金 日 成

今後の農業発展をめざすわが党の政策について
朝鮮労働党中央委員会総会での結語 
1954年11月3日

 皆さん!

 このたびの総会で討議された農業発展についての問題は、極めて重要な意義をもっています。

 戦後の人民経済の復興建設で最も重要なのは、人民の衣食住問題を解決することであります。戦争によって著しく低下した人民生活を速やかに安定向上させ、わが国の経済的基盤を強固にし、祖国の統一を促進するためには、まず、全人民の衣食住問題を解決しなければなりません。これは、農業の発展なしには不可能であります。

 農業は人民の食糧需要を満たすばかりでなく、工業に必要な原料も供給します。したがって、農業の急速を発展なしには、工業の復興建設も、人民生活の向上もはかることができません。

 わが党は、戦前の平和的建設の時期から、農業問題をわが国の経済建設の基本問題の一つとしてとりあげてきました。こうして、我々は、歴史的な土地改革を実施し、農業発展のためのあらゆる国家的対策を講じてきました。潅漑事業、種子の改良、役畜の確保など、党と国家がとった一連の対策は農業の発展に大きく寄与しました。

 アメリカ帝国主義者と反逆者李承晩一味の武力侵略によって戦争がはじまって以来、わが党は、前線の需要を満たし、後方の人民生活を安定させるために、農村の活動に最も大きな力を傾けてきました。党は、戦争中、ほとんどの工場が破壊された状況のもとで、党のすべてのすぐれた力量を農村にふり向けました。戦時中にわが党がとった農村政策は、前線への供給を保障し、後方の人民生活を安定させたばかりでなく、3年間もつづいた厳しい戦争で我々に勝利をもたらす重要な要因となりました。

 わが党が、戦時中、農村活動に力を傾けた結果、戦後の最初の年である今年度に咸鏡北道が全面的に災害をこうむり、咸鏡南道と江原道地方でも大きな被害があったにもかかわらず、我々は穀物生産で少なからぬ成果をおさめることができました。牧畜業にしても、戦前には国営農牧場で数百トンの食肉さえ生産できませんでした。しかし、戦時中、わが党は、農業で重要な位置を占める牧畜業を発展させるために多くの国営農牧場を新設し、この事業を発展させたので、今年は、既に国営農牧場で6千トンの食肉を生産できるようになりました。

 このように、我々は、農業発展のために戦時中はもちろん、戦後にも多くの仕事をしてきました。

 1 農業指導の改善について

 我々はこれまでに、農業発展のためのたたかいで大きな成果をおさめました。これはもちろん、戦前、戦時および戦後を通じて、わが党の農村政策が正しかったからであり、この政策の実現をめざして全党が献身的にたたかった結果であります。

 しかし、我々は、これまでの成果に満足することはできません。

 現在、わが国では、工業が急速に復興発展しています。まず、重工業を見ても、以前にあった工場を復旧するだけでなく、わが国になかった工場、特に、わが国の工業の植民地的跛行性を取り除くための機械工場を数多く新設しています。いま建設を計画している機械工場だけでも20〜30にのぼります。党中央委員会政治委員会の決定によって、1951年に工事にとりかかった煕川機械工場などは、今年の冬に工事が完了し、来年からは旋盤、ポール盤などの工作機械を生産するようになります。北中機械工場でも、来年からは300台の船舶用エンジンを生産することになります。このように重工業のなかでも、特に、機械製作工業が急速に発展するでしょう。いま我々は、将来のわが国の社会主義的工業化の基礎を築くために努力しています。

 今後、わが国では重工業だけでなく、軽工業も同時に急速に発展するでしょう。戦前には、わが国の軽工業はとるに足らないものでした。わが党は戦後、人民生活を向上させるために軽工業を速やかに復興発展させる方針をとっています。こうして、6万〜7万錘、ゆくゆくは10万錘の紡錘をもち、年に4000万〜8000万メートルの織物を生産できる紡織工場が近いうちに新設されます。我々は紡織工業の発展に大きな力を注ぎ、1957年には綿織物は少なくとも7500万メートル、絹織物は1500万メートル、人絹は1000万〜-1500万メートルを生産しなければなりません。そのほかに、かんづめ工場、食肉加工工場など多くの軽工業工場が建設されるでしょう。

 工業の発展に伴って、労働者、事務員の数も増えており、今後はさらに増えるはずであります。今年、既に、労働者、事務員の数は81万に達していますが、近い将来、それは100万以上に達するでしょう。

 都市も急速に発展しています。平壌市だけを見ても、人口が戦時中は7万〜8万程度であったのが、いまでは既に40万に達しています。

 工業の急速な発展、労働者、事務員の増加、都市の発展は、農業の速やかな発展を求めています。農業の現在のような発展速度では、工業の発展速度についていけません。我々には、より多くの食糧と食肉が必要であり、より多くの工業原料が必要です。我々は近い将来、穀物生産高を少なくとも290万トン〜300万トンまで、食肉の生産を10万トン〜20万トンにまで増やし、工芸作物もさらに多く生産しなければなりません。そうすれば、我々の生活もいくらか楽になるでしょう。

