『朝鮮労働党第4回大会でおこなった中央委員会の活動報告』
 
3 祖国の平和的統一のために


 同志のみなさん!

 総括期間に南朝鮮の情勢には大きな変化が起こりました。北朝鮮における社会主義建設の偉大な成果は、朝鮮における革命と反革命との力関係を革命勢力に決定的に有利に変えました。

 祖国の平和的統一と民主主義をめざす革命勢力は日増しに強まり、人民大衆から孤立している反革命勢力が軍事テロの冒険的手段にうったえて、ぬきさしならぬ窮地からの活路を求めて最後のあがきをしているのが、こんにちの南朝鮮における情勢発展の主な動きであります。

 昨年の春、アメリカ帝国主義の植民地制度のもとで腐敗と虐政にそれ以上たえきれなくなった南朝鮮人民は、ついに新しい政治と新しい生活を求めて英雄的な抗争に立ち上がり、李承晩「政権」を崩壊させました。これは、南朝鮮人民が救国闘争でかちとった大きな勝利であり、アメリカ帝国主義の朝鮮侵略政策にたいする重大な打撃でありました。

 四月人民蜂起は、南朝鮮人民の反米救国闘争における新たな転機となりました。抗争を通じて南朝鮮人民の政治的な自覚は非常に高まり、抗争を契機に闘争のほこ先は、しだいにアメリカ帝国主義に向けられはじめました。

 南朝鮮の人民蜂起とその後の事態は、アメリカ帝国主義がいかに血なまぐさい弾圧を加えても、決して南朝鮮人民を屈服させることはできない、ということを示しています。

 張勉(チャンミョン)「政権」の末期に、南朝鮮の政治的・経済的危機は極めて先鋭化しました。人民生活は耐えがたいどん底に陥り、腐敗と社会的な無秩序は日ましに甚だしくなりました。

 広範な人民大衆は、祖国の平和的統一を達成せずには、貧困と無権利、植民地的奴隷の状態からぬけだすことができないことをいっそう深く悟り、南北の交流と国の自主的平和統一を要求し、南北の協商を要求する大衆的闘争が力強くくりひろげられました。南朝鮮の青年学生が南北の会談と交流を提案し、広範な人民大衆がこれに呼応して立ち上がりました。大勢は、国の平和的統一を支持する人民大衆にとって急速に有利に進展しました。

 窮地に陥ったアメリカ帝国主義者と南朝鮮の反動層は、破局に直面したその支配を維持しようとファッショ的軍事独裁を樹立する冒険の道へ踏みきりました。

 南朝鮮における軍事独裁「政権」の樹立は、朝鮮におけるアメリカ帝国主義の地位が強まったのではなく、かえって弱まったことを示すものであり、それは死に瀕した者の絶望的なあがきにすぎません。アメリカ帝国主義者はいかなる方法を用いても、すでに手のほどこしようもなく崩れつつある南朝鮮の植民地体制を救うことは決してできません。ファッショ的軍事支配はかえって人民の闘争をいっそう激化させ、南朝鮮にたいするアメリカ帝国主義の植民地支配の終局的な崩壊を早める結果をもたらすでありましょう。

 こんにちの南朝鮮は、いっさいの民主的自由と権利が抹殺された暗黒地帯に、集団的テロと虐殺が強行される人間屠殺場に変わりました。南朝鮮の軍事「政権」は、すべての政党、大衆団体を解散させ、進歩的な言論・出版機関をことごとく閉鎖し、すでに10万余に達する愛国者と罪のない人民を検挙、投獄し虐殺しました。

 南朝鮮の政治的混乱と不安はひきつづきつのり、軍事集団内部の矛盾と対立は極度に激化しています。南朝鮮の経済は悪化の一途をたどり、大衆的飢饉が南朝鮮全域を襲っています。アメリカ帝国主義者が南朝鮮を支配している限り、事態は決してこれ以外にはなりようがありません。

 こんにち、南朝鮮の軍事支配層は「改革」だの、「自立的経済の建設」だの、「民生の救済」だのと鳴り物入りで騒ぎたてていますが、それは、人民の不満をしずめ、ファッショ的弾圧を強化するための欺瞞策にすぎません。南朝鮮の事態の推移は、かれらのこのようなうたい文句が宙に浮いた空論であることを、ますますさらけだしています。

