新たな環境に即して工業の指導と管理を改善するために

2 工業管理体系の改編について


 我々は、社会主義経済制度の本質的要求と社会主義経済建設の新たな環境にかなった新しい工業管理体系を樹立しなければなりません。


 l 統一的で集中的な生産指導体系の樹立について

 工業管理体系を改編するためには、何よりもまず生産指導体系から改めなければなりません。

 現在の生産指導体系の基本的な欠陥は、有機的に結合し統一的に進められるべき計画化、生産指導、技術指導がそれぞれ分離されており、特に生産にたいする技術指導を円滑におこなえないようになっていることです。

 省、管理局に限らず工場・企業所でも生産に明るい技術者のほとんどが技術部署にポストをしめて雑多な文書づくりやなつ印などの仕事をしており、生産は技術工程にうとい行政幹部が指導しています。工場の場合を見ても、誰よりも生産技術工程に明るく、したがって、生産指導で責任ある役目を果たすべき技師長は、技術部署を受け持った一部署の責任者としての役割しか果たしておらず、生産は支配人が生産指令部をつうじて指導しています。そのため、支配人が技術に精通しているところでは生産の指導がうまくいきますが、支配人が技術を知らないところでは生産の指導がうまくいっていません。

 前回の党中央委員会総会でも述べたように、こんにち、工業にたいする指導は必ず技術指導とならなければなりません。

 工業生産のすべての工程が技術工程であり、すべての製品が技術工程をへて生産されます。設計図の作成から設備の整備、工具の使用、製品の検査にいたるまで、工業ではすべて技術工程でないものはありません。したがって、工業における生産指導はすなわち技術指導とならなければならず、工業生産は当然技術工程に明るい人が指導にあたらなければなりません。

 相や管理局長、支配人が生産を指導し、生産にたいして責任を負うべきであることはいうまでもありません。しかし、かれらが一人で生産を指導することは不可能です。相や管理局長、支配人が生産を正しく指導するためには、かれらを助けて生産計画を立て、それを実行する技術準備をし、下部に行って生産過程を調べ、隘路を適時に発見して解決する参謀部がなければなりません。この参謀部がその役割を円滑に果たすためには、当然、これにすべての生産技術工程に明るい各部門の専門家が加わらなければなりません。そうしてこそ、計画も実情に合うように樹立し、生産過程で隘路となる問題も正しく見つけだして、そのつど解決することができます。こうした参謀部をもって、省、管理局は工場を指導し、工場の管理部は職場を指導すべきです。

 工場では、技師長が参謀長になって生産を統一的に指導し、支配人の第一代理人としての役割を果たすべきです。

 工場、企業所では、技師長のもとに生産指導部と計画部、技術部を置き、これらの部署で参謀部を構成すべきです。そして副技師長二人を配置して、一人には生産指導部長と計画部長を兼任させ、もう一人には技術部長を兼任させるのがよいでしょう。必要によって計画部長は別の人にさせることもできるでしょう。しかし、生産指導部長と技術部長は必ず副技師長に兼任させるべきです。

 技師長は、生産指導と関連のある部署をすべて統轄すべきですが、なかでも生産指導部を掌握すべきです。生産指導部は、軍隊の作戦部にあたる最も重要な部署です。この部署は、生産計画を立て、生産準備をする部署であり、生産を直接指揮する部署です。したがって、技師長がこの部署をしっかりと掌握すれば、生産を指揮する参謀長としての役割を正しく果たすことができます。

 計画部も技師長が担当すべきであり、参謀長である技師長が生産計画を立てるべきです。戦争についてなにも知らない人が戦闘計画を立てられないのと同様、生産技術工程を知らない人は生産計画を立てることができません。もし生産を知らない人が計画を立てれば、その計画は実情に合わない机上の計画となり、結局は生産過程で計画を何回も修正しなければならなくなるでしょう。

 技師長が計画の作成を受け持つからといって、すべての計画を技師長一人で作成せよと言うのではありません。問題は生産技術工程に精通した技師長が計画化の仕事を責任をもっておこない、生産指導で支配人を十分に補佐しようということです。

 現在の技術工程部を技術部と改称し、それに設計事業所、技術準備室、実験室を所属させるべきです。

 技術部は、技師長が直接受け持たなくてもさしつかえありません。設計書の作成、技術工程の編成、工具の準備、製品の実験といった技術部の仕事ももちろん重要です。しかし、これはどこまでも生産のための一つの技術的条件の保障であるため、こうした仕事は副技師長に任せ、技師長はかれをつうじて指導すればよいでしょう。

 工作・動力部は、技術部に所属させてもよく、参謀部の他の部署として置いてもよいでしょう。

 今後、工場で技師長が生産指導部、計画部、技術部などの参謀部署を掌握し生産を統一的に指導することになるからといって、支配人は生産指導と無関係な人になり、これといった仕事のない存在になるかといえば、決してそうではありません。支配人は、今後も生産指導に最も大きな力を傾け、資材供給や給養活動など工場の全般的な仕事を掌握し指揮しなければなりません。

 支配人はまず、技師長と副支配人から毎日、朝と晩に生産組織と生産計画の遂行、資材供給、給養活動の状況など工場の全般的な活動状況について報告を受けるべきです。技師長と副支配人から報告を受けたのちには、検閲部署を通じてその正否を調べなければなりません。これは、決して支配人が技師長や副支配人を信じられないからではありません。ともに働く革命の同志は常に信頼すべきですが、仕事で誤りをおかさないためには必ず点検が必要であります。同志を信頼し点検するのは、共産主義者の重要な活動原則であります。

 支配人は検閲部署を通じて調べるだけでなく、直接職場に行って見るべきです。職場に行って見れば、生産の進行状況や資材供給状況を明確に把握することができます。

 支配人は、このように工場の管理運営活動全般について調べた後、誤りは是正し、必要に応じて対策を講じなければなりません。これらの仕事は、技師長と副支配人に任務を与えておこなうこともできるし、支配人が直接進めることもできます。このように、支配人の仕事は決して減るものではありません。

