金 日 成

朝鮮民主主義人民共和国創建10周年記念
慶祝大会でおこなった報告
1958年9月8日 

 親愛な同志の皆さん!

 朝鮮人民が独立国家の創建を宣布し、栄えある朝鮮民主主義人民共和国の旗のもとに新しい歴史の舞台に登場してから10年が過ぎました。

 こんにち、朝鮮人民は大きな誇りと喜びをもって、この10年間たたかってきた栄光にみちた勝利の道のりを回顧しています。

 わが国の長い歴史からすれば、10年というのは極めて短い期間にすぎません。しかし、この期間に、わが世代の人民は、数世紀のあいだ、我々の祖先が考えも及ばなかった多くのことをなし遂げ、愛する祖国のまえに、実に偉大な業績を築きあげました。わが国の様相は見違えるほどに変わり、人民の歴史と生活には一大転換と飛躍がもたらされました。

 こんにち、わが国のすべての勤労者は、栄えいく祖国の未来にいっそう大きな希望と信念を抱き、大きな政治的、生産的高揚のなかで共和国創建10周年を迎えています。

 この歴史的な祝日に当たって、私は朝鮮労働党と共和国政府の名で、あなた方と全朝鮮人民に熱烈な祝賀のあいさつを送ります。

 同志の皆さん!

 我々のこの勝利と栄光は、ひとりでにもたらされたものではありません。祖国──朝鮮民主主義人民共和国は、民族の自由と独立のための長期かつ困難な闘争を通じて朝鮮人民がかちとった偉大な獲得物であり、多くの厳しい試練を通して強化発展してきました。

 朝鮮人民は、国土と民族の独立を奪われ、ほぼ半世紀にわたり、日本帝国主義によって暗たんたる植民地的奴隷の生活を強いられました。

 朝鮮の共産主義者をはじめ、多くの愛国者は、日本帝国主義の過酷な弾圧にも屈することなく、ひたすら民族の解放のために、祖国を取り戻すために、長いあいだ血みどろの闘争をくりひろげてきました。

 朝鮮民主主義人民共和国は、朝鮮人民の愛国的な革命伝統を受け継いでおり、祖国の自由と解放に対する朝鮮民族の一致した念願を具現しています。

 わが国が、日本帝国主義の植民地支配から解放されると、朝鮮人民には国の民族的独立と民主的発展の広大な道が開かれました。人民は、高い愛国的熱意をもって新しい生活を創造するたたかいに立ち上がりました。

 しかし、アメリカ帝国主義の南朝鮮占領とその侵略政策のため、民主主義的自主独立国家の建設をめざす朝鮮人民の闘争は、大きな障害に直面し、朝鮮革命は複雑さと困難さを伴うようになりました。わが党は、解放直後から極めて複雑で困難な環境のもとで、祖国と民族の運命を切り開いていかなければなりませんでした。

 党は、わが国に生じたこのような情勢に照らして、北半部に祖国の完全独立を保障する強力な革命的民主基地の創設に踏み出しました。

 党は、解放された人民の高度の革命的熱意を結集し、北朝鮮で人民政権を樹立して土地改革、産業国有化をはじめとする民主的改革を短時日内に遂行しました。こうして、北朝鮮には、新しい人民民主主義制度が確立され、北朝鮮は朝鮮革命の基地として、祖国統一の強力な物質的力量として発展するようになりました。

 南朝鮮を占領したアメリカ帝国主義者は、はじめから朝鮮人民の民主主義的独立国家の建設に反対し、南朝鮮で植民地従属化政策を実施しました。彼らは、南朝鮮ですべての愛国勢力を弾圧し、地主、買弁資本家および民族反逆者を糾合して反動的かいらい政権をつくりあげ、祖国の分裂を永久化しようとしました。

 朝鮮民主主義人民共和国は、北朝鮮に創設された民主基地を土台にして、アメリカ帝国主義者と李承晩一味の分裂策動に反対する全朝鮮人民の民族あげての闘争のなかで誕生しました。

 朝鮮民主主義人民共和国は、人民自身によって創建され、人民に奉仕する、わが国の歴史上はじめての人民の国家であります。長いあいだ抑圧と虐待と暗黒と苦難のなかに生きてきた朝鮮の労働者、農民をはじめ、勤労人民は、国家の主人としてみずからの運命を自分の手にするようになりました。

 朝鮮民主主義人民共和国は、朝鮮人民の自由と独立の旗印であり、祖国の平和的統一と新しい社会の建設をめざすたたかいの強力な武器であります。こうして、長いあいだ世界地図から消されていたわが国は、新しい民主主義人民共和国の旗をかかげ、偉大な社会主義陣営の一員として国際舞台に進出するようになりました。

 わが共和国の国家社会制度は、10年間の発展過程で、戦火のなかでも、また多くの難関を伴った平和的建設でも、不抜の生命力と優位性を示しました。

 アメリカ帝国主義者とその手先、李承晩一味によって強いられた3年間の戦争は、わが人民民主主義制度と全朝鮮人民にとって最も厳しい試練でありました。アメリカをかしらとする世界16か国の武力侵略者は、最も野蛮な戦争手段をすべて動員して、年若い朝鮮民主主議人民共和国と朝鮮人民の獲得物を抹殺しようと策動しました。

 朝鮮戦争は、前例のない残酷な戦争であり、それは、人民にはかり知れない災難と苦痛をもたらしました。しかし、朝鮮人民は屈することなく、わが党の指導のもとに武力侵略者との英雄的抗争にこぞって立ち上がりました。

 ソ連をはじめとする兄弟諸国人民の積極的な支持のもとに、朝鮮人民と人民軍は、中国人民志願軍と力を合わせて敵の武力侵攻を打ち破り、祖国の寸土をも血潮をもって守り、共和国を守護しました。

 この戦争を通じて朝鮮人民は、いかなる帝国主義侵略者も、みずからの手に権力を握り社会主義陣営の積極的な支持を受けている朝鮮人民を征服することはできないことを示しました。

 世界「最強」を誇るアメリカ帝国主義武力侵略者と戦って勝利した朝鮮人民は、いかなる難関をも立派に克服して、朝鮮革命の最終的勝利を達成できるという、確固たる信念を抱くようになりました。

 アメリカをかしらとする世界の帝国主義者は、いまなお、わが人民共和国を認めようとしていません。しかし彼らは、我々に惨敗を喫し、まさにわが共和国の旗のまえに膝を屈して停戦協定に署名せざるをえなかった事実を否定することはできないでしょう。

 敵が認めようと認めまいと、彼らが好むと好まざるとに関わりなく、わが共和国は堂々たる独立国として厳然と存在しており、日に日に隆盛発展の道をたどっており、平和と社会主義の東方の強固なとりでとなっています。

  

 同志の皆さん!

 解放後わが国は、日本帝国主義の植民地支配から立ち後れた経済と文化を引き継ぎました。我々には、民族幹部が極めて不足し、国家管理と経済建設の経験がありませんでした。

 このような状況下で、我々の国家建設は、多くの難関に直面せざるをえませんでした。わが国の南北への分裂と、共和国北半部に対するアメリカ帝国主義者と李承晩一味の絶え間ない破壊活動は、我々の国家および経済建設をいっそう困難にしました。

 解放後、わが党の指導のもとに実施された偉大な民主的変革は、北半部で人民経済を急速に復興発展させ、人民生活を改善するための広大な道を切り開き、しだいに社会主義へ移行する過渡期の任務を遂行できる社会的・経済的条件を作り出しました。

 労働者階級をはじめ、わが国のすべての勤労者は、あらゆる障害と難関を克服しながら、民主改革の勝利にもとづいて、国家および経済建設で少なからぬ成果をおさめました。

 しかし、敵によって強いられた戦争のため、我々の平和な労働は中断されました。3年間の戦争は、人民経済をひどく破壊し、人民の生活を甚だしく零落させました。もともと立ち後れていたわが国の経済は、戦争によってその発展がさらに5年ないし6年も後れ、ただでさえ苦しかった人民の生活はいっそう困難になりました。

 戦後、我々に提起された最も基本的な課題は、破壊された経済を早急に復興し、それをいっそう発展させ、共和国の経済的基盤を強化するとともに、零落した人民生活を短時日内に回復させることでありました。

