金 日 成

軍人にたいする共産主義教育と革命伝統教育を
強化することについて
 朝鮮人民軍各級軍事学校教員大会でおこなった演説
−1958年10月30日− 


 みなさん!

 私は、まず党中央委員会の名で、人民軍の幹部を育成する教育事業に鋭意努力してきた各級軍事学校の教職員のみなさんに感謝の意を表します。

 周知のように、こんにち、我が国ではひきつづき社会主義建設の大高揚が起こっています。

 現在、我が党員とすべての勤労者は、党中央委員会の手紙に励まされ、各自の仕事を全面的に再検討し、いっさいの保守主義と消極性を打破しつつ、千里馬(チョンリマ)を駆り社会主義の高峰をきわめるため勇敢な闘争をくりひろげています。

 このような勤労者の意気さかんな闘争は、我が国の歴史上かつてない全民族的なものであります。

 我々は北半部の人民だけでなく、将来、南半部の人民にも裕福な生活をもたらすため、ひきつづき闘争すべきです。そのためには、革命の高揚を堅持しなければなりません。

 我々は、今後さらに2年ほど悪戦苦闘しなければなりません。しかし、悪戦苦闘とは言っても、これは戦争中のそれとは比較になりません。いまは、衣食の心配をせずにたたかっているのです。したがって人民は、骨の折れることも疲れも忘れて楽しく働いています。

 私は最近、大安(テアン)電機工場に行って労働者たちと話し合ってみました。

 私は労働者たちに、私が先に話すよりも、みなさんの方から党中央委員会の手紙に接した感想を話して欲しいと言いました。

 ある除隊軍人は、党中央委員会の手紙に接し、自分が入党して最初に受けたのは赤い党員証で、2度目に受けたのがこの赤い手紙なのだが、この手紙は共産主義をめざす闘争において綱領的文献であると述べました。ついでかれは、我々が社会主義の高峰をきわめることになるというくだりを読んだとき、どのようにすればより速く前進するだろうかを考えたと言いました。そして、戦争中に、ある高地の占領を決心すれば、夜を徹し万難を排して必ずそれを実現したように、工場でもその気で取り組めば、不可能というものはないという確信が湧いてくると言いました。

 私は、かれの話を肯定しました。

 またある女性は、党中央委員会の手紙のなかで、すべての農村に明るく電灯をともそうというくだりを読んだとき、非常に感動させられたと言うのでした。

 彼女は羅津(ラジン)郡のとある山奥に住んでいましたが、いまは電機工場で働いている労働者です。彼女は手紙に接し、党員である自分が仕事に励み立派にたたかえば、電灯のともる家に住んでみたいと言った父親の願いを4、5年内に実現できるのだから、自分は昼夜を分かたず仕事に打ち込むつもりだと述べました。

 いま、すべての勤労者がこのように奮起しています。

 すべての党員と勤労者は、党の呼びかけにこたえ、どのようにしてより速い速度で建設すべきか、より速い速度で社会主義工業化を実現すべきか、より速い速度で社会主義革命を完成すべきか、より速く共産主義を実現すべきかという一念に燃えています。

 我々は2日前に、党中央委員会常務委員会拡大会議を開き、各道党委員長から手紙の討議状況について中間総括報告を聴取しましたが、状況は非常にいいようです。実際のところ我々は、農村電化の実現には多くの困難がともなうものと思いましたが、道党委員長たちは全人民の高い意気込みと決心から見て、極めて短期間にほとんど完成できると言っています。そうだとすれば、我が国は農村の電化を最初に完成する国になるでしょう。

 農村のどこにも電気が引かれるようになれば、どの家でもラジオが聞けるし、文化的な生活ができます。また、脱穀や洗濯などの作業をすべて電化し、すべての作業をより楽におこなうことができます。

 現在、各地で小型発電機を製作しています。発電機さえあれば、それを貯水池や小さな河川に設置して原価の安い電気を生産し、非常に便利に使用できます。

 黄海(ホワンヘ)北道党委員長の報告によれば、道内のある農村の老人は、農村で自力で発電機を作って電気を生産するという話を聞いて、最初は真に受けなかったそうです。しかし、その村でも軍隊と人民が協力して作った発電機で電気を起こしました。こうして、最初の晩、部屋に電灯がともったとき、その老人は感動して「労働党万歳!」を叫んだとのことです。