 次に、職場の機構について述べましょう。

 職場は、支配人と技師長に直属する生産単位であります。現在、職場には職場長、職工長、計画係、経済係、計算係、統計係、技術指導員、工程係など多数の管理人員がありますが、職場にこのように多くの人員は不必要だと思います。職場には、職場長と副職場長を1、2名配置して生産を交代別に指導させるべきです。そのほかに、生産指導員数名と資材供給係を置き、簿記係と統計係をそれぞれ一名ずつ配置すればよいでしょう。職場には、これ以外の機構を設ける必要がありません。

 職場長は、支配人と技師長の指導のもとに、職場所管の設備、資材、労働力で直接生産を組織し指揮するメンバーです。現在職場長は生産に力を入れるのではなく、労働者に食糧配給票や副食物の伝票をくばる仕事まで引き受けて忙しく走りまわっていますが、こうしたことは職場長の仕事ではありません。職場長は生産に責任を負っているのですから、作業班長との活動、労働者との活動、設備との活動をし、生産の指揮に全力を傾けなければなりません。

 職場の生産指導員は、職場と工場生産指導部の二重所属にすべきです。言いかえれば、生産指導員は、生産指導部のメンバーとして職場に行って現場で職場長の仕事を助ける人です。これは軍隊でいえば、連隊参謀部の参謀が大隊に行って大隊長の仕事を助けるのと同じことです。

 職場に計画係を別途に置く必要はありません。工場に計画部があり、生産指導部もあるのに、わざわざ職場に計画係を置いて工場から示達される計画をさらに割り振りさせる必要はありません。これはむだな中間機構です。

 職場は、決して完全に独立した単位ではありません。職場は軍隊でいえば、小隊と同じ戦闘単位だと言えます。したがって、職場は工場参謀部の指令なしに独自に行動することはできず、上部から示達された計画を変更することもできません。ただ、ここでは上部から示達される命令や生産計画をそのとおり実行するだけです。したがって、職場では計画係の仕事が別段ありません。

 職場の計画係に役目があるとすれば、職場の機械の性能を調べて各機械別に能力に見合う生産課題を配分することですが、これは職場に計画係を置かなくても、工場の計画部が職場に行うて計画を立てれば十分に解決できることです。各職場が遠く離れているわけでもなく、一つの工場の中にあるのですから、計画部の人たちが職場に行って計画を立てるのは少しも難しいことではないはずです。計画部には技術者も多いのですから、事務室にとじこもっていずに、みな職場に行って機械を運転しながら性能も調べ、労働者の技術熟練度も理解し、その他の生産条件なども詳しく把握して生産計画を立てるべきです。

 工場計画部で立てた計画を職場別に配分する仕事は生産指導部がすべきであり、計画の実行を監督し指導する仕事も生産指導部がすべきです。

 生産指導部ではまず、参謀部で討議し支配人と技師長が承認した計画に従って、どの職場ではなにをいつまでどのくらい生産すべきであると、職場別に配分して示達しなければなりません。そして、各職場に派遣した生産指導員をつうじて、その実行状況を監督し指導すべきです。

 職場に派遣された生産指導員は生産過程で誤りを発見すれば、直ちに生産指導部に報告し、職場長にも報告してそれを是正するようにしなければなりません。ときには、上部から示達した計画そのものに間違いがある場合もありえます。その場合、生産指導員は直ちに、計画と生産能力との間にこれこれの食い違いがあるから計画を手直しすべきだと生産指導部に意見を具申すべきです。生産指導部ではそれを再確認し計画の手直しが必要である場合には、支配人と技師長の承認を得たあと、修正して示達しなければなりません。

 職場に労働基準量係を別途に置く必要はなさそうです。工場に労働賃金部があるのに、職場に労働基準量係を置いてわざわざ中間機構をつくる必要はありません。職場に労働基準量係を一人置くとしても、一人で大勢の労働者の労働基準量や賃金を正しく査定するのはとうてい不可能なことです。したがって、職場に労働基準量係を置くべきではなく、労働賃金部に基準量指導員を5、6名置き、かれらが職場へ行って労働基準量や賃金を査定するようにすべきです。


 2 上部から下部へ供給する資材供給体系の樹立について

 工業生産の過程は、すなわち生産手段の消費過程であります。したがって、原料と資材、設備をはじめ、生産手段を円滑に供給するのは、生産を続行するための不可欠の条件であります。それゆえ、資材供給を円滑におこなうことは、生産を正常化し、さらに発展させる重要な裏付けであります。

 しかし現在、資材供給体系は非常に混乱した状態にあり、生産にたいする資材供給活動には重大な欠陥が生じています。

 これまでの資材供給体系の基本的欠陥は、資材供給について上部では責任を負わないようになっており、これについて誰も明確に把握できないようになっていることです。省、管理局では、国家計画委員会から示達された資材の割当計画に従って、資材供給伝票を工場、企業所へ送付することで資材供給活動にかえており、伝票のとおり実際に資材があるのかどうか、ない場合いつまで供給できるかといったことは皆目知らず、また知ろうともしていないようです。省、管理局では、このように資材供給の裏付けのない生産計画を立てて工場、企業所に示達し、それを遂行せよと押しつけています。工場でもまた、資材供給計画もなしに上部から示達された生産計画を機械的に配分して各職場におろし、それを遂行せよと要求します。こういうわけで結局、生産を直接組織し指揮すべき職場長が生産現場を離れて資材のため、いらいらしながら駆けまわらなければならなくなります。

 現在のように資材供給について省、管理局が責任を負わず、すべての責任を工場が負い、また工場では支配人や業務担当副支配人が責任を負うのでなく、職場長一人が責任を負うようになっている資材供給体系は、全く官僚主義的であり、間違ったものです。