 わが党は、この課題を成功裏に解決するため、重工業を優先的に発展させながら、同時に軽工業と農業を発展させることを、戦後における経済建設の基本路線と規定し、その実現へと勤労大衆を立ち上がらせました。これは、唯一の正しい道でした。

 もちろん、すべてが破壊され不足している状況のもとで、このような路線を実行して戦後経済復興の基本課題を解決するというのは、非常に複雑で困難なことでした。しかし、我々はこれをなし遂げなければなりませんでした。我々は、破壊された人民経済の復興事業を長く引きのばすわけにはいかず、また人民の困難な生活状態を長いあいだ放置するわけにもいきませんでした。

 党は、この困難で膨大な課題を解決する経済政策を定めるに当たって、まず、戦争を通じてよりいっそうかたく党のまわりに団結し、鍛えられ、洗練された勤労者の不屈の闘志と尽きることのない創造力に依拠し、ソ連、中華人民共和国およびその他兄弟諸国人民の経済的・技術的援助を考慮に入れ、また、ひどく破壊されたとはいえ、もともと、わが国に一定の土台があった重工業部門を先に復旧し発展させることが、あらゆる問題解決の鍵になるという認識から出発しました。

 わが党の正しい政策に励まされたわが国の勤労者は、戦後のあれほど困難な条件のもとでも、あらゆる難関を克服して3か年計画を成功裏に遂行しました。こうして、戦後わずか3、4年のあいだに、工業および農業生産は、戦前の水準を取り戻したばかりでなく、これをはるかに上回るようになりました。こうして、我々は、人民経済をさらに高い水準に発展させ、人民生活を改善できる強固な物質的土台を築き上げました。

 我々は、朝鮮労働党第3回大会が示した基本方向にもとづいて、1957年から、わが国の歴史上、最初の第1次5か年計画の遂行に着手しました。わが国における5か年計画への移行は、共和国北半部での社会主義建設の新しい段階を意味します。

 5か年計画は、人民経済の立ち後れを完全に取り除き、わが国を自立的な工業・農業国に変え、人民の物質・文化生活水準を著しく高めることを目的としています。

 5か年計画の遂行に当たって、我々には生産力の高い発展速度をひきつづき保つことが重要な問題として提起されました。こんにち、わが国の当面した情勢がそれを要請し、また国の経済発展の立ち後れがそれを要請しました。

 5か年計画の遂行過程は、党の定めた方針が全面的に正しかったことを証明しています。

 朝鮮労働党中央委員会1956年12月総会の決定を実行する過程で、国家社会生活と勤労者の生産闘争において大きな転換が生じました。党の呼びかけにこたえて立ち上がったわが国のすべての勤労者は、社会主義建設の各分野で高度の生産的熱意と尽きることのない創意を発揮して、5か年計画の遂行で大きな成果をおさめました。

 英雄的な労働者階級は、1957年度の工業生産計画を117%に超過完遂し、1958年度の計画も、また勝利のうちに超過遂行しつつあります。1957年度の工業生産は前年度に比べて144%に増大し、1958年の上半期には前年の同期に比べて34%も増大しました。

 昨年、わが国の農民はひどい日照りにもかかわらず、穀物の生産計画を112%に超過完遂することにより、わが国の歴史上かつてない高い収穫をおさめました。今年も昨年におとらぬ日照りかつづきましたが、農民の高度の生産的熱意によって、昨年よりも穀物の増産が見込まれています。

 こんにち、わが国は、社会主義の道を飛躍的な速度で前進しています。すべての工場と企業所で、増産と節約のための大衆的革新運動がくりひろげられています。社会主義建設のすべての分野で、勤労者は新しい記録をうち立て、驚異的な成果を上げています。党政策の正しさを確信しているわが国の勤労者は、社会主義に向かって千里馬(チョンリマ)を駆る勢いで前進しています。

 我々はいま、社会主義建設の一大高揚期に入っています。朝鮮人民は古い方式で生きることを欲しておらず、立ち後れることを望んでいません。彼らは、すべての古いものを打破して新しい方式で生きることを求めています。彼らは、立ち後れた状態から速やかにぬけ出すために、他人に劣らぬ暮らしをするために、ひた走りに走っています。

 人民大衆の高度の革命的意気込みは、膨大な5か年計画の課題をはるかに繰り上げて完遂できるということを示しています。

 既に多くの企業所が、5か年計画を1年半、繰り上げて完遂することを決議して立ち上がっています。

 我々は、わが国の勤労者が英雄的な生産闘争によって、民族的祝日──8・15解放15周年を第1次5か年計画の完遂をもって迎えるものと確信しています。

 同志の皆さん!

 党と政府の正しい政策と勤労者の献身的な生産闘争によって、我々は社会主義建設で、既に画期的な成果をおさめました。

 こんにち、朝鮮民主主義人民共和国の威力はますます強化されています。

 人民経済の指導的部門である工業は、その技術的装備や部門構造に一連の根本的な変化がもたらされ、工業生産はいっそう高い水準に達しました。

 戦後3か年計画期間に、わが党は、破壊された企業所や生産施設の復旧に主力を注ぎながらも、かなりの範囲にわたって技術的改造をおこない、一連の新しい工業部門を創設することに深い注意を払いました。わが党のこのような方針は、一方では工業生産の急速な増大を可能にし、他方では工業の植民地的跛行性と技術的立ち後れを決定的に排除するようにしました。

 5か年計画の遂行過程で、あらゆる工業部門の技術的改造はいっそう広く進められており、工業の自立的土台が強まり、工業生産はますます増大しています。

 今年、わが国の工業は、10年前に比べて4.7倍も多い工業製品を生産することになるでしょう。戦争による破壊とその復興期間を考慮に入れるとき、工業生産のこのような高い成長速度は、実際上、戦後の4、5年間に達成されたものです。

 我々は、重工業基地を改造、拡張し、軽工業基地も新たに創設しました。

 金属工業、機械製作工業、化学工業、建材工業など基幹的な重工業部門が拡張され、燃料・動力基地もいちだんと強化されました。今年、わが国では86億KWHの電力、670余万トンの石炭、50余万トンの銑鉄と粗鉄、41万トンの鋼鉄、45万トン以上の化学肥料、120万トンのセメントが生産されるはずです。

 わが国で最も立ち後れていた機械製作工業も非常な早さで発展しました。1957年に、機械製作および金属加工業の生産高は1946年の29倍に増大しました。戦前には必要な機械設備の大部分を輸入にまたなければなりませんでしたが、こんにちでは、工作機械、電気機械、鉱山機械、建設機械、農業機械、船舶、軽工業用加工設備や各種の部品を自力で生産し、人民経済各部門の技術的改造を促進することができるようになりました。

 もし、戦後、わが党が重工業を優先的に発展させなかったならば、こんにち、何をもって工業と農業の新たな高揚や、全国的に繰りひろげられている広範な建設事業を保障することができたでしょうか。重工業を優先的に発展させたからこそ、我々は破壊された人民経済を速やかに復興し、短期間のうちに人民生活を改善し、人民経済をさらに高い水準に発展させることのできる物質的基盤をもったのであります。

 軽工業の発展でも画期的な成果がおさめられました。わが国に新設された紡織工業は、今年1億2000万メートルに達する各種の織物を生産することになるでしょう。これは、戦前の1948年に比べて13倍以上もの増加を意味します。

 戦後、水産業の物質的土台を築き上げた結果、いまでは毎年50万トンないし60万トンの漁獲高を上げています。

 非常に立ち後れていた食品加工業と日用品生産も著しく発展し、現在、わが党と人民は、この部門の革新のためにたたかっています。

 国営工業の発展に伴って、国営商業と協同組合商業も大きく発展しました。

 工業および流通分野での大きな成果の一つは、私営商工業を社会主義的に改造したことであります。

 過去、わが国の経済に対する日本帝国主義の独占的支配のため、わが国における民族資本の発展は、極めて制限されていました。その結果、もともと経済的基盤が非常に弱かった私営商工業は、戦争の被害によってさらに弱まりました。

 党と政府は、生産および販売協同組合を組織する措置を講じ、私営商工業をしだいに社会主義的に改造する方針を堅持してきました。私営商工業者が、小さな力を合わせて生産または流通部門の仕事に従事するようにしたことは、彼らの利益に完全に合致するものでした。

