金 日 成

党学校における教授・教育の基本は
学生の党性を鍛えることである
 ―中央党学校の教職員、学生におこなった演説―
1955年11月6日 

 中央党学校が平壌に戻ってからすぐ訪ねるつもりでしたが、時間がさけず、つい今日まで延びました。その間、諸君は自力で学校を整え教授・教育をおこなうために非常に骨を折りたことと思います。

 さきほど教員たちから、党学校の教授・教育を改善するための多くの建設的な意見が出されました。これらの意見をしんしゃくしながら、党学校の教授・教育を改善するための若干の問題について述べたいと思います。

 党学校の教授・教育の基本は、学生の党性を鍛えることであります。党性とは一言でいって、党に対する限りない忠実さであります。

 党員の党性鍛練を強化するのは、現在わが党の最も重要な課題の一つとなっています。

 わが党の歴史は浅く、その質的状態もまだ高い水準に達していません。我々の革命闘争史は長いが、わが党が創立されてからは長くありません。解放前に労働者階級の党がなかったため、朝鮮人民はマルクス・レーニン主義的な教育を受けることができませんでした。わが国でマルクス・レーニン主義は解放後、わが党が創立された後にはじめて大衆のあいだに急速に普及しました。

 解放前に、マルクス・レーニン主義は朝鮮人民のあいだで広く伝播されませんでしたが、それに加えて、日本帝国主義者がマルクス・レーニン主義を悪辣に誹謗し歪曲して宣伝しました。

 マルクス・レーニン主義に対する日本帝国主義の反動的な宣伝の影響は、こんにちにいたっても朝鮮人民のなかで完全に一掃されず、一部の党員のなかにもその影響が残っています。

 共産党と新民党が合同して、わが党が大衆的政党に発展した際、思想的、理論的に十分に鍛えられていない多くの人たちが党に入ってきました。これは、あたかも小さな容器に物を入れすぎたようなものです。これまで10年間、我々は党員の思想教育に大きな力を注ぎましたが、彼らをすべて消化することはできませんでした。したがって、党の隊列は質的にまだ高い水準に達していません。このような事情から党員の党性強化が緊切に求められています。

 党員の党性の強化はまた、セクト主義の残りかすを一掃し、党の思想、意志の統一と団結を強化するために必要であります。

 かつて、わが国の共産主義運動内には、M・L派、火曜派、コミュニスト・グループなど、その名称さえ覚えきれないほど多くの分派グループがありました。分派分子は、分派活動によって労働運動を四分五裂させ、朝鮮の共産主義運動の発展に大きな弊害を及ぼしました。分派分子は、解放後も分派行動をつづけ、朝鮮革命とわが党の発展を妨げました。

 解放後、わが党には、ソ連、中国、南朝鮮など各地からきた人たちがかなりいたのですが、分派分子はこれを自己の分派的目的に利用しようとしました。そのような代表的な人物として朴憲永、朴一禹、許カイなどをあげることができます。朴憲永は南朝鮮、朴一禹は中国、許カイはソ連と、それぞれその代表的人物をもって任じました。こうして彼らは、人々を自分のまわりに糾合しようと策動しました。去る3年間の戦争の過程は、人々を点検する重要な契機となりました。反党反革命分派分子の正体は、戦争の過程で余すところなく暴露されました。

 朴憲永は解放後、南朝鮮の党組織を破壊しておきなからも、南朝鮮に数十万の党員がいると言いました。しかし、これは偽りであり党を欺くものでした。朴憲永は解放後、南朝鮮で犯した罪過の暴露を恐れ、第1次南進当時、南朝鮮にいる党員を逮捕して地下室に監禁し虐殺する蛮行をはたらきました。我々は、朴憲永の分派行動を許さず、その正体をあばいて党から除去しました。

 朴一禹は戦時中、軍隊の高い地位についていましたが、立派に活動するのではなく腐敗堕落した生活をし、党と政府を公然と非難し、不平不満分子を自分のまわりに糾合して分派をつくろうとしました。

 許カイは、一時的後退の時期に、江界に行って放送施設を復旧し放送を保障する党の課題は実行せず、腐敗堕落した生活をしました。彼は、党を拡大強化すべき戦時に関門主義に陥って党勢拡大を妨げ、正当な理由もなく多くの党員を除名または処分しました。結局、彼は、わが党を強化するために努力したのではなく、瓦解させようと策動したのであります。