 伝票制に偏っている現在の資材供給体系によっては、省、管理局や工場、企業所で現実的な生産計画を立てることも、生産指導を正しくおこなうことも不可能です。

 このように混乱した資材供給体系を改めなければ、いくら工業の生産指導体系を改編しても、なんの効果もありません。農業では指導体系を多少改め幹部が下部へ行って正しく指導すれば、農業協同組合の管理運営が改善され、農業生産が一挙に伸びることもありえますが、工業部門では資材が円滑に供給されなければ、いくら幹部が下部に行って技術指導を正しくおこない、労働者が熱心に働いても生産は正常におこなわれません。

 我々は、不合理な資材供給体系を決定的に改めなくてはなりません。

 資材供給体系を改編するのは、個別的な工場の範囲にとどまる問題ではなく、省、管理局全体、ひいては全国家的に関連のある問題であるだけに、今後各省、管理局の活動体系を検討し、もう少し研究した後でなければ最終的な結論をくだすことはできないでしょう。しかし、今後どのような原則によって資材供給体系を改めるべきかについては、いま明確に述べることができます。

 他省管下の工場相互間、または自省管下の工場相互間で資材の供給がおこなわれる場合に個別契約を結ぶのはもちろん正しいことであり、そのような制度は今後も存続させるべきでしょう。しかし、問題は契約制度をそのまま置いておくか、または改めるかにあるのでなく、資材供給について誰が責任をもつのかということです。物資の供給について省、管理局が責任を負うのか、工場、企業所が責任を負うのか、すなわち、省、管理局が工場、企業所に、生産計画の遂行に必要な物資を責任をもって供給するのか、でなければ現在のように工場、企業所の人たちが資材を入手するために駆けまわるのかという点にあります。私は今後、資材供給体系は、必ずすべての資材を上部が責任をもって下部に現物で供給する体系に改めるべきだと考えます。すなわち、資材供給体系は、当然、省、管理局が工場、企業所に資材を責任をもって供給し、工場、企業所が職場に、職場では生産現場と機械のそばまで資材を現物で責任をもって運搬する体系となるべきであります。

 これと関連して、工場、企業所相互間で結ばれていた物資供給の個別契約を、省または管理局相互間で結ぶようにすればよいと思います。これまで大安電機工場では、鋼と珪素鋼板など生産に必要な数百数千種の資材を受け取るために、工場の業務部員が直接駆けずりまわって資材を生産する企業所と契約を結び、資材を運んできましたが、今後は省、管理局相互間で契約を結び、その契約に従って所轄管理局から資材を工場に送るようにすべきです。

 例えば、鋼の供給を受けるためにこれまで大安電機工場は、南浦(ナンポ)製錬所と直接契約を結んでいましたが、今後はそうするのでなく、機械工業総局が非鉄金属管理局と契約を結ぶべきです。資材の運搬も大安電機工場の人たちが南浦製錬所に行って引き取るのではなく、非鉄金属管理局が南浦製錬所に指示して銅を契約どおり大安電機工場に送るようにすべきです。そして、契約の相手側がその日の資材を契約どおり納入しなかった場合、翌月分に前月分まで含めて送るよう要求したり、または契約上の義務を守らなければ違約金を取り立てるといったことも、大安電機工場が南浦製錬所を相手にしておこなうのではなく、機械工業総局が非鉄金属管理局を相手にしておこなうべきです。

 省、管理局は、管下の企業所に責任をもって資材を僕給するため、資材供給を担当する部署を強化すべきであります。

 省、管理局の資材供給部署の強化とあわせて各省、管理局に資材商社を新設すべきです。そうして資材商社がほかの省、管理局の資材商社と契約を結び、必要な原材料を購入して工場に供給するようにすべきです。これとあわせて資材商社は自己の省、管理局管下の工場で生産される製品をほかの省、管理局の商社に売り渡す仕事も担当すべきです。

 資材商社がこうした仕事をするためには、資材倉庫がなければなりません。資材商社はほかの省・管理局から引き取った資材を品目別、規格別に資材倉庫にきちんと保管しておいて、資材管理所長の指示に従って資材を各工場に配分すべきです。

 省、管理局管下の工場、企業所で使う数百数千種の資材を一か所に集め、それをさらに工場、企業所に送ることになれば、倉庫の面積も膨大なものになり、不必要な運搬もしなくてはならないので、省・管理局では資材商社中央倉庫とともに工場、企業所が集中している地域に資材商社分倉庫を設け、そこで物資供給業務をおこなうようにすればよいでしょう。

 工場の資材供給体系も生産現場と機械のそばまで資材を運ぶ体系に改めなければなりません。

 工場では、業務担当副支配人のもとに資材供給部、販売部、運輸部を置き、資材供給と製品販売業務を担当させるべきです。

 工場の資材供給部では、省、管理局の資材商社から送られてくる資材を受け取って、生産に便利なように一定の規格に切断すべきものは切断して各職場に送り届け、各職場で生産される素材と半製品を次の生産工程がおこなわれる職場に運ぶべきです。

 職場には資材供給係を置くべきです。職場の資材供給係は職場長に所属するとともに、工場の資材供給部の指導員となるべきです。これは軍隊でいえば、部隊の兵器指導員が部隊に所属するとともに、兵器局にも所属するのと同じことです。職場の資材供給係は、職場の資材倉庫から資材を出庫して作業場を巡回しながら直接送り届けるべきです。もし、作業場で申請する資材が職場の資材倉庫にない場合には、資材供給部に請求して資材を受け取るようにすべきです。

 このように、上部が責任をもって下部に現物で資材を送り届ける資材供給体系をつくれば、工場、企業所で多くの業務部員が資材入手のため方々を駆けまわらなくてもすみ、職場長が資材のために走りまわることもなくなるでしょう。工場、企業所では、ただ上部から届けられる資材で生産さえ順調に進めればよいわけです。こうなれば、工場の幹部は生産計画の遂行に全力をかたむけ、職場長は生産組織と生産指揮に力を入れるようになり、生産はさらに順調にいくでしょう。