 企業家や商人は、党のこの方針に従って、自分自身を社会主義的勤労者に改造する道に踏み出しました。こうして、こんにち、わが国における私営商工業の社会主義的改造は既に完成されました。

 わが国の農業も大きな発展を遂げました。北朝鮮は、以前から食糧の足りなかった地帯であります。戦争によって農業がひどく破壊された結果、戦後食糧問題は我々にとっていっそう大きな問題となりました。

 党と政府は、穀物問題の解決のために農業の復興発展に深い注意を払いました。国家は、潅漑水利工事を大々的におこし、農村に化学肥料や農業機械をより多く供給し、各種の先進的な営農技術を広く取り入れるなど、農業発展のために重要な対策を講じました。こうして、ひどく破壊されたわが国の農業の物質的・技術的土台は強化されました。

 農業の発展で決定的な役割を果たしたのは、農業の協同化であります。戦争によって農業の物質的土台がひどく破壊され、農家経営が零落した状況下で、分散した個人農経営をそのままにしておいては農業を速やかに復興することも、農業生産力を発展させることもできませんでした。個人農経営のこのような制約性は、農業の発展を妨げるばかりでなく、急速に発展する工業にも大きな支障を与える恐れがありました。

 我々は、農業を社会主義的に改造することによって、社会主義的工業と個人農経営との矛盾を解決することができました。

 農民は、わが党の農業協同化政策を熱烈に支持し、農業協同化運動は急速に発展しました。こうして、こんにち、わが国の農業協同化は既に完成しました。わが国の農業は、分散した個人農経営から、完全に協同化された社会主義的経営に変わりました。

 農業の協同化は、社会主義革命における最も複雑で困難な課題の一つでした。しかし、わが党は、農村における党の力量と農民の高い革命性に依拠し、この複雑で困難な課題を戦後わずか3、4年のあいだに極めて順調になし遂げました。これは、わが党の農業政策の輝かしい勝利であります。

 農業の協同化は、わが国の農業を技術的に改造し、農民の意識を社会主義的に改造し、彼らの生活を根本的に改善する基本的な前提条件をつくりだしました。

 わが国の農業協同組合は、組織されてまだ日が浅いにもかかわらず、その優位性を十分に示しており、政治的、経済的に強化されました。

 農業が協同化され、その物質的土台が強化された結果、農業生産は飛躍的な速度で増大しました。我々は既に、1957年に320万トンの穀物を生産して、困難であった食糧問題を基本的に解決しました。初歩的な見積りでは、今年度の穀物総収穫高は360万〜370万トンに達することが予想されます。これは1948年よりも約100万トンも多いものであり、1944年に比べれば120万〜130万トン増加したことになります。

 穀物生産の急速な増大とともに、工芸作物の生産、畜産業、養蚕業、果樹栽培業など、農業の他の部門も急速に発展しました。

 社会主義経済建設で大きな成果をおさめた結果、人民の生活状態は著しく改善されました。

 1957年には、1949年に比べて国民所得は2倍に増大し、同じ期間に、労働者、事務員の実質賃金は1.3倍以上に高まりました。

 農民の現物および貨幣収入も急速に増えました。1957年には、協同組合で蓄積やその他各種の共同ファンドを1956年の2倍以上に設定してもなお、農家1戸当たりの分配高は穀物が108%、いも類は122%、現金は144%に増加しました。

 停戦直後、わが国の農村では、生活状態の非常に困難な貧農が農家総数の約40%を占めていました。しかし、こんにちでは、農民の生活状態がおおむね中農の水準にまで向上しました。我々は近い将来、農民の生活を富裕な中農の水準にまで引き上げるためにたたかっています。

 停戦後1957年までの期間に、都市と農村で1630余万平方メートルに達する住宅が建設されました。全国の建設者の愛国的熱意によって、今年度の膨大な住宅建設計画も大きく超過遂行されるでしょう。

 民主首都平壌市は、雄大な近代的都市に変わりつつあり、戦争で廃墟と化したすべての都市と農村も新しい姿で立ち上がっています。

 我々に政権がなかった日本帝国主義の支配当時、朝鮮人民はいかに悲惨な生活を送ったことでしょうか。停戦直後、朝鮮人民の生活はいかに困難だったでしょうか。しかし、これらすべては過去のこととなりました。

 共和国創建10周年を祝うこんにち、我々は人民生活でこうむった悲惨な戦争の被害を完全に一掃したということを、限りない満足感をもって言えるようになりました。

 共和国のもとで朝鮮人民は、長いあいだの文化生活上の立ち後れを成功裏に一掃しつつあります。

 民族幹部の不足と勤労者の文化水準の立ち後れは、解放後、国家および経済建設で我々の直面した最も大きな難関の一つでありました。党と政府は、この難関を打開するために、教育・文化事業の発展に多くの努力を傾けました。

 わが国では、既に1956年から全般的初等義務教育制が実施されています。現在、233万名以上の学生が22の大学と各種の専門学校をはじめ、各級学校で学んでいます。

 高等および中等技術教育が急速に発展した結果、共和国創建後10年間に6万3000余名の新しい専門家や技術者が養成され、人民経済の各部門に配置されました。

 こうして我々は、国家を立派に管理し、人民経済のすべての部門に、現代技術の装備をもつ企業所を十分に管理運営できる民族幹部をもつことになりました。これは、人民政権のもとで我々がおさめた最も大きな成果の一つであり、社会主義建設のための貴重な元手であります。

 日本帝国主義の植民地支配のもとで長いあいだ踏みにじられ、埋もれていた朝鮮人民の民族文化は、こんにちおおいに花咲いています。

 同志の皆さん!

 わが国で遂行された大きな社会的・経済的変革によって、社会の階級的関係は根本的に変わりました。

 労働者階級の隊列は、ますます拡大され、国家社会生活のすべての分野でその指導的役割がさらに高まりました。英雄的労働者階級は、苛烈な戦火のなかでいっそう洗練され、戦後の社会主義経済建設の生産闘争で大きな偉勲を立てています。彼らは尽きることのない創造力と旺盛な戦闘的気概をもって社会を改革しており、自己の党と政権を通じて全人民を社会主義の道に導いています。

 わが国では、農民が全人口の50%を占めています。戦後、農業の協同化が完成された結果、農村では搾取と貧困の根源が永久に一掃され、昨日の小生産者であった幾百万の農民は栄えある農業協同組合員に、社会主義的勤労者に変わりました。

 社会主義の道に幸福を見いだした農民は、農業の社会主義的改造でおさめた勝利をかため、それをひきつづき発展させるためにたたかっており、政治・経済・文化建設のすべての分野で高度の愛国的熱意を発揮しています。

 こうして、わが国、人民民主主義制度の基礎である労農同盟は、新しい社会主義的土台の上に立っていっそう強固になりました。

 わが国の社会主義建設で知識人は、大きな役割を果たしています。党は解放当初から、古い知識人を忍耐づよく改造し、彼らを新しい生活の建設に積極的に参加させる一方、勤労人民のなかから新しい知識人を多く養成して知識人の隊列を拡大し、彼らの資質を向上させるためにたゆみなく努力してきました。我々が、古い知識人を改造し、新しい知識人を養成することによって、動揺することなく党と革命に奉仕する知識人陣をつくりあげたことは、我々がおさめた最も大きな成果の一つであります。

 わが国には、もはや地主も資本家もいません。我々の社会では、人間による人間の搾取は完全になくなっています。

 労農同盟にもとづく全人民の統一と団結は、かつてなく強化されました。

 同志の皆さん!

