朝鮮人民の自由な往来と政治活動の自由を保障することは、全朝鮮の自由選挙を実施するための先決条件であります。

 南朝鮮において人民の愛国的、民主的運動にたいする弾圧は直ちに中止されるべきであり、言論、出版、結社、集会、デモおよびストライキの自由が保障されなければなりません。軍事「政権」によって解散させられたすべての政党、大衆団体は復活し、その活動の完全な自由が保障されなければなりません。

 南北朝鮮のすべての政党、大衆団体および個々の人士は、国のどの地域でも自由に活動することができ、いかなる束縛も受けることなく、自己の政治的見解を人民の前に公表することができなければなりません。

 このような条件が保障されることによってのみ、朝鮮人民は真の自由選挙にもとづいて全朝鮮の中央政府を樹立し、国の完全な平和的統一を達成することができます。

 祖国統一にたいする朝鮮労働党と朝鮮民主主義人民共和国政府のこのような立場は、全民族の利益と全朝鮮人民の意思を反映したものであります。

 南朝鮮の一部の人は、我が国の自主的平和統一が実現すれば、南朝鮮が「共産化」するといって、必死になって反対しています。南朝鮮において共産主義の理想を実現するか否かは、南朝鮮人民自身の問題であって、なにびとも強要できないことであります。すべての先進的思想と社会制度は、外部から強要できるものではなく、人民自身が自己の自由意思によって選択するものです。南朝鮮の「共産化」が憂慮されるという口実のもとに祖国統一に反対するのは、統一を望む全人民の切実な願いに背くことであり、全民族の死活の利益に背くことであります。

 南朝鮮の支配者はまた、使い古した「滅共統一論」を主張しつづけ、「勝共」のために力を培養しなければならないと騒いでいます。

 帝国主義の力によって共産主義を掃滅し、全朝鮮に植民地制度を押しつけようとする方法は、すでに試験ずみであり永久に実現の見込みがありません。およそ40年にわたる日本帝国主義の植民地支配も、朝鮮から共産主義運動をなくすことはできませんでした。共産主義の掃滅を生涯の任務としていた李承晩もアメリカ帝国主義の力に頼ったにもかかわらず、その目的を果たすことができなかったばかりか、かえって自分の犯した罪のために人民から見捨てられ滅んでしまいました。反共をこととする南朝鮮の一部の頑迷な人は、この歴史的な事実から必ず教訓をくみとるべきであります。もし、あえてまた李承晩に見習う者がいるならば、その先任者と同じ運命をまぬがれないでしょう。

 我が国の統一は、誰が食い、誰が食われるかといった問題ではなく、もともと統一していた一つの民族が帝国主義のきずなから完全に解放されて民族的統一を取り戻す問題であります。

 「滅共」とか「勝共」とかいう馬鹿げた考えは実現する見込みがないばかりか、それは国の統一を妨げ、我が民族を永遠に分裂させようとする極めて有害な考えであります。

 祖国統一にかんする我が党と共和国政府の立場は、論駁の余地のない、最も合理的かつ正当なものであります。

 真に民族の利益を擁護し祖国の将来を憂えるすべての人は、塗炭の苦しみにあえぐ南朝鮮人民の生活の改善のため、国の平和的統一のためにたたかわなければなりません。これは、全朝鮮人民の崇高な民族的義務であります。

 国の統一のためになによりも重要なのは、あらゆる面から南北間の相互理解をはかり、民族的親和と団結をはかることであります。南北が互いに反目し、ねたみあい民族的団結を実現しなければ、ただアメリカ帝国主義者に利益を与えるだけであります。帝国主義侵略者は、民族がめざめ団結することをなによりも恐れています。かれらは、その侵略的目的を達成するために、民族の団結を破壊し、民族内部に不和の種をまき、互いに反目させようとあらゆる凶悪な策動をおこなっています。