 新しい資材供給体系をつくれば、省、管理局の幹部も工場にたいする生産指導をよくおこなえるようになるでしょう。新しい資材供給体系では、相や管理局長が直接資材を掌握することになるので、生産計画を立てるさい、資材供給の確かな裏付のある現実的な計画を立てることができ、生産指導も能動的に進めることができるでしょう。

 新しい資材供給体系では、省、管理局が管下企業所の計画遂行状況に従って、物資の供給を迅速に調節することができます。例えば、ある工場では計画を超過遂行したが、ほかの工場では遂行していないとき、前者に資材を追加供給して生産をさらに成長させることかできます。こうすれば、一方では資材を山積みにしておきながら、他方では資材を切らして生産できないというような弊害はなくなるでしょう。

 また、省、管理局では資材の供給状況に応じて、工場の生産計画を能動的に調整することもできるでしょう。もし、ベニヤ板を供給することになっていた管理局がやむを得ない事情で契約どおり供給できない場合には、それを受け取って生産組織をすることになっている管理局は、それを事前に確認して、ベニヤ板を使うことになっていた工場にほかの生産課題を与えることができます。そのようにすれば、工場で資材のために労働力を浪費することもなく、また生産を中断するようなこともなくなるでしょう。

 また新しい資材供給体系では、省、管理局が物資の予備を蓄える有利な条件を得ることができます。したがって、国から計画に予定されなかった緊急課題が示達されたり、ほかの省、管理局から供給されることになっている資材が適時に供給されなかったりした場合にも、混乱を起こすことなく国家的課題と生産計画を遂行することができます。


 3 新たな給養体系の樹立について

 勤労者にたいする給養活動は、経済幹部と工場の管理幹部が常に深い関心を払うべき、極めて重要な仕事であります。

 工場で給養活動を正しくおこなって、人民生活にたいする党と国家の配慮がとどこおりなくゆきとどくようにし、労働者の食生活と休息条件を十分に保障するなら、かれらは社会と集団のための共同労働にすべての能力と才能をつくし、生産で高度の熱意と創意を発揮するでしょう。しかし、給養活動に手落ちがあって、労働者に適時に疲労を回復し十分に休息する生活条件を保障しないなら、いくら生産指導を上手におこない、原料、資材、部品を十分に供給するとしても、生産で高い成果を期待することはできません。したがって、労働者にたいする副食物供給や住宅修理から託児所、幼稚園の整備、修理所、クリーニング店、浴場など各種便益施設の運営にいたるまで、労働者の生活上の便宜をはかるすべての仕事は、当然工場の管理幹部が責任をもって手配しなければなりません。そして、労働者にたいする給養活動は、工場、企業所の管理運営上の重要な構成部分とならなければなりません。

 しかし現在、かなりの経済幹部が給養活動の重要性を明確に認識しておらず、労働者の生活上の便宜をはかるのを企業管理運営とは無関係のことのようにみなしています。そのため現在、労働者にたいする給養活動は非常に立ち後れた状態にあります。

 この工場の労働者への副食物供給状況一つを見ても、それは明白です。

 現在、大安労働者区には、この工場の労働者とその家族をあわせて1万名以上が住んでいます。これほど多くの住民に副食物を供給するためには、強力な副食物生産基地がなくてはならず、明確な副食物供給体系が立てられなければなりません。ところが、大安労働者区には副食物生産基地も見るべきものがなく、副食物供給体系も確立されていません。

 工場の給養部長の報告によれば、工場で経営する牧場には豚61匹、うさぎ60羽、やぎ12匹しかなく、野菜なども少々栽培しているとのことですが、それだけでは、この工場の労働者の副食物需要をとうてい満たすことができません。大安電機工場の労働者に野菜と肉類などの副食物を十分に供給するには、工場経営の牧場以外に少なくとも数か所の農業協同組合がこの工場の副食物生産基地としての役目を果たさなければなりません。しかし、現在この工場は自営の牧場を除いては、ほかに副食物生産基地をもっていません。

 この工場のある龍剛(リョンガン)郡には道営牧場がありますが、そこで生産される肉類は、すべて南浦市や江西郡に供給されており、周辺の農業協同組合で生産される肉類まで買い付けて他所に出しているとのことです。大安電機工場の労働者には、ただ当地の買付け商店と食料品店が少しずつ買い付けて売る野菜や肉類以外には何も供給されません。

 みそ、しょうゆ、食用油、豆腐なども労働者に十分に供給されていません。国では南浦市民だけでなく大安電機工場の労働者にも、みそ、しょうゆ、食用油の供給を予定して南浦に大きな食品工場を建設したのですが、このたび調べてみたところ、この工場の労働者にはそれも供給されていません。豆腐や食用油などは、よそから購入してこなくても、工場が農業協同組合と契約を結び大豆を買ってみずから生産すれば、いくらでも労働者に供給できるのに、そのような仕事を組織していません。

 副食物の供給体系だけでなく、労働者の住宅やその子弟を教育する学校の補修体系も立てられておらず、労働者区の道路や上下水道の管理や便益施設の運営においても明確な主人がおりません。

 現在、大安電機工場の労働者にたいする給養活動にたいしては、工場も主人としての役目を果たしておらず、労働者区人民委員会も同様です。これは、工場や労働者区人民委員会の幹部が住民の生活に相応の関心を払わないところにも原因がありますが、機構そのものが給養活動を円滑におこなえないようになっているところに主な原因があります。実際上、現在の機構では、工場や労働者区人民委員会の幹部がどんなに努力しても、給養活動はうまくいきません。

 現在、工場で給養活動を担当する部署は給養部しかありません。それも定員数名の小さな部署です。

 特に工場の給養部は、労働者区の副業経営機関や商業網、サービス網などを統一的に掌握し運営する権限をもたないため、いくら努力しても給養活動を思うように組織することができません。