 我々は、党内のこのような事態を適時に収拾しました。党中央委員会第4回総会を開いて関門主義的傾向と懲罰主義的傾向の是正策を講じました。わが党が講じた措置は全く正しいものでした。我々が党中央委員会総会を開いて党の組織活動上の偏向を適時に是正しなかったならば、極めて重大な結果をまねいたことでしょう。

 党が許カイを批判すると、朴憲永、李承Y一味は、その機会に乗じてソ連からきた人たちに反対し、朴一禹は、ソ連からきた人たちに反対するためには朴憲永と提携すべきであると公然と主張しました。

 もちろん、朴憲永、朴一禹、許カイなど反党反革命分派分子の策動によっても、わが党の統一と団結は切り崩されませんでした。わが党は、1920年代に朝鮮に組織された共産党のような党ではありません。わが党は、工場と農村に、大衆のなかに強く根を張った強力な大衆的党であります。

 しかし、分派分子の策動が、党の発展に悪い影響を全く及ぼさなかったと見ることはできません。分派分子の思想的影響は、まだ党内にあり、それは党の発展をある程度妨げています。

 分派の影響を、一掃し、党の思想、意志の統一と団結を強化するためには、党員の党性をたえず鍛えなければなりません。

 現在、党員の党性強化が重要な問題として提起されるのはまた、我々が長いあいだ敵と対峙しており、党員のあいだに古い思想が残っている事情と関連があります。

 アメリカ帝国主義とかいらい李承晩一味は、あらゆる手段と方法を使って我々の内部に腐敗したブルジョア思想を浸透させようと策動しています。ところが、古い思想に毒された一部の党員は、気が緩み、敵に対する警戒心がなく、安逸な生活を追求しています。古い思想の残りかすは、ブルジョア思想を引き入れる要素であります。党員の党性を鍛えて、彼らに残っている古い思想をなくさなければ、敵の思想的浸透を防ぐことはできません。

 わが国の経済形態からしても、党員の党性鍛練の強化が切実に必要であります。

 わが国にはまだ、小商品経済形態と資本主義的経済形態が残っています。これらの経済形態は、今後も一定の時期まで存続するようになるでしょう。わが国に小商品経済形態と資本主義的経済形態が存在する以上、古い思想の腐食作用を免れることはできません。したがって、党員の党性の鍛練をいっときもおろそかにしてはなりません。

 中央党学校では、すべての問題を学生の党性鍛練と結びつけるべきです。党学校は、学生の党性鍛練の溶鉱炉となるべきです。製鋼所で銑鉄を溶かして鋼鉄をつくるように、中央党学校では学生を高度の党性を身につけた党活動家に育成すべきです。こうすれば、中央党学校は、党学校の使命を果たすことができます。

 それでは、高度の党性を身につけた党活動家を育成するためにはいかにすべきでしょうか。

 何よりもまず教育要綱を正しく作成し、課目別の時間の割当てを合理的におこなわなければなりません。

 一部の教員は、学生の基礎知識が浅いため、国語課目や数学などの自然科学課目に多くの時間を割り当てるようにした方がよいと言っていますが、その必要はありません。

 もちろん、党学校の学生の一般知識水準を高めなければなりません。我々は戦時中に、党活動家の一般知識水準を高める必要を痛感しました。当時、党活動家の一般知識水準が低かったため、少なからず困難を経験しました。いまでも、党活動家の一般知識水準は、勤労者のそれに比べさほど高くありません。

 我々が調べたところによると、楽元機械工場の1000人余りの労働者のうち、その40%が初等中学またはそれ以上の学校を終えた人たちであり、前川にある機械工場には900人余りの労働者がいますが、その50%が初等中学またはそれ以上の学校を出た人たちです。これは、勤労者の一般知識水準が、以前より非常に高まったことを示しています。将来、全般的中等義務教育制を実施すれば、勤労者の一般知識水準は現在よりはるかに高まるでしょう。党活動家の一般知識水準を高めなければ、勤労者を正しく教育し、社会主義建設に対する党の指導を円滑におこなうことはできません。

 革命的世界観で武装するためにも、党活動家は、高度の科学知識を所有しなければなりません。革命的世界観は、自然と社会に対する科学的認識にもとづいているだけに、科学知識を所有しない党活動家は、革命的世界観を確立することができません。