 我々はその気になって取り組めば、なんでもなし遂げることができます。

 兄弟諸国も我々のなすことにたいし、驚嘆しています。かれらは、どうして朝鮮はこんなに飛躍的発展を遂げているのかと尋ねます。ある人などは、新聞を読んだときには嘘だと思ったが、いざ来て見るとさらに驚かされると言っています。

 最近、訪朝した兄弟国のある人は、どのようにしてこんなに素晴らしい発展を遂げることができたのかと質問し、その秘訣を教えて欲しいと言いました。そこで簡単に話してやりました。

 こんにち、我々がこれほど驚くべき成果を達成している秘訣は、どこにあるのでしょうか。

 朝鮮人民は、以前に貧しい暮らしをしました。そのために速く進もうとし、革命をおこなおうとするのです。朝鮮人民は、裕福に暮らすために速く進まなければならない、速く共産主義を建設しなければならない、他人に追いつき、追い越さなければならないという闘志と決心が強いのです。こんにち、朝鮮の勤労者は、まさに、このような決意に燃えており、社会主義建設の成果は飛躍的に高まっています。

 次は、党にたいする人民の信頼が非常にあついことです。党と人民はかたく統一され、団結しています。これは、なにものによっても打ち破りがたい勝利の源泉です。人民は、党の政策であれば絶対支持し、その貫徹をめざして水火をもいとわずたたかいます。

 電灯がついたとき、「労働党万歳!」を叫んだのは、素朴な老人の偽らぬ心情です。労働党でなければ電灯がともらないという心情です。朝鮮人民は、党政策の正しさを、自分の体験をとおして明確に認識しました。

 こんにち、我々が共産主義をめざし、社会主義革命の完成をめざし、このように速い速度で進んでいるのは、すべて党の政策が正しく、また、それに励まされた勤労者がそれを支持し、献身的にたたかっているからであります。

 我々がこれまで困難を極めたたたかいで勝利をおさめ、また、戦後の経済建設で飛躍的な発展を遂げている力の源泉は、朝鮮労働党と人民の統一にあり、党の正しい指導にあります。

 我々の発展速度は、非常に速いものです。しかし、これに自己満足することはできません。さらに速く前進しなければなりません。

 革命家は一つの仕事をなし遂げてそこに止まるのではなく、さらに別の仕事を組織し、おし進めるべきです。我々は革命を継続しなければなりません。

 共和国北半部では、社会主義的改造が完成し、社会主義的経済体制が完全に支配しています。我々は、達成した勝利をかため、さらに前進しなければなりません。

 我々は、すでに確立された社会主義的生産関係を強固にし、それに照応する生産力を発展させなければなりません。そのためには、技術革命と文化革命を遂行しなければなりません。

 ここでなによりも重要なのは、工業化を早急に実現することです。工業化の実現は、機械化、自動化の実現を意味します。工業や農業を問わず、技術革命をおこなえば、さほど骨を折らずに仕事を楽にし、生産性を高めて生産を増大させることができます。

 我が国の農村技術革命で重要なのは、潅漑システムを確立することです。それは、田畑の潅漑をおこなえば、農村が凶作知らずの農村に変わり、少ない耕地から多くの収穫をあげることができるからです。

 次は、農村にトラクターやトラックなどの先進的な農業機械を送ることが重要です。

 農業を機械化し多角的に発展させるためには、小規模の協同組合では不利です。協同組合の規模をもう少し大きくすれば、機械化や潅漑も容易であり、多角的経営も容易であります。そのため現在、農村で協同組合の里単位の統合を進めています。

 我々は、農村の機械化速度を高めるため、自力でトラックやトラクターを生産しなければなりません。労働者たちは来年、3000台のトラックと3500台のトラクター生産を決意しています。現在、その試作品が出ています。

 農村にトラクターやトラックを大量に生産して供給すれば、農業の機械化を促進することができます。農業の機械化を実現すれば、農業生産力は著しく高まるでしょう。

 工業もやはり同じです。我々が発電所をさらに建設して電力をより多く生産し、より多くの機械を生産して、工業の電化、自動化を実現すれば、ここでもまた技術革命を完成することができます。

 我々は、技術革命とともに文化革命を遂行しなければなりません。

 都市と農村の生産関係は社会主義的に改造されましたが、人々の頭にはまだ古いブルジョア思想の影響が残っています。この古い思想を一掃し、勤労者を社会主義・共産主義思想で教育することは、文化革命の最も重要な内容をなします。
これとあわせて、勤労者の文化・技術水準を高めるべきです。すべての青年は、中等以上の知識と一つ以上の技術を所有しなければなりません。勤労者がすべて一つ以上の技術と中等以上の知識を所有するならば、社会のためにより有益なことができます。