 労働者区人民委員会にしても事情は同じです。労働者区人民委員会には、給養活動を担当する部署は別個になく、ここには7名の人員しかいません。したがって、労働者区人民委員会が大安電機工場の従業員を含めた労働者区の多くの住民にたいする給養活動を責任をもって保障することはとうていできない実情にあります。

 給養活動を改善するためには、工場の給養部署を決定的に強化しなければなりません。

 工場に給養担当副支配人制を新たに設け、そのもとに経理計画部、食糧部、副食物供給部、労働保護物資供給部、住宅管理部、便益施設部などいくつかの部署を置くようにすべきです。

 食糧部では、従業員にたいする食糧供給を専門に扱うようにすべきです。食糧供給は主として伝票を切る仕事ですが、事務が非常に複雑です。したがって現在、給養部の人たちがすべて伝票を切る仕事にかかりきりで、副食物の供給などほかの重要な仕事には手がまわりません。今後は食糧部がこれを担当し、ほかの部署は各自の仕事に専念できるようにすべきです。

 副食物供給部は、しょうゆ、みそ、豆腐、食用油、野菜、食肉、たまごなど副食物をととのえて従業員に供給すべきです。

 副食物供給部がこれを立派におこなうためには、なによりも副業を活発に運営しなければなりません。この部署に農牧場などの副業を受け持つ経理指導員を置くのもよいでしょう。副業で生産される副食物は、職場の商店に出して労働者に優先的に販売するようにすべきです。職場の商店では、労働者にあらかじめ販売時間と品目を知らせて、かれらが商店に行って適時に買えるようにすべきです。このようにすれば、労働者に副食物を均等に供給することができるでしょう。

 労働保護物資供給部は、労働者に労働保護物資を供給する仕事を担当すべきです。現在は、労働部が部門別労働保護物資の品目を給養部に通知し、給養部ではそれを該当部署に配分していますが、今後はそのようにせずに、労働保護物資供給部に供給係を置き、かれらが直接現物を職場にもって行って労働者に分けてやるべきです。

 農牧場などの副業による生産物を労働保護物資として供給する場合には、商店を通じて供給する方がよいでしょう。品物を商店に置いて、労働者には伝票を切って与えれば、かれらが退勤する時、商店に立ち寄って品物を受け取って帰ればよいわけです。工場で経営する農牧場などの副業は独立採算制ですから、その生産物の中から労働者に無償で供給する品物については、工場と農牧場の間で価格の計算を明確にしなければなりません。すなわち、工場が農牧場に価格を正確に支払って商品を買い、それを労働者に供給すべきです。

 住宅管理部は、住宅補修事業所をつうじて従業員の住宅を管理、補修する仕事を受け持つべきです。住宅管理部は毎月、あらかじめ住宅補修計画を立て、その計画を住宅補修事業所に示達すべきです。住宅補修事業所は、工場住宅管理部の示達にもとづいてオンドルの補修や戸の修理をすべきです。

 現在、上下水道の管理と補修を工作・動力部が受け持っているとのことですが、これも住宅補修事業所でできるのではないかと思います。この問題はさらに研究してみるのがよいでしょう。

 便益施設部は、食堂、寮、浴場、理髪店、修理所、クリーニング店などサービス施設の管理運営を受け持つべきです。現在は、この仕事に主人がおりません。寮の食器が壊れても補給するところがなく、寝具が汚れ、ほころびても、それを適時に洗濯し繕う人がいません。今後は、便益施設部がこのような仕事を責任をもって手配すべきです。

 寮の建物の修理や寮生の寝具など、備品の整備に必要な費用はいっさい工場が負担すべきです。クリーニング店で労働保護物資である作業服や寮生の寝具を洗濯し、浴場や靴修理所などの便益施設を運営するのもすべて工場の負担でおこなうべきです。

 このように、工場にそれぞれの給養部署を設けて従業員にたいする給養活動を円滑におこなうならば、職場長をはじめ生産指揮メンバーはこれまでのように労働者の副食物、労働保護物資の供給や住宅問題のために走りまわらずに、生産に全力を傾けることができるでしょう。今後、職場長はただ生産の指導に専念する義務を負えばよく、もし生産条件と労働者の生活条件が円滑に保障されない場合には、関係部署にその解決を求め督促すればよいわけです。

 従業員と労働者区の住民にたいする給養活動を円滑におこなうため、工場の給養部署を強化するとともに労働者区の給養活動全般を単一的に組織し指導する機構として労働者区経営委員会を新設する必要があると思います。

 労働者区経営委員会には、商業卸売所所長、買付商店支配人、商店支配人、農牧場支配人など労働者区の給養活動に直接関係をもつ機関、企業所の責任者がすべて加わるべきです。そして、経営委員会委員長には工場の給養担当副支配人がなり、副委員長には労働者区人民委員会委員長がなるようにすべきです。工場の給養担当副支配人が労働者区経営委員会委員長になるのは、労働者区の給養機関と工場の給養部署を統一的に指導する必要があるからです。

 労働者区経営委員会には事務を処理する専従職員を2名ほど置き、1人は会計を受け持ち、もう1人は関係機関との連係をもって通知、督促などの事務を担当すればよいでしょう。

 労働者区経営委員会は工場の給養機関はもちろん、労働者区の他の商業・買付け機関、保健医療機関、サービス機関、建物および施設補修機関などすべてを掌握して、労働者区の給養活動を単一的に組織することになります。もちろん、これらの機関の財産は、従前どおりそれぞれ所属部門の財産として登録すべきですが、その管理運営は労働者区経営委員会の指導と統制のもとに進められるようにすべきです。もし、労働者区に農業協同組合がある場合、そこで生産される野菜などの処理も労働者区経営委員会の統制下でおこなうべきです。そうすれば、住民の求める副食物を買付け商店が気が向けば買付け、気が向かなければ買付けなかったり、商店でも品物を売りたければ売り、売りたくなければ売らないといったやり方を一掃し、経営委員会で給養活動を計画的に組織することができます。