 朝鮮人民が、政治、経済、文化のあらゆる分野で達成したすべての勝利は、人民政権の勝利であり、わが国家社会制度の優位性と強い生命力を証明するものであります。

 共和国創建後の10年間に、我々は、人民政権を強化し、国家社会制度を強固にするうえで大きな成果をおさめました。数回にわたる各級政権機関の選挙を通じて、中央および地方政権機関の構成が改善され、一部の不合理な行政区画の改編と国家機構の簡素化によって、人民政権は人民にいっそう接近し、人民との結びつきがますます密接になりました。

 我々は、地方政権機関の役割と機能を高めるために、経済の発展と幹部の成長に応じて、しだいに地方政権機関の権限を拡大する措置をとりました。このような措置は、経済および文化建設に対する地方政権機関の積極性と創意を高め、広範な大衆を国家および経済管理に積極的に参加させるようにしました。

 これとともに我々は、国家機関の活動に対する大衆の統制を強化し、活動家のあいだで官僚主義をなくし、革命的な大衆観点を確立するためにたゆみなく努力しました。その結果、国家機関の活動家のあいだには、現地に接近して広範な勤労大衆と国家活動について直接話し合い、大衆の創意と熱意を十分に発揮させ、彼らの要求を適時に解決する人民的な活動作風が確立されつつあります。

 我々は国家的に重要な問題が提起されたり、困難な問題に直面するたびに、それを解決するための方針を広範な大衆と討議しました。また勤労者は、党の呼びかけにこたえて底知れない創意と不屈の闘志を発揮してあらゆる難関を克服し、我々に提起された課題を立派に解決しました。これはまさに、人民政権が、全人民から絶大な支持を受け、愛されており、広範な人民大衆をそのまわりに結集し、彼らを国家活動に積極的に参加させる最も民主的な政権形態であることを示しています。

 我々の任務は、国家機関の活動をさらに改善し、ひきつづき広範な人民大衆を国家活動に積極的に参加させ、わが国で社会主義的民主主義を高度に発揚させることであります。

 我々の人民民主主義国家を強化することなしには、共和国北半部における社会主義建設を保障できないことは言うまでもありません。

 すべての国家機関では、いっさいの古い活動方法を一掃し、ひきつづき官僚主義と形式主義に反対してたたかわなければなりません。

 下部の創意と積極性を高めるために、地方政権機関、とりわけ郡人民委員会の活動を改善すべきです。地方政権機関の権限が拡大され、地方産業が急速に発展する状況に照らして、経済および文化建設に対する地方人民委員会の役割と機能をいちだんと高めなければなりません。地方政権機関と活動家は、創意を発揮して仕事を組織し、大衆のなかに深く入り、彼らの熱意と創意を引き出し、その要求を適時に解決するようにすべきです。

  

 朝鮮民主主義人民共和国と朝鮮人民の前途には、広大な展望が開かれています。こんにち、朝鮮人民は、わが国の社会主義建設の展望をはっきりと見通しながら、その実現をめざし確信をもって前進しています。

 わが国では、既に、人民経済の各分野で社会主義的生産関係が完全に勝利しました。

 社会主義建設の現段階において、我々に提起されている最も基本的な課題は、確立した社会主義的生産関係に依拠して人民経済の技術的改造をおし進め、社会主義の物質的・生産的基盤を強化し、文化革命を遂行することであります。

 人民経済の技術的改造と、これと密接に関連する文化革命の課題を遂行すれば、わが国の社会主義建設を完成することができます。人民経済各部門を近代技術で装備し、社会主義の物質的・生産的基盤を強固なものにするためには、社会主義的工業化を実現しなければなりません。

 今後、我々は、6、7年内に社会主義的工業化で決定的な前進をもたらさなければなりません。そのためには、工業生産をひきつづき高い速度で発展させ、その技術的装備を強化すべきであります。現存の各企業所を改造、拡張し、近代技術で装備されたより多くの企業所を建設し、生産工程を機械化、自動化しなければなりません。

 重工業は、社会主義的工業化の基本であります。我々はひきつづき、金属工業、機械製作工業、電力工業、石炭工業、化学工業、建材工業の各部門を優先的に発展させながら、これにもとづいて軽工業と農業を同時に発展させなければなりません。これは、既にわが国で実践を通じてその正しさが証明された、わが党の経済建設の基本路線であります。我々は、今後ともこの路線を貫徹しなければなりません。

 電化は、人民経済の技術的改造で極めて重要な位置を占めています。電力工業の発展を他の部門よりも優先させ、人民経済における電力需要を円滑にみたし、国の電化を促進しなければなりません。

我々は、鴨緑江、大同江、禿魯江などの大きな河川に大規模の水力発屯所を建設すると同時に、各地の中小河川に小規模の発電所を数多く建設しなければなりません。

 水力発電所の建設は、必ず火力発電所の建設と組み合わせておこなうべきであります。火力発電所は、水力発電所に比べて建設期間が短く、資金も少なくて済むばかりでなく、動力を多面的に利用でき、渇水期にも電力を正常に供給できます。それゆえ、平壌市をはじめ、主要都市に火力発電所を建設すべきです。

 金属工業を急速に発展させることは、わが国の社会主義建設で特別に重要な意義をもっています。いま、我々にはより多くの鋼材が必要です。今後、わが国では機械製作工業がますます発展し、より大規模な建設事業が広くおこなわれるでしょう。これは、人民経済における鋼材需要が急速に増大することを意味します。

 わが国には、鉄鉱石が豊富であり、ある経度の製鉄工業の土台もあります。

 我々は、製鉄工業をさらに発展させ、銑鉄、粗鉄、鋼鉄および鋼材生産を大々的に増やし、わが国で必要なすべての品目と規格の鋼材を自力で供給しうるようにすべきです。

 わが国でまだコークス炭が発見されていない現状のもとで、鉄鋼業の発展にとって重要な問題は、電気製鉄を取り入れるなり、または褐炭や無煙炭でコークスをつくるなどの方法を講ずることです。製鉄部門の科学者、技術者および労働者は、短時日のうちにこれらの技術的問題を解決しなければなりません。

 人民経済の技術的装備の強化で決定的な意義をもつのは、機械製作工業を発展させることであります。重工業、軽工業、農業、運輸、基本建設など人民経済各部門で新しい、そして、より多くの機械設備と部品が要求されます。機械設備を多く生産し、技術を発展させずには、人民経済を一歩も前進させることができません。機械製作工業の発展は、あらゆる問題解決の中心的な環であると言えます。

 我々は戦後に、機械製作工業の土台をある程度、築き上げました。しかしそれは、急速に増大する人民経済の需要を、いまなお充足させていません。現存の機械工場を拡張し、設備の利用度を高め、新しい工場を増設して、わが国で多く必要とされる各種機械設備と部品を大量に生産しなければなりません。

 化学肥料と繊維原料を完全に解決するためには、化学工業を発展させることが重要です。わが国には、化学工業発展の基本となる電力、無煙炭、石灰石などが豊富にあり、また化学工業の土台があります。それゆえ、わが国の化学工業は大きな展望をもっています。

 我々は、この部門をひきつづき発展させ、窒素肥料、リン肥料、カリ肥料など各種の肥料を大量に生産すると同時に、繊維原料に対する紡織工業の需要を完全に解決しなければなりません。

 軽工業部門では、紡織工業をひきつづき拡張し、食品加工業と日用品の生産を速やかに発展させるべきです。我々は、今後4、5年内に、人口一人当たりの織物生産量を30メートル以上に高めなければなりません。

 一般消費物資の生産では、大規模の工場とともに地方産業工場を並行して発展させ、近代技術とともに手工業的な技術も広く利用すべきであります。

 わが党は6月総会で、食品加工業と日用品の生産を全人民的な運動として発展させることを決定し、このために各郡に一つ以上の地方産業工場を建設する課題を示しました。

 6月総会決定の実行をめざす地方の党機関および政権機関の積極性と、すべての勤労者の高度の熱意によって、こんにち、全国各地には新たに数百の地方産業工場が建てられ、製品の生産にとりかかっています。大まかな計算によっても、新しく建てられるこれらの地方産業工場では、来年1年間だけでも、軽工業省管下の全企業所の年間生産額に相当する各種の消費物資を生産することが予定されています。

 我々は、多額の国家投資なしに、地方の原料源泉と地方の遊休労働力と資材を生かして、このように大量の工業製品を新たに生産するでしょう。これは、わが党の正しい政策と、その遂行のために立ち上がった勤労者の高度の熱意によってもたらされた新しい大きな予備であり、工業の発展にとって大きな意義をもつものであります。これは、急速に増大する人民の需要を円滑にみたすばかりでなく、さらには、重工業をよりはやく発展させる可能性をもたらし、全般的な経済発展の速度を大いに促進させることになるでしょう。各市、郡がそれぞれの工業をもつことになれば、経済管理における地方政権機関の役割と機能が向上し、拡大されるとともに、地方の活動家や広範な勤労者が工業管理の知識と経験をつみ、社会主義建設でその熱意と創意はさらに高まるでしょう。