 南朝鮮におけるすべての権力は、アメリカ帝国主義者の手に握られています。アメリカ帝国主義の植民地支配が取り除かれない限り、誰が政権の座についても、南朝鮮の「政権」がアメリカ帝国主義者とかれらと結託した地主、買弁資本家の利益を代表する「政権」である事実には変わりがなく、南朝鮮人民の境遇が改善されることもありえません。

 アメリカ帝国主義者は、「援助」を通じて南朝鮮経済の命脈を握り、それをかれらの軍事的目的に服従させ、南朝鮮における民族経済の自主的発展の道を完全に閉ざしてしまいました。アメリカ帝国主義の軍事的な付属物になりさがった南朝鮮の経済は、収拾のつかない破局に陥っています。

 南朝鮮の工業は、破産状態にあります。アメリカ独占資本と買弁資本の圧迫によって民族工業はますます零細化し、たえず破産、没落しています。民族資本家の経営は絶対多数が中小企業体であり、現在その80%以上が休業または不完全操業の状態にあります。

 現在、南朝鮮でわずかながら存続している軽工業は、そのほとんどが全面的にアメリカの機材と原料に依存しており、そのおもな部分は現地で補充的にアメリカの雇い兵に軍需品を調達する軍需工業であります。これらの軍需工業の企業主は、アメリカの保護を受けている買弁資本家であります。

 南朝鮮の市場には、海のかなたから流れこんだアメリカの商品がはんらんしています。南朝鮮の輸出総額の20倍にのぼる輸入総額のうち、アメリカの「援助」輸入の占める比重は80%に達しています。

 こうしてこんにち、南朝鮮は依然として自立的工業をもたない、立ち後れた農業地帯としてとり残されています。

 工業の破産とともに、南朝鮮の農業もすっかり破壊されました。

 農村では、旧態依然として封建的な地主制度が支配しています。農民の「分与地」はその大部分が再び地主や富農の手に集中し、農民は過酷な封建的搾取を受けています。

 アメリカ帝国主義者と地主の収奪と搾取によって、南朝鮮の農業は発展の道を阻まれているばかりでなく、極度に荒廃しています。耕地面積は、解放前に比べて20万ヘクタールも減り、作付け面積は40万ヘクタールも減っています。アメリカ帝国主義侵略軍は、南朝鮮農民から10万ヘクタール以上の土地を軍用地として奪い取りました。工業が破産し、農業が極度に零細化した状況のもとで、農業技術は甚だしく立ち後れた状態におかれています。

 農業生産力の破壊と停滞は、生産の甚だしい衰退をまねきました。1960年の穀物生産高は、解放前の1937年に比べて3分の2に減りました。

 経済の破綻と地主、買弁資本家の過酷な搾取によって、勤労者の生活は形容しがたいほどのみじめな状態に陥っています。

 南朝鮮の労働力人口の半数にあたる600万以上の勤労者は、慢性的失業または半失業状態におかれています。

 南朝鮮の「政権」は、毎年予算の70%以上を軍事費の支出にふり向けており、これを捻出するために租税収奪をますます強化しています。軍事費の膨張によるインフレの激化は、勤労者の肩に重圧を加えています。1961年7月現在、通貨量は1949年に比べて206倍に膨張し、物価は126倍にはねあがりました。戦後の7年間に南朝鮮人民の租税負担は10倍以上に増えました。労働者は日に10〜18時間の苦しい労働を強いられており、その賃金は最低生活費の3分の1にもなりません。

 広範な農民大衆が、地主と高利貸の債務奴隷に転落しています。戦後、農民の負債額は20倍に激増しました。毎年数万戸の農家が破産、離農しており、工業がおちぶれた農村住民を吸収できないため、その大部分は物乞いをしながら流浪しています。