 南北朝鮮のすべての愛国的人民は、アメリカ帝国主義者の民族離間政策を決定的に粉砕し、反米救国闘争の旗のもとに、祖国統一の旗のもとにかたく団結しなければなりません。

 我々は民族の利益を守り、祖国の統一をめざしてたたかう人であれば、その過去や政治的信条のいかんを問うことなく、ともに団結して進むでありましょう。

 南朝鮮の現執権者も、もし、かれらが外来侵略者と結託する民族反逆の道からぬけだし、人民にたいする弾圧を中止し、国の自主的平和統一をめざす闘争に加わるならば、かれらと団結することができるでしょう。しかし、かれらが悔い改めることなく、ひきつづき外国勢力にこびへつらって追従し、生存の権利と民主主義をめざす人民の正義の闘争を弾圧し、あくまで国の統一を妨害するならば、かれらは全民族にたいし永久にぬぐいさることのできない罪を犯すことになり、全朝鮮人民の厳しい審判をまぬがれないでしょう。

 共和国北半部の社会主義勢力と南朝鮮の愛国的民主勢力の団結を実現すべきであり、全民族がかたく団結して、アメリカ帝国主義の侵略に反対し、祖国の平和的統一をめざしてたたかうべきであります。

 南朝鮮の労働者、農民、兵士、青年学生、知識人をはじめ各階層の人民は、アメリカ帝国主義侵略者に反対する救国闘争に勇敢に立ち上がらなければなりません。南朝鮮人民は、アメリカ帝国主義者の侵略と戦争政策に反対してたたかい、侵略軍にたいするいっさいの協力を断固として拒否しなければなりません。南朝鮮人民は、我が同胞、兄弟姉妹にたいするアメリカ軍の野蛮な行為をやめさせ、侵略者を我が国土から追い出すために決定的な闘争を展開しなければなりません。

 南朝鮮人民は、アメリカ帝国主義とたたかうとともに、それと結託した国内の反動勢力に反対してたたかわなければなりません。

 労働者、農民をはじめ南朝鮮のすべての愛国的、民主的勢力は、自主的平和統一の旗のもとに広範な反米救国統一戦線を結成して、アメリカ帝国主義者と国内の反動勢力を徹底的に孤立させるべきであり、反動的支配者にたえず圧力を加えて、かれらが外国勢力に依存できないようにしなければなりません。

 我々は、世界のすべての被抑圧民族が勇敢に立ち上がり、帝国主義と植民地主義のくびきをかなぐり捨て、自由と独立をかちとっている民族解放革命の偉大な時代に生きています。こんにち、アジア、アフリカ、ラテンアメリカにおける民族解放闘争の勢いはますます盛んであります。

 このような時代に、数千年の長い歴史と文化をもち、栄えある革命伝統を受け継いだ英知ある勇敢な朝鮮民族が、どうしてヤンキー帝国主義の抑圧に屈し、植民地奴隷の生活を堪え忍ぶことができましょうか。

 こぞってアメリカ帝国主義と、それと結託した反動的支配勢力に反対し、民族の統一と祖国の完全独立のために力強く立ち上がり、闘争の炎をさらに燃えあがらせなければなりません。

 全民族がかたく団結して力強い反米救国闘争を展開すれば、アメリカ帝国主義侵略者は南朝鮮から追い出され、祖国統一の大業は必ず達成されるでありましょう。




 みなさん!

 我が党と政府の正しい対外政策と朝鮮人民の英雄的なたたかいによって、朝鮮民主主義人民共和国の国際的地位はかつてなく強固になりました。

 こんにち、全般的な国際情勢は、朝鮮人民の革命大業にますます有利に発展しています。社会主義陣営の威力はかつてなく強化され、国際舞台で平和と社会主義勢力は、戦争と帝国主義勢力を圧倒しています。

 ソ連人民は、人類の理想である共産主義への大路を開いています。ソ連では、共産主義の物質的・技術的土台をきずく雄大な経済建設が進められており、勤労者の福祉はますます増進しています。ソ連は科学と技術の発展で世界最高の水準に達しており、この分野でますます大きな業績を積みあげています。共産主義建設でソ連人民がおさめているすべての成果は、社会主義陣営の威力を強化し、平和と民族独立と社会主義をめざす全世界の人民の闘争を励ましています。

 兄弟の中国人民も、社会主義建設で成果をおさめています。

 ヨーロッパとアジアのすべての社会主義国では、経済が急速に発展しており、人民生活がいっそう改善されています。

 こんにち、社会主義陣営は、全世界の進歩的な人々の希望と期待を代表しており、人類の歴史発展の決定的な要因となっています。

 社会主義陣営の強化発展は、植民地・従属国人民の解放闘争を限りなく励ましており、帝国主義植民地体制の最終的な崩壊過程をますます促進しています。

 アジア、アフリカ、ラテンアメリカで、すでに数億の人民が呪わしい植民地のくびきをかなぐり捨てて自主的発展の道を進んでおり、民族解放闘争の炎はますます激しく燃えさかっています。