 我々は、今後、この数百の地方産業工場を、その土台が強化されるにつれて徐々に拡張し機械化することになるでしょう。このような方向で、3、4年または5、6年間、地方産業を発展させるならば、一度に多くの資金を費やすことなく各郡ごとに4か所か5か所ずつ、全国的には数百ないし1000余の立派な軽工業工場をもつようになるでしょう。我々は、既に手かけたこの立派な仕事を積極的に、大胆におし進めなければなりません。

 こうして、重工業と軽工業をひきつづき高い速度で発展させることによって、我々は近代技術で装備された自立的な工業をもつようになり、人民経済各部門の技術的改造を保障するしっかりした土台を築き上げることになるでしょう。

 工業とともに運輸事業を発展させ、その技術的装備を強化しなければなりません。電力資源の豊富なわが国では鉄道を電化する方向に進まなければなりません。第1次5か年計画期間に、最も急を要する鉄道を電化し、将来、鉄道をすべて電化するための物質的・技術的土台を準備し、第2次5か年計画からはこの仕事を本格的におし進めるべきであります。

 同時に、自動車および海上運輸を発展させなければなりません。祖国が統一されれば、特に海上運輸が輸送事業で重要な位置を占めるようになることを考慮に入れるべきです。さらに多くの船舶を建造し、海上運輸の輸送量を増大させるべきです。

 社会主義的工業の発展にもとづいて、農業の技術的改造を積極的におし進めなければなりません。

 わが国の農業は、一連の特殊性をもっています。わが国には山が多いため農耕地が極めて少なく、全耕地面積の3分の1以上が急傾斜地であります。わが国の農業では、米の生産が最も重要な位置を占めています。穀物総収穫高の45〜50%は米であり、水田は総耕地面積のほぼ30%を占めています。

 我々は農業の技術的改造で、このような特殊性を考慮に入れないわけにはいきません。

 農業の技術的改造が必要なのは、農業に先進的科学と技術の成果を取り入れて農業生産を増大させ、農民の労働を楽にするためであります。

 耕地面積の少ないわが国で、農産物の収穫高を増大させる決定的な鍵は、ヘクタール当たりの収量と土地の利用度を高めることにあります。我々は、小さい面積から多くの収穫を得なければなりません。それゆえ、わが国の農業の技術的改造で最も重要なのは、潅漑システムを確立することであります。

 潅漑工事は、わが国農業の技術的改造の基本であります。

 わが国の気候は、毎年4月から6月までは日照りがつづき、7、8月には雨季となるのか特徴です。それゆえ、潅漑工事をおこなって円照りを克服し、水害を防ぐことは、農業で多収穫をあげる決定的な条件となります。潅漑システムを確立すれば、農民は多くの労働力を節約しながらも、干害と水害をいっそう成功裏に克服することができ、したがって、常に高く、安定した収穫をあげることができるでありましょう。

 我々は、戦後、既に潅漑工事を大々的におこない、水田面積の91%を水利完全田に変えました。しかし、いまなお潅漑システムは全面的に取り入れられていません。

 党と政府は、水田面積を70万ヘクタール以上に拡張し、それを完全に水利完全田に変えることを重要な課題として提起しました。

 わが国には、水源も豊富であります。わが国の工業は、潅漑面積の拡張に必要なセメント、鋼材、揚水機、モーターなどや、潅漑工事を機械化するための各種の建設機械を十分に供給するでしょう。わが国の農業は、既に協同化されています。我々はこの課題を立派に遂行することができます。

 東洋では昔から「治山治水は農の本」と言われてきました。干害や水害を克服しようというのは、農民の長いあいだの念願でありました。水田はもちろん、畑にまで潅漑システムを完全に確立するというのは、農民のこの宿望が我々の時代になって実現することを意味します。

 潅漑システムを確立するとともに、化学肥料の施用量を増やさなければなりません。化学肥料は、ヘクタール当たりの収穫高を増やすうえで重要な位置を占めています。

 わが国の工業は5、6年後には、農業部門にいまより約4倍も多い化学肥料を供給することになるでしょう。また、窒素肥料とともにリン肥料やカリ肥料も多く生産されるので、化学肥料の構成も著しく改善されるはずです。

 化学肥料の施用量を増やすと同時に、その効力を高めるため短時日内に科学的な施肥方法を確立しなければなりません。

 我々は、農業機械の改良と農業の機械化に深い注意を払うべきです。わが国の農業の技術的改造で潅漑工事が基本であるということは、決して農業の機械化をおろそかにしてもよいということを意味しません。

 ヘクタール当たりの収穫高と土地の利用度を高めることに重点をおきながら、機械化の可能なすべての作業を機械化すべきです。まず、農村で最も多くの労働力を要する運搬作業と田畑のすき起こし作業を機械化すべきです。このためには、農業機械賃耕所網を拡張し、トラクターとトラックの台数を増やさなければなりません。

 電化は、農業の技術的改造で重要な意義をもっています。農村の電化は、潅漑システムを確立するうえで切実に必要であるばかりでなく、脱穀その他さまざまな作業を機械化し、農民の文化生活の向上をもたらすでしょう。これとともに、畜力農業機械をさらに多く利用し、農機具を改良し、各種の進んだ営農技術を広範に普及しなければなりません。

 このような方向で、農業の技術的改造を促進させるならば、600万トン以上の穀物を収穫することができ、そのうち米だけでも300万トン以上生産することになるでしょう。

 穀物生産のこのような増大は、畜産業をはじめ、農業の他のすべての部門を急速に発展させる強固な土台となるでしょう。

 このようにして、わが国の農業は、近代技術で装備された凶作を知らぬ農業に発達した多角的経営になるでありましょう。

 同志の皆さん!

 社会主義的生産関係が確立され、人民経済が技術的改造期に入った社会主義建設の現段階において、文化革命は我々のさし迫った課題となっています。文化革命を遂行しなければ、人民経済の技術的改造を成功裏に保障することも、また社会主義的生産関係を強化することもできません。

 文化革命で最も重要なのは、すべての勤労者の一般的知識水準を高めることであります。ここで我々の当面の課題は、全般的な中等義務教育制を実施し、すべての勤労者が人民学校もしくは初級中学校卒業程度以上の知識を所有するようにすることです。

 国家の大きな配慮と勤労者の高い熱意によって、わが国では今年既に、人民学校卒業生の約95%が初級中学校に進学しています。来年からは、全般的な中等義務教育制が実施されるでありましょう。

 全勤労者の知識水準を人民学校もしくは初級中学校卒業程度にまで高める問題も、都市では既に基本的に解決されたと言えます。農村でも成人教育事業を強化し、ここ数年内に、すべての農民の知識水準を人民学校卒業程度以上に高めなければなりません。

 技術者を大量に養成し、勤労者の技術水準を高めることは、文化革命において極めて重要な位置をしめます。社会主義建設のため、特に人民経済の技術的改造のためには、より多くの専門家と技術者が必要です。

 中等および高等技術専門学校を増設し、授業内容を充実させなければなりません。これに関連して、いくつかの里に技術学校を.一つずつ建設する人民的運動を展開すべきです。こうして、初級中学校卒業生を進学させる農業学校、工業学校、畜産学校、水産学校など各種の技術学校を設置し、中等程度の技術者を大量に養成すべきであります。

 これとともに、全勤労者が新しい技術を身につけるために努力しなければなりません。このためには、働きながら学び、学びながら働くことが重要です。

 戦後の4、5年間に、わが国のすべての学校では、学びながら働く立派な気風が確立されました。わが国の学生は、学習を立派におこないながら、同時に社会主義建設の労働に参加して自分自身を鍛え、生産に習熟するようになりました。

 労働者、農民の技術の習得を助けるため、通信教育と夜間教育網を拡張すべきであります。

 保健・衛生事業を強化し、伝染病と風土病をなくし、職場と家庭をきちんと、清潔に、そして文化的に整えなければなりません。いっさいの立ち後れた生活様式と慣習を一掃し、勤労者のあいだで新しい社会主義的な道徳気風を確立しなければなりません。