 これがアメリカ帝国主義者とその手先の16年にわたる支配の結果であり、アメリカの「援助」が南朝鮮にもたらした結果であります。

 アメリカ軍の南朝鮮占領とその侵略政策は、我が国の平和的統一と南朝鮮社会の民主的な発展を阻む基本的な障害であり、現在、南朝鮮人民がなめているあらゆる不幸と苦痛の根源であります。アメリカ帝国主義者は、南朝鮮を植民地、軍事基地に変え、ひきつづき朝鮮の平和を脅かしており、我が国の平和的統一を妨げるためあらゆる策動をおこなっています。かれらは、南朝鮮の経済を根こそぎ破壊し、南朝鮮人民に飢えと貧困をおしつけ、南朝鮮全域をテロと暴圧の生き地獄に変えました。アメリカ帝国主義者の蛮行によって南朝鮮の数多くの愛国的人民と罪のない同胞の血が流されており、我々の姉妹が侮辱され踏みにじられています。

 こんにち、アメリカ帝国主義者は、南朝鮮を「共産主義の侵略」から「保護」するという口実のもとに、戦争準備をいっそう強化しており、南朝鮮人民を同族あい争う戦争にかりたてようと悪らつな策動をめぐらしています。

 アメリカ帝国主義は、南朝鮮人民の第一の闘争対象であり、全朝鮮人民の不倶戴天の敵であります。アメリカ軍が南朝鮮を占領している限り、朝鮮のゆるぎない平和と国の平和的統一は期待できず、南朝鮮人民は真の自由と解放をかちとることができません。

 アメリカ帝国主義者は南朝鮮にたいする植民地支配を維持するにあたって、地主、買弁資本家、反動的官僚などに頼っており、これらの者はまた、アメリカ帝国主義の侵略の案内人に、その忠実な同盟者になっています。地主階級は、アメリカ帝国主義者の庇護のもとに農民大衆を過酷に搾取し抑圧しています。買弁資本家は、アメリカの商品や資本を引き入れ、我が国の資源を略奪してその主人に売りわたし、アメリカの覆い兵に軍需品を調達してふところを肥やしています。

 したがって、南朝鮮における革命は、帝国主義に反対する民族解放革命であり、封建勢力に反対する民主主義革命であります。この革命の基本的な要求は、朝鮮からアメリカ帝国主義侵略勢力を駆逐してその植民地支配を粉砕し、南朝鮮社会の民主的な発展と国の統一を達成することであります。

 同志のみなさん!

 南朝鮮人民が反帝反封建闘争を成功裏に進め、この闘争で勝利をかちとるためには、マルクス・レーニン主義を指針とし、労働者、農民をはじめ、広範な人民大衆の利益を代表する革命的政党をもたなければなりません。このような政党がなくては人民大衆に明確な闘争綱領を示すことができず、革命的な大衆をかたく結束させることも、大衆闘争を組織的に展開することもできません。

 革命的政党がなく明確な闘争綱領をもたず、したがって、基本大衆である労働者、農民が広く抗争に参加できなかったために、四月人民蜂起は徹底して組織的に展開されず、南朝鮮人民は、その血の代償をアメリカ帝国主義の別の手先に横取りされざるをえませんでした。同様に革命的政党の指導がなく、労働者、農民、兵士大衆がめざめていなかったために、南朝鮮人民は軍上層部のファシストによる権力の奪取を阻むことができず、民主的権利にたいする敵の攻撃にたちむかって力強く反撃することができませんでした。

 南朝鮮の人民は、この苦い経験から必ず教訓をくみ取らなければなりません。南朝鮮人民は、広範な大衆のなかに深く根をはった労働者、農民の独自の党をもち、その合法的な地位をたたかいとらなければなりません。

 南朝鮮で組織されるべき勤労人民の政党は、すべての愛国勢力を結集して徹底した反帝的、反封建的な綱領を実現するために、南朝鮮人民のさし迫った要求を解決するためにたたかわなければなりません。

 南朝鮮人民の第1の課題は、アメリカ帝国主義の南朝鮮占領に反対し、アメリカ侵略軍を撤退させるためにたたかうことであります。

 南朝鮮人民は「共産主義の侵略」を防ぐという口実のもとに、我が同胞を互いに戦わせようとするアメリカ帝国主義者の陰険な企みを徹底的に暴露、粉砕しなければなりません。朝鮮人民は決して自民族同士で戦うことを望んでいません。我々のあいだに思想や政見の違いはありえますが、それは祖国の平和的統一の妨げとはなりえず、まして、戦争の原因にはなりえません。「共産主義の侵略」というのはアメリカ帝国主義者がつくりだしたデマであり、かれらの南朝鮮占領と全朝鮮侵略の企図をおおい隠し、南朝鮮人民を欺こうとする看板にすぎません。南朝鮮人民はアメリカ帝国主義者の侵略と戦争準備の政策を破綻させるため、全人民的な抗争に立ち上がらなければなりません。青年は強制徴集に反対し、労働者はサボタージュやストライキをおこなって敵の軍需生産と軍需物資の輸送を妨げ、南朝鮮の全人民が軍事基地や軍事施設の建設に反対してたたかわなければなりません。

