金 日 成

現実を反映した文学・芸術作品を積極的に創作しよう
 文学・芸術部門の幹部との談話
 −1956年12月25日−


  いま文学・芸術部門では、我が国の偉大な出来事を反映した作品があまり創作されていません。

 社会・経済分野の偉大な出来事を反映したすぐれた作品が出ないのは、文学・芸術部門に教条主義や事大主義、形式主義、画一主義的傾向があることと関連しています。

 現在一部の作家たちは、外国のものにあこがれ、それを模倣しようとする傾向があります。ある作家などは、外国の文章まで真似ようとし、そうすればすぐれた作品になると考えています。これは、非常に誤った考え方です。作家、芸術家が、このような思想観点に立っているため、我が国の躍動する現実を正しく見ることができず、それを反映した作品を書くことができないのです。

 みなさんもご承知のように、我が国では党の正しい指導によって、祖国の歴史上類例のない偉大な社会的・経済的変革が起きています。

 農村では農業協同化運動が広く進められていますが、これは、ほかの国には見られない独創的なものです。ほかの国では農業を協同化する場合、まず工業を発展させて農業の技術的改造をおこなった後に、経営形態を改造するのが一般的な通例となっています。しかし我々は、朝鮮の社会的・経済的条件と歴史的条件がほかの国と異なるので、外国の農業協同化の経験をそのまま真似ることはできません。

 戦後、我が国では、農業の協同化が一刻も遅らすことのできない緊要な問題として提起されました。農業の協同化なくしては、疲弊した農民の生活を安定向上させることも、急速に発展する工業に農業を追いつかせることもできませんでした。また、農業を協同化して農村陣地を政治的、経済的に強化しなくては、全般的な社会主義建設を促進させることが不可能でした。したがって我が党は、農業の技術的改造に先立って、経営形態の社会主義的改造を進めることにしました。現実が、農業の社会主義的改造を切実に求め、また、それを担当し遂行しうる勢力が準備されているときには、農業の技術的改造に先立って経営形態の社会主義的改造をおこなうべきであります。工業が立ち後れているからといって、農業の協同化をおくらせる必要はありません。

 我が国ではいま、農業協同化運動が順調に進められた結果、農業生産は飛躍的な発展を遂げ、農民の生活が改善され、かれらの政治・思想水準が不断に向上しています。これは、我が党の農業協同化方針の正しさを立証しています。

 農業協同化運動は、土地改革に匹敵する深刻な社会的・経済的変革であり、偉大な革命運動であります。こんにち、我が国では、農業の協同化によって数千年来の古い生産関係が先進的な社会主義的生産関係に改造され、昨日の小商品生産者である農民は社会主義的勤労者に変わりつつあります。このような一大変革は、アジア諸国ばかりでなく、かつて植民地であった国々の模範となっています。

 工業にしても、アメリカ帝国主義侵略者が、百年かかっても北朝鮮では破壊された工場、企業所を復旧できないだろうと放言しましたが、我々は、すでに大部分の工場、企業所を復旧し、近代的に改造拡張しているだけでなく、新しい工場を多く建設しています。現在我が国の工業は、めざましいテンポで発展しています。

 我が国のこのような現実を描けば、立派な文学・芸術作品になるでしょう。ところがいま、こうした歴史的な変革を反映したすぐれた演劇、映画、小説などの文学・芸術作品が創作されていません。これは、作家が発展する現実を見ることができず、革命的観点が確立されていないことを示しています。いま一部の作家は、「テーマの制約」や「ジャンルの限定」を云々し、現実に素材がなくて作品が書けないと言っていますが、それは、かれらが現実にうといことを物語るものです。

 作家は、人民に我が党の政策を解説する熱烈な宣伝者であり、大衆の教育者です。したがって作家は、文学・芸術作品を通じて党と政府の路線と政策を人民に正しく宣伝すべきであります。党と政府の路線と政策は現実のなかで具現されるので、作家は当然現実をテーマにした作品を多く創作するために努力すべきです。作家は、事大主義的・教条主義的傾向を一掃し、社会主義リアリズムの創作方法にもとづいて、我が国の社会的・経済的変革過程を反映した文学・芸術作品を多く書くべきであります。

 我が党の栄えある革命伝統をテーマにした作品も多く創作すべきです。いま、革命伝統をテーマにした文学・芸術作品はあまり見当たりません。実際には、作品のテーマになる革命伝統の生きた資料はいくらでもあります。問題は、作家がこのような作品をあまり書こうとしないことにあるのです。

 革命伝統をテーマにした文学・芸術作品は、党と革命にたいする限りない忠実性で人民を教育し、革命闘争へ力強く奮起させるうえで非常に重要な役割を果たします。作家は、革命伝統をテーマにした、すぐれた作品を多く創作するために尽力すべきであります。

 これと同時に、祖国解放戦争のとき、1211高地の戦闘をはじめ、数多くの戦闘で無比の勇敢さと集団的英雄主義を発揮した人民軍の勇士や人民の誇らしい闘争をテーマにした文学・芸術作品を多く創作しなければなりません。