 我々はまた、科学の発展に深い注意を払わなければなりません。こんにち、わが国の科学発展の基本方向は、第1に、人民経済の発展に切実に必要で、しかも緊急に解決を要する問題に重点をおき、第2に、先進諸国で既に達成した科学・技術の成果をわが国の具体的な実情に合うように導入する方途を研究することにあります。こうすれば、科学者は、人民経済の発展に貢献することができ、また科学・技術の発展で先進諸国の水準に早く追いつくことができます。

 文学・芸術を速やかに発展させ、勤労者の大衆文化活動をいちだんと強化しなければなりません。

 作家、芸術家たちは、社会主義リアリズムに立脚した文学および芸術作品をより多く創作し、勤労者の共産主義教育に寄与しなければなりません。

 我々は、このように、人民経済の技術的改造と文化革命の課題を成功裏に遂行し、共和国北半部における社会主義建設を促進しなければなりません。

 共和国北半部における社会主義建設は、祖国の平和的統一を早める決定的な裏付けであります。それは、我々の民主基地を鉄壁のように強化し、アメリカ帝国主義者と逆賊李承晩一味に反対する南朝鮮人民の闘争を大きく鼓舞激励するでありましょう。それはまた、将来、祖国が統一されたのち、破壊された南半部の経済を急速に復興し、極度に零落した南朝鮮人民の生活を改善するための確固たる物質的土台となるでありましょう。

  

 同志の皆さん!

 我々が社会主義建設の大きな勝利をもって共和国創建10周年を迎えているこんにち、南朝鮮の人民は、依然としてアメリカ帝国主義の植民地的抑圧と搾取のもとで苦しんでいます。

 こんにち南朝鮮は、政治、経済、文化のあらゆる分野にわたって破局に直面しています。

 アメリカ帝国主義者は、南朝鮮経済の重要な命脈を完全に手中におさめ、それを、彼らの軍事的侵略政策および植民地的略奪政策の実現にすべて服従させています。

 アメリカの「援助」は、南朝鮮を侵略する重要な手段となっています。南朝鮮でアメリカの独占資本家は、経済のあらゆる分野で主人になっており、南朝鮮の民族経済を見るかげもなく破綻させました。

 もともと、立ち後れていた南朝鮮の工業は、アメリカ独占資本に従属させられて極度に衰退しています。現在、わずかに残っている工場、企業所の90%以上は、従業員が50名未満の中小企業です。いま、これらの中小企業は、アメリカの独占資本やごく少数の買弁資本家の圧迫のもとで、原料、動力および資金不足のために、その80%以上が全く操業していないか、または不完全操業の状態におかれています。

 以前には、いくらかはましだと言われていた南朝鮮の鉱業も、こんにちでは全く惨めなを状態に陥っています。

 いま、南朝鮮の工業生産は解放前の水準の半分にしかならず、1957年の国民所得総額のうち、工業の占める比重は8.6%にすぎませんでした。これは、李承晩一味が、南朝鮮の工業からこれ以上搾りだす余地がなくなったことを示しています。

 南朝鮮の工業が完全に破産している状況のもとで、李承晩一味は農村を搾取と略奪の基本的な基盤とみなしてきました。しかし、それすらこんにちでは、収拾することのできない破綻状態に陥っています。

 南朝鮮の作付け面積は、日本帝国主義の支配当時に比べて60万ヘクタールも減り、穀物の総収穫高は40%も減少しました。こうして、わが国の穀倉地帯として知られていた南朝鮮は、毎年500万石以上の穀物を輸入しなければならない慢性的な飢餓地帯に陥りました。米どころの全羅南北道でも、今年の春、既に精米を切らした農家が農家総数の80%以上に達しました。

 このように工業が破壊され、農村が荒廃しているにもかかわらず、アメリカ帝国主義者の忠実な手先である李承晩一味は、ひきつづき人民の膏血を搾り、軍備拡張に狂奔しています。民族経済は破綻し、人民生活はますます苦しくなる反面、彼らの軍事費は年々増大する一方です。

 1957年の軍事費は、1953年に比べて3.6倍に増大しました。李承晩一味は、アメリカ帝国主義者の侵略政策の道具として60万以上の膨大なかいらい軍を維持するため、勤労人民の収奪を強めています。こんにち、南朝鮮かいらい政府予算の大部分は軍事費にふり向けられています。1957年のかいらい政府予算で、軍事費と警察費の占める比重は約70%に達しています。

 李承晩一味は、この膨大な軍事費の支出をまかなうため、人民大衆の各種の租税負担をひきつづき増やしています。1957年に、かいらい政府の租税収入額は1953年に比べて5.3倍に増えました。ひきつづく過酷な略奪によって極度に貧困化した勤労大衆は、もはやこの過重な租税を負担する能力を全く失っています。かいらい政府財務部が発表した今年上半期の「財政執行実績」によれば、歳入実績は歳入予定総額の34.3%にすぎません、これは、彼らの財政が完全に破綻したことを意味するばかりでなく、どのようなテロや強圧の手段を用いても、これ以上は搾りとれないほどに勤労大衆が貧困化していることを示すものです。

 かいらい政府は、その財政が苦しくなればなるほど、予算歳入のほとんどすべてを軍隊や警察の維持費につぎ込まざるをえません。今年上半期の支出実績は支出予定額の37.1%にすぎず、その96%以上が軍事・警察費や行政費に当てられており、農業にはわずか0.01%しか割り当てられていません。

 南朝鮮の労働者は最低生活費の3分の1程度の飢餓賃金を受け取っているが、それすら半年以上も遅払いになる場合が少なくありません。農民の90%以上が莫大な負債を背負っており、多くの農民が地主や高利貸しの略奪に耐えきれず、農地を捨ててあてもなく離農しています。こんにち、南朝鮮では失業者、半失業者の数が420万以上に達しており、物乞いをする子供が数十万も街をさまよっています。

 こんにち南朝鮮は、為政者も自認しているように、「4千年来の民生苦」にあえいでいます。

 アメリカ的生活様式と人間憎悪の思想が、南朝鮮で倫理と道徳を破壊し、朝鮮人民の悠久な民族文化と美しい生活風習を踏みにじっています。こうして、暗黒と堕落が南朝鮮の全社会を支配しています。

 まさにこれが、解放後13年間のアメリカ軍の占領と李承晩の売国統治がもたらした結果であります。

 同志の皆さん!

 南朝鮮人民がこの破局から脱する道はどこにあるでしょうか。それはただ、南朝鮮を占領しているアメリカ帝国主義者を撤退させ、引き裂かれた祖国を一日も早く統一することにあります。

 こんにち、南朝鮮人民のあらゆる苦痛と不幸の根源は、アメリカ帝国主義者の南朝鮮占領にあります。

 中国人民志願軍は、現在、朝鮮から自国に撤退しつつあります。彼らは既に第2段階の撤退を完了しており、今年の末までには朝鮮から完全に撤退するようになります。

 しかし、アメリカ帝国主義者は、南朝鮮からその汚れた魔手を引こうとしないばかりか、ひきつづき軍備を拡張し、誘導兵器や核兵器まで持ち込み、朝鮮で緊張を激化させ、極度に平和を脅かしています。

 しかし、敵はこれによって朝鮮人民を決して脅迫することはできません。

 アメリカ軍は、朝鮮に居座りつづける何らの口実ももっていません。彼らは、無謀な挑発行為を直ちに中止し、南朝鮮から撤退すべきであります。

 祖国の運命を憂い、民族の繁栄を念願するすべての人は、こぞってアメリカ帝国主義者の南朝鮮占領に反対する闘争に力強く立ち上がらなければなりません。アメリカ軍を撤退させるために、労働者、農民をはじめ、企業家や商人にいたるまで、民族的良心をもつ朝鮮人であれば、誰でもみな力を合わせてたたかわなければなりません。

 南朝鮮のすべての階級と階層が、13年間のアメリカ帝国主義者の南朝鮮占領と祖国の分裂がもたらした民族的災厄と不幸から、教訓をくみ取るときはきました。

 共和国は、創建当初から全朝鮮人民の切実な利益と念願を代表して、引き裂かれた祖国を平和的に統一するための闘争を粘り強くくりひろげてきました。我々は、外国人の干渉をうけずに朝鮮人同士が一堂に会して話し合い、我々の手で祖国を平和的に統一するための正当かつ現実的な方案を提案しました。