 南朝鮮人民は、同胞を虐殺し、略奪し、侮辱するアメリカ軍の強盗行為を決定的に糾弾し阻止すべきであり、侵略者が勝手な振舞いができないようにしなければなりません。アメリカ侵略軍へのいっさいの協力を断固拒否し、一粒の米、一滴の水も与えてはなりません。怒りに燃える人民の抗争のまえに侵略者を恐怖におののかせ、我が国土に足場をつくれないようにしなければなりません。こうして、一日も早くアメリカ侵略軍を駆逐し、南朝鮮とアメリカとのあいだに結ばれたいっさいの従属的な軍事的・経済的条約を破棄し、アメリカの植民地的従属から完全にぬけださなければなりません。

 南朝鮮のすべての愛国勢力が一致団結して決定的な反米闘争に立ち上がるとき、アメリカ帝国主義者は、我が国土に居座ることができなくなり、南朝鮮から駆逐されざるをえないでしょう。

 これとともに、南朝鮮人民は、アメリカ帝国主義と結託した地主、買弁資本家の搾取と抑圧に反対し、南朝鮮社会の民主的な発展のためにたたかわなければなりません。

 こんにち、南朝鮮の社会・政治生活を民主化し、経済と文化の分野で民主的改革をおこない、民生問題を解決することはさし迫った要求であります。

 南朝鮮の軍事「政権」は、人民の最小限の民主的権利さえも完全に奪いさり、人民の手足を縛りつけています。

 南朝鮮の軍事支配者は、人民にたいするファッショ的弾圧をますます強化しており、共産主義に反対するという口実のもとに多くの愛国者を手当たりしだいに検挙、投獄し、甚だしくは、アメリカ帝国主義の撤退と外国勢力を排除した統一を主張したというただそれだけの理由で、新聞記者に死刑を宣告するという許すことのできない蛮行さえおこなっています。

 南朝鮮の人民は、ファッショ独裁を粉砕し、民主的な自由と勝利をかちとるためにたたかわなければなりません。言論、出版、結社、集会、デモおよびストライキの自由が保障され、すべての政党・大衆団体の活動の自由が回復されなければなりません。軍事「政権」の野蛮なテロは直ちに中止され、逮捕、拘禁されたすべての愛国的政治犯と罪のない住民は直ちに釈放されるべきであり、アメリカ帝国主義の特務、民族反逆者たちは処断されなければなりません。

 土地問題の解決は、南朝鮮における当面の民主主義革命の最も重要な課題の一つです。土地問題を解決して農業生産力を封建的なくびきから解放せずには、南朝鮮人口の7割以上を占める農民大衆を飢えと貧困から救い、その生活を安定させることはできません。

 南朝鮮の農民は一致団結して、民主的な土地改革の実施と封建的な搾取制度の一掃をめざすたたかいに立ち上がらなければなりません。土地は当然、耕作する農民の所有とならなければなりません。地主の土地を無償で没収して、土地をもたないか、あるいは少ししかもっていない農民に無償で分与し、土地にたいする農民の長いあいだの宿願を実現しなければなりません。アメリカ帝国主義に反対し、平和的祖国統一の大業に貢献した人にたいしては、その土地の代価を払うことができるでしょう。