 労働者区経営委員会は、委員会を開き、集団的に討議して給養活動計画を立て、それにもとづいて、どの機関はいつまで何をせよと課題を与えるべきです。そしてその実行状況を適時に点検、総括し、前に与えた課題が遂行されれば、さらに新しい課題を与えるべきです。

 労働者区経営委員会が何よりも力を入れるべき仕事は、労働者と住民に副食物が十分に供給されるようにすることです。経営委員会は毎月、副食物供給計画を具体的に立て、商店ではみそ、しょうゆ、食用油などはどこから、どれほど仕入れて売り、買付け商店では野菜、食肉、たまごなどをどれくらい買上げ、食品工場では豆腐その他の副食物をどれくらい生産せよといったふうに課題を与え、それが必ず遂行されるようによく指導し統制しなくてはなりません。こうして、労働者と住民に副食物が十分ゆきわたるようにすべきです。

 労働者区経営委員会は、住宅補修事業所を通じて住宅の修理も手配すべきです。住宅補修事業所は労働者の住宅だけでなく、労働者区の他の住宅も修理し、学校などの建物や施設も修理しなくてはなりません。

 労働者区経営委員会は、病院の院長と労働者区人民委員会委員長に任務を分担し、保健医療事業と衛生美化活動も計画的に指導すべきです。特に、子供の治療予防に深い注意を払い、婦人労働者が子供が病気で工場に出られないようなことがないようにすべきです。現在は子供が病気になれば、母親は職場に出られなくなっていますが、病院に小児病棟を付設し、そこで病気の子供をあずかって治療するようにすれば、婦人労働者は安心して工場に出て働くことができるでしょう。

 このほかにも労働者区経営委員会の仕事はたくさんあります。経営委員会は、浴場、理髪店、クリーニング店、修理所などのサービス施設の運営をはじめ、労働者や住民の生活上の便宜をはかるために全力をつくすべきです。まず、大安労働者区に経営委員会を組織しそれを運営してみて、成果があればほかのところでも経営委員会を組織すべきです。

 このように工場の給養部署を強化し、労働者区経営委員会を組織して立派に運営すれば、勤労者にたいする給養活動に根本的な転換がもたらされると思います。


 4 企業管理運営における工場党委員会の集団的指導体系の樹立について

 現在の工場管理体系における最大の欠陥は、生産にたいする行政的・技術的指導体系があるだけで党的・政治的指導体系がないことであります。現在の工場管理体系では、工場の管理運営と生産の指導において当然指導的役割を果たすべき工場党委員会が工場管理体系とは無関係のものとなっており、工場の管理運営におけるすべての決定権は行政責任者である支配人ひとりに集中されています。

 こうした支配人唯一管理制は、変化したこんにちの新たな環境にそぐわず、社会主義経済の本質にも矛盾しています。

 支配人ひとりでは生産を正しく指導することもできず、工場の管理運営を正しくおこなうこともできません。支配人ひとりでは、企業管理運営上のすべての問題にすみずみまで注意がゆきわたらず、問題によっては間違った見方をし、処理を誤ることもありえます。したがって、支配人唯一管理制は、企業の管理運営において独断と主観主義を免れることができません。

 企業の管理運営において独断と主観主義をなくし、生産を正しく指導するためには、企業管理に広範な大衆を参加させ、生産にたいする行政的・技術的指導と党的・政治的指導を正しく結びつけなければなりません。

 企業管理に広範な大衆を参加させ、生産にたいする行政的・技術的指導と党的・政治的指導を正しく結びつける唯一の方途は、支配人唯一管理制から工場党委員会の集団的指導体系に移行することです。換言すれば企業の管理運営を根本的に改善するためには、工場党委員会が工場の最高指導機関となるべきであり、生産指導をはじめ、工場のすべての管理運営活動が工場党委員会の集団的な指導のもとに進められるようにすべきです。

 工場の管理運営体系を順位からいえば、工場党委員会が最上位にあり、工場党委員会の下に工場党執行委員会があって、その下に支配人と工場党委員長があるようにすべきです。そして、支配人の下には技師長と副支配人があり、その下に工場の各部署があるべきです。そして、工場党委員長のもとには工場党委員会の各部署と職業同盟、民主青年同盟・女性同盟などの勤労者団体組織が置かれるようにすべきです。工場の管理運営体系がこのように立てられれば、完全なものといえます。

 工場党委員会の基本的使命は、我が党の路線と政策にもとづいて、そして広範な大衆の集団的な力と知恵をよりどころにして、社会主義経済発展の要求に即して生産を指導し、工場を管理運営することにあります。そのためには、工場党委員会が生産指導と工場の管理運営で提起される諸問題を集団的に広く討論して決定し、工場党委員会の決定に従って、党活動家は党活動を、行政幹部は行政活動を、技術幹部は技術管理活動をおこなうようにすべきです。

 工場党委員会の集団的指導を保障するうえで、工場の管理運営上の問題について、特に支配人と技師長と工場党委員長の三者協議を常時進めることが大切です。支配人は、行政組織活動をおこないながら工場全般の仕事を指揮するので工場全般の状況に明るく、技師長は生産を直接指導するので工場の設備状態と労働者の技術熟練度、生産計画遂行状況に誰よりも詳しいのです。また、工場党委員長は工場党委員会の各部署と工場内の党組織、勤労者団体組織などを通じて従業員の政治・組織生活を指導し、自分も直接大衆のなかに入って多数の人と接触するようになるので、幹部と党員、労働者の精神状態や生活状態についてよく把握しています。したがって、この三者が集まれば、工場の仕事の長所と短所がすべてわかります。これに工場党委員会に加わっているその他の人たちの意見までつけ加えるならば、工場党委員会は工場の実情を全面的に具体的に掌握して活動し、工場管理運営上の誤りがあれば、集団的知恵を集めて適時に是正することができます。