 いまはまだ食糧と食肉が足りないし衣料も不足しています。来年2万トンの食肉を生産するとしても、人民軍に供給すればあとはいくらも残りません。これはまだ、人民にもれなく供給するにはあまりにも少ない量であります。3か年計画期間に食肉の生産を著しく高めなければなりません。人民に食肉を十分供給しようとすれば20万トンは必要です。

 現在、食肉は不足していますが、そのかわり、わが国には水産資源がいくらでもあります。国営水産事業所と水産協同組合の事業を強化し、半農・半漁協同組合を大々的に組織して魚類をたくさんとれば、食肉の不足分を補うことができます。3か年計画の終わりには、年に70万トン以上の魚類をとるようにしなければなりません。70万トンの魚類と20万トンの食肉が生産されれば、人民の生活は非常に高い水準に達するでしょう。

 我々は、これらすべての課題を実行できるでしょうか。もちろんできます。我々には、これらの課題を実行できるあらゆる条件が備わっています。問題は、わが党が農業を正しく指導するかどうかにかかっています。副首相の報告に具体的な問題が提起されています。この報告と決定書を深く研究し、農業を正しく指導しなければなりません。

 何よりも重要なことは、農業に対する過去の正しくない態度を改める問題であります。これまで、我々は、農業の指導にあたって、もちろん毎年計画を立てて下部におろしはしました。しかし、先進営農方法を取り入れ、土地を改良し、適地適作をおこない、時期をのがさずに種まきをするなど、生産を組織する仕事を多くの場合、自然のなりゆきにまかせてきました。農民の昔からの古い営農方法をそのまま放任し、指導する場合も自動車などを乗りまわして、「今年は間違いないかね」と農民に念をおし、大丈夫だと答えるとそれを手帳に書き込んで帰ってくる、といったような指導をしてきました。また、郡党委員長や郡人民委員会委員長をはじめ、農村で活動をしている多くの人たちと話をしてみると、彼らは農業についてよく知っていません。、

 農業を自然のなりゆきにまかせるのではなく、これを積極的に指導する対策を講じなければなりません。今年にしても、もう少し努力し、もっと積極的に農民を指導したなら、いっそう大きな成果をおさめていたはずです。耕地を拡張しなくても、先進営農方法を取り入れ、いま耕作している土地をよく手入れするだけでも、多くの収穫をあげることができます。

 わが国の総耕地面積のうち、畑を150万ヘクタールと見て、いままでそこから1ヘクタール当たり700キログラムを生産していたのを、1トン半〜2トンを生産するようになれば、畑で225万〜300万トンの農産物を収穫することができます。また、かりに水田で1ヘクタール当たり1トンずつ増産するとしても、40万トン余りの米を増産することができます。

 そのためにはまず、仕事のやり方を改めなければなりません。どうして作柄がよくないのかと尋ねると、多くの場合「土地のせいですよ」「土地がやせているからです」と土地のことをこぼします。我々は土地が悪いとこぼさずに土地を改良し、改造すべきであります。

 多収穫をあげた農民の経験をよく研究してみると、多収穫の秘訣はほかでもなく、肥料をたくさんほどこし、よい種子を選び、作物の手入れをまめにすることでした。彼らに多収穫の特別な秘訣があるわけではありません。この方法はさほど難しいことではないから、仕事をよく手配し、よく指導しさえすれば、いくらでも生産を高めることができます。肥料をたくさんはどこし、よい種子を選び、適地適作の原則によって適期にまきつけ、適期に草とりをすれば多収穫をあげることができます。この方法は、習うにも教えるにも難しくありません。農産物を増産するのに、何か特別な秘訣があるわけではありません。

 しかし、わが党および政権機関の少なからぬ活動家は、こういうことに無関心であります。

 咸鏡北道の実例をあげてみましょう。今年の7月、咸鏡北道に行ったとき農作物の作柄が悪いので、道の責任者たちに、「君たちの営農方法は、間違っている」と言うと、「いや、首相同志、それは違います。いまのところはそう見えても、そのうち一挙にもりかえすはずです」と答えました。そこで私は、「しかし、それには限度があるはずで一挙にもりかえすというのはよくのみこめない。君たちは、私に手品でも見せるつもりかね。どう考えてもこれは間違っているようだ」と言ったものです。

 咸鏡北道の幹部は、冷害克服対策を立てませんでした。これまで咸鏡北道地方では、冷害にあったのが1年や2年ではなく、ずっと被害をこうむってきました。しかし、咸鏡北道の労働党員は、この問題を科学的に研究し究明しませんでした。この地方は寒冷地帯であるため、農作物の生育期間が限られています。そこで当然、この地帯では成熟の早い作物か、または冷害にたえる作物を栽培し、そうでなければ、せめて温床でもこしらえて農作物を短時日のうちに成熟させる対策をとるべきでした。シベリアのような寒いところでも農業を営み、農作物の収量が高いのに、どうして咸鏡北適地方で農業がうまくいかないというのでしょうか。