 アメリカ占領軍によって軍用地として奪われた土地は直ちに農民に返還されなければなりません。

 徹底した民主的土地改革を実施するとともに、新しい土地を大々的に開墾して、土地の少ない農民と離農した失業者に無償で分与すべきであります。

 農民にたいする各種の高利貸的搾取を禁止し、農民の土地債務と貧農のいっさいの負債は帳消しにされなければなりません。

 南朝鮮の農村における封建的関係の一掃は、農業生産力の発展の道を開き、農民の生活の改善をもたらすだけでなく、民族工業の発展にも有利な条件をつくるでしょう。

 自主的な民族工業なくしては、人民の福祉増進も国の独立も考えられません。アメリカ帝国主義者や買弁資本家、民族反逆者の所有する工場、鉱山、鉄道運輸および銀行を没収し国有化することによって、帝国主義と国内の売国勢力の経済的土台を一掃し、民族工業の発展をはかるべきであります。特に中小企業家の経営を保護し原料や資金、販路を保障して、中小企業の自由な発展の道を開かなければなりません。

 南朝鮮の労働者は、8時間労働制と社会保険制の実施、賃金の引上げと労働条件の改善を要求してたたかわなければなりません。数百万の失業者に速やかに職を与えるべきであり、労働者の賃金はまず最低生活費の水準まで引き上げなければなりません。また、物価を安定させ、勤労者の税負担を大幅に軽減し、さまざまな重税をなくさなければなりません。

 数少ない南朝鮮の科学者、技術者には、職場がなく、科学研究の条件と自由が保障されていません。南朝鮮では、反動的で退廃的なアメリカ文化が人民の意識をむしばみ、我が国固有の民族文化は踏みにじられ失われつつあります。科学者、文化人、芸術家は、反動的なアメリカ文化の侵入に反対し、生活条件の改善のためにたたかうべきであり、民族の自主的な発展と人民の利益に奉仕する民主主義的民族文化の建設に勇敢に立ち上がるべきであります。

 南朝鮮の青年学生、知識人は、学園の軍事化と営利化に反対し、教育制度の民主的改革を要求してたたかうべきです。国家負担による全般的初等義務教育制を実施して学齢児童の完全就学を保障すべきであり、成人教育制度を広く実施して勤労者に勉学の道を開き、文盲をなくさなければなりません。

 人民生活の見るかげもない零落と保健医療事業にたいする当局者の犯罪的な無関心の結果、いま南朝鮮では各種の伝染病や慢性疾患がひどくはびこっています。多くの患者がなんらの治療も受けられずに苦しんでおり、死亡しています。人民の健康を守るために住民に無料治療制を実施すべきであり、各種の伝染病をなくすための国家的な対策を立てなければなりません。

 南朝鮮の女性に男子と平等の社会的地位と権利を保障することは、南朝鮮人民の生活全般を民主化するうえでの重要な課題の一つです。女性を虐待と蔑視を受ける屈辱的な境遇から解放し、その人格を尊重し、女性に平等な教育を受けられる条件を保障し、彼女たちを社会的労働に広く参加させ、同一労働にたいする同一賃金の原則を実施しなければなりません。

 アメリカ帝国主義者は、南朝鮮で70万の傭兵を維持しています。「国軍」の統帥権はアメリカ帝国主義者が握っており、その指揮者はアメリカの将軍たちです。南朝鮮軍隊の圧倒的多数は軍服を着た農民と労働者であります。かれらは、アメリカ帝国主義の手先によって強制的に「国軍」にかりだされた勤労青年です。

 南朝鮮の軍隊は北朝鮮の同胞に銃口を向けるよう強制されており、自由と生存のためにたたかっている父母兄弟に銃火をあびせるよう強いられています。

 北朝鮮には「国軍」の敵はおらず、労働者、農民の軍隊である人民軍は決して南朝鮮の兄弟とたたかうことを望みません。「国軍」の真の敵は我が国土を占領しているアメリカ帝国主義者であり、その手先一味であります。

 南朝鮮の軍隊は、人民の愛国的運動と民主的な運動を鎮圧し、全朝鮮を侵略しようとするアメリカ帝国主義者の盲目的な道具となることをやめ、帝国主義者に反対し、労働者、農民をはじめ、広範な人民大衆の利益を守る民族の軍隊、人民の軍隊になるべきです。アメリカ帝国主義者の手から「国軍」の統帥権を奪いかえし、反人民的な兵役制を撤廃し、ファッショ的な軍事制度を民主的なものに改革すべきであります。