 技術革命と文化革命を遂行しなければ、共産主義を実現することはできません。我が党は、社会主義が決定的に勝利したこんにち、技術革命と文化革命を最も重要な課題としてうちだしています。

 私はきょう、我が国の革命発展にともない、みなさんに提起されている課題について述べようと思います。

 人民軍に課されている重要な任務はなんでしょうか。

 現在、北半部の全人民は、党中央委員会のまわりにかたく団結し、共産主義の地平線を望める社会主義の高峰をめざして前進しています。

 党の武力である人民軍は、社会主義の獲得物を守り、社会主義・共産主義をめざして進む人民の創造的労働をしっかりと守らなければなりません。これが、人民軍の第一の任務です。

 この任務を円滑に遂行するためには、人民軍が社会主義制度の優位性を深く認識し、共産主義思想で武装しなければなりません。

 人民軍が共産主義思想で武装しなければ、人民の勤労闘争も、我々の社会主義制度も守ることができません。したがって人民軍、特にここに集まった教職員のみなさんの課題は、幹部と兵士にたいする共産主義教育をいっそう立派におこなうことです。

 共産主義教育の基本は、人々に社会主義・共産主義制度の優位性を体得させ、かれらが資本主義制度を憎み、敵がい心を強めるようにすることであります。

 幹部から個々の兵士にいたるすべての軍人を、社会主義制度をかたく守り、共産主義のためにたたかう不屈の革命闘士に育成すべきであります。

 社会主義制度を武力で守るためには、個々の将校と兵士がその思想を社会主義・共産主義思想に改造しなければなりません。将校と軍人たちが共産主義思想で武装せずには、自分がなんのために社会主義制度を生命を賭して防衛しなければならないのかを知ることができません。

 我が党は、停戦直後から軍人の階級的教育を強化する重要な課題を示しました。階級的教育とは、人々のあいだで地主・資本家階級を憎み、資本主義制度に反対し、労働者階級の利益を擁護し、社会主義の獲得物を守る階級意識を高めることを意味します。しかし、そのあいだ人民軍では、階級的教育を正しくおこないませんでした。これまで、この活動を形式的におこなってきました。

 軍人の階級意識を高めるうえで、南北朝鮮の政権の相違点を明確に認識させることが大切です。

 共和国政権は、労働者、農民の利益を擁護する勤労者階級の政権です。しかし、南半部の李承晩「政権」は、地主、資本家の利益を擁護し、労働者、農民を抑圧し搾取するブルジョア政権であり、アメリカ帝国主義のかいらい政権です。軍人にこれを十分に認識させるべきです。そうすれば、すべての軍人がなんのために犠牲的にたたかい、誰のために歩哨に立ち、服務するのかを明確に知り、自己の持ち場をしっかりと守ることができます。

 私は階級的教育を強化する方向で、軍人の誓いをはじめ、各種の文書を再検討する必要があると考えます。

 周知のように、こんにち我が国では鋭い階級闘争がおこなわれています。アメリカ帝国主義者と李承晩一味は、我々の社会主義建設を破壊するため必死に策動しています。かれらは、破壊・謀略分子やスパイをひきつづき潜入させています。そればかりでなく、我々の隊列内にも社会主義を敵視したり好ましく思わない者がいます。

 解放後、農村で地主の土地を没収したため地主階級は一掃されました。しかし、その残存分子は依然として残っています。都市でも同じです。産業国有化の実施によって、親日派、民族反逆者の工場はすべて国有化され、かれらは階級としては一掃されました。しかし、その残存分子は残っています。

 こんにちでは、都市と農村で社会主義的改造が終わり、すべての階層が社会主義的勤労者に変わっています。

 過去の地主や資本家だけがいまなお改造されずに、共和国の社会主義制度に反対しています。かれらは、我々の制度を敵視し、人間が人間を搾取する過去のような地主、資本家制度の復活を企んでいます。