 仕事を正しく指導して、自然を克服することを知らなければなりません。自然を克服しようとはせずに、ただぼんやりと座りこんで自分の不運を嘆くばかりではいけません。咸鏡北道の全党員は、どうして毎年このように冷害を受けるのかを検討してみるべきです。もし種子が悪いならば、それを耐寒性の種子に改良すべきであり、また、もし適地適作がなされていないならば適地適作を実施すべきであります。煙をたてて農作物に霜がおりないようにする方法ぐらいでは、冷害を防ぐことができません。我々は、科学的な研究と知識にもとづいて、農民を指導しなければなりません。

 農村の仕事をふまじめに指導しているのは、ほかのところでも見受けられます。咸鏡北道、咸鏡南道、慈江道、平安南道などの地方では、沃地を火田だといってこれを全くかえりみない悪弊があります。一部の農民は、現物税をおさめたくないために、開墾した土地を3年間だけ耕作しては、また他の土地を開墾するといったことをやっています。活動家は、こうしたことに気がつかず、よい土地を捨ててしまうのを放任しています。もし、土地が悪くて農作がうまくいかなければ、青刈りの牧畜飼料畑にしてもよいはずです。

 先進営農方法を取り入れる問題もそうです。農民に先進営農方法を積極的に宣伝し解説して、それを強力に普及する対策はとらずに、やたらに自動車などを乗りまわして、口さきで言うだけではいけません。

 農業をこのように指導してはなりません。全党が農村指導にいっそう関心を向けるべきです。農業地帯の郡党委員会、郡人民委員会、道党委員会、道人民委員会の最も重要な仕事は農村活動であります。したがって、農村で活動しているわが党の活動家は、農業を深く研究し、農民を積極的に指導しなければなりません。

 2 共和国北半部の経済構造と農村の社会主義的改造について

 次に私は、わが国の農村の社会主義的改造、すなわち農業協同化の問題について述べようと思います。

 まず、共和国北半部の経済構造を分析する必要があります。周知のように、わが国の北半部の経済は3つの経済要素からなっています。

 第1は、社会主義的国営経済であり、
 第2は、社会主義的もしくは、半社会主義的性格をおびた協同経済であり、
 第3には、資本主義的および小商品的経済である個人経済であります。

 それでは、工業と農業でこの3つの要素はどうなっているでしょうか。

 まず工業では、社会主義的国営経済が圧倒的優位を占めています。それは、わが国が日本帝国主務の植民地支配から解放された後、北半部で重要産業が国有化されたからです。わが国の工業では、国営経済が圧倒的優位を占めているため、社会主義の経済法則が作用しています。したがって、我々は、工業を資本主義経済法則によって建設するのではなく、社会主義経済法則によって建設しています。

 わが国の工業で個人経済の占める比重はごくわずかであります。工業総生産のうち、国営工業は約90%を占め、残りの10%のうち7〜8%が協同経営で、個人経営は2〜3%にすぎません。戦前には、個人経営が現在より大きな比重を占めていました。だが、戦時中に私営企業が大きな被害をこうむったため、私営企業家は非常に困難な状態におかれています。現在、わが国には私営企業が非常に少なく、あるとしても精米所、かじ屋、小規模のゴム工場ぐらいのものです。また、いま共和国北半部にある私営企業は、国営工業や協同組合工業に何の影響も与えることができないばかりでなく、かえって、その影響を受け、またそれに依存しています。それは、わが国の運輸手段、銀行、工場をはじめ、重要な生産手段が国有化されており、労働者階級が指導する労働者と農民の強固な同盟にもとづく人民政権があるからです。

 それでは、農業でこれらの3つの経済要素はどうなっているでしょうか。

 農業では、その圧倒的部分が個人経営に属します。農業では小商品経営が圧倒的優位を占めており、個人農の多くは営農方法が非常に立ち後れています。

 農業には、個人経営のほかに協同経営もあります。わが国の農業協同組合は、今年はじめて実験的に組織されはじめました。現在、これは急速に発展しており、既に全農家の21.5%が協同組合に加入しています。

 わが国の農村には、農業協同組合のほかにも社会主義的経営があります。国営の農牧場、それに農村の社会主義的改造の拠点となる農業機械賃耕所および牛馬賃耕所、消費組合、農民銀行、農村副業生産協同組合、漁業協同組合、国家の手中にある潅漑施設などがそれです。これらすべては、社会主義的もしくは半社会主義的形態であります。社会主義的国営工業は、農村に大きな影響を与えており、いま農村では社会主義的要素が日増しに成長しています。

 わが国の経済構造は、だいたい以上のとおりであります。

 我々の課題は、工業と農業で社会主義的要素をしだいに、いっそう拡大し強化することです。

 周知のように、わが国は、南北に分断されたまま、いまだに統一されていません。北半部では、わが党と人民政権の指導のもとに経済が日増しに発展し、人民の思想・意識は高まりつつあります。しかし、南半部は、アメリカ帝国主義の植民地に転落し、貧困と経済的破綻の一路をたどっています。このように、わが国は分断された状況のもとで、一方は発展と繁栄の道を進んでおり、他方は衰退と没落の道をたどっています。祖国の統一と独立を達成するために、いっそう力強くたたかわなければなりません。