 南ベトナム人民は、アメリカ帝国主義者とその手先に反対して、ひきつづき英雄的な武装闘争を展開しています。ラオス人民は、外国帝国主義と国内反動の侵略策動を粉砕し、民族の独立をめざすたたかいで大きな勝利をおさめ、インドネシア人民は西イリアンの解放闘争を成功裏に遂行しました。

 アルジェリア人民は長年にわたる武装闘争をつうじて、自由と解放をかちとって民族独立国家を樹立し、いまなお植民地従属下にあるアフリカ諸国の人民は植民地主義者に反対して勇敢にたたかっています。

 英雄的キューバ人民は、アメリカ帝国主義者のたえまない侵略策動から革命の獲得物をしっかりと守っています。キューバ人民革命の勝利と発展は、アメリカ帝国主義の従属下にあるすべてのラテンアメリカ人民に大きな革命的影響を及ぼしています。ラテンアメリカのすべての国に解放闘争の波が急速に広がっており、たたかいはいちだんと高まっています。

 世界における社会主義勢力の急速な成長と植民地体制の崩壊によって、帝国主義勢力は決定的に弱まっています。帝国主義の内部矛盾はいっそう激化し、帝国主義列強間の葛藤は先鋭化しています。すべての資本主義国で、労働者階級を先頭とする人民大衆の革命闘争が発展しています。帝国主義者は、内外から強力な打撃を受けており、ますます窮地に追い込まれています。

 資本主義は、すでにその時代を生きつくしました。帝国主義が、世界を支配し、侵略と略奪をほしいままにした時代はすでに過ぎ去りました。こんにち、我々の時代は、国際的な範囲で激しい階級闘争がおこなわれ、地球上のあらゆる被搾取人民と被抑圧民族が解放闘争に立ち上がっている偉大な闘争の時代であり、革命の嵐の時代であります。帝国主義は滅亡しつつあり、社会主義・共産主義は世界的な範囲で勝利しています。

 アメリカ帝国主義をかしらとする世界のあらゆる反動勢力は、滅亡しつつあるその運命からのがれようと最後のあがきをしています。アメリカ帝国主義者は、社会主義陣営に反対し、世界のいたるところで被抑圧民族と被搾取人民の解放闘争を弾圧し、新たな戦争を引き起こそうとあらゆる策動をおこなっています。

 現代修正主義者は、社会主義陣営の団結を破壊し、帝国主義の侵略策動をかばい、人民大衆の革命闘争を麻痺させようと企み、アメリカ帝国主義に忠実に奉仕しています。

 しかし、帝国主義者とその手先の策動はすべて無益であります。世界の社会主義勢力が急速に成長し、人民の革命闘争がたえず高まるのは、いかなる力をもってしても阻むことのできない現時代の基本的な趨勢であり、帝国主義の完全な崩壊と社会主義の最終的な勝利は必然であります。

 こんにち、アメリカをかしらとする帝国主義者は、軍備競争の強化と国際緊張の激化、新たな世界大戦の挑発に活路を求めようとしています。

 アメリカ帝国主義者は、大々的に軍備を拡張しており、社会主者諸国を攻撃するための軍事基地と侵略的軍事同盟をいっそう強化しています。アメリカ帝国主義の侵略政策の執行者であるケネディ政府は、全面戦争と核戦争を大々的に準備する一方、「局地戦争」と「特殊戦争」を露骨に強行する道へ進んでいます。アメリカとその追随国の支配層は、侵略的な「北大西洋条約機構」の軍事力をさらに強化し、西ドイツの報復主義者を再武装させて、ヨーロッパの中心部に危険な戦争の策源地をつくりだしています。

 いまアメリカ帝国主義者は、カリブ海域で新たな戦争騒ぎを引き起こしています。かれらは、キューバにたいする再侵攻の企図を公然と宣言して、この地域で極度の緊張をつくりだし、世界平和全般に重大な脅威を与えています。