 しかし、李承晩かいらい一味は、アメリカ帝国主義者とともに共和国に対する武力侵攻をもってこれにこたえました。

 停戦後、共和国政府は、停戦をゆるぎない平和にかえ、緊張を緩和するために互いに軍備を縮小し、南北間で武力を使用しないことを宣言し、南北間の自由な経済・文化交流を保障することについて再三にわたって提案しました。

 しかし、かいらい一味は、こんにちにいたるまで、ひきつづき「北進」騒ぎをもってこれにこたえています。甚だしくは、南朝鮮の数多くの失業者や孤児のために、北朝鮮人民の貴い労働の結晶である救済物資を送ろうという我々の提案さえ、李承晩一味は受け入れていません。

 李承晩一味は、死に瀕した自己の余命を長らえようと、民族の利益に背くいかなる行為もためらうことなく強行しています。

 それゆえ、祖国の平和的統一のためにまず解決しなければならないのは、李承晩かいらい一味の戦争挑発政策と売国政策を変えさせることであります。

 まず南朝鮮の政治生活で、人民の初歩的な民主主義的自由と権利が保障されなければなりません。

 こんにち南朝鮮は、完全なファッショ・テロ支配のもとにおかれており、平和的統一ということを口にしただけでも、法的処罰の対象となっています。

 すべての政党、大衆団体の政治活動の自由が保障されなければならず、特に人口の圧倒的多数をしめる労働者、農民が、「国会」をはじめ、あらゆる政治機関に参加できるようにならなければなりません。

 こんにち、見るかげもなく破綻した南朝鮮の民族経済をたて直し、ひどく零落した人民生活を安定させるためには、李承晩一味の売国政策を変更させ、南北間の経済交流を実施することが必要であります。

 北半部には、自立的経済の基盤が築かれ、強力な重工業および軽工業の基地が建設されています。北半部の豊富な電力と石炭、鋼鉄、セメント、化学肥料などは、朝鮮を富強な自主独立国家に建設しうる、人民の貴重な元手であります。我々の創造したすべての貴重を財貨が南朝鮮の経済を復興し、南朝鮮人民を貧困から救い出すために利用されることを我々は心から望んでいます。

 共和国政府は、既に、再三にわたって南北間の経済交流を通じて南朝鮮に電力、石炭、セメント、化学肥料などを供給することを提案してきました。

 これらすべての提案は、李承晩かいらい一味によって拒否され、実現しませんでした。

 同胞同士が、自由に往来し、統一してむつまじく暮らそうという朝鮮人民の一致した志向をさえぎっている李承晩集団の売国政策を、これ以上容認することはできません。すべての南朝鮮人民は、南北朝鮮間の経済交流を実現させるたたかいに積極的に参加しなければなりません。これは、こんにち、南朝鮮人民の生活を破滅から救い、祖国の平和的統一を促進するための重要な措置の一つであります。

 祖国の平和的統一を促進するためには、南朝鮮でアメリカ帝国主義者と李承晩一味に反対するすべての愛国的民主勢力の統一戦線を形成することが極めて重要であります。こんにち、南朝鮮では一握りの李承晩かいらい集団を除いては、労働者、農民だけでなく、知識人、青年、学生、手工業者、民族資本家にいたるまで、あらゆる階層の利益がアメリカ帝国主義者の侵略政策とするどく対立しています。このことは、南朝鮮で愛国勢力の統一戦線を形成できる可能性がますます熟していることを示すものです。

 南朝鮮の破滅的な現状の変革を欲する人は、すべて一致団結しなければなりません。アメリカ軍の撤退を要求し、逆賊李承晩一味の売国政策に反対する人は、すべて統一戦線に結集すべきであります。

 我々は、南朝鮮における愛国的進歩勢力の成長を積極的に支持します。我々は、南朝鮮人民の生活改善と政治的自由と権利のためにたたかい、祖国の平和的統一をめざしてたたかうすべての政党、大衆団体および個々の人士を支持してともにたたかうでありましょう。我々は、アメリカ帝国主義者と李承晩一味に反対し、祖国の平和的統一をめざしてたたかうことを望む人であれば、その過去を問わず、ともに手をたずさえてたたかっていくでありましょう。

 祖国の平和的統一をめざす朝鮮人民のたたかいは困難なたたかいであります。

 しかし、北半部の社会主義勢力が成長し、南朝鮮のすべての愛国的民主勢力が団結して、アメリカ帝国主義者と李承晩一味に反対する救国闘争に決起するならば、祖国の平和的統一は必ず実現するでありましょう。

 同志の皆さん!

 我々は、最近の在日同胞の境遇について関心を寄せずにはいられません。

 在日同胞に対する岸政府の迫害は、ますますその度を強めています。岸政府は、日本に居住する朝鮮同胞の法的権利を認めようとしないばかりか、甚だしくは日本の収容所に不法抑留されている同胞を李承晩一味とのかけひきの道具に利用する非人道的な行為まであえておこなっています。

 無権利と民族的差別と生活難にあえぐ在日同胞は、最近、朝鮮民主主義人民共和国に帰国する希望を表明してきました。

 朝鮮人民は、日本で生きる道を失い、祖国のふところに帰ろうとする彼らの念願を熱烈に歓迎します。

 在日同胞は、日増しに隆盛発展する朝鮮民主主義人民共和国の公民として祖国に帰り、国内の同胞とともに幸福な生活を送る当然の権利をもっています。

 共和国政府は、在日同胞が祖国に帰り、新しい生活を営めるようすべての条件を保障するでありましょう。我々は、これを民族的義務と考えています。

  

 同志の皆さん!

 朝鮮革命は、国際的にも非常に有利な情勢のもとで進められています。

 我々の時代の基本的内容である資本主義から社会主義への移行は、いっそう広く、深く、速い速度で進展しつつあります。

 現国際情勢の基本的特徴は、社会主義が国際舞台で決定的に勝利をおさめており、帝国主義勢力はますます弱まり、没落の道を早めていることであります。これは、祖国の平和的統一と社会主義をめざしてたたかう朝鮮人民にとって、決定的に有利な条件をつくりだしています。

 全世界27億の人口のうち、約10億の人民が既に確固と社会主義の道を踏み出しており、世界領土の4分の1を占める広大な地域に社会主義の旗がひるがえっています。

 社会主義諸国は、生産と科学・技術の高い発展速度において資本主義に対する決定的な優位性を証明したばかりでなく、その到達した水準においても資本主義世界を圧倒しはじめました。ソ連の3回にわたる人工衛星の打上げは、科学発展史上に新紀元を開き、社会主義の勝利に対する全世界人民の確信をさらに強めさせました。

 他の兄弟諸国でも、経済、文化はめざましい速度で発展しています。

 最近までも、社会主義陣営を包囲し経済的に圧殺しようと妄想していた帝国主義者が、こんにちでは社会主義陣営の強大な経済的威力をまえにして不安におののいています。

 こんにち、社会主義陣営の統一と団結は不敗であります。

 朝鮮民主主義人民共和国は、社会主義陣営の一員として、ソ連、中華人民共和国およびその他の社会主義諸国とプロレタリア国際主義の原則にもとづく友好と相互援助の関係を結んでおり、それをあらゆる面から強化するために全力をつくしてきました。

 朝鮮人民は、苦難にみちた闘争の経験を通じて、プロレタリア国際主義の原則の偉大な力を体得しました。

 わが国の対外政策の根底には、プロレタリア国際主義がおかれています。わが党と全朝鮮人民は、この原則をゆがめ、社会主義諸国の団結を破壊しようとする、帝国主義者と修正主義者のあらゆる策動に断固反対してきたし、今後もまたそうするでありましょう。