 祖国の統一をかちとるための闘争で最も重要な問題は、我々の革命的民主基地を鉄壁のようにかためることであります。民主基地を強化するうえで、農村陣地をかためる問題は極めて重大な意義をもっています。なぜなら、わが国の人口比率から見ても農村が大きな比重を占めているからです。

 それでは、農村陣地を強化するためにはどうすべきでしょうか。農村で社会主義的要素を発展させ、わが国の農村をしだいに社会主義的に改造しなければなりません。

 既に述べたように、現在わが国の農村では個人経営が優位を占めています。もし、我々が、これを放任しておくならどうなるでしょうか。農民の一部は富農化し、その他の多くの農民は、党と政府がいくら援助しても生活を根本的に改善することができないでしょう。

 いま、農民の30〜40%を占める零細農は、土地改革以後、多くの国家的配慮を受けてきました。しかし、彼らの経営は個人経営であり、土地がやせているうえに営農方法と生産用具が立ち後れていたため、なかなか改善されませんでした。もちろん我々は、これらの零細農の問題を解決するために、彼らを土地が広くて肥沃を平野地帯へ移住させ、その他にもいろいろと対策を講じてきました。しかし、このような方法では、彼らの問題を根本的に解決することはできません。我々は、最短期間に零細農の問題を完全に解決しなければなりません。そうしてこそ、労働者と農民の同盟も強化されます。零細農の問題を最終的に解決するただ一つの道は、農村の協同化であります。

 また、農村で富農が絶え間なく発生していることを見すごすわけにはいきません。もちろん、我々は土地改革を立派に実施しました。土地改革の後、まだ、たいして問題にするほどのことはないにしても、とにかく農村でしだいに富農が生まれているのは事実です。富農化するこれらの人たちは、例え、土地改革の恩恵を受けているとしても、彼らの経営がしだいに資本主義的性格をおびるにつれ、南朝鮮反動層の影響を受ける可能性があります。我々の一時的後退の時期に反動派に加担した者を分析して見ると、そのなかには土地改革の恩恵を受けた者や、甚だしいことには地主のもとで作男をしていた者までも含まれていました。彼らは、みな、農村で土地改革以後、富農化するにつれて南朝鮮反動層とアメリカ帝国主義者の影響を受けてそうなったのです、このように、農村で富農が生まれ、彼らに反動の影響が及んでいる以上、まだ露骨に表面化していないにしても、とにかく農村には階級闘争が存在し、また、それが今後しだいに先鋭化することもありえます。

 それゆえ我々は、労働者と農民の同盟を強化し、勤労農民の生活を向上させ、富農経営を制限すべきであり、社会主義経済法則が農業まで包括できるように、農村をしだいに社会主義的に改造しなければなりません。

 ある人たちは、まだ統一もされていないのに、北半部で農村の社会主義的改造をおこなえばどうなるか、と言っています。こういう人たちは、わが国の統一問題が北半部の民主基地の強化いかんにかかっていることを忘れています。北半部の民主基地を強化するためには、工業を発展させる必要があるばかりでなく、農村陣地を強化することもまた必要です。

 現在、農村陣地を強化するためには、わが国の農村をしだいに社会主義的協同化の道に導かなければなりません。これ以外の道はありません。これが、農村を協同化しなければならない第1の必要性であります。

 第2に、我々は工業だけでなく、農業までも計画的に運営し、工業と農業のつりあいのとれた発展をはかるためにも、農業を協同化しなければなりません。

 国営部門が圧倒的優位を占めているわが国の工業では、計画経済が実施されています。しかし、個人経営が支配的である農業では、計画経済を実施することができません。現在、農業でも計画を立てて下部におろしてはいますが、それは事実上、計画経済ではありません。いまの農業計画は、その程度の生産をあげようという一つの目標にすぎません。

 このような条件のもとでは、農業を急速に発展させることができないばかりでなく、工業の発展にまで支障をきたす恐れがあります。工業を計画的に発展させるためには、農業も完全に計画化しなければなりません。そうしなければ、農業が工業の発展速度についていけなくなります。また、そうしなければ、さきにふれた穀物も、工業原料も、食肉も供給することができません。

 農業を計画的に発展させるためには、農業を協同化しなければなりません。そうしてこそ、農業を今後いっそう発展させることができます。

 第3に、農村で不足している労働力と役畜の問題を解決するためにも、農業を協同化しなければなりません。3年間もつづいた戦争のために、農村の労働力は非常に不足しています。また、農村の多数の青壮年が軍隊に服務しているため、現在、農村労働力の大多数は婦女子と老人であります。農村ではいま役畜も足りません。そのため、よい土地をもっている人でも人手が足りなくて農作業が思うようにいかず、役畜のない人はいくら農業をうまくおこなおうとしてもできない状態であり、また、やせた土地をもっている人は、いくら骨を折って働いても自分の食糧さえまかなえない有様です。そこで、農民は戦時中、このような困難を克服するため、自分たちで研究して、自発的に協同組合を組織するようになりました。わが国の最初の協同組合は、こうして生まれたのであります。