 最近、党中央委員会常務委員会では、統一戦線活動について討議しました。会議では、青友党、民主党、在北平和統一促進協議会との統一戦線活動の総括がおこなわれました。

 党中央委員会第7回総会は、統一戦線政策における重要な課題を提示しました。

 第7回総会以後、我々は、民主党や青友党内の下層党員を協同組合や経済機関、文化機関に参加させてかれらを獲得しつつかれらとの統一戦線を強化してきました。その結果、青友党と民主党の下層党員の数は著しく減り、残っている党員はわずかしかいません。

 現在、いくらも残っていない青友党員や民主党員も、すべて協同組合に加入して社会主義的に改造されており、社会主義革命をともにおこなう意思を表明しています。

 しかし、青友党員や民主党員がすべて思想的に改造されたわけではありません。かれらの内部には、社会主義革命をともに遂行しようとする人もいれば、社会主義には賛成しないが、それに反対できず沈黙を守るという人もおり、また、社会主義制度に反対し、資本主義制度の復活を夢見る者もいます。

 現段階において我が党は、北半部での統一戦線の結成は、社会主義に賛成する条件でのみ可能であるという方針をだしています。

 現段階において、社会主義に賛成しない者との統一戦線は不可能です。社会主義革命をともにおこなうという人とのみ、統一戦線は可能であります。我々は社会主義に反対する者とは統一戦線ではなく、むしろ、たたかわなければなりません。なぜでしょうか。社会主義革命を完成するためには資本主義の残りかすを一掃しなければならないからです。

 我々は、わずかな資本主義の残りかすも、敵対的要素も放任することはできません。

 我々は、「社会主義にも賛成しないが、資本主義の復活も望まない、ただ黙っている」という者にたいしては、黙っているのはよい、しかし、ひとつ警告しておきたいのは、黙っているのは構わないが、もし陰謀を企むとか、社会主義制度を誹謗したり、破壊策動をおこなう場合には、プロレタリアート独裁の鎮圧の対象になるということを宣言するものです。

 我々は、かれらに今後ともひきつづき我々とともに進むか、さもなければやめるか決断をくだせ、ともに進むつもりなら、ブルジョア思想を捨て、社会主義・共産主義思想で武装し、ともに共産主義に向かって進もうと提言するものです。

 革命をおこなっている我々は、可能な限り多数の人を獲得すべきであり、革命は多数の人の力を結集しなければ勝利できません。我々はこれまでも、かれらとともに歩んできただけに、これからも最後までともに進むことに異存はありません。

 我々は、最後までともに進もうとする人にたいしては、過去の経歴が資本家や地主であれ、民主党員や牧師であれ、誰にたいしても過去は問わないでしょう。

 我々の立場は、こういうものです。こんにちにおいて敵味方を識別する基準は、社会主義にたいする賛否によって規定すべきです。

 いま青友党、民主党、在北平和統一促進協議会でも思想闘争が展開されています。

 統一戦線内でもこのように思想闘争が強くおこなわれているのですから、我が党の内部や勤労者のあいだで古いブルジョア思想の影響を一掃するたたかいを強化すべきであることは、多言を要しません。

 もちろん、我が党員と全勤労者は、共産主義を支持して、その実現のため生命をささげてたたかってきたし、いまも献身的にたたかっています。

 しかし、我が党員と勤労大衆のあいだには、いまなおブルジョア社会の古い思想の影響が残っています。これを一掃すべきです。そのためにはなによりも、共産主義教育を強化しなければなりません。

 こんにち我が党は、階級的教育と社会主義・共産主義教育を強化することを、全党に呼びかけています。

 人民軍が社会主義を守る神聖な任務を立派に遂行するためには、個々の軍人が自分の頭に残っているブルジョア思想を一掃し、共産主義思想で武装しなければなりません。どの中隊、小隊、分隊をとわず、誰もがブルジョア思想を一掃し、社会主義・共産主義思想で武装する闘争を強く展開することが最も重要です。

 これとあわせて重要なのは、党性の鍛練を強めることです。

 もちろん絶対多数の党員は、党中央委員会に忠実であり、党のために血潮を流してたたかったし、また、党の命令であれば、水火をもいとわず犠牲的にたたかう覚悟ができています。しかしまだ、党員のなかには党性鍛練の足りない人がかなりいます。

 党性とは、党にたいする忠実性であります。党性は、党中央委員会を守り、党政策を支持し、党隊列の統一と団結を守る闘争において表現されなければなりません。

 すべての党員は、革命の参謀部である我が党の破壊を企む反党分子と強くたたかうべきであります。

 我が国にはかつて党がなかったため、朝鮮革命運動は多くの損失をこうむりました。もし、以前から党があったならば、8.15解放前または、解放後に我々の革命勢力はさらに強大になっていたはずであり、複雑な党内闘争をへなくてもすんだでありましょう。