 アジアでアメリカ帝国主義者は、ひきつづき我が国の南半部を占領し、南朝鮮をアメリカの核およびミサイル基地に変えました。アメリカ侵略者は、南朝鮮駐留のアメリカ軍とかいらい軍をさらに増強し、南朝鮮に各種の大量殺りく兵器をひきつづき持ち込んでおり、たえず共和国北半部にたいして挑発行為をおこなっています。

 またアメリカ帝国主義者は、中華人民共和国の不可分の領土である台湾を占領し、蒋介石一味を押し立てて人民中国に反対する露骨な侵略行為をおこなっており、南ベトナムで大がかりな宣戦布告なき侵略戦争を強行しています。

 特にアメリカ帝国主義者は、侵略的な米日軍事条約を結び、日本軍国主義を復活させて、アジア侵略の「突撃隊」にしたてようとしています。

 現情勢は、全世界の人民にアメリカ帝国主義者とその追随分子の戦争挑発陰謀にたいして最大の警戒心をもち、平和を守るためにいっそう積極的にたたかうことを求めています。

 こんにち、平和を守る闘争隊列の先頭には強力な社会主義陣営が立っています。社会主義諸国は、その社会制度の本質からして熱烈に平和を志向し、平和愛好的な対外政策を実施しています。

 社会主義諸国の平和愛好的な方案を実現し、世界のゆるぎない平和を維持するためには、なによりもまず帝国主義の侵略と戦争政策に反対する強力な闘争をくりひろげなければなりません。

 戦争の根源は帝国主義にあり、こんにち、侵略と戦争の主な勢力はアメリカ帝国主義であります。帝国主義者、特にアメリカ帝国主義者の侵略と戦争挑発政策に反対するたたかいをぬきにしては、いかなる平和闘争についても語ることができません。

 平和は哀願すべきではなく、人民大衆の闘争によってたたかいとらなければなりません。ただ社会主義陣営の威力をたえず強化し、資本主義諸国における労働運動と植民地・従属諸国人民の解放闘争をいっそう発展させ、帝国主義の侵略と戦争政策に反対するたたかいに広範な人民大衆を立ち上がらせてのみ、また、すべての平和勢力をかたく結集し、あらゆる闘争方法を組み合わせて、いたるところで帝国主義戦争放火者に圧力を加え打撃を与えてのみ、新たな世界大戦を防ぎ、世界のゆるぎない平和を維持することができます。

 アメリカ軍の南朝鮮占領とその侵略政策は、朝鮮問題の平和的解決を妨げているばかりでなく、極東の平和を甚だしく脅かしています。朝鮮人民は、我が国で新たな戦争を起こそうとするアメリカ帝国主義者の陰謀を破綻させ、かれらを南朝鮮から撤退させるために、ひきつづき力強い闘争を展開しなければなりません。

 アメリカ帝国主義者によって復活している日本軍国主義は、こんにち、アジアで危険な侵略勢力として台頭しています。特に日本軍国主義者は、アメリカ帝国主義者の積極的な励ましを受けて「韓日会談」を開き、南朝鮮にたいする経済的侵略を企んでいるばかりでなく、南朝鮮を引き入れて侵略的な「東北アジア軍事同盟」をつくりあげようと策動しています。

 南朝鮮の軍事「政権」は、南朝鮮人民に強いられたアメリカ帝国主義者の侵略道具にすぎず、絶対に朝鮮人民を代表することはできません。したがって、日本政府と南朝鮮の軍事「政権」のあいだにどのような軍事的および経済的な協定が結ばれようとも、朝鮮人民は決してそれを認めず、決定的に排撃するでありましょう。日本とのあいだのすべての政治的、経済的な問題は、今後朝鮮に統一的な人民の政府が樹立されたのち、当然、改めて提起されるであろうし、新たに解決されなければなりません。朝鮮人民は、南朝鮮にたいする日本軍国主義の再侵略企図と、それを極力そそのかしているアメリカ帝国主義者の犯罪的行為を断固として糾弾します。

 朝鮮人民は、台湾、南ベトナム、日本、その他のアジア地域と世界のいたるところでアメリカ帝国主義者が強行している侵略行為を断固として糾弾し、他国の領土にあるアメリカの軍事基地の撤廃とアメリカ軍の撤退を強く要求します。我々は、アジアのすべての地域からアメリカ帝国主義侵略勢力を追い出すために、すべてのアジア人民とかたく団結してたたかうでありましょう。