 これらすべてのことは、協同組合運動がわが国発展の現段階において、成熟した条件のもとで発生した完全に合法則的なものであり、社会発展の客観的な要求を反映した運動であることを示しています。わが国の農業をさらに発展させ、農民問題を根本的に解決するため、我々は農業協同化の道を進まなければなりません。

 ソ連での経験が示しているように、農業の協同化は、農業を計画的に発展させ、先進営農方法と先進的な農学技術を取り入れ、農業を機械化し農業生産を発展させて、人民生活を豊かにすることができるようにします。

 我々は、今年から実験的に農業協同組合を組織しました。一部の人は、誤りを犯すのを恐れて、協同組合を実験的に組織するのだと考えています。しかし、そうではありません。実験的に組織したのは、何も恐れているからではなく、経験を積んでより立派におこなうためであります。一年間やってみた結果、農業協同化の道こそ、我々の進むべきただ一つの正しい道であることが、さらに実証されました。

 実例をあげてみましょう。今年、私たちは、中和農業協同組合に3回行ってみました。春に行ったとき、一部の農民はうなだれて私たちを見ていましたが、夏、出来ばえの良いころに行ったら喜びの色が顔にあふれ、秋に行ってみると、農民たちはうれしくてうれしくてたまらないといった表情でした。それで、ある老人は、「私は旧韓国時代から日本時代、そして共和国時代にかけて、ずっと百姓仕事をしてきましたが、今年のような豊作に出あったのははじめてです」と語りました。事実、この老人が言ったように、この地方では協同組合を組織したために、今年の作柄はほんとうにすばらしいものでした。

 協同組合を組織して農業がうまくいったところでは、労働者と農民の同胞が強化され、統一戦線の活動もうまくいっています。

 我々はまた、協同組合を組織すれば、農業も計画的に発展させることができるということを事実をもって確証しました。今年、我々は、農業協同組合に計画課題を与えませんでした。しかし、協同組合自身が計画を立て、適地適作の原則に従って営農を計画的におこないました。来年からはもっとうまくやれるでしょう。来年は、各協同組合に国家から計画を与えなければなりません。生産量はもちろんのこと、作物の配置や先進営農方法の導入まで計画に含めて義務的に遂行しなければなりません。協同組合を組織し、収入を分配することは、農民の自発性の原則にもとづかなければなりませんが、先進営農方法の導入のようなことは、農民の自発性だけにまかせておくわけにはいきません。こういうことは、もう少し強力に実行しなければなりません。

 次に、我々は協同組合を組織し運営してみた結果、やせた土地しかもたず、労働力と役畜が不足して困っている零細農の問題を根本的に解決することができるという確信をいっそう深めました。今年、我々は、農業を機械化しなくても、各農業協同組合で20〜30%の労働力を節約することができましたが、これからは半機械化するだけでも、50%以上の労働力を節約することができそうです。ここから浮いた労働力を正しく利用して生産を高め、副業も大いに発展させることができます。そうすれば、農民の収入が増えるはずです。

 こうして我々は、この一年間に農業協同組合を組織してえた経験を通じて、農業の協同化が労農同盟を強化し農村陣地をかためるために必要であり、また、農業でも計画経済を実施して工業と農業のつりあいのとれた発展をはかるために必要であり、さらにわが国の零細農の問題を根本的に解決するためにも必要である、という結論をえたのであります。

 次に、農業協同組合の形態について述べようと思います。現在、3つの形態がありますが、それはみな適切なものであり、また必要なものであります。

 第一形態である労力互助班は、農民に協同化のよさをわからせるために必要なものです。我々は、農村の社会主義的改造を短時日のうちにいっぺんにおこなうのではなく、漸進的に進めようとしているだけに、農村には一定の時期まで個人経営が存続するはずです。したがって、個人農を協同化の道へ導くために、この第一形態が必要なのです。

 第二形態は、土地を統合して共同経営をおこない、土地と労働によって分配を受ける形態であります。これは、過渡的な形態です。第一形態を社会主義の芽ばえだとすれば、第二形態は半社会主義的形態だと言えます。

 第三形態は、社会主義的形態であります。これは、土地と生産用具をすべて共同所有にし、ただ労働によってのみ分配を受け、野菜畑、ニワトリ、豚などはいくらか個人の副業用として所有する形態であります。これは、わが国の農業協同組合のうちで、最も高い形態です。

 ところで一部の人は、協同組合を組織するには、必ず第一形態をへて第二形態、第三形態へと、段階的に漸次移らなければならないものと考えています。このように、ちょうど学校で1学年をへて2学年へ、2学年をへて3学年へと進むのと同じように考えるのは間違いです。

 問題は、農民の自覚の程度と彼らの意識水準にあります。高い形態を要求する農民に低い形態をおしつける必要はなく、また低い形態しか受け入れられない自覚程度の低い農民に、はじめから高い形態をおしつけることもできません。

 ソ連でも、農業協同化運動をはじめたとき 協同組合にはいろいろな形態がありました。まず土地合作社(トーズ)がありましたが、これはわが国の第二形態に似たものであり、次に現在のコルホーズは、わが国の第三形態と同じものです。