 我が党は解放後はじめて、堅実な共産主義者たちを中核にして創立されました。長いあいだの苦難の闘争を通じて点検され鍛練された共産主義者たちが、我が党の根幹となり、中核陣地をたえず強化しつつ、我が党は大衆的党に発展しました。

 我が党は、1945年10月10日に創立されて以来、こんにちにいたるあいだに、強い戦闘力をもつマルクス・レーニン主義党に成長しました。

 労働者、農民をはじめ、勤労大衆のなかから最も先進的で進歩的なすぐれた分子が、我が党に加わりました。これまで、我が党員はすべて、革命任務を円滑に遂行する強い覚悟のもとに党組織を強化し、党の統一と団結を守るため忠実にたたかいました。しかし、個別的な分派分子らは、党組織の破壊を企み、また不堅実な一部の人は分派分子に巻き込まれました。

 党組織に進んで入ってきては、これを破壊しようとする者は敵対思想の持ち主であり、腹黒い意図をもつ者であります。

 小ブルジョア的性格の新民党を組織した金枓奉(キムトゥボン)、崔昌益(チェチャンイク)、韓斌(ハンビン)、李維民(リユミン)、金民山(キムミンサン)などは、後から入ってきて共産党がなし遂げた成果を無視し、労働党の首位を占めようとしました。今度のかれらの暴動、陰謀事件はこれと関連しています。わざわざ党の欠点をつくりだし、それを口実に党の破壊と党組織の転覆を企むこのような分子らとは、決して妥協できません。

 党性の鍛練は、党員にのみ必要なものでありません。非党員にも党にたいする忠実性は必要です。それは、党は勤労者階級の前衛部隊であり、その利益を擁護し革命を指導する参謀部であるからです。勤労者階級に属する人であるならば、当然、労働党を擁護すべきです。このような方向で軍人を着実に教育すべきであります。

 次に、革命伝統教育についてもう一度述べようと思います。

 党中央委員会3月総会で述べたことですが、我が党と人民が、抗日武装闘争の革命伝統を継承して悪いことがあるでしょうか。もし、朝鮮人民に革命伝統がないとすれば、それはかえって恥ずべきことであるのに、もっている革命伝続を誇り、継承するのがどうして悪いのでしょうか。

 朝鮮人民軍が、革命伝統を継承する必要はどこにあるのでしょうか。それは、抗日パルチザンのようにマルクス・レーニン主義にたいするゆるぎない信念をもって、あらゆる艱難辛苦に耐えてあくまで戦うならば、必ず敵を撃滅し勝利するという、強い革命的意志を培うことができるからです。

 こんにちの国内外情勢と、我々がきずきあげた政治的・経済的基盤は、かつてパルチザン闘争をおこなった当時の状態とは雲泥の差があります。我々がパルチザン闘争をおこなうときには、非常に困難な状況のもとで戦いました。抗日パルチザンは、わずか何挺かの銃をもって革命闘争を始め、あらゆる艱難辛苦にもめげず、英雄的に不屈の闘争を展開し、ついに凶悪な日本帝国主義を撃滅して祖国解放の歴史的偉業をなし遂げました。

 少なからぬ人たちが、日本人とともに「同祖同根」「内鮮一体」を唱えて、朝鮮語や朝鮮人の氏名まで抹殺しようとした日本帝国主義支配の最も暗たんとした時期に、革命の曙光を照らしたことが、貴いものでなくてなんでしょうか。

 抗日パルチザンは、いかなる困難な環境のもとでも屈することなく、マルクス・レーニン主義的信念をもって共産主義のために最後まで戦い、共産主義の旗を守り、勝利しました。人民軍がこの貴い革命伝統を継承するのが、どうして悪いのでしょうか。

 我々は、人民軍を抗日武装闘争の革命伝統で教育することによって、いかなる困難にもうちかち、マルクス・レーニン主義的信念をかたくする百戦百勝の人民の武力につくりあげなければなりません。