 我々は、対独講和条約を締結し、西ベルリン情勢を正常化するためのソ連政府とドイツ民主共和国政府の正当な立場を支持します。

 朝鮮人民は今後も反帝闘争の旗を高くかかげ、全世界の平和愛好人民とかたく団結してアメリカ帝国主義者の戦争挑発策動に反対し、アジアと世界の平和を守りとおすためにねばり強くたたかうでありましょう。我々は常に高度の警戒心をもって国防力をあらゆる面から強化し、人民大衆を革命精神で武装させて敵のいかなる不意の攻撃をも断固粉砕し、社会主義の獲得物をゆるぎなく守り、平和と社会主義の東方の砦をしっかり守りぬくでありましょう。

 植民地・従属諸国人民の反帝民族解放闘争は国際労働者階級の革命闘争の一環であり、平和維持の強力な要因であります。朝鮮労働党と共和国政府は、民族解放闘争を積極的に支持することをその対外政策の重要な原則としています。

 朝鮮人民は、民族の独立と革命の獲得物を守るための英雄的なキューバ人民のたたかいを全面的に支持し、キューバにたいするアメリカ帝国主義者の侵略策動を断固糾弾します。朝鮮人民は、外来侵略勢力と国内反動勢力に反対し国の統一をめざしてたたかうベトナム人民を積極的に支持し、独立・民主・平和および中立をめざす日本人民のたたかいを支持します。我々は、民族の独立をめざすたたかいでおさめたラオス人民とアルジェリア人民の勝利を熱烈に祝い、自由と解放をめざすアジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国人民のたたかいを積極的に支持します。

 我が党と共和国政府ならびに全朝鮮人民は、今後ともあらゆる形の植民地主義と民族的抑圧に反対して断固たたかい、すべての被抑圧人民の解放闘争を支持し声援するでしょう。

 我々はまた、資本の搾取と抑圧に反対し、民主的権利と社会主義をめざしてたたかう資本主義国の労働者階級と勤労人民の革命闘争を積極的に支持し、かれらにかたい連帯を示すものであります。

 社会主義陣営の統一を強化し、すべての社会主義国との友好と協力関係をたえず発展させることは、我が共和国の対外政策の確固不動の基礎であります。

 社会主義陣営の統一と団結は、帝国主義の侵略政策を破綻させ、平和と民族独立、社会主義大業の勝利を保障する最も重要な裏付けであります。社会主義諸国間の友好と団結を強化し、社会主義陣営の統一を守りぬくことは、すべての社会主義国の党と政府および人民の神聖な国際主義的義務であります。

 社会主義諸国間の関係は、マルクス・レーニン主義とプロレタリア国際主義の原則にもとづいており、それは帝国主義諸国間の相互関係とは根本的に異なる完全に新しい形態の国家関係であります。

 社会主義諸国は、社会制度の共通性と同一の思想ならびに闘争目的によってかたく団結しており、共通の敵に反対し、社会主義・共産主義の共同の大業をめざすたたかいで互いに緊密に協力し支持しあっています。

 帝国主義諸国間の関係は、大国が小国の内政に干渉し、それらの国に自分の意思を押しつけ、一方的な尊重と服従を要求する支配と従属の関係であります。しかし、社会主義諸国は、国の大小にかかわりなく、すべて完全に平等で自主的であり、互いに尊重し支持します。これらの国のあいだには、ある一国が他の国の内政に干渉したり、その国に自分の意思を押しつけることなどはありえません。

 帝国主義諸国は、うわべでは相互間の「親善」と「団結」を主張しているが、裏では相手側にたいして破壊工作をおこない、「協力」と「援助」をかかげながらも、実際には他国を政治的、経済的に従属させる手段としてそれを利用しています。しかし、社会主義諸国は共通の敵に反対し、共同の大業をめざしてたたかう戦友として、意識的で同志的な友好と協力の関係を結んでおり、これらの国のあいだには、互いに相手を傷つけたり、表裏の一致しない行動をとったりすることなどはありえません。