 したがって、党学校でも学生にある程度の自然科学知識を教えるべきであります。

 現在、中央党学校の学生の一般知識水準と自然科学知識水準はさまざまです。中央党学校の学生のなかには、小学校や中学校を卒業した人もいれば、独学で小学校や中学校修了程度の知識を身につけた人もいます。小卒や独学で小卒程度の水準に達した人は基礎知識が浅いため、自然科学課目の授業内容を完全に消化できないかも知れません。在学期間に彼らに高度の自然科学知識を所有させることは不可能であるから、卒業してから独習できる基礎知識と実際の活動に応用できる知識を教えればよいのです。例えば、数学課目では、構成比や成長率などを算出できる程度の知識を教えればよいのです。したがって、自然科学課目の授業時間を増やす必要はありません。

 中央党学校の学生が一番難しがっている課目の一つは外国語です。3年制班の学生はともかく、1年制班の学生に外国語の授業をつづけるべきかどうかは研究を要します。外国語を何十時間か学んだだけでは、外国の書籍の翻訳も、会話をおこなうこともできません。私の考えでは、1年制班の学生には、外国語の授業のため時間を浪費する必要はないと思います。

 中央党学校では、学生の党性鍛練に中心をおいて教育要綱を作成し、党史と政治理論の科目により多くの授業時間を割り当てるべきです。党性は、一定の理論的準備と密接なつながりがあります。中央党学校では、党史と政治理論の授業により多くの時間を割り当て、それを十分に教えることによって、学生が党性をたえず鍛える思想的・理論的準備を整えるようにすべきです。言いかえれば、すべての学生が党の立場に立って事物を分析、判断し、いかなる環境のもとでも党の原則をまげずに不正行為とたたかい、みずからをたえず政治的に鍛えるよう、彼らを思想的、理論的にしっかりと準備させるべきです。

 学生の党性を鍛えるためにはまた、党組織生活を強化し、それを教授・教育と密接に結びつけなければなりません。

 党組織生活の強化は、党性鍛練の重要な方途であります。党学校の学生たちのなかで批判と自己批判を強め、党細胞会議や思想検討会議を高い政治的・思想的水準でおこなうべきです。党細胞会議と思想検討会議を通じて、学生が入学前にもっていた古い思想の残りかすまでも一掃して卒業するようにすべきであります。

 党学校の学生の党性鍛練を強化するうえで、教員の役割が極めて重要であります。

 党学校の教員は、教育者であり、また社会活動家でもあります。

 党学校の教員がその役割を立派に果たせば、学生を高度の党性を身につけた党活動家に育成することができます。

 党学校の教員は、学生に一つのことを教えるにしても、党性鍛練の助けとなるように教えるべきです。授業の際、講義案や教材の内容を機械的に筆記または伝達しようとせずに、それを党性鍛練の問題と結びつけて教えるべきです。また、学生の党生活を実質的に指導しなければなりません。

 党学校の教員が教授・教育を正しくおこなうためには、党政策をしっかりと身につけるとともに、わが国の現実と党活動の実態を具体的に知らなければなりません。

 中央党学校では、教員に対する党政策伝達体系を立て、各時期に示される党政策を適時に知らせ、党政策研究討論会も常時おこなうべきです。今後、党中央委員会で中央党の指導員に党政策を知らせるときは中央党学校の教員も参加させるべきです。そして、党中央委員会の部長や副部長か随時、党学校に来て党の決定と通報を教員に伝達するようにすべきだと思います。

 中央党学校の教員を実際の党活動に接近させるべきです。そのためには、中央党学校の教員を党中央委員会が組織する党点検活動に参加させるべきです。党点検活動に党学校の教員を参加させれば、彼らは現在の党活動家の政治的水準も理解でき、党員の党性鍛練の方途も体得できます。

 中央党学校の教員を実際の党活動に接近させるためには、教員数を増やし、交代で現場に出かけるようにすべきです。現在、国の労力事情は緊張していますが、党活動家の養成には労力を惜しんではなりません。党学校の教員を20名ほど増やすのがよいでしょう。

 中央党学校の学生は、かつて学べなかったことをかこつことなく、熱心に学ぶべきです。知識は力であります。知識がなければ立派に活動することはできません。党学校の学生は、党政策を深く研究し、マルクス・レーニン主義原理もよく学ぶべきです。そして、将来どんな任務を負わされても巧みに遂行できる理論的基礎をきずくべきであります。

 中央党学校の学生は、在学中に党性鍛練に力を注ぐべきです。

 誰でも党性を鍛えなければ、思想的に変質してしまいます。党性鍛練の主な方法は、党組織生活に誠実に参加することです。党学校の学生は、党組織生活に積極的に参加し、不正行為とは容赦なくたたかうべきであります。