 農業協同化で必ず守らなければならない原則は、あくまでも農民の自発性にもとづいて協同組合を組織することです。協同組合がよいからといって、農民をむりやりに引き入れて組織するようなことは絶対にあってはなりません。

 しかし、これは決して協同組合運動を自然発生的ななりゆきにまかせてもよいということを意味するものではありません。協同組合をつくる場合、なりゆきまかせに、どうでもいいというふうに放任する傾向は許されません。わが党は、協同組合を組織し発展させるよう、農民に積極的に宣伝し、彼らを教育し説得しなければなりません。

 我々がもう一つ守らなければならない原則は、農業協同組合を一挙に組織するのではなく、農民の自覚程度に従ってしだいに組織することです。なぜなら、農業の協同化は、幾人かの幹部の主観によっていっぺんにできあがるものではなく、農民の意識程度、工業発展の程度、その他いろいろな条件と関係があるからです。

 また、いまのところ、協同組合をあまり大きく組織するのも好ましいことではありません。ある人は一つの組合に500戸も加入させたと発言しましたが、これは規模が大きすぎます。はじめは15戸か20戸程度からはじめ、だんだんいろいろな条件が熟してゆくにつれて30戸、50戸、70戸程度に発展させるのが適当であると思います。幹部がおらず、また機械化できる条件が熟していなければ、大規模の協同組合はうまく運営できません。したがって、はじめのうちは協同組合をあまり大きくしない方がよいと思います。

 次に、農業協同組合を新しく組織することにだけ力を入れようとせず、既にできている協同組合を正しく指導して、それを強固にし発展させなければなりません。

 まず、協同組合の管理委員長をはじめ、協同組合の幹部を正しく選抜、配置し、彼らを育成しなければなりません。また、協同組合に悪い連中が潜入して、搾取行為や破壊行為をすることのないようにするため、組合内の民主主義を広く発揚させ、組合員の思想的・政治的水準を高めなければなりません。こうして、組合員は誰でも自由に発言できるようにし、誰か「えらい者」が自分勝手に組合をかきまわすことのないようにしなければなりません。

 農業協同組合員に対する階級的教育を強化すべきであります。農業協同組合は、社会主義的経営であって、人間が人間を搾取する制度を一掃し農村から資本主義要素を一掃するために必ず必要であり、しかも唯一の正しい制度であるということ、特に、ここでは、社会主義の原則によって働いただけ報酬を受けるということを、組合員にしっかりと理解させなければなりません。

 また、組合内で労働規律と秩序を強化することが重要であります。そうすれば、のらくら者がいなくなるでしょう。労働力を合理的に配置し、正しく作成された計画のもとに協同組合を運営して収益性を高めることは、現段階で最も重要な問題であります。

 これからは、農業協同組合と消費組合との結びつきを強化し、両者間の契約制度も実施しなければなりません。

 協同組合を強化し、組合員の思想的・政治的水準を高めるためには、何よりもまず組合内の党組織を強化しなければなりません。党組織を強化しなければ、組合の経済的基盤を強化することも、組合員の古い思想・意識を改造することもできません。

 わが国の農村をしだいに社会主義的に改造するためには、協同組合運動を積極的に発展させることが必要であるばかりでなく、農村におけるその他の社会主義的要素もひきつづき発展させなければなりません。

 国家の手中にある農業機械賃耕所と牛馬賃耕所は、農村で大きな役割を果たしています。これは、勤労農民を援助し、勤労農民に対する富農の搾取とたたかう機関であります。一部の素朴な農村活動家は、賃耕所を何か金もうけをし、輸送事業でもおこなう機関のように考えています。それは間違った考えです。賃耕所は、農村を社会主義的に改造するうえ重要な拠点となるものです。このほかにも、国営農牧場、国営潅漑水利機関、消費組合、農民銀行などの社会主義的要素が農業協同化に大きな力ぞえをしています。このような社会主義的要素をひきつづき強化し発展させなければなりません。

 我々は、全力をつくして農民大衆を社会主義の道に導いていかなければなりません。しかし、農民をこの道へ強制的に、もしくは急進的に導くことはできません。もう一度強調しますが、協同化運動はあくまでも農民の自発性の原則にもとづいて、徐々に、だが積極的に展開すべきであります。

 農村の社会主義的改造は、一部の人が考えているように祖国の統一を妨げるものではなく、有利にするものです。我々が仕事を正しく指導して、農村を社会主義的に改造するなら、勤労農民の生活はいっそう豊かになり、彼らの思想・意識水準はいちだんと高まって、農村に及ぼしている富農やその他の資本主義的要素の影響はしだいに取り除かれるでしょう。したがって、労働者と勤労農民の同盟は強化され、農村陣地は強固になるでしょう。こうなれば、南朝鮮の農民も、北半部の農民と同じくよい暮しをするために我々についてくるでしょう。これらのことが祖国統一の事業をいっそう促進することは明らかであります。