 社会主義諸国間の友好と団結および相互協力がまさにこのような原則にもとづいているために、それは真に強固なものとなり、不敗の力を発揮することができるのであります。

 こんにち、帝国主義者とその手先である修正主義者は、社会主義陣営の統一を破壊するために悪辣な策動をおこなっています。修正主義者は、帝国主義者にそそのかされて社会主義諸国を中傷し離間させ、これらの国の党と政府をくつがえす陰謀工作をおこなっています。我々はこのような破壊活動にたいし警戒心を高め、それに反対して決定的にたたかわなければなりません。

 我が党と共和国政府は終始一貫、社会主義諸国間の相互関係にかんするマルクス・レーニン主義的準則に立脚して、すべての兄弟国との友好と協力を強め、社会主義陣営の統一を守りとおすためにねばりづよく努力してきました。こんにち我が国は、隣国であるソ連ならびに中華人民共和国と友好・協力および相互援助条約によって不敗の同盟関係を結んでおり、朝鮮人民とすべての社会主義国人民間の友好と協力はますます強化発展しています。

 朝鮮労働党と共和国政府ならびに朝鮮人民は、今後ともすべての社会主義国人民との友好と団結、相互協力をたえず強化し、社会主義陣営の統一を守りとおすために全力をつくすでありましょう。

 我が国は、朝鮮人民の自由と独立を尊重するすべての国と正常な国家関係を結び、特にアジア、アフリカ、ラテンアメリカの民族独立国家との友好的な協力関係を発展させることを対外政策の一貫した方針としています。

 我々は今後とも、すでに我が国と友好的な国交関係を結んでいる民族独立国家との関係をいっそう発展させ、まだ国交関係を結んでいないその他のアジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国との友好関係を発展させるために積極的に努力するでありましょう。我々はまた、我が国と好ましい関係を結ぶことを願う資本主義諸国とも国家的および経済的、文化的関係を結び、平等、互恵の原則にもとづいて貿易と文化の交流をおこなうために努力するでありましょう。

 朝鮮人民の進めている革命闘争は、平和と民族独立、社会主義をめざす全世界の人民のたたかいの一環をなしています。我が党と政府と人民は、今後もマルクス・レーニン主義の革命の旗、帝国主義に反対し社会主義と民族解放をめざす闘争の旗を高くかかげ、ひきつづきねばりづよくたたかうことによって、自己に課された民族的および国際的任務を忠実に果たすでありましょう。

 代議員のみなさん!

 こんにち我々は、我が祖国と民族の歴史上かつてない繁栄の時期に生きています。

 我が国の経済は高揚の一路を進んでおり、科学と技術は急速に発展し、民族文化が燦爛と開花しています。我が国の都市と農村はますます新しい姿に建設されています。朝鮮人民のすべての生活は幸福と喜びと楽しさにみちており、その物質的福祉と文化的水準は日増しに向上しています。全人民は党と政府のまわりに鉄のように団結しており、全国がかつてない革命的高揚と創造の熱意にわき立っています。

 いま我々にとって最も重要なのは、我が党と政府と人民の不敗の統一をゆるぎなく守りぬき、これをいちだんと強化し、人民大衆の高まった革命的熱意を堅持しさらに発展させることによって、祖国の限りなき繁栄と全民族の将来の幸福のために、ひきつづき力強いたたかいをくりひろげることであります。

 我が党は、共和国北半部における社会主義建設の雄大な綱領をさし示し、すべての勤労者はこぞって、それを遂行するために立ち上がっています。我が党の指導のもとに、北半部の勤労者は7か年計画を必ず成功裏に遂行して、北半部の革命基地を鉄壁のようにうちかため、アメリカ帝国主義者とその手先に反対する南朝鮮人民の闘争をいっそう力強く励ますでありましょう。我が党の指導のもとに、朝鮮人民は必ず祖国統一の大業をなし遂げ、朝鮮革命の最終的勝利をかちとるでありましょう。

 マルクス・レーニン主義党に導かれ、権力を自己の手にしっかりと握り、偉大な社会主義陣営と全世界の進歩的な人民の積極的な支持と声援を受けている朝鮮人民は、その正義のたたかいで百戦百勝するでありましょう。

 ともに党と政府のまわりにかたく団結し、新しい偉大な勝利をめざして勇敢に前進しましょう。

出典:『金日成著作集』16巻
 

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