 1年制班の学生たちの中にはかつて革命闘争に参加した人が多くいますが、そういう人ほど党組織生活に誠実に参加すべきです。かつて革命闘争に参加したことを鼻にかけてはならず、常に革命家らしく身を処すべきです。

 中央党学校の教員と学生は、常にわが国の現実と党内の事情に通じていなければなりません。

 朝鮮人民が戦後の復興建設に着手してから2年になります。この2年間の復興建設状況を総括すれば、成果が大きい反面、欠陥も少なからずあります。

 これまで都市建設に力を集中できませんでしたが、これは欠陥というよりは、やむを得ないことと見る方が正しいと思います。

 我々はまだ、都市建設に力を集中するほどの状態にいたっていません。都市建設を大々的におこなうには、金属工業、機械工業、建材工業を復興して鋼材、セメント、建設機械を多く生産すべきですが、まだそうすることはできません。したがって、本格的に都市建設にとりかかることはできません。

 都市建設を本格的に進めることができないのはまた、国の労力が緊張している事情とも関連があります。産業建設と並行して都市建設をおこなうには、莫大な労力が必要です。都市建設に要する労力を増やすことは、とりもなおさず農村の労力を減らすことを意味します。戦後、農業にかなりの投資をおこなったにもかかわらず、農業生産がまだ戦前の水準に達していない原因も、農村に壮丁労力が足りないところにあります。農業生産が機械化されていない状況のもとで、農村の労力を都市建設にまわせば、食糧を輸入しなければなりません。したがって、農村の労力を都市建設にまわすことはできません。

 これからも当分間は、都市建設を勤労者の住宅を建てる程度にとどめるべきです。中央党学校でも校舎を新築しようとせず、現在の建物をよく修理して使用すべきです。

 来年も工業と農業の復興に大きな力を傾けなければなりません。

 まず、工業部門を急速に発展させなければなりません。特に、金属工業、機械工業、建材工業を急速に復興させるべきです。

 機械工業部門では、トランス、モーター、揚水機などを量産して国内の需要を満たすべきです。そうすれば農業を急速に発展させ、都市建設も順調におこなうことができます。我々が機械工業の復興に第一義的な関心を払う理由もここにあります。

 建材工業部門では、セメントとレンガの生産を急速に増やすべきです。建材工業部門には、江南窯業工場、大城窯業工場など大規模の工場がいくつもあります。しかし、一部の生産工程が完備していないため、これらの工場が十分に能力を発揮していません。建材工業部門では、現在の工場、企業所を早急に整備、補強すべきであります。

 農業を急速に発展させ、穀物生産を画期的に増やして、食糧を自給自足しなければなりません。

 1957年度にいたれば工業の基礎もある程度きず彼、民族技術幹部も多数養成されるでしょう。そうなれば、建設はさらに早い速度で進められるでしょう。

 党活動にも、まだ欠陥がかなりあります。

 党活動における最大の欠陥は、組織活動が円滑になされていないことです。

 組織活動とは、党員の党生活を組織し指導することを意味します。現在一部の党組織は、会議録の作成や党員の登録にとどまり、党員の党生活を正しく組織し指導していません。

 先ごろ、党中央委員会が黄海南道内の党組織の活動を点検したところ、黄海南道では道クラスの機関の活動家から里の活動家にいたるまで多数の活動家のあいだに国家財産を横領、浪費する行為が見られました。これは、黄海南道内の各級党組織が党員の党生活を正しく組織し指導しなかったことを示すものです。

 もし、黄海南道内の各級党組織が党員の党生活を正しく組織し、その党性鍛練を強化したとすれば、このような現象は生じなかったことでしょう。

 党活動家の活動方法にもかなりの欠陥があります。党活動家の活動方法に現われている欠陥は2通りあると言えますが、その一つは党活動家が行政活動を代行することであり、他の一つは党活動家が行政活動家に追随していることです。一部の党活動家は、行政・経済活動を党的に指導するのではなく、行政活動家の活動を代行したり、彼らに追随して資材などを解決してやっています。このようなことは、わが党の活動方法とはほど遠いものです。

 党活動に現われている欠陥を早急に是正しなければなりません。

 最後に改めて強調しますが、中央党学校では、学生の党性鍛練を最も重要な課題として教授・教育をおこなうべきであります。
出典:サイト「わが民族同士」 参照:『金日成著作集』9巻 

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