 わが党と人民は、プロレタリア国際主義の原則から完全に離脱し、アメリカ帝国主義者にこびへつらい、屈従する修正主義者の裏切り行為を断固糾弾します。

 我々は、今後とも、社会主義陣営諸国人民との友好と団結を強化するために努力するでありましょう。

 社会主義陣営の政治的・経済的威力の増大は、帝国主義勢力の没落過程を促しており、弱小諸国の人民にいっそう力強い革命的影響を及ぼしています。

 帝国主義が、植民地および従属諸国の人民をほしいままに搾取し支配していた時期は過ぎ去りました。第2次大戦後、最近にいたる10余年間に、7億以上の人民が植民地的奴隷のくびきをかなぐり捨てて、民族の独立をかちとりました。民族の解放をかちとった人民は、戦争と帝国主義的侵略に反対し、平和と民族経済の発展のためにたたかっており、社会主義陣営とともに広大な「平和地帯」を形成しています。

 アジア大陸で帝国主義の植民地体制はほとんど完全に崩れさり、植民地民族解放闘争の炎は、こんにち中東のアラブ諸国とアフリカ大陸にもえひろがっています。アメリカ帝国主義の支配に反対するラテンアメリカ人民の闘争も日増しに強まっています。

 歴史は、地球上からの帝国主義植民地体制の一掃を日程にあげています。

 こんにち、帝国主義諸国には、世界人口の5分の1にもみたない5億の人口が住んでいるにすぎません。

 帝国主義諸国では、生産力と生産関係の矛盾がますます先鋭化しており、これらの国々の経済は新たな深刻な危機に直面しています。最近、アメリカをはじめ、一連の資本主義国では生産が急激に減少し、労働者が大量に解雇され、失業者は日ごとに増大しつつあります。

 資本主義の擁護者の言いふらしている「人民的資本主義」「資本主義の性格が変わった」というあらゆる偽りの理論は、実生活を通じて見るかげもなく破産してしまいました。資本主義諸国では、勤労者が資本主義の搾取に反対し、生活条件の改善と、平和および社会主義のためにますます力強い闘争を展開しています。

 特に、ここ数年来、労働者の大規模なストライキがすべての資本主義国を襲っており、その闘争の先頭には、マルクス・レーニン主義を行動の指針とする共産党および労働者党が立っています。激しい階級闘争で鍛えられた資本主義諸国の共産党および労働者党の力量は日増しに拡大強化され、ますます多くの人民大衆の支持と信頼をかちとっています。

 歴史発展の全過程は、人類が平和と社会主義と民族独立の道を力強く前進しており、帝国主義は避けられない没落の道へ転落していることを示しています。

 しかし、アメリカをかしらとする世界の帝国主義者は、没落の道から立ち直ろうと狂奔しています。

 人類の凶悪な敵アメリカ帝国主義侵略者は、世界のいたるところで他国の民族独立を脅かし、民族解放運動を抑えつけ、社会主義諸国に反対する破壊活動を系統的におこなっています。彼らは破産した「力の政策」をひきつづき追求しながら軍備競争を強化し、世界のいたるところで軍事基地を拡張するなど、新たな戦争準備に狂奔しています。最近、彼らはまた、イギリス帝国主義者とともにレバノンとヨルダン人民に対する新たな侵略行為を働きました。

 しかし事態は、帝国主義者の思惑どおりにはいかないことを示しています。アラブ人民に対する英・仏帝国主義者の武力侵攻は恥ずべき敗北に終わりました。シリアに対するアメリカの侵略企図もやはり挫折しました。

 先ごろ開かれた国連臨時特別総会は、アメリカ帝国主義者の「力の政策」の破綻を示すいま一つの証拠となりました。米・英帝国主義者は、国連で、レバノンとヨルダンに対する侵略行為を正当化しようとあらゆる策動をめぐらしましたが、世界の平和愛好人民の圧力に押されて、ついに米・英軍のレバノン、ヨルダンからの撤退に関する決定に同意せざるをえなくなりました。これは、アメリカ帝国主義者が国連においてさえも、これまでのように自分らの意思を思いのままに強要することができなくなったことを示しています。

 朝鮮人民は、侵略者に反対するアラブ人民の民族解放闘争に全面的な支持と声援を送っており、中近東地域から米・英帝国主義軍隊が直ちに撤退することを強く要求します。

 アメリカ帝国主義者は、その戦争準備政策がひきつづき破綻しているにもかかわらず教訓をくみ取ろうとしていません。

 アメリカ帝国主義者は、中近東情勢から世界人民の目をほかにそらし、ひきつづき国際情勢の緊張を維持するため、最近には中国人民に反対して台湾海峡で侵略的な挑発策動を強行しています。アメリカ帝国主義者は、中華人民共和国の切り離すことのできない領土である台湾と澎湖諸島を不法に占領しつづけて、最近ではそれを足場として中華人民共和国に対する侵略範囲を拡大しようと露骨な策謀をめぐらしています。

 中華人民共和国に対するアメリカ帝国主義者の侵略的挑発行為は、極東と世界平和に対する重大な脅威であり、アジアのすべての平和愛好人民に対する挑戦であります。

 台湾問題は、あくまでも中国の内政問題であり、台湾の解放は中華人民共和国の神聖にして侵すことのできない主権の行使であります。

 共和国政府と朝鮮人民は、中華人民共和国の内政に干渉してその領土と自主権を侵し、台湾海峡で緊張を激化させているアメリカ帝国主義者の挑発策動を断固糾弾します。

 我々は、台湾海峡の情勢に関連した中華人民共和国と中国人民の正当な主張と断固たる決意を表明した周恩来総理の声明を全面的に支持します。

 もし、アメリカ帝国主義者が朝鮮戦争の惨敗から教訓をくみ取ろうとせず、アジアで再び無謀な侵略戦争を引き起こすならば、彼らはみずから放った炎に焼きつくされる運命を免れえないことをはっきり悟るべきであります。

 朝鮮人民は、アメリカ帝国主義者の戦争挑発政策に反対し、アジアの恒久平和と安全のための闘争で、常に兄弟の中国人民とともに進み、両国人民の連帯を強化するでありましょう。

 帝国主義が残っている限り戦争の根源はなくなりません。我々は、敵のあらゆる挑発策動に対して、常に高い警戒心をもたなければなりません。

 我々は、全世界平和愛好人民との団結を強化し、彼らとともに世界の恒久平和のためにひきつづきたたかわなければなりません。

 朝鮮人民は、朝鮮で新たな緊張をつくりだそうとするアメリカ帝国主義者と逆賊李承晩一味の策動を粉砕し、朝鮮における平和の維持と祖国の平和的統一のためにひきつづき粘り強くたたかうことによって、世界平和の強化に貢献するでありましょう。

 朝鮮民主主義人民共和国は、植民地主義と帝国主義に反対するアジアとアフリカの民族独立諸国との協力関係を発展させるために絶えず努力しており、植民地諸国人民の民族解放運動を積極的に支持しています。

 わが国とインド、インドネシア、アラブ連合共和国、ビルマ、セイロンなど多くの国々との経済的および文化的連係はますます拡大されています。

 我々は、今後も、わが国と友好関係を結ぶことを望むすべての国、特に植民地主義と帝国主義に反対するアジア、アフリカ諸国との友好関係をいっそう発展させるために努力するでありましょう。

 同志の皆さん!

 朝鮮人民は、内外の敵に反対する困難な闘争のなかで共和国を身をもって守りぬき、共和国の旗のもとに10年のあいだに偉大な勝利をかちとりました。

 共和国は、自由と独立と社会の進歩をめざす朝鮮人民の長期にわたる宿望の具現であり、将来の統一された祖国のためのたたかいの進路を照らす灯台であります。

 朝鮮人民は、共和国の隆盛と発展に自己の運命を託しており、また、そこに朝鮮革命の最終的勝利のための尽きることのない力の源泉を見いだしています。

 共和国で急速に成長している社会主義勢力と、日増しに花開く人民の幸福な生活は、南半部人民の解放闘争をますます力強く鼓舞しています。

 いかなる力も、共和国の旗のもとに団結している朝鮮人民の革命勢力をくじくことはできず、祖国の平和的統一をめざしてたたかう我々の前途をさえぎることはできないでしょう。

 祖国の平和的統一と社会主義をめざす朝鮮人民の闘争は、必ずや最後の勝利をかちとるでありましょう。

 偉大な勝利をめざし、ともに前進しましょう。

 朝鮮民主主義人民共和国万歳!
                                                
出典:『金日成著作集』12巻


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