 我が党の規約にも、抗日武装闘争の革命伝統を継承することが指摘されており、党は、人民軍創建の当初から人民軍が抗日パルチザンの革命伝統を継承することを強調しました。

 朝鮮の共産主義者は、日本帝国主義支配の暗たんたる時期に、上海のフランス租界やアメリカのホテルで酒にひたって寝そべっていたのではなく、白頭の密林と鴨緑(アムノク)江の沿岸で血を流して戦いました。このことを軍人に学ばせようというのです。

 我々は、不純分子のいう「伝統」を知っています。李承晩には、アメリカのホテルに寝そべっていた「伝統」があります。崔昌益や金元鳳(キムウォンポン)には、蒋介石の手先をつとめた「伝統」があります。

 抗日パルチザンが、極めて困難な時期に白頭山で、鴨緑江沿岸で祖国の独立と民族の解放のため悪戦苦闘した、そうした革命伝統を継承するのはなんと光栄なことではありませんか! 誰がパルチザンに参加し、それが何人であったかは問題でありません。誰であると何人であるとにかかわりなく、その闘志、思想、精神が重要なのです。

 我々が革命伝統をおしたてる目的は、かつて闘争に参加した人たちを自慢するためではなく、抗日パルチザンのような精神で戦えば、いかなる敵でも十分に撃破できるという信念を個々の兵士に植えつけることにあります。

 ここに、なんの誤りがあるというのでしょうか。我々は、これについては一歩も譲ることができません。将校と軍人たちは、抗日パルチザンの革命的愛国伝統を守り、継承すべきです。

 次に、祖国の平和的統一問題について述べようと思います。

 祖国の平和的統一は、我々の武力、経済力、政治的力を強化する条件でのみ達成できます。

 人民の団結を強め、党の統一を強化することは、いずれも政治的力を強化することであります。

 また、経済力の強化なしには、平和的統一について考えることはできません。したがって、平和的統一を達成するためには、社会主義建設を立派におこなわなければなりません。北半部で社会主義建設を促進するのは、祖国統一の保障となります。

 経済建設を成功裏に進めるうえで、人民軍は大きな役割を果たします。人民軍が弱ければ建設はできません。平和的統一ということで人民軍を弱体化させてはなりません。

 平和的統一、社会主義建設にかこつけて軍隊を弱体化させようとする者は、すべて不純分子です。こうした連中は、我々の革命勢力を切り崩そうとする者たちです。

 不純分子らは、「人民生活が困難なのに、どうして多くの軍隊を抱えているのか」と言っています。かれらは、軍隊に特典を与え、給料も多く支給し、軍服も立派なものを着せているなどととやかく言っています。これは、みな他の意図があっての言い分です。

 我々は、敵と直接対峙しています。社会主義と資本主義が真っ向から対峙しています。資本主義軍隊であるアメリカ帝国主義侵略軍が南朝鮮を占領しており、地主、資本家の利用物である李承晩かいらい軍が南朝鮮にあります。

 敵と直接対峙している状況下で、労働者、農民の利益を守るためには、勤労人民の強力な軍隊がなければなりません。これなしには、勤労人民の利益を守ることができません。

 我々は、祖国の平和的統一をかちとり、社会主義建設を立派におこない、社会主義革命を早急に完成するためには、人民軍を強化しなければなりません。

 停戦直後、我が党は、人民軍を数量よりも質的に強化し、鋼鉄の幹部軍隊につくる方針を提起しました。これは一朝事あれば百万の党員をはじめ、全勤労者が銃をとれるように備えようというものです。

 人民軍のすべての兵士が、分隊や小隊を指揮し、小隊長は中隊を、中隊長は大隊を、大隊長は連隊を、連隊長は師団を指揮できるよう、有能な幹部軍隊に育成すべきです。言いかえれば、すべての政治・軍事幹部や兵士が、将来一階級うえの職務が担当できるよう、準備できていなければなりません。連隊長は師団長の水準に、大隊長は連隊長の水準、中隊長は大隊長の水準、小隊長は中隊長の水準、兵士はいつでも小隊と分隊を指揮できる水準にならなければなりません。

 人民軍を強化するためにはまた、技術兵種を強化し、技術装備をたえず改善しなければなりません。

 現代戦では、技術をぬきにしては戦闘を成功裏におこなうことはできません。他国で技術を高めているときに、我々に立ち後れた技術しかないならば、敵と戦えません。

 我々の先祖が国を滅ぼした理由の一つは、まさにここにあります。5連発銃を使う日本軍を相手に、我々の祖父たちは火縄銃をもって応戦しました。そのような銃でさえ、満足にもっていませんでした。こうして結局、我が国は日本帝国主義者の餌食にされました。