 3 祖国の平和的統一について

 さきごろ開かれた最高人民会議では、祖国の平和的統一について提案もおこない、アピールも出しましたが、一部の人たちはこれに対する正しい認識をもっていません。

 ある人たちは、アメリカ帝国主義者が南朝鮮に居座っているのだから、祖国の統一は実現できないと言っています。このような人たちは、祖国統一の意識まで麻痺してしまい、そのスローガンさえかかげようとしません。聞くところによると、甚だしいことに一部の人は、資本主義体制と社会主義体制との共存ということが言われているから、南朝鮮と北朝鮮とが共存できると考えています。ある教員は、学校でこのような講義までしたそうです。

 資本主義体制と社会主義体制とが共存できるという理論は完全に正しいものであり、またそれは可能なことであります。しかし、わが国の内部で南朝鮮と北朝鮮とが分離して共存できるという思想はたいへん危険なものであり、わが国の統一事業を阻む有害な見解であります。こうした見解の持主は、まるで南朝鮮で革命をおこなう責任が南朝鮮の人にだけあって、我々北朝鮮の人々には南朝鮮を解放する責任がないかのように考えています。これは、祖国の分裂を正当化し、それを永久化しようとすることでしかありません。こうした傾向を徹底的になくすべきであります。わが国のすべての人民が一致して祖国の統一を要求しているのに、人民を代表するわが党が、どうして統一のスローガンまで投げ捨てて、「南北共存論」をもち出すことができるでしょうか。

 祖国統一は、現段階におけるわが党の基本的な革命任務であります。したがって、わが党が統一についてのアピールを発表し、また提案するのは決して形式だけのものではありません。わが党は心から祖国の統一を願っており、また、そのために全力をつくしてたたかっています。祖国統一についての問題は、外務省や宣伝機関や出版物などでだけ唱えるべきことではなく、全人民が一致団結して、行動をもってたたかいとらなければならない任務であります。

 祖国統一の大業を完成することなしには、わが党が自己の任務を完遂したとは言えません。「祖国の統一は不可能である。それについての提案は形式である。南北は共存できる」などという思想は、全朝鮮人民の祖国統一に対する闘争意欲を麻痺させ、南朝鮮を放棄しようというのと同じことです。民主基地を強化し、党と人民政権を強化するのも、すべて祖国の統一を早めるためであります。我々は祖国統一に対する正しい認識と、確固とした見通しをもって、統一のために全力をつくして闘争しなければなりません。

 敵は、統一に対する朝鮮人民の念願を利用して、彼らのうたい文句である「北進統一」のラッパをひきつづき吹き鳴らしているのに、わが党が統一についてのスローガンまで投げ捨ててあとすさりするならば、いったいどういうことになるでしょうか。結局、わが党は、人民の信頼を失い、朝鮮人民がひとしく願っている祖国統一の大業は実現しないでしょう。

 もちろん、祖国の平和的統一を短時日のうちに実現することは困難です。なぜなら、祖国の平和的統一を妨害するのか李承晩一味だけならたいした問題ではありませんが、その背後に朝鮮侵略の野望を捨てていないアメリカ帝国主義者がいるからです。アメリカ帝国主義の力はもちろん軽視することはできません。しかし、例え、その力がいまは強大であっても、歴史発展の法則によって結局は滅亡を免れないでしょう。問題は、我々が帝国主義を早く滅亡させるためにたたかい、それをうちまかすことであります。だとすれば、アメリカ帝国主義者がいくら李承晩一味を支持しても、我々が祖国統一の大業を達成できないはずはありません。わが国の統一は、必ず実現するでありましょう。

 かつて、日本帝国主義が朝鮮を併呑し中国を半分も侵略して太平洋地域にまで進出したときにも、朝鮮の革命家は朝鮮独立のスローガンを放棄しなかったばかりでなく、かえってそれをいっそう高くかかげ、反日民族解放闘争を強力に展開しました。こうして、ついに朝鮮の愛国者の希望は実現し、わが国は日本帝国主義のくびきから解放されました。

 我々は、歴史の教訓を忘れてはなりません。第1次世界大戦の結果、帝政ロシアが滅び、その国で社会主義革命が成功しました。また、第2次世界大戦の結果、帝国主義諸国−ドイツ、イタリア、日本が敗北して、ヨーロッパに一連の人民民主主義国家が生まれ、東方では中国革命が勝利し、また、わが国の北半部に強力な人民民主主義制度が創設されました。

 世界には、まだ帝国主義が残っています。しかし、これまでの歴史が証明しているように、帝国主務の滅亡は避けられません。

 いま、資本主義諸国間の矛盾はいっそう激化しています。アメリカ帝国主義とその従属下にある資本主義国、例えば、日本のような国との矛盾が増大しつつある事実を見逃すわけにはいきません。帝国主義者の弱点の一つは、まさにこのような彼ら相互間の矛盾が避けられないという点にあります、この矛盾は、今後、わが国の統一独立に極めて有利な条件をつくりだすことでしょう。