 「国軍」兵士と下級将校は、朝鮮人同士を戦わせようとするアメリカ帝国主義者の凶悪な策動に惑わされることなく人民の側に立ち戻り、アメリカ軍の指揮官と「国軍」上層の反逆者一味の命令を断固拒否し、アメリカ帝国主義とその手先に反対してたたかうべきであります。

 人民は、ただみずからの闘争によってのみ、自由と解放をかちとることができます。南朝鮮の人民は、帝国主義侵略勢力と国内の搾取者に抗して英雄的にたたかった栄えある伝統をもっています。甲午農民戦争、3.1運動、6.10万歳事件、光州学生事件をはじめ、人民大衆の解放闘争はたえることなくつづき、これらの闘争は抑圧者に大きな打撃を与えました。広範な人民大衆がこぞって抑圧者に反対する闘争にふるいたつならば、帝国主義者のいかなる牙城も十分粉砕することができます。アメリカ帝国主義者がアジアで最も強固な「反共政権」だと言いふらしてきた李承晩「政権」も、ほかならぬ南朝鮮人民の大衆的闘争によってくつがえされてしまいました。

 南朝鮮の労働者、農民、青年学生、知識人と広範な人民大衆は、アメリカ帝国主義とその手先に反対し、民主主義と生存の権利のための闘争に勇敢に立ち上がるべきであります。

 同志のみなさん!

 南朝鮮人民がこんにちの悲惨な状態から完全にぬけだす唯一の道は、アメリカ軍を追い出し、ファシスト独裁をくつがえして国を平和的に統一することです。南朝鮮人民は解放以来16年間にわたる苦難にみちた歴史を通じて、南北が分かれていては決して生きていけないことを痛切に経験しました。

 南北朝鮮の力を合わせて国を統一すること以外に、南朝鮮の経済を復興発展させ、人民の生活を改善する道はありません。

 国の平和的統一は、全朝鮮人民の一致した念願であり、一刻の猶予も許きぬ民族至上の課題であります。

 朝鮮の統一問題にたいする我が党の立場は明白であります。党は一貫して我が国の統一問題を自主的に、そして平和的に、民主主義の原則にもとづいて解決することを主張してきました。朝鮮人民は、自主的に国の平和的統一を実現することができるし、また必ず実現しなければなりません。

 祖国の統一問題を完全に解決するためには、いかなる外国勢力の干渉をも排し、民主主義の原則にもとづく全朝鮮的な自由選挙を通じて統一政府を樹立しなければなりません。南朝鮮だけの単独選挙では、決して事態を好転させることはできません。北半部の人民と南朝鮮の労働者、農民をはじめ、各階層の人民がひとしく参加する全朝鮮的な選挙を通じてのみ、真に人民の意思を代表する統一政府を樹立することができるのであり、このような政府を樹立してこそ、南朝鮮人民は自由と権利をかちとり、生活を改善することができるのであります。

 我々は、このような選挙は必ず一般・平等・直接選挙の原則にもとづき、秘密投票によって実施されるべきであると考えます。

 朝鮮の統一問題は、朝鮮人民がみずからの自由意思によって決定すべき民族の内部問題であります。帝国主義侵略軍によって国土が占領されており、外国勢力の干渉が許されている状況のもとでは、人民の自由意思の表明などありえません。朝鮮からアメリカ帝国主義侵略軍を追い出し、あらゆる外国勢力の干渉を排除することは真の自由選挙を保障する先決条件であります。

 これと同時に、南北朝鮮の全域で政治活動の自由が保障されなければなりません。南北朝鮮のすべての政党、大衆団体および個々の人士は、いかなる拘束も受けずにその政綱や政治的見解を人民に公表し、国のどの地域でも自由に活動することができなければなりません。こうした諸条件が保障されたときにのみ、朝鮮人民は真の自由選挙によって統一政府を樹立することができます。

 平和的祖国統一にかんする我が党と共和国政府の提案は、最も合理的かつ現実的で公明正大なものです。全朝鮮人民が我々の統一案を熱烈に支持しており、平和を愛する世界各国の人民がこれに賛成しています。ただ、アメリカ帝国主義者とかれらに追随する売国的な反動勢力だけが、自由な南北総選挙の実施を妨害し、平和的な祖国の統一に反対しています。