 工場党委員会が広範な大衆の意思を正しく反映し、工場全般の仕事を正しく指導するためには、何よりも工場党委員会をしっかりとかためなければなりません。

 工場党委員会は、工場に課された生産計画の遂行と工場全般の管理運営について責任を負い、これを直接指導しなければなりません。したがって、工場党委員会には当然、生産と工場の管理運営で中核的役割を果たす党員が多く加わるべきです。特に、技術者が工場党委員会に多く加わることが重要であります。先にも述べたように生産指導は、すなわち技術指導であり、したがって工場党委員会が生産を正しく指導するためには、委員会に技術者を多く参加させなければなりません。そうすれば、工場党委員会が生産での問題点を適時にとらえ、生産指導の正しい方向を提示することができます。また、技術者たちが工場党委員会に参加して諸問題の討議に参加するようになれば、かれらは自分の仕事に大きな誇りをもち、工場党委員会の決定の採決に直接参加することになるので、決定実行にたいする責任感もさらに高まるでしょう。

 しかし、大安電機工場の党委員会はこうした方向で構成されていません。現在、この工場の党委員会は25名の委員で構成されていますが、そのうち技師長を除いては技術者は1人しかいません。これではあまりにも少なすぎます。この工場の技術者のなかには党員が23名もいるそうですが、工場党委員会の委員に選出される資格のある人が1、2名しかいないはずはありません。今後は、党員技術者のなかから堅実な人を工場党委員会委員会にもっと多く選出し、非党員技術者は積極的に教育して入党させるべきです。

 現在一部の党活動家は、党に忠実でまじめに働いている技術者であっても、父親が以前少し裕福な暮らしをしたという理由で入党させるのをしぶっていますが、これは誤りです。もちろん、技術者たちの両親のなかには以前多少の資産をもって暮らした人が一部いたでしょうが、そのほとんどは衣食に事欠かない程度のものでした。特に現在、この工場の技術者たちのほとんどは、父親のおかげで技術を勉強したのではなく、解放後、我が党の配慮によって技術者に育成された若い人たちです。したがって、技術者たち自身が我が党に忠実でまじめに仕事をするならば、既に老いて死んだ父親のためにかれらを入党させることができないということなどありえません。

 工場党委員会をしっかりとかためたうえで工場党執行委員会もしっかりとかためるべきであります。

 現在、工場党執行委員会の構成における主な欠陥もやはり、技術者が非常に少ないことです。支配人をはじめ、当然、工場党執行委員として選出されるべき人たちが除外されていますが、これも誤っています。早急に工場党委委員会を開いて、技術者と支配人を執行委員に補選して工場党執行委員会の構成を改善すべきです。

 次に、工場党委員会が集団的指導機関としての役割を十分に果たすよう、工場党委員会の機構をさらに拡大し、それを堅実な人でかためるべきです。

 現在、工場党委員会には必要な部署も設けておらず、専従がいく人もいません。この工場には党員だけでも1700名を越えますが、工場党委員会の機構としては、委員長と副委員長1名、それに指導員が2名しかいません。これでは仕事をするための機構というよりは、むしろ仕事をしないつもりで設けた機構といった方が妥当でしょう。         

 大安電機工場は重要な大工場であるだけに、工場党委員会に委員長のほかに少なくとも2、3名の副委員長と必要な部署もいくつか新しく置くべきです。

 副委員長のうち2人は専従にして、組織活動と宣伝活動をそれぞれ担当させるべきです。そしてもう1人の副委員長は、支配人か技師長のなかから選出すべきです。もちろん、支配人や技師長が工場党委員会の副委員長になるからといって、党活動に専従するわけではありません。しかし、かれらが副委員長になれば、本来の任務に携りながらも党の任務分担を受けてより多くの活動をすることができるし、またそうすれば、仕事のうえでの責任感もさらに強まるでしょう。

 工場党委員会の部署としては、組織部、宣伝部、養成部、幹部登録課を置き、部長を堅実な人たちでかためるべきです。工場に部長の適任者がいなければ、郡党や道党から選抜してでも堅実な活動家を工場党委員会の部長に配置すべきです。

 工場党委員会の組織部は、党の組織活動、特に幹部事業を主管すべきであり、宣伝部は党員と従業員への党政策の浸透と、党の思想教育活動を担当すべきです。

 養成部は、工場大学をはじめ、工場で運営する夜間学校や昼間学校、労働者区のすべての教育機関を担当して指導すべきです。そして、幹部養成計画を立て工場党執行委員会の承認を得るとともに、それにもとづいて教育事業と幹部養成事業を見通しをもって計画的に進めるべきです。

 中央党や道党の幹部養成事業を担当する部署は教育部であるから、工場党委員会でも、その部署を教育部としてもよいでしょう。そして、その部署の部長はできれば大学出の人を配置すべきです。

 工場党委員会が党員でない幹部の承認もおこなっているので、幹部登録課は主として幹部の履歴文書を取り扱い、支配人の決裁が必要な文書は支配人から、党委員長の決裁を受けるべき文書は党委員長から決裁を受けるべきです。

 そのほかに、工場党委員会に文書係を一人置いて、重要文書の記載、保管などにあたらせるべきです。

 さらに、工場内の勤労者団体の機構を若干縮小し、必要に応じて工場党の機構に編入すべきです。現在、工場の職業同盟は、専従だけでも、委員長、増産部長、文化部長、工場新聞主筆、図書主任、クラブ主任など大勢の人員をかかえていますが、こんなに大勢の人員は不必要なはずです。職業同盟は、労働者の政治組織であり、特に非党員労働者との活動を多くおこなうだけに、工場の職業同盟に一定の機構を置くのは、もちろん必要なことです。しかし、現在のように大勢の人員をかかえている必要はありません。図書主任やクラブ主任は、職業同盟から分離して、工場の党機構に編入すべきです。そうして、工場党委員会が図書室やクラブなどを直接運営し、宣伝・扇動活動や大衆文化活動を指導すべきです。