 敵の技術水準が高まれば、それだけ人民軍の技術も高めなければなりません。人民軍が技術面で敵と対等で、それに加えてマルクス・レーニン主義で武装するならば、敵と2対1になり、戦いで常に勝利するでしょう。

 国の経済力の強化は、とりもなおさず人民軍の強化を意味します。

 我が共和国とアジア社会主義諸国の経済的威力がさらに強まれば、アメリカ帝国主義者はアジアで足場を失うことになります。

 我々の経済建設はまた、南半部の人民に極めて大きな影響を与えています。

 李承晩はしきりに給料を引き下げていますが、我々はひきつづきそれを引き上げています。我々は3か年計画の完遂後、毎年給料を引き上げています。初年度に35%、昨年は10%引き上げており、来年にはまた40%引き上げる予定です。これは大きな成果です。

 共和国の勤労者は、勤勉に働けば、生活が豊かになるということを、実践を通じて十分体験しました。しかし南半部の人民は、かれらが言っているように4千年来の民生苦にあえいでいます。

 南半部の人民は、北半部の経済発展と人民生活をみずからの境遇と対比し、その貧しさの原因を明確に知るようになるでしょう。

 したがって、経済建設を立派におこなうのは、極めて重要なことです。もし、明日にでもアメリカ帝国主義者が駆逐され、南北間の障壁が取り払われ、自由往来が実現するようになれば、南半部の人民は北半部にやってくるであろうし、北半部の人民も南半部に自由に行くことができます。このように何度か往来すれば、李承晩軍隊に服務しようとしたり、李承晩「政権」を支持しようとする人はひとりもいなくなり、すべて我々を支持するでしょう。

 現在、李承晩が、門戸を閉ざし、我々の提案を聞いて聞かぬふりをしているのは、南半部の人民が北半部にきて、人民生活が豊かで日増しに向上し、人民の意気も旺盛で、経済が発展を遂げているのを見れば、自分には滅亡しかないことをよく知っているからです。それで、李承晩はひきつづき「北進」騒ぎを起こしているのです。李承晩は正気でないので、「北進」冒険を犯さないとも限りません。しかし、かれが「北進」騒ぎを起こしているのは、冒険を犯すことよりも、南朝鮮人民の耳目を他にそらし、なんとしてでも反動支配を維持しようとすることに目的があります。

 李承晩は、情勢を緊張させることによって軍隊を増強し、南朝鮮人民の不満を抑え、人民を威嚇し、みずからの深刻な危機から脱しようと悪辣に策動しています。しかし、かれらはいかなる手口をもってしても、崩壊しつつある反動支配体制を維持することはできず、滅亡を免れないでしょう。

 北半部で社会主義建設を立派におこない、社会主義制度を強化し、人民の社会主義的意識を高め、党と人民の統一を強め、人民軍を労働者階級の革命思想で武装させ、すぐれた技術を身につけた鋼鉄の幹部軍隊に育成するならば、祖国の統一はより早く実現するでしょう。

 私は、みなさんがすべての活動分野で千里馬の騎手になることを望みます。こんにち、朝鮮人民はすべて千里馬を駆って前進しています。人民軍も千里馬を駆って前進しなければなりません。

 教鞭をとる人はこれまでよりさらに熱意をもって、党員や将校、兵士および学生により多くのことを立派に教え、千里馬の騎手になるべきです。すべての将校と兵士は、防御工事をさらに堅固におこない、戦闘訓練にいっそう励まなければなりません。これまで射撃や戦闘訓練で成績が悪かったならば、その成績を高めることによって千里馬の騎手になるべきです。人民軍を幹部軍隊に育成する面でも千里馬、技術向上の面でも千里馬、防御工事に力を入れる面でも千里馬、すべての面で千里馬の騎手にならなければなりません。

 思想鍛練の面でも千里馬の騎手になるべきです。すべての軍人は、労働者階級の思想、共産主義思想で武装しなければなりません。すべての将校と兵士は、労働党のため、労働者階級のため、勤労人民のため、労働者、農民の祖国−朝鮮民主主義人民共和国のために、一身一命をささげるという自発的意識を高めるべきであります。

 私は、みなさんが政治・思想教育を強化し、熱心に軍事技術水準を高め、軍事学校の教育事業で一大革新を起こすよう期待します。

 出典:『金日成著作集』12巻


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