 南朝鮮のすべての愛国的な人民は敵の妨害策動をしりぞけて、南北総選挙を実施するための闘争に勇敢にふるいたつべきです。南朝鮮の労働者、農民をはじめ、各階層の人民はアメリカ侵略軍の撤退を要求し、自主的で民主的で平和的な祖国統一を実現するために力強くたたかわなければなりません。

 国の平和的統一をめざす朝鮮人民の闘争は、困難で紆余曲折を経ていますが、革命情勢は我々に有利に進展しています。全朝鮮人民が祖国統一の偉大な出来事を切実に待ち望んでおり、その実現の日はいよいよ近づいています。

 朝鮮人民のこの民族的な宿望を実現するためには、南北朝鮮人民が全力を結集してアメリカ帝国主義者の南朝鮮占領に反対し、祖国の平和的統一をめざす闘争に立ち上がらなければなりません。

 こんにち南朝鮮においてすべての愛国勢力を結集する反米救国統一戦線を結成するのは革命発展の最も重要な要求です。南朝鮮の労働者、農民、都市の小ブルジョアジー、青年学生、知識人、そして民族資本家までもが、祖国の分断とアメリカ帝国主義の植民地支配によってひとしく苦しめられています。かれらは、すべて共通の民族的な利害関係によってつながっています。これらすべての階級と階層の力をかたく結集して、朝鮮人民の主たる敵アメリカ帝国主義者に反対する闘争に向けなければなりません。このようにしてこそ、南朝鮮の人民は共同の敵をしりぞけて解放闘争の勝利をかちとり、祖国統一の大業を成就することができます。

 反米救国統一戦線を結成するにあたっては、労働者階級の指導のもとに労働者と農民の同盟を強めることがなによりも重要であります。労働者と農民の同盟は、統一戦線の政治的・社会的基礎とならなければなりません。

 労農同盟を強化すると同時に、青年学生、知識人との団結を強めるためにたたかわなければなりません。

 青年学生、知識人をいっそう広範に反米救国闘争に引き入れ、かれらが労働者、農民をはじめとする広範な人民大衆のなかに深く入って人民大衆と密接に結びつくようにしなければなりません。

 こうして、アメリカ帝国主義者とその手先を徹底的に孤立させ、自主的平和統一の旗のもとに南朝鮮のすべての愛国的かつ民主的な各階層を結集すべきであり、南朝鮮の愛国的民主勢力と北朝鮮の愛国的社会主義勢力との団結を実現しなければなりません。

 我々は、アメリカ帝国主義に反対してたたかう人であれば、その過去を問わないし、その階級的な立場や社会的地位、政見、信仰のいかんにかかわりなく、ともに手をたずさえて進むでありましょう。たとえ、過去に祖国と人民に背く罪を犯した人であっても、もし当人が自分のあやまちを悔い国の平和的統一のためにふるいたつならば、我々はその人を心から歓迎するであろうし、祖国が統一された後にも最後まで包容していくでしょう。

 こんにち我々は、帝国主義の植民地体制が崩壊しつつある時代、民族解放革命の偉大な時代に生きています。きのうまで侵略者に抑圧され搾取されていた数億の人民が、植民地主義のくびきをかなぐりすてて自由と独立をかちとりました。帝国主義の抑圧に苦しんでいる世界各国の人民が、侵略者に立ち向かって勇敢にたたかっています。植民地主義の一掃は、いかなる力をもってしても阻むことのできない時代の潮流であります。

 民族解放革命のこの偉大な時代に、悠久な歴史と文化を誇る朝鮮民族が、どうしてアメリカ帝国主義の植民地支配に甘んじ、民族的侮辱と虐待を耐え忍ぶことができましょうか。

 祖国と民族を愛するすべての人は、団結して侵略者を追い出し、国の平和的統一を達成するための救国闘争に立ち上がらなければなりません。

 全朝鮮人民がかたく団結して、アメリカ帝国主義侵略者とその手先に反対する闘争に決起するならば、いかに敵があがこうとも、十分にそれを打ち破り、栄光に輝く勝利をたたかいとることができるでしょう。

 全民族の団結した力によって、アメリカ帝国主義は朝鮮から追い出され、祖国統一の大業は必ず成就されるでありましょう。 



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