 党員の党生活にたいする工場党委員会の指導を強化するため、党細胞や分細胞も必要に応じて統合または新設して合理的に調整すべきです。

 現在、工場党委員会の管下に細胞が40ほどあるとのことですが、これは多すぎます。小人数の工場党委員会の活動家がこれほど多くの細胞を相手に仕事をするのは容易なことではありません。工場党委員長が、毎日細胞を一つずつ指導するとしても40日はかかる計算です。したがって、工場党委員会に少々の手違いがあっても、細胞総会を全部指導できなくなります。

 職場ごとに党細胞が一つずつあり、作業班ごとに党分組が一つずつあって、一つの分組に党員が8〜12名ほどいるとのことですから、職場には細胞も、分組も適切に組織されているわけです。ところが、工場の管理部署や付属機関、居住などには細胞がかなり散漫に組織されているようです。党員がいくらもいない実験室や託児所、幼稚園、学校などにすべて細胞が別個に組織されているため、その数が多くなったのです。

 党細胞は、必ずしも部署や行政単位別に組織しなければならないものではありません。党細胞は党員の党生活のための政治組織であるから、いくつかの部署や行政単位にいる党員を合わせて1つの細胞を組織することもできます。不合理に組織された細胞を2つぐらいずつ統合して、全部で細胞を20ほどにした方がよいと思います。そして党規約の原則に従って、大きな細胞には委員会を、小さな細胞には委員長と副委員長のみを置き、党分組もこれに従って適切に組織すべきです。

 工場党委員会をかためその役割を高めるためには、郡党をはじめ、上級党委員会が工場党委員会にたいする指導を決定的に強化しなければなりません。

 現在、一般的に郡党委員会は、農村の里と農業協同組合の仕事だけに関心を払い、労働者区や工場、企業所の仕事にはほとんど無関心です。郡党委員会の活動家は、農業生産と農業協同組合の管理運営の指導は自分の任務分担だと考えていますが、郡内の工場、企業所の生産や労働者にたいする給養活動などについては知ろうとさえしません。

 郡党委員会が工場の幹部や労働者の入党問題、党員の処分問題、幹部問題などに直接結論をくだすのですから、郡党の活動家は当然、しばしば工場に行って幹部や党員の仕事を助けながら、かれらの組織生活状況をくわしく検討し理解しなければなりません。しかし、現在、郡党委員会の活動家は、そうしたことは、全くせずにただ事務室に座って工場党から送られてくる文書に眼をとおし、決裁する程度のことしかしていません。

 工場党委員会の活動に無関心なのは、道党や中央党にしても同じことです。道党や中央党の組織部や宣伝部の幹部たちは当然、重要な工場の党委員会の活動を常に指導し援助すべきですが、そうせずに、郡党委員会の活動のみにかかりきっています。甚だしくは、党活動家会議にも郡党委員長は参加させるが、工場党委員長は参加させず、党の文書も郡党どまりで、工場党委員会には送られていません。その結果、党政策が工場の幹部や労働者に適時に浸透せず、工場党委員会の機構に誤りがあっても適時に調べて是正させる人がいません。

 一言でいって、これまで工場党委員会は、その重要性に比べて極めて低いレベルで扱われてきたと言えます。これは、党活動家たちが党機関のウエートを評価するうえで、行政区域単位としてのみ見、生産単位を基準として見ないところに主な原因があります。

 今後、工場党委員会の活動にたいする上級党委員会の指導を強化できるように党活動体系を一部改めなければなりません。

 まず、工場党委員会をよく指導できるように郡党委員会をいっそう強化しなければなりません。はっきりいって、現在、郡党の活動家は、全般的に工場党の活動家よりも水準が低く、活動能力も劣るので、工場党委員会の活動を指導しようにも、それができない有様です。今後、管下に2級以上の大工場のある郡党委員会委員長には、少なくとも道党副委員長クラスの幹部を配置すべきです。そして、郡党活動家の全般的活動水準を早急に引き上げなくてはなりません。

 これとあわせて、工場党委員会と郡党委員会が相互に有機的な連係を保って活動できるようにするために、工場党委員長に郡党委員会副委員長を兼任させるべきです。必要によっては、工場の支配人も郡党委員会副委員長を兼任させてもよいでしょう。また郡党執行委員会の委員数を増やして、かれらを郡党執行委員会委員に選出すべきです。こうして、工場の幹部が常に郡党執行委員会に参加するようになれば、工場の運営で提起される諸問題を適時に郡党委員会に反映し、郡党委員会の援助を得て工場の仕事でゆきづまっている問題を解決することができるでしょう。

 工場党委員会が全般的に強化される状況のもとで、今後2級以上の大工場の党委員会では幹部問題、入党問題、党員の処分問題などは郡党委員会の承認を得ることなく独自に決定し、直接道党委員会の承認を得るようにすべきです。3級以下の工場党委員会では、従来どおり郡党委員会の承認を受けるようにすべきでしょう。そして、道党委員会の活動家は、しばしば大工場に行って工場党委員会の活動状況を理解し、誤りがあれば、適時に是正するよう援助すべきです。特級工場にたいしては、道党委員会だけでなく、中央党でも直接関心を払い、常時、工場党委員会の活動を指導すべきです。

 今後、工場党委員会は、中央党や道党から通達される文書を郡党文書課を経由することなく、直接受け取るようにし、中央党や道党への報告も直接おこなうようにすべきです。また、中央党や道党委員会では、総会の決議など党文書を下部に通達するときには、郡党委員長だけでなく、工場党委員長にも必ず送付すべきです。そして、党活動家の会議や講習会をおこなうときにも、郡党の活動家とともに工場党の活動家も参加させるようにすべきです。                                    



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