 アメリカ帝国主義がいかに強大だと言っても、彼らが自国人民からますます孤立し、その植民地・従属国の支持が、そられなくなり、南朝鮮の人民がアメリカ帝国主義に反対して決起するようになれば、彼らは結局、南朝鮮から出ていくほかはありません。ところで、南朝鮮人民がアメリカ帝国主義に反対して決起するかどうかは、我々が南半部人民を立ち上がるように組織できるかどうかにかかっています。南朝鮮人民がわが党のまわりにかたく団結して立ち上がるならば、我々は朝鮮からアメリカ帝国主義者を十分追い出すことができます。

 我々は、この点で骨身にしみる苦い経験をもっています。我々が反撃に移った戦争の初期、敵を洛東江流域の狭い地域に追い込んだときに、もし、我々が巧みに組織し、南半部の人民が全部ではないにしても一部だけでも立ち上がってストライキを断行し、抗争運動をくりひろげたならば、敵は退かざるをえなかったでしょう。しかし、我々はそうすることができませんでした、このような経験を教訓としなければなりません。

 祖国の平和的統一は難しいことであり、長期の闘争を通じてかちとらなければならないが、我々にできないことではありません。我々は、祖国を統一することができるし、また必ず統一しなければなりません。統一が難しいからといって、統一のために努力せず闘争もしないならば、祖国統一の問題は永久に解決されないでしょう。祖国統一の問題も、わが党がそのために粘り強くたたかうか、どうかにかかっています。

 祖国の統一のために、我々は2つの面でしっかりと仕事を進めるべきであります。一方では、南朝鮮の人民に根気よくわが党の影響を与え、彼らをアメリカ帝国主義者と反逆者李承晩一味に反対して立ち上がらせることであり、他方では、北半部の民主基地を鉄壁のようにいっそう強化することであります。

 我々が、南朝鮮で盛り上がる革命勢力を正しく奮い立たせ、革命情勢を適時にとらえてそれを主動的に利用し革命の課題を解決するためには、我々自身の力が強大でなければなりません。したがって、我々の民主基地を強化しなければなりません。それゆえ、我々は、祖国が解放された当時、既に、北半部に民主基地を創設し、それを強化発展させる路線をうちだしたのであります。

 民主基地の強化は、祖国統一の決定的な保障となります。民主基地強化のスローガンは、わが国が統一されるときまで、ひきつづき堅持しなければなりません。民主基地をさらに強化することが必要です。我々には、強力な党と政権、強固な経済力が必要です。これらのものがあってこそ、我々は革命勢力と革命情勢を正しくとらえ、主動的に問題を解決することができます。このように、民主基地の強化と祖国の統一は、互いに密接に結びついた革命の課題であります。

 北半部の民主基地を強化するためには、わが党と政権機関を強化しなければなりません。わが党の政治的・思想的統一を強化し、党が人民からいっそう信頼される指導的力量となるようにすべきです。人民政権を強化し、その機能をあらゆる面から強めなければなりません。大衆団体を強化することも重要な問題であります。要するに、我々は、党と政権機関および大衆団体を強固にし、統一戦線をますます拡大強化して、すべての愛国的民主勢力をわが党と共和国政府のまわりにかたく結集しなければなりません。

 次に、我々は、民主基地を経済的に強化しなければなりません。人民生活を急速に向上させ、わが国の北軍部を一大楽園につくりあげるべきです。人民生活を向上させるためには、経済建設を立派におこなれなければなりません。農業をよく営み、工場も立派に建設し、都市も美しくつくり、住宅もたくさん建てるべきです。そのためには、わが国を工業化して豊かで強力な国に発展させなければなりません。まず、3か年計画を完遂または超過遂行し、今後、5か年計画を実行すべきであります。

 このように、経済建設を立派におこない、人民生活を向上させ、北半部を一大楽園につくりあげるならば、北半部にあこがれ、南朝鮮の反動支配制度に反対して立ち上がる南朝鮮人民の革命的気勢は、どのような力をもってしても抑えることができないでありましょうし、祖国が統一されれば、南朝鮮人民の生活問題も容易に解決できるでしょう。

 次に、全力をあげて人民軍を強化しなければなりません。人民軍を強化しなければ、経済建設もできず、わが党と政権を守ることもできません。人民軍を強化することによってのみ、革命の獲得物を守り、外国の侵略を撃退することができます。

 このように党と政権を強化し、経済的土台をかため、人民軍を強化すれば、民主基地は強固になり、我々の力はますます強大になるでしょう。

 平和的統一は、スローガンを叫ぶだけで達成されるものではなく、我々の力が強くなったときにはじめて達成されるものです。我々は祖国の平和的統一のために積極的にたたかう一方、世界の平和運動にも積極的に参加しなければなりません。なぜなら、国際的に平和勢力が成長し、平和運動が強くなればなるほど祖国統一の事業は有利になるからであります。

 民主陣営がさらに強化され、北半部の民主基地が強固になり、南半部で革命的気勢が高まってきたとき、我々は、祖国統一の問題を十分解決することができます。

 したがって、我々は、平和的統一について疑問をいだいたり動揺したりする傾向を徹底的になくし、朝鮮革命の基本任務である祖国の統一独立をたたかいとるために全力をつくさなければなりません。
                                                
出典:『金日成著作集』9巻


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