 祖国統一の実現に役立つ作品も書くべきです。祖国統一は、朝鮮人民の民族最大の課題であります。

 現在、共和国北半部人民の幸福な生活と塗炭の苦しみをへている南半部人民の悲惨な生活を対比した作品も見当たらず、アメリカ帝国主義と南朝鮮かいらい一味に反対する南朝鮮人民の闘争をテーマにした作品もありません。作家は、祖国統一のために血を流してたたかう南朝鮮人民の闘争を描いた作品や、共和国北半部の「天国」と南半部の「地獄」を生き生きと扱った作品を書くべきです。このような作品は、朝鮮人民を祖国統一をめざす崇高な闘争へと奮起させるでしょう。

 文学・芸術部門では、民族文化遺産の継承発展にも当然関心を払うべきです。

 文学・芸術部門の課題を立派に遂行するためには、作家を我が党の思想で武装させなければなりません。いま、作家のあいだに事大主義、教条主義などの種々の偏向が見られるのは、かれらにたいする党政策と革命伝統の教育をおこたったため、作家が我が党の思想に徹していないことに起因しています。作家が我が党の思想で武装すれば、革命家になることができ、革命的な作品を書くことができます。作家が党の思想で武装しないならば、山頂をきわめることができなかった人のように、革命の前途は見えず、目前の障害と難関だけが目につくようになるのです。

 文学・芸術部門では、作家のあいだで革命的な学習気風を立て、党政策と革命伝統の学習を強化して党の路線と政策で武装させ、革命的世界観を確立させるべきです。同時に作家は、我が党の革命的活動方法を身につけるべきです。

 作家の党生活を強化することが重要です。

 現在、一部の作家は自由主義にそまって組織生活を嫌うとのことですが、これはブルジョア思想の影響のあらわれです。人間は、組織生活を通じて革命的に鍛えられるのです。

 作家の党生活を強化して、党の組織規律を自覚的に守り、自分自身を不断に鍛えるようにすべきです。作家は、批判と自己批判を活発におこない、常に党組織の指導のもとに革命的に学び、働き、生活するようにしなければなりません。特に、ブルジョア思想や修正主義思想をはじめ、すべての反革命的な思想潮流に反対して強くたたかうべきです。

 革命家の一生は、闘争の一生であります。革命家は、闘争を中断してはなりません。闘争なくしては発展を望めず、そうなれば古い思想の影響が復活するようになります。特に、作家に古い思想の影響が残っており、アメリカ帝国主義者とその手先がブルジョア思想の伝播をもくろんでいる状況下で、すべての古い思想に反対する思想闘争を強化することは極めて緊要な問題であります。作家がブルジョア思想や修正主義思想をはじめ、古い思想に反対してたたかわなければ、我が党の文芸思想を守ることも、社会主義的文学・芸術を発展させることもできません。

 いま一部の作家は、創作活動にたいする党組織の指導が、あたかも作家の意見を無視し、組織の意見を強要するためのものであるかのように考え、党組織の指導を快く受け入れようとしません。また一部の作家のあいだには、「創作の自由」を憧憬し、センチメンタルな作品を書こうとする傾向まであらわれています。

 創作活動にたいする党組織の指導を快く思わず、「創作の自由」を唱え、センチメンタルな作品を書こうとするのは、文学・芸術にたいする党の指導を拒む自由主義的・修正主義的思想傾向の具体的なあらわれであります。一部の作家のあいだでこうした自由主義的・修正主義的傾向があらわれるのは、反党分派分子が外国から密輸入した資本主義、修正主義の影響によるものです。修正主義者は、革命と建設にたいする党の指導を拒み、プロレタリア独裁を弱めようと策動しています。

 作家のあいだにあらわれている自由主義的・修正主義的傾向を決して許してはなりません。我々の文学・芸術は、徹底した党的かつ階級的なものとなるべきです。我々の文学・芸術は、党と勤労大衆に奉仕する、党の有力な思想教育手段の一つであり、帝国主義者と地主、資本家に反対してたたかう階級闘争の武器であります。我々は、一部の作家が「創作の自由」を唱え、ブルジョア思想やブルジョア的自由を説くのを絶対に許すことができません。我が党は、作家が階級敵にたいする妥協のない闘争のペンをかざし、徹底して党的、階級的かつ人民的な文学・芸術作品を創作するよう求めています。

 一部の作家が、我が党の文芸政策の研究をおこたり、事大主義にそまって修正主義をはじめ、日和見主義的な「文芸理論」から学ぶべきものがあるかのように言っているのも正しくありません。作家は、我が党の文芸思想で武装せずには、革命的な作品を書くことも、党と人民に忠実に奉仕することもできません。

 日和見主義的な「文芸理論」は、人民の階級意識を麻痺させる反革命的な思想潮流です。作家は日和見主義的な「文芸理論」と強くたたかい、その侵害から党の革命的な文芸理論を徹底して擁護すべきであります。

 私は、みなさんが全力を尽くして我が党の文芸政策をあくまで貫くものと確信します。

 出典:『金日成著作集』10巻


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